JP3861282B2 - 多価カチオン材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、隣接ジオール基を有する化合物、例えばセルロースと合成ポリ(1級アミン)とを共有結合で結合させて得られる多価カチオン材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水不溶性の多糖、とくにグルコースを構成単糖とする多糖は、自然界に多量に存在し、かつ不断に再生産される無尽蔵の有機ポリマー資源である。特に、セルロース即ちβ-1,4-グルカンは、天然あるいは溶解・再生した形態で繊維、紙、フィルム、ゲル、粒子等の形態で様々な用途に利用されている。また、セルロース以外の水不溶性多糖として重要なものに、α-1,4-グルカンであるアミロース及びその分岐ポリマーからなるデンプン;並びに細菌が産生するα-1,6-グルカン即ちデキストランがある。このうちデンプン・アミロースは条件により水溶性であり、デキストランは水に良く溶けるが、化学架橋することにより不溶性のゲルとすることができ、その形態で利用されることも多い。
【0003】
これらの水不溶性多糖は一般に水中で負に帯電するが、これらを化学修飾してカチオン基を導入するとアニオン性の分子やコロイド粒子を吸着するので、吸着剤、イオン交換体、凝集剤として利用価値が高い。カチオン基を導入する方法として広く用いられているのはジエチルアミノエチル(DEAE)基やトリアミノエチル(TEAE)基などアルキルアミノ基の導入である。これらの基の導入は工業的には、多糖の水酸基を強アルカリで活性化してからアルキルアミノ基を含む活性化合物を作用させることにより行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなアミノ基導入法は、i)強アルカリを使用し、後の洗浄に手間がかかる、ii)非化学架橋多糖の場合には、アルキルアミノ基の導入量を増やすことを試みると、多糖分子自体が水溶性となる。このため、上記のイオン交換体などとして用いると流出するため、その導入量をあまり増やすことができない、という問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決することにある。
具体的には、本発明の目的は、強アルカリを用いずに得られる多価カチオン材料を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、又は上記目的の他に、カチオン基を多数有しているにも関わらず、水溶性とはならない多価カチオン材料を提供することにある。
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、次の発明により、上記課題が解決できることを見出した。即ち、導入カチオン基として、1分子内に多数の1級アミノ基を有する合成ポリアミンを用いる。合成ポリアミンの多糖材料への結合方法として、隣接ジオール基を有する多糖材料(例えばセルロース)を過ヨウ素酸塩で酸化して生じるジアルデヒド基と一級アミノ基との間でのイミン(シッフ塩基)形成反応を用いる。なお、得られたイミノ基は、可逆反応性を有し、水中で保存するとポリアミンが脱離する可能性があるため、イミノ基をさらに還元して二級アミノ基にするのがよい。
【0007】
このような手法を用いることにより、多糖材料(例えばセルロース)の構造変化を最小限に抑えつつ多数のカチオン基を固体多糖材料に導入することができる。この手法を用いれば、多糖材料由来の物質がごく少数のジアルデヒド基しか有さない場合であっても、即ち合成ポリアミンと多糖材料との結合箇所がごく少数であっても、得られた固体多糖材料は、多数のカチオン基(多数の一級及び/又は二級アミノ基)を有することができる。即ち、得られた固体多糖材料は、多価カチオン材料として、例えば低分子の多価カルボン酸、ヘパリン又はヒアルロン酸などの酸性多糖、等電点より高いpH環境下にあるタンパク質などの多価アニオン性溶質の吸着剤などとして用いることができる。
【0008】
具体的には、本発明者らは、次の発明を見出した。
