JP3861256B2 - 廃水の処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、有機物や有害物質等の揮発性物質を含有する廃水の処理方法に関するものである。より詳しくは、揮発性物質を含有する廃水から前記の揮発性物質を含む圧力の高い蒸気を取り出して、焼却炉内に吹き込む廃水の噴霧媒体に利用する処理方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に有機物濃度が稀薄な廃水に対しては、これまでにも活性汚泥処理が用いられているが、高濃度の有機物を含有する廃水の処理方法としては、焼却処理が有効な方法であると考えられている。
焼却処理では、焼却に要する燃料を節減するため、焼却の前処理として廃水を可能なかぎり濃縮することが行われている。
廃水の濃縮には、蒸留法、常圧または減圧蒸発法等が用いられているが、廃水中に有機物や有害物質等の揮発性物質を含有している場合には、発生する蒸気中に前述の揮発性物質が混入するため、これらの物質を含む凝縮液を別途処理することが必要であった。
【0003】
廃液を濃縮して焼却処理する方法において、濃縮装置で発生する廃蒸気を使用して濃縮廃液あるいは助燃用液体燃料の微粒化ならびに噴霧を行うことが、特公昭51−19718号に記載されている。
また、揮発性の有害物質を含有している排水を濃縮して焼却処理する方法において、燃焼用空気と排水を直接接触させ、揮発性有害物質と水分を該空気中に蒸発させてほぼ水蒸気飽和状態の空気として取り出し、これを焼却用装置に供給して、排水や燃料の燃焼の用に供することで、同時に揮発性有害物質を燃焼除去する方法が、特公昭51−35068号に記載されている。
前記の方法では、水蒸気飽和状態の空気の温度が高くなると、水分量が多くなり燃焼が不安定になるため、空気温度を80℃以下として焼却用装置に供給するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、廃水を焼却処理する方法において、廃水の濃縮と焼却処理を効率的に行うと共に、系外へ排出する排水の後処理の負荷を軽減するための処理方法を提供するものである。
しかも、揮発性物質を高濃度に含有する廃水の処理にも適用可能な方法である。
他の目的としては、廃水を焼却炉内に吹き込んで焼却処理する際に必要とされるスチーム等の噴霧媒体の負荷を少なくすることができる処理方法である。
さらには、焼却の前処理として濃縮を行う場合に、何らの制限を与えることなく、効果的な濃縮を可能とする方法である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被処理水を濃縮して濃縮液と凝縮液とし、前記凝縮液を放散塔に導き、加圧下で操作して揮発性物質等を含有する2kg/cm 2 G以上の圧力の高い蒸気を発生させ、前記の圧力の高い蒸気を前記濃縮液の噴霧媒体として使用して、焼却炉内に吹き込んで焼却処理することを特徴とする廃水の処理方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とする廃水としては、廃水のCOD成分を構成する有機物や、シアン類,アミン類等の有毒物質,悪臭物質等を含むもので、廃水を濃縮処理した場合に、蒸気中に移行するような揮発性物質を成分として含んでいるものである。
【0007】
本発明の内容を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に使用することができる焼却処理装置の一例を示すものである。
図中の、焼却炉1は、炉壁が耐火物等で形成されており、炉の上部に燃料2と空気3を導入する配管を備えたバーナー4が設けられている。
焼却処理では、焼却に要する燃料を節減するため、焼却の前処理として廃水を予め濃縮することが行われる。被処理廃水6は、濃縮装置10に供給され、外部から加熱されたりスチーム等により濃縮されて、濃縮液12と発生した蒸気等を冷却した凝縮液11とになる。前記の凝縮液11は、さらに放散塔5に導かれ、加圧下で操作して揮発性物質等を含有する2kg/cm 2 G以上の圧力の高い蒸気7を発生させ、これを濃縮液12の噴霧媒体として使用する。
放散塔5は加圧できる構造で、塔内に導入された凝縮液11を加熱して、前述のような圧力の高い蒸気7を得ると共に、前記凝縮液中に含まれている揮発性物質等をストリッピングするものである。放散塔5で得られた揮発性物質等を含有する圧力の高い蒸気7は、配管を経由してスプレーノズル9に送られ濃縮液12の噴霧媒体として使用される。濃縮液12は、スプレーノズルから焼却炉1内に噴霧・供給することにより、廃水の成分の熱分解等の反応と、有機物の焼却が行われる。
