JP3860110B2 - カーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置 - Google Patents

カーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置に関し、さらに詳しくは、カーボンナノファイバーを下から上へと搬送しつつ加熱処理することにより高結晶性のカーボンナノファイバーを製造することのできるカーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
気相成長炭素繊維は、結晶性が高いほど、炭素六角格子面が年輪状に配向して、優れた特性を示すことが知られている。また気相成長炭素繊維は、黒鉛化すると、結晶性が向上する。
【0003】
気相成長炭素繊維の中で、直径が1〜100nmである細い気相成長炭素繊維は、特にカーボンナノファイバーと称されている。カーボンナノファイバーは、黒鉛網面が年輪状に繊維軸を取り巻いて成り、中空形状である場合には、別にカーボンナノチューブとも称されている。
【0004】
したがってカーボンナノファイバーも、結晶性が大きいほど、好ましい性質を発現すると期待され、特に黒鉛化されたカーボンナノファイバー、すなわち黒鉛化カーボンナノファイバーはその期待が大きい。カーボンナノファイバーは、製造された段階である程度黒鉛化されている場合があるが、その結晶性をさらに高めるために、製造されたカーボンナノファイバーに後処理として黒鉛化処理を施すこともある。黒鉛化されたカーボンナノファイバーは、特に、その繊維径が小さいことから、これを含有する複合材料を形成したときにその複合材料の導電性を著しく向上させたり、先端放電特性を向上させたりするという好ましい性質が発現すると考えられる。
【0005】
黒鉛化処理においては、カーボンナノファイバーを加熱炉に搬送する必要がある。搬送する方式として、カーボンナノファイバーを収容した容器を加熱炉内に搬送する方式がある(特許文献1)。しかしながら、容器にカーボンナノファイバーを収容してこれを加熱する方式は、カーボンナノファイバーが少量であるときには都合がよいが、容器も同時に加熱するので、熱エネルギーのロスがある。特に嵩密度が小さいカーボンナノファイバーでは容器に入るカーボンナノファイバーの重量が非常に少ないので、加熱の際の熱エネルギーは殆ど容器の加熱に消費されてしまう。
【0006】
【特許文献1】
特許第2744617号公報、特許請求の範囲
また、カーボンナノファイバーを圧縮成形し、得られた圧縮成形体であるカーボンナノファイバーを加熱炉に搬送し、黒鉛化する方式が提案されている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献2】
特開平9−132846号公報、特許請求の範囲、【0004】、【0019】、【0020】、【0021】、【0022】、【0023】
しかしながら、カーボンナノファイバーを圧縮してしまうので、得られた黒鉛化カーボンナノファイバーは嵩密度が大きくなってしまい、その結果として、マトリクス例えば樹脂に分散させる場合に、その分散性が悪くなるという問題がある。
【0008】
カーボンナノファイバーを圧縮することなく加熱炉内にカーボンナノファイバーを搬送する方式として、加熱炉内に水平に配置されたスクリューコンベアによってカーボンナノファイバーを加熱炉内に送り込むことが、考えられる。この水平に配置されたスクリューコンベアを利用する方式は、カーボンナノファイバーを圧縮することがないので、カーボンナノファイバー圧縮による前記問題点を有してはいないが、加熱炉内に水平に配置されたスクリューコンベアが高温度に加熱されることによりスクリューコンベアの軸線中心部がその両端に比べて下方に撓むという現象が生じる。スクリューコンベアが下方に撓むと、加熱炉と駆動するスクリューコンベアとが接触してしまい、その結果、接触により微粉末が生じてこれが不純物と成るといった問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記問題点を解決することを目的とする。