JP3858066B2 - 麦焼酎の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼酎用酵母である鹿児島酵母を変異処理せずにカナバニンに耐性を指標として分離された酵母であるサッカロミセス(Saccharomyces)に属する新規焼酎用酵母,すなわち,サッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45〔生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)〕を用いた麦焼酎の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
麦焼酎は、従来、原料の大麦の臭いが強く、いも焼酎よりも更に個性の強い焼酎であった。しかし、昭和60年代の焼酎ブームのとき、大分県の焼酎メーカーが麦焼酎をイオン交換処理および/あるいは活性炭処理によって、麦焼酎特有の臭いを除去し、非常に軽いタイプの焼酎に変身させた。当該麦焼酎は、女性や若者に受け、麦焼酎の都会でのシェアが拡大していき、日本全土で愛飲される焼酎に成長した。
【0003】
イオン交換装置の導入は、かなりの技術力とコストが求められ、鹿児島県の零細焼酎メーカーでは、当該装置を導入できず麦焼酎の商品化を断念し、製造した麦焼酎は大分県の主な麦焼酎メーカーに移出しているのが現状である。
【0004】
麦焼酎の一般的製造工程は次のようなものである。すなわち、大麦を洗麦し、蒸し、次いで麹ドラムなどの装置を用いて種麹を混ぜ、一般的には三角棚等を使用して製麹を行う。麹原料には、一般的には大麦を用いるが、米を用いることもできる。また麹菌は、クエン酸生成能のあるものが好ましく使用されている。例えば、黒麹菌(Aspergillus awamori、Aspergillus saitoiなど)、白麹菌(Aspergillus kawachiiなど)を使用することができる。こうして得られた出麹を用いて、それに水道水と酵母を加えて一次仕込みを行い、約5日間発酵させ、一次もろみを得る。添加する水道水は、好ましくは麦麹重量に対して約120〜130%の量である。一次もろみに、蒸した大麦と水道水を加えて二次仕込みを行い、約12日間発酵させ、アルコール濃度が18%程度含まれる二次もろみを得る。二次もろみを蒸留して得られるアルコール濃度約43%の麦焼酎の原酒を、あるいは、原酒を水道水等でアルコール濃度を25%に調整した後、麦焼酎特有の臭いを除去するためにイオン交換処理および/あるいは活性炭処理し、貯蔵、ブレンド後、必要に応じて水道水等でアルコール濃度を25%に調整し、瓶詰めされて商品化される。
【0005】
上記二次仕込みで大麦を原料とした場合、麦焼酎が得られ、さつまいもの場合はいも焼酎、米の場合は米焼酎、そばの場合はそば焼酎が得られる。
【0006】
最近、ビールやワイン、缶酎ハイなどに代表されるアルコール濃度が低い、低アルコール飲料の消費が急上昇している。また、いも焼酎は、鹿児島県の焼酎メーカーにおいて、アルコール濃度が12%程度の低アルコール飲料化したいも焼酎を開発し、需要が伸びている。当該低アルコール飲料は、いも焼酎もろみを蒸留して得られるアルコール濃度約37%の原酒をイオン交換処理および/または活性炭処理せずに、原酒をそのまま、水道水等でアルコール濃度12%程度に調整している。そのために、焼酎の丸味、甘味、濃味といった旨みに関与する成分であるパルミチン酸エチルやリノール酸エチルといった高級脂肪酸エステル類(食品の味、光琳書院、p143、1967)が十分に溶け込んでおり、ボディ感のある低アルコール飲料のいも焼酎が製造できる。
【0007】
一方、麦焼酎は、麦焼酎特有の臭いを除去するために、イオン交換処理および/または活性炭処理を行う。この時、麦焼酎に溶解している高級脂肪酸エステル類も完全に除去される。これまでに、上記処理を行った麦焼酎の低アルコール飲料が商品化した例があるが、味香りが全くない水っぽい麦焼酎となり、現在は製造中止となっている。
【0008】
焼酎の特有の臭いをマスキングした焼酎やフルティーな香りの焼酎の製造法として、焼酎の香気成分であるイソアミルアルコール、酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコール、酢酸βーフェネチル等を多く生成する特開平11−137245や特開平7−51053が開示されている。
【0009】
また、特開昭62−6669では、イソアミルアルコール及び酢酸イソアミル等の香気成分を多量に生成する酵母を用いたアルコール飲料等の製造法について開示し、特開平3−112479では、β−フェネチルアルコール及び酢酸β−フェネチル等の香気成分を多量に生成する酵母を変異処理を行うことで取得し、当該酵母によるアルコール飲料等の製造法について開示している。
【0010】
更に、特開平4−20282では、アルギニンの競合阻害剤であるカナバニン等を培地に添加し、変異処理を行い育種した新規な酵母による酒類の製造法が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
いも焼酎及び麦焼酎を公知の方法で製造すると、いも焼酎のもろみのアルコール濃度は13%前後であるのに対し、麦焼酎のもろみのアルコール濃度は17%以上となる。本発明者は、上記特開平11−137245の酵母を麦焼酎製造に適応すると、もろみアルコール濃度が16%程度になると発酵が途中で終了する事実と、上記特開平7−51053の酵母を麦焼酎製造に使用するとβ−フェネチルアルコール生産能が高くなりすぎる故に、異質な麦焼酎になる事実を明らかにした。
【0012】
