JP2004151004A - 溝側壁の膜厚測定方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、微細構造の溝部側壁の膜厚を測定することができる非破壊検査方法を提示し、それを実現できる装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の側壁膜厚測定方法及びその装置は、微細構造の溝部側壁に特定して照射できる集束荷電粒子ビームを一次ビームとして用いるか、着目する微細構造の溝部側壁を含む特定広領域を照射するワイド荷電粒子ビームを一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、一次ビーム照射部分の膜厚、或いは、溝部側壁の平均膜厚を測定するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の側壁膜厚測定方法及びその装置は、微細構造の溝部側壁に特定して照射できる集束荷電粒子ビームを一次ビームとして用いるか、着目する微細構造の溝部側壁を含む特定広領域を照射するワイド荷電粒子ビームを一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、一次ビーム照射部分の膜厚、或いは、溝部側壁の平均膜厚を測定するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体パターンのような微細構造における溝側壁部の膜厚を非破壊形態で測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質表面に施された薄膜等の膜厚を測定する方法には非破壊方式のものとして蛍光X線法、光干渉法、エリプソ法、X線反射率法、光音響法などが、また破壊方式のものでは集束イオンビームを用いて観察部分の断面を切り出し該断面を走査型電子顕微鏡で観察する断面SEM法が知られている。しかし、平面における薄膜層の膜厚測定ではなく溝部の側壁部の膜厚を測定したい場合、とくに最近の半導体パターンは年々微細化が進んでおり、その測定には種々の困難を伴う。例えば半導体装置におけるダマシン(Damascene)銅配線形成の形成工程において、絶縁膜上に銅配線のための銅膜(Cu膜)を形成するに先立ち、絶縁膜へのCuの拡散防止のためのバリア層を形成すると共に、メッキの給電層としてのCuシード等のシード層を形成することが必要となる。因みに溝幅は1〜0.1μm深さが幅の1乃至3程度、その溝部に施されている薄膜の厚さは数nm〜数十nmといったオーダのもとなっている。ダマシン工程は先ず、図5(a)に示されているように、半導体基板の表面上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜の表面に配線のための溝をリソグラフィで形成する。次に、図5(b)に示されているように、バリア層をスパッタで堆積させて薄膜形成する。次のステップで、図5(c)に示されているように、Cuをスパッタで堆積させて膜厚100nm程度のシードCu層を形成する。次のステップで、図4(d)に示されているように、メッキ法によりCu膜を形成する。次に、このメッキされたCu膜を研ぎ出し、図5(e)に示されているように、溝以外の領域の酸化膜の表面上のCu膜、シードCu層及びバリア層を化学機械研磨(CMP)により除去して、溝内にのみバリア層、シードCu層及びCu膜を残して配線を形成する。この2つのバリア層とシード層は配線パターンに基く絶縁膜上の溝部に適正に形成されることが求められるため、その膜厚測定が必要となるのであるが、図5(b)または図5(c)の状態で微細構造である溝部側面の膜厚を従来の膜厚測定法で測定しようとすると、着目部分に限定照射できるビームが得難いことを始め種々の困難に突き当たる。
【0003】
例えば蛍光X線法によって、この溝部側面の薄膜の膜厚を測ろうと一次X線ビームをこの溝部に斜め方向から照射しても、ビーム幅が広く微細構造の溝側面に限定的に照射することができない。一次ビームは溝部近傍一帯に広く照射され、観察外領域の情報を広く拾ってしまうため、必要情報が埋もれてしまうことになる。またX線は透過率が高く試料表面から深く入り込んでしまうため下層物質の情報をも混在してしまう。
光干渉法によって測定しようとしても、分解能を高くしようと短波長のレーザ光を用いても数百nmが限界であり、微細構造である溝部側壁の膜厚を測定することはできない。また、光の干渉を利用するものであるため不透明な材料には原理的に用いることができない。更に、溝部側壁の膜厚を測定しようと側壁に斜め上方から入射した光の反射光は斜め下方に出射するためその干渉光を検出することは原理的に不可能となる。
エリプソ法は波長や入射角度を変えながら実行するものであるが、原理的には光干渉法を用いるものであるため、光干渉法と同じ問題をもっている。
【0004】
X線反射率法によって測定しようと、短波長のレーザ光を用いて出来る限り細いビームにして照射してもその照射域を絞りきれないため、微細構造の溝部側壁には限定出来ない上に、光干渉法と同様の理由で溝部側壁の膜厚を測定することは原理的に不可能である。
光音響法は試料表面に光を照射して加熱し、試料内に熱歪みによる弾性波(音波)を生じさせ、膜厚に対応した伝搬時間で厚さを測定するものであるが、分解能は数百nmが限界であり、溝側壁の膜厚を測定することは原理的に不可能である。
