JP2004339041A - カーボンナノ構造体の選択的製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】化学蒸着法によりカーボンナノ構造体を生成する製造方法を提供する。
【解決手段】カーボン源と混合触媒とを用いることとし、この混合触媒を、Fe,Co,Niを含むグループAから少なくとも1種選ばれた元素と、ランタノイド元素を含むグループAから少なくとも1種選ばれた補助元素とを含有するように構成する。ここで、ランタノイド元素は、合金を形成することで触媒の融点を下げる働きを有し、その結果、カーボンナノ構造体を低温にて成長させることができる。さらに、ランタノイド元素は、触媒表面の電子状態を変化させることにより、Ni,Co,Feなどの触媒活性を高めることもできる。しかも、ランタノイド元素は、過剰なカーボンを取り払い、汚染のないカーボンナノ構造体を成長させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】カーボン源と混合触媒とを用いることとし、この混合触媒を、Fe,Co,Niを含むグループAから少なくとも1種選ばれた元素と、ランタノイド元素を含むグループAから少なくとも1種選ばれた補助元素とを含有するように構成する。ここで、ランタノイド元素は、合金を形成することで触媒の融点を下げる働きを有し、その結果、カーボンナノ構造体を低温にて成長させることができる。さらに、ランタノイド元素は、触媒表面の電子状態を変化させることにより、Ni,Co,Feなどの触媒活性を高めることもできる。しかも、ランタノイド元素は、過剰なカーボンを取り払い、汚染のないカーボンナノ構造体を成長させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
(背景)
発明の技術分野
本発明は、マルチウォールカーボンナノチューブ及びシングルウォールカーボンナノチューブを含むカーボンナノ構造体を高純度に製造可能とするカーボンナノ構造体の製造方法に関する。特に、カーボンナノ構造体を化学蒸着により製造する際の触媒の一部にランタノイド元素を用いることにより、高純度なカーボンナノ構造体を製造する方法に関する。
【0002】
発明により解決されるべく、関連技術の代表的問題
従来より、カーボン繊維材料は、1970年代の電子顕微鏡の出現とほぼ同時に発見されて以来、様々な応用対象として認知されている。このカーボン繊維材料は、触媒化学蒸着法(CCVD)により生成されるカーボン堆積体であり、その直径は約1.0μm以下である。
【0003】
具体的には、1984年に初めて、CCVD法により生成されたマルチウォールカーボンナノチューブの存在が報告されている(Tennent氏による米国特許No.4,663,230)。また、これに関する初期の調査結果として、Baker and Harris,Chemistry and Physics of Carbon,Walker and Thrower ed.,Vol.14,1978,p83や、Rodriguez,N.,J.Mater.Research,Vol.8,p.3233(1993)がある。
【0004】
マルチウォールカーボンナノチューブは、触媒的に成長させたカーボン繊維と形態学上類似しており、高温のカーボンアークにおいても成長形成される(飯島氏によるNature 354, 56,1991)。また、このようなアーク成長によるナノ繊維は、Tennent氏による初期の触媒的に成長させたカーボンナノ繊維(米国特許No.4,663,230及びNo.5,171,560)と、全く同一な形態を有することが、近年受け入れられている(Weaver,Science 265,1994)。これらカーボンナノチューブは、円筒状で且つ連続した空洞をグラファイト層が繊維軸方向に略平行に取り囲んだ構造を有している。
【0005】
また、1993年には、グラフェン層により空洞の中央部が分割される構成の竹様(Bamboo−shaped)マルチウォールカーボンナノチューブが、アーク放電のすすの中から発見されている(斎藤氏によるJ.Crystal Growth,134,154,1993;斎藤氏によるCarbon,979,1995)。さらに、最近では、複数の研究グループが、CCVD法を用いてこのようなカーボンチューブを生成している。(Lee et al.,Chem.Phs.Letts.,323,560,2000;Zhang et al.,Chem.Phys.Letts.,333,509,2001)。また、カーボンナノチューブの収率、即ちCNTと触媒の重量比で定義する触媒生産性が、600%にも及ぶ製造方法も報告されている(Li et al.,Appl.Phys.A,73,259,2001)。
【0006】
つぎに、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)について述べる。
飯島氏やBethune氏らは、シングルウォールカーボンナノチューブ、即ち線形フラーレンの形からなる単層カーボンだけを有するナノチューブを、1993年にアーク放電のすすから各人個別に発見している(飯島氏らS.,“Single−shell carbon nanotubes of 1−nm diameter”,Nature,363,603,1993及びBethune et al.,“Cobalt−catalysed growth of carbon na−notubes with single−atomic−layer wa−lls”,Nature,363,605,1993を参照のこと)。Bethune氏による米国特許No.5,424,054では、固体カーボンをアーク放電により加熱し、炭素蒸気をコバルト触媒と接触反応させてシングルウォールカーボンナノチューブを得る製造方法が開示されている。なお、カーボンを加熱する方法としては、この他に、例えば、レーザ加熱法、電子ビーム加熱法、RF誘電加熱法などが挙げられる。
【0007】
Smalley氏は、グラファイト材と遷移金属とを、同時に約1200℃のオーブン中でレーザにより蒸発させる工程からなる、シングルウォールカーボンナノチューブの製造方法を開発した(Guo,T.,Nikoleev,P.,Thess,A.,Colbert,D.T.,and Smalley, R.E.,Chem.Phys.Lett.243:1−12(1995);Thess,A.,Lee,R.,Nikolaev,P.,Dai,H.,Petit,P.,Robert,J.,Xu,C.,Lee,Y.H.,Kim,S.G.,Rinzler,A.G.,Colbert,D.T.,Scuseria,G.E.,Tonarek,D.,Fischer,J.E.,and Smalley,R.E.,Science,273:483−487(1996))。そして、このシングルウォールカーボンナノチューブは、70%以上の収率で製造可能と報告されている。
【0008】
しかしながら、上述の技術は何れも、固体カーボンをカーボン供給源として用いているが、そのため本来解決できない問題があった。特に、電気アーク炉やレーザ装置により固体カーボンを蒸発させる工程は、非常にコストが嵩み、商業用や工業用に実施するのは困難である。
【0009】
また、これに対して、化学蒸着法(CVD)法によりシングルウォールカーボンナノチューブを製造する方法も知られている。このCVD法では、金属触媒が固定したCVD固定床上に載置される。Smalley氏は、担持されたCo,Ni及びMoからなる触媒を用いて、マルチウォール及びシングルウォールカーボンナノチューブの両方を一酸化炭素から成長させる方法を、そのメカニズムとともに報告している(Dai.,H.,Rinzler,A.G.,Nikolaev,P.,Thess,A.,Colbert,D.T.,and Smalley,R.E.,Chem.Phys.Lett.260:471−475(1996))。また、SWNTの合成法として、固定したシリカやアルミナ材に担持されたFe/MoやCo/Moの二元触媒を用いた方法も開発されている(Cassell et al.,J.Phys.Chem.B,103,6484,1999;Tang et al.,Chem.Phys.Letts.350,19,2001)。しかしながら、このような担持された金属触媒を用いた方法においても、担体が生成されるシングルウォールカーボンナノチューブ中に必然的に取り込まれてしまうという、本来回避できない問題があった。そのため、この固定床を有する触媒を用いた方法では、カーボンナノチューブの構造を制御するのが難しく、しかも触媒生産性が触媒の凝結により通常の場合低く(200%以下)なってしまい、生産のスケールアップが困難である。
