JP3851627B2 - 水底物の浚渫方法 - Google Patents

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この発明は、水底物の浚渫方法に関し、特にたとえば、ダム湖の湖底に堆積する堆積土砂を、分離し浚渫して陸上に揚げる、水底堆積土砂の浚渫方法に関する。
現在、日本全国に、多くのダムが設けられ、そのダムは、貯水、洪水等の災害対策が主たる目的であるが、それらは長い年月を経過するうちに、ダム湖内に大量の土砂の流入があり、ダムの機能が低下するとともに、次のような問題が発生している。
1.ダムの貯水量の維持ができない。
2.災害時の対応ができない。
3.ダム決壊の恐れが考えられる。
そこで、例えば、特開2000−257108号公報の溜池や河川等の底に堆積する水中泥土の浚渫装置が提案されている。
特開2000−257108号公報
しかしながら、このような従来の浚渫装置による浚渫方法では、水の濁り等の問題が生じる可能性が残り、浚渫土砂は、シルトと砂が混じっているため再生が不可能であるから、浚渫された土砂は、産業廃棄物となって、その処理コストが増大する問題がある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、水底物、例えば水底に堆積された土砂の問題を解決するとともに、堆積された物を浚渫し、有用な砂を利用することができるようにする水底物の浚渫方法を提供することである。
この発明の請求項1に記載の水底物の浚渫方法は、撹拌浚渫機を、水底まで降ろし、前記水底の水底物の下部における砂の層に到達させる第1ステップと、撹拌浚渫機の函体の下部に形成された撹拌翼の回転により、且つウォータージェットにより、砂の層を撹拌する、第2ステップと、撹拌された砂を吸引し、水上に導き揚げる、第3ステップとを含み、前記第3ステップは、砂が吸引されると、それに従って徐々に撹拌浚渫機の函体が水底物の砂の層の深部に押し下げられるとともに、前記水底物の砂の層より上部が、函体の上部の排出口より函体の外部に排出されることを含む、水底物の浚渫方法である。
この発明の請求項2に記載の水底物の浚渫方法は、前記第1ステップは、撹拌浚渫機を、水底まで降ろし、前記水底の水底物を構成する上部におけるシルト層から、前記シルト層より前記水底の水底物を構成する下部における砂の層に到達させることを含む、請求項1に記載の水底物の浚渫方法である。
この発明の請求項3に記載の水底物の浚渫方法は、前記第3ステップは、砂が吸引され水上に導き揚げられると、それに従って徐々に撹拌浚渫機の函体が水底物を構成する上部におけるシルト層から、砂の層の深部に押し下げられるとともに、前記水底物の砂の層より上部のシルト層が、函体の上部の排出口より函体の外部に排出されることを含む、請求項1に記載の水底物の浚渫方法である。
この発明の請求項4に記載の水底物の浚渫方法は、前記第1ステップは、撹拌浚渫機を、湖底まで降ろし、前記湖底の水底物の下部における砂の層に到達させることを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の水底物の浚渫方法である。
この発明の水底物の浚方法によれば、撹拌浚渫機の撹拌翼が水底に達したとき、例えば、底質のシルト層より下にある砂の層にその自重により到達し、函体の下部に設けられた撹拌翼は、シルト層より下にある砂の層を撹拌することができ、且つウォータージェットによって砂の層を撹拌することができるので、砂のみを吸引することができ、水上に揚げることができる。
従って、例えば、底質を構成する他の堆積物と混じることなく、砂のみを揚げることができるので、他の用途、例えば、建設資材として用いることができる。
また、砂が吸引され排出されると、それに従って、撹拌浚渫機の函体は水底物の砂の層の深部に押し下げられるとともに、前記水底物の砂の層より上部は、函体の上部の排出口より函体の外部に排出されるので、水の濁りはほとんど発生しない。