断面TEM法は、特開2001−141620号公報「透過電子顕微鏡用試料の切り込み加工法(特許文献1)に紹介されており、図6(a)に示すように所望観察断面の試料の表面上にFIBCVDにより保護用デポ膜を形成する。次に、図6(b)に示すように、所望観察断面の観察方向と反対側にFIBを用いてエッチングにより後孔を穿設する。次に、図6(c)に示すように、所望観察断面の観察方向側にFIBを用いてエッチングにより前孔を穿設する。次に、図6(d)に示すように、薄片化加工した部分にFIBを照射して切り込み加工を施し、図示していないマニピュレータをもちいて薄片化した試料切片をメッシュ上に固定し、TEM試料を完成させる。これをTEMで観察し所望局所断面の形状を高解像度で把握することができる。このように観察部分をイオンビーム加工により薄片化加工して断面を切り出し、露出された断面を透過型電子顕微鏡で観察するものであるから、本課題には適合し溝側壁の膜厚を測定することが可能である。この他前孔だけを開け観察断面を走査型電子顕微鏡または走査型イオン顕微鏡で露出した断面を観察する測定法もあるが、いずれもFIB装置を用いて試料に断面加工を施す手法が従来の微細構造の溝部側壁の膜厚を高精度に測定することができる唯一の方法であったといえる。しかしこの方法は破壊加工して観察するものという決定的な問題を伴うものであるから、非破壊の検査が求められる場合には使うことができない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−141620号公報
平成13年(2001年)5月25日公開
発明の名称「透過電子顕微鏡用試料の切り込み加工法」
【特許文献2】特開平5−340898号公報
平成5年(1993年)12月24日公開
発明の名称「蛍光X線分析装置」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、微細構造の溝部側壁の膜厚を測定することができる非破壊検査方法を提示し、それを実現できる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の側壁膜厚測定方法及びその装置は、微細構造の溝部側壁に特定して照射できる集束荷電粒子ビームを一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、一次ビーム照射部分の膜厚を測定するようにした。
また、本発明の他の側壁膜厚測定方法及びその装置は、着目する微細構造の溝部側壁を複数個含む特定広領域を照射するワイド荷電粒子ビームを一次ビームとして用い、該一次ビームを斜め上方から照射し試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、該検出データから既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された溝側壁部の平均膜厚を抽出して着目する溝部側壁の平均膜厚を解析するようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したように特殊な環境であるため検出が困難である微細構造の溝部側壁の膜厚を測定することができる非破壊検査方法を提示することを課題として出発し、微細構造の溝部側壁に特定して照射できる集束電子ビーム(集束点でφ10nm程度以下を想定)を一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、一次ビーム照射部分の膜厚を測定することに想到したものである。電子ビームであればビーム径を10nm〜1nm程度まで絞りきることが可能であり、電子ビームの試料内部への進入深さはX線と比較して非常に短いので試料の下層物質の影響を受けにくいからである。ところで電子ビームを一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出して膜厚を測定しようという技術的思想が従来技術として皆無であったわけではない。例えば、特開平5−340898号公報(特許文献2)「蛍光X線分析装置」には、LSIなどの基板表面に形成された薄膜層を被測定対象物とし、X線や電子線の微細ビームを対象物表面に照射することで励起放射される蛍光X線を、その取り出し角を精度良く決定できるように検出して、薄膜層の厚さや深さ方向元素濃度分布の決定、基板表面のうねりの解析などを、従来用いられているスリットを設ける必要のない簡易な光学系及び装置構成により、非破壊で可能とする蛍光X線分析装置を実現するものとして提示されたものである。具体的構成は図7に示されるように測定探針用の微細一次ビーム照射系、面内移動が可能な試料台)、X線検出素子の多数個を平面配列してなる2次元X線検出器、この検出器を前後、上下及び左右方向の移動、さらに対象物を回転中心とする回転駆動も可能に駆動させる駆動装置、検出器の各設定位置で検出された素子出力電荷量を2次元分布情報として記憶する画像収集装置、この記憶内容を読み出して所定の演算処理を行う情報処理装置から構成される。以上のことから理解されるようにこの技術的思想は試料表面に施された薄膜の厚さを試料面上方から微細一次ビームを照射し、2次元X線検出器を前後、上下及び左右方向の移動して、各設定位置で検出された素子出力電荷量を2次元分布情報を所定の演算処理を行うようにしたもので、特殊環境にある微細構造の溝部側壁を全く意図していないもので、これをそのまま微細構造の溝部側壁の薄膜測定に使用することはできない。しかも、一次ビームの線源はX線を用いることが主眼とされ、電子ビームはその代替手段として用いてもよいことが記載されているにすぎない。
【0009】
