JP3852334B2 - 有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法 - Google Patents

有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にメタン発酵用微生物を付着させるための有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機性廃棄物の処理方法としては、主に埋め立てや焼却などの方法が採用されてきた。ところが、近年では埋め立て地の不足や焼却によるダイオキシンの発生、CO2 の排出といった環境汚染の問題により、これらの処理方法に代わる方法への転換が図られている。
【0003】
このような背景から、厨房などから出る生ゴミや畜産廃棄物などの有機性固形廃棄物の処理方法として、メタン発酵が再認識されつつある。メタン発酵は、メタン発酵槽内でのメタン菌による嫌気性処理であり、有用な資源であるメタンを回収することができることから、その利用が期待されているのである。
【0004】
ところで、前記の有機性固形廃棄物の処理においては、低濃度の有機性排水を処理する場合に比べ、特にメタン菌によるメタン発酵処理の高効率化が要求されている。また、特にメタン発酵の立ち上げ時には、メタン発酵の効率が悪く、メタンガスの発生が不安定でメタンガスの回収効率も低いといった問題がある。
前記要求に応え、しかもメタン発酵の立ち上げ時の問題に対しても有効である方法として、従来、ニッケル、鉄、コバルトといった微量金属を反応槽に添加し、メタン菌の増殖と活性向上とを図ることにより、メタン発酵処理の高効率化を図った方法が知られている(特開平3−165895号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の方法では、反応槽中の反応液に前記の微量金属を直接添加するので、嫌気性処理(メタン発酵処理)を、被処理物を反応槽中へ連続的に供給しつつ連続的に取り出す連続運転で行った場合に、反応槽から流出される被処理液中に前記微量金属が多量に含まれてしまい、経済的に不利となってしまう。また、流出した微量金属を補うため、被処理物中または反応槽中に微量金属を添加する必要があるが、その操作が煩雑になってしまい、反応槽の装置構成や制御装置などが複雑になって設備に要するコストが高くなってしまう。
また、被メタン発酵処理物中に蛋白質系のものが多い場合、この蛋白質が嫌気性処理されることで生成するアンモニアにより、メタン発酵が阻害されてしまうが、その対策としては反応液を希釈する方法しかないのが現状である。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、メタン発酵効率を高めることができ、しかも鉄、コバルト、ニッケルといった微量金属を用いた場合の、微量金属の流出に伴う不都合を解消して経済的に有利にすることができる、有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機性廃棄物消化用微生物担体では、鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持している
この有機性廃棄物消化用微生物担体によれば、鉄、コバルト、ニッケルの微量金属のうちの少なくとも一種を担体に直接担持しているので、これとは別にメタン菌(メタン発酵菌)等の消化用微生物が該担体に付着し定着することにより、定着した微生物と微量金属との接触性が高まり、これにより前記微生物の活性度が高まる。また、微量金属が被処理物とともに流出してしまうことがほとんどないので、従来のような経済的な不都合が回避される。
【0008】
また、特に担体が多孔質体からなっているのが好ましく、その場合に、孔内が酸素のない高い嫌気性を有したものとなっているので、ここでメタン菌が増殖し易くなり、したがってこの担体を用いることにより、メタン発酵効率を高めることが可能になる。
【0009】
本発明の有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法では、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に担体を接触させ、該担体に鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持させることを前記課題の解決手段とした。
この製造方法によれば、鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持してなる前記の有機性廃棄物消化用微生物担体を製造することができる。
【0010】
また、特に担体が多孔質体であるのが好ましく、その場合に、比表面積が大きいことなどによって前記微量金属を付着し担持し易くなり、同時に、得られた有機性廃棄物消化用微生物担体が前述したように微生物の活性度および増殖性を高め、メタン発酵効率を高めるものとなる。
【0011】
