JP3855654B2 - 陰極線管装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイモニタやテレビジョン受像機に用いられる陰極線管装置に関するものであり、特に、その偏向ヨークに関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管装置のコンバーゼンス(画面への色集中性)を確実に行うために、偏向ヨークに補助的な磁界補正部品を備えることが一般に行われており、例えば、磁界補正部品としてフェライト部材を用い、このフェライト部材によって主磁界を変化させて、画面左右における横方向の色ずれもしくは画面上下における縦方向の色ずれといったXH、YVと呼ばれるミスコンバーゼンスを補正することがよく知られている。
【0003】
磁界補正部品として頻繁に用いられるフェライト部材は、例えば図6に示すようなホルダー部材24にフェライト部材25を収納保持させ、ホルダー部材24ごと偏向ヨークに装着するのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フェライトはその寸法精度が低いため、ホルダ−部材に収納する際の位置ずれが生じやすく、従来の構成では正規の位置にフェライト部材を配置させることが困難であったため、組み立てばらつきやコンバーゼンス補正の性能ばらつきが生じるという課題を有していた。
【0005】
現在、陰極線管装置を構成する各部品においてコストダウンが強く要求されており、偏向ヨークのコストダウンを図るための一つの要素として、組み立てばらつきのないことが挙げられる。また、当然ながら、陰極線管の解像度や色純度といった性能を高めるためには、コンバーゼンス補正の性能ばらつきはない方が望ましい。これらのことから、補正部品であるフェライトをホルダー部材に正確に収納するための技術が求められていた。
【0006】
本発明は、これらの課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で所望の位置に磁界補正部品を備え、コストダウンおよび確実なコンバーゼンス補正を実現できる陰極線管装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の陰極線管装置は、パネルとファンネルとから外囲器が構成される陰極線管と、前記陰極線管の前記ファンネルの外部に配置され、主磁界を発生する垂直偏向コイルおよび水平偏向コイルとを備えた偏向ヨークとからなる陰極線管装置において、前記偏向ヨークは、前記主磁界を変化させる磁界補正部品を収納するホルダーを備え、前記ホルダーは、前記磁界補正部品を固定保持する弾性部材と前記弾性部材を支持する支持部材とを有し、前記磁界補正部品を前記ホルダーに収納したときに、前記弾性部材が前記支持部材に接触し支持されている
【0008】
また、本発明の陰極線管装置は、前記支持部材に突起が設けられており、前記磁界補正部品を前記ホルダーに収納したときに、前記弾性部材は前記突起に接触し支持されることが好ましい。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の陰極線管装置は、パネルとファンネルとから外囲器が構成される陰極線管と、前記陰極線管の前記ファンネルの外部に配置され、主磁界を発生する垂直偏向コイルおよび水平偏向コイルとを備えた偏向ヨークとからなる陰極線管装置において、前記偏向ヨークは、前記主磁界を変化させる磁界補正部品を収納するホルダーを備え、前記ホルダーは、前記陰極線管の管軸から遠い側へと延在する第1の内壁と、前記管軸から遠い側へと延在しかつ前記第1の内壁と前記管軸側のみで結合された第1の外壁と、前記第1の内壁に対向しかつ前記管軸から遠い側へと延在する第2の内壁と、前記管軸から遠い側へと延在しかつ前記第2の内壁と前記管軸側のみで結合された第2の外壁とを有し、前記第1の内壁が前記第1の外壁側に弾性変形するとともに前記第2の内壁が前記第2の外壁側に弾性変形することによって、前記磁界補正部品が前記第1の内壁及び前記第2の内壁に挟持されている。
【0010】
た、本発明の陰極線管装置は、前記第1の内壁側に向いた突起が前記第1の外壁に設けられるとともに、前記第2の内壁側に向いた突起が前記第2の外壁に設けられており、前記突起近傍の第1及び第2の内壁によって前記磁界補正部品が挟持されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
本発明の実施の形態に係る陰極線管装置の外観図を図2に示す。陰極線管装置1は、内部に蛍光体スクリーンを有するパネル2と、ネック部3の内部に電子銃を備えたファンネル4とから外囲器が構成された陰極線管5を有し、そのファンネル4のネック部側に、電子銃から射出される電子ビームを磁界分布によって蛍光体スクリーンのほぼ全面に偏向させるための偏向ヨーク6を備えている。
