JP3854406B2 - 超音波洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密洗浄に使用される超音波洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超音波洗浄技術は、超音波を利用して物体に付着した微小な異物や汚れを取り除く方法として、電子部品、半導体、各種光学部品をはじめとする精密洗浄に広く利用されている。超音波洗浄は、洗浄液に加えられた音響出力によって洗浄液が引き裂かれ、真空の空洞が発生するキャビテーション現象を利用し、物体に付着した付着物や汚れを除去するもので、キャビテーション現象は、超音波エネルギの大きくなる位置(定在波の最大振幅の部分)で顕著になることが知られている。
【0003】
したがって、超音波洗浄装置ではキャビテーションの偏在による洗浄ムラを抑えることが重要になる。洗浄ムラ対策として、超音波振動の発振周波数を変調させる方法、異なる周波数の超音波振動子を用いる方法、被洗浄物の揺動・回転など被洗浄物を移動させる方法、その他種々の方法が採用されている。
【0004】
例えば、実開昭62−123289号公報及び実開昭62−123290号公報では、共振周波数が異なる複数の振動子を備えた交互多周波式超音波洗浄装置が提案されている。
【0005】
また、特開平7−171526号公報では、複数の超音波振動子を洗浄槽の中央部に向けて取付け、それぞれの振動子の振幅、位相、周波数のいずれか1つを変化させることによって、超音波エネルギが高くなる位置を制御し、洗浄度の高い部分とワークの投入位置とを一致させて、一定の洗浄度でムラなく洗浄する方法が提案されている。
【0006】
さらに、超音波洗浄におけるその他の問題点としては、超音波洗浄装置を長期にわたって使用すると、洗浄槽内部が徐々に腐食される所謂エロージョン(腐食)の発生が知られている。エロージョンは洗浄槽内部でも特に振動板などの超音波振動子を取付けた部分に顕著に発生し、微小量づつ除去された材料が洗浄槽内に残留して、被洗浄物を汚染する。エロージョンの発生は、振動子の配置方法、振動板など振動子を取付ける部分の材質・表面状態、水位などにより状況が異なるため、エロージョンを抑制する方法としては、振動板材料をチタン製とする方法、水位を150mm以上にする方法などが知られている。また、特開平5−145995号公報に記載のように、金属あるいは樹脂で形成した振動板の接液面にポリエステルフィルムを貼着する方法、特開平6−91240号公報に記載のように、板厚20〜1000μmの金属板を超音波発振器の超音波発振面に搭載する方法などが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者の公開公報に記載の方法では共振周波数の異なる振動子を駆動するために、共振周波数毎に異なる発振器を用いる必要があり、洗浄装置が必要以上に大型化するといった課題を有していた。
【0008】
また、上記後者の公開公報に記載の超音波洗浄装置は、振動子の振幅、位相、周波数のいずれか1つを選択し、被洗浄物の投入位置によって、最適な洗浄性が選られるように制御する方式であるため、あらかじめ被洗浄物の位置を正確に把握しておく必要があった。また、一般的な超音波洗浄装置は、振動子を洗浄槽の底面に取付ける直接式、振動子を振動板に取付ける振動板方式、超音波発振ユニットを洗浄槽内に設置する投込方式に大別される。上記後者の公開公報に記載の超音波洗浄装置は、上記の一般的な超音波洗浄装置と異なり、振動子を洗浄槽側面に取付け、洗浄槽の中央部に向ける構成とし、超音波は2次元的に進行すると仮定している。しかし、振動子を洗浄槽側面に取付けた場合、実際の超音波は振動子から水面に湾曲して3次元的に進行するため、意図した効果が得られないといった課題を有している。
【0009】
エロージョンについていえば、特開平5−145995号公報に記載の方法では、ポリエステルフィルムの剥離が生じるといった課題を有しており、また特開平6−91240号公報に記載の方法では、超音波発振面に搭載した金属板にエロージョンが発生し、洗浄槽内を汚染するといった課題を有していた。
【0010】
