JP3852894B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁重合法による塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、塩化ビニル系重合体は下記の工程を経て製造される。
重合器内において塩化ビニルモノマー又は塩化ビニルモノマーを含有するモノマー混合物を水性媒体中で懸濁重合し、重合体スラリーを得る工程、重合器内の未反応モノマーを排気により回収した後、重合体スラリー中の残存未反応モノマーをストリッピングにより除去する工程、ストリッピング工程を経た重合体スラリーを脱水処理する工程、及び得られた重合体ケーキをスチームにより乾燥する工程を経る。こうして塩化ビニル系重合体は乾燥品として得られる。
【0003】
近年、製造コストの低下の観点から、エネルギー使用量の低減が望まれている。その−環として、塩化ビニル系重合体乾燥品を製造する際の乾燥工程でのスチーム使用量の低減が望まれている。このためには、乾燥工程へ供給される脱水処理後の重合体ケーキの含水率を低下させることが有効である。この重合体ケーキの含水率を効果的に低下させる脱水処理方法としては、脱水処理機として、スクリーン・ボウルデカンタ型又はソリッド・ボウルデカンタ型連続遠心分離機等の遠心分離機を用いる方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら遠心分離機等の脱水処理機を用いても、得られる重合体ケーキの含水率は24〜30重量%の範囲である。乾燥工程でのスチーム原単位をさらに向上させるには、この含水率では不十分である。そこで、重合体ケーキの含水率をさらに低下させることが望まれていた。
従って本発明の目的は、重合体スラリーの脱水処理後に得られる重合体ケーキの含水率を低下し得る塩化ビニル系重合体の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、
(A)塩化ビニルモノマー又は塩化ビニルモノマーを含むモノマー混合物を水性媒体中で懸濁重合し、重合体スラリーを得る工程、
(B)該重合体スラリー中の未反応モノマーをストリッピングする工程、及び
(C)前記工程(B)を経た重合体スラリーに、ストリッピング終了時から60分以内に80〜95℃の温度で脱水処理を施す工程
を有する塩化ビニル系重合体の製造方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
(A)懸濁重合工程:
懸濁重合の条件は通常行われているのと同様でよく、特に制限されない。即ち、まず重合器内に塩化ビニルモノマー又は塩化ビニルモノマーを含むモノマー混合物、水性媒体、重合開始剤及び分散剤を仕込み、撹拌しながら所定の重合温度(通常30〜75℃)に維持することにより、塩化ビニルモノマー又はモノマー混合物の重合を行う。所定の重合率(通常60〜98%)に達した時点で重合を停止する。重合の停止は、例えば酸化防止剤を添加して行うことができる。
【0007】
重合されるモノマーは、塩化ビニルモノマー単独の他、塩化ビニルモノマーとこれと共重合可能なモノマー(コモノマー)との混合物(塩化ビニルモノマーの含有量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上)である。コモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィン;マレイン酸、酢酸ビニル等のビニルエステル;ラウリルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;無水マレイン酸;塩化ビニリデン等が例示される。
【0008】
重合開始剤としては、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシル系有機過酸化物;クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート等のパーオキシエステル系有機過酸化物;ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート系有機過酸化物が例示される。これら重合開始剤は、モノマーの全仕込み量100重量部に対して、0.01〜0.3重量部、好ましくは0.03〜0.2重量部の範囲で添加される。
【0009】
分散剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;水溶性又は油溶性の部分ケン化ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体、ゼラチン等の水溶性ポリマーが例示される。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらはソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラウレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロックコポリマー等のノニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤等の少なくとも1種と組み合わせて使用することもできる。これらの分散剤は、モノマーの全仕込み量100重量部に対して、0.02〜0.2重量部、好ましくは0.05〜0.15重量部の範囲で添加される。
【0010】
水性媒体としては、水が使用される。なお、水は通常、脱イオン水又は純水として使用される。
水性媒体の仕込み量は、モノマーの1.0〜3.0重量倍、好ましくは1.1〜2.0重量倍の範囲である。
【0011】
