JP3852590B2 - 薄膜内部構造分析法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜、特に厚みが1nm〜数100nmの膜厚における薄膜の内部構造を観察する新規な手法及び装置に関する。
特に本発明は、2種類以上の異なる化学構造を部分構造として含んだ材料からなる薄膜について、該薄膜中における前記部分構造の空間分布を分析する新規な手法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機発光ダイオードを始めとする有機電子デバイスなどの分野で、ナノメートルオーダーのサイズで特徴的な内部構造を持った薄膜が、産業上重要な材料として利用され始めている。
【0003】
このような薄膜内部の微細な構造を把握することは、応用製品の性能向上を図る上で極めて重要である。
【0004】
多くの場合、上記薄膜は1μm以下、特に有機発光ダイオードなどでは概略100nm以下の厚みしか有していない。
【0005】
薄膜の内部構造をナノメートルスケールで観察する手法として、電子顕微鏡、特に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる方法が広く用いられている。この方法は、薄膜をガラスナイフなどによって、電子線が透過し得る厚みを有した切片として切り出し、該切片に適当な染色処理を施した後、切片の各部分における透過電子線強度を画像として取り出すものである。
【0006】
しかしながら、上記の手法では薄膜がシリコン基板など硬い基板上に形成されている場合、観察用切片の切り出しに困難を生じていた。
特に、有機発光ダイオードの場合、基板はしばしば透明導電膜が表面に形成されたガラス基板であり、観察用切片の切り出しが困難である。
【0007】
基板から有機薄膜を取り外し、別の軟らかい基板上に移し変えることができれば、切片の作製が容易になるが、しばしば薄膜は基板に強固に付着しており基板からの取り外しが困難である。
【0008】
このため薄膜の取り外しを行なうために、基板の一部を溶解させる工程によって薄膜を取り外すなど、薄膜自体に損傷を与える可能性のある工程が用いられてきた。
【0009】
また薄膜の厚みが著しく薄いため、基板から取り外しなどの操作を行なっている間に薄膜が破損する危険性が高い。
【0010】
更には、仮に基板間での移し変えに成功したとしても、軟らかい有機薄膜の場合は、切り出し時にサンプルが変形するなどの理由から厚みが100nm以下の切片を切り出すことが困難なため、特に切り出し可能な切片の厚みより小さいサイズの内部構造を有する薄膜の内部観察には適さなかった。
【0011】
文献 H.White,et al.Polymer 2001,42,1613では集束したイオンビームを用いて、薄膜を硬い基板ごと切り出しTEMで観察する手法が開示されている。しかし、この手法では切り出し操作中に薄膜の自由表面近傍の領域に損傷を与えてしまうため、自由表面近傍の観察に困難を生じていた。
【0012】
更に、通常TEMによる内部構造観察はある特定の面で材料を切り出して見た2次元データであり、複雑な内部構造を有する試料に対しては必ずしも十分な情報が得られる訳ではない。
【0013】
このため、多くの場合、TEMによる内部構造観察は、他の手法、特にX線散乱など散乱実験から得られた結果と組み合わせて解釈される。
【0014】
しかしながら、数100nm以下の厚みしか持たない薄膜の場合、通常のX線散乱装置で通常の測定条件の範囲内では十分な散乱強度を得ることが困難で有る。更に薄膜の厚さが通常のX線散乱装置が発生するX線ビーム径と比べて極単に小さいため、薄膜表面に垂直にビームを入射するthrough view以外の測定を行うことが実際上極めて困難であった。
【0015】
あるいはX線や中性子線の反射スペクトル測定によって、薄膜が単純な積層構造を取っている場合については、内部構造の解析が可能であるが、薄膜が面内構造を有しているような場合、上記の装置を用いてもその解析は非常に困難である。
【0016】
