以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として,図2における上下方向をいうものとする。
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての排気制御バルブ10を備えた自動二輪車用の排気管12が概略的に示されている。
排気管12は、ステンレス鋼によって形成されており、全体として円筒形状を呈している。また、排気管12は、その軸方向一方の端部が内燃機関としてのエンジン14に接続されていると共に、軸方向他方の端部がマフラ16に接続されている。そして、エンジン14から排出された排気ガスが排気管12内に形成された排気通路18を通り、マフラ16によって圧力と温度が下げられてから、大気中に排出されるようになっている。また、排気管12の通路方向(軸方向)中間部分には、排気通路18上に排気制御バルブ10が配設されている。
次に、図2〜図5に、排気制御バルブ10を示す。排気制御バルブ10は、マフラ16との接続部分付近において通路長さ方向で分断される排気管12を相互に連結する筒状本体としての管体20を備えていると共に、管体20に組み付けられて排気管12内に形成された排気通路18上に配される弁部材としてのバルブ本体22を含んで構成されている。
より詳細には、管体20は、全体として、排気管12よりも僅かに大径の略円筒形状を呈しており、本実施形態では、ステンレス鋼によって形成されている。また、管体20には、周上の一箇所において直線的に延びる切込み23が形成されている。切込み23は、管体20の軸方向全長に亘って連続して延びており、切込み23によって管体20が周方向の一箇所で分断されて、管体20が略一定のC字断面で軸方向に延びている。また、管体20は、切込み23が形成されていることにより、外力を作用せしめて直径を変化せしめることが可能とされている。
さらに、切込み23の形成部分である管体20の周方向両端部には、軸直角方向一方向で外方に向かって突出する一対の締結部としての固定部24,24が一体形成されている。固定部24は、矩形プレート形状を呈しており、管体20の分断部分において軸方向全長に亘って形成されている。また、固定部24には、軸方向で等間隔に複数のボルト挿通孔26が貫通形成されている。更に、外力の非作用状態下において、管体20の周方向両端部に形成される一対の固定部24,24は、管体20の周方向で僅かに隙間を有して互いに対向位置せしめられている。
また、それら一対の固定部24,24の対向面間には、ストッパプレート28が配設されている。ストッパプレート28は、図6に示されているように、薄肉の平板形状を呈する剛性材で形成されており、本実施形態では、ステンレス鋼などで形成されている。また、ストッパプレート28は、取付板部30とストッパ突部としての当接板部32を一体的に有している。
取付板部30は、平面視で略長方形とされた薄肉平板形状を呈している。また、取付板部30は、管体20の軸方向に長手となるように固定部24,24の間に挟み込まれて管体20に取り付けられるようになっている。更に、取付板部30には、長手方向で等間隔に複数のボルト挿通孔34が形成されている。このボルト挿通孔34は、固定部24に形成されるボルト挿通孔26と対応する位置に形成されている。なお、特に本実施形態では、取付板部30が固定部24と略同一の平面形状とされており、後述する取付状態において、取付板部30と固定部24が略全面に亘って後述するシールゴム36を介して密着せしめられるようになっている。
また、当接板部32は、取付板部30の長手方向の中央部分において長手方向に対して直角を為す方向である幅方向一方の側に突出するように形成されている。当接板部32は、平面視で略長方形とされており、その長手方向での寸法が後述する装着状態における排気管12,12の軸方向離隔距離に設定されている。また、本実施形態では、取付板部30と当接板部32が略等しい厚さ寸法とされていると共に、取付板部30と当接板部32が一体形成されており、それら取付板部30と当接板部32によって平板形状のストッパプレート28が形成されている。なお、取付板部30の長手方向中央部分に当接板部32が一体形成されていることにより、ストッパプレート28は、長手方向中央部分が長手方向両端部分に比して幅広とされており、平面視で全体として凸の字形状とされている。
かかるストッパプレート28は、管体20に一体形成される一対の固定部24,24の対向面間に取付板部30が挟み込まれるようにして、管体20に取り付けられている。なお、かかる取付状態において、ストッパプレート28の当接板部32が管体20の径方向内側に突出せしめられるようになっている。また、ストッパプレート28の取付板部30と固定部24,24の間には、矩形プレート状のシールゴム36,36が介装されている。シールゴム36は、ゴム弾性体で形成されており、ストッパプレート28における取付板部30と略同一の平面形状を有する薄肉平板状を呈している。また、シールゴム36には、固定部24に形成されるボルト挿通孔26とストッパプレート28に形成されるボルト挿通孔34に略対応する位置において厚さ方向で貫通するように複数のボルト挿通孔37が形成されている。
そして、固定部24,24とストッパプレート28の取付板部30とシールゴム36,36が積層状に重ね合わされた状態で、固定部24の厚さ方向一方の側からそれら各部材24,28,30,28,24に形成されたボルト挿通孔26,34,37,34,26に対して締結ボルト38が挿通されて、締結ボルト38が固定部24の厚さ方向他方の側から固定部24に重ね合わされた矩形ナット40に対して螺着される。これにより、固定部24,24が締結ボルト38によって周方向で連結されて管体20が全体として筒状とされていると共に、ストッパプレート28が一対の固定部24,24の対向面間において流体密に位置決め固定されている。なお、このことから明らかなように、固定部24,24によって本実施形態における連結手段が形成されている。また、本実施形態では、三本の締結ボルト38,38,38が通路方向で互いに離隔して配設されており、それら三本の締結ボルト38,38,38が何れもストッパプレート28を貫通せしめられるようになっている。
