しかしながら、従来の構成に係るケーブルの故障判定システムや故障判定方法では、故障情報の多さによって多数決で故障区間の判定を行うようにしている(多数決論理判定)。このように故障情報、すなわち、ネガティブ情報(悪い情報)のみを取り込むようにしているため、故障区間の絞り込みに限界があるという問題があった。このため、故障情報の累積状況から故障区間の絞り込みを行うものの、ベテラン監視員の経験や勘に頼る部分が多く、故障区間の確定まで時間がかかるという問題があった。また、従来の構成に係るケーブルの故障判定システムや故障判定方法では、各ケーブル心線単位(例えば100芯全部)またはケーブルのうち特定の心線(例えば、100芯のうち、試験用として1本利用)について、検出装置(センサ)が必要となり、大規模なケーブルネットワークの場合、きめ細かく検出装置を配置すると、膨大なコストがかかるという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成でしかも迅速かつ精度よく故障区間の絞り込みを行うことができるとともに、検出装置を全回線に設ける必要がない故障判定システムとその判定方法を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る故障判定システムは、ネットワークの通路情報がデータ化されて格納されたデータベースと、外部からそれぞれ得られたネットワークの故障情報とネットワークの健全情報とを中央演算処理装置に入力する入力手段と、入力手段により入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する通路情報を呼び出すとともに呼び出された通路情報を表示装置の画面に表示する呼出し手段と、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく通路情報と上記健全情報に基づく通路情報とに対し、入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間を絞り込んで判定する判定手段とを備えるとともに、判定手段は1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示す通路を故障区間と判定するようにしたものである。
請求項1に係る故障判定システムでは、ネットワークの通路情報がデータ化されて格納されたデータベースと、外部からそれぞれ得られたネットワークの故障情報とネットワークの健全情報とを中央演算処理装置に入力する入力手段と、入力手段により入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する通路情報を呼び出すとともに呼び出された通路情報を表示装置の画面に表示する呼出し手段と、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく通路情報と上記健全情報に基づく通路情報とに対し、入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間を絞り込んで判定する判定手段とを備えるとともに、判定手段は1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示す通路を故障区間と判定するようにしたことにより、入力手段によりネットワークの故障情報とネットワークの健全情報とがそれぞれ中央演算処理装置に入力されると、入力された故障情報と健全情報とに基づいてデータベースから上記各情報に対応する通路情報が判定手段により呼び出される。それぞれ呼び出された上記故障情報に基づく通路情報と上記健全情報に基づく通路情報とに対し、判定手段により入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間が絞り込まれ故障区間の候補として判定される。このため、故障情報が多く健全情報が少ない通路について故障区間である可能性が高くなり、健全情報が多数の故障情報から確実な故障情報のみを選別することになり、絞り込みの精度が向上する。また、プログラムロジックが簡素化され、判定時間が短縮化される。
また、請求項2に係る故障判定システムは、ネットワークが、それぞれ網状に構成されたケーブルネットワーク、通信ネットワーク、エネルギー供給系ネットワーク、原料供給系ネットワークおよび水道系ネットワーク、並びにそれぞれ樹形状に構成されたケーブル回線、通信回線、エネルギー供給系パイプライン、原料供給系パイプラインおよび水道系パイプラインのうちいずれかを含むようにしたものである。
請求項2に係る故障判定システムでは、ネットワークが、それぞれ網状に構成されたケーブルネットワーク、通信ネットワーク、エネルギー供給系ネットワーク、原料供給系ネットワークおよび水道系ネットワーク、並びにそれぞれ樹形状に構成されたケーブル回線、通信回線、エネルギー供給系パイプライン、原料供給系パイプラインおよび水道系パイプラインのうちいずれかを含むようにしているので、故障区間絞り込みの適用範囲が多種のネットワークに拡大され汎用性が増す。
請求項3に係る故障判定方法はデータベースにネットワークの通路情報をデータ化して格納し、外部からそれぞれ得られたネットワークの故障情報とネットワークの健全情報とを入力手段により中央演算処理装置に順次入力し、呼出し手段により入力手段から入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する通路情報を呼び出すとともに呼び出された通路情報を表示装置の画面に表示し、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく通路情報と上記健全情報に基づく通路情報とに対し、判定手段により入力手段から入力される故障情報に基づいて1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、故障区間を絞り込む第1のステップと、第1のステップで絞り込まれた故障区間に対し、上記判定手段により上記入力手段から入力される健全情報に基づいて1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示す通路を故障区間と判定する第2のステップとを有するようにしたものである。
