JP3858006B2 - 電気調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土或はセラミック製の調理鍋を用いて調理物を効率よく加熱することができ、保温に適した電気調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】
昔からおでんやシチュー、カレーは、土鍋内に入れた調理物を長時間かけて加熱を行い調理することによって出汁や調味料が調理物の内部まで浸透し美味しいものとなることが知られており冬期によく利用される。
【0003】
さらに土鍋は、保温性が良いことからおでんや寄せ鍋等の所謂鍋料理に最適であり、且つ保温性が良いことは加熱エネルギーを小さくできることになって有効である。
【0004】
ところが、保温性が良いことは熱伝導が悪いことでもあり、立上りが悪く煮沸料理には不向きなところもあった。
【0005】
このため、加熱効率を高めるために土鍋の底壁下面に複数条の細溝条を形成して受熱面積を増やすようにしたものが提案された。(例えば特許文献1参照)
また、電磁調理器に使用する土鍋にあっては、もともと土鍋は非磁性体のため土鍋の底壁に磁性体の金属板を接着剤で接着固定していた。(例えば特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】
特開2000−137107号公報(図1)
【0007】
【特許文献2】
実開平6−44091号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、実際には土鍋の底壁に細溝条を設けても十分な効果が得られないばかりか強度が低下し土鍋が割れる危険がある。一方、土鍋の底壁に金属板を接着する方法は土鍋の表面が粗面であることと、ヒータが当たって最も高温となる部分だけは接着力が弱くなり長期間の使用で金属板が脱落する欠点があった。
【0009】
本発明は、調理時には調理物への加熱を十分に行い、保温時には少ない加熱エネルギーで保温して、調理保温の目的に沿った加熱を行うことができるものである。
【0010】
本発明は第1に、底壁に開口部及びこの開口部孔縁に垂設部を有する土或はセラミック製の調理鍋と、前記開口部を塞ぎ外周縁を前記開口部の孔縁に固定したアルミニウム等の熱伝導性の上板と下板とを重合した底板と、前記底板と接するヒータとを備え、前記下板の周縁下側には前記垂設部を抱合する嵌合部を形成すると共に、前記上板の周縁と垂設部との間に該垂設部のほぼ全体を抱合する形状で、且つ内側に向って突設した可撓片を一体形成した耐熱性成形体のリング状のパッキングを介在するものである。
【0015】
本発明は第6に、前記上板の周縁と嵌合部と垂設部との間に耐熱性硬化樹脂を充填したものである。
【0016】
本発明は第2に、前記底板の周縁の下面に薄肉段部を設け、内端は前記薄肉段部に固定し外端は前記垂設部を抱合する嵌合部であって、前記薄肉段部と嵌合部により前記垂設部を抱合するものである。
【0017】
本発明は第3に、前記薄肉段部と耐熱性成形体のパッキングとを当接し、嵌合部を底板の厚肉部の下面に固定したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の電気調理器の調理鍋の縦断面図、図2は同じく調理器本体の縦断面図、図3は同じく要部の部分拡大図、図4乃至図6は要部の他の実施例を示す拡大図である。
【0019】
(1)は調理器本体、(2)は加熱台で、フレーム(3)と、このフレームの内側に取り付けた皿状の遮熱板(4)と、この遮熱板の上面に固定した鋳物製で円板形のヒータ(5)と、前記遮熱板(4)の下方に取り付けた裏板(6)とから構成している。
【0020】
(7)は鍋本体で、土鍋よりなる調理鍋(8)と、この調理鍋の上部を塞ぐ土製の蓋(9)とから構成している。この調理鍋(8)は図1に示す様に、側壁(10)と円形で大径の開口部(11)を有する底壁(12)と、開口部を塞ぐ熱伝導性の材料(例えばアルミニウム)よりなる底板(13)から構成している。本実施例では底板(13)を上板(14)と下板(15)の2枚のアルミニウム板を重合して要所を溶着しており、開口部の全域は上板と下板の重合によって厚みのある前述の底板(13)が形成される。
【0021】
前記上板(15)は、その直径寸法が前記開口部(11)よりも若干長寸とし、前記下板(16)は、その周縁に嵌合部(17)を一体に折曲形成している。
【0022】
一方、前記調理鍋(8)は、その開口部(11)の孔縁全周に一体成形した垂設部(18)と、開口部の孔縁に近接し、前記垂設部よりも外側に位置する部位に一体成形した支持部(19)を有している。この支持部の突出長さは前記嵌合部(17)が垂設部(18)を抱合した時の嵌合部の下端よりも長く突出している。