一方、薄膜の構造を観察する手法として広く用いられているものに、原子間力顕微鏡(AFM)がある。例えば文献 Q.Zhong,et al.Surf.Sci.Lett.1998,290,L688に開示されているように、鋭いニードルを先端に有したカンチレバーをその共振点付近で圧電素子により振動させながら試料表面に近付け、試料表面と先端のニードルとの間欠的な接触によりカンチレバーの振幅が一定の大きさまで低下するように、ニードル先端の平均位置と試料表面と距離をカンチレバーの平均位置を制御している圧電素子に加える電圧を調節しながら、試料表面上をニードル先端で走査し、各表面位置においてカンチレバーの平均位置を制御している圧電素子に加えた電圧から試料表面の形状に関する情報を得るACモードが紹介されている。この手法を用いれば、高分子薄膜などニードルの材質に比べて非常に軟らかい材質からなる試料でも、試料表面の損傷を著しく抑制しながら、表面の形状を測定することができる。
【0017】
しかしながら、AFMを始めとする走査型プローブ顕微鏡を用いて得られるのは表面構造、特に表面の形状に関する情報であり、薄膜の内部構造に関する情報は得られなかった。
【0018】
米国出願特許公報20010052257には、粘弾性特性、又は電気的特性、或いは光学的特性などの物性が異なる物質からなる材料について、材料表面を逐次アブレーションする工程と表面面内における局所的な物性をAFMあるいは、走査型トンネル顕微鏡、走査型近接場光顕微鏡などを用いて測定する工程を繰り返し実施することにより、本来材料の内部でありながら各アブレーション工程において表面に現れたそれぞれの部分の座標に、アブレーション表面の観察工程によって得られた局所的な物性値を割り付けることによって、材料内部における物性値の分布を表示する装置が開示されている。
【0019】
しかし、上記手法は、共にガラス状態にあるブロック成分からなるブロック共重合体の薄膜など、通常のAFMで粘弾性特性の違いを明確に検出できないような組み合わせの材料からなる薄膜に関しては十分な情報を与えることが出来なかった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ナノメートルスケールの高分解能で薄膜表面が観察できるAFM等の表面形状観察装置を用いて、基板の切り出し等の困難を生じることなく、複数の異なる化学構造を部分構造として含む材料からなる薄膜であって、しかも各部分構造が粘弾性特性、又は電気特性、或いは光学特性に大きな差を有さない材料からなる薄膜の内部構造を比較的容易に分析評価する方法及び装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
ガラス転移温度が全て室温より高い温度の場合の、薄膜を少なくとも2段階以上のステップを用いて段階的に面内方向でエッチング条件の差を生じることなく各ステップにおいて薄膜をエッチングする条件及びエッチング時間を一定にエッチングする工程と、各エッチングステップの前後で該薄膜の表面形状を測定する工程と、測定した薄膜の表面形状を座標数値データとして各ステップごとに保存する工程と、各エッチングステップ間において前記座標数値データの差を計算することにより薄膜内部の各部分におけるエッチングの速度を数値化する工程と、薄膜の各部分がエッチングされた速度を表示する工程からなる薄膜内部構造分析法に関する。
【0023】
ガラス転移温度が全て室温より高い温度の場合の、少なくとも2種類以上の異なる化学構造を部分構造として含んだ材料からなる薄膜について、各化学構造のみからなる材料のエッチング速度を測定する工程を含み、それぞれの部分構造からなる部分が異なる速度でエッチングされるエッチング条件を選び、材料を面内方向でエッチング条件の差を生じることなく各ステップにおいて薄膜をエッチングする条件及びエッチング時間を一定にエッチングする装置と、エッチング条件を記述する数値データを入力し保存する装置と、該薄膜の表面形状を測定する装置と、表面形状を座標数値データとして出力する装置と、前記座標数値データを保存する装置と、数値データを用いて数値演算を行う計算装置と、計算結果を保存する装置と、計算結果を表示する装置からなる薄膜内部構造分析装置に関する。
【0024】
また本発明は、薄膜の表面形状を測定する前に薄膜の位置合わせを行なう装置を含む上記の薄膜内部構造分析装置に関する。