請求項3に係る故障判定方法では、データベースにネットワークの通路情報をデータ化して格納し、外部からそれぞれ得られたネットワークの故障情報とネットワークの健全情報とを入力手段により中央演算処理装置に順次入力し、呼出し手段により入力手段から入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する通路情報を呼び出すとともに呼び出された通路情報を表示装置の画面に表示し、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく通路情報と上記健全情報に基づく通路情報とに対し、判定手段により入力手段から入力される故障情報に基づいて1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、故障区間を絞り込む第1のステップと、第1のステップで絞り込まれた故障区間に対し、上記判定手段により上記入力手段から入力される健全情報に基づいて1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示す通路を故障区間と判定する第2のステップとを有するようにしたので、第1のステップで故障情報の多寡により絞り込まれた故障区間に対し、第2のステップで健全情報の多寡に基づいてさらに絞り込まれて判定されるので、判定精度が向上する。しかも、経時的に累積した故障情報と健全情報とを用いるので判定材料としての情報量を増大させることができ、故障情報の件数が多く健全情報の件数が少ない通路について故障区間である可能性が高くなる。従って、健全情報が多数の故障情報から確実な故障情報のみを選別することになり、絞り込みの精度が向上し、判定の確実性が増大する。また、時間の経過に従って判定の根拠となる情報量を増大させることができる。さらに、プログラムロジックが簡素化され、判定時間が短縮化される。
請求項4に係る故障判定システムは、ケーブルの回線情報がデータ化されて格納されたデータベースと、外部からそれぞれ得られたケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とを中央演算処理装置に入力する入力手段と、入力手段により入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する回線情報を呼び出すとともに呼び出された回線情報を表示装置の画面に表示する呼出し手段と、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく回線情報と上記健全情報に基づく回線情報とに対し、入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間を絞り込んで判定する判定手段とを備えるとともに、判定手段は1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示すケーブルを故障区間と判定するようにしたものである。
請求項4に係る故障判定システムでは、ケーブルの回線情報がデータ化されて格納されたデータベースと、外部からそれぞれ得られたケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とを中央演算処理装置に入力する入力手段と、入力手段により入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する回線情報を呼び出すとともに呼び出された回線情報を表示装置の画面に表示する呼出し手段と、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく回線情報と上記健全情報に基づく回線情報とに対し、入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間を絞り込んで判定する判定手段とを備えるとともに、判定手段は1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示すケーブルを故障区間と判定するようにしたことにより、入力手段によりケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とがそれぞれ中央演算処理装置に入力されると、入力された故障情報と健全情報とに基づいてデータベースから上記各情報に対応する回線情報が呼出し手段により呼び出される。呼び出された回線情報は表示装置の画面に表示される。呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく回線情報と上記健全情報に基づく回線情報とに対し、判定手段により入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間が絞り込まれ故障区間の候補として判定される。このため、故障情報が多く健全情報が少ないケーブルについて故障区間である可能性が高くなり、健全情報が多数の故障情報から確実な故障情報のみを選別することになり、絞り込みの精度が向上する。また、プログラムロジックが簡素化され、判定時間が短縮化される。
請求項5に係る故障判定システムは、ケーブルの故障情報を、ネットワーク監視システムから送られてくる回線故障情報と、利用者から送られてくる苦情申告情報と、利用者に問い合わせて確認した故障確認情報と、回線の故障テストにより送られてくる故障テスト結果情報とのうち少なくともいずれか1つの情報により構成し、ケーブルの健全情報を、ネットワーク監視システムから送られてくる故障の非通知情報と、利用者に問い合わせて確認した健全確認情報と、回線の故障テストにより送られてくる故障テスト結果情報とのうち少なくともいずれか1つの情報により構成したものである。
請求項5に係る故障判定システムでは、ケーブルの故障情報を、ネットワーク監視システムから送られてくる回線故障情報と、利用者から送られてくる苦情申告情報と、利用者に問い合わせて確認した故障確認情報と、回線の故障テストにより送られてくる故障テスト結果情報とのうち少なくともいずれか1つの情報により構成し、ケーブルの健全情報を、ネットワーク監視システムから送られてくる故障の非通知情報と、利用者に問い合わせて確認した健全確認情報と、回線の故障テストにより送られてくる故障テスト結果情報とのうち少なくともいずれか1つの情報により構成したことにより、情報量を増大させることができ、精度が向上する。
請求項6に係る故障判定システムは、データベースに格納された回線情報について関連付けられた系統図を図面系データとして格納するとともに入力手段により入力された回線についての情報と判定手段により判定された判定結果を記憶する記憶手段を設け、呼出し手段を、これらデータベースと記憶手段とに格納されたデータに基づいて表示装置の画面上に回線情報と系統図とのうち少なくともいずれか一方を表示させるように構成するとともに、表示された回線情報と系統図との少なくともいずれか一方に対し入力手段により入力される各情報に基づいて各情報の累積状況を表示させるように構成したものである。
請求項6に係る故障判定システムでは、データベースに格納された回線情報について関連付けられた系統図を図面系データとして格納するとともに入力手段により入力された回線についての情報と判定手段により判定された判定結果を記憶する記憶手段を設け、呼出し手段を、これらデータベースと記憶手段とに格納されたデータに基づいて表示装置の画面上に回線情報と系統図とのうち少なくともいずれか一方を表示させるように構成するとともに、表示された回線情報と系統図との少なくともいずれか一方に対し入力手段により入力される各情報に基づいて各情報の累積状況を表示させるように構成したことにより、故障区間の判定結果が系統図上に情報の累積状況に応じて表示されるので、運用者による故障区間確定の作業がしやすい。
請求項7に係る故障判定システムは、判定手段による判定結果が表示された画面上の系統図について、故障の可能性が高い順に表示のしかたを異ならせて表示したものである。
請求項7に係る故障判定システムでは、判定手段による判定結果が表示された画面上の系統図について、故障の可能性が高い順に表示のしかたを異ならせて表示したことにより、一目で故障の可能性が高いケーブルの区間を見つけることができ、運用者が故障区間を確定する作業がしやすい。
