しかしながら、あたかも1枚の板が外壁に垂直に取り付けられるような図14に示す構造のオーニングでは、強風に煽られたときなどにアーム支持枠105と外壁との取付部に局所的な負荷がかかることから、外壁には相当の強度が要求される。したがって、オーニングが取付可能な外壁が限られる問題がある。また、オーニング構造そのものも、外壁とほぼ平行な軸回りに屈曲する<形のアーム103を横長のアーム支持枠105と前枠106とで支持している構造なので、前後方向即ち外壁面に対して接近離反する方向の力に対しては屈曲により過大な外力を受け流すことができるが、突風に煽られたときなどのように壁面に沿った過大な力を受ける場合には曲がることができないので、まともに力を受けて外壁やオーニングそのものが損壊する虞がある。
また、アーム103を長く形成して日除けシート102の張り出し量を増やそうとすると、日除けシート102に沿って横向きに配置されるためモーメント作用方向には狭いアーム支持枠105を介して外壁に対し大きなモーメントがかかるため、オーニング101の大型化が難しいという問題もある。
また、アームを倒して日除けシートを張り出す図15の構造のオーニングにおいては、図7の屈伸アーム方式のオーニングの場合に比べて外壁202に対するアーム取付位置(ブラケット206の取付位置)がかなり低くなるため、日除けシート204の左右で斜めに飛び出したアーム205が日除けシート204の下の通行や作業の妨げとなることもあり、オーニングの下のスペースの利用に制限を受けることがある。このため、アーム205の外壁202への取付位置を高くすることが望まれるが、取付位置を高くすることはアーム205の長さを短くすることとなり、オーニングの大型化を難しくするし開閉操作も困難となる問題を有している。また、アーム205を長くして低い位置に取付けるように設定すれば、オーニングの大型化も可能となるが、アーム205の存在が日除けシート204の下の通行や作業の自由を妨げることとなるし、場合によってはぶつかったりして事故の原因ともなる虞があり好ましくない。
また、日除けシートの引き出し量を任意の位置で止めることができず、収納状態か最大引き出し状態かの2位置である。このため、オーニングを取り付けようとするスペースに合わせて張り出し量を変更したり、日陰量の調整ができない。しかも、購入時にオーニング取付スペースに応じた寸法のものを選択しなければならず、購入間違いを招くことがある。
そこで、本発明は、強度が低い外壁、例えば従来の屈伸アーム方式のオーニングを取り付けることができないような外壁への取付が可能となるオーニングを提供することを目的とする。さらに本発明は、日除けシートを大きく張り出す構造に向き、かつ使用時においてアームが邪魔にならないオーニングを提供することを目的とする。更に、オーニングを取り付けようとするスペースに合わせて張り出し量を変更したり、日陰量の調整が可能なオーニングを提供するものである。
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、巻き戻し機構により自動的に巻き上げられる日除けシートをアームを使って家屋等の外壁より張り出させるオーニングにおいて、アームの基端部を支えるスライダと、アームの日除けシートを取り付けた部分とスライダとの間に回転自在に連結される補助アームと、補助アームの他端側を回転自在に取付けると共にアームのスライダを摺動自在に支持し上下方向にガイドするスライドレールを備える支柱と、スライダに出没可能に搭載されると共にアームに備えられたレバーとワイヤを介して連繋されてレバーによる遠隔操作によって出入り自在とされているロケートピンとロケートピンを嵌入する複数の穴を支柱の高さ方向に離して設けスライダの移動範囲において支柱に備えられるロックプレートとを有してスライダをスライドレールに対して複数の位置で固定可能とする固定手段とを備え、外壁に取付けられる支柱と補助アームとによってアームを支持し、アームを倒して日除けシートを張り出す際にアームの基端部のスライダを支柱のスライドレールに沿って上昇させながら当該アームの先端側を水平方向に突き出させ、固定手段によって固定可能な複数の位置のいずれかにスライダを固定させてアームを支柱に固定するようにしている。
したがって、日除けシートを支えるアームは補助アームと支柱とでトラスを構成して支持され、日除けシートに対して斜交いのように機能して外壁に沿って働く力に対して強度を発揮する一方、アームと補助アームとが支柱を介して外壁に取付けられることにより、十分に長尺な支柱が外壁を補強する部材として機能すると共にオーニング自体の重量あるいは風から受ける力を分散させて外壁に請け負わせるので、外壁に対して局所的な力が作用しない。
また、このオーニングでは、アームの基端部のスライダをスライドレールに沿って上昇させながら当該アームの先端側を水平方向に突き出させるようにアームを倒して日除けシートを張り出すようにしているので、収納時におけるアームの基端部の位置が相当低い位置となるような長いアームであっても、日除けシートを張り出す時には収納時のアームの基端部の位置よりも相当高い位置にアームが移動し尚かつほぼ水平方向に突き出させられる。しかも、アームを倒すだけで日除けシートを張り出す一方、アームを引き下げて支柱に沿って起立させるだけで日除けシートを巻き取り収納することができる。
また、固定手段によって設定される複数の位置のうちの任意の位置でスライダを止めることにより、オーニングの取付スペースに合わせて張り出し量を変更したり、日陰量の調整を行うことができる。