【0025】
また本発明は、薄膜の表面形状を測定し表面形状を座標数値データとして出力する装置として原子間力顕微鏡を用いる上記の薄膜内部構造分析装置に関する。
【0026】
本発明は、2種類以上の高分子成分からなる高分子ブレンドの薄膜、2種類以上の高分子鎖が共有結合してなるブロック共重合体の薄膜に好ましく用いられる。
【0027】
本発明は、薄膜内部構造の改良のために行なう各種の数値シミュレーション予測結果と観察した薄膜内部構造との比較検討に好ましく用いられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明でエッチングとは、薄膜の構成材料を溶解乃至は分解することによって部分的に除去する処理をいう。
【0029】
エッチングとして、化学エッチング、粒子線照射、イオンビーム照射、電子線照射、レーザー照射、紫外線照射、プラズマ照射などの方法を用いることができる。
【0030】
化学エッチングとして、薄膜をエッチング液に浸漬する湿式プロセスを用いることもでき、より好ましくはエッチングガス等を用いる乾式プロセスが用いられる。
【0031】
本発明のエッチングは、薄膜の表面形状を観察する領域内部において面内方向でエッチング条件に差を生じせしめることなく実施される。面内方向でエッチング条件に差が生じているような場合、薄膜表面の各部分部分で条件の違いを考慮する必要が生じるため好ましくない。
上でいう面内方向でエッチング条件に差を生じない領域は、好ましくは10μm×10μm以上の領域である。更に好ましくは100μm×100μm以上の領域である。
【0032】
2種類以上の異なる化学構造を部分構造として含む材料からなる薄膜の内部構造観察を行う場合、予め各部分構造のみからなる材料を用いて、与えられたエッチング条件における、それぞれの部分構造のエッチング速度を測定しておくことが好ましい。
【0033】
このとき、それぞれの部分構造からなる部分が異なる速度でエッチングされるようなエッチング条件が用いられる。
【0034】
このような薄膜として、2種類以上の有機低分子からなる蒸着膜、2種類以上の異なる高分子のブレンド薄膜、2種類以上の異なる高分子鎖からなるブロック共重合体薄膜などが挙げられる。このとき薄膜が無機材料、例えば金属や半導体などのナノ粒子を含んでいても構わない。このようなナノ粒子などはエッチング条件によってそれ自体分解されるか、または該粒子等を保持している有機マトリックス材料の分解によって、薄膜表面から流出せしめられる。
【0035】
また薄膜が無機材料から構成されていても、これらの材料を逐次エッチングする条件を選んで、本願発明を用いることができる。
【0036】
ブロック共重合体の内、ラメラ構造以外の構造、例えばシリンダー構造、貫通ラメラ構造、ギロイド構造などを生じるブロック共重合体からなる薄膜の分析に特に好ましく用いられる。
【0037】
また、薄膜を構成する材料のガラス転移温度が全て室温以下の場合、あるいは、薄膜を構成する材料のガラス転移温度が全て室温より高い温度の場合に、本発明は好ましく用いられる。特に本発明は薄膜を構成する材料のガラス転移温度が全て室温より高い温度の場合に対して好ましく用いられる。
【0038】
与えられた条件における各部分構造のエッチング速度は数値データとして適当な保存装置に保存される。
【0039】
各ステップ当たりのエッチング処理時間やエッチング条件などは数値データとして適当な保存装置に保存される。これらのデータを保存する装置は、各部分構造のエッチング速度データを保存した装置を兼用して用いてもよい。
【0040】
好ましくは、各ステップにおいて薄膜をエッチングする条件及びエッチング時間は一定とする。
【0041】 薄膜の表面形状の測定には走査型トンネル顕微鏡、電気力顕微鏡、磁気力顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡が好ましく用いられる。特に好ましくは絶縁材料の測定も可能なAFMが用いられる。
【0042】
AFMにはコンタクトモード、ノンコンタクトモード、ACモードなどの測定モードがあるが、本発明には比較的軟らかい有機材料の表面でも高分解能での観察が可能なACモードが特に好ましく用いられる。
