JP3856014B2 - フッ素ゴム加硫用水性組成物及び被覆物品 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素ゴム加硫用水性組成物及び被覆物品に関する。
フッ素ゴム塗料は、フッ素ゴムの優れた耐熱性、耐候性、耐油性、耐溶剤性及び耐薬品性を利用し、例えば、織物、繊維、金属、プラスチック、ゴムその他種々の基材に塗布又は含浸されて、工業用材料として広く用いられている。
フッ素ゴム塗料は、特にポリアミン加硫系を用いた場合、1液型組成物として調製すると塗布前にゲル化してしまい保存安定性に劣るので、一般に、フッ素ゴムを含む主剤と、加硫剤との2液型組成物として調製する。しかしながら、水性分散液の場合、2液型であっても分散体の凝集等により保存安定性が失われやすい問題があった。
フッ素ゴム塗料は、通常架橋により生じるフッ化水素酸を捕捉する受酸剤を含む。受酸剤としては、従来、MgO等の金属酸化物が用いられてきたが、金属酸化物を用いた場合よりも保存安定性を向上させたものとして、無機複合化合物を用いた水性塗料組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
フッ素ゴム塗料は、ポリオール加硫系を用いた場合、加硫促進剤を通常用いる。加硫促進剤は、従来の2液型組成物において、当業界では主剤側に添加すると主剤の安定性を損なう等の問題が容易に予測されたので、主剤側ではなく加硫剤側に添加されてきた。特に、水性ポリオール加硫系フッ素ゴム塗料の場合、加硫促進剤を主剤側に加えると加硫促進剤との加硫反応を引き起こす恐れがあることが予測できたので、加硫剤側に加えていた。
フッ素ゴム塗料組成物の保存安定性向上のため、加硫促進剤として、pKa8以上の塩基性化合物と有機酸との塩又はコンプレックスを用いたものが提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。この塗料組成物は、1液型であり、塩基性化合物と有機酸とは、予め塩等を形成させることなくそのまま他の成分と配合している。
フッ素ゴム塗料の水性分散液は、フッ素ゴムポリマーの分散のため、従来、アルキルフェノール系分散剤が汎用されてきたが、近年、この原料物質が内分泌攪乱物質として疑われるようになり、代わりにポリオキシエチレンアルキルエーテル等を用いた組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキルフェノール系分散剤よりも分散力に劣るという問題があった。
国際公開第99/07798号パンフレット 国際公開第98/07784号パンフレット 国際公開第99/43749号パンフレット 国際公開第00/53675号パンフレット
本発明の目的は、上記現状に鑑み、保存安定性に優れたフッ素ゴム加硫用水性組成物を提供することにある。
本発明は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)と、フッ素ゴム加硫剤水溶液(II)との2液からなるフッ素ゴム加硫用水性組成物であって、上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)は、フッ素ゴム(A)、分散剤(B)、受酸剤(C)、及び、pKaが3〜7である酸とpKaが8〜12である塩基との塩(D)からなりpHが6.5〜8.5である水性分散液であり、上記フッ素ゴム加硫剤水溶液(II)は、フッ素ゴム加硫剤からなる水溶液であることを特徴とするフッ素ゴム加硫用水性組成物である。
本発明は、基材と、上記基材上に上記フッ素ゴム加硫用水性組成物を塗布したのち焼成することにより得られる塗膜とからなることを特徴とする被覆物品である。
本発明は、基材と、上記基材上に上記フッ素ゴム加硫用水性組成物を塗布したのち焼成することにより得られる塗膜と、上記塗膜上に形成したフッ素樹脂層とからなることを特徴とする被覆物品である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)と、フッ素ゴム加硫剤水溶液(II)との2液からなるものである。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、加硫しないように上記2液に分け、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の分散安定性を高めることにより、全体として保存安定性に優れるものであり、従来の分散力に優れたアルキルフェノール系分散剤を用いたフッ素ゴム加硫用の水性組成物よりも良好な保存安定性をも実現することができる。上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)と、上記フッ素ゴム加硫剤水溶液(II)との2液は、塗装等の使用時に混合して用いる。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)は、フッ素ゴム(A)、分散剤(B)、受酸剤(C)、及び、pKaが3〜7である酸とpKaが8〜12である塩基との塩(D)からなりpHが6.5〜8.5である水性分散液である。
上記フッ素ゴム(A)は、水素原子を有する水素原子含有単量体と、水素原子を有しない水素原子非含有単量体との共重合体である。
上記水素原子含有単量体としては、エチレン〔Et〕、プロピレン、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド〔VdF〕、トリフルオロエチレン等が挙げられる。
上記水素原子非含有単量体としては、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、下記一般式(I)
CF=CF−O−R (I)
(式中、Rは、4個以下の酸素原子を有していてもよく、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表されるフルオロビニルエーテル等が挙げられる。
上記水素原子含有単量体及び上記水素原子非含有単量体は、それぞれ1種又は2種以上を組合せて用いることができる。上記水素原子含有単量体及び上記水素原子非含有単量体は、上記水素原子含有単量体がペンダント基を有するものを含み上記水素原子非含有単量体がペンダント基を有しないものである組合せ、又は、上記水素原子含有単量体がペンダント基を有しないものであり上記水素原子非含有単量体がペンダント基を有するものを含む組合せで用いることが好ましい。上記ペンダント基は、得られる共重合体の分子鎖において側鎖となる原子団である。
上記フッ素ゴム(A)としては、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、Et/HFP共重合体、TFE/プロピレン共重合体等が挙げられる。本明細書において、上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)におけるフッ素ゴム(A)は、加硫剤による架橋をしていない共重合体である。
上記フッ素ゴム(A)は、一般に、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の水性重合開始剤の存在下で乳化重合により得られるものである。
乳化重合により得られるフッ素ゴム(A)からなる水性分散液(ラテックス)は、所望により濃縮等の後処理を行ってもよいが、フッ素ゴム(A)からなる粒子同士の接触が起こり得る濃縮等の後処理は、分散安定性を損ないやすいので注意を要する。上記ラテックス中のフッ素ゴム(A)からなる粒子(一次粒子)は、平均粒子径が0.1〜0.4μmとなるように調整することが好ましい。0.1μm未満であると、造膜性に問題が生じやすく、0.4μmを超えると、分散安定性に劣りやすい。
