JP3856959B2 - 小麦粉食品製造における新規な品質改善および保存方法 - Google Patents

小麦粉食品製造における新規な品質改善および保存方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期間にわたって鮮度が持続する小麦粉食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
小麦粉食品(例えば、パン)の品質は、製造後に経時的に低下する。例えば、パンにおいては、焼成後の老化、および蒸発による水分含量の減少が、経時的品質低下の原因として挙げられる。
【0003】
従来は、上記のような経時的品質低下を防止するために、パン生地への規定水分量範囲内でのより多量の水分の添加、モノグリセリド(MG)のような乳化剤の添加、および小麦粉中の澱粉のα-アミラーゼなどでの部分分解を介する老化の防止、などが実施されていた。
【0004】
生地への水分の添加の効果は、原料として使用される小麦粉のロット差により大いに変動する。すなわち、吸水力の大きい小麦粉を使用すると、生地のべたつきによる作業性の低下、生産収率の低下などの問題が生じ得る。
【0005】
老化を防止することにおける乳化剤の添加の効果は、それほど高くはない。また、多量の乳化剤の添加は乳化臭を生じるので、乳化剤の添加は、パン本来の、発酵および焼成により得られる好ましい香りおよび風味などを損ない得る。さらに、乳化剤の添加は、口中でパンがガム状になるという、口溶けの悪さなどの問題も引き起こし得る。
【0006】
α-アミラーゼなどの澱粉分解酵素の添加は、ボリュームアップ効果によるクラムのソフト化、アミロースの部分分解による老化防止効果などをもたらすことが確認されている。しかし、ドウのだれ、食感における不十分な老化防止などの問題が依然として存在している。澱粉分解酵素のようなパン改良用の各種分解酵素の添加は、澱粉のような小麦粉成分の分解を生じる。過度の小麦粉成分の分解は小麦粉成分の損傷を導き得るので、分解酵素の使用には、ノウハウの蓄積、製造工程の厳密な管理、および/または必要に応じて安全のためのさらなる他の添加物の添加が必要とされ得る。
【0007】
他の分解酵素の例としては、ラクターゼ(β-ガラクトシダーゼ)が挙げられる(例えば、特開平4-207143を参照のこと)が、ラクターゼの使用は一般的ではない(D. Every, Food Technology in New Zealand, May 1990, pp.19)。ラクトースはラクターゼによりグルコースおよびガラクトースに分解される。グルコースは発酵されて、ボリュームアップに寄与し得、一方、ガラクトースは発酵されないが、メイラード反応を受けて、香りおよび色調の向上に寄与し得ると考えられている。
【0008】
元来小麦粉中に微量に含有される糖脂質の中には、パンなどの小麦粉食品の品質の向上に有効であり得るものが存在する。その有効性が確認されている糖脂質の例としては、モノガラクトシルジグリセリド(MGDG)、ジガラクトシルジグリセリド(DGDG)などが挙げられる。これらの糖脂質は、グリセロ糖脂質と称されている。
【0009】
このような糖脂質は、例えばパン中においては、その重要な骨格を形成している澱粉およびグルテンの両方に結合し、そしてバリヤーを形成して、ガス保持力および水分保持力などの向上に、少量で寄与すると考えられている。この性質を利用すれば、パンなどの鮮度を長期間にわたって維持することが可能になるかもしれない。しかし、小麦粉中のこのような糖脂質の量は、非常に少なく、そして品種およびロット間で変動する。従って、小麦粉中に本来含有される糖脂質の性質を利用して、パンなどの小麦粉食品の品質を向上することは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解決するためのものである。本発明者らは、パンなどの小麦粉食品の品質向上における糖脂質の役割に注目し、小麦粉食品製造工程において、糖脂質を増強することができれば、パンなどの小麦粉食品の製造において良好な性質を付与し得ると考え、その方法について鋭意研究を重ねた。その結果、パンなどの小麦粉食品の原料に、脂質への糖の転移活性を有する酵素(例えば、ラクターゼ)、ならびに必要に応じてラクトースのような糖およびグリセリド類などのような脂質を添加することにより、小麦粉食品の鮮度の維持に有効な糖脂質の生成および/または増強がもたらされ、その結果非常に良質なパンなどの小麦粉食品が製造され得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、脂質への糖の転移活性を有する酵素を小麦粉食品原料に添加する工程を含む小麦粉食品の製造方法であって、ここでこの方法により製造された小麦粉食品は、この酵素を添加する工程を含まない方法により製造された小麦粉食品に比較して鮮度が長期間持続する、方法が提供される。