図1は、浚渫装置の斜視図解図であり、図2及び図3は、ダム湖の湖底の堆積土砂の浚渫装置を用いた浚渫工法の施工状況を示す図解図である。図4は、撹拌浚渫機の断面図解図であり、図5は、撹拌浚渫機の底面図解図である。図6は、撹拌浚渫機の一例を示す斜視図解図である。図7は、浚渫装置の制御方法を示す図解図である。図8は、別の浚渫機を示す底面図解図である。
このダム湖の湖底堆積土砂の浚渫装置10は、浚渫船12aと運搬船12bとを備え、該浚渫船12aは、湖底堆積土砂を浚渫する船であり、船上に運搬装置14が設けられている。運搬船12bは、砂を運搬する船であり、浚渫船12aより送られる砂を送るスロープ18をもって浚渫船12aと連結される。
浚渫船12aに設けられた運搬装置14は、湖底の堆積土砂を分離浚渫するための撹拌浚渫機16を吊り上げこれを水平に移動することができる装置である。
運搬装置14は、門型クレーン30を備え、クレーン30の門型架構32の先端からワイヤー34を垂らし、そのワイヤー34の先端に撹拌浚渫機16を動力を用いて吊り上げ、門型架構32を直線レール状基台36上を移動させて、該撹拌浚渫機16を垂直および水平に運搬するように構成されている。
運搬装置14は、内臓された深度計(図示せず)により、撹拌浚渫機16の深度を計測し、パーソナルコンピュータ50により、デジタルデータ管理をすることができるように構成されている。
すなわち、深度計による深さ測定は、運搬装置14の内部に装備しているワイヤー34を巻くドラム38の回転数を計測し、その回転数によってワイヤー34の下降している長さを測定して撹拌浚渫機16の深さ測定をし、さらに、パーソナルコンピュータ50により、デジタル化して深さの管理をするように構成されている。
クレーン30を水平方向に移動させるための基台36の間には、浚渫船12aの胴部にクレーン30側表面から水上または水中に至る開口部20が形成されている。
この、開口部20内に、クレーン30のワイヤー34が垂れ下げられ、その先に撹拌浚渫機16が吊るされている。
水送り装置22は、浚渫船12aの船上に固定されたジェットポンプ40を含み、該ジェットポンプ40と撹拌浚渫機16とを結ぶ第1のホース42を介して、高圧に加圧された水が撹拌浚渫機16に送られるように構成されている。
撹拌浚渫機用油圧ユニット24は、前記撹拌浚渫機16を構成する、後述する撹拌装置を作動させる流体の圧力エネルギーを付与するための装置である。
発電機26は、運搬装置14および後述するパーソナルコンピュータ50、移動局装置52などに電力を供給する装置である。
浚渫船12aは、GPS(全地球測位システム)の移動局装置52を備え、このGPSを使用し、浚渫船12aの位置を1cm単位の精度で管理し、且つ前記深度計によって水深管理をするためのデータと連動させて、浚渫船12aと撹拌浚渫機16の位置および撹拌浚渫機16の深さの数値をデジタル化したデータを、パーソナルコンピュータ50と連動させることにより、底質の分離浚渫の施工の管理を行うよう構成されている。パーソナルコンピュータ50は、CPU(中央演算処理装置)と、移動局装置52からの信号により浚渫船12aおよび撹拌浚渫機16の位置を制御する位置制御手段と、深度計と連動して撹拌浚渫機16の深さを制御する深度制御手段と、前記手段のソフトウェアおよびデータを記憶する記憶手段とを備え、浚渫船12aと撹拌浚渫機16の位置及び撹拌浚渫機16の深さを制御するように構成されている。
マッドスクリーン60は、撹拌浚渫機16から揚げられてきた砂を清浄し分別するために設けられ、粗い目のものと細かい目のものとの2段階構成になっている。
撹拌浚渫機16は、図4ないし図6において示すように函体70を備え、該函体70は、2つの撹拌翼74を備える。
図4及び図5を参照しながら、函体70についてさらに説明する。撹拌浚渫機16の函体70は、4角筒状の囲繞壁を有するケージ76を含む。ケージ76は、後述する各部材を保持するとともに、施工領域の周囲を取り囲むためのものである。
