JP3861597B2 - 素材切断装置およびそれを用いた素材切断方法 - Google Patents

素材切断装置およびそれを用いた素材切断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、素材を切断する素材切断装置及び方法に関し、特に、金属に比べて変形しやすい樹脂やゴム等の切断に好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂やゴムのような金属よりも軟らかい材料からなる素材を加工して所定長さの製品を得る場合、薄肉の刃を往復動させて素材を所定長さに切断するようにしている。
【0003】
そして、上記のようにして加工された製品は例えばポンプのシール部材として用いられ、このような用途の場合は、シール性確保のために切断面の加工精度は高いものが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によると、切断面が湾曲してしまう(すなわち、切断面の平面度が大きい)という問題があった。その原因としては、樹脂やゴムのように比較的軟らかく変形しやすい素材の場合、切断中に素材が変形することと、切断中の素材の変形によって薄肉の刃が変形することが考えられる。
【0005】
そして、この問題に対して、刃の仕様(形状、寸法等)変更にて対処していたが、切断面の平面度を充分に小さくすることができず、製品によっては要求を満足することができなかった。
【0006】
そこで本発明者は、素材を切断して得られる製品部と切り落とし部(素材端部の捨てられる部分)のうち、切り落とし部に着目し、切断面の平面度に対する切り落とし部の肉厚の影響について検討するために試験を行った。
【0007】
図7は上記試験に用いた素材切断装置の切断工程途中の状態を示すもので、この装置は、第1、第2支持部材201、202にて刃23を保持した刃物部20を備えており、基盤10上面の平面部11に樹脂製の素材1をセットした後、刃物部20を平面部11に対して垂直方向(天地方向)Cに移動させて、刃23により素材1を製品部1aと切り落とし部1dとに切断するようになっている。
【0008】
なお、刃23の仕様は次の通りである。まず、刃23はその各部が研磨されており、製品部1a側に第1研磨面231が形成され、切り落とし部1d側に第2研磨面232が形成されている。また、刃23の最先端部には製品部1a側に第3研磨面233が形成され、刃23の最先端部の切り落とし部1d側に第4研磨面234が形成されている。
【0009】
そして、第1研磨面231は刃物部20の移動方向Cと平行になっており、第1研磨面231に対する第2研磨面232の角度θ1は約12°であり、第1研磨面231に対する第3研磨面233の角度θ2は約28°であり、第1研磨面231に対する第4研磨面234の角度θ3は約28°である。また、第1支持部材201からの刃23の突出量L1は約2mm、第2支持部材202からの刃23の突出量L2は約2.5mm、刃厚Tcは0.5mm、刃23の材質は鉄鋼材である。
【0010】
一方、素材1の材質はPTFE(四フッ化エチレン)樹脂で、素材1の高さHmは約1.4mm、その幅(図7において紙面垂直方向の寸法)は約1.7mmである。
【0011】
図8は、切り落とし部1dの肉厚W1(図7参照)を種々設定して図7の試験装置により素材1を切断し、切断して得た製品部1aの切断面の平面度を測定した結果を示すものである。
【0012】
そして、この図8によれば、切り落とし部1dの肉厚W1を0.2〜0.5mmとしたときに、製品部1aの切断面の平面度が最小になることがわかる。
【0013】
因みに、切り落とし部1dの肉厚W1が0.5mm以上の場合に、製品部1aの切断面の平面度が大きくなるのは、製品部1a側の未切断の部位(これから切断が行われる部位)が、切り落とし部1d側の素材1に比較的強く引っ張られた状態で切断され、また、切り落とし部1d側の素材1によって第2研磨面232及び第4研磨面234が比較的強く押されて、薄肉の刃23が切断工程の進行に伴って次第に製品部1a側に向かっていき、その結果、製品部1aの切断面が図7中の破線Y1のように湾曲するためと考えられる。
【0014】