【0010】
最近では、浮遊触媒方法も報告されている。具体的には、高圧な触媒前駆体Fe(CO)5のガスと炭素源COとを加熱反応器に導入して反応させる方法が、Smalley氏により報告されている。SWNTs(いわゆる、HiPco SWNTs)は、高温(1000℃)下で生成される(Small−ey R.E.WO 00/26/26138)。この方法の優れた点は、SWNTsが連続的に生成されることである。しかしながら、この方法は、高圧(>30atm.)及び高温工程を経るため、カーボンナノチューブを安全且つ大量生産するのが非常に困難である。
【0011】
(発明の概要)
課題を解決するための手段−本発明の利点
そこで、本発明は、高純度なカーボンナノ構造体を効果的に大量生産することができるカーボンナノ構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、カーボンナノ構造体を効果的に化学蒸着させるための最適な触媒の組成を提供することをも目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、この最適な混合触媒をナノメートルサイズで製造する方法を提供することをも目的とする。
【0014】
また、本発明は、熱的化学蒸着工程中において触媒が著しく凝集するのを防ぎ、高触媒生産性を実現することをも目的とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、熱的化学蒸着工程中に、触媒成分の一部にランタノイド元素を用いることを特徴とするものである。より詳しくは、上記目的は、熱的環境下で炭素源と混合触媒とを用いて化学蒸着を含むカーボンナノチューブの製造方法であり、この混合触媒が、Fe,Co及びNiを含むグループAから選ばれる少なくとも1種の元素と、ランタノイド元素を含むグループBから選ばれる少なくとも1種の補助元素とを含有する方法である。
【0016】
ここで、上記Fe,Co及びNiは、金属体、酸化物、又は合金の何れかの形態であると良い。また、上記ランタノイド元素は、Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,及びLuを含むことが好ましい。さらに、ランタノイド元素は、酸化物、又は合金の何れかの形態であると良い。
【0017】
また、混合触媒を極力均一なものとするために、従来から当業者に公知なミリング技術を用いたボールミリング処理を、混合触媒に対して、担体の有無に関わらず、施すことが好ましい。本発明者らは、ボールミリング処理を施した触媒が、カーボンナノ構造体の生じる触媒生産性をより向上することができることを見出したものである。この特徴は、特に、本発明の製造方法を用いてシングルウォールカーボンナノチューブを製造する際に有効である。
【0018】
本発明の他の実施形態では、ナノメートルサイズの触媒が、加熱反応器により制御されるような熱的環境下の反応ゾーンに、炭素源とともに導入されるものである。このように、触媒を反応ゾーン中に導入することで、ボールミリング処理された触媒が過度に凝集するのを防ぐことができ、触媒生産性を更に著しく高めることができる。ここで、触媒を反応ゾーン中に導入するには、例えば、固体触媒を担体ガスとともに運ぶか、それとも加圧ノズルにより吹き出させることができる。
【0019】
また、カーボンナノ構造を製造するのに使用することができ、上述した本発明の製造方法を適用可能とするカーボンナノ構造体の製造装置について述べる。本発明の1つの実施形態に係る製造装置は、加熱反応器内に触媒を供給する触媒供給部と、炭素源を供給する炭素源供給部とを備える。触媒供給部は、加熱反応器の外部に配され、触媒粉末をガスフローにより固体相として加熱反応器内へ噴入することができる。
【0020】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の上述した目的及びその他の目的、並びに効果について、詳細な実施形態を取り挙げて添付の図面を参照しながら説明する。
【0021】
(発明の実施の形態)
本発明のカーボンナノ構造体製造方法は、ランタノイド元素を、化学蒸着法における効果的な触媒成分の1つとして用いて、カーボンナノ構造体を製造する方法である。しかも、本発明の製造方法によれば、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWNTs)やマルチウォールカーボンナノチューブ(MWNTs)などの多様なカーボンナノ構造体を製造することができる。ここで、MWNTsは、鋭い先端を有する竹様なカーボンナノチューブを基本的に含むものである。
なお、本願では、このナノ構造体という用語は、本発明の製造方法により製造可能なSWNTsやMWNTsなどに幅広く適用するものとする。
【0022】
本発明の製造方法にて、Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuなどのランタノイド元素を用いるのは、一般に、これら元素が軌道の満たされていない4f電子を有するため、豊かな物理的及び化学的性質を示すからである。そして、以下に詳述するカーボンナノ構造体の成長工程中の温度において、ランタノイド元素及びそれにより生成される化合物は、多機能な役割を果たすものである。
【0023】
特に、本発明者らは、ランタノイド元素が合金を形成することで触媒の融点を下げる性質があることを見出し、この性質に基づいて、カーボンナノ構造体を低温にて成長させることができたものである。これは、例えば、高純度なカーボンナノ構造体を製造する際に重要で、高温下(>700℃)では、へキサンなどの炭素源材料が急激に解離してしまい、カーボンが余りにも急速に堆積してカーボンナノ構造体を十分形成することができなくなるからである。また、そのような高温下では、活性を有するナノサイズの触媒は凝集すると直ぐに活性を失ってしまう。
【0024】
さらに、ランタノイド元素は、触媒表面の電子状態を変化させることができ、これによりNi,Co,Feの触媒活性を高めるものである。なお、本発明では、これらNi,Co,Fe元素は、金属体、酸化物、合金の何れの形態をとっても良い。
【0025】
また、ランタノイド元素は、過剰な炭素を回収してくれる働きもあり、これにより、汚染なくカーボンナノ構造体を成長させることができる。
【0026】
また、本発明の他の実施形態に係る製造方法は、粒径の小さな触媒を化学蒸着法において用いることを特徴とする。この場合、本発明者らは、触媒のサイズがカーボンナノ構造体の成長に非常に重要な役割を果たすことを見出した。より詳しくは、触媒の粒径が小さいほど、カーボンナノ構造体の成長程度がより向上する。そして、小さい粒子、特に、触媒がナノサイズの小さな粒子であるほど、これら粒子は温度が上がるに連れて容易に凝集しやすくなる。したがって、カーボンナノ構造体の生成には、カーボン源とともにこのような触媒が反応中に導入されると、より効果的であることが分かる。
【0027】
さらに、本発明の他の実施形態に係る製造方法は、当業者に公知なミリング技術を用いて触媒にボールミリングを施して、ナノサイズの粒径からなる触媒を形成すると良い。より詳しくは、カーボンナノ構造体を効果的に製造するのに適した触媒の粒径は、10μm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは10nm以下の粒径を含む。
【0028】
加えて、触媒は、例えば、MgOやγ−アルミナなどのナノサイズの担体に担持されていても良い。
【0029】