なお、ストッパプレート28の管体20への組付状態において、ストッパプレート28の当接板部32は、管体20の径方向内側に所定の長さだけ突出せしめられていると共に、当接板部32が後述する回転板46に当接してバルブ本体22の回転が阻止されることのないように、当接板部32の径方向内側への突出量が設定されている。また、本実施形態において、締結ボルト38が回転せしめられて、矩形ナット40に回転方向での外力が加えられる場合に、矩形ナット40の角部が管体20と当接せしめられることによって矩形ナット40の回転が阻止されるようになっている。それ故、矩形ナット40の回転を防ぐためにスパナ等で矩形ナット40を押えることなく、締結ボルト38を回動させることによって締結ボルト38を締め付けたり弛めたりすることが可能とされている。
また、管体20には、弁部材としてのバルブ本体22が取り付けられている。即ち、管体20の径方向で対向位置する部分に軸支持孔42,42が形成されており、この軸支持孔42,42に対して回動軸としてのシャフト44が挿通されることにより、バルブ本体22は、管体20に対してシャフト44を回動中心軸とする回動を許容された状態で、管体20に取り付けられている。バルブ本体22は、シャフト44に対して別体として形成された板状の弁体としての回転板46が一体的に取り付けられて構成されている。なお、本実施形態における管体20は、外力を及ぼすことにより直径を僅かに拡大せしめることが可能となっていると共に、軸方向での長さ寸法が充分に短く形成されている。それ故、管体20を拡径せしめた状態で軸方向端部の開口からシャフト44を差し入れて軸支持孔42,42に差し込むことにより、シャフト44を管体20に対して容易に取り付けることが出来るようになっている。
回転板46は、全体として、管体20の内径寸法よりも小さな外形寸法を有する円板形状とされており、ステンレス鋼によって形成されている。そして、図7に示すように、回転板46の直径上には、一対のビス孔48,48が貫設されている。なお、回転板46は、シャフト44の軸方向一方の側(図2中、上側)における外形寸法がシャフト44の軸方向他方の側(図2中、下側)における外形寸法よりも小さくされており、それによって、本実施形態の回転板46は、シャフト44の軸方向一方の側において、シャフト44の軸方向一方の側から他方の側に向かって押し縮められたような形状とされている。
一方、シャフト44は、略一定の円形断面をもって排気通路18に対して略直交する方向にストレートに延びる形状とされており、ステンレス鋼によって形成されている。特に、本実施形態では、シャフト44の軸方向寸法は、管体20の外径寸法よりも十分に大きくされている。また、シャフト44の軸方向略中間部分には、シャフト44を径方向に貫通して軸方向に延びるスリット50が貫設されている。かかるスリット50の軸方向長さ寸法は、回転板46の外径寸法よりも僅かに大きくされている。更に、シャフト44には、スリット50と直交するようにして、一対のビス孔52,52が径方向に延びて形成されている。なお、ビス孔52,52は本実施形態においてはシャフト44を貫通しない程度の長さ寸法とされているが、シャフト44を貫通しても良い。更に、シャフト44の軸方向一方の側の端部には、ピン挿通孔54がスリット50の貫通方向と略同じ方向で径方向に貫設されている。
そして、シャフト44のスリット50に回転板46が挿し入れられて、回転板46のビス孔48,48とシャフト44のビス孔52,52が位置合わせされた状態で弁体固定ビス58,58が挿し通されることによって、回転板46がシャフト44に固定されるようになっている。ここにおいて、図8に示すように、弁体固定ビス58における頭部60の端面はシャフト44と略等しい曲率をもった曲面形状とされており、これにより、弁体固定ビス58の頭部60がシャフト44から突出することなく、シャフト44の外周面と滑らかに連続するようになっている。また、このようにして構成されたバルブ本体22は、回転板46がシャフト44の直径上を貫通した状態で固定されていることによって、側面視において左右対称の形状とされている。
そして、このように構成されたバルブ本体22のシャフト44の両端部が、管体20の周壁に形成された一対の軸支持孔42,42に挿し通されて支持されることによって、バルブ本体22が、排気管12に対して、中心軸(シャフト44)回りに回動可能且つ軸直角方向で変位不能に支持されている。
一対の軸支持孔42,42は、シャフト44の径寸法と略等しい径寸法の貫通孔とされており、排気管12の径方向において対向する位置に形成されている。これにより、バルブ本体22のシャフト44および回転板46は、排気通路18の通路方向に対して略直交する方向に配設されるようになっている。
このようにして管体20に配されるバルブ本体22には、軸支持孔42から突出せしめられたシャフト44の一方の側の端部において、回動軸側当接部を構成する回動軸側当接部材としてのシャフト側当接部材62が固定的に設けられて、シャフト44と一体的に回動せしめられるようになっている。シャフト側当接部材62は、ステンレス鋼によって形成されており、略一定の円形断面をもって軸方向に延びる円柱状部64と、軸方向外方にゆくに連れて拡径せしめられたテーパ状部66を有する全体として厚肉の円形ブロック形状を呈している。
そして、円柱状部64には、シャフト44の径寸法と略等しい径寸法をもって中心軸上に延びるシャフト挿通孔68が形成されている。なお、本実施形態におけるシャフト挿通孔68は、円柱状部64の軸方向寸法よりもやや大きく、僅かにテーパ状部66に至る程度の軸方向寸法をもって形成されている。更に、円柱状部64には、ピン挿通孔70が径方向に貫設されている。かかるピン挿通孔70の径寸法は、シャフト44におけるピン挿通孔54と略等しい径寸法とされている。一方、テーパ状部66には、全周に亘って鋸刃状の係止歯72が形成されている。
そして、シャフト側当接部62のシャフト挿通孔68にシャフト44が挿し込まれて、シャフト側当接部材62のピン挿通孔70と、シャフト44のピン挿通孔54が位置合わせされた状態で、固定ピン74が挿し通されることによって、シャフト側当接部材62が、シャフト44の端部に一体的に回動するように取り付けられている。
ここにおいて、シャフト側当接部材62におけるテーパ状部66側の端面には、ピン挿通孔70と同じ方向に延びる直線状の目印76が刻設されており、シャフト側当接部材62がシャフト44に固定された状態において、目印76の延び出し方向が回転板46の広がり方向と略同じ向きとなるようにされている。これにより、排気管12の外部からバルブ本体22の回動位置が認識可能とされており、本実施形態においては、目印76によって回動位置表示手段が構成されている。なお、回動位置表示手段としての目印76は回転板46の広がり方向を指し示し得るものであれば何等限定されることは無く、例えば直線形状に限らず矢印形状や三角形状の目印を刻設したり、テーパ状部66側における端面の外周縁部に丸状の目印を刻設したりしても良い。また、何等かの目印を刻設するに限らず、突起状の目印を形成する等しても良い。
