JP3856369B2 - ライナー管およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明はライナー管およびその製造方法に関し、特にたとえば既設の老朽管等をその内側から補修・更新するために用いられる合成樹脂からなるライナー管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既設管の曲がり部の施工に使用する図14(A)に示すライナー管1は、図14(B)に示すように、管1の周方向の一部に形成されている押し込み部分1aを押し板等により押し込んで縮径加工を施している。このように縮径加工を施すのは、既設管への挿入抵抗を軽減させるためである。そして、縮径加工が施されたライナー管1を既設管に挿入した状態で、ライナー管1の内側に所定の圧力の加熱蒸気を供給することにより断面形状が略円形の管に復元させる(図14(C)参照)。これによりライナー管1を既設管の内周面に略密着させて既設管の補修・更新を行うことができる。
【0003】
しかし、ライナー管1の押し板等により押し込まれた押し込み部分1aは、図14(C)に示すように、復元された後でも扁平な状態となり管壁の全周に亘って真円とならないため、サドル分岐継手等をライナー管1に接合する際、接合部に隙間ができて、密着しないことによる接合不良の恐れがあった。なお、既設管に挿入されたライナー管1にサドル分岐継手を接合するときは、ライナー管に傷が付かないように既設管に孔をあけるか、または分岐部の既設管を切断したり砕いて取り除き、ライナー管1にサドル分岐継手を直接接合する。
【0004】
そこで、復元された状態で断面形状が真円となるようにするためのライナー管1の製造方法が特願平11−157263号(B29C63/00)に開示されている。この製造方法は、金型から押し出された円形管を引き落とすことにより外径の小さい円形管に成形するものである。
【0005】
なお、ライナー管1を縮径する際に押し板等により押圧された押し込み部分1aは、略U字状に屈曲されることにより引き伸ばされて厚みが薄くなることがあるので、この部分の肉厚t1を他の部分の肉厚t2よりも予め厚くしてある。このように、押し込み部分1aを厚肉に成形し、施工後の厚みが均一となるようにするライナー管の製造方法が特願平11−157262号に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特願平11−157263号に開示されているライナーの製造方法によっても、縮径された管を既設管内で十分に真円に近づくように復元することができなかった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、縮径された管を既設管内で十分に真円に近づくように復元することができ、かつ全周にわたって肉厚を均一にすることができる、ライナー管およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、周方向の一部が肉厚にされた管を押出成形し、押出し後に管の肉厚にされた部分を押し込んで変形させ、管内を加熱および加圧して所定の曲率半径の内径および外径を有した管に復元できる合成樹脂からなるライナー管において、押出し時に管の肉厚にされた部分の内径の曲率半径を復元後の内径の所定の曲率半径よりも小さく、かつ管の肉厚にされた部分の外径の曲率半径を復元後の外径の所定の曲率半径よりも小さくしていることを特徴とする、ライナー管である。
【0009】
第2の発明は、周方向の一部が肉厚にされた管を押出成形し、押出し後に管の肉厚にされた部分を押し込んで変形させ、管内を加熱および加圧して所定の曲率半径の内径および外径を有した管に復元できる合成樹脂からなるライナー管の製造方法おいて、(a)管の肉厚にされた部分の内径の曲率半径を復元後の内径の曲率半径に比べて小さく、かつ管の肉厚にされた部分の外径の曲率半径を復元後の外径の曲率半径に比べて小さくして押し出し、そして(b)管の肉厚にされた部分を押し込んで変形させることを特徴とする、ライナー管の製造方法である。
【0010】
【作用】