図1は、本発明のカーボンナノ構造体製造方法に用いる横型装置100を示す概略図である。図1に示すように、化学蒸着工程における熱的環境を制御するのは、加熱(炉)反応器110である。ここで、本発明で用いる加熱炉反応器110の一例としては、調整温度精度が約±2℃である3ゾーン相互調整炉が挙げられる。
【0030】
本発明の製造方法を用いてMWNTsやSWNTsなどのカーボンナノ構造体を製造する場合、これらカーボンナノ構造体の構造及び成分は、化学蒸着工程中の諸条件の選択により主に決定される。詳しくは、本発明の製造方法では、加熱炉反応器110を用いた化学蒸着工程における温度を、400℃以上、1200℃以下の範囲、好ましくは400℃以上、800℃以下の範囲に一定化すると良い。そして、加熱炉反応器110のガス圧力は、ガス抜きバルブ140を開けることで周囲の圧力と同じ圧力に設定することができたり、又はポンプ160に臨むフィードバックバルブ150を調整することで1atm未満の圧力に設定することもできる。本発明の横型装置内の圧力は、ガス抜きバルブ140の上流側に配された圧力ゲージ155により測定できる。
【0031】
カーボン源供給器120は、化学蒸着工程で用いられるカーボン源を、ランタノイド元素を含む混合触媒とともに反応器中に供給するのに用いられる。本発明の製造方法にて用いられるカーボン源としては、一般式CnHmで表される炭化水素からなり、nが1以上、8以下であり、mが2以上、20以下であると良い。なお、カーボン源は、例えば、CH2CH2、CHCH、及びベンゼンやヘキサンなどの液体のような他のカーボン含有有機物であっても良い。ヘキサンをカーボン源として用いて製造できるカーボンナノ構造体の例は限りなく多岐に亘るが、その一例を下記に示す。
【0032】
図1に示すように、反応器中に導入されるガスとしては、Ar,N2,CH4,H2を含むことができる。これらガスは、ガス混合器125に送られ、このガス混合器によりガスの割合や流速が制御される。
【0033】
触媒供給器130は、触媒収容部131と、触媒供給調整部132と、図示しないパイプとを備える。そして、このような構成の供給器を介して、触媒が化学蒸着工程中に加熱炉反応器110内へ導入される。もちろん、触媒は、化学蒸着工程中に加熱炉反応器110内に導入される代わりに又はそれに加えて、化学蒸着工程前にセラミックチューブ170を用いて加熱炉反応器110内に配されていても良い。
【0034】
触媒は、Fe,Co,及びNiを含むグループAから選ばれる少なくとも1種の元素と、ランタノイド元素を含むグループBから選ばれる少なくとも1種の補助元素とを含有する。グループAは、第VI族から第VIII族までの範囲に属する金属を含むと良く、特に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt及びそれらの混合体を含むと好ましい。また、グループBは、ランタノイド元素に加えて、Sc,Y,La元素を含むと好ましい。
【0035】
また、触媒は、純粋な形であるか、あるいはMgO又はγ−アルミナに担持されることができる。
【0036】
ここで、触媒を作製するに際し、グループAとグループBの原子比を、1:1000から1:1の範囲内とすることが良く、好ましくは1:100から1:1の範囲内とすると良い。
【0037】
また、混合触媒を極力均一なものとするためには、混合触媒に対して、従来から当業者に公知なミリング技術を用いたボールミリング処理を、担体の有無に関わらず、施すことが好ましい。バールミリング処理を触媒に施すことで、カーボンナノ構造体を生じる触媒の生産性をより向上することができる。また、本発明の製造方法では、グループA及びグループBの元素の粒径が、10μm以下であると良く、好ましくは、100nm以下であると良く、より好ましくは、10nm以下であると良い。
【0038】
なお、化学蒸着工程が終了した後には、生成されたナノ構造体の堆積物を炉の中に配したセラミックチューブ170から収集する。
【0039】
つぎに、本発明の製造方法を適用可能とする装置の第2の実施形態について、図2に基づき説明する。この縦型装置200において、基本的に図1と同様な部品については、その説明を省略する。ただし、この縦型装置における縦方向の部品配置は、触媒の導入や生成物の収集に、より便利な構造となっている。図2に示す縦型装置では、数個の反応板又は篩板210が触媒の保持時間を延ばすべく、炉の中に配されており、これにより触媒生産性を向上することができる。これら反応板210は、形状を限定するものではなく、様々な形状でありうる。また、生成物収集器220は、炉の底部に配置され、ナノ構造体の堆積物を収集する。
【0040】
以下、本発明の製造方法を完全且つ容易に理解するため、次のような例を取り挙げる。なお、下記例は本発明を限定するものではない。
【0041】
(実施例1):
ランタノイド元素を含有する触媒とその固定床とを用いて竹様カーボンナノチューブの製造
【0042】
実施例1では、CeO2及びNiOを原子比5:1の割合で含有する触媒を用意した。そして、この触媒を、回転数400rpmにて4時間ボールミリング処理した。
【0043】
つぎに、図1に示した装置を用いて、30mgの触媒をセラミックチューブ170の内壁上に均一に配置した。続いて、このセラミックチューブ170を、化学蒸着工程を開始する前に、加熱炉反応器110内に配置した。
【0044】
その後、ヘキサンからなるカーボン源を、純粋なArからなるキャリアガスとともに反応器内へ導入した。この装置の操作中は、キャリアガス(Ar)の流量割合を100c.c./分とし、操作圧力を1atmに保ち、加熱炉反応器110の内部温度を680℃に設定した。こうして、装置を約4時間運転した。
【0045】
上述したような工程により、3.0gの物質がセラミックチューブ170から収集された。走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)によりこの得られた物質を観察すると、図3A、図3B、図4A及び図4Bに示されるように、MWNTsを主体とする材料が得られていることが分かった。これら図面に示したMWNTsの直径は、約50nmオーダーの値であった。また、このMWNTsの尖った先端が検査中にしばしば見受けられた。
【0046】
図5に示すように、熱重量分析(TGA)によると、この物質は、炭素でない不純物を重量で約1.0%しか含まないことが明らかとなった。したがって、上記例において本発明の製造方法を適用した場合、触媒生産性が5000%以上、10000%以下となり、従来の方法と比べて格段に高い触媒生産性が得られる。
【0047】
(実施例2):
ランタノイド元素を含有する浮遊触媒を用いた、MWNTsの製造
【0048】
実施例2では、La2O3及びNi粉末を原子比5:1の割合で含有する触媒を用意した。そして、この触媒を、回転数400rpmにて10時間ボールミリング処理し、その後、図1に示す触媒収納部131内に配置して、ガスフローにて加熱炉反応器110内へ導入した。
【0049】
カーボン源としては、ヘキサンを用い、キャリアガスとしては純粋なArガスを用いた。装置の操作中は、キャリアガス(Ar)の流速を300c.c./分に設定し、操作圧力を1atmに保持した。また、加熱炉反応器中の温度は、680℃に設定した。こうして、装置を約1時間運転した。
【0050】
第2の実施例では、600mgの材料がセラミックチューブ170から収集された。SEMによりこの得られた物質を観察すると、この物質は、約40nm位の直径からなるMWNTsを主体とする材料からなることが分かった。また、得られた物質の純度は、SEMの結果から判断して90%を超えていると推測された。
【0051】
(実施例3)
ランタノイド元素を含有する、担持された浮遊触媒を用いた、MWNTsの製造
【0052】
実施例3では、触媒として、CeO2、NiO、及びMgOを原子比5:1:5の割合で含有する触媒を利用した。そして、この触媒を、回転数400rpmにて10時間ボールミリング処理し、それから触媒収容部131内に配置した。
【0053】