また、上記の特開昭62−6669,特開平3−112479および特開平4−20282で開示された酵母はいずれとも、エチルメタンスルフォネイト、N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニンなどの公知の薬品や紫外線照射によって突然変異処理を行い、酵母の遺伝子に傷を付けることで、香気成分を多量に生成する酵母を効率よく取得している。しかしながら、この手法の最大の欠点は、目的とする遺伝子を活性化又は欠損させるために、多くの遺伝子に傷を付けるばかりでなく、発酵や製品の風味を作り出すために必要不可欠な遺伝子まで傷付けてしまう。
【0013】
そこで、鹿児島県工業試験場が分離した焼酎用酵母である鹿児島酵母から突然変異処理や細胞融合処理を全く行わずに公知の手法であるカナバニンに耐性を指標に分離された酵母の内で、麦焼酎製造において元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母と比べて、アルコール収得量が同等のもので、かつ、焼酎の香気成分であるイソアミルアルコール、酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコール、酢酸β−フェネチル等を多く生成することで麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する自然界から全く新規な焼酎用酵母を分離する。そして、当該酵母によって製造した麦焼酎は、麦焼酎特有の臭いがマスキングされているので、イオン交換処理および/または活性炭処理を行う必要がなく、そのため、旨み、丸味を付与する高級脂肪酸エステル類が十分に溶け込んだ麦焼酎の製造法を確立できるところにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題の解決のために、各種実験を介して、鋭意研究を重ねた。その結果、焼酎用酵母である鹿児島酵母から突然変異処理や細胞融合処理を全く行わずに公知の手法であるカナバニンに耐性を指標に分離した酵母の内で、イソアミルアルコール、酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコール、酢酸βーフェネチルの生成量の高い,新規焼酎用酵母サッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45〔生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)〕を見出し、これを用いて麦焼酎を製造する場合、麦焼酎特有の臭いが顕著にマスキングされた麦焼酎の製造法を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、
[1] 麦焼酎製造における焼酎用酵母である鹿児島酵母(サッカロミセス・セレビシエ)からカナバニンに耐性を指標に選別された新規な焼酎用酵母であるサッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45〔生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)〕酵母。
[2] 麦焼酎製造において、香気成分:
イソアミルアルコールの含有量が400mg/l以上、
酢酸イソアミルの含有量が6.0mg/l以上、
β−フェネチルアルコールの含有量が90mg/l以上、
酢酸β−フェネチルの含有量が5.0mg/l以上、
の製品を与える上記[1]記載のサッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45〔生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)〕酵母。
[3] [1]または[2]のいずれか1項に記載のサッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45〔生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)〕酵母を用いることを特徴とする麦焼酎の製造法。
[4] [1]または[2]のいずれか1項に記載の酵母を用いて得られたことを特徴とする、飲食品。
[5] [1]または[2]のいずれか1項に記載の酵母を用いて得られた麦焼酎であることを特徴とする、上記[4]記載の飲食品。
を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において、麦焼酎特有の臭いとは、使用する原料の大麦を蒸したときの臭いや発酵中に麹、酵母、酵素の作用によって生じる不快な臭いを指し、マスキングとは、焼酎の香気成分であるイソアミルアルコール、酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコール、酢酸βーフェネチル等で麦焼酎特有の臭いを隠すことを指す。
【0017】
また、新規な焼酎用酵母とは、焼酎用酵母である鹿児島酵母を突然変異処理や細胞融合処理を全く行わずに公知の手法であるカナバニンに耐性を指標に分離された酵母であり、麦焼酎製造において元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母と比べて、アルコール収得量が同等のもので、麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する酵母を指す。
【0018】
また、低アルコールの麦焼酎とは、麦焼酎の原酒を水道水等でアルコール濃度10〜18%程度、好ましくは16%に調整した麦焼酎において麦焼酎特有の臭いがマスキングされ、かつ、高級脂肪酸エステル類が十分に溶解していることでボディ感があり旨みのある麦焼酎を指す。
【0019】
本発明に関する新規な焼酎用酵母の分離方法は、元株からカナバニン耐性酵母を分離する手法を用いることで行うことができる。これは、カナバニン耐性酵母の中には、高級アルコール類の生産量が増加する酵母が存在することを利用して育種する方法である。