【0012】
1つの実施態様において、上記の脂質への糖の転移活性を有する酵素はラクターゼである。
【0013】
1つの実施態様において、上記のラクターゼはBacillus属に属する微生物に由来する。
【0014】
1つの実施態様において、上記のBacillus属に属する微生物はBacillus circulansである。
【0015】
1つの実施態様において、上記の方法は、脂質を上記小麦粉食品原料に添加する工程をさらに含む。
【0016】
1つの実施態様において、上記の方法は、ラクトースを上記小麦粉食品原料に添加する工程をさらに含む。
【0017】
1つの実施態様において、上記の小麦粉食品は、パン類、めん類、菓子類、パン粉利用フライ類、および天ぷら粉利用フライ類からなる群より選択される。
【0018】
1つの実施態様において、上記小麦粉食品はパン類である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、ラクターゼのような酵素が有する脂質への糖の転移活性により生成される糖脂質、特に、グリセロ糖脂質が、パンなどの小麦粉食品の品質を向上させるという知見に基づいている。
【0020】
グリセロ糖脂質は、親水基として炭水化物(糖)を有し、脂溶性(非極性)基としてジアシルグリセロール、アルキルアシルグリセロール、またはアルケニルアシルグリセロールを有する糖脂質の総称である。
【0021】
本発明の方法においては、脂質への糖の転移活性を有する任意の酵素が使用され得る。脂質への糖の転移反応を触媒することが公知である酵素としては、例えばEscherichia coli由来のガラクトシダーゼ、Saccharomyces cerevisiae由来のインベルターゼ、およびAspergillus niger由来のキシロシダーゼなどが挙げられる(特開平6-70789)が、特に好ましい酵素は、Bacillus circulans由来のラクターゼである。Bacillus circulans LOB 377株(ATCC 31382;米国特許第4,237,230号を参照のこと)由来のラクターゼは、「ビオラクタN5」、「ビオラクタFN5」などの商品名で大和化成株式会社から市販されている。
【0022】
ラクターゼは、β-ガラクトシダーゼともいわれ、β-D-ガラクトシドを加水分解してD-ガラクトースを生成する活性を有し、系統名β-D-ガラクトシドガラクトヒドロラーゼを有する。ラクターゼは、ラクトース(グルコース-β-D-ガラクトシド)をグルコースとガラクトースとに分解する能力を有する。
【0023】
転移活性は、脂質および糖に酵素を作用させ、その反応物中に生成される糖脂質を検出することにより測定される。検出は、例えば、薄層クロマトグラフィーにより実施され得る。例えば、ラクターゼを、ラクトースおよび乳化剤(例えば、モノグリセリド)とともにパン生地に添加してパンを製造し、製造されたパンから糖脂質を抽出することにより、パン製造工程におけるラクターゼによる転移活性を測定することが可能である。
【0024】
本発明の酵素による転移活性には、ラクトースなどの糖の存在が必要とされる。ラクトースなどの糖は、小麦粉食品の原料中に含有され得るが、さらに添加してもよい。
【0025】
本発明の酵素による転移活性には、脂質の存在が必要とされる。脂質は、小麦粉食品の原料中に含有され得るが、さらに添加してもよい。添加のために好ましい脂質は、現在、食品用乳化剤として使用されている脂質である。本発明の方法において、乳化剤として市販されている多数の脂肪酸エステル(例えば、モノグリセリド)が使用され得る。そのような乳化剤は、例えば、花王から「レオドール」、「エマゾール」などの商品名で、武田薬品工業株式会社から「エマルジーMS」の商品名で(これは、理研ビタミン株式会社により製造されている)、または日生共益株式会社から「サンソフト」などの商品名で市販されている。