また、実施例3に用いるキャリアガスは、ArとH2の割合を3:1としたAr及びH2混合ガスから構成した。炭素源としては、ヘキサンを用いた。装置の操作中は、このキャリアガスの流速を100c.c./分に設定し、操作圧力を1atmに保持した。また、加熱炉反応器中の温度は、680℃に設定した。こうして、装置を約2時間運転した。
【0054】
第3の実施例では、1.5gの材料がセラミックチューブ170から収集された。SEMによりこの得られた物質を観察すると、この物質は、約20nm位の直径からなるMWNTsを主体とする材料からなることが分かった。また、得られた物質の純度は、SEMの結果から判断して90%を超えていると推測された。
【0055】
(実施例4)
つぎに、実施例4として、浮遊触媒に担持されたランタノイド元素を含有する触媒を用いて、SWNTsを製造する例を説明する。
【0056】
実施例4では、触媒として、CeO2、NiO、及びMgOを原子比10:1:10の割合で含有する触媒を利用した。そして、この混合触媒を、回転数400rpmにて10時間ボールミリング処理し、それから触媒収容部131内に配置した。
【0057】
また、CH4とH2とを1:4の割合としたガスを、ガス混合器125に通し、その後触媒供給部131を通す。
【0058】
装置の操作中は、このガスの流速を100c.c./分に設定し、操作圧力を600torrに保持した。また、加熱炉反応器中の温度は、780℃に設定した。こうして、装置を約1時間運転した。
【0059】
第4の実施例では、55mgの物質が収集された。SEM及びTEMによりこの得られた物質を観察すると、この物質は、純度70%以上のSWNTsを主体とすることが分かった。
【0060】
本発明者らは、これら実施例に限らず、その他の実験などにより、本発明の製造方法が、マルチウォールカーボンナノチューブやシングルウォールカーボンナノチューブを含むカーボンナノ構造体を高純度に得ることができることを見出したものである。
【0061】
本発明の製造方法により製造される対象は、主に、鋭い先端を有する竹様カーボンナノチューブである。このカーボンナノチューブは、多くの区分に分けられる。図6〜図8に、本発明の製造方法により製造される竹様カーボンナノチューブの概略図を示す。図6は、カーボンナノチューブの先端部分をチューブの軸方向と垂直な方向に切断した概略断面図である。図7は、カーボンナノチューブの先端部分をチューブの軸方向と平行な方向に切断した概略断面図である。図8は、カーボンナノチューブの先端部を示す斜視図である。
【0062】
本発明の製造方法により製造された竹様カーボンナノチューブの直径は、約5nm以上、100nm以下であった。そして、大抵のカーボンナノチューブの先端は、直径が10nm以下であった。また、ナノチューブ内の中間層やグラフェン層の距離は0.34nm以上、0.68nm以下であった。
【0063】
本発明の製造方法によって製造されたMWNT’sは、直径が1nm以上、50nm以下で且つ長さが1nm以上、200nm以下の区分に分割される。各区分を分離する壁部の厚さは、0.3nm以上、3.0nm以下である。
【0064】
なお、本発明の製造方法によれば、カーボンナノ構造体の組成を、95%以上がMWNTとすることもできる。さらに、本発明の製造方法により製造される好適な例として、99%以上のMWNTsを含むものとすることもできる。ここで、これら%は、重量を基準としている。
【0065】
そして、このようなカーボンナノチューブの組成は、非常に高純度であり、カーボンナノチューブを用いるフィールドエミッタ・ディスプレイなどの様々な応用へと直接用いることができる。なお、応用のために必要であれば、精製といった付加的な作業を、本発明の製造方法に連続して行えば良い。
【0066】
また、本発明の製造方法の重要な特徴の1つとしては、浮遊固体触媒を用いることで、シングルウォールカーボンナノチューブを連続的に製造することができ、従来技術の製造方法に関連する安全性上の危険性を伴うことなく、カーボンナノ構造体の大量生産を確実に実現できることである。また、得られるSWNTsの直径は、本発明の製造方法における異なる合成条件により、1nm以上、5nm以下に可変される。例えば、本発明の製造方法により得られる組成として、SWNTsを50%以上含むようにすることもできるし、より好ましくは、90%以上のSWNTsを含むようにすることができる。
【0067】
上述したように、MWNTsやSWNTsの製造において、これらの構造及び組成は、化学蒸着工程における製造条件を選択すること、及び混合触媒の一部にランタノイド元素を用いることにより、幅広く制御することができる。
【0068】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、本発明における特許請求項にて定義した本発明の趣旨及び権利範囲を逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカーボンナノチューブ製造用横型装置を示す図である。
【図2】本発明のカーボンナノチューブ製造用縦型装置を示す図である。
【図3】本発明のカーボンナノチューブ製造方法により製造されたマルチウォールカーボンナノチューブのSEM画像である。
【図4】本発明のカーボンナノチューブ製造方法により製造されたマルチウォールカーボンナノチューブのTEM画像である。
【図5】本発明のカーボンナノチューブ製造方法により製造されたマルチウォールカーボンナノチューブを対象として、熱重量分析の図である。
【図6】カーボンナノチューブの先端部を、チューブの軸と垂直な方向に沿って切断した断面図である。
【図7】カーボンナノチューブの先端部を、チューブの軸と平行な方向に沿って切断した断面図である。
【図8】カーボンナノチューブの先端部を示す斜視図である。
【符号の説明】
100 カーボンナノ構造体を製造する横型装置、110 炉反応器、120 カーボン源供給器、125 ガス混合器、130 触媒供給器、131 触媒収容部、132 触媒供給調整部、140 ガス抜きバルブ、150 フィードバックバルブ、155 圧力ゲージ、160 ポンプ、170 セラミックチューブ、200 カーボンナノ構造体を製造する縦型装置、210 反応(篩)板、220 生成物収集器
(背景)
発明の技術分野
本発明は、マルチウォールカーボンナノチューブ及びシングルウォールカーボンナノチューブを含むカーボンナノ構造体を高純度に製造可能とするカーボンナノ構造体の製造方法に関する。特に、カーボンナノ構造体を化学蒸着により製造する際の触媒の一部にランタノイド元素を用いることにより、高純度なカーボンナノ構造体を製造する方法に関する。
【0002】
発明により解決されるべく、関連技術の代表的問題
従来より、カーボン繊維材料は、1970年代の電子顕微鏡の出現とほぼ同時に発見されて以来、様々な応用対象として認知されている。このカーボン繊維材料は、触媒化学蒸着法(CCVD)により生成されるカーボン堆積体であり、その直径は約1.0μm以下である。
【0003】
具体的には、1984年に初めて、CCVD法により生成されたマルチウォールカーボンナノチューブの存在が報告されている(Tennent氏による米国特許No.4,663,230)。また、これに関する初期の調査結果として、Baker and Harris,Chemistry and Physics of Carbon,Walker and Thrower ed.,Vol.14,1978,p83や、Rodriguez,N.,J.Mater.Research,Vol.8,p.3233(1993)がある。
【0004】
マルチウォールカーボンナノチューブは、触媒的に成長させたカーボン繊維と形態学上類似しており、高温のカーボンアークにおいても成長形成される(飯島氏によるNature 354, 56,1991)。また、このようなアーク成長によるナノ繊維は、Tennent氏による初期の触媒的に成長させたカーボンナノ繊維(米国特許No.4,663,230及びNo.5,171,560)と、全く同一な形態を有することが、近年受け入れられている(Weaver,Science 265,1994)。これらカーボンナノチューブは、円筒状で且つ連続した空洞をグラファイト層が繊維軸方向に略平行に取り囲んだ構造を有している。