【0013】
偏向ヨーク6は、絶縁枠7の内側に巻回された水平偏向コイル(図示せず)と、絶縁枠7の外側に巻回された垂直偏向コイル8と、垂直偏向コイル8の外側に配置されたフェライトコア9と、絶縁枠7の後方(陰極線管に装着されたとき管軸Zに沿ってパネルから遠ざかる方向)に設けられ、補助コイルとしてのコマ収差補正コイル10やコンバーゼンスヨーク11、端子板12等を保持するホルダー13とから構成されている。
【0014】
ホルダー13は、その前方(陰極線管に装着されたとき、管軸Zに沿ってパネルに近くなる方向)で管軸Zを挟んで水平軸X方向両側に収納部14を有しており、図3に示すようにこの収納部14にXH、YVを補正する部品であるフェライト部材15を収納保持している。
【0015】
本発明の特徴を最も表している収納部とフェライト部材について、図1を用いてさらに詳しく説明する。図1(a)は、偏向ヨークの前方から見た収納部14の部分断面図を示しており、コの字型のフェライト部材15を矢印Aの方向へ移動させて収納部14に保持させるようになっている。
【0016】
収納部14の壁は二重になっており、両側にある内壁16と外壁17とはそれぞれ互いに管軸Zに近い側で結合されている。内壁16は、管軸Zから遠い側へ延在し、先端部18付近で外壁の方向へ若干折れ曲がった形状をしており、根元部19を支点として弾性変形する弾性部材となっている。また、外壁17は、内壁16が弾性変形した際に内壁16を支える支持部材となる。ここで、フェライト部材15の幅W1は、対向する2つの内壁同士の根元部19での間隔L1よりも大きく、また、対向する2つの内壁同士の先端部18での間隔L2よりも小さい。なお、本実施の形態では、フェライト部材15の幅W1を35〜40mm、対向する2つの内壁同士の根元部19での間隔L1を34〜39mmとし、かつ、幅W1と間隔L1との差を0.5mm〜1.5mmとした。また、対向する2つの内壁同士の先端部18での間隔L2を36〜42mmとし、かつ、間隔L2と幅W1との差を0.5mm〜2.0mmとした。さらに、フェライト部材15の長さL4は24〜29mmとし、内壁16と外壁17との間隔L3は2〜3mmとした。
【0017】
フェライト部材が収納部に挿入されると、図1(b)のように、フェライト部材15に押されて、内壁16の形状が破線から実線のように弾性変形する。このとき、内壁16は、根元部19に近い側でフェライト部材15を挟持し、また、その先端部18は支持部材である外壁17に接触し支持されて強度を確保するので、フェライト部材15をしっかり保持することができる。これによって、陰極線管装置の水平軸X方向、垂直軸Y方向ともに、フェライト部材の寸法ばらつき等による不要な位置ずれを抑えることができる。しかも、内壁16は弾性変形するので、XH、YV補正をさらに微調整したい場合にはフェライト部材15を摺動させることが可能である。
【0018】
また、収納部を陰極線管装置の水平軸X方向から見た図1(c)に示すように、収納部14は折り返し部20を有しているので、フェライト部材15の、陰極線管装置の水平軸X方向、垂直軸Y方向のみならず、管軸Z方向の位置ずれも抑えることができる。
【0019】
以上のように、磁界補正部材であるフェライト部材の寸法誤差にかかわらず、また、フェライト部材を包むような別部材を特別に用いたりすることなく、偏向ヨークの所望の位置でフェライト部材を確実に保持することができるので、簡単な構成で、コンバーゼンスを向上させ、陰極線管の画質、色純度を優れたものとすることができる。
【0020】
なお、収納部は、図4に示すように、その外壁17に内側へ向いた突起21を有していてもよい。この場合、フェライト部材が収納部に挿入されると、内壁16の形状が破線から実線のように弾性変形する。内壁16は、根元部19に近い側および突起21に近い箇所でフェライト部材15を挟持し、また、外壁17の突起21と接触して強度を確保できる。つまり、外壁17および突起21は、弾性部材である内壁16を支える支持部材として機能する。このような構成によって、所望の位置でフェライト部材15をしっかり保持することができるので、陰極線管装置の水平軸X方向、垂直軸Y方向ともに、フェライト部材の寸法ばらつき等による不要な位置ずれを抑えることができる。
【0021】
また、上記実施の形態では、磁界補正部品として、コの字型のフェライト部材を用いた例を示したが、これに限ったものではなく、磁界補正部品はI字型やL字型であってもよく、また、フェライト以外に磁性合金等を材料とする部材を用いてもよい。