<1> 多糖材料から誘導されるアルデヒド基を含む非水溶性の第一の物質;及び少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する水溶性の第二の物質である合成ポリ(1級アミン)類;を第一の物質の量を100重量部とした場合、第二の物質の量を1重量部〜300重量部の範囲で含有してなる多価カチオン材料であって、前記第一の物質と前記第二の物質とは、前記一級アミノ基のうちの少なくとも1つと前記アルデヒド基とが形成するイミノ(−C=N−)基及び/又は二級アミノ(−CH−NH−)基を介して結合されており、かつ、カチオン基を多数有しているにも関わらず、水溶性とはならない多価カチオン材料。
【0009】
> 上記<1>において、前記多糖材料が、セルロース及びその誘導体類、架橋デキストラン、並びにデンプン(特に固形デンプン)からなる群から選ばれる1種であるのがよい。
【0010】
> 上記<1>又は<2>において、前記第一の物質が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有するのがよい。
【0011】
> 上記<1>〜<>のいずれかにおいて、前記多価カチオン材料が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有するのがよい。
【0012】
多糖材料からなる非水溶性の有機高分子物質を過ヨウ素酸塩で酸化してジアルデヒド基を有する非水溶性の第一の物質を形成する工程、及び該第一の物質と少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する水溶性の第二の物質である合成ポリ(1級アミン)類とを第一の物質の量を100重量部とした場合、第二の物質の量を1重量部〜300重量部の範囲で反応させてイミノ基を介して前記第一の物質と前記第二の物質とを結合させる工程を有する、カチオン基を多数有しているにも関わらず、水溶性とはならない多価カチオン材料の製造方法。
【0013】
> 上記<>において、結合させる工程後に、イミノ基を還元する工程をさらに有するのがよい。
> 上記<又は<6>において、前記多糖材料が、セルロース及びその誘導体類、架橋デキストラン、並びにデンプン(特に固形デンプン)からなる群から選ばれる1種であるのがよい。
【0014】
> 上記<>〜<>のいずれかにおいて、前記第一の物質が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有するのがよい。
【0015】
> 上記<>〜<>のいずれかにおいて、前記多価カチオン材料が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有するのがよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多価カチオン材料は、i)アルデヒド基を含む非水溶性の第一の物質;及びii)少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する水溶性の第二の物質;由来の材料である。本発明の多価カチオン材料は、これらのi)及びii)のみからなってもよく、それ以外の成分を有していてもよい。なお、i)アルデヒド基を含む非水溶性の第一の物質は、隣接ジオール基を有する物質から誘導して得ることもできる。
【0017】
本発明の多価カチオン材料は、i)アルデヒド基を含む非水溶性の第一の物質とii)少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する水溶性の第二の物質とは、i)第一の物質のアルデヒド基とii)第二の物質の一級アミノ基のうちの少なくとも1つとから形成されるイミノ(−C=N−)基及び/又は二級アミノ(−CH−NH−)基を介して結合される構造を有する。特に、安定性の面から、本発明の多価カチオン材料は、二級アミノ基を介して結合される構造を有するのがよい。
以下、i)第一の物質、及びii)第二の物質について、詳細に説明する。
【0018】
(アルデヒド基を含む非水溶性の第一の物質)
第一の物質は、アルデヒド基を1つ以上有すれば、いかなる物質であってもよく、特に限定されない。例えば、天然の材料又は天然材料由来の物質であっても、合成して得られた材料であってもよい。
第一の物質は、その乾燥固体1グラム当たりアルデヒド基を10μmol以上、より好ましくは20μmol以上有するのがよい。例えば、第一の物質としてセルロースを用いる場合、該セルロース乾燥固体1グラム当たりアルデヒド基が50μmol以上、より好ましくは100μmol以上有するのがよい。
【0019】