【0023】
(20)はリング状でありシリコンよりなる耐熱性成形体のパッキングで、図3に示す様に断面形状を垂設部(18)を抱き込む様な形状となるコ字形としており、内側に向かう面側には全周或いは適所に可撓片(21)を一体成形している。
【0024】
次に調理鍋の組み立て順序を説明する。先ずパッキング(20)を垂設部(18)に嵌め込み仮固定する。つづいて上板(15)を底壁(12)の上面に載せ、パッキング(20)の上部を上板の周縁と底壁との間に介在させる。
【0025】
その後、下板(16)を底壁(12)の下面から当てがい上板(15)と重合させ要所を溶着により接合すると、下板の嵌合部(17)がパッキング(20)の下部を垂設部(18)との間に挟んだ状態で密着する。即ち、この上板と下板の接合固定によって垂設部(18)がパッキング(20)を介して上板の周縁と嵌合部(17)によって挟持され、底板(13)の固定と水密処理がなされる。
【0026】
上板と下板の接合固定後には、図3に示す様に嵌合部(17)の下端(22)が支持部(19)の下端よりも上方にあり、調理鍋単体をテーブルやシンクに置いた時にパッキング(20)を挟んでいる嵌合部(17)に衝撃が加わるのを防止している。
【0027】
前述の上板(15)と下板(16)の接合時において、下板を上板に重合する動作に伴って嵌合部(17)の内面が可撓片(21)を外側に押してパッキング全体がより垂設部(18)に密着して嵌まり込ませる。
【0028】
つづいて、図4に示す他の実施例を説明する。この実施例では、図3に記載したパッキング(20)をシリコンの耐熱性成形体を用いたものと異なり、耐熱性硬化樹脂(23)を充填したもので、上板(15)と下板(16)の接合に伴って耐熱性硬化樹脂(23)が上板(15)の周縁と垂設部(18)の間、嵌合部(17)と垂設部(18)の間に入り込んで水密効果を高める。
【0029】
図5及び図6は底板(13)を一枚にしてほぼ全体に厚みがある厚肉部(24)を有し嵌合部(17)となる部材をリング状に成形したもので、図5の実施例では周縁の下面に薄肉段部(25)を設け、この薄肉段部と底壁(25)との間でパッキング(20)の上部を挟み、嵌合部(17)の内端を薄肉段部に接合し外端と垂設部(18)との間でパッキング(20)の上部付近を挟み込んでいる。
【0030】
図6の実施例では、図5の実施例と同様に底板を一枚にし、その周縁の下面に薄肉段部(25)を設け、パッキング(20)を薄肉段部(25)に当接して位置決めを行い嵌合部(17)の内端を底板(13)の厚肉部(24)に接合固定したものである。
【0031】
尚、本発明の調理鍋は土鍋を例にして述べたが、セラミック製の鍋であってもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上の様に本発明は、土或はセラミック製の調理鍋の底壁の開口部孔縁に垂設部を設け、この垂設部を底板の周縁下側に設けた嵌合部により抱合固定するようにしたものであるから、底板をネジ等の固定具を使用して固定する場合に比べて調理鍋の割れを防止することができる。勿論、嵌合部は底板の下側に設けているため、調理鍋内に突出物がなく調理物の掻き混ぜや取り出し時、調理鍋の掃除の際に邪魔になるものがない。
【0033】
特に、調理鍋は、側部を土或はセラミックにより構成し、底部の殆どを熱伝導が良好な底板により構成したため、ヒータの熱は底板を介して調理物を効率よく加熱し、同時に熱容量の大きい土或はセラミックは熱放散を抑えて保温性を高める。
【0034】
また、調理鍋の下部には嵌合部の下端よりも突出する支持脚を一体成形したものであるから、調理鍋を取り外してテーブルやシンクの上面に置いた場合に底板と調理鍋の底壁とを固定する嵌合部が直接テーブルやシンクに当たらず抱合部分のガタつきや水漏れの原因を未然に防止する。
【0035】
そして、底板を熱伝導の良好な上板と下板を重合して構成し、上板と下板の嵌合部によって垂設部を挟持するため、ヒータからの熱伝導を最も必要とする部位は上板と下板の二層で厚くなり調理物への熱伝導を均一、且つ迅速に伝えて美味しい調理ができる。
【0036】
また、上板の周縁と嵌合部と垂設部との間にリング状のパッキングを介在したものであるから、土或はセラミックの材料の性質上十分な締付力により垂設部を固定することができなくてもこれによって生じる上板と嵌合部と垂設部との間の隙間はパッキングによって埋められ水密処理ができる。
【0037】