【0020】
カナバニン耐性酵母は、特開平11−137245の酵母であるKo−CR−37を分離した方法に従って行う。
【0021】
分離したカナバニン耐性酵母から、麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する新規焼酎用酵母の選抜は、一般的には次のようにして行うことができる。すなわち、麦麹、水道水及び上記の分離されたカナバニン耐性酵母培養液からなる混合物を用いて一次仕込みを行う。好ましくは該一次仕込みは、5日間程発酵させ一次もろみを得る。当該一次もろみに、蒸した大麦及び水道水を加えて二次仕込みを行う。好ましくは該二次仕込みは、12日間程発酵させ二次もろみをえる。該二次もろみを蒸留して官能試験に付して、新規焼酎用酵母を選抜する。
【0022】
こうして選抜された新規な焼酎用酵母は、更により大きな規模による選抜工程にかけられる。すなわち、麦麹、水道水及び上記の選抜して得られた新規焼酎用酵母培養液からなる混合物を用いて一次仕込みを行う。好ましくは該一次仕込みは、5日間程発酵させる一次もろみを得る。当該一次もろみに蒸した大麦及び水道水を加え二次仕込みを行う。好ましくは当該二次仕込みは12日間程発酵させ、二次もろみを得る。該二次もろみを蒸留して官能試験に付して、最も麦焼酎特有の臭いをマスキングする麦焼酎を製造できる新規な焼酎用酵母を選抜する。
【0023】
かくして、本発明の大きな特徴の一つとして、焼酎用酵母である鹿児島酵母を変異処理せずに新規な焼酎用酵母を取得するところにある。
【0024】
このようにして選抜された新規な焼酎用酵母は、焼酎の製造工程において、通常の焼酎用酵母を用いるのと同様に用いることができる。すなわち、一次仕込みで、麦麹、水道水と共に該酵母を添加する。なお、かかる添加において上記の酵母培養液を水道水の0.1%程度用いる。本発明の酵母を用いて麦焼酎を製造する場合、酵母は予め前培養しておくことが好ましい。例えば、寒天斜面培地などに保持されている酵母を、適当な液体培地で振とう培養しそれを酵母源とすることができる。
【0025】
なお、本発明の新規焼酎用酵母を用いて製造可能な焼酎の種類は特に限定されない。具体的には、麦焼酎、いも焼酎、黒糖焼酎、米焼酎等の製造に使用できるが、澱粉質原料及び糖質を原料として用いる乙類及び甲類焼酎であれば、これらの焼酎には特に限定されない。また、食パンの製造や味噌、醤油等酵母を使用する食品に使用してもかまわない。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例等により説明するが、本発明の技術的範囲が当該実施例により限定されるものではない。
【0027】
実施例1
カナバニン耐性酵母から新規な焼酎用酵母の選抜
カナバニン耐性酵母10株を用いて、元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母と比べて、アルコール収得量が同等のもので、麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する新規な焼酎用酵母の選抜を目的に麦焼酎の発酵試験を行った。
【0028】
発酵試験は、それぞれのカナバニン耐性酵母を用いて二段仕込み試験により行った。すなわち、麦麹200g、水道水240g及び酵母培養液4gを2、000cmの広口ガラス瓶に入れ一次仕込みを行い5日間発酵した後、この一次もろみ全量に蒸した大麦400g及び水道水660gを添加して12日間発酵させた。発酵温度は30℃一定とした。元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母と比べて、アルコール収得量が同等のもので、麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する新規焼酎用酵母であるKo−CR−39、Ko−CR−43及びKo−CR−45の二次もろみのアルコール濃度と二次もろみを蒸留して得られた麦焼酎の香気成分をガスクロマトグラフで分析した結果について表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003858066
【0030】
特開平11−137245の酵母であるKo−CR−37はもろみアルコール濃度が16.0%と、その他の酵母と比べ非常に低く、麦焼酎製造には不向きな酵母であった。また、特開平7−51053の酵母であるR16株はβ−フェネチルアルコールの生産量が高くなりすぎる故に、異質な麦焼酎となった。
【0031】
実施例2
選抜された新規な焼酎用酵母についての試験醸造
選抜された新規な焼酎用酵母Ko−CR−39、Ko−CR−43及びKo−CR−45と、元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母を用いて、仕込み容量11、250kgの規模で麦焼酎の試験醸造を行い、常圧蒸留法で麦焼酎を製造した。原料は大麦を使用し、焼酎用白麹菌を用いて常法に従い製麹を行った。仕込み配合は麦麹1、500kg、大麦3、000kg、水道水6、750kgの二段仕込みとした。蒸留は水蒸気を直接吹き込む常圧蒸留法によって行った。蒸留液をアルコール濃度が25%になるように水道水で調整後、布で濾過を行った。もろみのアルコール濃度と製品の官能評価の結果から、元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母と比べてアルコール収得量が同等のもので、麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する新規な焼酎用酵母Ko−CR−45について、二次もろみのアルコール濃度および二次もろみを蒸留して得られた麦焼酎の香気成分をガスクロマトグラフで分析した結果について表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0003858066