上記フッ素ゴム(A)は、ガラス転移温度〔Tg〕が低く、フッ素ゴム(A)からなる一次粒子同士が接すると互いに融着しやすく元の一次粒子に復活せずに凝集が起こりやすいので、一般に、フッ素樹脂よりも分散安定性を保つために注意する必要がある。
上記分散剤(B)としては特に限定されないが、例えば、ノニオン系界面活性剤として、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤、芳香族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤等が挙げられ、アニオン系界面活性剤として、ラウリル硫酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、ω−ハイドロパーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤としては、アルキルポリエチレングリコールエーテル、アルキルポリエチレングリコールエステル等のポリエチレングリコール誘導体;アルキル(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール)共重合体等のポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール誘導体等が挙げられ、上記芳香族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤としては、アルキルフェニルポリエチレングリコールエーテル、アルキルフェニルポリエチレングリコールエステル等が挙げられる。
上記分散剤(B)としては、なかでも、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(以下、「脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)」ということがある。)であることが好ましい。
上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)は、芳香環を有さないノニオン系界面活性剤である。
上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)は、親水基と疎水基とのバランスを示すHLBを指標として選択され、HLBが8〜14のものが本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物の分散剤として好適に用いられるが、HLBが8未満の界面活性剤は増粘剤として、HLBが14を超える界面活性剤は分散安定剤として、それぞれ本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物を塗料として調製する際に用いることができる。フッ素ゴム(A)の重合上がりのラテックス(水性乳濁液)は、通常、15〜40質量%のフッ素ゴム(A)からなる粒子を含む。上記フッ素ゴム(A)からなる粒子の分散安定性を向上するためには、上記ラテックスに対し、上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)のうち、まず、HLBが10〜13のものを加えてフッ素ゴム(A)からなる粒子の濃度を60〜70質量%まで濃縮し、次いで、HLBが13〜16のものを添加して分散安定性を調整することが好ましい。
上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)として上記のように異なる範囲のHLBを有するものを組合せて用いる場合、分散安定性の点で、HLBが10〜13であるものの質量〔p〕とHLBが13〜16であるものの質量〔q〕との合計に占める上記HLBが10〜13であるものの質量の割合〔p/(p+q)〕が、60〜90質量%であることが好ましい。より好ましい下限は、70質量%であり、より好ましい上限は、80質量%である。
上記分散剤(B)のうち、上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)としては、下記一般式(i)
O(CO)(CO)H (i)
(式中、Rは、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐状の飽和又は不飽和の非環式脂肪族炭化水素基、又は、炭素数8〜18の飽和環式脂肪族炭化水素基を表し、nは、3〜25の整数を表し、mは、0〜5の整数を表す。)で表される脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル化合物からなるものが好ましい。
上記一般式(i)におけるRについての非環式脂肪族炭化水素基は、環状構造を有していない脂肪族炭化水素基である。上記一般式(i)におけるRについての飽和環式脂肪族炭化水素基は、飽和環状構造を有している脂肪族炭化水素基である。上記飽和環式脂肪族炭化水素基は、炭素数の合計が8〜18であれば、飽和環状構造を2個以上有するものであってもよい。
上記一般式(i)におけるRについての飽和環式脂肪族炭化水素基は、置換基を含めた炭素数の合計が8〜18であれば、飽和環状構造の炭素原子に結合している水素原子が直鎖状又は分岐状のアルキル基に置換されていてもよく、上記水素原子は、2個以上置換されていてもよい。
上記一般式(i)におけるRは、フッ素ゴム(A)からなる粒子の分散性に優れる点から、炭素数の好ましい上限が16であり、より好ましい上限が13であり、好ましい下限が10である。上記Rは、炭素数が13であることが更に好ましい。
上記一般式(i)におけるRは、炭素数が13で分岐状の飽和非環式脂肪族炭化水素基であることが特に好ましく、このようなものとしては、例えば、イソトリデシル基が挙げられる。
上記一般式(i)におけるnは、3〜25の整数を表す。
上記一般式(i)におけるnの好ましい下限は、上記Rの炭素数にもよるが、8であり、好ましい上限は、12である。
上記一般式(i)におけるmは、0〜5の整数を表す。上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)は、上記一般式(i)におけるmが5を超えると、溶解性が低下するので、得られるフッ素ゴム主剤水性分散液(I)の分散性を下げ、塗装した際に塗膜が均一とならず造膜性や光沢を低下させるおそれがある。上記mは、溶解性の点で小さいほど好ましく、好ましい上限は、3である。上記mは、0であることがより好ましい。オキシプロピレン基は存在しなくてもよい。
上記一般式(i)におけるnが8〜12であり、かつ、上記一般式(i)におけるmが0であることがより好ましい。
本明細書において、上記一般式(i)における上記Rの炭素数、上記n及び上記mは、上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)を構成する各分子における値の平均値である。