第1の発明によると、管壁の一部に形成されている押し込み部分を径方向の内側に押し込むと、押し込まれた部分が略U字状に変形する。そして、この変形した管の内側を加熱および加圧すると、管壁の押し込み部分以外の部分は所定の曲率半径となり、この変形した押し込み部分は、元の曲率半径に完全には復元しないが、元の曲率半径よりも大きい所定の曲率半径となる。よって、ライナー管の全周が所定の曲率半径となるように復元する。この復元したライナー管の断面形状は、真円または真円に十分に近い円となる。
【0011】
そして、押し込み部分は、押し込んだときに、管壁の厚みが少し薄くなるが、事前に押し込み部分を厚肉にすることにより、復元させたときのライナー管の管壁の厚みが全周に亘って均一となり、部分的に強度不足となることを防止できる。
【0012】
第2の発明によると、押し込み部分の曲率半径が復元後の曲率半径に比べて小さく成形されたライナー管を製造することができる。このライナー管は、第1の発明のライナー管と同様に、全周が所定の曲率半径となるように復元し、断面形状が真円または真円に十分に近い円となる。
【0013】
【発明の効果】
第1の発明によると、ライナー管の全周が所定の曲率半径となるように復元するので、ライナー管を略円形にすることができる。これにより、サドル分岐継手等をライナー管に確実に接合することができる。
【0014】
第2の発明によると、全周が所定の曲率半径となるように復元するライナー管を安定した品質で簡単に製造することができる。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0016】
【実施例】
この発明の一実施例のライナ管は、図1に示すような断面形状のものであり、材質が合成樹脂(ポリエチレン,ポリブテン,ポリプロピレン,ナイロン,塩化ビニル等)であるが、ここでは材質がポリエチレンの実施例を示す。そして、この発明の一実施例のライナー管の製造方法は、図1(B)に示す断面略ハート形のライナー管10を製造するためのものであり、具体的には、図2に示すような製造装置12を用いて実施される。
【0017】
図1(A)は、製造装置12に設けられている押出成形機14により成形されて口金16を通って押し出されてきたライナー管10の断面形状を示す。図1(B)は製造装置12により製造されて送り出される縮径されたライナー管10の断面形状を示す。そして、図1(C)は、既設管内に挿入されて、内側から蒸気により加熱および加圧されて復元した状態のライナー管10の断面形状を示す。
【0018】
図1(A)に示すように、押出成形機14により成形され、口金16を通って押し出されてきたライナー管10の断面形状は卵形であり、管壁の周方向の一部が所定の範囲に亘って押し込み部分18として形成されている。押し込み部分18の曲率半径R1は、これ以外の円弧状部分20の曲率半径R2よりも小さくしてある。なお、管壁の押し込み部分18と円弧状部分20との接合部の外周面および内周面は、なだらかな曲面により形成されている。そして、押し込み部分18は、厚肉部として形成され、その肉厚t3は円弧状部分20の肉厚t2よりも厚くしてある。
【0019】
そして、押出成形機14から押し出されてきた図1(A)に示すライナー管10は、製造装置12に設けられている第1成形ローラ22および第2成形ローラ24により押し込み部分18が径方向の内側に向かって押し込まれて、図1(B)に示すような断面略ハート形に縮径された形状となる。この際、押し込み部分18は、略U字状に変形した管壁の屈曲部分となり、この変形に伴って引き伸ばされて薄くなる。その結果、ライナー管10の全周に亘って肉厚がt2となり均一化される。このように、ライナー管10の全周に亘って肉厚を均一化することができるので、管壁の部分的な強度不足を解消できる。なお、このようにライナー管10に縮径加工を施すのは、既設管への挿入抵抗を軽減させるためである。
【0020】
次に、図1(B)に示すように断面略ハート形に縮径加工されたライナー管10を使用して、たとえば既設の老朽管等をその内側から補修・更新する手順を説明する。この既設管の断面形状は、真円である。なお、縮径加工されたライナー管10は、搬送,保管等に便利なように、図1(B)の左右の方向から押圧されて折り畳まれている。まず、この折り畳まれたライナー管10を約80°Cに加熱して、この加熱した状態で既設管内に挿入する。挿入時にライナー管10を加熱するのは、曲がり部を含む既設管等に挿入する際に、曲がり易くして挿入抵抗を軽減するためである。なお、ライナー管10を加熱した状態で挿入するが、この加熱によってライナー管10が元の卵形に復元しないようするために、ライナー管10をその融点付近の温度で縮径加工を施してある。