本発明の別の有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法では、担体表面にリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させ、次いでこの担体を、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に接触させ、該担体に鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持させることを前記課題の解決手段とした。
この製造方法によれば、特に担体が前記微量金属を保持しにくい材質のもの、例えばシート状通水性基材である場合に、予めその表面にリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させておくことで、微量金属を付着し担持し易くすることが可能になる。
【0012】
また、これらの製造方法においては、鉄塩、コバルト塩またはニッケル塩として炭酸塩を用い、これら炭酸塩を担体に付着させた後、加熱して炭酸塩から炭酸ガスを脱離させるようにしてもよい。
このようにすれば、特に担体が焼成可能である場合に有効な方法となり、この焼成により微量金属を担体に強固に付着させることが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に係る有機性廃棄物消化用微生物担体は、鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持してなるものである。鉄、コバルト、ニッケルといった微量金属は、例えばFe2+、Co2+、Ni2+のイオンとして存在する場合に、メタン発酵に有効である。これは、これら微量金属が、メタン発酵の際補酵素の形成に寄与し、メタン菌等の微生物の活性度を高めると同時に、増殖性も高める役目を果たすからであると考えられる。
【0014】
微量金属を担持する担体としては、特に限定されることなく、例えばカルシウムシリケートや木質炭化物などの多孔質体、さらには不織布や織布、網目状シートなどのシート状通水性基材が用いられる。ここで、多孔質体としては特にカルシウムシリケートを用いるのが好ましい。すなわち、これをメタン発酵槽中に設置して発酵処理に用いた場合、そのアルカリ性成分を僅かずつ溶出し、これにより弱アルカリ性から中性の範囲の環境を好むメタン菌に対し、担体に付着し易く増殖し易い環境を作るものとなるからである。なお、担体として多孔質体を用いた場合、その形状については、円柱状や円筒状、円錐台状、球状、塊状、直方体状等の各種のものが用いられるが、特に固定床としてメタン発酵槽等の反応槽内に設置された際、反応槽内での被処理物の流動を妨げないような形状、例えば円筒状などの形状が好適とされる。
【0015】
また、シート状通水性基材を形成する材質としては、特に限定されることなく、化学繊維やガラス繊維、活性炭素繊維、金属繊維等が使用される。すなわち、これらの繊維等によって不織布または織布が形成され、あるいは網目状に編まれることにより、シート状通水性基材となっているのである。
このような多孔質体やシート状通水性基材からなる担体にあっては、その孔内や繊維間あるいは網目部分を有することによって比表面積が大きくなっており、したがって微量金属を付着し担持し易くなっている。また、同様に、メタン菌等の微生物に対してもこれを付着し定着させ易くなっている。特に、多孔質体からなっている場合には、孔内が酸素のない高い嫌気性を有したものとなるので、ここでメタン菌が増殖し易くなり、したがってメタン発酵効率を高めるうえで有利になる。
【0016】
担持する前記の微量金属については、いずれか一種を担持していれば十分に微生物の高活性化を図れるものの、いずれか二種、好ましくは三種を担持させれば、より高活性化を図ることができる。これら三種を全て担持させた場合、その担持量の比率については、重量比で、鉄:ニッケル:コバルト=10〜100:1:1、特に40:1:1とするのが好ましい。また、二種を用いる場合には、鉄:ニッケル=10〜100:1、鉄:コバルト=10〜100:1、ニッケル:コバルト1:1とするのが好ましい。
また、微量金属の総担持量としては、特に限定されないものの、担体1kgあたり1g〜100g程度とされる。1g未満では、担持量が少なすぎて担持することによる効果が十分に得られず、100gを越えると、微量金属の担持効果が横這いになってしまい、経済的に不利になるからである。
【0017】
次に、このような有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法を説明する。
担体としてカルシウムシリケートや木質炭化物などの多孔質体を用いる場合には、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に担体を接触させ、その後乾燥することにより、該担体に微量金属を担持させる。
微量金属の塩については、水溶性のものであれば特に限定されないものの、鉄塩としては硫酸第一鉄(FeSO4 )、コバルト塩としては塩化第一コバルト(CoCl2 )、ニッケル塩としては塩化第一ニッケル(NiCl2 )を用いるのが好ましい。これらの水溶液は、いずれもその陰イオンが、メタン発酵処理等の嫌気性消化処理に悪影響を与えないからである。