上記分散剤(B)は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の固形分100質量部に対し2〜20質量部であることが好ましい。2質量部未満であると、分散性が不充分となることがあり、20質量部を超えると、塗装した際の塗膜の強度、非粘着性等が低下する傾向にある。より好ましい下限は、5質量部、更に好ましい下限は、7質量部、より好ましい上限は、15質量部、更に好ましい上限は、13質量部である。上記分散剤(B)が上記脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)である場合、特に、上記範囲内の含有量であることが好ましい。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の固形分は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)中のフッ素ゴム(A)の固形分と、所望により配合する後述のフッ素樹脂(E)の固形分と、所望により配合する充填剤、顔料等の固形の添加剤とを意味する。上記フッ素ゴム(A)の固形分、及び、上記フッ素樹脂(E)の固形分は、上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)中に分散しているポリマー粒子である。
上記受酸剤(C)は、フッ化水素を捕捉し得る化合物からなる。
上記受酸剤(C)としては特に限定されず、水不溶性であるか、又は、難水溶性若しくは水溶性であったとしても、pKaが6〜9であればよく、例えば、酸化鉛、酸化亜鉛、炭酸鉛等の無機酸化物系受酸剤;ハイドロタルサイト等の無機複合化合物系受酸剤等が挙げられ、なかでも、無機複合化合物系受酸剤(以下、「無機複合化合物系受酸剤(C1)」ということがある。)が好ましい。
上記無機複合化合物系受酸剤(C1)は、フッ化水素を捕捉し得る無機複合化合物からなる受酸剤である。上記無機複合化合物は、金属元素(SiとGeを含む。以下、無機複合化合物について同じ。)のうち少なくとも2種と、電子供与性の原子又は原子団とからなる無機化合物であって、上記少なくとも2種の金属元素のうち少なくとも1種はアルカリ土類金属元素であるものである。
水酸化カルシウム、酸化マグネシウム等塩基性の強い化合物は、pHを所定の値に調整するのが困難であるので好ましくない。
上記無機複合化合物としては、例えば、下記一般式(ii)
〔M〕・…・〔M〕・yHO (ii)
(式中、M、…Mは、金属元素又は金属陽イオンを表し、X、…Xは、酸素原子、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子等の原子、アンモニア、二酸化炭素等の分子、又は、OH、F、Cl、Br、I、CN、SCN、CO 2−、NO3−、SO 2−、PO 3−等の陰イオンを表す。xは、2〜10の整数、yは、0〜20の整数を表す。但し、上記M、…及びMの少なくとも1つはアルカリ土類金属元素を表す。)で表される無機複合化合物が好ましい。
上記無機複合化合物としては特に限定されず、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属元素と、シリコン、マンガン、ニッケル、モリブデン、アルミニウム等のアルカリ土類金属元素以外の金属元素とを含む複合酸化物又は複合炭酸化物等が挙げられ、なかでも、ハイドロタルサイト系複合酸化物を好ましく用いることができる。
上記ハイドロタルサイト系複合酸化物以外の複合酸化物又は複合炭酸化物としては特に限定されず、例えば、Al・CaO・2SiO、CaO・MgO・2SiO、2CaO・SiO、CaO・ZrO、CaCO・MgCO、MgO・Al、3MgCO・Mg(OH)、SrF・SrCl、3SrO・Al・6HO、3BaO・2MnO等が挙げられる。
上記ハイドロタルサイト系複合酸化物は、下記一般式(iii)
〔(Mg2+1−a(Me3+(OH)a+〔(Av−)a/v・zHO〕a−
(iii)
(式中、Me3+は、3価の金属陽イオンを表す。Av−は、v価の陰イオンを表す。但しvは、1〜3の整数である。zは、0〜20の整数、aは、0.33以下の正数を表す。)で表される化合物である。
上記3価の金属陽イオンとしては特に限定されず、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等が挙げられる。上記v価の陰イオンとしては、例えば、OH、F、Cl、Br、I、CN、SCN、CO 2−、NO 、SO 2−、Fe(CN) 3−、CHCOO、(COO) 2−等が挙げられる。上記ハイドロタルサイト系複合酸化物としては特に限定されず、例えば、MgAl(OH)16CO・4HO、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、MgAl(OH)13.5CO・3.5HO、Mg4.3Al(OH)12.6CO・mHO等が挙げられる。
上記無機複合化合物としては、ゲル化を起こしにくい点で、後述の塩(D)のpKaよりも小さいpKa値を有する化合物が好ましい。
上記受酸剤(C)は、その活性度に応じて、フッ素ゴム(A)の固形分100質量部に対して1〜40質量部配合することが好ましい。上記受酸剤(C)が上記無機複合化合物系受酸剤(C1)である場合、特に、上記範囲内の配合率であることが好ましい。
上記塩(D)は、pKaが3〜7である酸とpKaが8〜12である塩基との塩である。
pKaが3未満又は7を超える酸を用いると、pHの調整が難しく、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の安定性が損なわれやすい。上記酸のpKaの好ましい下限は、3.5 、好ましい上限は、6.5である。
また、pKaが8未満の塩基を用いると、pHの調整が難しく、pKaが12より大きい塩基を用いると、加硫反応が進行しゲル化が起こりやすい。上記塩基のpKaの好ましい下限は、8.5、好ましい上限は、11.5である。
上記pKaは、上記酸が多塩基酸である場合及び/又は上記塩基が多酸塩基である場合、段階的に電離する各段におけるpKaのうち何れかが上記範囲内の値であればよい。
上記pKaが3〜7である酸としては特に限定されず、例えば、フッ化水素酸、炭酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸等のジカルボン酸;クエン酸等のトリカルボン酸等が挙げられる。好ましくは、pKa=4〜6の酢酸、コハク酸、クエン酸が挙げられる。上記pKaが8〜12である塩基としては上記酸と塩を形成し得るものであれば特に限定されないが、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、モノエタノールアミン等の第1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ピペリジン、ピロリジン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、ジメチルn−ブチルアミン、ジメチルイソブチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチル−sec−ブチルアミン、ジメチル−tert−ブチルアミン、トリアリルアミン、ジアリルメチルアミン、アリルジメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、N−アリルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−ブチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−シクロヘキシルピロリジン、N−n−ブチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−ベンジルピロリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の第3級アミンが挙げられるが、塗膜に残らない点及びフッ素ゴム(A)を溶解しない点から、揮発性の塩基性化合物が好ましく、揮発性の塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミンが好ましく、アンモニアがより好ましい。
