JP3854868B2 - ショーケースの棚装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ショーケースに複数段に設置され棚装置、特に棚板の収納及び引き出しができる棚装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種の棚装置として例えば実用新案登録第２５２９０５１号公報に記載されたものが知られている。
【０００３】
この棚装置は、商品を載置する棚板と、棚板を斜め前方に傾斜するよう支持する棚受けと、棚受けと棚板に連結して棚板を前後に摺動可能にする連結部材とを備えており、商品の補充作業の際は棚板を前方に引き出して棚板に商品を補充し、また、この補充作業を終えたときは棚板を後方に押し戻して元の位置に収納している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記公報に示された棚装置は一段式のショーケース、即ち、一個の棚装置を備えたショーケースに採用した例ではあるが、この棚装置を多段式のショーケース、即ち複数段に棚装置を設置したショーケースにも採用することができる。
【０００５】
しかしながら、多段式のショーケースは収納商品の種類や数量等に応じて棚間隔や棚段数を変更することがあり、一方、前記棚装置は棚板と棚受けとが連結部材を介して離れることなく連結固定されているため、棚装置の間隔や段数を変更する度に、重量が相当にある棚装置全体を持ち上げて作業しなければならず、変更作業が重労働となっていた。また、この棚装置をショーケースに設置する際は、左右の棚受けを棚柱の引っ掛け穴に引っ掛けて行うが、この設置作業中に棚板が歪むなどにより、左右棚受けを同位置の引っ掛け穴に確実にかけることが困難となっていた。
【０００６】
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、棚間隔や棚段数を簡単に変更でき、また、棚受けを適正位置に確実に設置することができるショーケースの棚装置を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、請求項１の発明は、商品を載置する棚板と、棚板が支持される棚受けと、棚受けと該棚板に連結して棚板を前後に摺動可能にする連結部材とを備えたショーケースの棚装置において、連結部材又は棚板の一方には係止部材を有し、他方には棚板が上方に引かれるときは係止部材が抜け出ることがなく係脱自在に係止する、前方に向かって延びる溝を備えた係止溝を有する構造となっている。
【０００８】
請求項１の発明によれば、棚板をショーケース内に収納するときは係止部材を係止溝に係止する。これにより、棚板が連結部材を介して棚受けに固定される。
【０００９】
一方、棚間隔や棚段数を変更する際は係止部材を係止溝から外す。これにより、棚板が連結部材ひいては棚受けから外れ、棚装置が２つの部品に分離される。
【００１０】
なお、請求項３の発明の如く、係止部材は棚板の下面に固着された係止ワイヤで構成し、また、係止溝は連結部材に設けられ係止ワイヤが上下にはめ込み自在となる構造を採用しても良い。
【００１１】
請求項４の発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一項記載の棚装置において、棚受けの前端側には連結部材の前方への摺動動作を規制するストッパ部材を設け、棚板の先端側にはストッパ部材の摺動規制を解除する解除部材を設けた構造となっている。
【００１２】
請求項４の発明によれば、棚板を前方へ摺動する際は、解除部材によりストッパ部材の摺動規制を解除し、棚板を前方に引き出せばよい。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図１乃至図７は本発明に係るショーケースの棚装置の一実施形態を示すもので、図１はショーケースを示す側面図、図２は棚装置の全体斜視図、図３は棚板の裏面を示す斜視図、図４は棚板、棚受け及び連結部材の組み付け斜視図、図５は棚板の連結部材への組み付け斜視図、図６はストッパ部材の規制解除操作を示す説明図、図７は棚板の摺動操作及び取り外し操作を示す側面図である。
【００１４】
まず、図１を参照してショーケースの構造を簡単に説明する。図示されているショーケースは多段式のオープンショーケース１（以下、ショーケース１という）であり、棚装置２が庫内に５段配置されている。また、棚装置２にはボトル状の商品Ａが載置され、商品Ａが要冷蔵商品のときは図示しない冷却機器により庫内が冷却されるようになっている。
【００１５】
次に、庫内に５段設置された棚装置２の構造を図２乃至図７を参照して説明する。この棚装置２は商品Ａを載置する棚板２１と、棚板２１を左右で支持する棚受け２２と、棚板２１と棚受け２２とを連結する連結部材２３とを有している。