【0021】
そして、既設管に縮径された状態で挿入されているライナー管10内にたとえば温度が約100°C(ライナー管10の融点約130°C以下の温度)であり、圧力が約0.18MPa(ライナー管10が破裂しない程度の圧力であり、たとえば0.1〜0.2MPaの圧力が好ましい。)の蒸気を供給する。すると、ライナー管10は、図1(C)に示すように、断面形状が真円または真円に十分に近い円に復元し、このように復元した状態でライナー管10の外周面の全体が既設管の内周面の全体に密着する。次に、ライナー管10内への蒸気の供給を停止して自然冷却することにより既設管の補修等の作業が終了する。なお、既設管内で復元されたライナー管10の肉厚はt2であり、全周に亘って均一となっている。
【0022】
このように、ライナー管10が略真円に復元し、押し込み部分18が図14(C)に示す従来のライナー管1のように扁平な状態とならないのは、U字状に変形した管壁の屈曲部分である押し込み部分18は、元の曲率半径R1に完全には復元しないが、元の曲率半径R1よりも大きい所定の曲率半径R2に復元するからである。このように復元した押し込み部分18の曲率半径R2は、復元した円弧状部分20の曲率半径R2と同一となるので、ライナー管10の全周が所定の曲率半径R2の真円またはそれに十分に近い円となるように復元する。これにより、ライナー管10の外周面の全体を既設管の内周面に完全に密着させることができる。したがって、サドル分岐継手等をライナー管10に確実に接合することができる。
【0023】
なお、図1(A)に示す復元前の押し込み部分18の曲率半径R1は、復元後の押し込み部分18の曲率半径がR2となるように予め試験または計算等によって決定したものである。つまり、たとえば復元後の押し込み部分18の曲率半径R2が復元前の曲率半径R1よりも30%大きくなる場合は、復元後の目標とする曲率半径R2の30%または(30%+α%)分だけ小さい曲率半径R1に押し込み部分18を形成すればよい。これにより、復元後の曲率半径がR2のライナー管10を得ることができる。αは、復元後の押し込み部分18の曲率半径がR2よりも大きくならないようにするための余裕分である。
【0024】
次に、図1(B)に示す断面略ハート形のライナー管10を製造するための図2に示す製造装置12を説明する。製造装置12は、押出成形機14,第1水槽26,第2水槽28および引取機30等を含む。押出成形機14は、ホッパ32から供給されたポリオレフィン系樹脂を加熱溶融して押し出すための押出機34を含み、押出機34の出口には管成形用の金型36が取り付けられている。
【0025】
金型36は、図3に示すように、筒状のダイ38およびダイ38の内側に配置されたマンドレル40を含み、ダイ38の内面とマンドレル40の外面との間には、筒状の溶融樹脂通路42が形成されている。ダイ38の内周面およびマンドレル40の外周面は、図3(B)に示すように、それぞれの軸方向に直角の断面形状が卵形に形成されている。そして、マンドレル40は、卵形断面において曲率半径の小さい下部が三日月状に欠損された形状に形成されているので、溶融樹脂通路42の断面は、下部において幅広となっている。したがって、金型36から押し出される管10aは、図4に示すように、下部に押し込み部分18としての厚肉部(押し込み部分18となる部分。)が形成され、断面形状が卵形である。
【0026】
第1水槽26は、押出成形機14から押し出された断面卵形の管10a(図4参照)を少し細くなるように加工して断面卵形のライナー管10(図1(A)参照)を形成し、このライナー管10の断面形状を略ハート形に変形させて、しかる後にこれを冷却するためのものである。この第1水槽26は、図5に示すように、管10aの押出方向に延びる本体44を含んでいる。本体44の長手方向一方端部および他方端部には管10aの入口46およびライナー管10の出口48が形成されており、本体44の上面には保守・点検等のための複数の開口50が形成され、各開口50には蓋52が装着されている。また、本体44の内部空間は、隔壁54によって二分され、入口46側の第1領域56には、口金16が配置されるとともに真空ポンプ58が接続され、出口48側の第2領域60には、縮径装置62および複数(この実施例では2つ)の受けローラ64が配置されている。また、第1領域56および第2領域60の全長にわたって、散水パイプ66(図7参照)が配置されている。