上記塩(D)は、予め上記酸と上記塩基とを作用させることにより塩を形成させたものを、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)に含まれるフッ素ゴム(A)等の他の成分と混合する。予め上記酸と上記塩基との塩を形成させることなく、上記酸のまま及び上記塩基のまま、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)に含まれる他の成分と混合すると、pHが安定しにくく、また、中和反応が起こるので発熱し、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)等のノニオン界面活性剤の曇点を超えることとなればフッ素ゴム(A)の分散安定性を失い、更に、上記塩基として例えばアンモニア等を用いる場合のように上記塩基がフッ素ゴム(A)の加硫を惹起する場合がある。
従来の2液型フッ素ゴム水性分散液は、ポリオール加硫系の場合、加硫促進剤として有機酸と第四級アンモニウム塩とを用いており、これら加硫促進剤をフッ素ゴムを含む主剤である水性分散液に投入すると分散安定性の低下等の問題が起こることから、加硫剤の方に投入していた。しかしながら、本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物において、上記塩(D)は、酸と塩基とを予め中和させた塩を用いることにより、フッ素ゴム(A)を含む主剤側に投入することができたのみならず、ポリオール加硫系において加硫促進剤として作用し、更に、加硫系の種類を問わずフッ素ゴム主剤水性分散液(I)の分散安定性に重要なpH調整剤として作用することができたものである。上記塩(D)は、例えばポリアミン加硫系において、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)のpH調整剤として効果的に機能する。
上記pKaが3〜7である酸と上記pKaが8〜12である塩基との中和反応は、上記酸と上記塩基とをモル比にして1:1〜1:2の割合で用いて行うことが好ましい。上記塩(D)の水溶液のpHは、8〜9であることが好ましい。
上記塩(D)は、上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)において、電離していてもよい。
上記塩(D)は、上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)のpHが下記範囲内となるように添加量を調整する。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)は、pHが6.5〜8.5である。
上記範囲内のpHであると、フッ素ゴム(A)からなる粒子のフッ素ゴム主剤水性分散液(I)における分散安定性を保つことができる。上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)のpHは、分散安定性の点で、弱アルカリ性であることが好ましい。強アルカリ性であると、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)において、フッ素ゴム(A)である共重合体からフッ化水素が脱離して凝集が起きたり、フッ素ゴム(A)からなる粒子内部で架橋が起きたりして、分散安定性を失うのみならず、塗装しようとしても塗膜の形成が困難になる場合がある。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)のpHは、6.5未満であると、塗装に際しフッ素ゴム加硫剤水溶液(II)と混合した後の使用可能時間(ポットライフ)が短く、8.5を超えると、保存安定性が低下する。好ましい下限は、7.0、好ましい上限は、8.0である。
従来、フッ素ゴムを含む主剤である水性分散液のpHは、9〜10程度であったが、この程度の強アルカリ性では安定性が不充分であった。その一方、従来、フッ素ゴム(A)を含む水性分散液のpHを弱アルカリ性にすることは困難であった。本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、上記塩(D)を用いることにより、受酸剤(C)として、従来の酸化マグネシウム等のアルカリ性金属酸化物の代わりに無機複合化合物系受酸剤(C1)を用いると、弱アルカリ性への調整が容易となり、保存安定性を著しく向上させることができる。上記フッ素ゴム加硫用水性組成物は、上記範囲内のpHのような弱アルカリ性に調整することを可能にし、保存安定性を向上させることができたものである。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)は、粘度が50〜500mPa・sであるものが好ましい。50mPa・s未満であると、フッ素ゴム(A)からなる粒子同士が接触しやすくなり凝集が起きやすく、500mPa・sを超えると、塗装性が悪化する傾向がある。より好ましい下限は、100mPa・s、より好ましい上限は、350mPa・sである。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の粘度は、保存安定性の観点で、上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)のpH及び上記塩(D)を形成する酸と塩とのpKaと並んで重要なファクターである。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の粘度は、後述の増粘剤等を用いて調整することができる。
上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)は、上述のフッ素ゴム(A)、分散剤(B)、受酸剤(C)、及び、塩(D)からなり、更に、所望により、増粘剤を含むものであってもよい。
上記増粘剤としては、アニオン系増粘剤、カチオン系増粘剤等のイオン系増粘剤、又は、ノニオン系増粘剤のいずれを用いることもできるが、分散系を乱さない点で、ノニオン系増粘剤が好ましく用いられる。上記増粘剤としては、上記分散剤(B)として上述の脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)を用いる場合、特に、ノニオン系増粘剤が好ましい。
上記ノニオン系増粘剤としては、分散剤(B)として脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)を用いる場合、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)と化学構造が類似しているものを用いることが好ましく、そのようなものとしては、例えば、下記一般式(iv)
O(CO)(CO)−Z−R (iv)
(R及びRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状の飽和又は不飽和の非環式脂肪族炭化水素基、又は、炭素数1〜18の飽和環式脂肪族炭化水素基を表す。Zは、エステル結合〔−COO−〕、ウレタン結合〔−NH−COO−、又は、−COO−NH−〕又はケトン結合〔−CO−〕を表す。sは、3〜25の整数、tは、0〜5の整数を表す。)で表される脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル化合物からなるものが挙げられる。