【0043】
本発明に用いるAFMの好ましい高さ分解能は1nm程度以下である。特に好ましくは0.1nm相当以下の高さ分解能である。
【0044】
更に好ましくはドリフト等による面内観察位置の変化が少ないAFMが用いられる。
【0045】
表面形状を測定した結果は、薄膜表面の位置を表す座標数値データとして適当な保存装置に保存される。この保存装置は、先に述べた各種のエッチング条件などを保存した装置を兼用して用いてもよい。
【0046】
座標軸として、好ましくはx,y軸を基板表面に平行な方向に互いに垂直に取り、z軸を基板表面に垂直な方向に取ることができる。
【0047】
更に好ましくは座標数値データは、基板表面に平行な面内で碁盤目状に取ったポイント(x,y)上における薄膜表面の基板表面からの高さh(x,y)として保存される。i,jはグリッドの番号を表す。
【0048】
好ましい薄膜表面の測定領域のサイズは、内部構造の大きさにも依存するが、概略100μm×100μm以下のサイズである。特に好ましくは100nm×100nm〜10μm×10μmのサイズである。
【0049】
上記測定領域内で座標数値データを保存するポイントの数は概略100×100点以上が好ましく、より好ましくは500×500点以上である。
【0050】
上記座標数値データは任意位置Xを原点に取った薄膜表面の凹凸の相対座標でも構わないが、この場合は基板の特定位置Oを原点とした場合の上記任意位置Xの座標を別途測定しておき、特定位置Oを原点とした自由表面の座標に後で変換できるようにする。
【0051】
上記特定位置Oとして、薄膜の付いていない部分の基板表面上の特定位置が好ましく用いられる。
【0052】
更に好ましくは上記特定位置Oとして、薄膜の一部を除去することによって基板を露出させた部分が用いられる。
【0053】
薄膜の除去は、基板を構成する材料を傷付けないように、薄膜を部分的に削り取ることによって行なうことができる。前記の薄膜の部分的な削り取りには、ステンレス製の剃刀刃などが好ましく用いられる。
【0054】
上記特定位置Oを定めるために、基板表面上における傷などの欠陥や除去された薄膜のエッジからの距離及び方角を測定する。
【0055】
この目的の為に最初に薄膜の表面形状を測定する際に、露出基板表面上に傷などを人為的に形成してもよい。
【0056】
上記特定位置Oを決めて用いることにより、各エッチングステップ後に測定される薄膜表面の位置を表す座標数値データは、共通の原点Oを基準とした座標に変換することができる。
【0057】
好ましくは、被測定薄膜の表面形状の測定及び薄膜表面の位置を表す座標数値データDの保存を最初に行なう。このとき特定位置Oを決めておく。
【0058】
次に1ステップ目のエッチングを行ない、その後表面形状の測定及び薄膜表面の位置を表す座標数値データDの保存を行なう。
【0059】
エッチングを行なう際に試料の位置を大きく動かす場合、基板表面上の傷などが表面形状を測定する際の試料位置合わせの目印として好適に用いられる。
【0060】
この目的のために表面形状測定装置は、適宜光学顕微鏡などで観察しながら手動で或いは機械機構によって概略10μmより細かい精度で試料を同じ観察位置に調節することができる装置を含んでいることが好ましい。
【0061】
表面形状装置上での試料の位置合わせは概略行なっておけば、目印とする基板表面上の傷などを含んだ広い範囲で表面形状を測定することにより、後で座標データを補正することができる。
【0062】
上記の補正に用いる広い範囲での表面形状の測定は、薄膜内部構造の観察に用いる座標数値データとは別に測定しておくことが好ましい。
【0063】
上記の補正に用いる表面形状の測定領域のサイズは、概略4μm×4μm以上のサイズが好ましく、特に好ましくは8μm×8μm以上のサイズである。
【0064】
薄膜内部構造の観察に用いる座標数値データの測定領域は、補正用の表面形状測定領域の内部に含まれるように選択する。
【0065】
この補正は、基板表面上の目印が互いに重なるように、エッチング処理後に得られた薄膜表面位置を表す座標を平行移動することによって行なわれる。
【0066】