請求項8に係る故障判定システムは、判定を行う時間帯についてケーブルの作業に起因する情報を判定から除外するマスク手段を設けたものである。
請求項8に係る故障判定システムでは、判定を行う時間帯についてケーブルの作業に起因する情報を判定から除外するマスク手段を設けたことにより、ケーブルの故障情報と健全情報とを、ケーブルの保守作業や計画作業に起因する故障情報から切り離すことができるので、実際の故障のみを確実に捉えることができる。
請求項9に係る故障判定システムは、外部から送られてくる故障情報または健全情報に対し、設置場所から対応する回線情報を検索し、検索結果を中央演算処理装置に入力する設置場所検索手段と、外部から送られてくる故障情報または健全情報に対し、利用者から対応する回線情報を検索し、検索結果を中央演算処理装置に入力する利用者検索手段とを備えるようにしたものである。
請求項9に係る故障判定システムでは、外部から送られてくる故障情報または健全情報に対し、設置場所から対応する回線情報を検索し、検索結果を中央演算処理装置に入力する設置場所検索手段と、外部から送られてくる故障情報または健全情報に対し、利用者から対応する回線情報を検索し、検索結果を中央演算処理装置に入力する利用者検索手段とを備えたことにより、求める回線情報を迅速に入手することができる。
請求項10に係る故障判定方法は、データベースにケーブルの回線情報をデータ化して格納し、外部からそれぞれ得られたケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とを入力手段により中央演算処理装置に順次入力し、呼出し手段により入力手段から入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する回線情報を呼び出すとともに呼び出された回線情報を表示装置の画面に表示し、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく回線情報と上記健全情報に基づく回線情報とに対し、判定手段により入力手段から入力される故障情報に基づいて1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、故障区間を絞り込む第1のステップと、第1のステップで絞り込まれた故障区間に対し、上記判定手段により上記入力手段から入力される健全情報に基づいて1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示すケーブルを故障区間と判定する第2のステップを有するようにしたものである。
請求項10に係る故障判定方法では、データベースにケーブルの回線情報をデータ化して格納し、外部からそれぞれ得られたケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とを入力手段により中央演算処理装置に順次入力し、呼出し手段により入力手段から入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する回線情報を呼び出すとともに呼び出された回線情報を表示装置の画面に表示し、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく回線情報と上記健全情報に基づく回線情報とに対し、判定手段により入力手段から入力される故障情報に基づいて1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、故障区間を絞り込む第1のステップと、第1のステップで絞り込まれた故障区間に対し、上記判定手段により上記入力手段から入力される健全情報に基づいて1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示すケーブルを故障区間と判定する第2のステップを有するようにしたことにより、第1のステップで故障情報の多寡により絞り込まれた故障区間に対し、第2のステップで健全情報の多寡に基づいてさらに絞り込まれて判定されるので、判定精度が向上する。しかも、経時的に累積した故障情報と健全情報とを用いるので判定材料としての情報量を増大させることができ、故障情報の件数が多く健全情報の件数が少ないケーブルについて故障区間である可能性が高くなる。従って、健全情報が多数の故障情報から確実な故障情報のみを選別することになり、絞り込みの精度が向上し、判定の確実性が増大する。また、時間の経過に従って判定の根拠となる情報量を増大させることができる。さらに、プログラムロジックが簡素化され、判定時間が短縮化される。
請求項11に係る故障判定方法は、判定後、判定され確定された故障区間について、次の判定時には、この判定され確定された故障区間を除外して判定が行われるようにしたものである。
請求項11に係る故障判定方法では、判定後、判定され確定された故障区間について、次の判定時には、この判定され確定された故障区間を除外して判定が行われるようにしたことにより、たとえ故障が複数重なる多重故障の場合であっても対応することができる。
請求項12に係る故障判定方法は、除外された故障区間について、除外を解除して判定が行われるようにしたものである。
請求項12に係る故障判定方法では、除外された故障区間について、除外を解除して判定が行われるようにしたことにより、たとえ一旦除外された故障区間であっても、除外を解除して再び判定が行われるので、復旧処理や苦情のリアル情報に対し、復旧の判定を行うことができる。
請求項1に係る故障判定システムでは、ネットワークの通路情報がデータ化されて格納されたデータベースと、外部からそれぞれ得られたネットワークの故障情報とネットワークの健全情報とを中央演算処理装置に入力する入力手段と、入力手段により入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する通路情報を呼び出すとともに呼び出された通路情報を表示装置の画面に表示する呼出し手段と、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく通路情報と上記健全情報に基づく通路情報とに対し、入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間を絞り込んで判定する判定手段とを備えるとともに、判定手段は1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示す通路を故障区間と判定するので、簡素な構成でしかも迅速かつ精度よく故障区間の絞り込みを行うことができる。