【0005】
また、1993年には、グラフェン層により空洞の中央部が分割される構成の竹様(Bamboo−shaped)マルチウォールカーボンナノチューブが、アーク放電のすすの中から発見されている(斎藤氏によるJ.Crystal Growth,134,154,1993;斎藤氏によるCarbon,979,1995)。さらに、最近では、複数の研究グループが、CCVD法を用いてこのようなカーボンチューブを生成している。(Lee et al.,Chem.Phs.Letts.,323,560,2000;Zhang et al.,Chem.Phys.Letts.,333,509,2001)。また、カーボンナノチューブの収率、即ちCNTと触媒の重量比で定義する触媒生産性が、600%にも及ぶ製造方法も報告されている(Li et al.,Appl.Phys.A,73,259,2001)。
【0006】
つぎに、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)について述べる。
飯島氏やBethune氏らは、シングルウォールカーボンナノチューブ、即ち線形フラーレンの形からなる単層カーボンだけを有するナノチューブを、1993年にアーク放電のすすから各人個別に発見している(飯島氏らS.,“Single−shell carbon nanotubes of 1−nm diameter”,Nature,363,603,1993及びBethune et al.,“Cobalt−catalysed growth of carbon na−notubes with single−atomic−layer wa−lls”,Nature,363,605,1993を参照のこと)。Bethune氏による米国特許No.5,424,054では、固体カーボンをアーク放電により加熱し、炭素蒸気をコバルト触媒と接触反応させてシングルウォールカーボンナノチューブを得る製造方法が開示されている。なお、カーボンを加熱する方法としては、この他に、例えば、レーザ加熱法、電子ビーム加熱法、RF誘電加熱法などが挙げられる。
【0007】
Smalley氏は、グラファイト材と遷移金属とを、同時に約1200℃のオーブン中でレーザにより蒸発させる工程からなる、シングルウォールカーボンナノチューブの製造方法を開発した(Guo,T.,Nikoleev,P.,Thess,A.,Colbert,D.T.,and Smalley, R.E.,Chem.Phys.Lett.243:1−12(1995);Thess,A.,Lee,R.,Nikolaev,P.,Dai,H.,Petit,P.,Robert,J.,Xu,C.,Lee,Y.H.,Kim,S.G.,Rinzler,A.G.,Colbert,D.T.,Scuseria,G.E.,Tonarek,D.,Fischer,J.E.,and Smalley,R.E.,Science,273:483−487(1996))。そして、このシングルウォールカーボンナノチューブは、70%以上の収率で製造可能と報告されている。
【0008】
しかしながら、上述の技術は何れも、固体カーボンをカーボン供給源として用いているが、そのため本来解決できない問題があった。特に、電気アーク炉やレーザ装置により固体カーボンを蒸発させる工程は、非常にコストが嵩み、商業用や工業用に実施するのは困難である。
【0009】
また、これに対して、化学蒸着法(CVD)法によりシングルウォールカーボンナノチューブを製造する方法も知られている。このCVD法では、金属触媒が固定したCVD固定床上に載置される。Smalley氏は、担持されたCo,Ni及びMoからなる触媒を用いて、マルチウォール及びシングルウォールカーボンナノチューブの両方を一酸化炭素から成長させる方法を、そのメカニズムとともに報告している(Dai.,H.,Rinzler,A.G.,Nikolaev,P.,Thess,A.,Colbert,D.T.,and Smalley,R.E.,Chem.Phys.Lett.260:471−475(1996))。また、SWNTの合成法として、固定したシリカやアルミナ材に担持されたFe/MoやCo/Moの二元触媒を用いた方法も開発されている(Cassell et al.,J.Phys.Chem.B,103,6484,1999;Tang et al.,Chem.Phys.Letts.350,19,2001)。しかしながら、このような担持された金属触媒を用いた方法においても、担体が生成されるシングルウォールカーボンナノチューブ中に必然的に取り込まれてしまうという、本来回避できない問題があった。そのため、この固定床を有する触媒を用いた方法では、カーボンナノチューブの構造を制御するのが難しく、しかも触媒生産性が触媒の凝結により通常の場合低く(200%以下)なってしまい、生産のスケールアップが困難である。
【0010】
最近では、浮遊触媒方法も報告されている。具体的には、高圧な触媒前駆体Fe(CO)5のガスと炭素源COとを加熱反応器に導入して反応させる方法が、Smalley氏により報告されている。SWNTs(いわゆる、HiPco SWNTs)は、高温(1000℃)下で生成される(Small−ey R.E.WO 00/26/26138)。この方法の優れた点は、SWNTsが連続的に生成されることである。しかしながら、この方法は、高圧(>30atm.)及び高温工程を経るため、カーボンナノチューブを安全且つ大量生産するのが非常に困難である。
【0011】
(発明の概要)
課題を解決するための手段−本発明の利点
そこで、本発明は、高純度なカーボンナノ構造体を効果的に大量生産することができるカーボンナノ構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、カーボンナノ構造体を効果的に化学蒸着させるための最適な触媒の組成を提供することをも目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、この最適な混合触媒をナノメートルサイズで製造する方法を提供することをも目的とする。
【0014】
また、本発明は、熱的化学蒸着工程中において触媒が著しく凝集するのを防ぎ、高触媒生産性を実現することをも目的とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、熱的化学蒸着工程中に、触媒成分の一部にランタノイド元素を用いることを特徴とするものである。より詳しくは、上記目的は、熱的環境下で炭素源と混合触媒とを用いて化学蒸着を含むカーボンナノチューブの製造方法であり、この混合触媒が、Fe,Co及びNiを含むグループAから選ばれる少なくとも1種の元素と、ランタノイド元素を含むグループBから選ばれる少なくとも1種の補助元素とを含有する方法である。
【0016】
ここで、上記Fe,Co及びNiは、金属体、酸化物、又は合金の何れかの形態であると良い。また、上記ランタノイド元素は、Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,及びLuを含むことが好ましい。さらに、ランタノイド元素は、酸化物、又は合金の何れかの形態であると良い。
【0017】
また、混合触媒を極力均一なものとするために、従来から当業者に公知なミリング技術を用いたボールミリング処理を、混合触媒に対して、担体の有無に関わらず、施すことが好ましい。本発明者らは、ボールミリング処理を施した触媒が、カーボンナノ構造体の生じる触媒生産性をより向上することができることを見出したものである。この特徴は、特に、本発明の製造方法を用いてシングルウォールカーボンナノチューブを製造する際に有効である。
【0018】
本発明の他の実施形態では、ナノメートルサイズの触媒が、加熱反応器により制御されるような熱的環境下の反応ゾーンに、炭素源とともに導入されるものである。このように、触媒を反応ゾーン中に導入することで、ボールミリング処理された触媒が過度に凝集するのを防ぐことができ、触媒生産性を更に著しく高めることができる。ここで、触媒を反応ゾーン中に導入するには、例えば、固体触媒を担体ガスとともに運ぶか、それとも加圧ノズルにより吹き出させることができる。