一方、切り落とし部1dの肉厚W1が0.2mm以下の場合に、製品部1aの切断面の平面度が大きくなるのは、切り落とし部1d側の素材1によって製品部1a側の未切断の部位を引っ張る力がきわめて小さくなり、また、切り落とし部1d側の素材1によって第2研磨面232及び第4研磨面234を押す力も小さくなり、逆に、製品部1a側の素材1によって第3研磨面233が押されて、薄肉の刃23が切断工程の進行に伴って次第に切り落とし部1d側に向かっていき、その結果、製品部1aの切断面が図7中の破線Y2のように湾曲するためと考えられる。
【0015】
なお、素材1や刃23の仕様を変更して追加試験を行ったところ、素材1や刃23の仕様に応じて、製品部1aの切断面の平面度を最小にする切り落とし部1dの厚みの最適範囲が変わることが確認された。
【0016】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、素材切断装置によって加工される製品の切断面の平面度を小さくすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明では、製品部の切断面の平面度を最小にする切り落とし部の厚みの最適範囲がある点に着目して、切り落とし部の厚みが常に最適範囲内に保たれるようにすることにより、上記目的を達成しようとするものである。
【0018】
請求項1に記載の発明では、素材(1)における切り落とし部(1d)の一端側を切断する副切断刃(21、22)と、切り落とし部(1d)の一端側の切断面から所定量離れた位置で切り落とし部(1d)の他端側を切断して、素材(1)を製品部(1a)と切り落とし部(1d)とに切断する主切断刃(23、24)とを備え、副切断刃(21、22)の刃先端部が主切断刃(23、24)の刃先端部よりも基盤(10)側に突出され、副切断刃(21、22)による切断面位置と主切断刃(23、24)による切断面位置との距離は主切断刃(23、24)の刃厚と等しくなっており、主切断刃(23、24)及び副切断刃(21、22)を2組有し、2枚の主切断刃(23、24)を挟んで両側に副切断刃(21、22)が1枚ずつ配置されており、2枚の主切断刃(23、24)及び2枚の副切断刃(21、22)は一体化されて基盤(10)に向かって移動するように構成されているることを特徴とする。
【0019】
これによると、2枚の主切断刃とその外側に配された基盤側に突出した2枚の副切断刃とが一体でかつ副切断刃による切断面位置と主切断刃による切断面位置との距離を主切断刃の刃厚分としているので、切り落とし部の厚み1dは、常に略一定に保たれる。従って、素材や主切断刃の仕様に応じて、切り落とし部の厚みを製品部の切断面の平面度が最小となる最適範囲に設定することにより、製品部の切断面の平面度を小さくすることができる。
【0022】
請求項に記載の発明では、副切断刃(21、22)は、主切断刃(23、24)により切断された切り落とし部(1d)が入り込む逃がし部(211、212、221、222)を有することを特徴とする。
【0023】
これによると、主切断刃による切断工程中に、主切断刃と副切断刃の間に切り落とし部が挟まるのを防止することができる。
【0024】
請求項に記載の発明では、副切断刃(21、22)が切り落とし部(1d)の一端側の切断面に当接した状態で、主切断刃(23、24)が素材(1)の切断を開始するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
これによると、主切断刃が素材の切断を開始する時点では、副切断刃によって素材の位置決めがなされるため、主切断刃が素材の切断を開始する際の素材のずれを防止することができ、ひいては切り落とし部の厚みのばらつきを抑えることができる。
【0026】
請求項に記載の発明では、素材(1)を基盤(10)に保持する保持部材(40)を備えることを特徴とする。
【0027】
これによると、保持部材により切断工程での素材のずれを防止することができ、ひいては切り落とし部の厚みのばらつきを抑えることができる。
【0035】
請求項に記載の発明では、2枚の主切断刃(23、24)の間スペーサ(25)を介在させて2枚の主切断刃(23、24)及び2枚の副切断刃(21、22)が一体化されていることを特徴とする。
【0036】
これによると、2の主切断刃の間の寸法がスペーサによって安定して管理されるため、製品部の寸法のばらつきを少なくすることができる
【0039】