請求項3に係る故障判定方法では、データベースにネットワークの通路情報をデータ化して格納し、外部からそれぞれ得られたネットワークの故障情報とネットワークの健全情報とを入力手段により中央演算処理装置に順次入力し、呼出し手段により入力手段から入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する通路情報を呼び出すとともに呼び出された通路情報を表示装置の画面に表示し、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく通路情報と上記健全情報に基づく通路情報とに対し、判定手段により入力手段から入力される故障情報に基づいて1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、故障区間を絞り込む第1のステップと、第1のステップで絞り込まれた故障区間に対し、上記判定手段により上記入力手段から入力される健全情報に基づいて1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示す通路を故障区間と判定する第2のステップとを有するようにしたので、時間の経過に従い順次ケーブルの情報が累積され、判定の材料となる情報量が増大し、故障区間の絞り込みをより精度よく行うことができる。
請求項4に係る故障判定システムでは、ケーブルの回線情報がデータ化されて格納されたデータベースと、外部からそれぞれ得られたケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とを中央演算処理装置に入力する入力手段と、入力手段により入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する回線情報を呼び出すとともに呼び出された回線情報を表示装置の画面に表示する呼出し手段と、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく回線情報と上記健全情報に基づく回線情報とに対し、入力手段からそれぞれ入力される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間を絞り込んで判定する判定手段とを備えるとともに、判定手段は1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示すケーブルを故障区間と判定するので、簡素な構成でしかも迅速かつ精度よく故障区間の絞り込みを行うことができる。
請求項10に係る故障判定方法では、データベースにケーブルの回線情報をデータ化して格納し、外部からそれぞれ得られたケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とを入力手段により中央演算処理装置に順次入力し、呼出し手段により入力手段から入力された各情報に基づいてデータベースから上記各情報に対応する回線情報を呼び出すとともに呼び出された回線情報を表示装置の画面に表示し、この呼出し手段によりそれぞれ呼び出された上記故障情報に基づく回線情報と上記健全情報に基づく回線情報とに対し、判定手段により入力手段から入力される故障情報に基づいて1件の故障情報ごとに所定の数値を加算し、故障区間を絞り込む第1のステップと、第1のステップで絞り込まれた故障区間に対し、上記判定手段により上記入力手段から入力される健全情報に基づいて1件の健全情報ごとに所定の数値を減算し、これら加算と減算とにより得られた値に基づいて最も高い数値を示すケーブルを故障区間と判定する第2のステップを有するようにしたので、時間の経過に従い順次ケーブルの情報が累積され、判定の材料となる情報量が増大し、故障区間の絞り込みをより精度よく行うことができる。
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る故障判定システムのシステム構成図であり、図2は該システムの概念説明図である。本実施の形態に係る故障判定システムは、図1に示すように、キーボードやマウス等の入力装置(入力手段)3と、CRT画面に表示するとともに必要に応じてプリンタによりプリントする表示装置4と、入力装置3により表示装置4を通じて処理を実行するコンピュータ(中央演算処理装置)2と、このコンピュータ2と電気的に接続され回線情報等のデータベース6を管理するデータベース管理システム5とを備えたコンピュータシステムにより構成される。コンピュータ2はCPU2Aと、制御プログラムが書き込まれたメインメモリ2Bとを備えている。データベース管理システム5は、データベース6と制御プログラムが書き込まれるとともに記憶部を有するサーバー(記憶手段)7とを備えている。サーバー7には、既存の通信ネットワーク監視システム(入力手段)9が電気的に接続される。なお、データベース6は、既存の通信ネットワーク監視システム9に備えられている場合、そのデータベースを用いるようにしてもよいが、ない場合、マニュアル入力によりマスターデータベースを作成する。なお、以下、回線情報とは構成部がケーブルであるものをいう。コンピュータ2とサーバー7は、それぞれに格納された制御プログラムに基づいて相互に連携してデータの処理を行うようになっている。ここでいう通信ネットワーク監視システム9は、通信ネットワーク監視ホストサーバー、通信機器センサおよび通信ネットワークを備えているものをいう。
本実施の形態に係る故障判定システムでは、一例として、通信ケーブルおよび通信ネットワークの運用管理システムにおけるコンピュータによる故障判定システムについて述べるが、通信ケーブルおよび通信ネットワークに限られるものではなく、後述するようにネットワークの運用管理システム一般に適用可能である。ここでいうネットワークには、それぞれ網状に構成されたケーブルネットワーク(回線ネットワーク、光回線ネットワーク等)、通信ネットワーク(IP通信網等)、エネルギー供給系ネットワーク(電力供給系ネットワーク、ガス供給系ネットワーク、液状燃料供給系ネットワーク)、原料供給系ネットワーク(化学材料供給系ネットワーク)および水道系ネットワーク、並びにそれぞれ樹形状に構成されたケーブル回線、通信回線、エネルギー供給系パイプライン、原料供給系パイプラインおよび水道系パイプラインのうちいずれかを含む。
データベース管理システム5に格納されたデータベース管理ファイル5Aには、図2に示すように、マスターデータとして回線情報データが格納される回線情報ファイル6が含まれる。また、データベース管理ファイル5Aには、設備系データファイル7も含まれる。設備系データは、データベース管理ファイル5Aに格納され、所定のコードによりデータ化されたデータであって、ケーブル、心線、ケーブル間の接続関係、一心線毎の接続関係、メカニカルクロージャ等の回線・設備に関するデータのことをいう。本実施の形態では、心線収容内訳データとして格納されている。回線情報は、上記設備系データが表示装置4の画面上で内訳あるいは詳細情報として作業者に視覚上識別可能に表示された文字または数字による情報であって、構成部がケーブルであるものをいう。また、データベース管理ファイル5Aには、図2に示すように、異なる管理エリアに応じて図面のエリアを分け、ケーブルを運用管理する単位に分けている管理箇所ファイル13、設置場所の情報を納めた設置場所ファイル14および心線の収容内訳および心線の情報を含む展開ファイル15(図5参照)を備えている。この展開ファイル15は、故障区間が発生したケーブルの心線収容内訳と各心線の異常状態を記述するようになっている。