【0019】
また、カーボンナノ構造を製造するのに使用することができ、上述した本発明の製造方法を適用可能とするカーボンナノ構造体の製造装置について述べる。本発明の1つの実施形態に係る製造装置は、加熱反応器内に触媒を供給する触媒供給部と、炭素源を供給する炭素源供給部とを備える。触媒供給部は、加熱反応器の外部に配され、触媒粉末をガスフローにより固体相として加熱反応器内へ噴入することができる。
【0020】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の上述した目的及びその他の目的、並びに効果について、詳細な実施形態を取り挙げて添付の図面を参照しながら説明する。
【0021】
(発明の実施の形態)
本発明のカーボンナノ構造体製造方法は、ランタノイド元素を、化学蒸着法における効果的な触媒成分の1つとして用いて、カーボンナノ構造体を製造する方法である。しかも、本発明の製造方法によれば、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWNTs)やマルチウォールカーボンナノチューブ(MWNTs)などの多様なカーボンナノ構造体を製造することができる。ここで、MWNTsは、鋭い先端を有する竹様なカーボンナノチューブを基本的に含むものである。
なお、本願では、このナノ構造体という用語は、本発明の製造方法により製造可能なSWNTsやMWNTsなどに幅広く適用するものとする。
【0022】
本発明の製造方法にて、Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuなどのランタノイド元素を用いるのは、一般に、これら元素が軌道の満たされていない4f電子を有するため、豊かな物理的及び化学的性質を示すからである。そして、以下に詳述するカーボンナノ構造体の成長工程中の温度において、ランタノイド元素及びそれにより生成される化合物は、多機能な役割を果たすものである。
【0023】
特に、本発明者らは、ランタノイド元素が合金を形成することで触媒の融点を下げる性質があることを見出し、この性質に基づいて、カーボンナノ構造体を低温にて成長させることができたものである。これは、例えば、高純度なカーボンナノ構造体を製造する際に重要で、高温下(>700℃)では、へキサンなどの炭素源材料が急激に解離してしまい、カーボンが余りにも急速に堆積してカーボンナノ構造体を十分形成することができなくなるからである。また、そのような高温下では、活性を有するナノサイズの触媒は凝集すると直ぐに活性を失ってしまう。
【0024】
さらに、ランタノイド元素は、触媒表面の電子状態を変化させることができ、これによりNi,Co,Feの触媒活性を高めるものである。なお、本発明では、これらNi,Co,Fe元素は、金属体、酸化物、合金の何れの形態をとっても良い。
【0025】
また、ランタノイド元素は、過剰な炭素を回収してくれる働きもあり、これにより、汚染なくカーボンナノ構造体を成長させることができる。
【0026】
また、本発明の他の実施形態に係る製造方法は、粒径の小さな触媒を化学蒸着法において用いることを特徴とする。この場合、本発明者らは、触媒のサイズがカーボンナノ構造体の成長に非常に重要な役割を果たすことを見出した。より詳しくは、触媒の粒径が小さいほど、カーボンナノ構造体の成長程度がより向上する。そして、小さい粒子、特に、触媒がナノサイズの小さな粒子であるほど、これら粒子は温度が上がるに連れて容易に凝集しやすくなる。したがって、カーボンナノ構造体の生成には、カーボン源とともにこのような触媒が反応中に導入されると、より効果的であることが分かる。
【0027】
さらに、本発明の他の実施形態に係る製造方法は、当業者に公知なミリング技術を用いて触媒にボールミリングを施して、ナノサイズの粒径からなる触媒を形成すると良い。より詳しくは、カーボンナノ構造体を効果的に製造するのに適した触媒の粒径は、10μm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは10nm以下の粒径を含む。
【0028】
加えて、触媒は、例えば、MgOやγ−アルミナなどのナノサイズの担体に担持されていても良い。
【0029】
図1は、本発明のカーボンナノ構造体製造方法に用いる横型装置100を示す概略図である。図1に示すように、化学蒸着工程における熱的環境を制御するのは、加熱(炉)反応器110である。ここで、本発明で用いる加熱炉反応器110の一例としては、調整温度精度が約±2℃である3ゾーン相互調整炉が挙げられる。
【0030】
本発明の製造方法を用いてMWNTsやSWNTsなどのカーボンナノ構造体を製造する場合、これらカーボンナノ構造体の構造及び成分は、化学蒸着工程中の諸条件の選択により主に決定される。詳しくは、本発明の製造方法では、加熱炉反応器110を用いた化学蒸着工程における温度を、400℃以上、1200℃以下の範囲、好ましくは400℃以上、800℃以下の範囲に一定化すると良い。そして、加熱炉反応器110のガス圧力は、ガス抜きバルブ140を開けることで周囲の圧力と同じ圧力に設定することができたり、又はポンプ160に臨むフィードバックバルブ150を調整することで1atm未満の圧力に設定することもできる。本発明の横型装置内の圧力は、ガス抜きバルブ140の上流側に配された圧力ゲージ155により測定できる。
【0031】
カーボン源供給器120は、化学蒸着工程で用いられるカーボン源を、ランタノイド元素を含む混合触媒とともに反応器中に供給するのに用いられる。本発明の製造方法にて用いられるカーボン源としては、一般式CnHmで表される炭化水素からなり、nが1以上、8以下であり、mが2以上、20以下であると良い。なお、カーボン源は、例えば、CH2CH2、CHCH、及びベンゼンやヘキサンなどの液体のような他のカーボン含有有機物であっても良い。ヘキサンをカーボン源として用いて製造できるカーボンナノ構造体の例は限りなく多岐に亘るが、その一例を下記に示す。
【0032】
図1に示すように、反応器中に導入されるガスとしては、Ar,N2,CH4,H2を含むことができる。これらガスは、ガス混合器125に送られ、このガス混合器によりガスの割合や流速が制御される。
【0033】
触媒供給器130は、触媒収容部131と、触媒供給調整部132と、図示しないパイプとを備える。そして、このような構成の供給器を介して、触媒が化学蒸着工程中に加熱炉反応器110内へ導入される。もちろん、触媒は、化学蒸着工程中に加熱炉反応器110内に導入される代わりに又はそれに加えて、化学蒸着工程前にセラミックチューブ170を用いて加熱炉反応器110内に配されていても良い。
【0034】
触媒は、Fe,Co,及びNiを含むグループAから選ばれる少なくとも1種の元素と、ランタノイド元素を含むグループBから選ばれる少なくとも1種の補助元素とを含有する。グループAは、第VI族から第VIII族までの範囲に属する金属を含むと良く、特に、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt及びそれらの混合体を含むと好ましい。また、グループBは、ランタノイド元素に加えて、Sc,Y,La元素を含むと好ましい。
【0035】
また、触媒は、純粋な形であるか、あるいはMgO又はγ−アルミナに担持されることができる。
【0036】
ここで、触媒を作製するに際し、グループAとグループBの原子比を、1:1000から1:1の範囲内とすることが良く、好ましくは1:100から1:1の範囲内とすると良い。
【0037】
また、混合触媒を極力均一なものとするためには、混合触媒に対して、従来から当業者に公知なミリング技術を用いたボールミリング処理を、担体の有無に関わらず、施すことが好ましい。バールミリング処理を触媒に施すことで、カーボンナノ構造体を生じる触媒の生産性をより向上することができる。また、本発明の製造方法では、グループA及びグループBの元素の粒径が、10μm以下であると良く、好ましくは、100nm以下であると良く、より好ましくは、10nm以下であると良い。
【0038】