【0018】
これら水溶液の濃度としては、特に限定されることなく適宜な範囲とされるが、薄すぎると担持処理に時間がかかってしまうため、0.1重量%以上とするのが好ましい。なお、微量金属を複数種担持させる場合、複数種の微量金属を溶解させて混合水溶液を形成し、これを担体に接触させるようにすればよい。その場合に、微量金属毎に濃度を変えておくことにより、微量金属間の担持比率を変えることができる。例えば、FeSO4 :CoCl2 :NiCl2 =4重量%:0.4重量%:0.4重量%となるように混合水溶液を調整しておくことにより、概略、鉄:コバルト:ニッケルが10:1:1の重量比で担持された微生物担体を形成することができる。
【0019】
担体への水溶液の接触方法としては、微量金属の塩を溶解させた水溶液(例えば常温の水溶液)中に担体を所定時間(例えば10分間)浸漬する方法や、前記の水溶液を担体表面に吹き付けるといった方法が採用される。なお、このようにして担体に水溶液を接触させた後、担体を適宜な温度、例えば60〜110℃程度の温度で加熱乾燥することにより、水分を蒸発させて微量金属を担体に担持させる。
【0020】
また、担体としてシート状通水性基材を用いる場合には、まず、この担体表面に不溶性のリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させる。次いで、このリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させた担体を、前記した場合と同様にして鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に接触させ、その後乾燥することにより、該担体に微量金属を担持させる。
【0021】
担体にリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させるには、まず、リン酸カルシウム[Ca3 (PO42 ]またはアパタイト(カルシウムのリン酸塩)をpH9程度のアルカリ性液に分散させ、続いてこの液中に担体を浸漬させる。次いで、この担体を引き上げて乾燥させる。
このような液への浸漬・乾燥を適宜回数繰り返し、所望量のリン酸カルシウムまたはアパタイトを担体に付着させたら、必要に応じ、この担体表面にリン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )またはリン酸水素二ナトリウム(Na2 HPO4 )の水溶液を吹き付け、乾燥し、担体表面を親水性にするとともに微量金属の保持性を高める。その後、前述したようにこの担体を、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に接触させ、乾燥することにより、該担体に微量金属を担持させる。
【0022】
また、必要に応じ、担持させた微量金属が脱離するのを防止するため、この担体表面に再度リン酸カルシウムを付着させ、不溶性の被膜を形成するようにしてもよい。このようにすれば、メタン菌等の微生物の高い活性度を維持することができるとともに、微量金属の脱離が防止されていることで、担体自体の寿命も長くなる。
【0023】
また、特に担体として例えば650℃程度で焼成可能な材料製のもの、すなわちセラミックス製の多孔質体やガラス繊維、金属繊維などからなるシート状通水性基材を用いた場合、前記微量金属の塩として炭酸塩を用い、これら炭酸塩を担体に付着させた後、加熱焼成して炭酸塩から炭酸ガスを脱離させるようにしてもよい。
このようにすれば、焼成を行うことにより、微量金属を担体に強固に付着させてここに定着させることができる。
【0024】
このような有機性廃棄物消化用微生物担体は、嫌気性反応槽、特にメタン発酵槽で固定床として用いられる。メタン発酵槽は、炭水化物、脂肪、タンパク質といった高分子有機物から酸発酵により分解されて生成したアルコールや酸を、嫌気性条件(暗黒で溶存酸素の存在しない状態)下でメタン菌(メタン発酵菌)により炭酸ガスとメタンとに分解生成するものである。
【0025】
ここで、この有機性廃棄物消化用微生物担体を使用するにあたっては、この微生物担体を直接メタン発酵槽に浸漬させ、槽内のメタン菌を微生物担体に付着させ、増殖させるようにしてもよいが、このようなメタン発酵槽での前処理を省くため、以下の前処理を行うのが好ましい。
メタン発酵液をフィルター濾過して得た種液、あるいはこの種液を濃縮してなる濃縮菌液を用意し、これの中に前記微生物担体を浸漬するとともに、必要に応じ種液あるいは濃縮菌液を流動させて微生物担体とメタン菌との接触効率を高める。このような前処理により、微生物担体にメタン菌を付着・定着させ、さらにこれを増殖させることができる。
【0026】
すなわち、前記の種液あるいは濃縮菌液中、またはメタン発酵槽内に微生物担体を浸漬しておくと、これらの液中に生息するメタン菌が微生物担体の表面に付着し、特に担体が多孔質体である場合にはその孔内の深部にまで浸入してここに定着する。つまり、多孔質体である場合、その細孔内が酸素のない高い嫌気性を有したものとなっている。したがって、この細孔内でメタン菌が付着し定着し易くなっており、しかも細孔内であることにより流動等の影響を受けにくいことから、メタン菌が増殖し易い環境となっている。