更に好ましくは基板表面上に傷などの目印を少なくとも2箇所以上導入しておくことによって、試料の回転による位置のずれを補正することができる。
【0067】
上記補正は、目印とする基板表面上の複数の目印が互いに重なるように、エッチング処理後に得られた薄膜表面位置を表す座標を平行移動及び回転移動することによって行なわれる。
【0068】
各エッチングステップが基板を構成する材料もエッチングする場合、原点位置Oをエッチングから保護するために、適宜エッチングマスクなどが用いられる。
【0069】
引き続いて、エッチングと表面形状の測定からなるステップを繰り返し、nステップ目のエッチングの後に得られた薄膜表面の位置を表す座標数値データDを順次保存する。
【0070】
エッチングステップは好ましくは、基板上の薄膜が概略全て除去されるまで繰り返される。
【0071】
座標数値データDは、必要により、適当な計算装置を用いて共通のOを原点とした座標に変換される。
【0072】
上記座標データDは、好ましくは基板表面に平行な面内で碁盤目状に取ったポイント(xn,i,yn,j)上における薄膜表面の基板表面からの高さh(xn,i,yn,j)の形で保存される。
【0073】
全てのエッチングステップnにおける座標データについて共通のグリッド(xn,i,yn,j)=(x,y)(共通)を用いなくてもよい。
【0074】
グリッド上の薄膜表面の位置を表す座標データh(xn,i,yn,j)を用いて、グリッド間における薄膜表面の位置h(x,y)を補間によって求めることができる。
【0075】
補間の方法として例えば、x軸方向のグリッドx,xi+1とy軸方向のグリッドy,yj+1に囲まれた領域内の座標データを、
h(x,y)=h(x,y)+gΔx+gΔy+gΔxΔy
として得ることができる。但し、
=[h(xi+1,y)−h(x,y)]/(xi+1−x
=[h(x,yj+1)−h(x,y)]/(yj+1−y
=[h(xi+1,yj+1)−h(x,y)]/(xi+1−x)(yj+1−y
Δx=x−x
Δy=y−y
である。
【0076】
各エッチングステップにおける薄膜表面の位置h(x,y)を用いて、エッチングステップkにおいて薄膜表面がエッチングされた距離δzを、
δz=hn−1(x,y)−h(x,y)
として求める。
【0077】
エッチングステップnにおけるエッチング時間をΔtとすると、薄膜の面内位置(x,y)における基板表面からの高さz=h(x,y)からz=hn−1(x,y)の間にある薄膜部分が、平均速度v=(δz/Δt)でエッチングされたことを示す。
【0078】
薄膜内部の位置(x,y,z)にエッチング速度vの数値を割り付ける。但しz=[h(x,y)+hn−1(x,y)]/2である。
【0079】
エッチングステップ1から最後のエッチングステップNまでの全部について、薄膜表面構造の測定領域内に含まれる(x,y)の組合せに対し、上記の薄膜内部位置にエッチング速度の数値を割り付ける操作を行なうことにより、離散的な薄膜内部位置(x,y,z)(n=1,2,・・・,N)におけるエッチング速度の3次元分布v(x,y,z)を得ることができる。
【0080】
離散点の間を適当な方法で補間することによって、薄膜内部のエッチング速度の3次元分布を得ることができる。例えば、薄膜内部位置(x,y,z)におけるエッチング速度として、
v(x,y,z)=[v(x,y,z)(z−zn+1)+v(x,y,zn+1)(z−z)]/(z−zn+1
として求めることができる。
但し、zn+1<z<zとする。
この分布は適当な表示装置を用いて分布図や等エッチング速度面などの形で可視化することができる。
【0081】
2種類以上の異なる化学構造を部分構造として含む材料からなる薄膜の内部構造観察を行った場合、エッチング速度の3次元分布v(x,y,z)は対応する部分構造の分布に置き換えて表示することができる。
【0082】
部分構造kのエッチング速度がvである場合(k=1,・・・,K、v<v<・・・<vとする)、上記の置き換えは薄膜内部位置(x,y,z)にv(x,y,z)に最も近いエッチング速度を有する部分構造の番号kを割り付けて表示して行なうことができる。
【0083】
【発明の効果】