また、管体20の外周面には、シャフト側当接部材62に対向せしめられるような位置において、排気管側当接部を構成する排気管側当接部材78が固定的に設けられている。排気管側当接部材78は、ステンレス鋼によって形成されており、全体として、略円筒状のブロック形状を有している。また、排気管側当接部材78は、管体20の外周面から軸直角方向に突出するように形成されており、管体20に対して溶接等により固着されている。そこにおいて、排気管側当接部材78の基端部側(管体20側)の端面は、管体20の外周面に沿うようにして側面視において円弧状に湾曲せしめられた湾曲面とされている。
また、排気管側当接部材78の中心軸上を貫通する貫通孔80はシャフト側当接部材62における円柱状部64の外径寸法より僅かに大きな内径寸法をもって形成されている。そして、貫通孔80における管体20と反対側の端部(突出先端側の端部)は、シャフト側当接部材62のテーパ状部66と対応するように軸方向外方に行くに連れて拡径せしめられたテーパ形状とされると共に、その内周面には、周方向の全周に亘って複数の係止歯82が形成されている。また、排気管側当接部材78の管体20と反対側の端面には、径方向で対向する二箇所においてそれぞれ係止歯82の1/4に亘って、各係止歯82に対応する目印84が刻設されている。なお、図2では、係止歯82の図示を省略して簡潔表示した。
一方、軸支持孔42から外部に突出せしめられたシャフト44の他方の側の端部には、円環板形状の当接板86が、その中心孔においてシャフト44に挿通された状態で固定的に設けられてシャフト44と一体的に回動せしめられるようになっている。また、本実施形態では、このようにしてシャフト44の軸方向他方の側の端部に固定された当接板86の厚さ方向他方の面と、シャフト44の軸方向他方の端面に重ねられるようにして、円形ブロック形状の操作部88が接着等によって固定されている。なお、本実施形態における操作部88は、耐熱性を有するゴム材料によって形成されている。
また、シャフト44の軸方向他方の端部に固定される当接板86と、管体20との間には、圧縮コイルスプリング90が軸方向に圧縮せしめられてシャフト44に外挿された状態で配されており、それによって、圧縮コイルスプリング90の付勢力が、バルブ本体22(シャフト44)に対して、シャフト44の軸方向であって、シャフト側当接部材62を排気管側当接部材78に接近せしめる方向に、常時、及ぼされるようになっており、シャフト側当接部材62の係止歯72と排気管側当接部材78の係止歯82が噛合状態に維持されて、シャフト44が回転不能に位置決めされるようになっている。このように、本実施形態においては、シャフト側当接部材62の係止歯72および排気管側当接部材78の係止歯82を含んで係合手段および係止手段が構成されている。
なお、本実施形態においては、圧縮コイルスプリング90が配設された管体20の外周面に対して、円環形状の耐熱パッキン91が、その中心孔においてシャフト44に挿通された状態で重ね合わされていると共に、かかる耐熱パッキン91に対して、ワッシャ92が同軸状に配されて重ね合わされている。耐熱パッキン91は、管体20に貫設された軸支持孔42からの流体の漏出を抑えるためのものであり、例えばフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の耐熱性を有する材料から形成されている。そして、圧縮コイルスプリング90の付勢力が(シャフト44に対する当接反力として)ワッシャ92に及ぼされるようになっており、ワッシャ92を介して、耐熱パッキン91が管体20の外周面に押し付けられて、シール性が確保されるようになっている。
そして、このようにバルブ本体22(シャフト44)に対して、シャフト44の軸方向であって、シャフト側当接部材62を排気管側当接部材78に接近せしめる方向に、常時、圧縮コイルスプリング90の付勢力が及ぼされて、シャフト側当接部材62が排気管側当接部材78に押し付けられて押圧状態とされることにより、シャフト側当接部材62に形成された係止歯72が、排気管側当接部材78に形成された係止歯82に対して、シャフト44の軸方向であって、且つ、シャフト44と同一中心軸上で噛合せしめられるようになっている。これにより、バルブ本体22の回動位置が設定され、また、このようにして設定された回動位置に対してバルブ本体22が保持されるようになっている。その結果、排気音が調節されることとなる。
また、本実施形態では、回転板46におけるシャフト44の軸方向一方の側が、シャフト44の軸方向一方の側から他方の側に押し縮められたようになっていることから、上述の如く、シャフト側当接部材62に形成された係止歯72と排気管側当接部材78に形成された係止歯82が噛合せしめられた状態下において、回転板46におけるシャフト44の軸方向一方の側と管体20の間に形成された隙間が、回転板46におけるシャフト44の軸方向他方の側と管体20の間に形成された隙間よりも大きくされている。これにより、バルブ本体22を、圧縮コイルスプリング90の付勢力に抗して、シャフト側当接部材62を排気管側当接部材78から離隔せしめる方向に変位せしめた場合であっても、回転板46が管体20に当たるまでのバルブ本体22の変位量を十分に確保することが可能となり、その結果、シャフト側当接部材62に形成された係止歯72と排気管側当接部材78に形成された係止歯82の係合状態が解除可能となるまでバルブ本体22をシャフト44の軸方向に変位させることが可能となっている。
このような構造とされた排気制御バルブ10は、図1に示すように排気管12の中間部分に装着される。より詳細には、図9に示すように、排気管12をマフラ16との接続部分付近において長さ方向中間部分で切断し、排気管12の一部を所定長さに亘って切除して、排気管12を長さ方向(通路方向)で分断すると共に、該分断箇所に排気制御バルブ10を配して、排気制御バルブ10の管体20に対して軸方向両側から分割された排気管12a,12bを挿し入れることにより、排気制御バルブ10が排気通路18の通路上に配設されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、排気管12と管体20によって排気通路18の通路壁が構成されている。なお、管体20の内周面や排気管12a,12bの管体20への挿込部分の外周面に液体のガスケットを予め塗布しておくこと等により、排気制御バルブ10を排気管12に対して流体密に取り付けることが出来る。