なお、化学蒸着工程が終了した後には、生成されたナノ構造体の堆積物を炉の中に配したセラミックチューブ170から収集する。
【0039】
つぎに、本発明の製造方法を適用可能とする装置の第2の実施形態について、図2に基づき説明する。この縦型装置200において、基本的に図1と同様な部品については、その説明を省略する。ただし、この縦型装置における縦方向の部品配置は、触媒の導入や生成物の収集に、より便利な構造となっている。図2に示す縦型装置では、数個の反応板又は篩板210が触媒の保持時間を延ばすべく、炉の中に配されており、これにより触媒生産性を向上することができる。これら反応板210は、形状を限定するものではなく、様々な形状でありうる。また、生成物収集器220は、炉の底部に配置され、ナノ構造体の堆積物を収集する。
【0040】
以下、本発明の製造方法を完全且つ容易に理解するため、次のような例を取り挙げる。なお、下記例は本発明を限定するものではない。
【0041】
(実施例1):
ランタノイド元素を含有する触媒とその固定床とを用いて竹様カーボンナノチューブの製造
【0042】
実施例1では、CeO2及びNiOを原子比5:1の割合で含有する触媒を用意した。そして、この触媒を、回転数400rpmにて4時間ボールミリング処理した。
【0043】
つぎに、図1に示した装置を用いて、30mgの触媒をセラミックチューブ170の内壁上に均一に配置した。続いて、このセラミックチューブ170を、化学蒸着工程を開始する前に、加熱炉反応器110内に配置した。
【0044】
その後、ヘキサンからなるカーボン源を、純粋なArからなるキャリアガスとともに反応器内へ導入した。この装置の操作中は、キャリアガス(Ar)の流量割合を100c.c./分とし、操作圧力を1atmに保ち、加熱炉反応器110の内部温度を680℃に設定した。こうして、装置を約4時間運転した。
【0045】
上述したような工程により、3.0gの物質がセラミックチューブ170から収集された。走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)によりこの得られた物質を観察すると、図3A、図3B、図4A及び図4Bに示されるように、MWNTsを主体とする材料が得られていることが分かった。これら図面に示したMWNTsの直径は、約50nmオーダーの値であった。また、このMWNTsの尖った先端が検査中にしばしば見受けられた。
【0046】
図5に示すように、熱重量分析(TGA)によると、この物質は、炭素でない不純物を重量で約1.0%しか含まないことが明らかとなった。したがって、上記例において本発明の製造方法を適用した場合、触媒生産性が5000%以上、10000%以下となり、従来の方法と比べて格段に高い触媒生産性が得られる。
【0047】
(実施例2):
ランタノイド元素を含有する浮遊触媒を用いた、MWNTsの製造
【0048】
実施例2では、La2O3及びNi粉末を原子比5:1の割合で含有する触媒を用意した。そして、この触媒を、回転数400rpmにて10時間ボールミリング処理し、その後、図1に示す触媒収納部131内に配置して、ガスフローにて加熱炉反応器110内へ導入した。
【0049】
カーボン源としては、ヘキサンを用い、キャリアガスとしては純粋なArガスを用いた。装置の操作中は、キャリアガス(Ar)の流速を300c.c./分に設定し、操作圧力を1atmに保持した。また、加熱炉反応器中の温度は、680℃に設定した。こうして、装置を約1時間運転した。
【0050】
第2の実施例では、600mgの材料がセラミックチューブ170から収集された。SEMによりこの得られた物質を観察すると、この物質は、約40nm位の直径からなるMWNTsを主体とする材料からなることが分かった。また、得られた物質の純度は、SEMの結果から判断して90%を超えていると推測された。
【0051】
(実施例3)
ランタノイド元素を含有する、担持された浮遊触媒を用いた、MWNTsの製造
【0052】
実施例3では、触媒として、CeO2、NiO、及びMgOを原子比5:1:5の割合で含有する触媒を利用した。そして、この触媒を、回転数400rpmにて10時間ボールミリング処理し、それから触媒収容部131内に配置した。
【0053】
また、実施例3に用いるキャリアガスは、ArとH2の割合を3:1としたAr及びH2混合ガスから構成した。炭素源としては、ヘキサンを用いた。装置の操作中は、このキャリアガスの流速を100c.c./分に設定し、操作圧力を1atmに保持した。また、加熱炉反応器中の温度は、680℃に設定した。こうして、装置を約2時間運転した。
【0054】
第3の実施例では、1.5gの材料がセラミックチューブ170から収集された。SEMによりこの得られた物質を観察すると、この物質は、約20nm位の直径からなるMWNTsを主体とする材料からなることが分かった。また、得られた物質の純度は、SEMの結果から判断して90%を超えていると推測された。
【0055】
(実施例4)
つぎに、実施例4として、浮遊触媒に担持されたランタノイド元素を含有する触媒を用いて、SWNTsを製造する例を説明する。
【0056】
実施例4では、触媒として、CeO2、NiO、及びMgOを原子比10:1:10の割合で含有する触媒を利用した。そして、この混合触媒を、回転数400rpmにて10時間ボールミリング処理し、それから触媒収容部131内に配置した。
【0057】
また、CH4とH2とを1:4の割合としたガスを、ガス混合器125に通し、その後触媒供給部131を通す。
【0058】
装置の操作中は、このガスの流速を100c.c./分に設定し、操作圧力を600torrに保持した。また、加熱炉反応器中の温度は、780℃に設定した。こうして、装置を約1時間運転した。
【0059】
第4の実施例では、55mgの物質が収集された。SEM及びTEMによりこの得られた物質を観察すると、この物質は、純度70%以上のSWNTsを主体とすることが分かった。
【0060】
本発明者らは、これら実施例に限らず、その他の実験などにより、本発明の製造方法が、マルチウォールカーボンナノチューブやシングルウォールカーボンナノチューブを含むカーボンナノ構造体を高純度に得ることができることを見出したものである。
【0061】
本発明の製造方法により製造される対象は、主に、鋭い先端を有する竹様カーボンナノチューブである。このカーボンナノチューブは、多くの区分に分けられる。図6〜図8に、本発明の製造方法により製造される竹様カーボンナノチューブの概略図を示す。図6は、カーボンナノチューブの先端部分をチューブの軸方向と垂直な方向に切断した概略断面図である。図7は、カーボンナノチューブの先端部分をチューブの軸方向と平行な方向に切断した概略断面図である。図8は、カーボンナノチューブの先端部を示す斜視図である。
【0062】
本発明の製造方法により製造された竹様カーボンナノチューブの直径は、約5nm以上、100nm以下であった。そして、大抵のカーボンナノチューブの先端は、直径が10nm以下であった。また、ナノチューブ内の中間層やグラフェン層の距離は0.34nm以上、0.68nm以下であった。
【0063】
本発明の製造方法によって製造されたMWNT’sは、直径が1nm以上、50nm以下で且つ長さが1nm以上、200nm以下の区分に分割される。各区分を分離する壁部の厚さは、0.3nm以上、3.0nm以下である。
【0064】
なお、本発明の製造方法によれば、カーボンナノ構造体の組成を、95%以上がMWNTとすることもできる。さらに、本発明の製造方法により製造される好適な例として、99%以上のMWNTsを含むものとすることもできる。ここで、これら%は、重量を基準としている。
【0065】
そして、このようなカーボンナノチューブの組成は、非常に高純度であり、カーボンナノチューブを用いるフィールドエミッタ・ディスプレイなどの様々な応用へと直接用いることができる。なお、応用のために必要であれば、精製といった付加的な作業を、本発明の製造方法に連続して行えば良い。
【0066】