ケージ76の天井部は、天井板78をもって密閉され、その上部には原動機80が設置される。原動機80にはたとえばパイプ状の回転軸82の一端が鉛直方向に垂下されて接続される。原動機80によって、回転軸82はその中心軸周りに回転される。回転軸82の中間部は、軸受け84によって回転自在に保持される。軸受け84は、桟部材86を介してケージ76の内壁に固定される。
回転軸82の下端部には撹拌羽根ユニットが連結される。撹拌翼74は、回転軸82の下端の周囲に回転軸82の中心軸と略直交する方向へ張り出し設けられる。この撹拌翼74は、たとえば3枚の羽根を有し、それらの羽の先端は環状部材88で取り囲まれている。環状部材88の水底に面する縁部はジクザグ状に加工されている。また、撹拌翼74の先端部に固着された環状部材88とケージ76の内壁との間には、湖底の礫の直径よりも大きな間隔が開けられる。これにより、湖底の底質を改良施工する際に、撹拌翼74の先端とケージ76との間に礫が挟まって、撹拌翼74の回転を妨げることがない。この実施の形態では、撹拌翼74同士の間、および撹拌翼74とケージ76との間に、それぞれ20cm以上の間隔を設けた。
撹拌羽根ユニットの回転軸82には、ウォータージェット噴出口たる高圧水噴出ノズル90が設けられる。高圧水噴出ノズル90は、回転軸82の回転に伴い高圧水の噴出方向を360°変化させながら、水底の底質へ向かって高圧にした水を噴出させるためのものである。この発明にかかる浚渫装置では、高圧水噴出ノズル90から、回転軸82の中心軸に対してたとえば略45°斜め下方へ、高圧水が噴出されるよう設けられている。高圧水噴出ノズル90への高圧水の供給は、回転軸82内に設けられた供給パイプにより行われるが、その供給は、ジェットポンプ40と連結された第1のホース42と連結された供給パイプから高圧水噴出ノズル90へとなされる。なお、高圧水噴出ノズル90の角度は、本発明の目的を達成するために適宜の角度が選択できる。
撹拌羽根ユニットの下端には、槍状の突出部94が設けられる。突出部94は水底の底質に突き刺さり、施工時に撹拌浚渫機16の位置決めを行うためのものである。
ケージ76の上部にはケージ76の内部と外部とに通じる貫通孔からなる水の排出孔96が設けられる。
函体70は、後述するサンドポンプ100により、撹拌翼74の回転及び高圧水噴出ノズル90のウォータージェットにより撹拌された砂が吸引排出されるときに、下方(湖底の深部に向かう方向)に押し下げられるので、湖底の上部のシルト層はこの排出孔96より外部に排出される。
ケージ76内の撹拌翼74の間に、サンドポンプ100が設けられている。
サンドポンプ100は、湖底の砂を吸引しサンドポンプ100に連結されたホース102により浚渫船12aの船上に揚げるためのものであり、砂を吸引する砂吸引口100aが撹拌翼74の最下部近傍に位置するようにケージ76に固定されている。
サンドポンプ100によって揚げられた砂は、浚渫船12aの船上に設けられたマッドスクリーン60上に送り込まれる。
マッドスクリーン60に送り込まれた砂は、スロープ18を経て、運搬船12bに運搬される。
次に、この湖底堆積土砂の浚渫装置10を用いた湖底の底質特に堆積土砂の浚渫工法について、図2及び図3を参照しながら説明する。
この湖底堆積土砂の浚渫装置10は、ダム湖などの湖底の底質、特に堆積土砂を分離し砂を吸引し水上に揚げるために用いるのに適する。
まず、この湖底堆積土砂の浚渫装置10を、すなわち浚渫船12aを図7に示すGPSの指示に基づき目的とする施工水域にまで移動させ、目的とする施工水域に至ると、運搬装置14によって撹拌浚渫機16を湖水中に投入する。
まず、GPSに従い、パーソナルコンピュータ50によって運搬装置14を基台36上において移動させて、施工エリアの中心に撹拌浚渫機16を移動させ、運搬装置14の基台36上における位置によりスポットを選定し、且つ運搬装置14を作動させて、ワイヤー34を伸長させ、撹拌浚渫機16を湖水中に投入させ、撹拌浚渫機16の函体70を底質まで下ろす(第1ステップ)。
底質まで下ろされた撹拌浚渫機16は、自重により底質のシルト層より下の砂の層に到達する。