ここにおいて、本実施形態に従う構造とされた排気制御バルブ10は、排気管12の所定の位置への安定した取付けが、容易に実現可能とされている。
すなわち、本実施形態における管体20は、周方向の一箇所において分断された形状とされており、かかる分断部分に形成される一対の固定部24,24が締結ボルト38で締結されることによって、全体として筒状とされている。また、締結ボルト38を緩めて締結力を弱めると共に、外力を加えることにより、管体20の直径を拡大せしめることが可能とされている。それ故、締結ボルト38を緩めて管体20を拡径せしめた状態で排気管12を管体20に対して挿入し、その後締結ボルト38を締め付けることにより、管体20を排気管12に対して外挿状態で容易に取り付けることが出来る。
特に、排気通路18を流通せしめられる排気の漏出を防ぐために、管体20の排気管12への装着状態下においては、管体20の内径が排気管12の外径と略等しくされているか、或いは排気管12の外径よりも僅かに小径とされて管体20の内周面が排気管12の外周面に対して押し付けられるようになっていることが望ましい。このような場合にも、本実施形態に係る排気制御バルブ10においては、管体20に対して排気管12を挿し入れる際に管体20を拡径せしめると共に、挿し入れ後には管体20を縮径せしめることが可能となっていることから、管体20の排気管12に対する容易な取付けと管体20と排気管12の密着を併せて実現することが出来るのである。
また、本実施形態に係る排気制御バルブ10では、排気管12に取り付けられる管体20に対して、ストッパプレート28が配設されている。このストッパプレート28は、管体20の軸方向中央部分に位置せしめられる当接板部32を有しており、当接板部32が管体20の径方向内方に突出するように、一対の固定部24,24の間に挟み込まれて配設されている。更に、当接板部32の長手方向(管体20の軸方向)での寸法が、管体20に対する排気管12a,12bの挿込量に応じて適当に設定されている。そして、管体20の軸方向両側から挿し入れられる排気管12a,12bの開口端面が当接板部32に対して軸方向両側から当接せしめられることによって、排気管12a,12bが軸方向で所定の位置に位置決めされるようになっている。これにより、排気管12a,12bを管体20に対して挿し込む場合に、排気管12a,12bの管体20に対する挿込量が当接板部32の長さ寸法によってそれぞれ容易に規定されて、排気制御バルブ10を排気管12の所定の位置に簡単に装着することが出来るのである。
なお、排気管12a,12bの挿込みによってバルブ本体22の回動が阻止されないように排気管12aと排気管12bの軸方向での離隔距離が設定されており、当接板部32の長さ寸法は、必要とされる排気管12aと排気管12bの軸方向での離隔距離に応じて適宜に設定される。また、当接板部32の長さ寸法と等しい軸方向長さで排気管12の一部が予め切除されていることにより、排気通路18の通路長さの変化が回避されている。
続いて、このような構造とされた排気制御バルブ10におけるバルブ本体22の回動位置を設定方法、即ち、排気音の調節方法について説明する。先ず、ユーザや整備士等の作業者が外部から外力を加えて、操作部88を管体20側に向けて押圧操作する。これにより、バルブ本体22を、圧縮コイルスプリング90の付勢力に抗して、排気管側当接部材78が設けられた方向に対して相対変位せしめ、シャフト側当接部材62に形成された係止歯72と排気管側当接部材78に形成された係止歯82との係合を解除する。
次に、シャフト側当接部材62における係止歯72と排気管側当接部材78に形成された係止歯82との係合を解除した状態を維持しつつ、即ち軸方向の外力をシャフト44に及ぼしたままの状態で、操作部88を回転することによって、バルブ本体22を所望の回動位置まで回動せしめる。
その後、操作部88に対する軸方向外力による押圧操作を止める。これにより、バルブ本体22を、圧縮コイルスプリング90の付勢力によって、排気管12に向けて相対変位せしめ、シャフト側当接部材62に形成された係止歯72を排気管側当接部材78に形成された係止歯82に噛合せしめる。
このようにして、バルブ本体22を所望の位置に変更して、かかる位置に保持せしめることが出来る。これにより、排気管12の通路断面積を調節することが出来て、排気音の調節が可能となるのである。このことから明らかなように、本実施形態においては、シャフト側当接部材62、排気管側当接部材78、圧縮コイルスプリング90、操作部88を含んで回動位置設定保持手段が構成されている。
このような構造とされた排気制御バルブ10においては、シャフト側当接部材62や操作部88がシャフト44の両端部に取り付けられると共に、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78との係合状態を維持する圧縮コイルスプリング90がシャフト44に外挿せしめられており、排気音の調節に必要な部材をシャフト44と同一中心軸上においてコンパクトにまとめることが可能とされている。
また、このような構造とされた排気制御バルブ10においては、排気音の調節のみならず、エンジン14の出力特性を変化させることも可能となる。即ち、バルブ本体22の傾斜角度(管体20の中心軸に対する回転板46の面の交差角度)を小さくしてバルブ本体22を管体20内で寝かせることにより、排気効率を向上させて高速回転域でのエンジンの伸びを実現させたり、或いは、バルブ本体22の傾斜角度を大きくしてバルブ本体22を管体20内で立てることにより、排気効率をダウンさせて低回転域での大きなトルク特性を発現させたりすることも可能となる。
そして、本実施形態における排気制御バルブ10によれば、上述の如き簡易な操作によって、確実且つ速やかにバルブ本体22の回動位置の調節をすることが可能とされていることから、ユーザ自身がバルブ本体22の回動位置の変更を行なうことが可能とされているのである。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、ストッパプレート28の形状は、必ずしも前記実施形態に示されているものに限定されない。具体的には、例えば、図10に示されているストッパプレート93のように、取付板部30が当接板部32の長さ寸法(管体20の軸方向での寸法)と等しい長さ寸法で形成されており、全体として平面視で略矩形形状を呈する平板状とされていても良い。なお、例えば、管体20の軸方向において、取付板部が当接板部よりも短く形成されていても良いことは言うまでもない。また、管体20の軸方向での寸法が固定部24に対して小さくされた取付板部30を採用する場合には、ストッパプレートが重ね合わされる部分が他の部分に比して薄肉とされたシールゴム94を採用することにより、ストッパプレートを流体密に組み付けることが出来る。具体的には、例えば、図11に示されているように、シールゴム94において、ストッパプレート93が重ね合わされる部分の厚さ寸法が、ストッパプレート93が重ね合わされない部分の厚さ寸法よりも小さくされていることにより、ストッパプレート93がシールゴム94,94の間に密着して挟み込まれるようになっている。