【0027】
口金16は、ライナー管10によって補修または更新される既設管の内周長と略同じ内周長を有する断面が卵形状の本体16aを含み、本体16aの一方端部外周には鍔16bが形成され、鍔16bが入口46に取り付けられている。
【0028】
縮径装置62は、図1(A)に示す断面卵形のライナー管10を、図1(B)に示すように断面形状が略ハート形となるように変形させるためのものである。この縮径装置62は、図6に示すように、断面卵形のライナー管10の上部外面を規定する第1部分68および卵形ライナー管10の管壁の下部を略U字状に変形させるための第2部分70を含んでいる。第1部分68は円筒状体を軸方向に略半割りにした本体72を含み、本体72の長手方向一方端部には鍔状の取付部74が形成され、本体72の周方向両端部には平板状の支持部76が形成されている。そして、支持部76にはボルト78を挿通するための孔80が形成されている。
【0029】
第2部分70は、小径の第1成形ローラ22および大径の第2成形ローラ24を含んでいる。これら第1成形ローラ22および第2成形ローラ24は、ライナー管10の押出方向先方に向ってこの順に互いに所定の間隔を隔てて配置されており、第2成形ローラ24の上部が第1成形ローラ22の上部よりも高い位置に配置されている。そして、第1成形ローラ22および第2成形ローラ24の中心には、それぞれ支持軸82が設けられており、各支持軸82は鉛直方向に延びる側板84により回動自在に支持されている。各側板84の上端部には、水平方向に延びる合計4つの支持部86が設けられている。各支持部86にはボルト78を挿通するための孔88が形成されている。そして、支持部76および86のそれぞれの孔80および88にボルト78が下方から挿通され、このボルト78にナット92が螺合される。したがって、ナット92を緩めると第2部分70が降下し、ナット92を締め付けると第2部分70が上昇する。
【0030】
受けローラ64は、図7に示すように、縮径装置62によって断面形状が略ハート形に変形(縮径)されたライナー管10を受けて、これをさらに縮径させるためのものであり、ローラ本体94を含んでいる。ローラ本体94の外周面は、ライナー管10の押出方向から見て、略U字状に湾曲するパイプ受部94aとして形成されている。そして、ローラ本体94は、支持軸94bによって支持されており、支持軸94bは、軸受け(図示せず)を介して本体44に回動自在に支持されている。
【0031】
第2水槽28は、第1水槽26によって冷却されたライナー管10をさらに冷却するためのものであり、第1水槽26の本体44とほぼ同様の本体96を含んでいる。本体96の内部には散水パイプが配置され、散水パイプからライナー管10に向けて冷却水が散水される。
【0032】
引取機30は、ライナー管10を一定の速さで引き取るためのものであり、ライナー管10の下部および上部に押圧される引取ローラ98を含んでいる。引取ローラ98の少なくとも一つには図示しないモータの回転軸が接続され、モータの回転数を制御することによってライナー管10の引き取り速さが調整される。
【0033】
図2に示す製造装置12を用いてライナー管10を製造する際には、まず、図8に示すように、縮径装置62におけるナット92(図6参照)を緩めて第2部分70を降下させる。また、真空ポンプ58によって第1水槽26の第1領域56の圧力を低下させて負圧とし、さらに、第1水槽26および第2水槽28の各散水パイプ66に冷却水(10〜20℃程度)を供給する。そして、押出成形機14を駆動して、断面形状が卵形の管10aの押し出しを開始する。
【0034】