図面系データには、データベース管理ファイル5Aの系統図ファイル10に格納され、予め決められた2軸の平面座標系からなる系統図データが含まれる。この系統図ファイル10には、図面位置情報ファイル11に格納され少なくとも予め決められた2軸の座標系からなる系統図上に設備設置場所の情報を所定の記号で設備設置場所に応じた座標情報に基づいて描画される図面位置データと、系統図ファイル10の図面線分情報ファイル12に格納され設備設置場所間の回線の情報を系統図中の線分として上記図面位置データの座標情報に基づいて描画される図面線分データとが含まれる。ここでいう設備設置場所(ノード)とは、通信回線のケーブルを中継する局や事業所およびメカニカルクロージャの設置箇所をいう。系統図におけるシンボルは、小円または四角の枠が設備設置場所を、線分がケーブルを示すものとする。
これらデータや情報が格納された各ファイル6、7、11〜15は、入力装置3からの指令に基づき、図4ないし図7に示すようにビューア機能により表示装置4に所定のデータが表示されるようになっている。表示されるデータは内容により画像処理されて表示される。ビューア機能は、データベース管理ファイル5Aに格納された図面系データの各ファイル11、12に基づいて、系統図と、系統図上に設備設置場所および設備設置場所間を結ぶ回線とを関連付けてグラフィカルに表示し、系統図をユーザインターフェースとして用いることができるようになっている。
例えば、表示装置4の画面に、図示はしないが、系統図を幹線・加入者系統図で表示したり、単線結線図(回線構成図)で表示したりすることができるようになっている。また、このビューア機能は、図5および図6に示すように、回線情報や設備系データ(心線収容内訳)を表示装置4の画面に表示させることができるようになっている。
ところで、入力装置3は、外部から得られたケーブルの故障情報とともに、外部から得られた健全情報(ケーブルに異常がないことを知らせる情報)をもコンピュータ2に入力するようになっている。また、コンピュータ2は、通信ネットワーク監視システム9から送信されてくるケーブルの故障情報(異常を通知するアラーム情報)ととともにケーブルの故障の非通知情報(異常がない状態を通知するアラームの非通知情報、すなわち健全情報)を収集するようになっている。以下、通信ネットワーク監視システム9から送信されてくるケーブルの故障の非通知情報、または異常がない状態を通知するアラームの非通知情報を、通信ネットワーク監視システム9から送信されてくる健全情報という。入力装置3により入力されるケーブルの故障情報は、例えば、(i)ケーブルまたはネットワークの利用者(顧客)から送られてくる苦情申告情報、(ii)故障判定システムの運用者(監視者)がケーブルまたはネットワークの利用者に対して回線の状況を問い合わせその結果確認できたケーブルの故障情報または(iii)ケーブルの故障テストにより送られてくる故障テストの故障結果情報(故障情報)のうち少なくともいずれか1つの情報である。入力装置3により入力されるケーブルの健全情報は、例えば、(i)故障判定システムの運用者(監視者)がケーブルまたはネットワークの利用者に対して回線の状況を問い合わせその結果確認できたケーブルの健全情報または(ii)ケーブルの故障テストにより送られてくる故障テストの健全結果情報(健全情報)のうち少なくともいずれか1つの情報である。故障テストとは、回線の故障に伴うテストで、例えば、検査作業員が現地に出かけて測定器により行うテストや、遠隔の検査対象箇所に所定の周波数の信号を送信し、検査対象箇所の機器からの結果情報を得るようにしたテストなどをいう。
コンピュータ2は、通信ネットワーク監視システム9が運用上得たケーブルの故障情報と健全情報(故障の非通知情報)とを、サーバー7を介して収集するようになっている。このため、コンピュータ2には、ケーブルの故障情報と健全情報とがそれぞれ入力装置3だけでなく通信ネットワーク監視システム9からも時間の流れに従って順次入力されるようになっている。また、コンピュータ2は、通信ネットワーク監視システム9が運用上得た後述する作業によるマスク情報を、サーバー7を介して収集するようになっている。
コンピュータ2のメインメモリ2Bおよびサーバー7にそれぞれ格納された制御プログラムは、入力装置3からの指令に基づき、データベース6とサーバー7とにそれぞれ格納され互いに関連付けられた回線情報データ6と設備系データ7と図面系データ(系統図ファイル10)とをリンクさせ、リンクされた系統図または回線情報・設備情報のうち少なくともいずれか一方を呼び出して表示装置4の画面に表示させる監視システム等連携プログラム(呼出し手段)21と、この監視システム等連携プログラム21により呼び出された回線情報に対し、まず、入力装置3または外部の通信ネットワーク監視システム9から入力されるある特定のケーブルの故障情報に基づいて、故障区間を絞り込み、次に、入力装置3または外部の通信ネットワーク監視システム9から入力される上記特定のケーブルの健全情報(故障の非通知情報)に基づいて、故障区間を絞り込み、故障区間の候補を判定するケーブル故障区間判定プログラム(判定手段)22とを有している。サーバー7とコンピュータ2はそれぞれに格納された制御プログラムに基づいて、相互に連携するようになっている。なお、本実施の形態では、コンピュータ2(端末側)では、表示装置4により表示のみ行い、データ・判定プログラムはサーバー7で動作するようになっている。
このケーブル故障区間判定プログラム22は、入力装置3または外部の通信ネットワーク監視システム9からケーブルの状況情報(故障情報および健全情報)が入力されると、そのケーブルについて1件の故障情報ごとに数値+1をカウントし、1件の健全情報ごとに数値−1をカウントし、時間の経過とともに増大するこれらカウントにより得られた値に基づいて、最も高い数値を示すケーブルを故障区間と判定するようになっている。このようにケーブル故障区間判定プログラム22では、判定にシンプルな多数決論理判定を用いるようになっており、プログラムロジックを軽減するようになっている。
ケーブル故障区間判定プログラム22により故障区間と判定されたケーブルは、図7に示すように、監視システム等連携プログラム21により判定結果が、系統図または回線情報の少なくともいずれか一方により画面上に表示される。判定結果として表示された画面上の系統図は、故障の可能性が高い順に色彩を異ならせて表示されるようになっている。つまり、故障区間の判定結果を系統図上で最も可能性の高い順に、例えば、赤、橙、黄、緑の4段階に分けて視覚的に判別し易くしている。このように、故障区間の判定結果が系統図上に表示されるので、故障判定システムの運用者による故障区間確定の作業がしやすい。
また、メインメモリ2Bおよびサーバー7にそれぞれ格納された制御プログラムは、図4に示すように、ネットワーク監視システム9から収集されるかまたは入力装置3により入力された故障情報または健全情報(ネットワーク監視システム9から収集される場合は故障の非通知情報)を、故障判定システムの運用者が設置場所から検索し、設置場所から判明した故障情報または健全情報をコンピュータ2に入力する設置場所情報検索プログラム(設置場所検索手段)25と、運用者が苦情申告情報または問い合わせにより入手した利用者の名前から、データベース6に格納された当該利用者の回線情報を検索し、利用者から判明した故障情報または健全情報をコンピュータ2に入力する顧客検索プログラム(利用者検索手段)26とを有している。