また、一般的な超音波洗浄装置では、振動子を同位相で駆動するため、振動子を取付けた面内で局所的にエネルギの強い部分が存在し、この部分にエロージョンが発生しやすいという課題を有していた。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みて、振動板などの超音波振動子を取付けた部分に顕著に発生するエロージョンを低減できる超音波洗浄装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係わる超音波洗浄装置は、洗浄槽の底面もしくは洗浄槽の底面に取付けた振動板に、複数の超音波振動子を配設し、前記複数の超音波振動子と超音波発振器とを複数の位相変調素子を介して接続し、前記複数の超音波振動子のうち互いに隣合う超音波振動子の位相を各々90°もしくは180°異ならせて駆動することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明による超音波洗浄装置の一実施例を示している。図1に示す超音波洗浄装置は、振動板14に複数個の超音波振動子12を配設し、洗浄槽11の底面に前記振動板14を取付ける構造になっている。さらに、複数の超音波振動子12と一つの超音波発振器13を複数の位相変調素子15を介して接続し、前記複数の超音波振動子12を各々異なる位相で駆動する構成になっている。
【0016】
図2及び図3は本発明による他の実施例を示している。図2に示す超音波洗浄装置は、洗浄槽11の底面に複数の超音波振動子12を直接取付ける構成になっている。また、図3に示す超音波洗浄装置は、超音波発振ユニット15の内部に複数の超音波振動子12を取付ける構成になっており、超音波発振ユニット15を洗浄槽11の内部に入れて使用する形式の超音波洗浄装置である。
【0017】
図2並びに図3いずれの実施例においても、図1に示されるように、複数の超音波振動子12に位相変調素子15を接続することによって、一つの超音波発振器13で位相制御を行う方法を採用している。
【0018】
本発明者らは、以上説明したような超音波洗浄装置を用いて、超音波振動子の位相制御を行うことにより、超音波洗浄装置に発生するエロージョンを低減できることを確認した。
【0019】
図4は、本発明によるエロージョン低減を説明する図面であって、図4(A)は振動板14における超音波振動子12の取付け位置22a〜22dを示している。本発明者らは、図4(B)に示すように、取付け位置22a〜22dに取付けた超音波振動子12各々の位相を、互いに隣合う振動子と90°もしくは180°異ならせる場合に、エロージョンの発生を効率的に抑制できることを確認した。
【0020】
実際の超音波洗浄装置、特に大型の洗浄槽を備えた洗浄装置では、さらに多くの振動子が必要とされる。例えば、小〜中型の洗浄装置であっても、図5(A)に示すように、振動板14の7つの取付け位置32a〜32gに超音波振動子12を配置している。図5(A)に示す例で、各超音波振動子12の最適な位相を求めるためには、極めて多くの位相変化の例を調べていく必要があるが、図4に示す振動板14と複数個の振動子12を用いた実施例に基づき、32a〜32gの位置に取付けた超音波振動子の位相を、図5(B)に示すように、エロージョンの発生を低減することが可能であった。
【0021】
すなわち、本発明者らは図5(A)に示す振動板14と超音波振動子12の配置をモデル化し、有限要素法により振動板の振動状態を解析した。解析は、各振動子の位相を図6に示す6通り変化させて、振動板内で生じる最大振幅を計算した。解析条件にあたって、境界条件、加振条件、振動板物性を以下の通り定めた。
【0022】
・境界条件:振動板の外周部を固定端とした。
【0023】
・加振条件:振動子の取付け位置中心に、所定の周波数(本解析においては、40kHz)と振幅(本解析においては、無次元数1)を有する正弦波が作用するとした。
【0024】
・材料物性:振動板をステンレス鋼であるとし、ヤング率2.06×108kgf/mm2、ポアソン比0.29、密度7.82gf/cm2
以上の条件をもとに得られた解析結果を以下に示す。
【0025】
図6(A)は解析に用いた振動板14の大きさ、及び取付け位置の例を示すものであり、単位はmmである。図6(B)は解析例を示すものであり、図中の各丸印内の数字は該位置に取り付けられる超音波振動子の位相のズレを示している。
【0026】
【表1】
【0027】
※最大振幅の値は解析1を100として算出
上記の解析結果からも明らかなように、図4の例と同様に、隣合う振動子の位相を90°もしくは180°づつ変化させた場合(解析3)に最大振幅の値が小さくなることがわかる。
【0028】