即ち、この発明の目的は、圧縮されず、したがって嵩密度が大きく成らないでマトリクスに対する分散性に優れ、高結晶化したカーボンナノファイバーを製造することのできるカーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためのこの発明は、気相成長法により製造されたカーボンナノファイバーを、縦方向に立設された黒鉛製の筒状ケーシングとこの筒状ケーシング内に装填された黒鉛製の回転可能なスクリューとを備えて成るスクリューコンベアを用いて、下方から上方へと移送する移送手段と、前記カーボンナノファイバーを前記移送手段で下方から上方へと移送しながら加熱処理して前記カーボンナノファイバーの黒鉛化処理を行う黒鉛化処理手段とを有して成り、前記黒鉛製の筒状ケーシングの内壁面は、その算術的平均粗さRaが5.5〜100であり、その最大高さRmaxが大きくとも800であり、好適には47.6〜800であり、前記黒鉛製のスクリューの表面は、その算術的平均粗さRaが大きくとも10であり、好適には0.01〜10であり、その最大高さRmaxが大きくとも100であり、好適には0.1〜100であることを特徴とするカーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に示されるように、この発明の一具体例であるカーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置(以下において、単に「黒鉛化処理装置」と称する。)1は、原料ホッパー2と、第1置換室3と、貯留室4と、第1スライドゲート弁5と、第2スライドゲート弁6と、第1筒状ケーシング7と、第1スクリュー8と、第1スクリュー回転用モーター9と、縦型筒状ケーシング10と、縦型スクリュー11と、第2スクリュー回転用モーター20と、高周波コイル12と、第2筒状ケーシング13と、第2スクリュー14と、第3スクリュー回転用モーター15と、第2置換室16と、第3スライドゲート弁17と、第4スライドゲート弁18と、製品排出部19とを備えて成る。なお、この例においては、縦型筒状ケーシング10と、縦型スクリュー11と、第2スクリュー回転用モーター20とで移送手段が形成され、加熱手段は高周波コイル12を含んで形成される。
【0012】
原料ホッパー2は、カーボンナノファイバー製造装置により製造されたカーボンナノファイバーを収容するホッパーである。
【0013】
なおここで、カーボンナノファイバー製造装置としては、例えば、特開平8−301699号公報に記載された図1、特開平11−107052公報に記載された図1、公開2000−178835公報に記載された図1、特開2001−73231号公報に記載された図2、公開2001−115348に記載された図1等に示される装置を挙げることができる。これらのカーボンナノファイバー製造装置では、有機遷移金属化合物と炭素源化合物とを用いて気相成長法でカーボンナノファイバーを製造することができる。
【0014】
前記有機遷移金属化合物としては、例えば特開昭60−54998号公報の第3頁左上欄第9行〜同頁右上欄最下行に記載の有機遷移金属化合物、特開平9−324325号公報の段落番号[0059]に記載された有機遷移金属化合物、特開平9−78360号公報の段落番号[0049]に記載された有機遷移金属化合物等を挙げることができ、これら有機遷移金属化合物と共に助触媒として使用することができる化合物として、特開平9−78360号公報の段落番号[0051]、並びに特開平9−324325号公報の段落番号[0061]に記載された含硫黄複素環式化合物及び硫黄化合物を挙げることができる。
【0015】
前記炭素源化合物としては、熱分解により炭素を発生させて炭素繊維質物例えば気相成長炭素繊維、特にカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブを生成させることができる化合物であれば特に制限がなく、特開昭60−54998号公報の第2頁左下欄第4行〜同頁右下欄第10行に記載された炭素化合物、特開平9−324325号公報の段落番号[0060]に記載された有機化合物、特開平9−78360号公報の段落番号[0050]に記載された有機化合物等を挙げることができる。
【0016】
この発明の一実施例である黒鉛化処理装置において、前記原料ホッパー2の下端には、第1置換室3が結合される。
【0017】