第一の物質は、隣接ジオール基を有する物質から、特に、隣接ジオール基を有する材料であって天然に存在する材料から誘導されるものであるのがよい。なお、本明細書において、「隣接ジオール基」とは、結合している2つの炭素原子のそれぞれにOH基を有するものをいう。
【0020】
第一の物質が由来する天然に存在する材料又はその誘導体として、例えばセルロース及びその非水溶性誘導体類、架橋デキストラン、並びにデンプン(固体デンプン)などを挙げることができる。これらのうち、特にセルロース及びその非水溶性誘導体類、好ましくはセルロースであるのがよい。セルロースの誘導体類として、例えば酢酸セルロース、硝酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどを挙げることができる。なお、これらの誘導体類はいずれも置換の度合いが低いものであるのがよい。
セルロース及びその非水溶性誘導体類として、天然の綿・麻などの繊維及び織布、木材パルプ・紙、再生セルロースであるレーヨン繊維・不織布、セロファンフィルム、ビーズ状又は塊状のゲル、酸加水分解で得られる微結晶セルロースなどを挙げることができる。
【0021】
また、第一の物質の形状は、例えば得られる多価カチオン材料の形状によって依存するが、特に限定されるものではない。例えば、形状として、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を挙げることができる。また、第一の物質が由来する材料が、上記の形状を有していてもよい。
【0022】
(少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する水溶性の第二の物質)
本発明に用いられる第二の物質は、少なくとも10個の一級アミノ基を有する物質である。特にアミノ基はその数が多ければ多いほど得られる多価カチオン材料の価数が高くなる。そのため、一級アミノ基の数は、10個以上、好ましくは20個以上、より好ましくは100個以上であるのがよい。
【0023】
第二の物質として、具体的には、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン及びポリアミジンなどの合成ポリ(1級アミン);並びに天然アミノ酸であるL-リジンを人工的に重合させて得られたポリ-L-リジンなどを挙げることができる。なお、本明細書において、「ポリ(1級アミン)」とは、一級アミノ基を含む繰り返し単位を有するホモポリマー及びコポリマーをいう。この意味において、ポリ-L-リジンもポリ(1級アミン)に該当する。さらに、「コポリマー」とは、2種以上のモノマー由来の、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、及びランダムコポリマーなどをいう。したがって、第二の物質が、一級アミノ基を含む繰り返し単位Aと他の繰り返し単位Bとから由来する場合、該Bの特性によって、得られる多価カチオン材料の特性を種々変化させることができる。
【0024】
本発明の多価カチオン材料は、第一の物質と第二の物質とが次のように結合してなる。即ち、第一の物質のアルデヒド基と、第二の物質の一級アミノ基とから形成されるイミノ(−C=N−)基、又は該イミノ基を還元して得られる二級アミノ(−CH−NH−)基を介して、結合される。これらアルデヒド基と一級アミノ基との反応等について後述する。
【0025】
本発明の多価カチオン材料の形状は、それを用いる用途により依存するが、特に限定されるものではない。例えば、形状として、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を挙げることができる。
【0026】
(多価カチオン材料の製造方法)
上述の本発明の多価カチオン材料は、次のような方法で得ることができる。
即ち、本発明の多価カチオン材料の製造方法は、隣接ジオール基を有する物質を過ヨウ素酸塩で酸化してアルデヒド基を有する第一の物質を形成する工程、該アルデヒド基を有する第一の物質と少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する第二の物質とを反応させてイミノ基を介して第一の物質と第二の物質とを結合させる工程を有し、さらに所望により、結合させる工程後に、イミノ基を還元する工程を有するのがよい。
【0027】