本実施の形態に係る故障判定システムでは、この故障判定システムにより得られた故障区間の判定結果から、故障判定システムの運用者(監視者)が最終的に故障区間を確定するようになっている。そして、運用者がある故障区間を確定すると、この故障判定システムでは、その故障区間に収容されているケーブル(故障の警報のないものも含む。)から情報を整理して影響の度合いを表示装置4の画面に表示して運用者に知らせるようになっている。
また、メインメモリ2Bおよびサーバー7に格納された制御プログラムには、判定を行う時間帯についてケーブルの保守作業に起因する情報を隠す作業マスクプログラム(マスク手段)23が含まれる。この作業マスクプログラム23は、故障区間の判定作業時、保守作業による影響を避けるためのもので、判定を行う時間帯についてケーブルの保守作業に起因する情報を隠すことにより、故障区間の判定について精度を向上させるようになっている。すなわち、入力されるケーブルの故障情報と健全情報とを、保守作業に起因する故障情報から切り離すことができるので、実際の故障のみを確実に捉えることができる。作業のマスク情報は、既存の通信ネットワーク監視システム9から入手するようにしている。既存の通信ネットワーク監視システム9がない場合、保守作業時について判定作業を停止する管理機能を付加するようにしてもよい。
さらに、メインメモリ2Bおよびサーバー7にそれぞれ格納された制御プログラムは、故障区間の除外および除外された故障区間の解除を行う除外・除外解除プログラム24を有している。この除外・除外解除プログラム24は、判定後、運用者により確定された故障区間について、次の判定時には、この確定された故障区間を除外して判定が行われるようにしている。このため、たとえ故障が複数重なる多重故障の場合であっても対応することができるようになっている。また、この除外・除外解除プログラム24は、上記確定され除外された故障区間について、除外を解除して判定を行うこともできるようになっている。このため、たとえ一旦確定され除外された故障区間であっても、除外を解除して再び判定が行われるので、復旧処理や苦情のリアル情報に対し、復旧の判定を行うことができる。
また、データベース6は、図5に示すように、心線の収容内訳および心線の情報を含む展開ファイルを備えている。この展開ファイルは、故障区間が発生したケーブルの心線収容内訳と各心線の異常状態を記述するようになっている。データベース6に展開ファイルを持たせることにより、判定結果後、遅れて発生した故障情報(故障が継続しているもの)についても集約処理できるようにしている。
本実施の形態に係る故障判定システムでは、コンピュータ2に入力されたケーブルの故障情報、健全情報、プログラムにより判定された判定結果および運用者により確定された故障区間とその故障区間に関連する情報(系統図、回線情報、設備情報等)はそれらの時間の記録とともにサーバー7に記憶されるようになっている。
このように、上記実施の形態に係る故障判定システムでは、入力または収集された故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間が絞り込まれ故障区間の候補として判定されるようになっている。このため、故障情報が多く健全情報が少ないケーブルについて故障区間である可能性が高くなり、健全情報が多数の故障情報から確実な故障情報のみを選別することになり、絞り込みの精度が向上するようになっている。
次に、本発明に係る故障判定方法について上記実施の形態に係る故障判定システムの作用に基づいて説明する。まず、コンピュータ2により故障判定システムを起動させると、図4に示すように、表示装置4の画面に初期画面が表示される。この初期画面には、「故障回線一覧」のタイトルで「故障判定開始時刻」、「回線選択」、「回線一覧」Aの欄が表示される。コンピュータ2は、通信ネットワーク監視システム9から、常時、リアルタイムで送られてくるケーブルの状況情報(故障情報と健全情報)を収集し図4の「回線一覧」Aの欄に表示する(図2および図3の経路P1参照)。
例えば、あるケーブルの運用管理単位が示された図面について、図15に示すように、通信ネットワーク監視システム9から故障情報が何も収集されず(図15の例えば光端局装置FE1ないしFE6の各センサについてアラーム警報のない状態(OFFで表示)参照)、しかも利用者からの苦情もない場合には、この運用管理単位のケーブルネットワークは正常と判定される。
ところで、通信ネットワーク監視システム9から故障情報が収集されると、図4の「回線一覧」Aの欄に表示された各ケーブルについて、回線状態が故障情報を示す「×」として表示される(健全情報は「〇」で表示される。)。このケーブルの故障情報はリアルタイムでその都度追加されて表示される。入力される回線情報(故障情報または健全情報)は、図4の「回線選択」Bの欄に表示される「故障回線」または「健全回線」を選択することにより入力されるようになっている。
このとき、故障判定システムの運用者は、通信ネットワーク監視システム9からの状況情報だけでなく、他の手段により得られた状況情報を任意に追加して「回線一覧」Aの欄に加えることができるようになっている。すなわち、運用者がケーブルの故障テストを任意に行いその故障テストの結果を入力装置3を介してコンピュータ2に入力することもできるようになっている。
故障判定システムの運用者が、外部から入手したケーブルの状況情報(故障情報および健全情報)について設置場所から該当する回線を検索する場合には、図4に示す「故障回線一覧」の表示画面から「設置場所検索」Cボタンをクリックし、入手した設置場所の名前から、データベース6に格納されたデータに基づいて図6に示す回線情報入力画面の「管理箇所」Hの欄に管理箇所の一覧が表示される。この図6に示す回線情報入力画面の「設置場所」Iの欄には、「管理箇所」Hの欄で選択した管理箇所に対応する管理箇所下の設置場所の一覧が表示される。図6に示す回線情報入力画面の「回線一覧」Jの欄には、上記「設置場所」Iの欄で選択した設置場所に存在する回線が表示される。この「回線一覧」Jの欄に表示された回線から、故障情報または健全情報をコンピュータ2に入力するようになっている。
また、故障判定システムの運用者が、ケーブルまたはネットワークの利用者(顧客)に通信手段(電話、E-mail、コンピュータ・ネットワーク)によりケーブルの状態を問い合わせ、その問い合わせ結果をケーブルの状況情報として入力装置3を介して入力するようになっている。運用者が利用者に問い合わせたり、利用者から苦情申告情報(故障情報)を受けた場合、利用者から該当するケーブルを探し出すため、図4に示すように、「故障回線一覧」の表示画面から「お客様検索」Dボタンをクリックし、入手した利用者の名前から、データベース6に格納された当該利用者の回線情報を検索し、利用者から判明した故障情報または健全情報をコンピュータ2に入力するようになっている。なお、運用者が利用者に問い合わせその結果を収集する場合、入力装置3を介することなく、コンピュータネットワーク(イントラネット、LAN等)を通じて自動的に回線情報を収集するようにしてもよい。
さらに、上述の通信ネットワーク監視システム9からの状況情報、運用者が任意に実施したケーブルの故障テストの結果情報、利用者に問い合わせた結果情報の他に、運用者は利用者からの一方的な苦情申告情報を故障情報として入力装置3を介して入力することもできるようになっている。