本発明の側壁膜厚測定方法は、溝部という特殊環境に鑑み照射ビームに対して反射方向の検出となる測定法を排除し、微細構造の溝部側壁に特定して照射できるものであることが必要条件であることを勘案して、一次ビームには微細構造の溝部側壁面にスポット照射できるものである集束電子ビームを用い、その際に試料面から放出される蛍光X線を検出する構成を採ることに想到した。図1に示すように数nmに絞った電子ビーム1を試料に対し斜め上方から照射する。ビーム1は図2に拡大表示されているように溝の一方側の側壁部にスポットとして当たる形態となる。したがって、その一次電子ビーム照射による蛍光X線はそのスポット領域の情報を反映したものとなる。そして、その検出した蛍光X線のスペクトルを得るためのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、着目する薄膜の物質に対応する情報を抽出しその膜厚を測定するように構成した。また、反対側の角度から照射した電子ビーム2は図2に拡大表示されているように溝の他方側の側壁部にスポットとして当たる形態となる。したがって、その一次電子ビーム照射による蛍光X線はその他方側のスポット領域の情報を反映したものとなる。
【0010】
上記の集束電子ビームは試料に照射する一次ビームとして径を1nm程度まで絞りきることができる反面、凹凸の激しい溝構造を斜めから照射する際にビーム焦点がずれるので、それを調整しながら測定する必要が生じるという問題を伴う。また、1nm程度まで絞るための集束ビーム形成技術、及びそのビームを安定して使用するために振動等の測定環境に対する要求が厳しくなる。また、集光点にビームのエネルギーが集中するために試料を損傷する危険が高くなる。これらのことを勘案し、本件発明者は他の側壁膜厚測定方法として、ワイド電子ビームを一次ビームとして斜め上方から照射することに想到した。ここで想定しているワイド電子ビームは、その焦点サイズが大きいので、焦点深度が深く、斜め照射することによる焦点ずれは問題にならない。同時に測定環境に対する要求も緩くなり、照射損傷の問題も大きく軽減される。この方法で高エネルギーの電子ビームを使用すると、照射方向からは影になって見えないはずの側壁にも電子ビームが到達してしまうので、照射方向の違いによる蛍光X線検出量の差が不明瞭になってしまう。そのため、この方法では低エネルギーのワイド電子ビームを使用する。この低エネルギーの電子ビームは、試料に浸透する深さがさらに浅いためその検出情報には下層の物質情報まで混在するということがさらに少なく着目薄膜情報のSN比がよいという長所と共に、ワイドビームなので照射域を微細構造の溝部側壁面に特定することはできないという問題をもち、表面部分の膜厚を含む近傍領域の情報を広く検出してしまうため、微細構造の溝部側壁における特定局所部分の膜厚情報を測定することができない。しかし、局所の膜厚ではなく、微細構造の溝部側壁の平均膜厚を測定したいというニーズもあり、このワイドビームを用いた測定方法はそのニーズに対応できることに想到した。すなわち、この場合の検出値には着目する微細構造の溝部側壁における膜厚情報と共に試料表面部分の膜厚情報が含まれているが、この試料表面部分の膜厚情報については測定が容易であるし、コントロールすることも出来るため、その膜厚情報は容易に得ることが出来る。したがって、前記検出情報からこの情報を除去することで今着目している微細構造の溝部側壁における膜厚情報を抽出することが可能となる。
【0011】
ワイド電子ビームは、サブミクロン以上の径をもつため微細構造の溝側面部にスポットとして焦点を絞ることはできないので、図3に示すように着目する溝側壁部に向けて斜め上方から電子ビーム1を照射すると該溝側壁部を複数個含む試料表面近傍に亘って照射される。ビームが照射される形態は図4に拡大表示されるように試料表面部と溝の一方側の側壁部(黒塗り部)に広く当たることになる。したがって、その一次電子ビーム照射による蛍光X線はその広い照射領域の情報を反映したものとなる。また、反対側の角度から照射した電子ビーム2は図4に拡大表示されているように試料表面部と溝の他方側の側壁部(黒塗り部)に広く当たる形態となる。電子ビーム1と電子ビーム2により励起された蛍光X線情報には試料表面部と異なる側の側面部情報がそれぞれに含まれている。例えば集束点でビーム径が10μm程度のワイドビームを用い、繰り返しパターンを50回分くらい含む試料(メモリやテスト用テグ等)に斜め上方からビーム照射して蛍光X線を検出し、事前に既知となっている試料表面部の膜厚情報を除去すれば、それぞれがビーム照射した側の側壁部の平均膜厚を抽出することが出来る。ただし、この値は微細構造の溝部側壁における特定局所の膜厚値ではなく、繰返しパターンにおける溝部の一方側の側壁の平均膜厚値である。他方側の側壁の平均膜厚値は反対側の斜め上方からビーム照射したときの検出値から抽出される。
【0012】
本発明は、前述したように集束電子ビームを1次ビームとして用いるものと、ワイドビームを用いるものとがあるが、着目する微細構造の溝側壁部の膜厚を測定するためにはその側壁面にビーム照射がなされなければならないため、原理上1つの溝に対して両側の膜厚を測定するためには少なくとも2つ逆方向の斜め上方からの照射が必要であり、あらゆる向きの側壁がある場合には更に異なる角度からのビーム照射が必要となる。この異なる角度からのビーム照射は試料台のチルト機構とローテーションを用いて実行することが出来るが、角度を切替える際に角度設定や位置合わせに相当時間を要することから、ビーム鏡筒を2つ以上装置に備えておく構成を採ることができる。この場合、試料台の駆動機構の内チルト機構を省略することも可能である。
集束電子ビームを用いた場合は、その測定値が着目領域の局所情報であるから、ビーム照射位置を試料表面に沿って二次元的にシフトさせて測定値を蓄積すれば着目側壁部を含んだ広い領域からの蛍光X線量をマトリックス情報として得ることができ、二次元データのマトリックス解析により着目側壁部に対する膜厚測定精度を向上させることができる。ただし、ビーム照射が斜め上方からであるため、ビーム照射位置を二次元的にシフトさせる際には焦点調整を行う必要がある。