請求項に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の素材切断装置を用いて、基盤(10)上の所定位置にセットされた素材(1)を製品部(1a)と切り落とし部(1d)とに切断する素材切断方法であって、一体化された2枚の主切断刃(23、24)及び2枚の副切断刃(21、22)を基盤(10)に向かって移動させ、2枚の副切断刃(21、22)により素材(1)を製品部(1a)の長さLmと切り落とし部(1d)の長さαの和であるLm+αに切断した後に、2枚の主切断刃(23、24)により素材(1)を長さLmに切断することを特徴とする。
【0040】
これによると、請求項1の発明と同様に、切り落とし部1dの厚みを常に略一定に保つことができ、従って、切り落とし部の厚みを製品部の切断面の平面度が最小となる最適範囲に設定することにより、製品部の切断面の平面度を小さくすることができる。
【0043】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図5は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は素材セット工程を示す素材切断装置の断面図、図2は切断工程途中の状態を示す素材切断装置の断面図、図3は切断工程完了状態を示す素材切断装置の断面図、図4は図2のA矢視図、図5は図3のB矢視図である。
【0045】
図1において、装置の台となる基盤10の上面には、樹脂よりなる板状の素材1が載せられる平面部11が形成され、また、この平面部11には、後述する刃の先端部が侵入する逃がし溝12〜15が形成されている。
【0046】
この装置には、素材1を切断する刃物部20が備えられており、この刃物部20は平面部11に対して垂直方向(天地方向)Cに移動可能に構成されている。そして、刃物部20は駆動部材30によって駆動されるようになっており、この駆動部材30としては、油圧シリンダ、空圧シリンダ、電動モータ等が用いられる。
【0047】
また、装置には、基盤10上の所定位置にセットされた素材1を保持する保持部材としてのストッパ40が備えられており、このストッパ40は平面部11に対して垂直方向Cに移動可能に構成されている。そして、このストッパ40は、油圧シリンダ、空圧シリンダ、電動モータ等を用いた図示しない駆動部材によって駆動されるようになっている。
【0048】
次に、刃物部20について詳細に説明する。
【0049】
刃物部20は、板状のスペーサ25と、この板状のスペーサ25の両側に配置された2枚の主切断刃23、24と、この主切断刃23、24の外側に配置された2枚の副切断刃21、22とから構成されている。
【0050】
2枚の副切断刃21、22と、2枚の主切断刃23、24と、スペーサ25は、図示しない締結手段(例えばボルト)によって一体化されており、従って、これらは駆動部材30によって駆動されて一体となって(すなわち、同時に)移動する。
【0051】
そして、2枚の主切断刃23、24の間隔Lcはスペーサ25の板厚によって調整され、その間隔Lcは素材1を切断して得られる製品部1aの長さLm(図3参照)と等しく設定されている。
【0052】
また、4枚の切断刃21〜24はいずれも下端(基盤10に近い側)に刃先が形成されており、2枚の副切断刃21、22の刃先下端部の位置(平面部11からの高さ)は等しく、また、2枚の主切断刃23、24の刃先下端部の位置(平面部11からの高さ)も等しくなっている。そして、副切断刃21、22の刃先下端部は2枚の主切断刃23、24の刃先下端部よりも下方側に突出しており、その突出量Scは、素材1の高さHmよりも大きく設定されている。また、4枚の切断刃21〜24の幅(図4の左右方向における切断刃21〜24の寸法)は素材1の幅Wm(図4参照)よりも大きく設定されている。
【0053】
副切断刃21、22には逃がし部としての貫通穴211、221が形成されている。この貫通穴211、221は矩形状で、その幅方向の寸法Wc(図4参照)は、素材1の幅Wmよりも大きく設定されている。
【0054】
また、この貫通穴211、221の下端は、主切断刃23、24の刃先下端部よりも刃物部移動方向Cに距離X1だけ下方(基盤10に近い側)に位置し、距離X1は素材1の高さHmよりも短く設定されている。一方、貫通穴211、221の上端は、主切断刃23、24の刃先下端部よりも刃物部移動方向Cに距離X2だけ上方(基盤10から遠い側)に位置し、距離X2は素材1の高さHmよりも長く設定されている。
