JP3857797B2 - ウォータジェット工法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォータジェット工法及びその装置に関し、特に、簡易な構成のジェットノズルによって効果的なウォータジェット噴射作用を得ることができるウォータジェット工法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼管杭等を地盤中に圧入施工する際に、ジェットノズルから水と空気を同時に噴射して地盤を破砕攪拌するウォータジェット工法及びその装置が知られている。このウォータジェット装置は、高圧水ポンプ等による高圧水供給源と、空気圧縮機等からなる圧縮空気供給源に接続し、供給された水と空気を地盤中に噴出するためのジェットノズルによって構成される。
【0003】
図5は先行技術に係るウォータジェット装置のジェットノズルの要部断面図である。
図(a)のジェットノズル101は、水と空気をそれぞれ噴射する2つのノズル102,103を近接して構成し、また、図(b)のジェットノズル111は、2つのノズル112,113を同心の2重管によって構成することにより、地盤内への圧入に際して水Wと合わせて空気Aを噴射することにより、ジェット水ノズルの詰りを防止し、また、ジェット水を拡散して噴射による破砕効果を増加することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ジェットノズルは、水と空気を供給するそれぞれの案内管を含めてその複雑な構成による取扱いとメンテナンスの複雑化を招き、また、その噴射作用を向上するためには、水と空気の供給圧力を協調して増加させる必要があり、そのための両供給源の大型化を要することとなる。
本発明の目的は、簡易な構成のジェットノズルによって効果的なウォータジェット噴射作用を得ることができるウォータジェット工法及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、高圧水を供給する高圧水供給源と、この高圧水供給源に接続する案内管路を介して供給された水を地盤中に噴出するためのジェットノズルとから構成されるウォータジェット装置において、前記案内管路にその一部を空気置換するための置換管路と、その接続切替えのための切替え手段とを備え、かつ、この切替え手段によって高圧水供給源に代えて置換管路に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、ジェットノズルに至る案内管路に代えて置換排出物を受けるドレン管路とを備えてなることを特徴とする。
【0006】
上記ウォータジェット装置は、そのジェットノズルに至る案内管路に置換管路とその切替え手段とを備え、かつ、圧縮空気供給源とドレン管路とを切替え可能に備えたことから、切替え手段によって高圧水の供給と圧縮空気の供給を切替えると案内管路を高圧水と圧縮空気が順次連なって送られ、ウォータジェットノズルから水と空気が交互に噴射される。
【0007】
この場合、圧縮空気は高圧水によってさらに圧縮されて圧縮エネルギの蓄積媒体をなし、この蓄積媒体としての圧縮空気がウォータジェットノズルに達すると、圧縮空気は圧力低下によって急膨張することにより、高圧水から受けた圧縮エネルギが運動エネルギに変換され、この空気膨張によりノズル開口の土石を吹き飛ばしつつ先行の水をその背後から加速噴射する。さらに、圧縮空気は、先行して噴射された水によって満たされた閉塞空間内に噴射されると、土石粒子間を縫って水を加速しつつ膨張し、地盤内の奥深くまで水を送り込む。また、空気の噴射に続いて水が噴射される際は、水の先端がノズル開口に達した際の水撃作用と通過抵抗によって水圧が上昇し、水の噴射エネルギが確保される。
【0008】
前記切替え手段は、置換管路の接続を一体的に切替えるロータリーバルブによって形成することにより、複雑なバルブセットとその制御部を要することなく、装置をコンパクトに構成することができる。
【0009】
前記切替え手段は、置換管路の接続を個々の管路について開閉する電磁弁等の開閉弁によって形成することにより、入手の容易なバルブ部材のセットによって装置を簡易に構成することができる。
【0010】
前記ウォータジェット装置を用いたウォータジェット工法において、切替え手段が置換管路を介して高圧水管路と案内管路を連通して高圧水管路から高圧水の供給を受け、高圧水管路から供給された水が置換管路を満たし、次に切替手段を切り替えて、置換管路を介して圧縮空気管路とドレン管路を連通して置換管路に圧縮空気の供給を受け、置換管路の水がドレン管路に排出されて置換管路に空気が満たされ、その後、切替手段を切り替えて、高圧水管路と案内管路を連通して高圧水管路から供給された水が置換管路から空気を圧縮しつつ案内管路に押出することによって、案内管路を高圧水と圧縮空気が順次連なって送られるようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のウォータジェット装置の構成例を示す系統図である。