以上の説明では一次ビームとして電子ビームを用いるものとして限定的に説明してきたが、電子ビームに代えイオンビームを用いることも可能である。荷電粒子という点でビームの集束がし易い点で共通する。ただ粒子が電子に較べ大きいことから試料内に浸透する深さは浅いものとなる長所と、質量が大きい分試料へのダメージを及ぼす惧れの短所がある。
【0013】
【発明の効果】
本発明の溝側壁の膜厚測定方法は、集束荷電粒子ビームを一次ビームとして採用したことにより、微細構造の溝側壁部にスポット状に照射励起することができ、それによって発生する蛍光X線を検出するものであるから、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、該溝側壁部における膜厚を局部特定情報として直接測定することができる。
上記測定方法を実施できる本発明の微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置は、10nm径以下の集束荷電粒子ビームを発生できる鏡筒と、チルト機能を備えた試料台と、蛍光X線検出器と、X線スペクトル分析器と、該X線スペクトル分析器の情報を演算して膜厚を算出する演算部を備えることにより、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、該溝側壁部における膜厚を局部特定情報として直接測定することができる装置を提供することができた。
この集束荷電粒子ビームを用いる方式において微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置ビーム照射位置を二次元的に微小変位させる機能を備え、前記微小変位位置情報に対応させて蛍光X線検出量を記憶する手段と、該記憶データをマトリックス解析する手段を備えたものは、該マトリックス解析により、着目側壁部の膜厚測定精度の向上を図ることができる更なる効果を奏する。
【0014】
本発明の溝側壁の膜厚測定方法は、直径がサブミクロン以上のワイド荷電粒子ビームを、試料の斜め上方から微細構造の複数の溝側壁部を含む広い領域に照射励起して発生する蛍光X線を検出し、該検出データから既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された溝側壁部の平均膜厚を抽出して測定するものであるから、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、ビームのエネルギーが低レベルであることに伴ない試料の内部構造の影響を受け難く、平均的な膜厚を精度よく測定することができ、斜め照射による焦点ぼけの問題を回避し、照射損傷の危険を回避し、測定環境に対する要求を緩くすることができる。
上記測定方法を実施できる本発明の微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置は、直径がサブミクロン以上のワイド荷電粒子ビームを発生できる鏡筒と、チルト機能を備えた試料台と、蛍光X線検出器と、X線スペクトル分析器と、斜め上方からのビーム照射による該X線スペクトル分析器の情報から既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された部分の平均膜厚を算出する演算部を備えた構成を採用することにより、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、ビームのエネルギーが低レベルであることに伴ない試料の内部構造の影響を受け難く、平均的な膜厚を精度よく測定することができ、斜め照射による焦点ぼけの問題を回避し、照射損傷の危険を回避し、測定環境に対する要求を緩くすることができる装置を提供することができた。
更に、本発明の側壁の膜厚測定において複数のビーム鏡筒を備えた構成を採用したものは、斜め上方からのビーム照射を異なる複数の角度で実行することにより、試料台のチルト機能が無くてもあらゆる方向を向いた溝側壁の膜厚測定に対応することが出来、チルト駆動の時間を必要としない時間効率の良い測定を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】集束電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料へのビーム照射形態を説明する図である。
【図2】集束電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料への電子ビームが照射される形態を拡大表示した図である。
【図3】ワイド電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料へのビーム照射形態を説明する図である。
【図4】ワイド電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料への電子ビームが照射される形態を拡大表示した図である。
【図5】半導体基板の表面上にダマシン配線部を形成する工程を説明する図である。
【図6】TEM試料を作成する薄片化加工工程を説明する図である。