そして函体70の最下部が砂の層に到達した時点で、高圧水噴出ノズル90よりウォータージェットを噴射し且つ撹拌翼74を回転させることにより砂層を撹拌する(第2ステップ)。
撹拌された砂は、サンドポンプ100により吸引され、ホース102によって浚渫船12a上に揚げられマッドスクリーン60に送られる(第3ステップ)。
このようにして撹拌された砂がサンドポンプ100により吸引、排出されるに従って、函体70は、底質のより下方(深部)に押し下げられるので、上方のシルト層は、ケージ76上部に設けられた排出孔96より徐々にケージ76外に排出される。
一方排出された砂は、マッドスクリーン60によって分別され、運搬船12bにスロープ18を介して積み込まれる。
運搬船12bに積み込まれた砂は、岸壁から揚土され脱水処理が施される。
このようにして処理された砂は、建設資材等に利用される。
この発明にかかる浚渫装置は、前記浚渫装置に限定されず、例えば、図8に示すように、該函体70は2つのユニット72を連結してなるものとしてもよい。この図8図示の各ユニット72は、2つの撹拌翼74を備え、装置全体としては合計4つの撹拌翼74を備える。
渫装置の斜視図解図である。 ダム湖の湖底の堆積土砂の浚渫装置を用いた浚渫工法の施工状況を示す図解図である。 ダム湖の湖底の堆積土砂の浚渫装置を用いた浚渫工法の施工状況を示す図解図である。 撹拌浚渫機の断面図解図である。 撹拌浚渫機の底面図解図である。 撹拌浚渫機の一例を示す斜視図解図である。 渫装置の制御方法を示す図解図である。 の浚渫機を示す底面図解図である。
符号の説明
10 湖底堆積土砂の浚渫装置
12a 浚渫船
12b 運搬船
14 運搬装置
16 撹拌浚渫機
18 スロープ
20 開口部
22 水送り装置
24 撹拌浚渫機用油圧ユニット
26 発電機
30 クレーン
32 門型架構
34 ワイヤー
36 基台
38 ドラム
40 ジェットポンプ
42 第1のホース
50 パーソナルコンピュータ
52 移動局装置
60 マッドスクリーン
70 函体
72 ユニット
74 撹拌翼
76 ケージ
78 天井板
80 原動機
82 回転軸
84 軸受け
86 桟部材
88 環状部材
90 高圧水噴出ノズル
94 突出部
96 排出孔
100 サンドポンプ
100a 砂吸引口
102 ホース

Claims (4)

  1. 撹拌浚渫機を、水底まで降ろし、前記水底の水底物の下部における砂の層に到達させる第1ステップと、
    撹拌浚渫機の函体の下部に形成された撹拌翼の回転により、且つウォータージェットにより、砂の層を撹拌する、第2ステップと、
    撹拌された砂を吸引し、水上に導き揚げる、第3ステップとを含
    前記第3ステップは、砂が吸引されると、それに従って徐々に撹拌浚渫機の函体が水底物の砂の層の深部に押し下げられるとともに、前記水底物の砂の層より上部が、函体の上部の排出口より函体の外部に排出されることを含む、水底物の浚渫方法。
  2. 前記第1ステップは、撹拌浚渫機を、水底まで降ろし、前記水底の水底物を構成する上部におけるシルト層から、前記シルト層より前記水底の水底物を構成する下部における砂の層に到達させることを含む、請求項1に記載の水底物の浚渫方法
  3. 前記第3ステップは、砂が吸引され水上に導き揚げられると、それに従って徐々に撹拌浚渫機の函体が水底物を構成する上部におけるシルト層から、砂の層の深部に押し下げられるとともに、前記水底物の砂の層より上部のシルト層が、函体の上部の排出口より函体の外部に排出されることを含む、請求項1に記載の水底物の浚渫方法。
  4. 前記第1ステップは、撹拌浚渫機を、湖底まで降ろし、前記湖底の水底物の下部における砂の層に到達させることを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の水底物の浚渫方法
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