このように、得られた故障情報に基づいてこれら故障情報が、通信ネットワーク監視システム9からサーバー7へ、または運用者により入力装置3を介してコンピュータ2に入力されると、上記運用管理単位のケーブルネットワーク(図15参照)について、図16に示すように、例えば、どの光端局装置(図16の例では、FE1とFE2とのセンサがON)からアラーム警報を受け取ったかに基づいて、それら光端局装置FE1−FE2間に存在する各ケーブル(図16の例では、CBL1とCBL2)に対し、ケーブルごとに、1件の故障情報につき数値+1をカウントし、時間の経過とともにこれらカウントされた値を累積する(図16の「仮計」参照、図16では、所定時間内に1件の故障情報の例を示している。)。そして、累積により得られた値に基づいて、高い数値を示すケーブルを故障区間と判定するようになっている。図16の例では、CBL1とCBL2がそれぞれ+1で他の0より高い数値となっており、故障区間と判定される(第1のステップ)。
ところで、この実施の形態に係る故障判定システムでは、従来の故障判定システムが、ケーブルの状況情報のうち故障情報のみ入力しているのに対し、通信ネットワーク監視システム9からのリアルタイムの状況情報、運用者が任意に実施したケーブルの故障テストの結果情報、利用者に問い合わせた結果情報について、故障情報とともに健全情報をも収集または入力するようにしている。すなわち、従来のような故障情報のみ入手して故障区間を判定する場合、情報量が少なく的確な故障区間の判定が難しいという側面があったのに対し、本願発明では、情報量を増やすだけでなく故障情報とともに健全情報を入手することにより情報の質的向上を図るようにしている。
ケーブルの故障情報とケーブルの健全情報とがそれぞれコンピュータ2に入力されると、入力された故障情報と健全情報とに基づいてデータベース6から上記故障情報と健全情報に対応する回線情報が監視システム等連携プログラム21により呼び出され、呼び出された回線情報は時間に従って順次表示装置4の画面に表示される。こうして、例えば、まずケーブルの故障情報がコンピュータ2に入力される場合、図4に示すように、「故障回線一覧」の「回線一覧」Aの欄に通信ネットワーク監視システム9からのリアルタイムの故障情報、運用者が任意に実施したケーブルの故障テストの故障結果情報、利用者に問い合わせた結果確認された故障情報、利用者からの苦情申告情報(故障情報)のうち入手できたものを回線一覧として回線の名称と状態を表示する。このとき、回線の詳細を知りたい場合、「回線一覧」A中の所望の回線名称をクリックすると、図5に示すように、心線収容内訳画面や、図7に示すように、系統図表示画面が表示されるようになっている。
次に、図4の「回線一覧」Aの欄に表示された故障情報に基づいた回線名称に対し、ケーブルの健全情報がそれぞれコンピュータ2に入力されると、ケーブル故障区間判定プログラム22により「回線一覧」Aに含まれるケーブルすべてについて、ケーブルごとに、1件の故障情報につき数値+1をカウントし、1件の健全情報につき数値−1をカウントし、時間の経過とともに増大するこれらカウントにより得られた値に基づいて、最も高い数値を示すケーブルを最終的な故障区間と判定するようになっている。
すなわち、運用者が利用者に問い合わせた結果得られた健全情報や故障テストの結果得られた健全情報が、運用者により入力装置3を介してコンピュータ2に入力されると、図17に示すように、上記運用管理単位のケーブルネットワーク(図15および図16参照)について、例えば、どの光端局装置(図17の例では、FE1、FE3、FE4)から健全情報を受け取ったかに基づいて、それら光端局装置FE1−FE3、FE1−FE4間に存在する各ケーブル(図17の例では、CBL1−CBL3、CBL1−CBL4)に対し、ケーブルごとに、1件の健全情報につき数値−1をカウントし、時間の経過とともにこれらカウントされた値を累積する(図17の「減算値」参照、図17では、所定時間内に1件の健全情報の例を示している。)。そして、図16に示す故障情報に基づく加算値と図17に示す健全情報に基づく減算値との累積により得られた値に基づいて、最も高い数値を示すケーブルを最終の故障区間と判定するようになっている(第2のステップ)。図17の例では、CBL2が最も高い数値となっており、最終の故障区間と判定される。
ケーブルの故障区間が判定されと、そのケーブルの情報を、図7に示すように、系統図表示画面に系統図として逐次表示するようになっている。図7の系統図上に表示された故障区間判定結果は、系統図上で最も可能性の高い順に、例えば、赤、橙、黄、緑の4段階に視覚的に分けて表示される。このため、作業しやすくなっている。
図7の系統図表示画面には、「系統図」Kの画面に加え、「図面名称」Lの欄と「ケーブル名称」Mの欄が表示される。「ケーブル名称」Mの欄には、図4に示す初期画面の「回線一覧」Aの欄に表示されている回線から任意の回線を選択すると、その回線の構成ケーブルの一覧を表示するようになっている。また、この図7の系統図表示画面は、時間の経過に伴い順次累積されてゆく故障情報と健全情報とを系統図上に逐次表示してゆく際、最も故障の可能性が高いケーブルが属する図面を優先的に表示してゆくようになっている。その図面の名称は図7の系統図表示画面の「図面の名称」Lの欄に表示される。
図5の心線収容内訳画面には、「ケーブル心線内訳」Fの欄に、図7の系統図表示画面の系統図上から任意のケーブルを選択しそのケーブルの心線収容内訳を表示することができるようになっている。そして、表示された心線収容内訳から収容されている回線を選択し、故障区間を判定するための新たな材料として追加し、故障回線または健全回線として入力することができるようになっている(図5の「異常・正常」G欄参照)。心線収容内訳より故障または健全の回線情報を入力した場合も、その情報はコンピュータ2に取り込まれて処理され、再度判定を行い、系統図を更新して表示するようになっている。
ところで、このようにして判定された故障区間の判定結果であっても、故障情報が実際の故障に起因するものか保守作業に起因するものか不明であれば、正確な判定を行うことはできない。このため、作業マスクプログラム23により通信ネットワーク監視システムから入手した作業マスク情報に基づいて判定時間帯における保守作業によるケーブルの情報を隠すようにしている。こうすることにより、故障区間の判定作業時、保守作業による影響を避け、故障区間の判定について精度を向上させることができるようになっている。
故障区間の判定結果が画面に表示されると、運用者は、最終的に故障区間を確定するようになっている。そして、運用者がある故障区間を確定すると、その故障区間に収容されているケーブル(故障の警報のないものも含む。)から情報を整理して影響の度合いを表示装置4の画面に表示して運用者に知らせるようになっている。
また、判定後、運用者により確定された故障区間について、次の判定時には、この確定された故障区間を除外して判定が行われるようにしている。このため、たとえ故障が複数重なる多重故障の場合であっても対応することができる。さらに、上記確定され除外された故障区間について、除外を解除して判定を行うこともできるようになっている。このため、たとえ一旦確定され除外された故障区間であっても、除外を解除して再び判定が行われるので、復旧処理や苦情のリアル情報に対し、復旧の判定を行うことができる。