上記一般式(iv)におけるR及びRは、上述の一般式(i)におけるRと同様である。
上記一般式(iv)におけるsは、上記一般式(iv)におけるR及びRの炭素数にもよるが、好ましい下限が8であり、好ましい上限が12である。上記一般式(iv)におけるtは、溶解性の点で小さいほど好ましく、好ましい上限は、3である。上記tは、0であることがより好ましい。上記一般式(iv)におけるsが8〜12であり、かつ、上記一般式(iv)におけるtが0であることがより好ましい。
上記ノニオン系増粘剤として市販されているものとしては、サンノプコ社製のSNシックナー601、603、612、621N、A801、A806、A812等が挙げられる。
上記増粘剤は、通常、上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の合計質量の0.1〜5質量%であることが好ましい。上記増粘剤の添加量のより好ましい下限は、0.2質量%、より好ましい上限は、2質量%である。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物におけるフッ素ゴム加硫剤水溶液(II)は、フッ素ゴム加硫剤からなる水溶液である。
本発明において、上記「フッ素ゴム加硫剤」は、フッ素ゴム(A)を加硫する加硫剤である。上記フッ素ゴム加硫剤としては、ポリアミン系加硫剤、ポリエーテル系加硫剤、パーオキサイド系加硫剤が用いられる。上記フッ素ゴム加硫剤は、使い易さや使用頻度の点では、ポリアミン系加硫剤、ポリオール系加硫剤、パーオキサイド系加硫剤の順に好ましく用いられる。
上記ポリアミン系加硫剤としては特に限定されず、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペタミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、エタノールアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサ−2−スピロ〔5,5〕ウンデカン等の脂肪族ポリアミン及びその塩;ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン及びその塩;変性ポリアミン、ポリアミドアミン等のその他のポリアミン化合物が挙げられる。
上記ポリオール系加硫剤としては特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールAF等のフェノール誘導体;フェノール樹脂等のエノール型水酸基を有するポリヒドロキシ化合物及びその金属塩;R(CHOH)(Rは、炭素数1〜500のパーフルオロアルキレン基を表す。)等が挙げられる。
上記パーオキサイド系加硫剤としては特に限定されず、例えば、ベンジルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリル等のパーオキサイド化合物と、ビニルエーテル類、ビニルシラン類、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート等のビニル又はアリル化合物との組合せからなるもの等が挙げられる。
上記フッ素ゴム加硫剤としては他にも、トリアジンチオール、1,6−ヘキサンジチオール、4,4′−ジメルカプトジフェニル、1,5−ナフタレンジチオール等のポリチオール化合物を用いることもできる。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、上述のフッ素ゴム(A)、分散剤(B)、受酸剤(C)、塩(D)及び加硫剤からなり、更に、フッ素樹脂(E)からなるものであってもよい。本明細書において、本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物のうち、上記フッ素樹脂(E)からなるものを、以下、「フッ素樹脂含有フッ素ゴム組成物」ということがある。
上記フッ素樹脂(E)は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)又はフッ素ゴム加硫剤水溶液(II)の何れに含ませてもよいが、分散安定性の点で、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)に含ませることが好ましい。本発明におけるフッ素ゴム主剤水性分散液(I)は、フッ素樹脂(E)をも含むものであっても、フッ素ゴム(A)の分散安定性と同様、分散剤(B)のみならず受酸剤(C)と塩(D)とによって、分散安定性を維持することができる。
上記フッ素樹脂(E)としては臨界表面張力が小さいフッ素樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、Et/TFE共重合体〔ETFE〕、TFE/HFP共重合体〔FEP〕、TFE/HFP/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕共重合体〔EPA〕、TFE/PAVE共重合体〔PFA〕、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、末端変性EPA、末端変性FEP、末端変性PFA等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。上記フッ素樹脂(E)は、用途に応じ、非粘着性又は潤滑性に優れたフッ素樹脂であることが好ましい。
上記フッ素樹脂(E)は、フッ素ゴム(A)と上記フッ素樹脂(E)との合計量の0質量%を超え、80質量%以下であることが好ましい。より好ましい下限は、10質量%、より好ましい上限は、70質量%である。
上記フッ素樹脂(E)からなる粒子の粒子径は、用途にもよるが、0.1〜0.4μmであることが好ましく、より好ましい下限は、0.15μm、より好ましい上限は、0.35μmである。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、所望により、更に、添加剤類をも含むものであってもよい。上記添加剤としては特に限定されず、例えば、充填剤、着色剤、消泡剤、乾燥調整剤等が挙げられる。
上記充填剤としては、カーボンブラック、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、硫酸バリウム等が挙げられる。上記着色剤としては、カーボン、酸化チタン、ベンガラ、マイカ、酸化コバルト、酸化クロム等の無機顔料;フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料等の有機顔料が挙げられる。
上記充填剤、着色剤、消泡剤及び乾燥調整剤は、通常、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)に含ませる。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物を調製する方法としては特に限定されないが、好ましくは、フッ素ゴム(A)からなる水性分散液に分散剤(B)を添加して分散安定化させたのち、受酸剤(C)と所望により充填剤を添加し、更に、予め中和させて得た塩(D)を添加してpHを調整し、所望により増粘剤を添加して、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)を調製し、これとは別に、フッ素ゴム加硫剤を用いてフッ素ゴム加硫剤水溶液(II)を調製する。上記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)及びフッ素ゴム加硫剤水溶液(II)は、塗装等の使用に際して混合し、塗料を調製する。上記着色剤は、分散剤(B)を用いて分散安定化させたものを上記塗料調製時に添加することが好ましい。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、主剤としてフッ素ゴム(A)からなる水性分散液と、フッ素ゴム加硫剤からなる水溶液との2液からなるものであるので、使用に際し上記2液を混合する時まで分散安定性を保ち、混合後のポットライフも長く、また、塗装に際しては、水性組成物であるので、環境上も作業上も好ましく用いることができる。