また、ストッパプレート28は、管体20に対して複数が配設されていても良い。具体的には、例えば、複数枚のストッパプレート28をシールゴム36を介して積層状に重ね合わせて配設しても良い。これによれば、挿し入れられる排気管12の当接によって作用する力を配設される複数のストッパプレート28で分担することが出来て、ストッパプレート28の破損等を防ぐことが出来る。
さらに、管体20に対する排気管12a,12b両方の挿込量が一つのストッパプレートで設定されるようになっている必要はなく、管体20の軸方向で互いに独立して設けられる複数のストッパプレートによって排気管12aと排気管12bの挿込量がそれぞれ設定されていても良い。具体的には、例えば、図12に示すように、管体20の軸方向両端部分に互いに別体とされたストッパプレート95aとストッパプレート95bが独立して配設されていると共に、それらストッパプレート95aとストッパプレート95bが一組の固定部24,24の間に位置決め状態で締付固定されており、ストッパプレート95aによって、排気管12aの管体20に対する挿込量が設定されると共に、ストッパプレート95bによって排気管12bの管体20に対する挿込量が設定されるようになっていても良い。なお、ストッパプレート95aによって設定される排気管12aの挿込量と、ストッパプレート95bによって設定される排気管12bの挿込量は、互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。また、図12に示す態様では、ストッパプレート95aとストッパプレート95bが締結ボルト38によって固定部24に対して変位不能な位置決め状態で取り付けられていると共に、シールゴム94によって締結ボルト38の中心軸に直角な平面上での回転が阻止されており、ストッパプレート95が固定部24に対して相対的に固定された状態で組み付けられるようになっている。
また、前記実施形態における管体20は、周方向の一箇所において切込み23が形成されていたが、周方向の複数箇所に切込み23が形成されていても良い。具体的には、例えば、図13に示されている排気制御バルブ96のように、管体98の軸直角方向一方向で対向する周方向の二箇所において切込み23,23が形成されることにより、管体98が半円形状の上部ケース部材100と下部ケース部材102に分断されており、それら上部ケース部材100と下部ケース部材102が組み合わされて、締結ボルト38で固定されることにより略円筒形状の管体98が構成されるようになっていても良い。これによれば、バルブ本体22の管体98に対する取付けをより簡単に行うことが出来る。更に、管体が周上の複数箇所で分断される場合には、それら複数の分断部分の全てにストッパプレートを配設することも出来るし、それら複数の分断部分のうちの一箇所乃至は複数箇所に選択的にストッパプレートを配設しても良い。なお、管体が周上の複数箇所で分断されている場合には、複数の分断部分の少なくとも一つに固定部24,24が形成されていれば良く、必ずしも複数の分断部分の全てに固定部24,24が形成されている必要はない。また、複数の分断部分のうちで固定部24,24が形成されていない部分は、例えば、蝶番等の金具などといった連結手段によって連結されている。
また、回動位置設定保持手段は、前記実施形態における具体的な記載によって何等限定されるものではない。具体的には、例えば、図14に示されているように、シャフト側当接部材104と排気管側当接部材106が軸方向で重ね合わされており、シャフト側当接部材104の管体20側の面と排気管側当接部材106の管体20とは反対側の面にそれぞれ係止歯108,110を形成して、それら係止歯108,110を互いに嵌合せしめることにより、シャフト側当接部材104、排気管側当接部材106、圧縮コイルスプリング90、操作部88を含んで回動位置設定保持手段が構成されるようになっていても良い。
また、図15および図16に、かかる回動範囲制限手段の一態様を例示する。本態様においては、シャフト側当接部材62における管体20側の端部に、周方向に略90°の大きさをもって延びる周溝112が形成されている。一方、排気管側当接部材78において周溝112と径方向で重なり合う位置には、係止ボルト挿通孔114が径方向に貫設されており、かかる係止ボルト挿通孔114に、係止ボルト116が外周側から挿通されて、螺着や溶着等によって固定されている。そして、係止ボルト116の先端部分が排気管側当接部材78の内周面から突出せしめられて、シャフト側当接部材62の周溝112に挿し入れられている。なお、周溝112の軸方向幅寸法は、シャフト側当接部材62が排気管側当接部材78との係合状態を解除するために軸方向に変位せしめられた状態において、係止ボルト116が挿し入れられた状態を維持し得る軸方向幅寸法をもって形成されている。
これにより、シャフト44が回動せしめられてシャフト側当接部材62が回動せしめられた場合には、周溝112の周方向端縁部が係止ボルト116に係止されることによって、シャフト44の回動範囲が制限されるようになっている。このように、本態様においては、周溝112および係止ボルト116を含んで、回動範囲制限手段が構成されている。このようにすれば、前述の実施形態におけるシャフト44および排気管側当接部材78の構造を僅かに異ならせるだけで、シャフト44の回動範囲制限手段を構成することが出来る。なお、本実施形態とは逆に、排気管側当接部材78に周溝112を設けて、シャフト側当接部材62に係止ボルト116を設けるなどしても良い。
また、図17および図18に、回動範囲制限手段の更に異なる態様をモデル的に例示する。本態様においては、操作部88に替えて軸直角方向に延び出すロッド状の操作ハンドル118を採用すると共に、回動範囲制限手段として、操作ハンドル118の回動範囲を制限する係止金具120が設けられている。係止金具120は、上方に開口する開口部122を有する略円筒形状の部材とされており、操作ハンドル118が取り付けられた側のシャフト44を囲むように管体20の外周面から突出せしめられて配設されている。ここにおいて、開口部122の開口寸法は、係止金具120の周方向において略90°の大きさとされている。また、係止金具120の底部には、水抜き孔124が貫設されている。係止金具120は、管体20に対して、例えば、溶接する等して取り付けられている。