【0027】
また、細孔がその孔径や深度にバラツキを有していることなどにより、特に径の大きい細孔と小さい細孔、孔の深部と浅部などで嫌気度が異なり、また多孔質体がカルシウムシリケートである場合アルカリ度も異なるようになる。したがって、例えばメタン菌は小さい細孔や孔の深部に定着し、酸生成菌等は大きい細孔や孔の浅部に定着するといったように棲み分けが可能になり、これによりメタン菌の活性度が高まるとともに、酸発酵を経てなされるメタン発酵の高効率化も可能になる。
【0028】
また、前記の種液あるいは濃縮菌液中での前処理を行った微生物担体をメタン発酵槽内に浸漬し、これを固定床として用いると、該担体の表面上などで増殖したメタン菌の作用により、メタン発酵槽内に投入された被処理物をより効率的にメタン発酵し、炭酸ガスとメタンとに分解生成するようになる。このとき、この微生物担体には、メタン菌等の微生物に加えて前記の微量金属が直接担持されているので、定着している微生物と微量金属との接触性が高まっており、これによって微生物の活性度および増殖性が高まり、メタン発酵効率が高められる。
【0029】
また、前述したように微生物担体を種液あるいは濃縮菌液中で前処理しておくことにより、該担体の表面上などにメタン菌を十分に増殖させておくことができ、しかも、この担体をメタン発酵槽内に設置した際、微量金属の作用で微生物の活性度および増殖性を高めることができることから、特にメタン発酵運転の立ち上げ時においても、メタン発酵を高い効率で行うことができ、これによりメタンガスを安定して発生させ、十分な回収効率を達成することができるようになる。なお、種液あるいは濃縮菌液中での前処理を行わない場合であっても、前述したように担体表面などに微量金属を担持しているので、本発明の微生物担体は従来に比べ運転の立ち上げ時におけるメタン発酵の処理効率を十分に高めることができる。
【0030】
また、本発明に係る有機性廃棄物消化用微生物担体にあっては、微量金属を直接担持していることからこの微量金属が被処理物とともにメタン発酵槽から流出してしまうことがほとんどなく、したがって従来のような経済的な不都合を回避してコストダウンを図ることができる。
【0031】
(実験例)
担体として、多孔質性のカルシウムシリケートを用意した。なお、この担体の寸法・形状は、5cm×1.8cm×0.8mmの板状のものとした。この担体を、FeSO :CoCl :NiCl =4重量%:0.4重量%:0.4重量%に調整した常温の水溶液中に10分間浸漬し、引き上げて105℃に乾燥した。この処理を3回繰り返し、担体への微量金属の担持を行い、本発明の参考例品1を得た。また、この参考例品1をリン酸酸性下(pH4〜5)にてリン酸カルシウムを分散した液中に浸漬し、引き上げて乾燥することにより、担体表面にリン酸カルシウムの被膜を形成してこれを参考例品2とした。
【0032】
また、比較のため、微量金属の担持を行わずにリン酸カルシウムのみを付着させたものを作製し、これを比較例品1とした。さらに、微量金属の担持もリン酸カルシウムの付着も行わないものを作製し、これを比較例品2とした。
これら4種の微生物担体に対し、メタン発酵後期の培養液に接触させ、その表面や細孔内にメタン菌を付着させた。
【0033】
被メタン発酵処理物として、厨房から廃出された生ゴミをミンチにかけて均一に混合した被処理物を用意した。この被処理物は、90%程度が水分であった。また、固形分中での成分としては、油脂分が20%、炭水化物が50%、蛋白質が約6%であった。
用意した被処理物を、メタン発酵槽に投入する前に、アルカリ下(pH8)で好気的に2日間可溶化処理した。
【0034】
ガラス製の円筒リアクター(径80mm×高さ180mm)に、前記被メタン発酵処理物を所定量とカルキ抜き水道水400mlとを入れ、さらに前記のメタン菌を付着させた微生物担体(参考例品1)を入れ、55℃に保持して撹拌を行い、発酵処理を行った。また、参考例品2、比較例品1、2の各微生物担体についても、同様に発酵処理を行った。
それぞれの発酵処理において、発生したガス全量とこの発生したガス中のメタンガス量とを調べた。得られた結果を図1(a)、(b)に示す。なお、メタンガス量については、発生ガスをガスクロマトグラフィーで分析することによって測定した。
【0035】
なお、測定は、発酵処理を20日間経過させた後、被メタン発酵処理物を交換してさらに20日間経過する迄の間(20日から40日までの間)と、続いて被メタン発酵処理物を交換して15日間経過した後(55日)からさらに被メタン発酵処理物を交換して25日間経過する迄の間(55日から80日までの間)の二回行った。ただし、二回目の測定(55日から80日までの間の測定)については、参考例品1、参考例品2、比較例品2だけを行った。また、この二回目では、参考例品2と比較例品2に対しては、被メタン発酵処理物の交換時に塩化アンモニウムを4000mg/lの分量で添加し、アンモニア(アンモニウムイオン)によるメタン発酵への影響を調べた。得られた結果を図1(a)、(b)および図2(a)〜(d)に示す。