押出成形機14から押し出された断面卵形の管10aは、第1水槽26の口金16を通り、第1領域56に付与された負圧によって口金16の内面に押し付けられる。管10aは、口金16を通過すると、この管10aよりも寸法の小さい断面形状が卵形のライナー管10に形成される。このライナー管10は、散水パイプ66からの冷却水によって冷却されながら、第2領域60に送り込まれる。第2領域60では、縮径装置62の第2部分70(第1および第2成形ローラ22,24)がライナー管10に接触しないように下降しているので、ライナー管10は変形されることなく断面形状が卵形のままで冷却される。ライナー管10が所定長さだけ押し出されると、ライナー管10の寸法および形状を測定し、その寸法等が許容範囲内に納まるように製造条件(樹脂の溶融温度等)を調整する。なお、断面卵形のライナー管10の寸法および形状は、図1(A)に示すように、押し込み部分18の肉厚がt3、その曲率半径がR1、そして押し込み部分18以外の円弧状部分20の肉厚がt2、その曲率半径がR2であり、この寸法等になるように製造条件を調整する。
【0035】
断面卵形のライナー管10の寸法が許容範囲内にある場合には、押出成形機14による管10aの押し出しを続行しながら、第2部分70を引き上げてライナー管10の下部に第1成形ローラ22および第2成形ローラ24を押し付ける。すると、断面卵形のライナー管10の管壁下部すなわち厚肉部として形成された押し込み部分18(図1(A)参照)が第1成形ローラ22および第2成形ローラ24によって径方向の内側へ段階的に押し込まれ、図1(B)に示すように押し込み部分18が略U字状に変形されて略ハート形のライナー管10が得られる。押し込み部分18に第1および第2成形ローラ22,24を押し付けると、厚肉部として形成された押し込み部分18が引き伸ばされてその肉厚が薄くなりt2となるが、押し込み部分18は予め他の部分、すなわち円弧状部分20よりも厚肉に形成されているので、結局、ライナー管10の全周にわたって肉厚がt2となり均一化されることになる。
【0036】
縮径装置62によって縮径加工が施されて、断面略ハート形に成形されたライナー管10は、冷却水で冷却されながら受けローラ64上に送り込まれる。それぞれの受けローラ64では、ライナー管10の熱収縮が受部94aの内面に沿って進行するため、特別な手段を用いなくてもライナー管10が効率よく縮径される。
【0037】
第1水槽26を通過したライナー管10は、第2水槽28によってさらに冷却された後、引取機30に引き取られる。そして、引取機30によって所定長さのライナー管10が引き取られると、図示しない切断装置が駆動されてライナー管10が所定の長さに切断される。
【0038】
この実施例に係るライナー管10の製造方法によれば、断面卵形のライナー管10(図1(A)参照)を成形し、厚肉部として形成されている押し込み部分18を第1および第2成形ローラ22,24により押し込んで、この押し込み部分18を含む管壁を略U字状に変形させるようにしている。この際、押し込み部分18の肉厚はt3からt2となり、ライナー管10の肉厚を全周にわたって均一化することができる。したがって、押し込み部分18の強度不足を解消でき、安定した品質を得ることができる。
【0039】
そして、この製造方法により製造された縮径した状態のライナー管10は、図1を参照して説明したように、既設管内で断面形状が真円に復元されて既設管の内周面に密着させることができる。そして、この密着した状態でのライナー管10の肉厚は全周にわたって均一化されている。
【0040】
なお、断面卵形のライナー管10を所定の形状に精度よく変形(縮径)させるためには、縮径装置62を通過するライナー管10の温度を適切に設定する必要があるが、その温度調整の手段としては、たとえば図9に示すようなスペーサ100を用いてもよい。スペーサ100は、縮径装置62が取り付けられる取付板102と、取付板102と隔壁54とを連結する複数の連結棒104とを含み、連結棒104の長さが適宜変更されて縮径装置62の位置が調整される。第1水槽26内においては、押出方向の先方へ向かうに従ってライナー管10の温度が低くなるために、スペーサ100を用いないで取付板102を隔壁54に直接に取り付けた場合にライナー管10を最も高温で変形させることができ、スペーサ100を長くするほど低温で変形させることができる。
【0041】