【0022】
さらに、上記実施の形態では収納部がフェライト部材の外側を挟持する構成を示したが、これに限らず、フェライト部材の内側を支えるような構成であってもよい。この場合、例えば図5に示すように、コの字型のフェライト部材15を矢印Aの方向へ移動させて収納部14に保持させるものであって、収納部14には、フェライト部材15の内側を保持するための弾性部材22と、管軸Zに近い側で弾性部材22と結合し、かつフェライト部材15を保持しながら弾性変形した弾性部材をさらに支持する支持部材23とを備えた構成とする。ここで、フェライト部材15の内側の幅W2は、2つの弾性部材22の外側同士間の最大距離L5よりも小さくするのが好ましい。
【0023】
また、図1、図4、図5を用いて説明した上記実施の形態では、収納部の弾性部材と支持部材とが管軸Zに近い側で結合されている例を示したが、これに限ったものではなく、弾性部材と支持部材とは完全に別部材であってもよい。また、弾性部材が、それのみでも充分に磁界補正部品を保持できる機械的強度を有しており、かつ磁界補正部品の摺動が可能な程度の弾性を有していれば、支持部材は特に設けなくてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、簡単な構成で所望の位置に磁界補正部品を備えることができ、これによりコストダウンおよび確実なコンバーゼンス補正を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態におけるホルダーの収納部の部分断面図とフェライト部材を示す図
(b)本発明の実施の形態におけるホルダーの収納部にフェライト部材を挿入した状態を示す部分断面図
(c)本発明の実施の形態におけるホルダーの収納部にフェライト部材を挿入した状態を示す部分側面図
【図2】本発明の実施の形態に係る陰極線管装置の外観図
【図3】本発明の実施の形態における偏向ヨークをパネル側からみた部分斜視図
【図4】本発明の実施の形態において突起を有する収納部にフェライト部材を挿入した状態を示す部分断面図
【図5】本発明の実施の形態において収納部の弾性部材を内側に設けた例を示す部分断面図
【図6】従来のホルダー部材にフェライト部材が挿入された状態を示す部分斜視図
【符号の説明】
1 陰極線管装置
2 パネル
4 ファンネル
5 陰極線管
6 偏向ヨーク
8 垂直偏向コイル
13 ホルダー
15 フェライト部材
16 内壁

Claims (4)

  1. パネルとファンネルとから外囲器が構成される陰極線管と、前記陰極線管の前記ファンネルの外部に配置され、主磁界を発生する垂直偏向コイルおよび水平偏向コイルとを備えた偏向ヨークとからなる陰極線管装置において、前記偏向ヨークは、前記主磁界を変化させる磁界補正部品を収納するホルダーを備え、
    前記ホルダーは、前記磁界補正部品を固定保持する弾性部材と前記弾性部材を支持する支持部材とを有し、
    前記磁界補正部品を前記ホルダーに収納したときに、前記弾性部材が前記支持部材に接触し支持されていることを特徴とする陰極線管装置。
  2. 前記支持部材に突起が設けられており、前記磁界補正部品を前記ホルダーに収納したときに、前記弾性部材は前記突起に接触し支持されることを特徴とする請求項1記載の陰極線管装置。
  3. パネルとファンネルとから外囲器が構成される陰極線管と、前記陰極線管の前記ファンネルの外部に配置され、主磁界を発生する垂直偏向コイルおよび水平偏向コイルとを備えた偏向ヨークとからなる陰極線管装置において、前記偏向ヨークは、前記主磁界を変化させる磁界補正部品を収納するホルダーを備え、
    前記ホルダーは、前記陰極線管の管軸から遠い側へと延在する第1の内壁と、前記管軸から遠い側へと延在しかつ前記第1の内壁と前記管軸側のみで結合された第1の外壁と、前記第1の内壁に対向しかつ前記管軸から遠い側へと延在する第2の内壁と、前記管軸から遠い側へと延在しかつ前記第2の内壁と前記管軸側のみで結合された第2の外壁とを有し、
    前記第1の内壁が前記第1の外壁側に弾性変形するとともに前記第2の内壁が前記第2の外壁側に弾性変形することによって、前記磁界補正部品が前記第1の内壁及び前記第2の内壁に挟持されていることを特徴とする陰極線管装置。
  4. 前記第1の内壁側に向いた突起が前記第1の外壁に設けられるとともに、前記第2の内壁側に向いた突起が前記第2の外壁に設けられており、
    前記突起近傍の第1及び第2の内壁によって前記磁界補正部品が挟持されていることを特徴とする請求項3記載の陰極線管装置。
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