JP3858734B2 - 水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機化合物、微生物などの有機物を含む水を処理する装置に関し、特に、濾過膜を用いて水を処理する水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有機化合物、微生物などの有機物を含む水を処理する装置としては、濾過膜を用いて水に含まれる有機化合物、微生物などの有機物を分離除去する装置が知られている。こうした装置は、薬剤や熱源などの二次的影響の恐れがある手段を用いないため、利用しやすいという利点がある一方、濾過膜に有機物(有機化合物、微生物や有機性コロイド)が付着して目詰まりが起こりやすいという問題がある。
【0003】
また、上記水処理装置において、紫外線照射によって水に含まれる有機物や濾過膜に付着した有機物を殺菌あるいは光酸化分解する技術が提案されている。こうした技術としては、例えば、濾過膜に供給される水を紫外線照射する技術(特開昭60−023841号公報)、循環供給される水を紫外線照射する技術(特開昭57−144083号公報)、濾過膜を紫外線照射する技術(特開昭63−291604号公報)などがある。こうした提案により、有機物を殺菌あるいは光酸化分解することにより、濾過膜の目詰まりを抑制するための試みがなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、紫外線照射によって有機物を殺菌あるいは光酸化分解するには、多量な照射エネルギーが必要となり、照射装置が大掛かりとなってコストアップにつながりやすい。
【0005】
また、光触媒(TiO2など)を用いて、有機物の分解効率を高め、これにより濾過膜の目詰まりを抑制する上記従来の技術は、未だその抑制効果が十分でなく、結果として有機物の分解効率の面でも改善すべき点のあるものであった。
【0006】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたものであり、濾過膜の目詰まりを効果的に抑制し、有機物を含む水を効率よく分解し得る水処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。第1の発明は、濾過膜を用いて有機物を含む水を濾過する水処理装置であって、前記水に混合される粉末状の光触媒と、前記水と前記光触媒との混合水を照射する光を発する光源と、前記濾過膜に気体を供給し、前記混合水を攪拌させる気体供給装置とを備え、前記気体供給装置は多孔質状の散気体を備えてなることを特徴とするものである。
この発明の水処理装置によれば、前記気体供給装置が多孔質状の散気体を備えているので、微細な気泡が発生して、混合水は攪拌されることにより効率よく循環され、混合水中での光触媒の沈下が防止されるとともに、この気体によって水中に光触媒が均質に分散し、前記混合水への光照射に伴う有機物の分解が効率的に行われる。
【0008】
第2の発明は、濾過膜を用いて有機物を含む水を濾過する水処理装置であって、前記水に混合される粉末状の光触媒と、前記水と前記光触媒との混合水を照射する光を発する光源と、前記濾過膜に気体を供給し、前記混合水を攪拌させる気体供給装置とを備え、前記濾過膜の近傍に副気体供給装置が設けられ、該副気体供給部は散気体を備えてなることを特徴とする。
この発明の水処理装置によれば、前記濾過膜の近傍に副気体供給装置が設けられ、該副気体供給部は散気体を備えているので、濾過膜に対して副気体供給装置が気泡を供給するので目詰まりが防止され、この場合、特に副気体供給装置は、間欠的に作動されるので、濾過膜の目詰まり防止効果が効率的に行われる。
【0009】
第3の発明は、濾過膜を用いて有機物を含む水を濾過する水処理装置であって、前記水に混合される粉末状の光触媒と、前記水と前記光触媒との混合水を照射する光を発する光源と、前記濾過膜に気体を供給し、前記混合水を攪拌させる気体供給装置とを備え、前記光源が複数個設けられると共に、該光源を選択的に動作制御する制御部を備えてなることを特徴とするものである。
この発明の水処理装置によれば、処理容量に応じて光源の数が選択され、効率的な運転がなされる。
【0010】