【0033】
この新規な焼酎用酵母Ko−CR−45は、元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母と比べてアルコール収得量が同等のもので、麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する酵母であった。当該酵母を用いて麦焼酎の試験醸造を行い、得られた麦焼酎についての専門家パネラー(7人)の官能評価の結果、イオン交換処理や活性炭処理せずに麦焼酎特有の臭いがマスキングされているの評価が得られた。
【0034】
【表3】
Figure 0003858066
【0035】
また、新規な焼酎用酵母Ko−CR−45で製造した麦焼酎をアルコール濃度が16%になるように水道水で調整した麦焼酎と、元株の焼酎用酵母である鹿児島酵母で製造した麦焼酎をアルコール濃度が16%になるように水道水で調製した麦焼酎および公知のイオン交換処理後に水道水でアルコール濃度が16%になるように調整した麦焼酎について専門家7名による官能評価を行った。その結果、表4に示すように新規な焼酎用酵母Ko−CR−45で製造した麦焼酎は、麦焼酎特有の臭いがマスキングされており、華やかな香りと旨み、丸味があり、低アルコールの麦焼酎として商品化が十分に期待できる事実が得られた。
【0036】
【表4】
Figure 0003858066
【0037】
この新規な焼酎用酵母Ko−CR−45はサッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45として、1999年7月28日に、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)として寄託されている。
当該サッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45の菌体学的性質を以下に示す。
【0038】
(1)栄養細胞は卵型(長径5.85μm短径4.78μm)で出芽し増殖する。
(2)はっきりとした皮膜を形成する。
(3)凝集能なし。
(4)擬菌糸を形成する。
(5)子のう胞子の形成が良好である。
(6)アルブチン分解能なし。
(7)硝酸塩の資化性なし。
(8)ビタミン要求性なし。
(9)炭素源の発酵性
グルコース +
ガラクトース +
シュークロース +
マルトース +
ラクトース −
ラフィノース +
(10)炭素源の資化性
グルコース +
ガラクトース +
シュークロース +
マルトース +
ラクトース −
エタノール +
なお、ここで+は発酵性もしくは資化性が認められることを;−は発酵性もしくは資化性が認められないことを示す。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、焼酎用酵母である鹿児島酵母から突然変異処理や細胞融合処理を全く行わずに公知の手法であるカナバニンに耐性を指標に分離された酵母は、元株と比べてアルコール収得量が同等のもので、イソアミルアルコール、酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコール、酢酸βーフェネチル等を多く生成することで麦焼酎特有の臭いをマスキングする性質を有する新規な焼酎用酵母であり、当該酵母によって製造した麦焼酎はイオン交換処理および/または活性炭処理を行わなくても麦焼酎特有の臭いがマスキングされており、ボディー感があり旨みのある低アルコール飲料化が可能な麦焼酎の製造法が確立される。
また、これまで鹿児島県のほとんどの麦焼酎製造メーカーは、製造した麦焼酎を大分県の大手焼酎メーカーに移出していたが、本発明の麦焼酎の製造法を利用することで、高度な技術導入や新たな設備投資を行うことなく、自社製品の麦焼酎の開発が可能となる。更に、低アルコール飲料の消費拡大と酒税の引き上げによる焼酎の価格の高騰が相まって、焼酎離れが進むなか、麦焼酎の低アルコール飲料化は、麦焼酎製造メーカーのみならず、焼酎全般のイメージアップにもつながる。

Claims (4)

  1. 麦焼酎製造における焼酎用酵母である鹿児島酵母(サッカロミセス・セレビシエ)からカナバニンに耐性を指標に選抜された新規な酵母であるサッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45[生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)]酵母。
  2. 麦焼酎製造において、香気成分:イソアミルアルコールの含有量が400mg/l以上、酢酸イソアミルの含有量が6.0mg/l以上、β−フェネチルアルコールの含有量が90mg/l以上、酢酸β−フェネチルの含有量が5.0mg/l以上、の製品を与える請求項1記載のサッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45[生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)]酵母
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載のサッカロミセス(Saccharomyces)Ko−CR−45[生工研菌寄第17490号(FERM P−17490)]酵母を用いることを特徴とする麦焼酎の製造法。
  4. 請求項1または2いずれか1項に記載の酵母を用いて得られたことを特徴とする、麦焼酎
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