一方、放散塔5から排出される排水は、二度にわたって揮発性物質を放散させて、冷却・凝縮した結果残されたものであるから、質、量共に改善されるので、後段の活性汚泥等の処理がし易くなり、場合によってはそのまま放流できる程度にまで浄化されることになる。
【0008】
本発明の方法によって炉内に供給される濃縮された廃水は、焼却処理により分解・反応して無害化され、焼却炉からの排ガスは、焼却炉の出口を通り水スクラバーや除害塔を通して常法により冷却・除塵されてから排出される。
排ガス中に、さらにHCl,SO2等の酸性ガスが存在する場合には、常法によりそれらを吸収除去してから大気中へ放出するようにする。
そのような一例として、図1では焼却炉の出口に続いて、液中燃焼缶を設置しておき、高温の排ガスがダウンカマーチューブを経て液中燃焼缶内の液中に吹き込まれ冷却・除塵される形式を示したが、本発明で用いる焼却炉は、これに限らずいろいろの形式のものを用いることが可能である。
【0009】
前述の濃縮装置に供給する廃水6と異なる別種の廃水を、焼却炉1内に噴霧するようにしてもよい。
これは、廃水には様々なものがあり、含まれている揮発性物質が容易に放散でき、その濃度が低く、濃縮・放散工程を経て系外へ放出される排水が直接放流可能な程度にまで清浄化されるようなケースでは、揮発性物質が少ない廃水を直接に焼却炉内に噴霧するようにし、両者を組み合わせることにより、本発明による効果が顕著に現われるからである。
すなわち、前記のようなケースでは、性状の異なる廃水を同時に処理することができ、焼却処理すべき廃水の量を低減できることから、廃水を高温度で焼却処理する際には、廃水に含まれている大量の水も同時に蒸発させ高温にすることになるので、これに要する燃料を節減することにつながり、省エネルギーになる。さらに、放散塔5の下部から排出される排水は、揮発性物質が少なくなりCOD値等も減少するために、放流に要する後処理の負荷を軽減することができる。
【0010】
濃縮装置10において生ずる揮発性物質等を含んだ凝縮液11は、放散塔5で再蒸発させ発生する蒸気を濃縮液12の噴霧媒体として使用することにより、凝縮液に含まれた揮発性物質を濃縮液と共に焼却することができ、廃水の濃縮の際の凝縮液を別途処理するための負荷を低減することになる。また、放散塔5からの排水は質、量共に改善され、後段の活性汚泥等の処理がし易くなる。
濃縮装置10において生ずる凝縮液11は、必ずしも全量を放散工程にて処理しなければならないわけではなく、全体のマスバランスや熱エネルギー等を考慮して、凝縮液の一部を放散工程に回すようにしてもよいし、一部を放散工程で循環させるようにしてもよい。
【0011】
また、廃水の濃縮操作においては、熱源を効果的に使用したり、廃熱を利用することが多く、前者としてはスチームによる多重効用濃縮、後者としては液中燃焼排ガス等のような100℃以下の排ガスのごとく低位の熱源が用いられるケースがある。このような場合には、濃縮時に発生する蒸気は大気圧以下であり、これを廃水等の噴霧源として直接使用することは困難であるが、本発明の場合には、それらの蒸気を一旦凝縮液としてから、別途放散塔に導入して2kg/cm 2 G以上の圧力の高い蒸気として使用するため、前処理の濃縮操作に関して、何らの制限を与えるものではなく、効果的な濃縮を保証することができる。
すなわち、これまで濃縮が困難とされていた揮発性成分を含む廃水でも濃縮対象とすることができるし、前述のごとき省エネルギー的濃縮方法や低位の熱源を利用した濃縮にも対応が可能である。そして、前段の濃縮工程と後段の放散工程を組み合わせることで任意の濃縮倍率を設定することができる。
例えば焼却処理による熱を有効利用して、濃縮工程に活用した例が図2であり、図1に示した装置の濃縮装置10に、焼却処理による温度の高い冷却水または排ガスを送りこみ濃縮処理に利用しているケースである。
すなわち、焼却炉1の下部に設けられている冷却水に高温の排ガスが吹き込まれ冷却・除塵された際に、冷却水の温度が高くなり、排ガスも温度が高いので、これらの冷却水や排ガスを濃縮装置10に導いて熱交換を行い濃縮に利用するものである。廃水の濃縮と焼却処理は、原則的には図1における方法と同様である。
【0012】
本発明において噴霧媒体として使用する蒸気の圧力は、2kg/cm2G以上、好ましくは3〜15kg/cm2G、より好ましくは3〜10kg/cm2Gの範囲とすることがよい。これは、放散塔5で圧力の高い蒸気を発生させて、濃縮液の噴霧媒体として使用するためには、少なくとも2kg/cm2G以上とすることが必要であり、上限は装置としてあまり大型なものとならない程度に抑えるためである。