ここで、製造方法で用いる隣接ジオール基を有する物質は、上記で定義した「隣接ジオール基」を有する物質を用いることができる。例えば、上述の第一の物質を誘導することができる材料を用いることができる。また、少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する第二の物質についても上述の第二の物質を用いることができる。以下、各工程について詳述する。
【0028】
アルデヒド基を有する第一の物質を形成する工程において、種々の形態・形状を有する「隣接ジオール基を有する物質」を、脱イオン水に浸漬又は懸濁する。ここに、所定量の過ヨウ素酸塩を加え、室温〜80℃の条件下で、数十分〜数時間反応させて、部分酸化させてジアルデヒド基を形成する。ここで、部分酸化の酸化度は、過ヨウ素酸塩の量、反応時間、反応温度を適宜変化させることにより、調節することができる。部分酸化して得られたジアルデヒド基を有する第一の物質は、水洗後、次の工程を行うのがよい。
【0029】
次いで、ジアルデヒド基を有する第一の物質を、少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する第二の物質と反応させる。反応は、例えばジアルデヒド基を有する第一の物質を、第二の物質の溶液(例えば水溶液)に浸漬する方法など、種々の方法によって行うことができる。また、反応条件として、pHを4〜10に調整するのがよい。
【0030】
反応させる第二の物質の量は、第一の物質の量を100重量部とした場合、1重量部〜300重量部の範囲で用いることができる。
アルデヒド基とアミノ基とが反応して得られるイミノ基を介して第一の物質と第二の物質とが結合されて本発明の多価カチオン材料を得ることができる。
反応後、未反応の第二の物質を除去するために、水洗するのが好ましい。
【0031】
所望により水洗を行った本発明の多価カチオン材料は、イミノ基を還元して二級アミノ基とするのがよい。即ち、得られたイミノ基は、可逆反応性を有する。このようなイミノ基を有する多価カチオン材料を水中で保存すると、イミノ基を介して結合している第二の物質が脱離する可能性がある。そのため、イミノ基をさらに還元して二級アミノ基にするのがよい。
【0032】
還元工程は、公知の方法で行うことができるが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBHCN)を5〜20重量%含む水溶液を用いることができる。例えば、このような水溶液に得られた材料を浸漬又は懸濁することにより、イミノ基を還元することができる。
【0033】
本発明の多価カチオン材料は、その特性からアニオン性基を有する化合物、特に多価アニオン物質の吸着剤、イオン交換体として用いることができる。また、本発明の多価カチオン材料の応用はクロマトグラフィー材料に限定されるものではなく、その特性から徐放化剤、凝集剤、染色助剤など、種々の応用が考えられる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
市販のクロマトグラフィー用セルロースゲル(チッソ(株)セルロファインGC700sf。荷電基なし)の水懸濁液(固形分:6.7%)150mLを用意した。この水懸濁液に過ヨウ素酸ナトリウムをそれぞれ0.066g、0.132g、0.33g、0.66g、1.32gを加えて、各々酸化度0.5%、1%、2.5%、5%、10%の部分酸化セルロース懸濁液A−1〜A−5を調製した。
【0036】
懸濁液A−1〜A−5とは別に、ポリアリルアミン(日東紡(株)製、平均分子量5000)を含むpH5の溶液B−1及びpH7の溶液B−2を調製した。なお、pHの調節は塩酸を滴下して行った。懸濁液A−1〜A−5の2倍重量の溶液B−1又は溶液B−2を、懸濁液A−1〜A−5にそれぞれ加えて4時間、イミン形成反応を行った。得られた生成物を水洗して未反応ポリアリルアミンを除去した後、セルロース重量に対して約9.3重量%のNaBHで還元して、二級アミノ基を有する本発明の多価カチオン材料X−1〜X−5及びX−6〜X−10を得た。表1に、これらの多価カチオン材料の原料を簡単にまとめた。
【0037】
【表1】
Figure 0003861282
【0038】
得られた材料X−1〜X−10について、窒素量を調べた。その結果を図1に示す。図1のグラフ中、縦軸は、ポリアリルアミン由来の窒素の量を示す。また、横軸は、酸化セルロース中のジアルデヒド基の量を示す。図1から、窒素量はセルロースの酸化度と比例関係にないことがわかる。これは、ポリアリルアミンとの結合箇所が少なくても、得られる材料は、ポリアリルアミン由来のカチオン基を多量に保有することができることを示している。