すなわち、この第1置換室3は、原料ホッパー2の下端開口に、縦方向に延在するように設けられている。第1置換室3は、その上端部に第1スライドゲート弁5を、及び下端部に第2スライドゲート弁6を有する。第1置換室3は、第1スライドゲート弁5及び第2スライドゲート弁6を閉ざすことにより、第1スライドゲート弁5と第2スライドゲート弁6とで挟まれる部分に密閉空間である第1置換室3を形成する。この第1置換室3は、図示しないガス出入口から、炭素及び酸素に対して不活性な、例えばアルゴン等の特定のガスを送入することによって、特定のガス雰囲気にすることができる。ガス置換に際しては、この第1置換室3内を一旦高真空にした後、新しいガス、特に前記不活性ガスを導入する方法が採用される。
【0018】
貯留室4は、不活性ガスに置換された雰囲気下にあるカーボンナノファイバーを一時的に貯蔵し、第1スクリュー8に順次にカーボンナノファイバーを供給する貯蔵容器として機能する。この貯留室4もまた、図示しないガス出入口から、炭素及び酸素に対して不活性な、例えばアルゴン等の特定のガスを送入することによって、特定のガス雰囲気にすることができる。
【0019】
第1筒状ケーシング7は、その内部に、第1スクリュー回転用モータ9に結合された第1スクリュー8を装填する。第1筒状ケーシング7は、前記貯留室4の下端開口部から第1筒状ケーシング7内にカーボンナノファイバーを受け入れることができるように、貯留室4の下端に結合される。第1筒状ケーシンン7の下端は、縦型筒状ケーシング10の下端に結合され、第1筒状ケーシング7内のカーボンナノファイバーが縦型筒状ケーシング10の下部に送り込まれるようになっている。
【0020】
図1においては、第1筒状ケーシング7は水平に配置された状態として示されているが、この発明においては、この第1筒状ケーシング7は、貯留室4の下端から縦型筒状ケーシング10の下部に向かって傾斜するような斜め配置であっても良い。
【0021】
縦型筒状ケーシング10は、その内部に第1スクリュー8を装備し、第2スクリュー回転用モーター20の駆動力により回転する第1スクリュー8によって、送り込まれてきたカーボンナノファイバーを下方から上方へと移送する。
【0022】
縦型筒状ケーシング10の外周には、断熱材21が外装される。又、この縦型筒状ケーシング10の縦方向における中心部には高周波コイル12が倦回される。この高周波コイル12に通電すると、黒鉛製の縦型筒状ケーシング10が所定温度に加熱され、黒鉛製の縦型筒状ケーシング10の発熱によりその内部が加熱され、一方、加熱された縦型筒状ケーシング10から発せられる熱は断熱材21により外部に放熱しないようになっている。
【0023】
前記高周波コイル12に通電することによる、縦型筒状ケーシング10内の加熱温度は、通常、1600〜3000℃、好ましくは2500〜3000℃の範囲内である。このような温度範囲に加熱すると、屈曲した黒鉛化カーボンナノファイバーの生成が少なくなる。屈曲のない黒鉛化カーボンナノファイバーは樹脂と混合して導電性部材を得ようとする場合、導電性の低下と言った問題の発生が少ない。したがって、導電性と言う観点からすると前記加熱温度に調節するのが好ましいと言える。また、前記温度に加熱すると、カーボンナノファイバーに付着するところの、タール成分及び未分解のまま残存する有機遷移金属化合物も除去することができ、不純物が極めて少なくて高結晶性の黒鉛化カーボンナノファイバーが製造される。
【0024】
縦型筒状ケーシング10内で、特に高周波コイル12で加熱される加熱帯域でカーボンナノファイバーを加熱する加熱時間は、カーボンナノファイバーの結晶構造が変化できる時間を必要とするので、0.5〜60分間、特に1〜30分間であることが好適である。
【0025】
なおここでいう「黒鉛化処理」とは、完全な黒鉛結晶構造を得ることを目的とする処理ではなく、高結晶化構造を得ることを目的とする処理である。
【0026】
この発明において重要なことは、この縦型筒状ケーシング10が、黒鉛製であることである。縦型筒状ケーシング10が黒鉛製であると、カーボンナノファイバーを3000℃の高温にまで加熱することができ、高結晶化構造のカーボンナノファイバを得ることができる、という技術的効果が奏される。この縦型筒状ケーシング10が例えば石英製であると、石英の軟化点は1500℃であるので、その温度以下ではカーボンナノファイバーが結晶化しない、といった不都合を生じて、上記技術的効果が達成され得ない。
【0027】