さらに、パッキングを耐熱性の成形体で構成することにより、底板を底壁に固定する前に予めパッキングを垂設部に嵌めることができパッキングを正規な位置に仮固定することができる。このパッキングには内側に向かって可撓片を一体成形しているため、この可撓片が嵌合部によってパッキングを外側に押しやり垂設部との密着をよくして水密処理の信頼性を高める。
【0038】
上板の周縁と嵌合部と垂設部との間に耐熱性硬化樹脂を充填したものであるから、樹脂が上板と嵌合部と垂設部との間の隙間に入り込み隙間の空気溜りをなくして水密処理を高めると共に、それぞれの部材の固定を確実なものにする。
【0039】
底板の周縁の下面に設けた薄肉段部に嵌合部の内端を固定したものであるから、底板の厚みを大きくしてヒータが当たる調理鍋の底板付近の温度分布を均一にすると共に、熱容量を大きくして温度変化を少なくする。
【0040】
耐熱性成形体のパッキングを底板の薄肉段部に当接して位置決めを行い、嵌合部を底板の厚肉部の下面に固定するものであるから、底板の厚肉部分の領域を大きくして温度分布の均一化と熱容量を大きくすることに繋げ、且つパッキングを所定位置に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気調理器の調理鍋の縦断面図である。
【図2】同じく調理器本体の縦断面図である。
【図3】同じく要部の部分拡大図である。
【図4】同じく要部の他の実施例を示す拡大図である。
【図5】同じく要部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図6】同じく要部のもう一つ他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 調理器本体
2 加熱台
5 ヒータ
7 鍋本体
8 調理鍋
11 開口部
13 底板
15 上板
16 下板
17 嵌合部
18 垂設部
19 支持部
20 パッキング
21 可撓片
23 熱硬化性樹脂
24 厚肉部
25 薄肉段部
Claims (3)
- 底壁に開口部及びこの開口部孔縁に垂設部を有する土或はセラミック製の調理鍋と、前記開口部を塞ぎ外周縁を前記開口部の孔縁に固定したアルミニウム等の熱伝導性の上板と下板とを重合した底板と、前記底板と接するヒータとを備え、前記下板の周縁下側には前記垂設部を抱合する嵌合部を形成すると共に、前記上板の周縁と垂設部との間に該垂設部のほぼ全体を抱合する形状で、且つ内側に向って突設した可撓片を一体形成した耐熱性成形体のリング状のパッキングを介在したことを特徴とする電気調理器。
- 前記底板の周縁の下面に薄肉段部を設け、内端は前記薄肉段部に固定し外端は前記垂設部を抱合する嵌合部であって、前記薄肉段部と嵌合部により前記垂設部を抱合することを特徴とする請求項1に記載の電気調理器。
- 前記薄肉段部と耐熱性成形体のパッキングとを当接し、嵌合部を底板の厚肉部の下面に固定したことを特徴とする請求項1に記載の電気調理器。
Priority Applications (1)
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JP2003183012A JP3858006B2 (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 電気調理器 |
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JP2003183012A JP3858006B2 (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 電気調理器 |
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ID=34183234
Family Applications (1)
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JP2003183012A Expired - Lifetime JP3858006B2 (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 電気調理器 |
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2003
- 2003-06-26 JP JP2003183012A patent/JP3858006B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2005013498A (ja) | 2005-01-20 |
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