ウォータジェット装置1は、高圧水を供給する高圧水供給源2と、この高圧水供給源2に接続する案内管路3を介して供給された水を地盤中に噴出するためのジェットノズル4とを基本に構成される。
【0012】
案内管路3は、その一部を空気置換するための置換管路5と、その接続切替えのためのロータリーバルブ等の切替え手段6とを備え、かつ、この切替え手段6によって高圧水供給源2に代えて置換管路5に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源7と、ジェットノズル4に至る案内管路3に代えて置換排出物を受けるドレン管路8とを備えてなる。その他、高圧水供給源2から高圧水を導く高圧水管路2aと、圧縮空気供給源7から圧縮空気を導く圧縮空気管路7aにそれぞれ逆止弁2b、7bを介設し、また、案内管路3に可撓管4aを介設する。
【0013】
切替え手段6は、例えば、2系統の三方弁を形成した6ポートのロータリーバルブを用いることにより、複雑なバルブセットとその制御部を要することなく、装置をコンパクトに構成することができる。
【0014】
この切替え手段6により、置換管路5の一端側の接続を高圧水供給源2と圧縮空気供給源7に切替えるとともに、置換管路5の他端側の接続をウォータジェットノズル4に至る案内管路3と排出用のドレン管路8に切替える。高圧水供給源2の例として、約150kg/cm2の高圧水を供給し、圧縮空気供給源7の例では、約10kg/cm2の圧縮空気を供給する。
【0015】
図2は図1のウォータジェット装置のバルブ切替えを示す動作説明図である。切替え手段6が図(a)の置換管路5を介して高圧水管路2aと案内管路3を連通し、高圧水管路2aから高圧水の供給を受ける時は、高圧水管路2aから供給された水Wが置換管路5を満たし、次に図(b)の置換管路5を介して圧縮空気管路7aとドレン管路8を連通し、同置換管路5に圧縮空気の供給を受ける時は、置換管路5の水Wがドレン管路8に排出されて置換管路5に空気Aが満たされ、さらに、図(c)の高圧水管路2aと案内管路3を連通した時は、高圧水管路2aから供給された水Wが置換管路5から空気Aを圧縮しつつ案内管路3に押出す。このようにして、案内管路3を高圧水Wと圧縮空気Aが順次連なって送られる。
【0016】
案内管路3を進む上記高圧水Wと圧縮空気Aはウォータジェットノズルに送られて水と空気が交互に噴射される。上記圧縮空気Aは案内管路3を送られる際に高圧水Wによって圧縮され、この圧縮エネルギが圧縮空気に蓄積され、ウォータジェットノズル4まで送られることから、圧縮空気Aはエネルギの移送媒体をなす。
【0017】
図3は図1のウォータジェット装置の作用を示す説明図である。
圧縮空気Aが図(a)のウォータジェットノズル4の開口4bに達すると、圧縮空気Aは圧力低下によって急膨張することにより、高圧水から受けた圧縮エネルギを運動エネルギに変換し、この空気の運動エネルギによりノズル開口4bの近傍の土石を吹き飛ばしつつ先行の水滴w…をその背後から加速する。さらに、圧縮空気は、先行して噴射された水によって満たされた閉塞空間内に噴射されると、土石粒子間を縫って水を加速しつつ膨張し、地盤内の奥深くまで水を送り込む。
【0018】
また、空気Aの噴射に続いて図(b)の水Wが噴射される際は、水の先端がノズル開口4bに達した際の水撃作用と通過抵抗によって水圧が上昇し、水の噴射エネルギが確保される。
【0019】
したがって、本発明のウォータジェット装置1による地盤破砕するウォータジェット工法は、圧縮空気の作用により、ノズル開口4bの詰りを防止しつつ、加速された水によってターゲットに対して大なる衝突エネルギを及ぼすことができ、また、地盤内の広い範囲に水が拡散されるので、簡易な構成のジェットノズル4によって効果的なウォータジェット噴射作用を得ることができる。
【0020】
図4は本発明のウォータジェット装置の他の構成例を示す系統図である。以下において、前記同様の部材はその符号を付すことにより説明を省略する。
ウォータジエット装置11は、上記ロータリーバルブに代えて電磁弁等の4つの開閉弁、すなわち、高圧水管路2a、案内管路3、圧縮空気管路7、ドレン管路8にそれぞれ開閉弁6a,6b,6c,6dを介設し、これら開閉弁によって置換管路5の接続を個々に切替えるべくバルブセットによって切替え手段6を構成した例である。
【0021】
この場合、図示せぬ開閉弁制御部によって開閉弁6a,6bを開弁するとともに、開閉弁6c,6dを閉弁することによって高圧水を送り、次に開閉弁6a,6bを閉弁するとともに、開閉弁6c,6dを開弁することによって置換管路5を空気置換することができる。この切替え動作を繰り返すことによってウォータジェット装置11は、入手の容易な電磁弁等の開閉弁によって前記装置と同様に、効果的なウォータジェット噴射作用を得ることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係るウォータジェット工法及びその装置は以下の効果を奏する。