上記フッ素樹脂(E)は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)とフッ素ゴム加硫剤水溶液(II)との2液を混合して基材上に塗布したのち焼成する際に、通常、塗膜表面にブリードアップするので、フッ素樹脂が有する非粘着性、潤滑性等の表面特性が要求される用途に好適に用いることができる。本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、上記フッ素樹脂(E)をも含むものである場合、フッ素ゴム(A)が基材側に多く分布して架橋体を形成し、この架橋体上に上記フッ素樹脂(E)からなる成分が多く分布して傾斜塗膜を形成することができるので、上記フッ素樹脂が有する表面特性と、更に弾性をも要求される用途に好適に用いることができる。上記フッ素ゴム(A)とフッ素樹脂(E)とから形成される傾斜塗膜は、耐熱性が要求される用途にも好適に用いることができる。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)が受酸剤(C)の他に塩(D)をも含むものであるので、優れた分散安定性を有し、アルキルフェノール系分散剤よりも一般に分散力に劣る脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)を用いた場合であっても、分散安定性を損なうことがない。本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、アルキルフェノール系分散剤に代えて脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)を用いることにより、環境面に配慮したものとすることができる。
本発明の被覆物品は、基材と、上記基材上に上述のフッ素ゴム加硫用水性組成物を塗布したのち焼成することにより得られる塗膜とからなるものである(以下、「被覆物品(1)」ということがある)。
上記基材としては特に限定されないが、フッ素ゴム(A)の耐熱性を活かした用途に用いる場合、耐熱性材料からなる基材が好ましい。
上記耐熱性材料からなる基材は、本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物がフッ素樹脂(E)を含まないものである場合、一般にフッ素ゴム(A)の架橋温度が120〜250℃であるので、この温度範囲で耐熱性を有するものであればよく、本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物がフッ素樹脂(E)を含むものである場合、フッ素樹脂(E)を塗膜表面にブリードアップさせるため、フッ素樹脂(E)として、例えば、FEPを用いる場合、250℃以上、PFAを用いる場合、320℃以上、PTFEを用いる場合、350℃以上の温度に耐え得る基材が好ましい。上記範囲内の温度により、フッ素樹脂(E)をブリードアップさせ、塗膜表面を非粘着性にすることができる。
上記耐熱性材料としては特に限定されず、例えば、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮等の金属類;耐熱性ガラス;耐熱性合成繊維;セラミック;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱性樹脂;シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性ゴム等が挙げられる。上記基材としては、例えば、ガラス板;ガラス繊維の織布又は不織布;天然繊維若しくは合成繊維の織布又は不織布等であってもよい。
上記基材上に上述のフッ素ゴム加硫用水性組成物を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スプレー塗装、ロール塗装、スピンコート、バレル塗装、カーテンフローコート、ディップ塗装等が挙げられる。
上記塗布により得られる塗布膜は、必要に応じ、焼成する前に乾燥を行ってもよい。上記乾燥としては特に限定されず、例えば、室温乾燥と、60〜120℃において10〜60分間おく加温乾燥とを組合せて行うことができる。
上記焼成の条件としては特に限定されず、例えば、フッ素樹脂(E)を用いた場合、フッ素樹脂(E)の分解温度を考慮し、130〜400℃で5〜60分間加熱することができる。上記焼成の温度の好ましい下限は、150℃であり、好ましい上限は、360℃である。
本発明の被覆物品(1)において、上述のフッ素ゴム加硫用水性組成物としてフッ素樹脂含有フッ素ゴム組成物を用いた場合、塗膜は、基材に接する側がフッ素ゴム(A)からなる架橋体であり、基材と反対側の表面にフッ素樹脂(E)からなる成分を有する傾斜塗膜とすることができる。上記傾斜塗膜を有する本発明の被覆物品(1)は、フッ素樹脂の非粘着性、潤滑性等の表面特性と、弾性と、耐熱性とを兼ね備えている点で、幅広い用途がある。
本発明の被覆物品は、基材と、上記基材上に上述のフッ素ゴム加硫用水性組成物を塗布したのち焼成することにより得られる塗膜と、上記塗膜上に形成したフッ素樹脂層とからなるものである(以下、「被覆物品(2)」ということがある)。
上記フッ素樹脂層は、フッ素樹脂からなる層である。上記フッ素樹脂層を形成するフッ素樹脂(以下、「フッ素樹脂(F)」という)としては特に限定されず、例えば、上述のフッ素樹脂(E)と同様のものを用いることができる。
本発明の被覆物品(2)は、基材上にフッ素ゴム(A)から形成された層と、フッ素樹脂からなる層とがこの順に積層した積層構造を有するものであり、この積層構造が共通する点で、上述の本発明の被覆物品(1)と同様の表面特性と弾性と耐熱性とを有する。
上記フッ素樹脂層は、フッ素樹脂(F)からなる塗料組成物を上記フッ素ゴム加硫用水性組成物から得られる塗膜(以下、「ゴム塗膜」という)上に塗装することにより得られる塗膜(以下、「樹脂塗膜」という)であってもよいし、予め作成したフィルム又はチューブを上記ゴム塗膜上に積層させたものであってもよい。上記フィルム又はチューブとゴム塗膜との接着は、例えば、上記ゴム塗膜上に上記フィルム又はチューブを積み重ねて熱融着する方法、上記ゴム塗膜上に接着剤を塗布したのち上記フィルム又はチューブを積み重ねる方法等が挙げられる。上記フッ素樹脂層としては、工程の簡便さ等の点で、フッ素樹脂(F)からなる塗料組成物から得られる塗膜が好ましい。
本発明の被覆物品(2)としては、フッ素ゴム加硫用水性組成物としてフッ素樹脂含有フッ素ゴム組成物を用いたものが好ましい。フッ素樹脂含有フッ素ゴム組成物を用いた場合、フッ素樹脂含有フッ素ゴム組成物から得られる塗膜の表面がフッ素樹脂(E)からなる層であるので、通常、相溶性により上記フッ素樹脂層との接着性に優れる。