そして、係止金具120における開口部122の縁部に操作ハンドル118が係止されることによって、操作ハンドル118の回動量が制限されており、これにより、シャフト44の回動量が制限されるようになっている。なお、本態様においては、操作ハンドル118の延出し方向と回転板46の広がり方向は僅かに異ならされており、図17に示す操作ハンドル118の一方の回動端位置で回転板46の広がり方向が流路方向と略平行となる一方、他方の回動端位置で流路方向と略垂直となるようにされている。
このようにすれば、操作ハンドル118自体の回動が制限されていることが使用者に視認せしめられることから、シャフト44の回動可能範囲を視覚的に認識することが出来る。なお、本態様における係止金具120の具体的な形状はあくまでも例示であって、様々な形状が適宜に採用可能であることは言うまでもない。例えば、係止金具120は必ずしも単一の部材から構成される必要は無く、操作ハンドル118の両回動端位置にそれぞれ操作ハンドル118を係止する係止突部を設けるなどしても良い。
また、前述の実施形態においては、使用者がシャフト44に対して直接に外力を及ぼして、圧縮コイルスプリング90の付勢力に抗してシャフト側当接部材62と排気管側当接部材78との係合状態を解除するようにされていたが、圧縮コイルスプリング90の付勢力と反対方向に向かって、シャフト44に軸方向の力を作用させる軸方向力解除手段を設けるなどしてもよい。
例えば、軸方向力解除手段としての一つの態様を、図19にモデル的に示す。本態様においては、上方に開口する略箱体形状とされた支持金具126が、操作ハンドル118のシャフト44に対する取付け部分であるハンドル取付部128を囲むようにして管体20のハンドル取付部128側の外周面に取り付けられている。かかる支持金具126は、前述の係止金具120と同様にして、例えばボルトや溶接等により管体20の外周面に固定されている。そして、支持金具126においてハンドル取付部128を挟んで管体20と反対側に位置する外側壁面130の外側には、ナット132が溶接乃至は接着などによって固定されていると共に、かかるナット132に、押圧ボルト134が螺着されている。
押圧ボルト134はボルト状部136と基端部138が一体的に形成された構造とされており、かかる基端部138には、ボルト状部136の径方向に延び出すロッド状の操作レバー140が設けられている。このような構造とされた押圧ボルト134は、ボルト状部136がナット132に外側から螺着されることによってシャフト44と略同一中心軸上に配設されると共に、ボルト状部136を締め込むことによって、シャフト44の軸方向で変位せしめられるようになっている。
そして、使用者が操作レバー140を把持して押圧ボルト134を回動せしめることによって、ボルト状部136とナット132との螺合によって押圧ボルト134がハンドル取付部128の側へ変位せしめられる。これにより、ボルト状部136の先端がハンドル取付部128に当接して、ハンドル取付部128に対して押し込み方向の力が及ぼされる。これにより、シャフト44を圧縮コイルスプリング90の付勢力に抗して軸方向に変位せしめることが出来る。このように、本態様においては、支持金具126および押圧ボルト134を含んで、軸方向解除手段が構成されている。
このようにすれば、押圧ボルト134を締め込むことによってハンドル取付部128を押し込むことが出来ることから、ハンドル取付部128を直接に押し込む場合に比べて、より小さな力でシャフト44を軸方向に変位せしめることが出来る。そして、シャフト44を軸方向に変位せしめて、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78との係合を解除した状態で操作ハンドル118を操作して、回転板46の回動位置を調節した後には、押圧ボルト134を緩めることによって、シャフト44を圧縮コイルスプリング90の付勢方向に変位せしめて、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78を再び係合せしめることが出来る。
また、軸方向力解除手段としての異なる態様を、図20および図21にモデル的に示す。本態様においては、ハンドル取付部128の管体20と反対側の面に、シャフト44の軸方向で外方へ行くに連れて縮径せしめられて略裁頭円錐形状に突出せしめられた円錐状突出部142が形成されている。また、管体20の外周面には、前記態様と略同様の構造とされて、図20中の上方に開口する略箱体形状とされた支持金具144が取り付けられている。そして、支持金具144の外側壁部146におけるハンドル取付部128側には、当接板部材148が図20中での上下方向に変位可能に取り付けられている。当接板部材148は、図20中における上下方向に延びる摺動部150の上下端部に、外方に延びる操作部152と、管体20側に延びる当接部154がそれぞれ一体的に形成された板状の部材とされている。そして、摺動部150が、外側壁部146に設けられた鉤状部156に挿し込まれることによって、当接板部材148は、支持金具144に図20中での上下方向に変位可能に取り付けられている。なお、当接板部材148の当接部154の幅寸法は、ハンドル取付部128の径寸法よりもやや小さくされている。また、当接板部材148は、当接部154におけるハンドル取付部128側の端縁部が、円錐状突出部142よりもシャフト44側へ延び出すことの無いように配設されている。
そして、使用者が当接板部材148の把持部164を掴んで、当接板部材148を図20中の上方へ変位せしめることによって、当接部154が円錐状突出部142に当接せしめられ、更に当接部154を上方に変位せしめることによって、当接部154と円錐状突出部142の案内作用によって、ハンドル取付部128に対して押し込み方向の力が及ぼされる。これにより、シャフト44を圧縮コイルスプリング90の付勢力に抗して軸方向に変位せしめることが出来る。このように、本態様においては、円錐状突出部142、支持金具144、および当接板部材148を含んで、軸方向解除手段が構成されている。