ウォータジェット工法の水の案内管路に圧縮空気を供給してこの圧縮空気を高圧水と交互にジェットノズルに送るようにし、また、その装置として、ウォータジェット装置の案内管路に置換管路とその切替え手段とを備え、かつ、圧縮空気供給源とドレン管路とを切替え可能に備えることにより、切替え手段によって高圧水の供給と圧縮空気の供給を切替えると案内管路を高圧水と圧縮空気が順次連なって送られ、ウォータジェットノズルから水と空気が交互に噴射される。
【0023】
この場合、圧縮空気は高圧水によってさらに圧縮されて圧縮エネルギの蓄積媒体をなし、この蓄積媒体としての圧縮空気がウォータジェットノズルに達すると、圧縮空気は圧力低下によって急膨張することにより、高圧水から受けた圧縮エネルギが運動エネルギに変換され、この空気膨張によりノズル開口の土石を吹き飛ばしつつ先行の水をその背後から加速噴射する。さらに、圧縮空気は、先行して噴射された水によって満たされた閉塞空間内に噴射されると、土石粒子間を縫って水を加速しつつ膨張し、地盤内の奥深くまで水を送り込む。また、空気の噴射に続いて水が噴射される際は、水の先端がノズル開口に達した際の水撃作用と通過抵抗によって水圧が上昇し、水の噴射エネルギが確保される。
【0024】
したがって、本発明のウォータジェット工法は、ノズル開口の詰りを防止しつつ、加速された水によってターゲットに対して大なる衝突エネルギを及ぼすことができ、また、地盤内の広い範囲に水が拡散されるので、簡易な構成のジェットノズルによって効果的なウォータジェット噴射作用を得ることができる。
【0025】
前記切替え手段をロータリーバルブによって形成した場合は、複雑なバルブセットとその制御部を要することなく、装置をコンパクトに構成することができる。
前記切替え手段を開閉弁によって形成した場合は、入手の容易なバルブ部材のセットによって装置を簡易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウォータジェット装置の構成例を示す系統図
【図2】図1のウォータジェット装置のバルブ切替えを示す動作説明図
【図3】図1のウォータジェット装置の作用を示す説明図
【図4】本発明のウォータジェット装置の他の構成例を示す系統図
【図5】先行技術に係るウォータジェット装置のジェットノズルの要部断面図
【符号の説明】
1 ウォータジェット装置
2 高圧水供給源
2a 高圧水管路
3 案内管路
4 ジェットノズル
4b 開口
5 置換管路
6 ロータリーバルブ(切替え手段)
6a,6b,6c,6d 開閉弁(切替え手段)
7 圧縮空気供給源
7a 圧縮空気管路
8 ドレン管路
11 ウォータジェット装置
A 空気
W 水
w 水滴
Claims (4)
- 高圧水を供給する高圧水供給源と、この高圧水供給源に接続する案内管路を介して供給された水を地盤中に噴出するためのジェットノズルとから構成されるウォータジェット装置において、前記案内管路にその一部を空気置換するための置換管路と、その接続切替えのための切替え手段とを備え、かつ、この切替え手段によって高圧水供給源に代えて置換管路に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、ジェットノズルに至る案内管路に代えて置換排出物を受けるドレン管路とを備えてなることを特徴とするウォータジェット装置。
- 前記切替え手段は、置換管路の接続を一体的に切替えるロータリーバルブによって形成したことを特徴とする請求項1記載のウォータジェット装置。
- 前記切替え手段は、置換管路の接続を個々の管路について開閉する電磁弁等の開閉弁によって形成したことを特徴とする請求項1記載のウォータジェット装置。
- 請求項1記載のウォータジェット装置を用いたウォータジェット工法であり、
切替え手段が置換管路を介して高圧水管路と案内管路を連通して高圧水管路から高圧水の供給を受け、高圧水管路から供給された水が置換管路を満たし、
次に切替手段を切り替えて、置換管路を介して圧縮空気管路とドレン管路を連通して置換管路に圧縮空気の供給を受け、置換管路の水がドレン管路に排出されて置換管路に空気が満たされ、
その後、切替手段を切り替えて、高圧水管路と案内管路を連通して高圧水管路から供給された水が置換管路から空気を圧縮しつつ案内管路に押出すことによって、案内管路を高圧水と圧縮空気が順次連なって送られることを特徴とするウォータジェット工法。
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JP36988897A JP3857797B2 (ja) | 1997-12-15 | 1997-12-15 | ウォータジェット工法及びその装置 |
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