また、スペーサ100を用いない場合でも、縮径装置62を第1水槽26の出口48の後、第2水槽28の入口の手前、または、第2水槽28の内側等に取り付けることによって、ライナー管10の縮径加工時の温度を調整するようにしてもよい。このようにした場合には、第1水槽26を二分することなく、全体を負圧に保つことが望ましい。
【0042】
また、上述の実施例では、図6に示す第1成形ローラ22および第2成形ローラ24を使用して断面卵形のライナー管10を略ハート形の断面形状に変形させるようにしているが、たとえば図10に示すように、1枚の成形板106によってライナー管10を変形させるようにしてもよい。この成形板106を備える図10に示す縮径装置108は、第1部分68および第2部分110を備えている。第1部分68は、図6に示すものと同等であるので詳細な説明を省略する。第2部分110は、成形板106を備えている。成形板106は、ライナー管10の押出方向先方へ向う方向において上り勾配となっている上縁部が形成されている。この成形板106は、順次押し出されてくるライナー管10の管壁の押し込み部分18をこの上縁部により径方向の内側に押し込んで、この押し込み部分18およびこれに連なる管壁の下部を略U字状に変形させるためのものである。成形板106は、底板112の上面中央部に設けられている。底板112は、ライナー管10の押出方向先方へ向かう方向において上り勾配で配置され、同方向に向って徐々に幅が狭くなっている。この底板112には、その幅方向両端部から立ち上がっている側板114が形成され、側板114の上端部から水平方向に延びる合計4つの支持部86が形成されている。各支持部86にはボルト78を挿通するための孔88が形成されている。そして、支持部86および76に設けられているそれぞれの孔88および80にボルト78が下方から挿通され、このボルト78にナット92が螺合される。したがって、ナット92を緩めると第2部分110が降下し、ナット92を締め付けると第2部分110が上昇する。
【0043】
さらに、図10に示す縮径装置108では、一枚の成形板106によってライナー管10を変形させるようにしているが、たとえば図11に示すように、高さの異なる複数の成形板116a,116b,116c,116dを底板112の上面に設け、これらの成形板116a〜116dによってライナー管10を段階的に変形させるようにしてもよい。
【0044】
また、図6に示す縮径装置62に代えて、たとえば図12に示すような縮径装置118や、図13に示すような縮径装置120を用いるようにしてもよい。図12に示す縮径装置118は、第1部分122の基端部が円筒状に形成され、先端部124が筒状体を軸方向に半割にして得られる上側部の形状に形成されている。そして、この先端部124の下方に、山部126を有する第2部分128を設けたものである。図13に示す縮径装置120は、図12に示す縮径装置118において、第2部分128に代えて第2部分130を設けたものである。第2部分130は、回動自在に支持されているローラ132を備えている。これらにおいても、山部126またはローラ132によってライナー管10の管壁の押し込み部分18を押し込んで略U字状に変形させることができる。
【0045】
さらに、ライナー管10は、図1(A)に示すように、断面形状を卵形としたが、これに代えて、楕円形としてもよい(図示せず)。断面形状を楕円形としたときは、曲率半径が最も小さくなっている2つの湾曲部のうち一方の湾曲部を押し込み部分18として形成し、この押し込み部分18の肉厚を図1(A)に示すライナー管10の押し込み部分18と同様に厚肉部として形成する。そして、押し込み部分18以外の管壁をこの押し込み部分18よりも厚みの薄い一定の肉厚にする。このように、断面形状を楕円形にしたライナー管は、図1(A)に示すライナー管10と同様に作用するので詳細な説明を省略する。そして、製造装置12の金型36、口金16および縮径装置62の第1部分68等の形状を変更して、このように断面形状が楕円形のライナー管を製造するようにしてもよい。
【0046】