この縦型筒状ケーシング10は、好適には、その内壁面の算術的平均粗さRaが1.0〜100であり、その最大高さRmaxが10〜800である。算術的平均粗さRaが前記下限値よりも小さいとカーボンナノファイバーを縦型筒状ケーシング10の下部から上部へと搬送する搬送距離が高々1m程度であり、工業的に実施可能な黒鉛化処理装置とすることができないことがあり、また前記上限値よりも大きいと表面が欠け落ちやすくなり、製造物であるカーボンナノファイバーに欠落片が混入する等の不都合を生じる。縦型筒状ケーシング10の内壁面の最大高さRmaxが前記下限値よりも小さいとカーボンナノファイバーを縦型筒状ケーシング10の下部から上部へと搬送する搬送距離が高々1m程度であり、工業的に実施可能な黒鉛化処理装置とすることができず、また前記上限値よりも大きいと表面が欠け落ちやすくなり、製造物であるカーボンナノファイバーに欠落片が混入する等の不都合を生じる。この発明における好適な態様の黒鉛化処理装置においては、黒鉛製である縦型筒状ケーシング10の内壁面の算術的平均粗さRa、及びその最大高さRmaxがいずれも上記範囲内にあることが、重要なのである。
【0028】
この発明において重要なことの他の一つは、黒鉛製のスクリューの表面は、その算術的平均粗さRaが大きくとも10、好ましくは0.01〜10であり、その最大高さRmaxが大きくとも100、好ましくは0.1〜100である。スクリュー表面の前記算術的平均粗さRa及び最大高さRmaxの何れか又は両方が前記上限値を超えると、スクリュー表面とカーボンナノファイバーとの摩擦力が大きくなって、カーボンナノファイバーを縦型筒状ケーシング内を下から上へと搬送することができなくなる。一方、スクリュー表面の前記算術的平均粗さRa及び最大高さRmaxを前記下限値よりも小さくすることは、この出願時点における工業的技術では困難であると発明者は認識する。もっとも、技術の進歩によって、又はこの発明者の認識を越えた範囲において、スクリュー表面の前記算術的平均粗さRa及び最大高さRmaxを前記下限値よりも小さくすることが可能であれば、前記算術的平均粗さRa及び最大高さRmaxが前記下限値よりも小さいスクリューを使用することは、この発明において問題がなく、好適である。この発明においては、縦型筒状ケーシング10の内壁面の算術的平均粗さRa、及びその最大高さRmaxがいずれも上記範囲内にあることと相俟って、スクリュー表面の算術的平均粗さRa、及びその最大高さRmaxが上記上限値迄の値を有することにより、この発明の目的をよく達成することができる。
【0029】
なおここで、前記算術的平均粗さRaは、対象物の表面粗さを東京精密(株)製の表面粗さ測定器(sufcom型式E-MD-S59A)を用いて測定して得られる粗さ曲線からその中心線の方向に沿って測定長さaの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸とし、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次の式によって求められる値をμmで表した値として定義される。
【0030】
Ra=(1/a)∫ |f(x)|dx
前記最大高さRmaxは、前記表面粗さ測定器を用いて測定して得られる断面曲線から標準長さだけを抜き取った部分の平均線に平行な二直線で抜き取り部分を挟んだとき、この二直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定して、この値をμmで表した値であると、定義される。
【0031】
前記縦型筒状ケーシング10に装填される縦型スクリュー11もまた、その材質が黒鉛製である。縦型スクリュー11が黒鉛製であると、通電された高周波コイルによる誘導加熱が可能になる。また、1600℃以上の温度で使用できる材料は黒鉛以外にはない。特に強度を高くするために、黒鉛繊維で強化した黒鉛複合材料、高純度黒鉛など、黒鉛の範疇で適当な黒鉛材料を選んで、縦型スクリュー11を形成することができる。
【0032】
縦型スクリュー11の構造としては、標準的な一重の羽根スクリューの他、例えば二重羽根スクリュー、パドル付きスクリュー、カットフライトスクリュー又はリボンスクリューと同様の構造であってもよい。
【0033】
縦型スクリューコンベア11において、ピッチtと回転軸径dと羽根外径dとの関係が、t/d=0.1〜20、d/d=0.05〜0.8であり、スクリューコンベア3の最外部と縦型筒状ケーシング10との距離が1〜30mmであると、カーボンナノファイバーの嵩密度が大きくなることなく、縦型筒状ケーシング10内を下から上へと送り上げることができるので好ましい。
【0034】