【００１６】
棚板２１は上面開口の偏平箱状の棚本体２１１を有しており、この棚本体２１１に商品Ａが載置される。また、棚本体２１１の前部には横方向に延在されたフロントブロック２１２が設置されており、更にフロントブロック２１２の上面にはワイヤガード２１３が設置され、棚板２１上の商品Ａを保持している。
【００１７】
棚本体２１１の裏面には、図３、図５及び図７に示すように、係止ワイヤ２１４が設置されている。この係止ワイヤ２１４は棚本体２１１の前側に横方向全体に亘って延在されており、左右両側をＬ字状に屈曲して後述する係止溝２３２ｃに係脱自在に嵌め込まれるようになっている。また、フロントブロック２１２の下面の両端には、図３、図５及び図６に示すように、断面略Ｌ字状に屈曲した解除部材２１５が設置されている。この解除部材２１５はその取付け基板２１５ａをネジ２５１ｂによりフロントブロック２１２の裏面に回動自在に軸支している。また、立ち上げ部分には前後に２個の爪２１５ｃ，２１５ｄが形成されており、前方の爪２１５ｃを内側に向かって回動操作するとき、図６(b)に示すように、後方の爪２１５ｄが後述するストッパ部材２２２を外方向に押し開くようになっている。
【００１８】
棚受け２２は、図２、図４及び図５に示すように、庫内の前後方向に延在されたもので、上下を内側に向かって屈曲して、上部屈曲部２２１に棚本体２１１の底面を支持するようになっている。この上部屈曲部２２１は後端から前端に向かって斜め下方に傾斜しており、これにより、上部屈曲部２２１に支持されている棚板２１も、これと同様に前方に向かって斜めに傾斜した状態で載置されている。なお、このように棚板２１を前傾斜させることにより、最前列の商品Ａが販売されたとき、これに続く後方の商品Ａが順次前方に摺動して、商品Ａの先入れ先出しを実現している。
【００１９】
なお、図示しないが棚板２１の裏面には上部屈曲部２２１に嵌め込まれる滑り板を有し、棚板２１が棚受け２２に支持されているときは、棚板２１の後部が棚受け２３から外れないようにしている。
【００２０】
棚受け２２の前側にはストッパ部材２２２が設置されている。このストッパ部材２２２は前後方向に延びる板バネで形成されている。また、その前後方向略中央には内側に向かって略Ｌの字状に屈曲した止め部２２２ａが形成され、この止め部２２２ａから先は外方に向かって広がる当て部２２２ｂが形成されている。
【００２１】
ここで、止め部２２２ａは、図５及び図６(a)に示すように、常時はストッパ部材２２２の弾性力により後述する切り欠き穴２３２ｂに係止しており、一方、解除部材２１５が図６(b)に示すように回動するとき、当て部２２２ｂが弾性力に抗して外方向に広がり、止め部２２２ａの係止状態が解除されるようになっている。
【００２２】
なお、棚受け２２の後端には上下に鉤状のフック２２２ｃが形成されており、このフック２２２ｃを図示しない棚柱の多数の引っ掛け穴のうち、所定の引っ掛け穴に係止することにより、棚装置２の設置位置（高さ位置）が決定される。
【００２３】
連結部材２３は、図４に示すように、前後方向に延在された摺動機構２３１と連結プレート２３２とから構成されている。この摺動機構２３１は周知のもので、固定プレート２３１ａと可動プレート２３１ｂとの間に中プレート２３１ｃを介在し、中プレート２３１ｃと固定プレート２３１ａ及び可動プレート２３１ｂとの間にベアリング２３１ｄを介装しており、これにより、可動プレート２３１ｂを図４の双方向矢印に示すように前後に摺動させるようになっている。
【００２４】
一方、連結プレート２３２はその前側を略コの字状に屈曲しており、屈曲部２３２ａの内側コーナ部分には止め部２２２ａが係止される切り欠き穴２３２ｂが形成されている。また、連結プレート２３２の屈曲部２３２ａ寄りには、図４及び図７に示すように、上下に延在された係止溝２３２ｃが形成されている。また、係止溝２３２ｃは連結プレート２３２の上端から下方に向かって延び、その下端から更に前方に向かって僅かに延び、その前端から更に下方に向かって延びるよう形成されている。これにより、係止ワイヤ２１４が真っ直ぐ上方に引かれたときは、図７(a)に示すように、係止ワイヤ２１４が係止溝２３２ｃから抜け出ることがない。このように、係止ワイヤ２１４が係止溝２３２ｃに係止することにより、棚板２１が連結プレート２３２に連結される。
【００２５】
連結部材２３は以上のように構成されているが、図４に示すように、摺動機構２３１の固定プレート２３１ａを棚受け２２の内側に締結し、また、連結プレート２３２を同じく摺動機構２３１の可動プレート２３１ｂに締結しており、これにより、棚板２１が連結部材２３を介して棚受け２２に固定される。また、棚板２１は摺動機構２３１によって図７に示すように前後方向に摺動する構造となる。
【００２６】