そして、上記実施例では、金型36のダイ38の内周面およびマンドレル40の外周面は、図3(B)に示すように、それぞれの軸方向に直角の断面形状が卵形に形成されているが、これに代えて、金型のダイの内周面の断面形状およびマンドレルの外周面の断面形状を円形とし、この金型から押し出されてきた管を内周面の断面形状が卵形である口金16に通すことにより、断面形状が卵形のライナー管10を成形することができる。さらに、ダイの内周面の断面形状を円形とし、マンドレルの外周面の断面形状を円の下部が三日月状に欠損された形状としてもよく、この金型の溶融樹脂通路の断面は、下部において幅広となる。このように形成された金型によると、外周面の断面形状が円形であって、下部に厚肉部が形成された管を押し出すことができる。そして、この金型から押し出されてきた管を口金16に通すことにより、図1(a)に示すものと同等の断面形状が卵形のライナー管10を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施例に係るライナー管の縮径加工が施される前の状態を示す正面図、(B)は図1(A)実施例の縮径加工が施された後のライナー管を示す正面図、(C)は図1(A)実施例の復元後のライナー管を示す正面図である。
【図2】この発明の一実施例に係るライナー管の製造方法に使用する製造装置を示す正面図である。
【図3】(A)は図2実施例が備える金型を示す縦断面図、(B)は図3(A)におけるIIIB−IIIB断面図である。
【図4】図2実施例が備える金型から押し出された断面が卵形の管を示す正面図である。
【図5】(A)は図2実施例が備える1次水槽を示す平面図、(B)は図5(A)の1次水槽を示す縦断面図である。
【図6】(A)は図2実施例が備える縮径装置を示す正面図、(B)は図6(A)の縮径装置を示す側面図である。
【図7】図2実施例が備えるローラおよびライナー管を示す正面図である。
【図8】図2実施例が備える縮径装置の第2部分を降下させた状態を示す縦断面図である。
【図9】図2実施例が備える縮径装置の位置を変更した状態を示す縦断面図である。
【図10】(A)は図2実施例が備える縮径装置の変形例を示す正面図、(B)は図10(A)の縮径装置を示す側面図である。
【図11】(A)は図2実施例が備える縮径装置の第2部分の変形例を示す平面図、(B)は図11(A)の第2部分の正面図、(C)は図11(A)の第2部分の左側面図、(D)は図11(A)の第2部分の右側面図である。
【図12】(A)は図2実施例が備える縮径装置の変形例を示す斜視図、(B)は図12(A)の縮径装置を示す分解斜視図である。
【図13】図2実施例が備える縮径装置の変形例を示す斜視図である。
【図14】(A)は従来のライナー管の縮径加工が施される前の状態を示す正面図、(B)は図14(A)の従来のライナー管の縮径加工が施された後の状態を示す正面図、(C)は図14(A)の従来のライナー管の復元後の状態を示す正面図である。
【符号の説明】
10 …ライナー管
10a …管
12 …製造装置
14 …押出成形機
16 …口金
18 …押し込み部分
20 …円弧状部分
22 …第1成形ローラ
24 …第2成形ローラ
26 …第1水槽
30 …引取機
36 …金型
62 …縮径装置
Claims (3)
- 周方向の一部が肉厚にされた管を押出成形し、押出し後に前記管の肉厚にされた部分を押し込んで変形させ、管内を加熱および加圧して所定の曲率半径の内径および外径を有した管に復元できる合成樹脂からなるライナー管において、
押出し時に前記管の肉厚にされた部分の内径の曲率半径を復元後の内径の前記所定の曲率半径よりも小さく、かつ前記管の肉厚にされた部分の外径の曲率半径を復元後の外径の前記所定の曲率半径よりも小さくしていることを特徴とする、ライナー管。 - 押出し時の断面形状を卵形としてその最小曲率半径部分を肉厚にして押し込むようにした、請求項1記載のライナー管。
- 周方向の一部が肉厚にされた管を押出成形し、押出し後に前記管の肉厚にされた部分を押し込んで変形させ、管内を加熱および加圧して所定の曲率半径の内径および外径を有した管に復元できる合成樹脂からなるライナー管の製造方法おいて、
(a) 前記管の肉厚にされた部分の内径の曲率半径を復元後の内径の曲率半径に比べて小さく、かつ前記管の肉厚にされた部分の外径の曲率半径を復元後の外径の曲率半径に比べて小さくして押し出し、そして
(b) 前記管の肉厚にされた部分を押し込んで変形させることを特徴とする、ライナー管の製造方法。
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