次に、入力から判定までの具体的な手順について図8ないし図14に基づいて説明する。「設置場所検索」Cボタンを用いて検索入力する手順については、図8に示すように、S1の初期画面で「設置場所検索」Cボタンをクリックすると、S2で図6に示す回線情報入力画面が表示され、「管理箇所」Hの欄に管理箇所の一覧が表示される。次に、管理箇所の一覧からある管理箇所を選択すると、S3で「設置場所」Iの欄に管理箇所下の設置場所一覧が表示される。次に、所望の設置場所を選択して「検索」ボタンをクリックすると、S4で「回線一覧」Jの欄に回線一覧が表示される。次に、S5で回線一覧から所望の回線を選択し、「OK」ボタンをクリックすると、S6で図7に示す系統図表示画面が表示され、入力された回線情報が系統図上に反映され、該当するケーブルの表示色が変化するようになっている。このとき、図7に示す系統図表示画面のうち、「図面名称」Lの欄には、系統図の図面の名称が、「ケーブル名称」Mの欄には、選択された回線のケーブル構成が表示される。画面上、系統図画面の左側には初期画面に選択された回線が表示された回線一覧表示画面が表示される。
「お客様検索」Dボタンを用いて検索入力する手順については、図9に示すように、S11の初期画面で故障回線を入力する場合、「故障回線」にチェックを入れ、健全回線を入力する場合、「健全回線」にチェックを入れる。そして、「お客様検索」Dボタンをクリックすると、S12で顧客名称検索画面が表示され、次に、顧客名称を選択して「検索」ボタンをクリックすると、S13で顧客名称検索画面の下部に顧客に関連する回線の一覧が表示される。次に、S14で入力する回線を選択し「OK」ボタンをクリックすると、S15でS6と同様に図7に示す系統図表示画面と回線一覧表示画面が表示される。
図10は、回線情報の累積による系統図の画面遷移を示すもので、S21で故障の回線情報が入力または送信された場合を示し系統図に反映されている。S22では、新たな故障情報が追加されて入力または送信された場合を示している。ここでは、新たな回線が回線一覧に追加されている。S23ではさらに2つの新たな故障情報が追加されて入力または送信された場合を示し、これらも系統図に反映されている。S24では、引き続いて故障情報が入力され、最も故障の可能性が高いケーブルがある系統図が表示されている。S25では、さらに故障情報が入力または送信されていくうちに再び元の系統図が表示される状態を示している。このように、回線情報が入力されるたびに、系統図上にその回線情報が反映され、個々のケーブルの故障レベルが色分けされて表示され、時間の経過に従って順次更新されるようになっている。ケーブルの色分けは、最も故障レベルが高い順から赤、橙、黄、緑と表示される。また、入力(送信)された回線情報と関係のないケーブルは黒で表示される。系統図は常に最も故障の可能性の高いケーブルがある系統図を表示するため、回線情報が累積される過程で表示される系統図もその都度変化してゆく。
図11は、心線収容内訳からの回線入力手順を示すもので、S31は回線入力前の系統図を示し、この系統図からS32で任意のケーブルを選択して右クリックから心線収容内訳を選択すると、S33で選択したケーブルの心線収容内訳画面(図5参照)が表示される。次に、S34で入力したい回線を選択し、異常・健全のいずれかを選択する。その結果、S35で入力した回線情報が系統図に反映される。
図12は、健全回線の入力による故障区間判定精度の向上を示すもので、S41では、通信ネットワーク監視システム9から故障情報が送信され故障区間の判定を行ったがまだ完全に故障区間が特定できないでいる状態を示している。次に、S42で故障区間をさらに絞り込むため健全情報(健全回線情報)を追加して入力する。ここで回線情報を入力するためケーブルを選択する。次に、S43で心線収容内訳から健全回線を入力する。入力したい回線を選択したら右クリックから「健全」を選択すると、S44で追加した健全回線情報を含め再判定した結果、故障区間を特定できるようになった。回線一覧には、回線の状態が「○」の健全回線が追加表示される。
図13は、運用者の故障区間確定処理による多重故障の判定を示すもので、S51では、故障区間を確定する前の段階を示し、「故障回線の一覧」にはすでにいくつかの回線情報が通信ネットワーク監視システム9から送信され、故障区間が特定できる状態となっている。次に、S52で運用者の判断に基づいて故障区間の確定をするケーブルを選択する。次に、右クリックし、S53で「故障区間の確定」を選択すると、S54では故障区間を確定したケーブルの色がピンクに変わる。次に、S55で確定した区間を通る回線は次回の故障区間判定より除外される。除外される回線の状態は△で表示される。こうして、S56では次の故障区間判定処理で別の故障区間を特定できる(図14の系統図参照)。このとき、故障確定区間はピンクのままで、新たな故障区間は赤で表示される。そして、図示しないが、この確定された故障区間を解除すれば、復旧の判定を行うことができる。
このように、上記実施の形態に係る故障判定システムによる故障判定方法では、図17に示すように、それぞれ順次入力または収集される故障情報の多寡と健全情報の多寡とに基づいて故障区間が絞り込まれ故障区間の候補として判定される。このため、ケーブルの故障情報も健全情報も時間の経過とともにリアルタイムで順次累積されてゆくので、それぞれ経時的に累積した故障情報と健全情報とのうち故障情報が多く健全情報が少ないケーブルについて故障区間である可能性が高くなる。従って、健全情報が多数の故障情報から確実な故障情報のみを選別することになり、絞り込みの精度が向上し、判定の確実度が増大する。
なお、上記実施の形態では、外部からの故障情報および健全情報を、通信ネットワーク監視システム9、運用者が任意に実施したケーブルの故障テストおよび利用者に対する問い合わせた結果から入手するようにしているが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくとも1つの入手先があればよい。また、上記実施の形態では、ケーブルについての故障判定システムとその判定方法について述べているが、ケーブルのみに限定されるものではなく各種の通信ネットワークはもちろん、網状のネットワークで構成された電力系、ガス供給系、石油供給系、化学材料供給系、水道系等の各ネットワークにも、また、樹形状に構成されたエネルギー供給系パイプライン、原料供給系パイプライン、水道系パイプラインにも適用可能であることはいうまでもない。
例えば、エネルギー供給系パイプライン、原料供給系パイプライン、水道系パイプラインでは、バルブ間の配管がケーブルに、配管情報(通路情報)が回線情報にそれぞれ相当し、破損や漏洩による圧力低下や圧力失陥が通報されると、それを故障情報と見なすようにしている。また、IP通信網の場合、上記実施の形態に係る故障判定システムのように、各装置にセンサを設け接点のアラームをひろう必要はなく、末端装置に対して折り返し試験を実施し、不通かどうかを検知するようにすればよい。