これらの表示は、エッチング速度又は部分構造の3次元分布を適当なデータ形式で磁気記録ファイル等として出力することにより、有償或いは無償で提供される外部の可視化装置を用いて可視化表示させることができる。
【0084】
これにより、より高機能な薄膜材料の設計や製造が可能になる。
【0085】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
(実施例1)
AFMとして、AFMの探針位置及び試料ステージ上の試料表面を同時に観察できるように光学顕微鏡を内蔵したデジタルインスツルメンツ製マルチモードAFMを用いた。
【0086】
サンプルとして、シリコン基板表面にキャストされたポリ(スチレン−block−ビニルピリジン−block−ブチルメタクリレート)3元ブロック共重合体の薄膜を用いた。薄膜の厚みは概略50nmであった。
【0087】
該薄膜は、水中に浸漬するなど通常の方法を用いてシリコン基板から取り外すことはできなかった。更に剃刀刃などによって、剥ぎ取ろうとしても厚みが薄いため薄膜自体が破損しTEM観察に耐え得るサンプルを取り出すことは出来なかった。このため通常の方法を用いてTEM観察を行なうことが出来なかった。
【0088】
該薄膜を剃刀刃によって概略長さ数mm、幅数μmの細い直線状に2箇所ほど互いに交差するように除去した。交差した部分において除去されなかった薄膜のエッジと基板表面がなす直線E,Eを基板表面の目印として用いた。E,Eの交点を基準とする原点Oとした。これらの目印は光学顕微鏡で観察可能であった。
【0089】
上記の交差部分(基板表面の露出部分)を含む10μm×10μmの領域でAFM観察し、表面の凹凸像Wを得た。
【0090】
測定した表面像Wの領域内部で、剃刀刃によって除去された部分以外の部分で正方形の観察領域Aを定め、前記の直線E,Eからの領域Aの相対的な位置を測定した。更にAFMで領域Aにおける表面凹凸像Aを高解像度で測定した。
【0091】
AFM測定を行なった室温において、ポリスチレン部分、ポリビニルピリジン部分、ポリブチルメタクリレート部分は全てガラス状態であるため、材料の粘弾性特性を反映するACモードの位相像にはコントラストが現れなかった。
【0092】
剃刀刃によって露出された基板表面を基準としたときの表面像Aの平均高さHを表面像Wから求めた。
【0093】
上記薄膜試料をプラズマ照射装置内部に導入し、30秒間酸素プラズマに接触させた。ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリブチルメタクリレートを同じ条件でエッチングすると、ポリスチレン部分、ポリビニルピリジン部分は10nm/minで、ポリブチルメタクリレート部分は20nm/minでエッチングされることが分かった。
【0094】
上記サンプルをプラズマ照射装置から取り出し、再度AFMの試料台に取り付けた。内蔵の光学顕微鏡を用いて基板表面の目印E,Eを含む領域が観察できるように試料の位置合わせを行ない、表面の凹凸像Wを得た。
【0095】
先に測定しておいた直線直線E,Eからの領域Aの相対的な位置を用いて、観察領域Aの位置を決めて、AFMで領域Aにおける表面凹凸像Aを高解像度で測定した。また表面像Wから表面像Aの平均高さHを求めた。
【0096】
以下、各10秒間の酸素プラズマ照射による薄膜表面エッチングと、薄膜表面の観察領域Aの観察を繰り返し行ない、各エッチングステップ後の表面観察像A,Hを求めた。
【0097】
10回目のエッチングステップで、観察領域A内の殆どの部分で基板が露出したため処理を終了した。
【0098】
,Hから各エッチングステップ後の表面位置Sを求め、Sn−1とSの差からエッチング速度分布を得た。
【0099】
薄膜を構成する成分のうち、他の成分とエッチング速度が異なるポリブチルメタクリレートのエッチング速度と概略一致する部分を、ポリブチルメタクリレートブロックが分布する部分として割り付けた。
【0100】
得られたポリブチルメタクリレートブロックの分布を、AVS製マイクロAVSを用いて3次元表示した。
【0101】
(実施例2)
用いた薄膜の厚みが概略30nmであること以外は、実施例と同様にして薄膜内部におけるポリブチルメタクリレートブロックの分布を3次元表示した。