【0026】
本発明はパンの製造により詳細に説明されるが、本発明の方法はパン以外の小麦粉食品に適用され得る。本明細書において使用される用語「小麦粉食品」の定義には、パン類(例えば、食パン、フランスパン、菓子パン、ドーナッツ、および蒸しパン)、めん類(生めん、および乾燥めんを含む;例えば、マカロニ、パスタ、およびそうめん類)、菓子類(例えば、ビスケット、クラッカー、スナック類、洋生菓子、ケーキ、シュー菓子類、パイ類、和菓子、蒸しもの、焼き物)、パン粉利用フライ類、ならびに天ぷら粉利用フライ類などが含まれる。
【0027】
パンなどの小麦粉食品の鮮度は、酵素を添加した(またはコントロールとして酵素を添加しない)小麦粉食品を製造し、これを一定期間保存した後に、その品質を物理的および/または官能的に測定することにより評価され得る。例えば、パンの鮮度は、酵素を添加したパンを製造し、これを一定期間(例えば、1〜7日間)保存した後、その硬さ、食感などを測定することにより評価され得る。評価方法および評価に必要とされる期間が、目的とする小麦粉食品の種類に依存することは、当業者に理解される。
【0028】
製パンは、例えば以下のように行われる。パン生地の材料を混合する(例えば、表1を参照のこと)。これに精製変異型α-アミラーゼをさらに添加する。パン生地の発酵および焼成は、市販のホームベーカリーを使用することにより簡便に実施され得る。
【0029】
焼きあがったパンの硬さは、例えば、以下のように評価される。パンを焼成した後、常温で放置し、水分蒸発を極力防止するためにビニール袋に入れて一定時間保存する。次いで、パンの硬さを測定する。硬さの測定は以下のように実施され得る。パンをスライスし、このパンの中央部を一定の大きさにカットして断片を作製する。この断片を圧縮し、一定スピードで圧縮した場合の最大荷重を測定する。さらに、パンの硬さは、官能試験により評価され得る。
【0030】
以下、本発明を、実施例により具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例により限定されない。
【0031】
【実施例】
(実施例1:ラクターゼを添加したパンの製造)
ラクターゼをパン生地に添加してパンを製造した。ラクターゼとしてはB. circulans由来のラクターゼ(これは、実質的に「ビオラクタN5」、「ビオラクタFN5」などの商品名で大和化成株式会社から市販されている酵素と同一である)およびカビ(Aspergillus oryzae)由来のラクターゼ(スミラクト、新日本化学社製)を使用し、乳化剤としては「エマルジーMS」(武田薬品工業株式会社製)を使用した。
【0032】
山形フランスパン用基本材料(強力粉、250 g;薄力粉、30 g;バター、3g;塩、5g;冷水、210 ml;および、ドライイースト、2.2 g)、またはこの材料に乳化剤(対粉0.2%添加)、もしくは乳化剤(対粉0.2%添加)、ラクターゼ(対粉0.2%、これはラクターゼ1400 LU/gに相当する)、およびラクトース(対粉1.2%添加)を添加したものを、ナショナル自動ホームベーカリーSD-BT150(松下産業株式会社製)に供した。
【0033】
焼成後、パンを21℃で1時間放冷し、次いでこれを水分蒸発を防止するためにビニール袋に入れ、そして20℃で保存した。
【0034】
1、4または7日間保存した後、パンを2cmの厚さにスライスし、パンの中央部を5cm×5cmにカットした。
【0035】
パンの硬さを、レオメーターCOMPAC-100(サン科学製)を使用して、圧縮スピード60mm/分で1cm圧縮した場合の最大荷重を測定した。さらに、パンの柔らかさ、および食感を官能試験で評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003856959
【0037】
表1において、パンの柔らかさを○(柔らかい)、△(やや硬い)、および×(硬い)で表し、そしてパンの食感を○(滑らか)、△(やや滑らか)、および×(滑らかさなし)で表す。このように、乳化剤、ラクターゼ、およびラクトースを添加したパンは、これらを添加しないパン、乳化剤のみを添加したパン、またはカビ由来ラクターゼを乳化剤およびラクトースとともに添加したパンに比較して、柔らかさおよび食感を長期間間にわたって維持した。