【0039】
材料X−3、X−4及びX−5をカラムに充填してイオン交換クロマトグラフィーを行い、1価カルボン酸(安息香酸)及び2価カルボン酸(フタル酸)に対する保持係数を求めた。比較として、市販のDEAEセルロースゲルY−1(チッソ(株)社製Cellulofine A-500m)についても同様に保持係数を求めた。イオン交換クロマトグラムの各条件は以下の通りであった。即ち、カラム:内径6mm×30mm;移動相:0.1Mアセテートバッファ(pH2.5〜5.5。低pH領域は塩酸添加);流速:1mL/分;カラム温度:25℃;UV検出;であった。その結果を図2のグラフに示す。
【0040】
図2を見ると明らかなように、本発明の材料X−3、X−4及びX−5の1価カルボン酸(安息香酸)に対する保持係数は、市販のゲルY−1のそれよりも小さいが、2価カルボン酸(フタル酸)に対する保持係数については、本発明の材料は、低酸化度のもの(X−3)であっても市販のゲルY−1の2倍以上の能力を有する。これは、本発明の材料が多価カチオンに対して高い保持係数を有するであろうことを示唆している。
【0041】
(実施例2)
市販のクロマトグラフィー用セルロースゲル(チッソ(株)セルロファインGCL2000m。荷電基なし)の水懸濁液(固形分:3.3%)150mLを用意した。この水懸濁液に過ヨウ素酸ナトリウム0.066gを加えて、酸化度1%の部分酸化セルロース懸濁液A−6を調製した。
【0042】
懸濁液A−6の2倍量にあたる量のポリアリルアミン(日東紡(株)製、平均分子量5000)を含むpH5の溶液B−1を、懸濁液A−6に加えて4時間、イミン形成反応を行った。得られた生成物を水洗して未反応ポリアリルアミンを除去した後、セルロース重量に対して約9.3重量%のNaBHで還元して、二級アミノ基を有する本発明の多価カチオン材料X−11を得た。
【0043】
材料X−11をカラムに充填してβ−ラクトグロブリンのイオン交換クロマトグラフィーを行った。比較として、市販のDEAEセルロースゲルY−2(チッソ(株)社製Cellulofine A-800m)についても同様に行った。イオン交換クロマトグラムの各条件は以下の通りであった。即ち、カラム:内径6mm×100mm;移動相A:0.05Mアセテートバッファ(pH5.5);移動相B:0.05Mアセテートバッファ/0.6M NaCl(図3の点線で示す0.6M NaClのグラジエント);流速:1mL/分;カラム温度:25℃;280nmでのUV検出;であった。また、用いたβ−ラクトグロブリンは牛乳由来の試薬製品であり、これらを0.05Mアセテートバッファで0.5重量%溶液とした後に、溶出を行った。
【0044】
図3からわかるように、市販のゲルY−2を用いた場合、溶出時間10分〜20分でβ−ラクトグロブリンのA成分及びB成分が溶出し、その分離がほとんど行われていないことがわかる。一方、本発明の材料X−11を用いた場合、溶出時間55分におけるブロードなピーク及び110分辺りのシャープなピークを有することから、β−ラクトグロブリンのA成分及びB成分がそれぞれ分離して溶出されていることがわかる。このように、本発明の多価カチオン材料は、多価アニオンであるβ−ラクトグロブリンのA成分及びB成分を明確に分離することができる。
【0045】
(実施例3)
実施例2と同様に、本発明の材料X−12を得た。但し、X−11において用いた酸化度1%の部分酸化セルロース懸濁液A−6の代わりに、酸化度5%の部分酸化セルロース懸濁液A−7を用いた。
材料X−12をカラムに充填してヒト血清からのアルブミン及び仔ウシ血清からのアルブミンのイオン交換クロマトグラフィーを行った。比較として、市販のDEAEセルロースゲルY−2(チッソ(株)社製Cellulofine A-800m)についても同様に行った。イオン交換クロマトグラムの各条件は以下の通りであった。即ち、カラム:内径6mm×100mm;移動相A:0.05Mアセテートバッファ(pH5.5);移動相B:0.05Mアセテートバッファ/0.3M NaCl(図4の点線で示す0.3M NaClのグラジエント);流速:1mL/分;カラム温度:25℃;280nmでのUV検出;であった。また、用いたヒト血清からのアルブミン及び仔ウシ血清からのアルブミンはそれぞれ試薬製品であり、これらを0.05Mアセテートバッファ(pH5.5)で各々0.25重量%の溶液とした後に、溶出・分離を行った。