というのは、縦型スクリュー11を回転させると、カーボンナノファイバーは、縦型スクリュー11の移動方向に対して斜め方向に力を受けるので、カーボンナノファイバーに作用する力が緩和され、またカーボンナノファイバーは、小さな塊を形成して縦型筒状ケーシング10内で螺旋軌道を描いて、場合によっては転がりながら移行するので、移行時に局所的に大きな力を受けることもない。したがって前記カーボンナノファイバーは、全体として嵩密度が大きくなることがなく、また局所的にも嵩密度が大きくなることがない。例えば縦型スクリュー11によりカーボンナノファイバーの移送を行うと、カーボンナノファイバーの前記塊は、嵩密度が0.1g/cm以下であり、繊維間の固着は起こらない。
【0035】
上述したことから理解できるように、縦型筒状ケーシング10内で、縦型スクリュー11の回転によりカーボンナノファイバーを下方から上方へと円滑に上昇させるもっとも好ましいのは、縦型筒状ケーシング10内表面及びスクリューをいずれも黒鉛製とし、しかも縦型筒状ケーシング10内表面及びスクリュー表面の算術的平均粗さRa、及びその最大高さRmaxを前記数値範囲内とすることである。
【0036】
この縦型筒状ケーシング10の上部には、カーボンナノファイバー及び黒鉛に対して不活性である不活性ガスが導入される不活性ガス導入手段(図示せず。)が設けられ、縦型筒状ケーシング10の下部には不活性ガスが排出される不活性ガス排出手段(図示せず。)が設けられている。
【0037】
この発明における黒鉛化処理装置においては、第2筒状ケーシング13は、その一端を縦型筒状ケーシング10の上端部に結合し、縦型筒状ケーシング10の上部に送り挙げられたカーボンナノファイバーが第2筒状ケーシング13内に送り込まれるようになっている。この実施例においては、第2筒状ケーシング13は、実質的に水平に配置されているが、場合によっては、その入口側が出口側よりも上位になるように傾斜して設置されていても良い。この第2筒状ケーシング13内には、第2スクリュー14が内装され、この第2スクリュー14は第3スクリュー回転用モーター15により回転駆動するようになっている。
【0038】
一方、第2置換室16は、第2筒状ケーシング13内で第2スクリュー14により送られてきたカーボンナノファイバーを受けて一時貯蔵する容器である。この第2置換室16は、その上方からカーボンナノファイバーを受け入れる。前記第2筒状ケーシング13の一端部に設けられたところの、下方に向かって開口する下端開口部と第2置換室16の上部開口部とが、連通可能に結合される。もっとも、第2筒状ケーシング13の下端開口部と、第2置換室16の上部開口部との間には、第3スライドゲート弁17が開閉可能に介装される。また、この第2置換室16の下部には、第3スライドゲート17を介して、製品排出部19が設けられている。
【0039】
この第2置換室16は、図示しないガス出入口から特定のガスを送入することによって、特定のガス雰囲気にすることができる(一般に、ガス置換に際しては、この貯留室41を一旦真空にした後、新しいガス特に不活性ガスを導入する方法が採用される。)。
【0040】
製品排出部19は、縦型筒状ケーシング10内で生成された黒鉛化カーボンナノファイバーを排出する部位である。
【0041】
以下にこの黒鉛化処理装置の作用について説明する。
【0042】
第1スライドゲート弁5及び第4スライドゲート弁18を閉鎖し、第2スライドゲート弁6及び第3スライドゲート弁17を開放する。第1置換室3、貯留室4、第1筒状ケーシング7、縦型筒状ケーシング10、第2筒状ケーシング13、第2置換室16の内部を不活性ガスで置換して、酸素が実質的に含まれない雰囲気にする。
【0043】
原料ホッパー2内に、カーボンナノファイバー製造装置で製造されたカーボンナノファイバーが投入される。第1スライドゲート弁5を開けると共に第2スライドゲート源6を閉鎖する。原料ホッパー2内に貯留されているカーボンナノファイバーを第1置換室3内に移行させる。第1スライドゲート弁5を閉じる。図示しないガス導入口から第1置換室3内に不活性ガスを導入し、第1置換室3内の気体を不活性ガスで置換する。第1置換室3内を不活性ガスで十分に置換した後に、第2スライドゲート弁6を開放して、第1置換室3内に貯留されているカーボンナノファイバーを貯留室4に落とし込む。
【0044】