【図7】従来の薄膜測定装置を説明する図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体パターンのような微細構造における溝側壁部の膜厚を非破壊形態で測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質表面に施された薄膜等の膜厚を測定する方法には非破壊方式のものとして蛍光X線法、光干渉法、エリプソ法、X線反射率法、光音響法などが、また破壊方式のものでは集束イオンビームを用いて観察部分の断面を切り出し該断面を走査型電子顕微鏡で観察する断面SEM法が知られている。しかし、平面における薄膜層の膜厚測定ではなく溝部の側壁部の膜厚を測定したい場合、とくに最近の半導体パターンは年々微細化が進んでおり、その測定には種々の困難を伴う。例えば半導体装置におけるダマシン(Damascene)銅配線形成の形成工程において、絶縁膜上に銅配線のための銅膜(Cu膜)を形成するに先立ち、絶縁膜へのCuの拡散防止のためのバリア層を形成すると共に、メッキの給電層としてのCuシード等のシード層を形成することが必要となる。因みに溝幅は1〜0.1μm深さが幅の1乃至3程度、その溝部に施されている薄膜の厚さは数nm〜数十nmといったオーダのもとなっている。ダマシン工程は先ず、図5(a)に示されているように、半導体基板の表面上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜の表面に配線のための溝をリソグラフィで形成する。次に、図5(b)に示されているように、バリア層をスパッタで堆積させて薄膜形成する。次のステップで、図5(c)に示されているように、Cuをスパッタで堆積させて膜厚100nm程度のシードCu層を形成する。次のステップで、図4(d)に示されているように、メッキ法によりCu膜を形成する。次に、このメッキされたCu膜を研ぎ出し、図5(e)に示されているように、溝以外の領域の酸化膜の表面上のCu膜、シードCu層及びバリア層を化学機械研磨(CMP)により除去して、溝内にのみバリア層、シードCu層及びCu膜を残して配線を形成する。この2つのバリア層とシード層は配線パターンに基く絶縁膜上の溝部に適正に形成されることが求められるため、その膜厚測定が必要となるのであるが、図5(b)または図5(c)の状態で微細構造である溝部側面の膜厚を従来の膜厚測定法で測定しようとすると、着目部分に限定照射できるビームが得難いことを始め種々の困難に突き当たる。
【0003】
例えば蛍光X線法によって、この溝部側面の薄膜の膜厚を測ろうと一次X線ビームをこの溝部に斜め方向から照射しても、ビーム幅が広く微細構造の溝側面に限定的に照射することができない。一次ビームは溝部近傍一帯に広く照射され、観察外領域の情報を広く拾ってしまうため、必要情報が埋もれてしまうことになる。またX線は透過率が高く試料表面から深く入り込んでしまうため下層物質の情報をも混在してしまう。
光干渉法によって測定しようとしても、分解能を高くしようと短波長のレーザ光を用いても数百nmが限界であり、微細構造である溝部側壁の膜厚を測定することはできない。また、光の干渉を利用するものであるため不透明な材料には原理的に用いることができない。更に、溝部側壁の膜厚を測定しようと側壁に斜め上方から入射した光の反射光は斜め下方に出射するためその干渉光を検出することは原理的に不可能となる。
エリプソ法は波長や入射角度を変えながら実行するものであるが、原理的には光干渉法を用いるものであるため、光干渉法と同じ問題をもっている。
【0004】
X線反射率法によって測定しようと、短波長のレーザ光を用いて出来る限り細いビームにして照射してもその照射域を絞りきれないため、微細構造の溝部側壁には限定出来ない上に、光干渉法と同様の理由で溝部側壁の膜厚を測定することは原理的に不可能である。
光音響法は試料表面に光を照射して加熱し、試料内に熱歪みによる弾性波(音波)を生じさせ、膜厚に対応した伝搬時間で厚さを測定するものであるが、分解能は数百nmが限界であり、溝側壁の膜厚を測定することは原理的に不可能である。
断面TEM法は、特開2001−141620号公報「透過電子顕微鏡用試料の切り込み加工法(特許文献1)に紹介されており、図6(a)に示すように所望観察断面の試料の表面上にFIBCVDにより保護用デポ膜を形成する。次に、図6(b)に示すように、所望観察断面の観察方向と反対側にFIBを用いてエッチングにより後孔を穿設する。次に、図6(c)に示すように、所望観察断面の観察方向側にFIBを用いてエッチングにより前孔を穿設する。次に、図6(d)に示すように、薄片化加工した部分にFIBを照射して切り込み加工を施し、図示していないマニピュレータをもちいて薄片化した試料切片をメッシュ上に固定し、TEM試料を完成させる。これをTEMで観察し所望局所断面の形状を高解像度で把握することができる。このように観察部分をイオンビーム加工により薄片化加工して断面を切り出し、露出された断面を透過型電子顕微鏡で観察するものであるから、本課題には適合し溝側壁の膜厚を測定することが可能である。この他前孔だけを開け観察断面を走査型電子顕微鏡または走査型イオン顕微鏡で露出した断面を観察する測定法もあるが、いずれもFIB装置を用いて試料に断面加工を施す手法が従来の微細構造の溝部側壁の膜厚を高精度に測定することができる唯一の方法であったといえる。しかしこの方法は破壊加工して観察するものという決定的な問題を伴うものであるから、非破壊の検査が求められる場合には使うことができない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−141620号公報
平成13年(2001年)5月25日公開
発明の名称「透過電子顕微鏡用試料の切り込み加工法」
【特許文献2】特開平5−340898号公報
平成5年(1993年)12月24日公開