【0038】
(実施例2:パン中の糖脂質の分析)
1)パンからの脂質の抽出
実施例1に従って製造したラクターゼ(ならびにラクトースおよび乳化剤)を添加したまたはラクターゼを添加していないパンのコラム部に、5〜10倍量の50 mMリン酸緩衝液(pH6.0)を加え、これをホモジナイザーで破砕後、常法に従って同量の酢酸エチルで抽出した。次いで、遠心分離によって酢酸エチル層を分離し、そして回収した。得られた酢酸エチル層を減圧乾固し、次いでヘキサン2mlに再溶解して、粗脂質サンプルとした。
【0039】
2)イアトロビーズカラムを使用する粗脂質の部分精製
イアトロビーズを常法により活性化した。すなわち、イアトロビーズ(IATRONLABORATORIES, INC.)を0.1 Mアンモニア水により洗浄し、水で洗浄し、pHを5〜6に調整し、0.2 M NaClで洗浄し、水で洗浄し、風乾、そして105℃で2日間処理した。得られた活性化イアトロビーズをクロロホルム:メタノール:水=1:1:0.2に懸濁し、超音波処理により脱気し、次いでこれを使用してベッドボリューム約1mlのカラム(6mm×3.5 cm)を作製した。
【0040】
このカラムを100%クロロホルムで平衡化し、これに100%クロロホルム中に溶解した上記1)の粗脂質サンプルをかけて吸着させた。10カラム容量の100%クロロホルムで非極性脂質を採集し(図1中I)、以降順番に、それぞれ5カラム容量の、クロロホルム:アセトン=1:1(図1中II)、100%アセトン(図1中III)、クロロホルム:メタノール=1:1(図1中IV)、およびクロロホルム:メタノール:水=1:1:0.2(図1中V)を使用して溶出液を採集した。
【0041】
この分離操作において、モノガラクトシルジグリセリド(MGDG)はクロロホルム:アセトン=1:1溶出画分に、そしてジガラクトシルジグリセリド(DGDG)およびモノガラクトシルモノグリセリド(MGMG)はクロロホルム:メタノール=1:1溶出画分に溶出された。
【0042】
3)薄層クロマトグラフィーによる脂質の分析
上記で得られた各画分をクロロホルム:メタノール=1:1またはクロロホルム:メタノール:水=1:1:0.2に溶解し、この約3〜5μgをHPTLCプレート(Merck社、HPTLC Fertigplatten Kieselgel 60)にスポットし、これを展開溶媒(クロロホルム:メタノール:アンモニア水:水=30:20:2.4:1.2)を使用して展開した。
【0043】
展開終了後、プレートを乾燥させ、次いでこれに0.05%(w/v)アントロンおよび1%(w/v)チオ尿素を含有する66%(v/v)硫酸溶液をスプレーし、そして120℃で加熱して発色させた。結果を図1に示す。ここで、STDは、標準品である小麦粉由来のモノガラクトシルジグリセリド(MGDG)(上方のバンド)およびジガラクトシルジグリセリド(DGDG)(下方のバンド)である。この方法において、モノガラクトシルモノグリセリド(MGMG)のRf値とジガラクトシルジグリセリド(DGDG)のRf値とはほぼ同一である。また、モノガラクトシルジグリセリド(MGDG)のRf値は、モノガラクトシルモノグリセリド(MGMG)のRf値より大きい。さらに、発色したバンドの濃さを、Bio Max 1D Image Analysis Software(Kodak)を使用するコンピューター処理により数値化した。
【0044】
4)結果
図1に示すように、画分IIおよび画分IVにおいて、ラクターゼを添加すると(図中+で示す)、ラクターゼを添加していない場合(図中−で示す)に比較して、バンドの濃さの増加が観察された。コンピューター処理による数値化により、非添加時:添加時の糖脂質の割合は、画分IIにおいて45:100であり、そして画分IVにおいて60:100であった。すなわち、それぞれの場合において約2倍の増加が観察された。
【0045】
