JP3857150B2 - Atf用フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に使用されるオイル、燃料、エアー、あるいは自動変速機に使用されるオートマチックトランスミッションフルード等の流体を濾過するATF用フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の自動変速機内には、オートマチックトランスミッションフルード(ATF)に混入した金属摩耗粉等を捕捉するためにATF用フィルタが設けられる。ATF用フィルタの濾過材には、不織布が用いられることも多くなってきている。
【0003】
不織布に低密度のものを用いると、金属摩耗粉等の大きな粒子を捕捉することができるが、微粒子を捕捉することができない。このため効率が悪くなる。一方高密度の不織布を用いると、微粒子を捕捉できるので効率を高くすることができるが、流れの抵抗が大きくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
濾過材の性能は、主にこの流れの抵抗の大きさと濾過の効率とで決められ、濾過すべき流体、濾過材を流れる流量、濾過材の寿命等に応じて最適に設定される。
【0005】
そこで本発明は、新しく濾過材を開発することなく、既存の不織布からなる濾過材を後加工することで容易に別の性能を持たせることができる濾過材及び濾過材の製造方法、並びにこの濾過材を用いたATF用フィルタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、不織布からなる濾過材に熱板をプレスする部分とプレスしない部分をつくって凹凸を形成し、凹の部分が凸の部分よりも密になるようにした。
【0007】
すなわち本発明では後述するようにオートマチックトランスミッションフルード用フィルタに、不織布(1)からなり、熱板(2)をプレスすることによって凹凸が形成され、凹の部分(1b,11)が凸の部分(1a,12)よりも密であることを特徴とする濾過材(4,10)を使用することにより、上述した課題を解決する。
【0008】
なお、不織布に形成される凹凸のパターンまたは凹の部分を潰した量を調整することによって、濾過材の性能を容易に調整することができる。
【0009】
また、関連技術として、前記濾過材(4)が位置する平面における互いに直交するX方向及びY方向いずれの方向にも前記凹凸が形成される。
【0010】
この技術によればより濾過材の性能を調整しやすくなる。
【0011】
そして、本発明は、流入口(7)の形成されたケース部材(8)と流出口(6)の形成されたケース部材(9)とが合わされて構成されるケーシング(5)と、前記ケーシング(5)内に設けられる濾過材(10)とを備えるオートマチックトランスミッションフルード用フィルタにおいて、前記濾過材(10)は不織布に熱板をプレスすることによって凹凸が形成され、凹の部分(11)が凸の部分(12)よりも密に構成されており、前記濾過材(10)を通過するオートマチックトランスミッションフルードの流量が比較的大きい部分に前記凹の部分(11)が配置され、前記濾過材(10)を通過するオートマチックトランスミッションフルードの流量が比較的小さい部分に前記凸の部分(12)が配置されることを特徴とするオートマチックトランスミッションフルード用フィルタを採用した。
【0012】
本発明のオートマチックトランスミッションフルード用フィルタの好ましい一態様は、前記濾過材(10)が、凹の部分(11)を中央に、その両側に凸の部分(12)が配されるうように材料取りされ、この濾過材(10)が凹の部分(11)で折り込まれ、凸の部分(12)同士を重ねて二つ折りされ、折り込まれた凹の部分(11)が前記流出口(6)側に向けられた態様で前記ケース部材(8,9)に挟み込まれ、この濾過材(10)の前記流入口(7)と対向する部位に内外を連通せしめる開口部が形成され、この開口部が前記流入口(7)に接合される。
【0013】
なお、凹凸を有する熱板(2)を用意する工程と、不織布(1)に該熱板(2)をプレスすることによって凹凸を形成する工程と、を備え、凹の部分(1b)が凸の部分(1a)よりも密になることを特徴とする濾過材の製造方法により上述の濾過材は製造できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のATF用フィルタに使用される、一実施形態における濾過材について説明する。図1は、濾過材4の製造工程図を示す。まず従来周知の手法により、シート状に形成された不織布1を製造する。不織布は、天然または合成繊維を、粘着剤、加熱加圧、製縫によって、不規則に配列させたり、もつれさせたりしてつくった生地である。不織布の一例としてはフェルトを挙げることができる。
【0015】
次に、下面に凹凸を形成した熱板2を用意し、不織布1の上面に熱板2をプレスする。このとき熱板2の凸部2aが不織布を押さえる一方、凹部2bが不織布を押さえないようにする。これにより、不織布の上面に凸の部分1aとこの凸の部分1aよりも密な凹の部分1bとが形成される。
【0016】
濾過材4を使用する際、密度が小さい凸の部分1aで金属摩耗粉等の大きな粒子の捕捉が行われ、密度が大きい凹の部分1bで微細粒子の捕捉が行われる。ここで凸の部分1aでは、大きな粒子を捕捉することができるが、微細粒子を捕捉することができないので、濾過効率が悪くなる。一方凹の部分1bでは、微粒子を捕捉できるので濾過効率を高くすることができるが、流れの抵抗が大きくなる。濾過材の性能は、主にこの濾過の効率と流れの抵抗の大きさとで決められる。本実施形態の濾過材4では、熱板2の凸部2aが不織布1を潰す量、あるいは熱板2の平面的な凹凸のパターン形状等によって濾過材4の性能が決定される。
【0017】