本発明の被覆物品の用途としては、OA機器用ロール、OA機器用ベルト、搬送ベルト等の非粘着用途;パッキンゴム、バルブシール、O−リング、ダイヤフラム、耐薬品性チューブ、薬栓、燃料ホース、ガスケット等の耐蝕及び潤滑用途;各種メッキ浴槽やその洗浄浴槽、塗料混合機槽、燃料ホルダーや薬液タンク内壁、ベッセル、塔、遠心分離機、攪拌翼、ミキシングロール、精密機器等の洗浄用冶具等の耐蝕用途;金属、ゴム、プラスチック、ガラス等の表面改質剤;各種樹脂の成形用金型等の離型用途が挙げられる。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、上述の構成を有するので、保存安定性に優れている。
以下に実験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実験例に限定されるものではない。
実験例1
1.フッ素ゴム水性分散液aの調製
ビニリデンフルオライド〔VdF〕/テトラフルオロエチレン〔TFE〕/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体(モノマー組成は、モル比でVdF:TFE:HFP=65:18:17)を乳化重合し、得られたラテックスを界面活性剤溶液(第一工業製薬社製TDS−70及び同TDS−80の質量比1:1混合品の20質量%水溶液及び同社製TDS−120の20質量%水溶液。主成分はいずれもC1327―O(CHCHO)H、n=7,8,12)により濃縮・調整して、固形分濃度を60質量%であるフッ素ゴム水性分散液aを得た。
2.PigペーストAの調製
充填剤としてMTカーボンブラック(ConCarb Ltd.社製)12質量部及び受酸剤としてハイドロタルサイト類化合物Mg4.3Al(OH)12.6CO・mHO(商品名:DHT−4A、協和化学工業社製)3質量部を、界面活性剤(商品名:TDS−80、第一工業製薬社製)の20質量%水溶液 2質量部とともに純水28質量部に分散させ、PigペーストAを得た。
3.塩(D)水溶液の調製
クエン酸二アンモニウム(pKa=4.35であるクエン酸とpKa=9.21であるアンモニアとの塩)の10%水溶液にアンモニア水を少量加え、pH=8.5に調整し、塩(D)水溶液を得た。
4.ポリアミン加硫剤水溶液(V)の調整
3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサ−2−スピロ〔5,5〕ウンデカン(商品名:エポメートF−100、油化シェル社製)の50%水溶液8重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:サイラエースS−330、チッソ社製)の62.5%水溶液32重量部を混合し、ポリアミン加硫剤水溶液(V)を得た。
5.フッ素ゴム加硫用水性組成物aの調製
フッ素ゴム水性分散液a 100質量部に対し、塩(D)水溶液を1質量部混合し得られたpH調整フッ素ゴムディスパージョン7質量部に対して、PigペーストA 3質量部及び増粘剤(商品名:SNシックナーA−812、サンノプコ社製)0.3質量部を混合して充分に分散させ、フッ素ゴム主剤水性分散液aを得た。得られたフッ素ゴム主剤水性分散液a 20質量部に、ポリアミン系加硫剤としてポリアミン加硫剤水溶液(V)1質量部を加え、よく混合し、フッ素ゴム加硫用水性組成物aを得た。
<フッ素ゴム主剤水性分散液の保存安定性>
フッ素ゴム主剤水性分散液aをポリビンに入れて密栓し、40℃の恒温槽に静置保存し、1週間ごとに粘度、pH及び分散粒子の最大粒径を測定することにより、フッ素ゴム主剤水性分散液aの保存安定性を評価した。上記粘度は、粘度計(商品名:BM形式粘度計、東京計器社製)を用いて、pHは、pHメータ(商品名:pHメーターF−12、堀場製作所社製)を用いて、最大粒径は、グラインドゲージ(商品名:粉、粒体測定機器、筒井理化学機械社製)を用いてそれぞれ測定した。
6.被覆物品の作製
アルミニウム板表面にプライマー(商品名:GLP−102NR、ダイキン工業社製)を乾燥厚みが約5μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で15分間乾燥した。
得られたプライマー層上にフッ素ゴム加硫用水性組成物aをスプレー塗装し、80〜100℃で15分間乾燥した後に250℃で30分間焼成して、プライマー層を含む膜厚合計が約35μmである被覆物品を作製した。
7.塗膜物性測定用塗膜の作製
フッ素ゴム加硫用水性組成物aをフッ素樹脂コーティング金属製バットに流し込み、室温で5日間乾燥し、次いで80〜100℃で充分に乾燥させた後に250℃で30分間焼成した。形成されたフィルムを剥がし取り塗膜物性測定用塗膜とした。
塗膜物性評価
塗膜の非粘着性及び引張物性を以下のように評価した。
<非粘着性>
被覆物品表面に純水又はn−セタンを1滴滴下してゴニオメーター(協和界面科学社製)で接触角を測定した。
<引張物性>
塗膜物性測定用塗膜をJIS4号ダンベル形状に打ち抜き、JIS K6251(1993年)に準拠して引張速度500mm/分で引張試験を行い、100%引張応力、破断時の引張強度及び破断時の引張伸びを測定した。
実験例2
1.フッ素樹脂水性分散液aの調製
乳化剤としてペルフルオロオクタン酸アンモニウム(商品名:ユニダインDS−101、ダイキン工業社製)を用いてTFE/HFP共重合体(モノマー組成は、モル比でTFE:HFP=85:15)を乳化重合し、得られたラテックスを実験例1のフッ素ゴム水性分散液aに用いた界面活性剤溶液により濃縮して固形分濃度を52質量%であるフッ素樹脂水性分散液aを得た。
2.PigペーストBの調製
充填剤としてベンガラ(商品名:タロックスR−516L、チタン工業社製)3質量部及び実験例1で用いた受酸剤5質量部を、実験例1のPigペーストAに用いた界面活性剤溶液2質量部とともに純水46質量部に分散させ、PigペーストBを得た。
3.フッ素ゴム加硫用水性組成物bの調製
実験例1で用いたフッ素ゴム水性分散液a 100質量部に対し、実験例1で用いた塩(D)水溶液を1質量部混合し得られたpH調整フッ素ゴムディスパージョン38質量部に、フッ素樹脂水性分散液a 44質量部、PigペーストB 12質量部及び増粘剤(商品名:SNシックナーA−812、サンノプコ社製)0.3質量部を混合して充分に分散させ、フッ素ゴム主剤水性分散液bを得た。このフッ素ゴム主剤水性分散液b 100質量部にポリアミン加硫剤水溶液(V)5質量部を加え、よく混合し、フッ素ゴム加硫用水性組成物bを得た。フッ素ゴム加硫用水性組成物aに代えてフッ素ゴム加硫用水性組成物bを用いた以外は実験例1と同様にして塗膜を得、塗膜物性評価を行った。
実験例3
1.フッ素ゴムディスパージョンの調製
VdF/TFE/HFP共重合体(モノマー組成は、モル比でVdF:TFE:HFP=65:18:17)を乳化重合し、得られたラテックスを界面活性剤溶液(日本油脂社製HS−208の20質量%水溶液及び同社製HS−215の20質量%水溶液。主成分はいずれもC17―Ph−O(CHCHO)H、n=8,15)により濃縮して固形分濃度を60質量%とし、フッ素ゴムディスパージョンを得た。
2.PigペーストCの調製
実験例2で用いた充填剤3質量部及び実験例1で用いた受酸剤5質量部を、界面活性剤溶液(第一工業製薬社製HS−208の20質量%水溶液:主成分はC17―Ph−O(CHCHO)H、n=8)2質量部とともに純水46質量部に分散させ、PigペーストCを得た。
3.フッ素ゴム加硫用の水性組成物cの調製