【0055】
なお、副切断刃21、22及び主切断刃23、24の刃先の仕様は、図7に示した刃23と同一である。また、素材1の仕様も、図7に示した素材1と同一である。因みに、この条件での切り落とし部1d(図3参照、詳細後述)の厚みの最適範囲は0.2〜0.5mmであり、本実施形態では切り落とし部1dの厚みを0.5mmに設定している。
【0056】
次に、上記構成になる素材切断装置の作動を図1〜図5にて説明する。
【0057】
まず、図1に示すように、ストッパ40を上昇させた状態で素材1の先端部が右側の第1副切断刃21よりも先方に来るまで素材1を送り、次いでストッパ40を下降させて素材1を基盤10上の所定位置に保持する。
【0058】
次に、駆動部材30によって刃物部20を下降させて素材1を切断する。
【0059】
図2は副切断刃21、22によって素材1を切断する予備切断工程の完了状態であるとともに、主切断刃23、24によって素材1を切断する本切断工程の開始状態であり、まず図2に示すように2枚の副切断刃21、22によって素材1はその長手方向の両端が切断される。この予備切断工程で切断された各部のうち、第1副切断刃21によって切断された端部側の廃却部1bは後に廃却され、2枚の副切断刃21、22によって所定の長さに切断された完成前素材1cは、次の本切断工程でさらに切断される。
【0060】
ここで、突出量Scを素材1の高さHmより長くしているため、予備切断工程の完了後に本切断工程が開始される。また、距離X1を素材1の高さHmより短くしているため、本切断工程の開始時点では、貫通穴211、221の下端は完成前素材1cの下端面(すなわち、平面部11の上端面)よりも上方で、かつ完成前素材1cの上端面よりも下方に位置する。従って、本切断工程の開始時点では、2枚の副切断刃21、22の一部が完成前素材1cの切断面に当接し、2枚の副切断刃21、22によって完成前素材1cはその長手方向の位置決めがなされる。
【0061】
そして、図2の状態から図3の状態(本切断完了状態)まで刃物部20を下降させると、2枚の主切断刃23、24によって完成前素材1cはその長手方向の両端が切断される。すなわち、この本切断工程で、完成前素材1cは、所定の長さLmに加工された製品部1aと、後に廃却される切り落とし部1dとに切断される。
【0062】
換言すると、予備切断工程にて素材1を所定の長さLm+αに切断して完成前素材1cとし、次に本切断工程にてこの完成前素材1cを所定の長さLmに切断するようにしている。そして、この2回の切断(予備切断と本切断)は1回の工程で実行される。
【0063】
この本切断工程中、刃物部20の下降により貫通穴211、221の下端は完成前素材1cの下端面よりも下方に移動し、一方、距離X2を素材1の高さHmより長くしているため、本切断完了状態でも貫通穴211、221の上端は完成前素材1cの上端面よりも上方に位置する。
【0064】
従って、本切断工程中、刃物部20が少し下降した時点からは、完成前素材1cはその両端の切断面全体が貫通穴211、221と対向する状態になり、本切断工程中に切断される切り落とし部1dは、貫通穴211、221に入り込み、貫通穴211、221を通って排出される。このため、また、主切断刃による切断工程中に、主切断刃23、24と副切断刃21、22の間に切り落とし部1dが挟まるのを防止することができる。
【0065】
また、切り落とし部1dの厚みは、副切断刃21、22による切断面位置と主切断刃23、24による切断面位置の距離であって、主切断刃23、24の刃厚Tcとほぼ等しく、常に略一定に保たれる。そして、本実施形態ではこの切り落とし部1dの厚みを最適範囲内の0.5mmに設定しているため、製品部1aの切断面の平面度を小さくすることができる。しかも、切り落とし部1dの厚みは常に略一定に保たれるため、製品部1aの切断面の平面度のばらつきも少なくすることができる。
【0066】
次に、図3の状態から、刃物部20を図1の位置まで上昇させる。この際、ストッパ40にて製品部1aを保持しておくことにより、製品部1aが主切断刃23、24に挟まれたまま上昇するのを防止し、製品部1aを主切断刃23、24から抜き出すことができる。
【0067】