図2乃至図5は不織布に形成された凹凸パターンの一例を示す。図2に示す凹凸パターンは、複数段、この実施形態では2段の階段状に形成され、上がり下がりを繰り返している。図3に示す凹凸パターンは、平面上互いに直交するX方向及びY方向のいずれの方向にも交互に凹凸が形成されている。図4に示す凹凸パターンは、波状の曲面に形成されている。さらに図5に示す凹凸パターンは、断面V字形の山及び谷を有するように形成されている。
【0018】
熱板をプレスして凹凸を形成することでこのような様々なパターンを容易に製造することができる。なおこの図2乃至図5は凹凸パターンの一例を示すものであり、密度の高い凹の部分と密度の低い凸の部分が形成されれば、これらの図に示す凹凸パターンに限られるものではない。
【0019】
図6は、凹凸を形成した濾過材10をオートマチックトランスミッションフルード(ATF)用フィルタ3に適用した例を示す。このATF用フィルタ3は例えば自動車の自動変速機のオイルパン内に配置される。この場合、ケーシング5の流出口6に接続されるオイルポンプによって、オイルパン内のATFが吸い上げられる。
【0020】
ATF用フィルタは、底に流入口7を有し、周縁に鍔部8aが形成される下ケース8と、上部に流出口6を有し、周縁に鍔部9aが形成される上ケース9と、下ケース8及び上ケース9の鍔部8a,9aに挟まれた濾過材10とを備える。下ケース8と上ケース9とから構成されるケーシング5は、自動変速機内の限られたスペース内に配置されるので、レイアウト上の制約を受けて薄く且つ異形の形状に形成される。またケーシング5の内面には、必要に応じて流入口7から流入したATFを流出口6に案内するための整流板が形成されることもある。
【0021】
濾過材10はフェルト等からなる不織布であり、シート状の不織布を2つ折りにして袋状に形成したものである。濾過材10の折り曲げ部10bを除く周縁部10aは下ケース8の鍔部8aと上ケース9の鍔部9aとの間で挟まれ・固定される。濾過材10の一部には開口が設けられ、この開口の周縁部が下ケースに熱融着等によって一体に接合される。
【0022】
この濾過材10には、熱板2をプレスすることによって凹の部分11と凸の部分12が形成される。図中斜線が凹の部分11を示す。凹の部分11が凸の部分12よりも密になっている。そして、濾過材10を通過するATFの流量が比較的大きい部分に凹の部分11が配置され、濾過材10を通過するATFの流量が比較的小さい部分に凸の部分12が配置されている。具体的には、流入口7よりも流出口6側の部分には凹の部分11が配置され、残りの部分(流入口7よりも流出口6の反対側の部分)には凸の部分12が配置される。
【0023】
ATFは温度が低いときと高いときとで粘度が変わり、温度が高いときは粘度が低くなる一方、温度が低いときは粘度が高くなる。濾過材10を通過するATFの流量が比較的大きい部分に凹の部分11を配置し、ATFの流量が比較的小さい部分に凸の部分12を配置することで、温度が高い(すなわち粘度が低い)ときには、図7に示すように主に凹(すなわち密)の部分11にATFが流れる。このため濾過効率を上げることができる。このとき抵抗は上がるが、粘度が低い分その上昇量が限られる。
【0024】
一方温度が低い(すなわち粘度が高い)ときには、図8に示すように流体が凹(すなわち密)の部分11のみならず凸(すなわち疎)の部分12にも流れる。このため濾過材10の全体が凹の部分11になる場合に比べ、抵抗を下げることができる。
【0025】
なお、濾過材は上述のATF用フィルタに限られず、内燃機関に使用されるオイル、燃料、エアー等の流体を濾過するためのフィルタに適用することも可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、濾過材が不織布からなり、熱板をプレスして凹凸が形成され、凹の部分が凸の部分よりも密になる。凹凸のパターンまたは凸の部分を潰した量を調整することによって、濾過材の濾過効率、抵抗等の性能を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のATF用フィルタに使用される一実施形態における濾過材の製造工程図。
【図2】濾過材の凹凸パターンの一例を示す図。
【図3】濾過材の凹凸パターンの他の例を示す図。
【図4】濾過材の凹凸パターンのさらに他の例を示す図。
【図5】濾過材の凹凸パターンのさらに他の例を示す図。
【図6】濾過材を適用した本発明のATF用フィルタを示す斜視図(一部断面図を含む)。
【図7】上記ATF用フィルタの斜視図(高温時のATFの流れを示す)。
【図8】上記ATF用フィルタの斜視図(低温時のATFの流れを示す)。
【符号の説明】
1・・・不織布
1b,11・・凹の部分
1a,12・・・凸の部分
4,10・・・濾過材
5・・・ケーシング
6・・・流出口
7・・・流入口

Claims (2)

  1. 流入口の形成されたケース部材と流出口の形成されたケース部材とが合わされて構成されるケーシングと、前記ケーシング内に設けられる濾過材とを備えるオートマチックトランスミッションフルード用フィルタにおいて、
    前記濾過材は不織布に熱板をプレスすることによって凹凸が形成され、凹の部分が凸の部分よりも密に構成されており、
    前記濾過材を通過するオートマチックトランスミッションフルードの流量が比較的大きい部分に前記凹の部分が配置され、前記濾過材を通過するオートマチックトランスミッションフルードの流量が比較的小さい部分に前記凸の部分が配置されることを特徴とするオートマチックトランスミッションフルード用フィルタ。
  2. 前記濾過材は、凹の部分を中央に、その両側に凸の部分が配されるうように材料取りされ、
    この濾過材が、凹の部分で折り込まれ、凸の部分同士を重ねて二つ折りされ、折り込まれた凹の部分が前記流出口側に向けられた態様で前記ケース部材に挟み込まれ、
    この濾過材の前記流入口と対向する部位に内外を連通せしめる開口部が形成され、この開口部が前記流入口に接合されたことを特徴とする請求項1に記載のオートマチックトランスミッションフルード用フィルタ。
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