また、本発明の製造方法の重要な特徴の1つとしては、浮遊固体触媒を用いることで、シングルウォールカーボンナノチューブを連続的に製造することができ、従来技術の製造方法に関連する安全性上の危険性を伴うことなく、カーボンナノ構造体の大量生産を確実に実現できることである。また、得られるSWNTsの直径は、本発明の製造方法における異なる合成条件により、1nm以上、5nm以下に可変される。例えば、本発明の製造方法により得られる組成として、SWNTsを50%以上含むようにすることもできるし、より好ましくは、90%以上のSWNTsを含むようにすることができる。
【0067】
上述したように、MWNTsやSWNTsの製造において、これらの構造及び組成は、化学蒸着工程における製造条件を選択すること、及び混合触媒の一部にランタノイド元素を用いることにより、幅広く制御することができる。
【0068】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、本発明における特許請求項にて定義した本発明の趣旨及び権利範囲を逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカーボンナノチューブ製造用横型装置を示す図である。
【図2】本発明のカーボンナノチューブ製造用縦型装置を示す図である。
【図3】本発明のカーボンナノチューブ製造方法により製造されたマルチウォールカーボンナノチューブのSEM画像である。
【図4】本発明のカーボンナノチューブ製造方法により製造されたマルチウォールカーボンナノチューブのTEM画像である。
【図5】本発明のカーボンナノチューブ製造方法により製造されたマルチウォールカーボンナノチューブを対象として、熱重量分析の図である。
【図6】カーボンナノチューブの先端部を、チューブの軸と垂直な方向に沿って切断した断面図である。
【図7】カーボンナノチューブの先端部を、チューブの軸と平行な方向に沿って切断した断面図である。
【図8】カーボンナノチューブの先端部を示す斜視図である。
【符号の説明】
100 カーボンナノ構造体を製造する横型装置、110 炉反応器、120 カーボン源供給器、125 ガス混合器、130 触媒供給器、131 触媒収容部、132 触媒供給調整部、140 ガス抜きバルブ、150 フィードバックバルブ、155 圧力ゲージ、160 ポンプ、170 セラミックチューブ、200 カーボンナノ構造体を製造する縦型装置、210 反応(篩)板、220 生成物収集器
Claims (26)
- 熱的環境下にて炭素源と混合触媒とを用いる化学蒸着を含むカーボンナノ構造体の製造方法であって、
前記混合触媒が、Fe, Co及びNiを含むグループAから選択される少なくとも1種の元素と、ランタノイド元素を含むグループBから選択される少なくとも1種の補助元素とを含有することを特徴とするカーボンナノ構造体の製造方法。 - 前記Fe,Co及びNiは、金属体、酸化物、又は合金の形態何れかであることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記ランタノイド元素とは、Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを含むことを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記ランタノイド元素は、酸化物、又は合金の形態であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループAが、さらに第VI族から第VIII族までの範囲に属する金属を含むことを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループAが、さらにRu,Rh,Pd,Os,Ir,Pt及びそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループBが、さらにSc,Y,Laを含むことを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記触媒は、純粋な形であるか、あるいはMgO又はγ−アルミナに担持されていることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループAと前記グループBの原子比が、1:1000から1:1の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループAと前記グループBの原子比が、1:100から1:1の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループA及び/又は前記グループBの元素の粒径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループA及び/又は前記グループBの元素の粒径が、100nm以下であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記グループA及び/又は前記グループBの元素の粒径が、10nm以下であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 化学蒸着工程の前に、前記混合触媒を熱的環境下におくことを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 化学蒸着中に、前記混合触媒を加圧スプレーにより熱的環境内に注入することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 化学蒸着工程の前に、前記混合触媒がボールミルにより粉砕されていることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記炭素源は、一般式CnHmで表される炭化水素を含み、上記nが1以上8以下であり、上記mが2以上20以下であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記熱的環境の温度が、400℃以上、1200℃以下の温度に設定されていることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記熱的環境の温度が、400℃以上、800℃以下の温度に設定されていることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 前記熱的環境の温度が、600℃以上、1000℃以下の温度に設定されていることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 化学蒸着中に、前記熱的環境の温度を昇温させることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 化学蒸着中に、前記熱的環境の温度を、1分間あたり0.1℃以上、20℃以下の割合で昇温させることを特徴とする請求項21記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- 化学蒸着中の前記熱的環境の温度を、1分間あたり0.1℃以上、5℃以下の割合で昇温させることを特徴とする請求項21記載のカーボンナノ構造体の製造方法。
- カーボンナノ構造体を製造するカーボンナノ構造体製造装置であって、
化学蒸着に適した熱的環境を形成するための加熱反応器と、
前記化学蒸着に用いられる炭素源を前記加熱反応器に供給する炭素源供給部と、
触媒を前記加熱反応器に供給する触媒供給部とを備え、
該触媒は、前記炭素源と混合されて、化学蒸着中に反応することにより、カーボンナノ構造体を生成することを特徴とするカーボンナノ構造体製造装置。 - 前記触媒供給部は、前記触媒をガスフローにより加熱反応器内へ供給することが可能なものであることを特徴とする請求項24記載のカーボンナノ構造体製造装置。
- 前記触媒供給部は、前記触媒を加熱反応器内へ供給する前に、前記触媒を加圧することが可能なものであることを特徴とする請求項24記載のカーボンナノ構造体製造装置。
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