このようにすれば、当接板部材148を変位せしめるという簡易な操作でシャフト側当接部材62と排気管側当接部材78との係合状態を容易且つ速やかに解除することが出来る。そして、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78との係合を解除した状態で操作ハンドル118を操作して、回転板46の回動位置を調節した後には、当接板部材148を下げることによって、シャフト44を圧縮コイルスプリング90の付勢方向に変位せしめて、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78を再び係合せしめることが出来る。
また、図22および図23に、軸方向力解除手段の更に異なる態様をモデル的に示す。本態様においては、前記実施形態と略同様に、ハンドル取付部128に円錐状突出部142が形成されていると共に、ハンドル取付部128を囲むように支持金具158が取り付けられている。そして、支持金具158の外側壁部160には、当接ロッド162が回動可能に取り付けられている。
当接ロッド162は、ロッド状の把持部164と、L字状に屈曲せしめられたロッド状の当接部166が一体的に接続された形状とされており、ピン168によって、外側壁部160に回動可能に取り付けられている。ここにおいて、把持部164のピン168からの延び出し方向の長さ寸法は、当接部166のピン168からの延び出し方向の長さ寸法よりも長くされている。なお、把持部164は、支持金具158に貫設されたスリット170を通して支持金具158の外方に突出せしめられており、スリット170は、当接ロッド162の回動を阻害しない程度の上下方向長さをもって形成されている。
そして、操作者が把持部164を把持して図22中の下方へ回動せしめることによって、当接部166が円錐状突出部142に接触せしめられ、更に把持部164を図22中の下方へ回動せしめることによって、当接部166と円錐状突出部142の案内作用によって、ハンドル取付部128に対して押し込み方向の力が及ぼされる。このように、本態様においては、円錐状突出部142、支持金具158、および当接ロッド162を含んで、軸方向解除手段が構成されている。
これにより、シャフト44を圧縮コイルスプリング90の付勢力に抗して軸方向に変位せしめることが出来る。このようにすれば、当接ロッド162をてことして用いることが出来て、より小さな力でシャフト側当接部材62と排気管側当接部材78との係合状態を容易且つ速やかに解除することが出来る。そして、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78との係合を解除した状態で操作ハンドル118を操作して、回転板46の回動位置を調節した後には、当接ロッド162を上方に回動せしめることによって、シャフト44を圧縮コイルスプリング90の付勢方向に変位せしめて、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78を再び係合せしめることが出来る。
また、前述の実施形態においては、シャフト44は、管体20に形成された軸支持孔42,42によって支持されていたが、必ずしもこれらのような管体20に形成された貫通孔によって支持される必要は無い。例えば、図24および図25にモデル的に示すように、軸支持孔42をシャフト44の径寸法よりもやや大きく形成すると共に、管体20の外周面において軸支持孔42と同軸上にころ軸受としての軸受172を設けて、かかる軸受172でシャフト44を支持せしめる等しても良い。
軸受172は、複数(本態様においては、6つ)の球体174を備えた略円環状の部材とされている。詳細には、軸受172は、内側ガイドカバー176の外周面を覆うように外側ガイドカバー178が取り付けられた構造とされている。内側ガイドカバー176は、略矩形の断面形状を有する略円環状の部材とされており、外周面には球体174の径寸法よりもやや大きな球体挿入口180が複数(本態様においては、6つ)、周方向で略等間隔に開口せしめられている一方、内周面において球体挿入口180と径方向で対向する部位には、球体露出口182が開口せしめられている。そして、球体挿入口180から球体174が挿入されると共に、外側ガイドカバー178が外周から固定される。これにより、球体174が内側ガイドカバー176の内周面から突出せしめられた状態で、内側ガイドカバー176内で回転可能に配設されるようになっている。また、これら球体174の、径方向における対向距離(軸受172の径方向で対向して位置せしめられた球体174、174の最も内周側に位置する点間の距離)が、シャフト44の径寸法と略等しくなるようにされている。
このような構造とされた軸受172は、管体20の外周面に溶接等によって固定された円筒状の取付筒部184に嵌め込むようにして固定される。なお、本態様においては、軸受172と管体20の外周面の間には、耐熱パッキン186が配設されて、軸支持孔42からの流体の漏出が抑えられている。なお、耐熱パッキン186は、例えばフッ素樹脂などの耐熱性を有する材料から形成された略円筒形状の部材とされており、その内径寸法がシャフト44の径寸法と略等しくされると共に、管体20側の端面188は、管体20の外周面に沿うように湾曲せしめられている。そして、軸受172の内周面から突出せしめられた球体174によって、シャフト44が支持されている。ここにおいて、軸支持孔42は、シャフト44の径寸法よりもやや大きく形成されていることから、本態様におけるシャフト44は、軸支持孔42に対して全周に亘って非接触状態で挿通せしめられている。このようにすれば、シャフト44を軸方向に変位せしめる際に、軸支持孔42が擦れて干渉するようなことも回避されると共に、球体174が回転せしめられることによって、シャフト44を滑らかに変位せしめることが出来る。なお、このことから明らかなように、シャフト44は、必ずしも管体20に直接に支持される必要はない。
また、バルブ本体の組立構造についても、何等限定されることはない。例えば、図26および図27に、バルブ本体の異なる組立構造を示す。本態様における回転板46には、両面にそれぞれ、一対の突起部190,190がプレス加工などによって切り起こし構造をもって形成されている。ここにおいて、一対の突起部190,190は、回転板46の直径を挟んで形成されており、互いに中心側の対向方向に向かって切り起こされている。また、一対の突起部190,190の離隔距離:Dは、シャフト44の径寸法と略等しくされている。そして、このような構造とされた回転板46をシャフト44のスリット50に挿し込む(図27(a))。ここにおいて、シャフト44が撓むことによって、回転板46において対向する突起部190,190の一方がスリット50を挿通せしめられて、これら突起部190,190の間でシャフト44が、切り起こし端面に対して係止せしめられる。これにより、回転板46がシャフト44に組み付けられて、バルブ本体22が組み立てられるようになっている(図27(b))。このようにすれば、ネジ締めの手間も不要とされて、バルブ本体22の組立をより容易にすることが出来る。