発明の名称「蛍光X線分析装置」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、微細構造の溝部側壁の膜厚を測定することができる非破壊検査方法を提示し、それを実現できる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の側壁膜厚測定方法及びその装置は、微細構造の溝部側壁に特定して照射できる集束荷電粒子ビームを一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、一次ビーム照射部分の膜厚を測定するようにした。
また、本発明の他の側壁膜厚測定方法及びその装置は、着目する微細構造の溝部側壁を複数個含む特定広領域を照射するワイド荷電粒子ビームを一次ビームとして用い、該一次ビームを斜め上方から照射し試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、該検出データから既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された溝側壁部の平均膜厚を抽出して着目する溝部側壁の平均膜厚を解析するようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したように特殊な環境であるため検出が困難である微細構造の溝部側壁の膜厚を測定することができる非破壊検査方法を提示することを課題として出発し、微細構造の溝部側壁に特定して照射できる集束電子ビーム(集束点でφ10nm程度以下を想定)を一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出してそのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、一次ビーム照射部分の膜厚を測定することに想到したものである。電子ビームであればビーム径を10nm〜1nm程度まで絞りきることが可能であり、電子ビームの試料内部への進入深さはX線と比較して非常に短いので試料の下層物質の影響を受けにくいからである。ところで電子ビームを一次ビームとして用い、試料面から放出される蛍光X線を検出して膜厚を測定しようという技術的思想が従来技術として皆無であったわけではない。例えば、特開平5−340898号公報(特許文献2)「蛍光X線分析装置」には、LSIなどの基板表面に形成された薄膜層を被測定対象物とし、X線や電子線の微細ビームを対象物表面に照射することで励起放射される蛍光X線を、その取り出し角を精度良く決定できるように検出して、薄膜層の厚さや深さ方向元素濃度分布の決定、基板表面のうねりの解析などを、従来用いられているスリットを設ける必要のない簡易な光学系及び装置構成により、非破壊で可能とする蛍光X線分析装置を実現するものとして提示されたものである。具体的構成は図7に示されるように測定探針用の微細一次ビーム照射系、面内移動が可能な試料台)、X線検出素子の多数個を平面配列してなる2次元X線検出器、この検出器を前後、上下及び左右方向の移動、さらに対象物を回転中心とする回転駆動も可能に駆動させる駆動装置、検出器の各設定位置で検出された素子出力電荷量を2次元分布情報として記憶する画像収集装置、この記憶内容を読み出して所定の演算処理を行う情報処理装置から構成される。以上のことから理解されるようにこの技術的思想は試料表面に施された薄膜の厚さを試料面上方から微細一次ビームを照射し、2次元X線検出器を前後、上下及び左右方向の移動して、各設定位置で検出された素子出力電荷量を2次元分布情報を所定の演算処理を行うようにしたもので、特殊環境にある微細構造の溝部側壁を全く意図していないもので、これをそのまま微細構造の溝部側壁の薄膜測定に使用することはできない。しかも、一次ビームの線源はX線を用いることが主眼とされ、電子ビームはその代替手段として用いてもよいことが記載されているにすぎない。
【0009】
本発明の側壁膜厚測定方法は、溝部という特殊環境に鑑み照射ビームに対して反射方向の検出となる測定法を排除し、微細構造の溝部側壁に特定して照射できるものであることが必要条件であることを勘案して、一次ビームには微細構造の溝部側壁面にスポット照射できるものである集束電子ビームを用い、その際に試料面から放出される蛍光X線を検出する構成を採ることに想到した。図1に示すように数nmに絞った電子ビーム1を試料に対し斜め上方から照射する。ビーム1は図2に拡大表示されているように溝の一方側の側壁部にスポットとして当たる形態となる。したがって、その一次電子ビーム照射による蛍光X線はそのスポット領域の情報を反映したものとなる。そして、その検出した蛍光X線のスペクトルを得るためのエネルギー分析手段、または波長分析手段を備えて、着目する薄膜の物質に対応する情報を抽出しその膜厚を測定するように構成した。また、反対側の角度から照射した電子ビーム2は図2に拡大表示されているように溝の他方側の側壁部にスポットとして当たる形態となる。したがって、その一次電子ビーム照射による蛍光X線はその他方側のスポット領域の情報を反映したものとなる。
【0010】