第4の発明は、濾過膜を用いて有機物を含む水を濾過する水処理装置であって、前記水に混合される粉末状の光触媒と、前記水と前記光触媒との混合水を照射する光を発する光源と、前記濾過膜に気体を供給し、前記混合水を攪拌させる気体供給装置とを備え、前記光源が配置される領域と前記濾過膜が配置される領域とを仕切る仕切り板が設けられていることを特徴とする。
この発明の水処理装置によれば、前記光源が配置される領域と前記濾過膜が配置される領域とを仕切る仕切り板が設けられているので、この仕切り板の位置を適切に設定することで、効果的な有機排水の分解がなされる。
【0011】
第5の発明は、濾過膜を用いて有機物を含む水を濾過する水処理装置であって、前記水に混合される粉末状の光触媒と、前記水と前記光触媒との混合水を照射する光を発する光源と、前記濾過膜に気体を供給し、前記混合水を攪拌させる気体供給装置とを備え、前記光源が透光性の材料からなる管体内に配置され、該管体内に前記光源を冷却するためのエアを供給するエア供給装置が設けられていることを特徴とするものである。
この発明の水処理装置によれば、前記光源が透光性の材料からなる管体内に配置され、該管体内に前記光源を冷却するためのエアを供給するエア供給装置が設けられているので、光源の高温化が防止され、光源周辺部おける各種光透過阻害物質の付着が防止される。
【0012】
第6の発明は、濾過膜を用いて有機物を含む水を濾過する水処理装置であって、前記水に混合される粉末状の光触媒と、前記水と前記光触媒との混合水を照射する光を発する光源と、前記濾過膜に気体を供給し、前記混合水を攪拌させる気体供給装置とを備え、前記濾過膜、前記混合水、前記光源が反応容器内に配設され、該反応容器内内面に反射膜が設けられていることを特徴とするものである。
この発明の水処理装置によれば、前記光源からの光が前記反射膜により反射され、光と光触媒との反応が効果的に行われる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る水処理装置を示す概略的な構成図、図2は図1に示す実施の形態の要部を示す平面図である。この水処理装置1は、家庭用水、浄水、工業用水など、有機化合物、微生物などの有機物を含む水を光触媒と混合させて、光照射によって無害化、かつ分解し固液分離させるようになっている。
この水処理装置1は、その内部に濾過膜2、光源3、仕切り板4が配設された反応容器1Aと、エア供給装置5と、気体供給装置6Aと、副気体供給装置6Bと、混合水供給装置7とを主な構成要素として構成されている。
【0014】
濾過膜2は、排水配管10によって出水タンク11に接続され、排水配管10の途中には、ポンプ12が介在されている。ポンプ12は、その駆動によって後述する混合水13を出水タンク11に排出させるものである。濾過膜2には、膜フィルターが採用されており、多孔質状の孔が設けられたファイバで構成され、水だけ吸い取り光触媒(TiO2)の微細な粉末を取り除くようになっている。
【0015】
光源3は、棒状に形成されたものであって、石英製の管体21の中に設けられており、管体21は空気配管22によってエア供給装置5に接続されており、空気配管22の途中には、フローメータ23が介在している。この光源3は、図2に示すように反応容器1A内に複数設けられている。この場合、光源3は、格子状に区画された領域内において、格子の交点部分に配設されている。この光源3は、制御部100により、反応容器1A内に貯留される混合水13の処理量に応じてその数が選択されて点灯されるようになっている。
また、反応容器1Aの内面には、反射膜24が設けられており、光源3が発する光を反応容器1Aの内面に反射するようになっている。
なお、この発明の一実施の形態としての光源3としては、紫外域(波長254nm程度)の波長の光を発する紫外線ランプが用いられている。
【0016】
仕切り板4は、濾過膜2が配置される領域と光源3が配置される領域との間を仕切るものであり、混合水13中の有機物含有量に応じて、その仕切る位置を適切に設定することによりに有機物の分解を効率的に行うようになっている。
【0017】
気体供給装置6Aは、反応容器1Aの底部に設けられた多孔質状の散気体31、32と、散気体31、32にエアを供給するエア供給系50とからなっている。エア供給系50は、散気体31、32に設けられたバルブ34、35、36と、バルブ34、35、36を制御する制御部37、38と、空気流量を測定するフローメータ39、40と、空気量を調節するレギュレータ41と、空気を乾燥させるドライヤ42と、吸気を供給するコンプレッサ43と、配管44〜48によって構成されている。