【0036】
図1(a)、(b)および図2(a)〜(d)に示した結果より、参考例品1、2は比較例品1、2に比べてメタンガスの発生量が多く、これにより参考例品1、2はメタン発酵処理の高効率化に有効であることが確認された。
また、アンモニウムを添加したときの結果より、参考例品2は比較例品2よりメタンガスの発生量が多いことから、本発明に係る微生物担体は高濃度のアンモニア液にも有効であることが確認された。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る有機性廃棄物消化用微生物担体は、鉄、コバルト、ニッケルの微量金属のうちの少なくとも一種を担体に直接担持したものであるから、これとは別にメタン菌(メタン発酵菌)等の消化用微生物を該担体に付着し定着させることにより、定着した微生物と微量金属との接触性を高め、これにより前記微生物の活性度を高め、さらにはその増殖性を高めることができる。
また、微量金属が被処理物とともに流出してしまうことがほとんどないので、従来のような経済的な不都合を回避して嫌気性処理に要するコストの低減化を図ることができる。
さらに、アンモニアによりメタン発酵が阻害されてしまうことに対して、これを抑制してよりメタン発酵処理の高効率化を可能にすることができる。
【0038】
本発明の有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法は、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に担体を接触させ、該担体に鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持させるようにした方法であるから、前記の、鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持してなる有機性廃棄物消化用微生物担体を確実に製造することができ、また、特に担体が多孔質体である場合などに好適な方法となる。
【0039】
本発明の別の有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法では、担体表面にリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させ、次いでこの担体を、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に接触させ、該担体に鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持させるようにした方法であるから、特に担体が前記の鉄、コバルト、ニッケルを保持しにくい材質のもの、例えばシート状通水性基材である場合に、予めその表面にリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させておくことで、微量金属を付着し担持し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)、(b)は、メタン発酵の実験を行ったときの結果を示すグラフである。
【図2】 (a)〜(d)は、メタン発酵の実験を行ったときの結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に担体を接触させ、該担体に鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持させるに際し、前記鉄塩、コバルト塩またはニッケル塩として炭酸塩を用い、これら炭酸塩を担体に付着させた後、加熱して炭酸塩から炭酸ガスを脱離させることを特徴とする有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法。
  2. 前記担体が多孔質体である請求項1記載の有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法。
  3. 担体表面にリン酸カルシウムまたはアパタイトを付着させ、次いでこの担体を、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩の少なくとも一種を溶解した水溶液に接触させ、該担体に鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも一種を担持させることを特徴とする有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法。
  4. 前記担体がシート状通水性基材である請求項3記載の有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法。
  5. 鉄塩、コバルト塩またはニッケル塩として炭酸塩を用い、これら炭酸塩を担体に付着させた後、加熱して炭酸塩から炭酸ガスを脱離させる請求項3又は4に記載の有機性廃棄物消化用微生物担体の製造方法。
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