第1スクリュー回転用モーター9を駆動することにより、第1スクリュー8を回転させる。第1スクリュー8の回転により、第1筒状ケーシング7の一端開口部を通じて貯留室4内から第1筒状ケーシング7内に投入されたカーボンナノファイバーが、第1筒状ケーシング7の一端から縦型筒状ケーシング10の下端部に移送される。第1筒状ケーシング7内では、第1スクリュー8の回転作用により、カーボンナノファイバーは繊維塊となって、移動する。
【0045】
縦型筒状ケーシング10の下部に移動したカーボンナノファイバーは、縦型スクリュー11の回転運動により、縦型筒状ケーシング10の下部から上部へと上昇移動する。この縦型スクリュー11の回転運動によるカーボンナノファイバーが上昇していく上昇運動の一般的原理は、以下のとおりと考えられる。
【0046】
水平に配置された横型のスクリューコンベアが粉体を搬送する基本原理は、粉体とスクリューコンベアを収容するケーシングの内壁との間の抵抗力である摩擦抵抗力が粉体とスクリュー羽根との間の摩擦力よりも大きいことである。粉体とケーシングとの間の抵抗力が粉体とスクリュー羽根との間の摩擦力より小さい場合には、粉体はスクリュー羽根と共に回転して搬送されることは、ない。
【0047】
この基本原理は縦方向に配置された縦型スクリューについても当て嵌まる。図2に示されるように、ケーシング21内に装填されているスクリューコンベア22の羽根に存在する粉体23が回転しようとする力Bに対向する力Aが存在しないと、粉体は上方に向かって搬送されにくい。この発明における縦型筒状ケーシングにおいては、その内壁面の算術的平均粗さRa、及びその最大高さRmaxがこの発明で規定する範囲内にあるので、ケーシングの内壁面の摩擦力が、カーボンナノファイバーが回転しようとする力Bに対向する十分な力Aとなる。したがって、縦型筒状ケーシング10内で縦型スクリュー11を回転させると、カーボンナノファイバーが縦型筒状ケーシング10内を上昇していく。
【0048】
また前記力Bとして、縦型筒状ケーシング10の下部に移送されてきたカーボンナノファイバーの圧力も作用する。したがって、この発明に係る黒鉛化処理装置においては、縦型筒状ケーシング10の下部に送られてくるカーボンナノファイバーの圧力は、前述した数値範囲内にあるのが、好ましい。
【0049】
第2スクリュー回転用モーター20を駆動させ、縦型スクリューコンベア11を回転させることによって、縦型筒状ケーシング10の最下部に供給されたカーボンナノファイバーは、縦型筒状ケーシング10内を上昇する。上昇するカーボンナノファイバーが、高周波コイル12を倦回している部分に到達すると、高周波コイルの通電により加熱された縦型筒状ケーシング10により、1600〜3000℃に加熱される。この熱処理により、カーボンナノファイバーは黒鉛化され、黒鉛化カーボンナノファイバーになる。この黒鉛化カーボンナノファイバーは、さらに縦型筒状ケーシング10内を上昇して第2筒状ケーシング13に至る。第3スクリュー回転用モーター15の駆動により回転する第2スクリュー14によって、黒鉛化カーボンナノファイバーが第2筒状ケーシング13内を移動する。第2筒状ケーシング13の端部において、黒鉛化された黒鉛化カーボンナノファイバーが、開放されている第3スライドゲート弁17を通過して、第2置換室16に落下する。このとき、第4スライドゲート弁18は、閉鎖されている。したがって、所定時間が経過すると、第2置換室16に黒鉛化カーボンナノファイバーが所定量蓄積される。所定量の黒鉛化カーボンナノファイバーが第2置換室16に蓄積されると、第3スライドゲート弁17を閉鎖するとともに、第4スライドゲート弁18を開放することによって、第2置換室16内の黒鉛化カーボンナノファイバーを、製品排出部19を通して取り出す。
【0050】
【実施例】
(実施例1、比較例1,2)
この実施例では、黒鉛製の縦型筒状ケーシング及びそれに内装された縦型スクリューを備えた縦型スクリューコンベアにおけるカーボンナノファイバーの搬送能力を明らかにした。
【0051】
縦型筒状ケーシング及び縦型スクリューの諸元を以下に示した。
【0052】
縦型筒状ケーシング
材質:黒鉛製、
内壁面の表面粗さ:表1参照
縦方向長さ:2.5m
外径:140mm
内径:108mm
縦型スクリュー
材質:黒鉛製、
ピッチt:100mm、
回転軸径d:52mm、
羽根外径d:106mm、
t/d=0.94、
/d=0.49、
縦型筒状ケーシングの内壁面は、バフによる鏡面仕上げ、研削による機械研磨仕上げ、♯50のサンドペーパによるサンドペーパ仕上げを行った。