次に、ストッパ40にて製品部1aを保持したままの状態で、廃却部1bや切り落とし部1d等をエアブローにて吹き飛ばし、次いでストッパ40を上昇させた後製品部1aを取り出して、加工行程の1サイクルが完了する。
【0068】
上記本実施形態によれば、副切断刃21、22による完成前素材1cの切断面から切り落とし部1dの厚み方向に所定量離れた位置で主切断刃23、24により完成前素材1cを切断して、完成前素材1cを製品部1aと切り落とし部1dとに切断するようにしているため、切り落とし部1dの厚みが常に略一定に保たれる。
【0069】
そして、素材1や主切断刃23、24の仕様に応じて、切り落とし部1dの厚みを、製品部1aの切断面の平面度が最小となる最適範囲に設定することにより、製品部1aの切断面の平面度を小さくすることができる。
【0070】
なお、上記のようにして加工された製品部1aは、例えば車両用ブレーキ装置のABSアクチュエータにおいて、吸入したブレーキ液を高圧化して吐出するポンプのシール部材として用いられ、切断面の平面度が小さい上記製品部1aをポンプのシール部材として用いた場合は、シール性の向上に寄与する。
【0071】
また、2枚の副切断刃21、22と2枚の主切断刃23、24とを一体化しているため、それらを1つの駆動部材30で駆動することができる。しかも、4枚の切断刃21〜24を同時に1往復させるのみで製品を加工することができ、加工時間も短くすることができる。
【0072】
また、主切断刃23、24が完成前素材1cの切断を開始する時点では、副切断刃21、22による完成前素材1cの切断面に副切断刃21、22の一部を当接させているため、2枚の副切断刃21、22によって完成前素材1cはその切断長さ方向の位置決めがなされる。これにより、主切断刃23、24が完成前素材1cの切断を開始する際の、完成前素材1cのその切断長さ方向へのずれを防止することができ、ひいては切り落とし部1dの厚みのばらつきを抑えることができる。
【0073】
また、2つの主切断刃23、24の間の寸法がスペーサ25によって安定して管理されるため、製品部1aの寸法のばらつきを少なくすることができる。
【0074】
また、素材1を保持するストッパ40を備えているため、切断工程での素材1のずれを防止できると共に、製品部1aを主切断刃23、24から容易に抜き出すことができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、図6に示す第2実施形態について説明する。図6は、刃物部20のうち、副切断刃21、22及び主切断刃23、24の刃先部分のみを示すもので、図示しない部分の構成は第1実施形態と同一である。
【0076】
本実施形態の副切断刃21、22の刃厚は、主切断刃23、24の刃厚Tcよりも大きく(例えば2倍に)設定されている。そして、第1実施形態の貫通穴211、221の代わりに、逃がし部としての凹部212、222が副切断刃21、22に形成されている。この凹部212、222の深さDcは、主切断刃23、24の刃厚Tcよりも大きく設定されている。
【0077】
また、凹部212、222の幅方向(図6において紙面垂直方向)の寸法は素材1の幅Wmよりも大きく設定されている。さらに、凹部212、222の下端は、主切断刃23、24の刃先下端部よりも刃物部移動方向Cに距離X1だけ下方に位置し、距離X1は素材1の高さHmよりも短く設定されている。一方、凹部212、222の上端は、主切断刃23、24の刃先下端部よりも、刃物部移動方向Cに距離X2だけ上方に位置し、距離X2は素材1の高さHmよりも長く設定されている。
【0078】
本実施形態では、本切断工程中に切断される切り落とし部1dは、凹部212、222に入り込み、一旦そこに収納される。そして、凹部212、222内の切り落とし部1dは、本切断工程が完了して製品部1aを取り出した後に、エアブローにて吹き飛ばされて排出される。
【0079】
(他の実施形態)
上記実施形態では、副切断刃21、22及び主切断刃23、24の仕様や、素材1の仕様を、図7に示したものと同一としたが、それらの仕様(材質、形状、寸法等)を変更したものにも本発明は適用することができる。その場合、製品部1aの切断面の平面度を最小にする切り落とし部1dの厚みの最適範囲が変わるため、そのときの仕様に応じて切り落とし部1dの厚みを再設定することにより、製品部1aの切断面の平面度を小さくすることができる。