【0102】
(実施例3)
実施例1、2で用いたものとは異なるブロック組成のポリ(スチレン−block−ビニルピリジン−block−ブチルメタクリレート)3元ブロック共重合体からなる薄膜を用いた以外は、実施例と同様にして薄膜内部におけるポリブチルメタクリレートブロックの分布を求めた。3次元分布像は薄膜の表面でポリブチルメタクリレートブロックが層状のドメインを形成していることを示した。この薄膜は部分的に100〜200nmの厚い部分を有していたので、アルカリ水溶液を用い基板から剥離する工程により、膜厚の大きい部分については内部をTEMで観察することができた。TEM像は、ポリブチルメタクリレートブロックの層状ドメインが薄膜表面に生じていることを示しており、本願発明により得られたポリブチルメタクリレートブロックの分布と一致した。
【0103】
(実施例4)
ポリスチレン/ポリメチルメタクリレートブレンドからなる薄膜を用い、5分間の紫外線照射によりポリメチルメタクリレートをエッチングし、AFMによる観察を繰り返し行った以外は実施例と同様にして薄膜内部におけるポリメチルメタクリレートの分布を3次元表示した。
【0104】
(実施例5)
ポリスチレン/ポリブチルメタクリレートブレンドからなる薄膜を用い、5分間の紫外線照射によりポリブチルメタクリレートをエッチングし、AFMによる観察を繰り返し行った以外は実施例と同様にして薄膜内部におけるポリブチルメタクリレートの分布を3次元表示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の薄膜表面のプラズマ照射時間0秒〜90秒の各時間後におけるAFM像(高さイメージ)を示す。視野は300nm×300nmである。
【図2】実施例1の薄膜中におけるポリブチルメタクリレートドメインのボリューム像を示す。
【図3】実施例2の薄膜表面のプラズマ照射時間0秒〜90秒の各時間後におけるAFM像(高さイメージ)を示す。視野は300nm×300nmを示す。
【図4】実施例2の薄膜中におけるポリブチルメタクリレートドメインのボリューム像を示す。
【図5】実施例3の薄膜表面のAFM像を示す。
【図6】実施例3の薄膜表面層におけるポリブチルメタクリレートドメインのボリューム像を示す。

Claims (4)

  1. ガラス転移温度が全て室温より高い温度の場合の、薄膜を少なくとも2段階以上のステップを用いて段階的に面内方向でエッチング条件の差を生じることなく各ステップにおいて薄膜をエッチングする条件及びエッチング時間を一定にエッチングする工程と、各エッチングステップの前後で該薄膜の表面形状を測定する工程と、測定した薄膜の表面形状を座標数値データとして各ステップごとに保存する工程と、各エッチングステップ間において前記座標数値データの差を計算することにより薄膜内部の各部分におけるエッチングの速度を数値化する工程と、薄膜の各部分がエッチングされた速度を表示する工程からなる薄膜内部構造分析法。
  2. ガラス転移温度が全て室温より高い温度の場合の、少なくとも2種類以上の異なる化学構造を部分構造として含んだ材料からなる薄膜について、各化学構造のみからなる材料のエッチング速度を測定する工程を含み、それぞれの部分構造からなる部分が異なる速度でエッチングされるエッチング条件を選び、材料を面内方向でエッチング条件の差を生じることなく各ステップにおいて薄膜をエッチングする条件及びエッチング時間を一定にエッチングする装置と、エッチング条件を記述する数値データを入力し保存する装置と、該薄膜の表面形状を測定する装置と、表面形状を座標数値データとして出力する装置と、前記座標数値データを保存する装置と、数値データを用いて数値演算を行う計算装置と、計算結果を保存する装置と、計算結果を表示する装置からなる薄膜内部構造分析装置。
  3. 薄膜の表面形状を測定する前に薄膜の位置合わせを行なう装置を含む請求項記載の薄膜内部構造分析装置。
  4. 薄膜の表面形状を測定し表面形状を座標数値データとして出力する装置として原子間力顕微鏡を用いる請求項2〜3記載の薄膜内部構造分析装置。
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