副気体供給装置6Bは、濾過膜2の側方に設けられた多孔質状の散気体49と前記気体供給装置6Aと共用のエア供給系50とからなるものである。
【0018】
混合水供給装置7は、反応容器1Aに混合水13を供給するようにバルブ61と、ポンプ62と、制御部63と、タンク64と、配管65とによって構成されている。反応容器1Aは、ポンプ62と配管65を介してタンク64に接続され、制御部63は反応容器1Aの混合水13の量を検知してポンプ62を駆動するようになっており、反応容器1A内の混合水13は所定の量となるように制御されている。
【0019】
図1において符号9はレベルメータ部であり、このレベルメータ部9は、レベルメータ70により混合水13の水位を検出するものであり、この水位が異常値となった場合に、ブザー72から警報音が発せられるようになっている。
【0020】
また、反応容器1Aに流入した混合水13には、粉末状の光触媒(光触媒作用を有する粉末)が混入されている。光触媒としては、例えば、TiO2,ZnO等を用いられるが、この発明の一実施の形態では、光触媒として粒径1〜10μm程度のTiO2が採用されている。
【0021】
次に、上記構成の水処理装置1の作用について説明する。
まず、この水処理装置1を運転するには、有機排水の供給量に応じて制御部100により、光源3の数を適切な数に設定する。そして、この水処理装置1において、反応容器1A内に流入した処理対象の有機排水は、濾過膜2によって濾過され、清浄な水となって外部に排出される。
【0022】
即ち、反応容器1A内に流入した水は、光触媒(TiO2 )と混合される。水と光触媒との混合水13(懸濁水)は、光源3により光照射され、この光照射により、水に含まれる有機物が分解される。この場合、光照射により、混合水13中のTiO2 の電子が励起して、正孔(ホール)が生じ、この正孔が水と反応して、強力な酸化力を有するOHラジカルが生じる。そして、OHラジカルが水中の有機物から電子を奪うことで、有機物が分解される。このように、処理対象の水に含まれる多くの有機物が分解されることで、濾過膜2への有機物(有機化合物、微生物や有機性コロイド等)の付着が抑制される。
【0023】
このとき、反応容器1A内には、気体供給装置6Aの散気体31、もしくは32によりエアが供給されており、副気体供給装置6Bの散気体33により濾過膜2に間欠的にエアが供給されている。これにより、反応容器1A内の混合水13は、撹拌され、循環される。また、濾過膜2に付着した有機物の一部は、このエア(気泡)の力を受けて濾過膜2から離れる。このように、副気体供給装置6Bから供給される気体によって濾過膜2が洗浄されることにより、濾過膜2の目詰まりが確実に防止される。
【0024】
また、気体供給装置6Aからの気体は、反応容器1Aの底部から混合水13中に供給されているので、その気体によって、混合水13が満遍なく攪拌されることで、混合水13中での光触媒の沈下が防止され、13中に光触媒が均質に分散する。このように、混合水13中に光触媒が均質に分散することにより、光照射に伴って有機物の分解が効果的に進行する。
【0025】
また、この場合、光源3が配置された管体21内には、冷却用のエアが供給されるので光源3の高温化が防止され、管体21を含む光源3の周辺部に光の透過を阻害する物質が付着するのを有効に防止することができる。
【0026】
本例の水処理装置10では、濾過膜2の目詰まりが確実に防止されるとともに、光照射に伴って有機物が効果的に分解される。したがって、有機物を含む水を長期に渡り安定的に処理(殺菌、滅菌、除菌など)できる。
【0027】
さらに、紫外線照射によって有機物を光酸化分解するのに比べて、光触媒(Ti2)を用いることで、少ないエネルギーで効果的に有機物を分解できる。なお、混合水13中の光触媒は、濾過膜2で分離され、反応容器1A中に新たに流入する処理対象の水に繰り返し混合されて利用される。また、光触媒としてのTiO2は、人体に対して有害性は極めて低く、わずかに濾過膜2を通過しても有害にはなりにくい。
【0028】
また、混合水13中の光触媒が濾過膜2で分離されることで、濾過膜2の表面に光触媒が付着し、濾過膜2の表面を光触媒が覆うようになる。この光触媒が濾過膜2の表面を覆うことによって、物理的に有機物の濾過膜2への付着が抑制される。
【0029】