以上説明したように、超音波振動子の位相のずれを制御し、振動板の振幅、応力の分布を変化させることによって、超音波のエネルギを振動板全体に均一に作用させることが可能となり、エロージョンの発生も抑制できる。逆に、位相制御が適切でない場合は、振動板の振幅、応力は局所的に大きくなる部分が現われ、超音波のエネルギは振動板上で偏在するため、超音波のエネルギが局所的に高い部分にエロージョンが発生することになる。
【0029】
さらに本発明によれば、特開平7−171526号公報に記載の装置のように、被洗浄物の投入位置によって、振動子のパラメータを制御する必要がなく、一旦最適な条件を決定すれば、被洗浄物の位置、大きさなどに係わらずエロージョンの発生を抑制することが可能になる。
【0030】
また、実開昭62−123289号公報及び実開昭62−123290号公報に記載の装置のように、複数の超音波発振器を用いる必要がなく、洗浄装置全体を小型化することが可能になる。
【0031】
【発明の効果】
本発明による超音波洗浄装置は、第1に、洗浄槽の底面もしくは洗浄槽の底面に取付けた振動板に、複数の超音波振動子を配設し、前記複数の超音波振動子を各々異なる位相で駆動し、かつ、前記複数の超音波振動子を複数の位相変調素子を介して超音波発振器に接続したことを特徴としている。したがって、位相変調素子によって、簡単な構成で容易に振動子の位相を任意に設定することが可能になる。また、互いに隣合う超音波振動子の位相を各々90°もしくは180°変化させることを特徴としている。これによって、振動板などに作用する超音波のエネルギを振動板全体にわたって均一な分布とすることができるので、洗浄槽内部に発生するエロージョンを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波洗浄装置の第1の実施例を説明する図面である。
【図2】本発明による超音波洗浄装置の第2の実施例を説明する図面である。
【図3】本発明による超音波洗浄装置の第3の実施例を説明する図面である。
【図4】本発明による超音波振動子の位相制御方法の第1の実施例を説明する図面である。
【図5】本発明による超音波振動子の位相制御方法の第2の実施例を説明する図面である。
【図6】有限要素解析における各振動子の配列と位相のズレを説明する図面である。
【符号の説明】
11 洗浄槽
12 超音波振動子
13 超音波発振器
14 振動板
15 位相変調素子
16 超音波発振ユニット
22a〜22d 超音波振動子取付け位置
32a〜32g 超音波振動子取付け位置
Claims (1)
- 洗浄槽の底面もしくは洗浄槽の底面に取付けた振動板に、複数の超音波振動子を配設し、前記複数の超音波振動子と超音波発振器とを複数の位相変調素子を介して接続し、前記複数の超音波振動子のうち互いに隣合う超音波振動子の位相を各々90°もしくは180°異ならせて駆動することを特徴とする超音波洗浄装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08539298A JP3854406B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 超音波洗浄装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP08539298A JP3854406B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 超音波洗浄装置 |
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JPH11277010A JPH11277010A (ja) | 1999-10-12 |
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ID=13857502
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP08539298A Expired - Lifetime JP3854406B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 超音波洗浄装置 |
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-
1998
- 1998-03-31 JP JP08539298A patent/JP3854406B2/ja not_active Expired - Lifetime
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