続いて、棚装置２全体の配置位置変更作業について主に図７を参照して説明する。棚受け２２に棚板２１が載置されているときは、図７(a)に示すように係止ワイヤ２１４が係止溝２３２ｃに係止されており、また、図６(a)に示しように止め部２２２ａが切り欠き穴２３２ｂに係止しており、これにより、図１の最上段の棚板２１の如く、棚板２１はショーケース１内に収納された状態となっている。
【００２７】
ここで、棚間隔の変更等により、棚装置２全体の配置位置を変えるときは、まず、図６(a)に示す状態で解除部材２１５の前方の爪２１５ｃを把持し、次いで爪２１５ｃを図６(b)に示すように内側に向かって回転操作する。これにより、ストッパ部材２２２の弾発力に抗して後方の爪２１５ｄが当て部２２２ｂを外方向に押し広げる。これに伴い、止め部２２２ａが切り欠き穴２３２ｂから外れ、摺動機構２３１の前方への摺動が可能となる。
【００２８】
次いで、棚板２１を手前方向に引く。これにより、棚板２１に連結している連結プレート２３２が前方に移動し、これに伴い棚板２１が図７(b)に示すように前方に引き出される（図１の上から２番目の棚装置２と同じ）。その後、係止溝２３２ｃに沿って係止ワイヤ２１４を上方に引き上げる。これにより、図７(c)に示すように、棚板２１が取り外される。
【００２９】
以上のように棚板２１と棚受け２２及び連結部材２３を分離した後、棚受け２２のフック２２２ｃを所定の引っ掛け穴に掛け替え、棚受けを新たな設置位置に変更する。しかる後、棚板２１の係止ワイヤ２１４を再度係止溝２３２ｃにはめ込み、連結部材２３上に棚板２１をを載せる。そして、棚板２１を棚受け２２に向かって押し入れる。これにより、棚板２１が棚受け２２に支持され、また、ストッパ部材２２２の止め部２２２ａが切り欠き穴２３２ｂに再度係止され、摺動機構２３１の摺動が規制される。以上の作業を終えることにより、棚装置２全体の配置位置の変更が完了する。
【００３０】
本実施形態によれば、棚装置２の配置位置を変更する際、棚板２１と棚受け２２及び連結部材２３とが分離されるため、棚受け２２の取付位置の変更作業が容易になるし、また、棚受けの位置出しも的確に行うことができる。
【００３１】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、棚装置の配置位置を変更する際、棚板と棚受け及び連結部材とが分離されるため、棚受けの取付位置の変更作業が容易になるし、また、棚受けの位置出しも的確に行うことができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】ショーケースを示す側面図
【図２】棚装置の全体斜視図
【図３】棚板の裏面を示す斜視図
【図４】棚板、棚受け及び連結部材の組み付け斜視図
【図５】棚板の連結部材への組み付け斜視図
【図６】ストッパ部材の規制解除操作を示す説明図
【図７】棚板の摺動操作及び取り外し操作を示す側面図
【符号の説明】
１…オープンショーケース、２…棚装置、２１…棚板、２２…棚受け、２３…連結部材、２１４…係止ワイヤ、２１５…解除部材、２２２…ストッパ部材、２３２ｃ…係止溝、Ａ…商品。

Claims (4)

1. 商品を載置する棚板と、該棚板が支持される棚受けと、該棚受けと該棚板に連結して該棚板を前後に摺動可能にする連結部材とを備えたショーケースの棚装置において、
   前記連結部材又は前記棚板の一方には係止部材を有し、他方には前記棚板が上方に引かれるときは該係止部材が抜け出ることがなく係脱自在に係止する、前方に向かって延びる溝を備えた係止溝を有する
   ことを特徴とするショーケースの棚装置。
2. 商品を載置する棚板と、該棚板が支持される棚受けと、該棚受けと該棚板に連結して該棚板を前後に摺動可能にする連結部材とを備えたショーケースの棚装置において、
   前記棚板には係止部材を有し、前記連結部材には該係止部材が係脱自在に係止する係止溝を有するとともに、該係止溝は該係止部材を該係止溝の開口から底部に向かって導くよう形成され、かつ、該係止溝の開口は該係止溝の底部より後方に位置している
   ことを特徴とするショーケースの棚装置。」
3. 前記係止部材は前記棚板の下面に固着された係止ワイヤであり、前記係止溝は前記連結部材に設けられ該係止ワイヤが上下にはめ込み自在となっている
   ことを特徴とする請求項１又は請求項２記載のショーケースの棚装置。
4. 前記棚受けの前端側には連結部材の前方への摺動動作を規制するストッパ部材を設け、該棚板の先端側には該ストッパ部材の摺動規制を解除する解除部材を設けた
   ことを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一項記載のショーケースの棚装置。

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