ノズルの構造や噴霧粒径等によって異なってくるが、噴霧媒体は噴霧流体の10〜30wt%の範囲とすることが一般的である。噴霧媒体が過剰となると、燃料の使用量が増大する。また、不足すると噴霧粒子の径が大きくなり、燃焼性が悪くなる。
本発明では、放散塔5で発生させた蒸気を、濃縮液の噴霧媒体として使用して焼却炉1内に吹き込み焼却処理しているが、上述のような蒸気の圧力範囲では、水蒸気の飽和温度が140〜190℃程度で比較的高い温度であると共に、別途焼却炉内では焼却処理のために高温を維持するように燃料が空気と共に吹き込まれて燃焼域を形成しているので、安定した燃焼を維持することができる。
【0013】
【実施例】
実施例1
図2の装置を用いて、ケトン類を含むCOD約20,000ppmの廃水Aを焼却処理した。
廃水Aは濃縮装置10に供給され、焼却炉1の下部に液中燃焼缶を設置しておき、高温の燃焼ガスがダウンカマーチューブを経て液中燃焼缶内に吹き込まれ90℃水分飽和となった排ガス13を使用して、減圧下で2分の1まで濃縮した。前記の濃縮工程により、濃縮液12と発生した蒸気等を冷却した濃縮液11とに分離した。このとき得られた凝縮液11のCODは、約5,000ppmであった。
放散塔5へ前記の凝縮液11を導入し、放散塔内の操作圧力を5kg/cm2Gで、高圧スチームにより前記凝縮液を間接加熱して、凝縮液中に含まれている揮発性物質等をストリッピングし、前記凝縮液11の20%相当を圧力5kg/cm2G,約150℃の蒸気7とした。前記の蒸気7は、配管を経由してスプレーノズル9に送られ前述の濃縮液12の噴霧媒体として使用し、焼却炉1内に濃縮液12と共に噴霧・供給した。焼却炉1は、その上部より燃料の灯油と空気を送りこみ、950℃で焼却処理を行った。
放散塔5の下部から排出された排水は、COD約1,000ppmに低減しており、十分活性汚泥処理にて処理することが可能な程度に浄化されていた。
一方、焼却炉内に噴霧・供給した濃縮液12は、焼却処理により有機物はほとんど完全に分解され、焼却炉からの排ガスは液中燃焼缶を通り冷却・除塵されてから排出された。
【0014】
【発明の効果】
本発明により、揮発性物質を含有する廃水を焼却処理する方法において、焼却処理を効率的に行うと共に、系外へ排出する排水の後処理の負荷を軽減することができる。このため、後処理までを含めて考えれば、廃水を焼却処理する場合に、濃縮、焼却、後処理を有機的に結合し、トータルの省エネルギーを図りながら、焼却をミニマム化するシステムの一環をなすものである。
そして、揮発性物質を高濃度に含有する廃水の処理に適用しても効果的な方法である。
廃水を焼却炉内に吹き込んで焼却処理する際に必要とされるスチーム等の噴霧媒体の負荷を少なくすることができる処理方法である。このため、廃水を焼却処理するために新たにスチーム源が必要であったり、スチーム量が不足するような現場でも適用可能である。
さらには、焼却の前処理として濃縮を行う時にも、単純に濃縮した場合には濃縮限界が低い場合にも、揮発性物質を別途処理して少なくできるため、濃縮限界を高めることができ、効果的に濃縮を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための装置の一例を示したものである。
【図2】本発明を実施するための装置の一例で、焼却処理による熱を廃水の濃縮工程に利用する場合の説明図である。
【符号の説明】
1 焼却炉
2 燃料
3 空気
4 バーナー
5 放散塔
6 廃水
7 蒸気
9 スプレーノズル
10 濃縮装置
11 凝縮液
12 濃縮液
13 排ガス
Claims (1)
- 被処理水を濃縮して濃縮液と凝縮液とし、前記凝縮液を放散塔に導き、加圧下で操作して揮発性物質等を含有する2kg/cm 2 G以上の圧力の高い蒸気を発生させ、前記の圧力の高い蒸気を前記濃縮液の噴霧媒体として使用して、焼却炉内に吹き込んで焼却処理することを特徴とする廃水の処理方法。
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JP23219198A Expired - Fee Related JP3861256B2 (ja) | 1998-07-15 | 1998-07-15 | 廃水の処理方法 |
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