上記の集束電子ビームは試料に照射する一次ビームとして径を1nm程度まで絞りきることができる反面、凹凸の激しい溝構造を斜めから照射する際にビーム焦点がずれるので、それを調整しながら測定する必要が生じるという問題を伴う。また、1nm程度まで絞るための集束ビーム形成技術、及びそのビームを安定して使用するために振動等の測定環境に対する要求が厳しくなる。また、集光点にビームのエネルギーが集中するために試料を損傷する危険が高くなる。これらのことを勘案し、本件発明者は他の側壁膜厚測定方法として、ワイド電子ビームを一次ビームとして斜め上方から照射することに想到した。ここで想定しているワイド電子ビームは、その焦点サイズが大きいので、焦点深度が深く、斜め照射することによる焦点ずれは問題にならない。同時に測定環境に対する要求も緩くなり、照射損傷の問題も大きく軽減される。この方法で高エネルギーの電子ビームを使用すると、照射方向からは影になって見えないはずの側壁にも電子ビームが到達してしまうので、照射方向の違いによる蛍光X線検出量の差が不明瞭になってしまう。そのため、この方法では低エネルギーのワイド電子ビームを使用する。この低エネルギーの電子ビームは、試料に浸透する深さがさらに浅いためその検出情報には下層の物質情報まで混在するということがさらに少なく着目薄膜情報のSN比がよいという長所と共に、ワイドビームなので照射域を微細構造の溝部側壁面に特定することはできないという問題をもち、表面部分の膜厚を含む近傍領域の情報を広く検出してしまうため、微細構造の溝部側壁における特定局所部分の膜厚情報を測定することができない。しかし、局所の膜厚ではなく、微細構造の溝部側壁の平均膜厚を測定したいというニーズもあり、このワイドビームを用いた測定方法はそのニーズに対応できることに想到した。すなわち、この場合の検出値には着目する微細構造の溝部側壁における膜厚情報と共に試料表面部分の膜厚情報が含まれているが、この試料表面部分の膜厚情報については測定が容易であるし、コントロールすることも出来るため、その膜厚情報は容易に得ることが出来る。したがって、前記検出情報からこの情報を除去することで今着目している微細構造の溝部側壁における膜厚情報を抽出することが可能となる。
【0011】
ワイド電子ビームは、サブミクロン以上の径をもつため微細構造の溝側面部にスポットとして焦点を絞ることはできないので、図3に示すように着目する溝側壁部に向けて斜め上方から電子ビーム1を照射すると該溝側壁部を複数個含む試料表面近傍に亘って照射される。ビームが照射される形態は図4に拡大表示されるように試料表面部と溝の一方側の側壁部(黒塗り部)に広く当たることになる。したがって、その一次電子ビーム照射による蛍光X線はその広い照射領域の情報を反映したものとなる。また、反対側の角度から照射した電子ビーム2は図4に拡大表示されているように試料表面部と溝の他方側の側壁部(黒塗り部)に広く当たる形態となる。電子ビーム1と電子ビーム2により励起された蛍光X線情報には試料表面部と異なる側の側面部情報がそれぞれに含まれている。例えば集束点でビーム径が10μm程度のワイドビームを用い、繰り返しパターンを50回分くらい含む試料(メモリやテスト用テグ等)に斜め上方からビーム照射して蛍光X線を検出し、事前に既知となっている試料表面部の膜厚情報を除去すれば、それぞれがビーム照射した側の側壁部の平均膜厚を抽出することが出来る。ただし、この値は微細構造の溝部側壁における特定局所の膜厚値ではなく、繰返しパターンにおける溝部の一方側の側壁の平均膜厚値である。他方側の側壁の平均膜厚値は反対側の斜め上方からビーム照射したときの検出値から抽出される。
【0012】
本発明は、前述したように集束電子ビームを1次ビームとして用いるものと、ワイドビームを用いるものとがあるが、着目する微細構造の溝側壁部の膜厚を測定するためにはその側壁面にビーム照射がなされなければならないため、原理上1つの溝に対して両側の膜厚を測定するためには少なくとも2つ逆方向の斜め上方からの照射が必要であり、あらゆる向きの側壁がある場合には更に異なる角度からのビーム照射が必要となる。この異なる角度からのビーム照射は試料台のチルト機構とローテーションを用いて実行することが出来るが、角度を切替える際に角度設定や位置合わせに相当時間を要することから、ビーム鏡筒を2つ以上装置に備えておく構成を採ることができる。この場合、試料台の駆動機構の内チルト機構を省略することも可能である。
集束電子ビームを用いた場合は、その測定値が着目領域の局所情報であるから、ビーム照射位置を試料表面に沿って二次元的にシフトさせて測定値を蓄積すれば着目側壁部を含んだ広い領域からの蛍光X線量をマトリックス情報として得ることができ、二次元データのマトリックス解析により着目側壁部に対する膜厚測定精度を向上させることができる。ただし、ビーム照射が斜め上方からであるため、ビーム照射位置を二次元的にシフトさせる際には焦点調整を行う必要がある。
以上の説明では一次ビームとして電子ビームを用いるものとして限定的に説明してきたが、電子ビームに代えイオンビームを用いることも可能である。荷電粒子という点でビームの集束がし易い点で共通する。ただ粒子が電子に較べ大きいことから試料内に浸透する深さは浅いものとなる長所と、質量が大きい分試料へのダメージを及ぼす惧れの短所がある。
【0013】
【発明の効果】
本発明の溝側壁の膜厚測定方法は、集束荷電粒子ビームを一次ビームとして採用したことにより、微細構造の溝側壁部にスポット状に照射励起することができ、それによって発生する蛍光X線を検出するものであるから、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、該溝側壁部における膜厚を局部特定情報として直接測定することができる。
上記測定方法を実施できる本発明の微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置は、10nm径以下の集束荷電粒子ビームを発生できる鏡筒と、チルト機能を備えた試料台と、蛍光X線検出器と、X線スペクトル分析器と、該X線スペクトル分析器の情報を演算して膜厚を算出する演算部を備えることにより、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、該溝側壁部における膜厚を局部特定情報として直接測定することができる装置を提供することができた。