また、上記の有機物の分解作用において、光源3から発せられた光が反射膜24により反射され、光が有効利用されて有機物の分解が効率的に行われる。
【0030】
上述したように、水処理装置1においては、混合水13を循環させ、かつ、気体供給装置6A、6Bによりエアを供給するので、濾過膜2の目詰まり防止できると共に、有機物の分解を効率的に行うことができ、固液分離を効率的に行い得て、水処理を効率的に行うことができる。この場合、気体供給装置6Aは、多孔質状の散気体31、32によってエアを供給するので、微細なエアを満遍なく供給し得て有機物の分解を効率的に行うことができる。また、副気体供給装置6Bは、散気体33によってエアを供給するので、前記目詰まりの防止を効率的に行うことができる。また、光源3の数を適切に設定できるので、光源3への電力の削減できる効果が得られる。また、更に、仕切り板4を設けたので、その位置を適切に設定することによって、有機物の分解処理をより効率的に行うことができる。また、光源3周辺部に光透過を阻害する物質が付着するのを防止できるので、有機物の分解を常に安定して、効率的に行うことができる。また、反応容器1A内に設けた反射膜24により光の有効利用が図れ、有機物の分解を効果的に行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0031】
なお、上記の水処理装置1の実施の形態については、有機排水の分解について述べたが、有機排水に含まれる菌の殺菌、滅菌、除菌もできる。
【0032】
また、上記の水処理装置1の実施の形態については、光源3として、254nmの波長を有する紫外線を用いたが、その他の光触媒を活性化させる波長のランプを使用しても良い。また、処理対象の有機排水が難分解性の場合には、エキシマレーザを用いても良く、また、この光源3として、発光ダイオードを用いても良い。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水処理装置によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明によれば、反応容器内に気体供給装置を設け、この装置に多孔質状の散気体を用いるようにしたので、濾過膜の目詰まりを防止できると共に、有機物の分解を効率的に行うことができ、固液分離を効率的に行い得て、水処理を効率的に行うことができる。
また、第2の発明によれば、濾過膜の近傍に副気体供給装置を設けたので、特に、濾過膜の目詰まりを有効に防止できる。
また、第3の発明によれば、光源を選択的に動作できるので、光源へ供給する電力の削減を図ることができる。
また、第4の発明によれば、光源と、濾過膜とが配置される領域を仕切ることにより有機物の分解をより効果的に行うことができる。
また、第5の発明によれば、光源周辺部に光透過阻害物質が付着するのを防止でき、有機物の分解を常に安定して効果的に行うことができる。
また、第6の発明によれば、反射膜により、光源からの光を有効に活用し得て、有機物の分解を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る水処理装置の一実施の形態を示す概略的な構成図である。
【図2】 図1に示す実施の形態の要部を示す概略的な平面図である。
【符号の説明】
1 水処理装置
1A 反応容器
2 濾過膜
3 光源
4 仕切り板
5 エア供給装置
6A 気体供給装置
6B 副気体供給装置
13 混合水
21 管体
24 反射膜
31〜33 散気体
100 制御部
Claims (2)
- 濾過膜を用いて有機物を含む水を濾過する水処理装置であって、
前記水に混合される粉末状の光触媒と、
前記水と前記光触媒との混合水に照射する光を発する光源と、
前記濾過膜に気体を供給し、前記混合水を攪拌させる気体供給装置と、
前記濾過膜の近傍に設けられ、散気体を有する副気体供給装置とを備え、
前記濾過膜は、垂直方向に延在するものであって、
前記副気体供給装置は、前記濾過膜に対向する平板状の散気体を有し、前記濾過膜に対して側方から気体を供給する
ことを特徴とする水処理装置。 - 前記光源は、複数備えられ、該光源を前記水の供給量に応じて選択的に動作制御する制御部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
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