【0080】
上記実施形態では、切断工程中に素材1をストッパ40にて保持したが、ストッパ40は必ずしも必要ではない。すなわち、素材1が基盤10上に位置決めされておかれている状態でも素材1の切断を行うことができる。
【0081】
また、本発明はゴム等の樹脂よりなる素材1の切断に好適で、さらに、平板状或いは中空円柱、円柱等の素材1の切断に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の素材セット状態を示す断面図である。
【図2】図1の装置の切断工程途中の状態を示す断面図である。
【図3】図1の装置の切断工程完了状態を示す断面図である。
【図4】図2のA矢視図である。
【図5】図3のB矢視図である。
【図6】本発明の第2実施形態の要部(刃先部分)を示す断面図である。
【図7】試験に用いた装置の切断工程途中の状態を示す要部の断面図である。
【図8】図7の試験装置による試験結果を示す図である。
【符号の説明】
1…素材、1a…製品部、1d…切り落とし部、21、22…副切断刃、
23、24…主切断刃。

Claims (6)

  1. 基盤(10)上の所定位置にセットされた素材(1)を製品部(1a)と切り落とし部(1d)とに切断する素材切断装置であって、
    前記素材(1)における前記切り落とし部(1d)の一端側を切断する副切断刃(21、22)と、
    前記切り落とし部(1d)の一端側の切断面から所定量離れた位置で前記切り落とし部(1d)の他端側を切断して、前記素材(1)を前記製品部(1a)と前記切り落とし部(1d)とに切断する主切断刃(23、24)とを備え、
    前記副切断刃(21、22)の刃先端部が前記主切断刃(23、24)の刃先端部よりも前記基盤(10)側に突出され、前記副切断刃(21、22)による切断面位置と前記主切断刃(23、24)による切断面位置との距離は前記主切断刃(23、24)の刃厚と等しくなっており、
    前記主切断刃(23、24)及び副切断刃(21、22)を2組有し、2枚の主切断刃(23、24)を挟んで両側に前記副切断刃(21、22)が1枚ずつ配置されており、
    前記2枚の主切断刃(23、24)及び前記2枚の副切断刃(21、22)は一体化されて前記基盤(10)に向かって移動するように構成されていることを特徴とする素材切断装置。
  2. 前記副切断刃(21、22)は、前記主切断刃(23、24)により切断された前記切り落とし部(1d)が入り込む逃がし部(211、212、221、222)を有することを特徴とする請求項に記載の素材切断装置。
  3. 前記副切断刃(21、22)が前記切り落とし部(1d)の一端側の切断面に当接した状態で、前記主切断刃(23、24)が前記素材(1)の切断を開始するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の素材切断装置。
  4. 前記素材(1)を前記基盤(10)に保持する保持部材(40)を備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の素材切断装置。
  5. 前記2枚の主切断刃(23、24)の間スペーサ(25)を介在させて前記2枚の主切断刃(23、24)及び前記2枚の副切断刃(21、22)が一体化されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の素材切断装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の素材切断装置を用いて、前記基盤(10)上の所定位置にセットされた素材(1)を製品部(1a)と切り落とし部(1d)とに切断する素材切断方法であって、
    前記一体化された前記2枚の主切断刃(23、24)及び前記2枚の副切断刃(21、22)を前記基盤(10)に向かって移動させ、前記2枚の副切断刃(21、22)により前記素材(1)を前記製品部(1a)の長さLmと前記切り落とし部(1d)の長さαの和であるLm+αに切断した後に、前記2枚の主切断刃(23、24)により前記素材(1)を長さLmに切断することを特徴とする素材切断方法。
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