この集束荷電粒子ビームを用いる方式において微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置ビーム照射位置を二次元的に微小変位させる機能を備え、前記微小変位位置情報に対応させて蛍光X線検出量を記憶する手段と、該記憶データをマトリックス解析する手段を備えたものは、該マトリックス解析により、着目側壁部の膜厚測定精度の向上を図ることができる更なる効果を奏する。
【0014】
本発明の溝側壁の膜厚測定方法は、直径がサブミクロン以上のワイド荷電粒子ビームを、試料の斜め上方から微細構造の複数の溝側壁部を含む広い領域に照射励起して発生する蛍光X線を検出し、該検出データから既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された溝側壁部の平均膜厚を抽出して測定するものであるから、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、ビームのエネルギーが低レベルであることに伴ない試料の内部構造の影響を受け難く、平均的な膜厚を精度よく測定することができ、斜め照射による焦点ぼけの問題を回避し、照射損傷の危険を回避し、測定環境に対する要求を緩くすることができる。
上記測定方法を実施できる本発明の微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置は、直径がサブミクロン以上のワイド荷電粒子ビームを発生できる鏡筒と、チルト機能を備えた試料台と、蛍光X線検出器と、X線スペクトル分析器と、斜め上方からのビーム照射による該X線スペクトル分析器の情報から既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された部分の平均膜厚を算出する演算部を備えた構成を採用することにより、従来困難であった微細構造の溝側壁部の膜厚測定を可能にしただけでなく、ビームのエネルギーが低レベルであることに伴ない試料の内部構造の影響を受け難く、平均的な膜厚を精度よく測定することができ、斜め照射による焦点ぼけの問題を回避し、照射損傷の危険を回避し、測定環境に対する要求を緩くすることができる装置を提供することができた。
更に、本発明の側壁の膜厚測定において複数のビーム鏡筒を備えた構成を採用したものは、斜め上方からのビーム照射を異なる複数の角度で実行することにより、試料台のチルト機能が無くてもあらゆる方向を向いた溝側壁の膜厚測定に対応することが出来、チルト駆動の時間を必要としない時間効率の良い測定を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】集束電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料へのビーム照射形態を説明する図である。
【図2】集束電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料への電子ビームが照射される形態を拡大表示した図である。
【図3】ワイド電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料へのビーム照射形態を説明する図である。
【図4】ワイド電子ビームを一次ビームとして用いた本発明における試料への電子ビームが照射される形態を拡大表示した図である。
【図5】半導体基板の表面上にダマシン配線部を形成する工程を説明する図である。
【図6】TEM試料を作成する薄片化加工工程を説明する図である。
【図7】従来の薄膜測定装置を説明する図である。
Claims (7)
- 集束荷電粒子ビームを微細構造の溝側壁部に向け斜め上方から照射励起し、発生する蛍光X線を検出して該溝側壁部における膜厚を測定する方法。
- 10nm径以下の集束荷電粒子ビームを発生できる鏡筒と、チルト機能を備えた試料台と、蛍光X線検出器と、X線スペクトル分析器と、該X線スペクトル分析器の情報を演算して膜厚を算出する演算部を備えた微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置。
- ビーム照射位置を二次元的に微小変位させる機能を備え、前記微小変位位置情報に対応させて蛍光X線検出量を記憶する手段と、該記憶データに基き補正量を加えて膜厚のマトリックス情報を表示する手段を備えた請求項2に記載の微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置。
- 直径がサブミクロン以上のワイド荷電粒子ビームを、試料の斜め上方から微細構造の溝側壁部を含む領域に照射励起して発生する蛍光X線を検出し、該検出データから既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された溝側壁部の平均膜厚を抽出して測定する方法。
- 直径がサブミクロン以上のワイド荷電粒子ビームを発生できる鏡筒と、チルト機能を備えた試料台と、蛍光X線検出器と、X線スペクトル分析器と、斜め上方からのビーム照射による該X線スペクトル分析器の情報から既知の試料表面部の膜厚データ分を排除してビーム照射された側壁部分の平均膜厚を算出する演算部を備えた微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置。
- 試料面に対して斜め上方からのビーム照射を異なる複数の角度で実行する請求項1または4に記載の膜厚測定方法。
- 試料面に対して斜め上方からのビーム照射を行なう、異なる角度で複数配設した鏡筒と、蛍光X線検出器と、X線スペクトル分析器と、該X線スペクトル分析器の情報を演算して膜厚及び/又は平均膜厚を算出する演算部を備えた微細構造の溝側壁部における膜厚測定装置。
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