【0053】
縦型ケーシングの下部に、嵩密度0.005g/mlのカーボンナノファイバーを装填し、スクリュー回転用モータを駆動することにより、縦型スクリューを5rpmの回転速度で回転させた。縦型スクリューの回転によりカーボンナノファイバーが縦方向のどのくらいの高さまで搬送されたかを判定した。
【0054】
搬送結果を表1に示した
【0055】
【表1】
Figure 0003860110
【0056】
(実施例2)
この実施例は、この発明に係る黒鉛化処理装置によると、嵩密度を大きくすることなく縦型のスクリューコンベアを用いて高結晶性のカーボンナノファイバーを製造することができたことを示す。
【0057】
図1に示される黒鉛化処理装置であって、前記実施例1で示される縦型筒状ケーシング及び縦型スクリューを備えて成るスクリューコンベアを備えた黒鉛化処理装置を使用した。
【0058】
高周波コイルに縦型筒状ケーシング内を2200〜2300℃に加熱した。
【0059】
嵩密度が0.006g/mlであるカーボンナノファイバーを原料ホッパー2に投入し、前記実施例1と同様の回転速度でカーボンナノファイバーを縦型筒状ケーシング10の下部から上部へと搬送し、カーボンナノファイバーを黒鉛化した。
【0060】
得られた黒鉛化カーボンナノファイバーの嵩密度は0.007g/mlであり、結晶化度についてはTEMによる観察から処理前より炭素の層が規則的に配向しており結晶化が進行していることを確認した。
【0061】
【発明の効果】
この発明に係るカーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置においては、縦型筒状ケーシング及び縦型スクリューからなる縦型スクリューコンベアを採用し、しかもその縦型筒状ケーシングの内壁を少なくとも黒鉛製としているので、カーボンナノファイバーの嵩密度を大きくすることなくこれを黒鉛化することができ、しかも、その縦型筒状ケーシングの内壁の表面粗さを所定の値にしているので、縦型筒状ケーシング内で下から上へとカーボンナノファイバーを円滑に移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、黒鉛化処理装置を示す説明図である。
【図2】図2は、縦型筒状ケーシング内における粒子にかかる力とその作用とを示すための説明図である。
【符号の説明】
1・・・黒鉛化処理装置、
2・・・原料ホッパー、
3・・・第1置換室、
4・・・貯留室、
5・・・第1スライドゲート弁、
6・・・第2スライドゲート弁、
7・・・第1筒状ケーシング、
8・・・第1スクリュー、
9・・・第1スクリュー回転用モーター、
10・・縦型筒状ケーシング、
11・・縦型スクリュー、
20・・第2スクリュー回転用モーター、
12・・高周波コイル、
13・・第2筒状ケーシング、
14・・第2スクリュー、
15・・第3スクリュー回転用モーター、
16・・第2置換室、
17・・第3スライドゲート弁、
18・・第4スライドゲート弁、
19・・製品排出部

Claims (2)

  1. 気相成長法により製造されたカーボンナノファイバーを、縦方向に立設された黒鉛製の筒状ケーシングとこの筒状ケーシング内に装填された黒鉛製の回転可能なスクリューとを備えて成るスクリューコンベアを用いて、下方から上方へと移送する移送手段と、前記カーボンナノファイバーを前記移送手段で下方から上方へと移送しながら加熱処理して前記カーボンナノファイバーの黒鉛化処理を行う黒鉛化処理手段とを有して成り、前記黒鉛製の筒状ケーシングの内壁面は、その算術的平均粗さRaが5.5〜100であり、その最大高さRmaxが大きくとも800であり、前記黒鉛製のスクリューの表面は、その算術的平均粗さRaが大きくとも10であり、その最大高さRmaxが大きくとも100であることを特徴とするカーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置。
  2. 前記黒鉛製の筒状ケーシングの内壁面は、その最大高さRmaxが47.6〜800であり、前記黒鉛製のスクリューの表面は、その算術的平均粗さRaが0.01〜10であり、その最大高さRmaxが0.1〜100である前記請求項1に記載のカーボンナノファイバーの黒鉛化処理装置。
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