酸化防止剤としては、重合禁止作用を有するものであれば、いずれも使用でき、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−アニソール(3−BHA)、2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−アニソール(2−BHA)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMBP)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBEBP)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(BBMBP)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(SBMBP)、スチレン化フェノール、スチレン化−P−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3',5'−ジ−1−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3',5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−ヒドロキシ−3−メチル−イソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2'−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5'−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド等のフェノール系酸化防止剤;N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−P−フェニレンジアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物等のアミン系酸化防止剤;ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダノール等の硫黄系酸化防止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの酸化防止剤のうち、特にトルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−アニソール(3−BHA)、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン及びオクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネートが好ましい。これらの酸化防止剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0012】
酸化防止剤は、抗初期着色性等の品質及びコストの観点から、その添加時期において、モノマーの全仕込み量100重量部に対して、通常0.0001〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部の範囲で添加される。
【0013】
重合停止後、重合器から未反応モノマーを排気により回収し、得られた重合体スラリーを重合器より、例えばブローダウンタンクヘ抜き出す。
(B)未反応モノマーのストリッピング工程:
次に、工程(A)で得られた重合体スラリーを、モノマーストリッピング塔へ供給し、ストリッピングを行う。この工程で重合体スラリー中に残存する未反応モノマーは、ほぼ完全に除去され、その含有量は50ppm以下、好ましくは10ppm以下となる。
【0014】
得られる重合体の初期着色を抑制するために、酸化防止剤を、ストリッピング工程の前及び該工程の終了後のいずれか少なくとも1つの時点で重合体スラリーに添加することができ、この目的の上ではストリッピングの前に添加することが望ましい。前述のように酸化防止剤は重合停止のためにも使用されることが多いので、未反応モノマーストリッピング終了後の重合体スラリー中には、通常、酸化防止剤が含まれている。このストリッピング終了後の重合体スラリー中の酸化防止剤の含有量は、ストリッピング後に添加される場合は、その酸化防止剤を含めて、1〜3,000ppm(重量)の範囲が好ましい。より好ましくは5〜300ppmの範囲である。
【0015】
以上のようにしてストリッピング終了後の重合体スラリー中には酸化防止剤が含まれるので、次の脱水処理工程に供給される重合体スラリー中に含まれる塩化ビニル系重合体の熱劣化を効果的に防止することができる。このため、得られる塩化ビニル系重合体乾燥品の抗初期着色性の低下を十分抑制することができる。
【0016】
(C)脱水処理工程:
本発明方法の特徴は、前記工程(B)を経た重合体スラリーに、ストリッピング終了時から60分以内に、80〜95℃の温度で脱水処理を施す工程にある。
さらに詳しく説明すると、未反応モノマーのストリッピング終了後に得られた重合体スラリー(その温度は通常95℃以上)は、例えば外部ジャケット及び撹拌機を備えたスラリータンクに供給され、ここで重合体スラリーは必要に応じて冷却により80〜95℃の温度範囲に調節された後、ストリッピング終了時から60分以内(温度調節時間を含む)に上記温度範囲で脱水処理機に供給され、脱水処理される。
【0017】
脱水処理機に供給される重合体スラリーの温度が、80℃未満では得られる重合体ケーキの含水率の低下が不十分で、乾燥工程でのスチーム使用量低減の十分な効果が得られず、また95℃を超えると、塩化ビニル系重合体乾燥品の抗初期着色性の低下を招くので好ましくない。一方、工程(B)を経た重合体スラリーを、ストリッピング終了時から60分を越えて脱水処理機に供給すると、得られる塩化ビニル系重合体乾燥品の抗初期着色性が急激に悪化する。
【0018】
工程(C)で使用される脱水処理機としては、スクリーン・ボウルデカンタ型又はソリッド・ボウルデカンタ型連続遠心分離機等の遠心分離機が例示される。連続遠心分離機は、ソリッド・ボウルデカンタ型のものが好ましい。
以上のようにして脱水処理して得られた重合体ケーキの含水率は、後記実施例に示すように、従来よりも低下する。
次にこの重合体ケーキは、例えば流動乾燥機に供給され、乾燥温度50〜100℃、好ましくは60〜80℃で、含水率が0.3重量%以下となるまで乾燥され、塩化ビニル系重合体乾燥品が得られる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜5、比較例1〜6〕
塩化ビニルモノマーの懸濁重合を行う重合器として、還流コンデンサー、外部ジャケット及び撹拌機が付設された内容積80m3のステンレススチール製重合器を用いた。
【0020】