【0046】
図4からわかるように、市販のゲルY−2を用いた場合、溶出時間10分〜20分で双方のアルブミンが溶出し、その分離がほとんど行われていないことがわかる。一方、本発明の材料X−12を用いた場合、溶出時間50分におけるピーク及び65分におけるピークから、双方のアルブミンがそれぞれ分離して溶出されていることがわかる。このように、本発明の多価カチオン材料は、多価アニオンである種々のアルブミンを明確に分離することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、強アルカリを用いずに多価カチオン材料を提供することができる。
また、本発明により、上記効果に加えて、又は上記効果の他に、カチオン基を多数有しているにも関わらず、水溶性とはならない多価カチオン材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の材料X−1〜X−10を得るのに用いた酸化度と得られた材料中の窒素量との関係を示すグラフである。
【図2】 1価カルボン酸(安息香酸)及び2価カルボン酸(フタル酸)に対する本発明の材料X−3〜X−5及び従来の材料Y−1の保持係数を示すグラフである。
【図3】 本発明の材料X−11及び従来の材料Y−2のラクトグロブリンのイオン交換クロマトグラムを示すグラフである。
【図4】 本発明の材料X−12及び従来の材料Y−2の2種の血清(ヒト及び仔ウシ)からのアルブミンのイオン交換クロマトグラムを示すグラフである。

Claims (9)

  1. 多糖材料から誘導されるアルデヒド基を含む非水溶性の第一の物質;及び少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する水溶性の第二の物質である合成ポリ(1級アミン)類;を第一の物質の量を100重量部とした場合、第二の物質の量を1重量部〜300重量部の範囲で含有してなる多価カチオン材料であって、前記第一の物質と前記第二の物質とは、前記一級アミノ基のうちの少なくとも1つと前記アルデヒド基とが形成するイミノ(−C=N−)基及び/又は二級アミノ(−CH−NH−)基を介して結合されており、かつ、カチオン基を多数有しているにも関わらず、水溶性とはならない多価カチオン材料。
  2. 前記多糖材料が、セルロース及びその誘導体類、架橋デキストラン、並びにデンプンからなる群から選ばれる1種である請求項1記載の材料。
  3. 前記第一の物質が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有する請求項1又は2記載の材料。
  4. 前記多価カチオン材料が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の材料。
  5. 多糖材料からなる非水溶性の有機高分子物質を過ヨウ素酸塩で酸化してジアルデヒド基を有する非水溶性の第一の物質を形成する工程、及び該第一の物質と少なくとも10個の一級アミノ基をペンダント状に有する水溶性の第二の物質である合成ポリ(1級アミン)類とを第一の物質の量を100重量部とした場合、第二の物質の量を1重量部〜300重量部の範囲で反応させてイミノ基を介して前記第一の物質と前記第二の物質とを結合させる工程を有する、カチオン基を多数有しているにも関わらず、水溶性とはならない多価カチオン材料の製造方法。
  6. 前記結合させる工程後に、イミノ基を還元する工程をさらに有する請求項記載の方法。
  7. 前記多糖材料が、セルロース及びその誘導体類、架橋デキストラン、並びにデンプンからなる群から選ばれる1種である請求項又は記載の方法。
  8. 前記第一の物質が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有する請求項のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記多価カチオン材料が、繊維状、布状、ゲル状、フィルム状、及び微粒子状からなる群から選ばれる少なくとも1種の形状を有する請求項のいずれか1項記載の方法。
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