画分IIおよび画分IVにおいて増加したバンドは、標準品との比較からそれぞれモノガラクトシルジグリセリド(MGDG)およびモノガラクトシルモノグリセリド(MGMG)またはジガラクトシルジグリセリド(DGDG)に相当する。このように、ラクターゼの添加により、パン中の糖脂質が増加することが示された。これらの糖脂質はパンの鮮度の維持に寄与することが知られている。従って、実施例1において示されたラクターゼの添加によるパンの品質向上は、パン中の糖脂質の増加に起因することが示唆された。
【0046】
(実施例3:B. circulans由来ラクターゼの性質と他のラクターゼの性質との比較)
実施例1および2において使用したラクターゼであるB. circulans由来ラクターゼと、従来のラクターゼの活性を比較した。従来のラクターゼとしては、カビ(Aspergillus oryzae)由来のラクターゼ(スミラクト、新日本化学社製)を使用した。反応は、ラクトース55%(w/w)を含有する反応液に、B. circulans由来ラクターゼまたはカビ由来ラクターゼを5または20 LU/gラクトース添加し、pH6.0、60℃(B. circulans由来ラクターゼ)またはpH5.0、50℃(カビ由来ラクターゼ)で、20時間実施した。ここで、ラクターゼの活性を表す単位1LUは、ラクターゼをラクトース(終濃度10%)に、pH6.0、40℃で作用させた場合に、反応初期の1分間に1μmolのグルコースを生成する酵素量として定義される。反応後の各種ガラクトオリゴ糖の量をHPLC分析により測定した。結果を表2に示す(表中、数字の単位は%である)。
【0047】
【表2】
Figure 0003856959
【0048】
カビ由来ラクターゼについては、酵素量が増加すると、グルコースおよびガラクトースが増加し、そして二糖類、三糖類、および四糖類以上が減少した。このことは、この酵素が分解活性を優先的に有することを示す。B. circulans由来ラクターゼについては、酵素量が増加しても、それぞれの糖の組成に大きな変化は観察されなかった。このことは、この酵素が分解活性とともに転移活性を有することを示す。
【0049】
【発明の効果】
本発明の小麦粉食品の製造方法によれば、例えば、従来法により得られるパンよりもソフトであり、そして水分保持力の向上により長期間にわたって焼成直後の鮮度が維持されるパンが製造される。また、本発明の方法は小麦粉食品を、その材料に損傷を与えずに製造するので、工程管理が簡便となり、そして作業性および生産効率が向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラクターゼを作用させたパン中の糖脂質の薄相クロマトグラフィーによる分析を示す図である。

Claims (8)

  1. 小麦粉食品の製造方法であって、該方法は、脂質への糖の転移活性を有する酵素を小麦粉食品原料に、脂質への糖の転移を行うに有効な量で添加する工程、および
    該酵素を、脂質と糖の存在下で、該小麦粉食品原料中にグリセロ糖脂質が生成されるように作用させる工程を包含し、ここでこの方法により製造された小麦粉食品は、該酵素を添加する工程を包含しない方法により製造された小麦粉食品に比較して鮮度が長期間持続する、方法。
  2. 前記脂質への糖の転移活性を有する酵素がラクターゼである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ラクターゼがBacillus属に属する微生物に由来する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記Bacillus属に属する微生物がBacillus circulansである、請求項3に記載の方法。
  5. 脂質を前記小麦粉食品原料に添加する工程をさらに包含する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. ラクトースを前記小麦粉食品原料に添加する工程をさらに包含する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記小麦粉食品が、パン類、めん類、菓子類、パン粉利用フライ類、および天ぷら粉利用フライ類からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記小麦粉食品がパン類である、請求項7に記載の方法。
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