フッ素ゴムディスパージョン100質量部に対し、実験例1で用いた塩(D)水溶液を1質量部混合し得られたpH調整フッ素ゴムディスパージョン7質量部に対して、PigペーストC 3質量部及び増粘剤(商品名:SNシックナーA−812、サンノプコ社製)0.3質量部を混合して充分に分散させ、フッ素ゴム主剤の水性分散液cを得た。このフッ素ゴム主剤の水性分散液c 20質量部にポリアミン加硫剤水溶液(V)1質量部を加え、フッ素ゴム加硫用の水性組成物cを調製した。フッ素ゴム加硫用水性組成物aに代えてフッ素ゴム加硫用の水性組成物cを用いた以外は実験例1と同様にして塗膜を得、塗膜物性評価を行った。
実験例4
フッ素ゴム加硫用水性組成物dの調製
実験例1で得られたフッ素ゴム主剤水性分散液a 20質量部にポリオール系加硫剤(ビスフェノールAFアンモニウム塩の10質量%水溶液)1質量部及び加硫促進剤としてジアザビシクロウンデセン〔DBU〕−蟻酸塩の50質量%ジプロピレングリコール溶液(商品名:SA610−50、サンアプロ社製)0.1質量部を加え、よく混合し、フッ素ゴム加硫用水性組成物dを得た。フッ素ゴム加硫用水性組成物aに代えてフッ素ゴム加硫用水性組成物dを用いた以外は実験例1と同様にして塗膜を得、塗膜物性評価を行った。
実験例5
フッ素ゴム加硫用の水性組成物eの調製
実験例1で用いたフッ素ゴム水性分散液a 7質量部に対して、実験例1で用いたPigペーストA 3質量部及び増粘剤(商品名:SNシックナーA−812、サンノプコ社製)0.3質量部を混合して充分に分散させ、フッ素ゴム主剤の水性分散液dを得た。このフッ素ゴム主剤の水性分散液d 20質量部に、ポリアミン加硫剤水溶液(V)1質量部を加え、よく混合し、フッ素ゴム加硫用の水性組成物eを得た。フッ素ゴム加硫用水性組成物aに代えてフッ素ゴム加硫用の水性組成物eを用いた以外は実験例1と同様にして塗膜を得、塗膜物性評価を行った。
実験例6
1.PigペーストDの調製
実験例1で用いた充填剤12質量部及び受酸剤として酸化マグネシウム(商品名:キョーワマグMA−150、協和化学工業社製)3質量部を、界面活性剤(商品名:ノイゲンTDS−80、第一工業製薬社製)の20質量%水溶液 2質量部とともに純水28質量部に分散させ、PigペーストDを得た。
2.フッ素ゴム加硫用の水性組成物fの調製
実験例1で用いたフッ素ゴム水性分散液a 100質量部に対し実験例1で用いた塩(D)水溶液を1質量部混合し得られたpH調整フッ素ゴムディスパージョン7質量部に対して、PigペーストD 3質量部及び増粘剤(商品名:SNシックナーA−812、サンノプコ社製)0.3質量部を混合して充分に分散させ、フッ素ゴム主剤の水性分散液eを得た。このフッ素ゴム主剤の水性分散液e 20質量部に、ポリアミン加硫剤水溶液(V)1質量部を加え、よく混合し、フッ素ゴム加硫用の水性組成物fを得た。フッ素ゴム加硫用水性組成物aに代えてフッ素ゴム加硫用の水性組成物fを用いた以外は実験例1と同様にして塗膜を得、塗膜物性評価を行った。
実験例の組成と塗膜物性を表1、フッ素ゴム主剤水性分散液の経時性状変化を表2に示す。
Figure 0003856014
Figure 0003856014
表1及び表2から、アルキルフェノール系分散剤を用いた実験例3、塩(D)を用いない実験例5、及び、初期pHが8.5を超えている実験例6は、経時とともに粘度上昇と凝集進行があり、実験例6は、更に、塗膜の伸びが特に劣るのに対し、実験例1、実験例2及び実験例4は、塗膜物性に優れ、粘度上昇や凝集が抑制されていることがわかった。なお、表2の実験例6において、4週間目の粘度が急に減少しているのは、凝集物が沈降したので、その分、上澄みの粘度が低下したことによるものである。
本発明のフッ素ゴム加硫用水性組成物は、例えば、フッ素ゴム組成物の長期保存を要する用途に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. フッ素ゴム主剤水性分散液(I)と、フッ素ゴム加硫剤水溶液(II)との2液からなるフッ素ゴム加硫用水性組成物であって、
    前記フッ素ゴム主剤水性分散液(I)は、フッ素ゴム(A)、分散剤(B)、受酸剤(C)、及び、pKaが3〜7である酸とpKaが8〜12である塩基との塩(D)からなりpHが6.5〜8.5である水性分散液であり、
    前記pKaが3〜7である酸は、フッ化水素酸、炭酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸及びクエン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    前記フッ素ゴム加硫剤水溶液(II)は、フッ素ゴム加硫剤からなる水溶液である
    ことを特徴とするフッ素ゴム加硫用水性組成物。
  2. 分散剤(B)は、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)である請求項1記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物。
  3. 脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル分散剤(B1)は、下記一般式(i)
    O(CO)(CO)H (i)
    (式中、Rは、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐状の飽和又は不飽和の非環式脂肪族炭化水素基、又は、炭素数8〜18の飽和環式脂肪族炭化水素基を表し、nは、3〜25の整数を表し、mは、0〜5の整数を表す。)で表される脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル化合物からなる請求項2記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物。
  4. 受酸剤(C)は、無機複合化合物系受酸剤(C1)である請求項1記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物。
  5. 分散剤(B)は、フッ素ゴム主剤水性分散液(I)の固形分100質量部に対し2〜20質量部である請求項1、2、3又は4記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物。
  6. pKaが3〜7である酸は、酢酸、コハク酸及びクエン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1、2、3、4又は5記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物。
  7. フッ素ゴム加硫用水性組成物は、更に、フッ素樹脂(E)を含むものであり、
    前記フッ素樹脂(E)は、フッ素ゴム(A)と前記フッ素樹脂(E)との合計量の0質量%を超え、80質量%以下である請求項1、2、3、4、5又は6記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物。
  8. 基材と、前記基材上に請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物を塗布したのち焼成することにより得られる塗膜とからなる
    ことを特徴とする被覆物品。
  9. 基材と、前記基材上に請求項7記載のフッ素ゴム加硫用水性組成物を塗布したのち焼成することにより得られる塗膜と、前記塗膜上に形成したフッ素樹脂層とからなる
    ことを特徴とする被覆物品。
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