この重合器に脱イオン水35.5トンを仕込み、次いで、分散剤として水溶性部分ケン化ポリビニルアルコール10.7kg及び水溶性セルロースエーテル4.6kgを溶解した水溶液300kgを仕込み、撹拌した。重合器を56mmHgになるまで排気した後、撹拌しながら塩化ビニルモノマー30.5トンを仕込み、さらに、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート17.4kg及びクミルパーオキシネオデカノエート7.0kgを分散した水性エマルジョン48.8kgをポンプで圧入して、仕込み混合物とした。重合開始剤の圧入と同時に外部ジャケットに加熱水を通して内温を所定の重合温度56℃に昇温し、重合を開始した。昇温の終了時付近より外部ジャケット内に冷却水を通すと共に、内温が所定の56℃に到達した時点から20分後に還流コンデンサーによる除熱を開始し、内温を56℃に維持して重合を続けた。重合器内の内圧が5.5kg/cm2に降下した時点(重合率で87.0%)で、重合混合物に表1及び表2に示す重合禁止作用のある酸化防止剤を添加して重合を停止した。
【0021】
重合停止後、重合器から未反応モノマーを排気により回収し、得られた重合体スラリーを重合器から容量150m3のブローダウンタンクヘ抜き出した。さらに、重合体スラリー中の残存未反応モノマーを除去するために、該タンク内の重合体スラリーをモノマーストリッピング塔へ供給した。
【0022】
未反応モノマーのストリッピング終了後の重合体スラリー(未反応モノマーの濃度:10ppm、塩化ビニルポリマー固形分の濃度:41.2重量%、温度:92℃、塩化ビニルポリマーの重合度:1000;酸化防止剤の濃度は表1及び表2に示す)を、外部ジャケット及び撹拌機が付設された容量19m3のスラリータンクヘ13.5m3/hの速度〔スラリー線速(V1)はV1=0.82m/s〕で供給した。モノマーストリッピング塔とスラリータンク間の重合体スラリーの配管内滞留時間(配管長/配管線速)は30秒であった。スラリータンクへ重合体スラリーを供給後、スラリータンク内に該スラリーが12.0m3溜まった時点で、ソリッド・ボウルデカンタ型連続遠心分離機(巴工業株式会社製、横型スーパー・デ・カンタ)への重合体スラリーの供給を表1及び表2に示す温度、及び13.5m3/hの速度〔配管線速(V2)はV2=0.82m/s〕で開始した。
【0023】
未反応モノマーストリッピング塔からスラリータンクまでの配管長(L1)をL1=25m、スラリータンクから連続遠心分離機までの配管長(L2)をL2=75m、スラリータンク内のスラリー容量(Q)をQm3、及びスラリータンクに供給して抜き出すスラリー流量(q)をq=13.5m3として、未反応モノマーストリッピング塔からスラリータンク間配管内滞留時間(Ta)、スラリータンクから連続遠心分離機間配管内滞留時間(Tb)、スラリータンク内平均滞留時間(Tc)及びスラリータンク合計滞留時間(T)を下記式に従って算出した。
【0024】
Ta(分)=L1/(V1×60)
Tb(分)=L2/(V2×60)
Tc(分)=Q/q×60
T(分)=Ta+Tb+Tc
その結果を表1及び表2に示す。
【0025】
脱水終了後、得られた重合体ケーキの含水率を下記式に従って算出した。
含水率(%)=〔W1/(W1+W2)〕×100
W1:ケーキ中の水の重量
W2:塩化ビニルポリマーの重量
その結果を表1及び表2に示した。
【0026】
さらに、得られた重合体ケーキを、乾燥重量換算の塩化ビニルポリマーで6.1t/hの速度で流動乾燥機(奈良機械製作所製)に供給し、乾燥機排出口での塩ビニルポリマーの含水率が0.1%になるように、乾燥機内の温度が75℃でスチーム乾燥し、塩化ビニルポリマーの乾燥品を得た。この時、乾燥機内温度が75℃となるように供給したスチーム(ゲージ圧力3.5kg/cm2、温度147℃)の流量(速度)を表1及び表2に示す。
【0027】
得られた塩化ビニルポリマー乾燥品について下記方法に従って抗初期着色性を試験し、評価した。その結果を表1及び表2に示す。
抗初期着色性:
塩化ビニル重合体100重量部にラウリル酸スズ1重量部、カドミウム系安定剤0.5重量部及びジオクチルフタレート50重量部を配合し、2本ロールミルを用いて160℃で5分間混練した後、厚さ0.8mmのシートに成形した。次に、このシートを裁断して重ね、これを4×4×1.5cmの型枠に入れて160℃、65〜70kgf/cm2で加熱、加圧成形して測定試料を作成した。この測定試料について、光電色彩計(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS Z 8730(1980)に規定されるハンターの色差式における明度指数Lを求め、a値及びb値を測定し、下記基準で抗初期着色性を評価した。
評価基準:
◎ : 優れている
○ : 良い
△ : やや悪い
× : 悪い
【0028】
【表1】
【0029】
*酸化防止剤記号一覧
a.トルエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシ フェニル)プロピオネート〕
b.3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン
c.3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-アニソール(3-BHA)
d.2,5-ジ−t-ブチルハイドロキノン
e.オクタデシル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート)
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
本発明方法によれば、重合体スラリーの脱水処理後に得られる重合体ケーキの含水率を従来よりも低下することができるので、乾燥工程でのエネルギー使用量の低減、従って製造コストの低減が達成される。しかも酸化防止剤の添加により、抗初期着色性に優れた塩化ビニル系重合体乾燥品が得られるという利点もある。
Claims (2)
- (A)塩化ビニルモノマー又は塩化ビニルモノマーを含むモノマー混合物を水性媒体中で懸濁重合し、重合混合物に酸化防止剤を添加して重合を停止させ、重合体スラリーを得る工程、
(B)該重合体スラリー中の未反応モノマーをストリッピングする工程、及び
(C)前記工程(B)を経た重合体スラリーに、ストリッピング終了時から60分以内に80〜95℃の温度で脱水処理を施す工程
を有する塩化ビニル系重合体の製造方法。 - 前記工程(B)の終了後、塩化ビニル系重合体スラリー中に酸化防止剤が1〜3000ppm(重量)含まれる請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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