さらには、バルブ本体22は、必ずしも回転板46とシャフト44が別体として構成されている必要はないのであって、例えば回転板46に相当する一対の半円形状の板部材をシャフト44の径方向両側に溶接したり、回転板46およびシャフト44を一体成形するなどして、バルブ本体22を一体的に構成する等しても良い。
また、排気音や排気効率を調節するために、回転板46に適当な大きさおよび形状を有する貫通孔を形成する等しても良い。これにより、排気管12(管体20)の経路断面積をより高い精度で調節することが出来る。
更にまた、操作部の具体的な構造についても、何等限定されることはない。具体的には、例えば、図28,29に示すように、シャフト44の端部に円形ブロック形状の把持部材192が取り付けられており、把持部材192がシャフト44の端部に取り付けられていると共に、把持部材192の外側端面には、耐熱性を有するフッ素樹脂やゴム材料から形成されて、把持部材192の形状に合わされた耐熱カバー194が被せられている構造も、好適に採用され得る。なお、耐熱カバー194は、フッ素樹脂やゴム材料を把持部材192に直接コーティングしても良いし、それらの材料から形成された樹脂板を把持部材192の外面に接着等で被着せしめる等しても良い。また、シャフト44の軸直角方向で延び出すロッド状の操作ハンドル118を備えた構造が採用可能であることは上述のとおりである。
また、図30にモデル的に例示するように、軸支持孔42,42のそれぞれに補強部材196,196を挿し込んで、かかる補強部材196,196でシャフト44を支持せしめる等しても良い。このようにすれば、軸支持孔42,42の縁部が補強されて、肉厚の薄い管体20を採用した場合にも、管体20が損傷するおそれを低減することが出来る。更に、シャフト44が挿通せしめられる開口がより高い精度をもって形成されることから、シャフト44の回動をより滑らかに行なうことも出来る。
また、図2〜5に示された実施形態において係合手段および係止手段を構成するシャフト側当接部材62の係止歯72および排気管側当接部材78の係止歯82は、実施形態に示されているように相互に対応したテーパ面のみに対して係止歯72,82を形成した構造に限定されない。例えば、テーパを有していない円筒状の外周面と内周面に対してそれぞれ軸方向に延びる係止歯を形成しても良い。また、かかる係止歯は、シャフト側当接部材62の外周面と排気管側当接部材78の貫通孔80の内周面とにおいて軸方向の全長に亘って延びるように形成されていても良い。
さらに、図2〜5に示された実施形態においてシャフト44を操作部88側の突出方向へ付勢する圧縮コイルスプリング90の装着構造として、例えば図31,32に示されている態様が、好適に採用される。即ち、図示された態様では、シャフト44の突出先端部に外嵌されてシャフト44の軸方向と直交する方向に挿し入れられる固定ピン198で固定される円形ブロック形状の回転金具200において、シャフト44が嵌め込まれる有底状の中央孔202が段付内周面形状とされている。この中央孔202の深さ方向中間部分に段差面204が形成されており、中央孔202の開口部側が底部側よりも大径化されている。そして、中央孔202の小径の底部側には、シャフト44の先端が嵌め込まれている一方、中央孔202の大径の開口部側には、圧縮コイルスプリング90の端部が嵌め込まれている。これにより、圧縮コイルスプリング90がシャフト44と同軸上に位置決め保持されて、圧縮コイルスプリング90のガタツキやシャフト44への干渉等の問題が回避され得る。
また、図2〜5に示された実施形態においてシャフト側当接部材62と排気管側当接部材78の各係止歯72,82を、それらの係合位置に周方向で相互に案内するために、例えば図33〜34に示されている如き節度機構を採用することも可能である。特に、図33〜34に示された節度機構は、排気管側当接部材78の貫通孔80の内周面において軸方向の全長に亘って係止歯82が形成されており、この係止歯82を巧く利用して構成されている。より具体的には、シャフト側当接部材62は、係止歯72が形成された大径の円板状の頭部206と、この頭部206よりも軸方向内方に延びる小径のロッド部208を一体的に備えている。シャフト側当接部材62の頭部206が排気管側当接部材78の貫通孔80に入り込んで係止歯72,82が係止された状態下で、かかるロッド部208も、貫通孔80内に入り込んで位置せしめられるようになっている。このロッド部208には、径方向に延びて外周面に開口するばね収容穴210が設けられており、この収容穴210の開口部に係合球212が配設されている。更に、この係合球212は、収容穴210に収容配置された付勢スプリング214によって、常時、外方に向かって付勢されている。かかる付勢状態下で、係合球212は、その一部が収容穴210の開口部に嵌まり込んで係合されていると共に、別の一部が排気管側当接部材78の貫通孔80の内周面に形成された係止歯82の溝内に嵌まり込んで係合されている。また、かかる係合状態下で、シャフト44(図示省略)を強制的に回動操作すると、係合球212は、付勢スプリング214の付勢力に抗して収容穴210に入り込むように変位して排気管側当接部材78の係止歯82を乗り越え、シャフト側当接部材62の回動を許容するようになっている。そして、この係合球212の係止歯82の乗り越え作動に際して、シャフト44の回動操作に対する節度感が発現され得ると共に、付勢スプリング214の付勢力に基づいて係合球212が係止歯82の溝内に嵌まり込む位置に案内される作用に基づいて、シャフト側当接部材62と排気管側当接部材78の各係止歯72,82を、それらの係合位置に周方向で相互に案内する機能が発揮されるようになっている。このような周方向の案内作用により、シャフト側当接部材62を排気管側当接部材78の貫通孔80から軸方向に離脱させた後の嵌め込み時における引っ掛かりも効果的に回避され得ることとなる。なお、係合球212の係止歯82への係合状態は、シャフト側当接部材62を排気管側当接部材78の貫通孔80から軸方向に突出離脱させた状態下でも、常時、保たれるようになっている。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10 排気制御バルブ、12 排気管、18 排気通路、20 管体、24 固定部、28 ストッパプレート、32 当接板部、38 締結ボルト、42 軸支持孔、44 シャフト、46 回転板、88 操作部