また、ロックプレートに任意の位置に穴をあけ、ユーザーの好みに合わせて簡単に張り出し量を調整することができる。また、ロックプレートを交換することにより、その調整作業は容易に実施できる。
また、アームを掴んだ状態でレバーを操作してロックプレートからロケーションピンを外すと共にその状態を維持しながらオーニングの開閉操作を行うことができる。
しかして、本発明のオーニングによると、オーニング自体の重量及び風に煽られたときに外壁にかかる力が支柱によって分散され、外壁へ局所的な力として作用しないことから、従来ならオーニングの取付条件を満たさなかった外壁であっても取付が可能となるし、オーニングそのものを大型化した場合の重量にも耐え得る。しかも、支柱自体が強度のある構造物として機能することからオーニング自体の強度が向上し、寿命が延びると共に外壁を補強することができる。
しかも、日除けシートを張り出す時には収納時のアームの基端部の位置よりも相当高い位置にアームが移動し尚かつほぼ水平方向に突き出させられるので、収納時におけるアームの基端部の位置が相当低い位置となるような長いアームであっても、アームの下に広くかつ高い空間が確保され、通行や作業などの邪魔となることがない。この点からも、長尺なアームを採用してオーニングを大型化することが可能である。また、アームが上へスライドしながらほぼ水平に突き出ることによって日除けシートとアームとを高い位置で張り出すことができるので、覆い被さるような圧迫感や鬱陶しさが少なく開放的なオーニングとなる。
加えて、オーニング設置の自由度が大きく、店舗入口等の形態に合わせやすい。更に、アームを倒すだけで日除けシートを張り出す一方、アームを引き下げ支柱に沿って起立させるだけで日除けシートを巻き取り収納することができ、オーニングの開閉操作が簡単である。
また、アーム基端部をスライドさせる構造と支柱で壁面への負荷を分散させる構造により、従来よりも長尺のアームを採用することが可能となることに加え、風に煽られてもトラス構造で支持されているアームによって強固に支持されると共にアーム基端部を滑動させて上方に受け流すこともできることから、支柱、アーム、補助アーム、さらには外壁に無理な力がかからない。したがって、日除けシートを大きく張り出す構造即ちオーニングの大型化を図ることができる。
また、固定手段によって設定される複数の位置のうちの任意の位置でスライダを止めることができるので、オーニングの取付スペースに合わせて日除けシートの張り出し量を変更したり、日陰量の調整を行うことができる。しかも、オーニングを取り付けようとするスペースに合わせて張り出し量を変更したり、日陰量の調整ができるので、購入時にオーニング取付スペースに応じた寸法のものを選択する必要もなければ(日除けシートの最大引き出し量が異なるオーニングを多品種用意する必要がない)、購入間違いを招くこともない。
また、ロックプレートに任意の位置に穴をあけ、ユーザーの好みに合わせて簡単に張り出し量を調整することができる。また、ロックプレートを交換することにより、その調整作業は容易に実施できる。しかも、ロックプレート自体のロケートピンを嵌入する穴の位置を変更しなくとも、支柱に対するロックプレートの取り付け位置そのものを変更するだけで、オーニングを取り付けようとするスペースに合わせて張り出し量を変更したり、日陰量の調整ができる。
更に、アームを掴んだ状態でレバーを操作してロックプレートからロケーションピンを外すと共にその状態を維持しながらオーニングの開閉操作を行うことができるので、日除けシートの張り出し量の調整操作並びに収納・引き出し操作が容易である。ロケートピンをレバー操作によってロックプレートから外した状態を維持したまま、ハンドルを握ってアームを上げ下げできるので、日除けシートの張り出し量の調整操作並びに収納・引き出し操作がワンタッチで簡単に行える。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1〜図9に本発明のオーニングの一実施形態を示す。この実施形態のオーニング1は、日除けシート2を自動的に巻き上げ可能としている巻き戻し機構6と、この巻き戻し機構6に巻き取られた日除けシート2を引き出すアーム3と、該アーム3を上昇端を決めて昇降自在に支持する支柱4と、アーム3を支柱4に対して回転自在に吊り下げる補助アーム5とを備え、アーム3を補助アーム5と支柱4とで支持すると共に補助アーム5とアーム3とを支柱4を介して外壁15に取付け、アーム3を倒して日除けシート2を張り出す際にアーム3の基端部を支柱4に沿って上昇させながら当該アーム3の先端側を水平方向に突き出させるように構成されている。
ここで、アーム3はその基端部3aが支柱4内に摺動自在でかつ離脱不能に収容されているスライダ23によって支持され、かつ中程が支柱4に回転自在に連結されている補助アーム5によって吊り下げられることにより、基端部3aのスライダ23をスライドさせて持ち上げることによって先端側を水平方向に突き出させるように支持されている。また、アーム3を支持する左右の支柱4の間には、日除けシート2を巻き取った巻き戻し機構6が支持されている。そして、これらアーム3及び巻き戻し機構6は、左右に配置された支柱4を介して外壁15に取り付けられている。
支柱4は、図1及び図2に示すように、縦向きに外壁15に取り付けられ、アーム3を鉛直方向に昇降可能に支持するように設置されている。この支柱4は、図6に示すように、アーム3の基端部3aに設けられたスライダ23を内部で滑らせかつ離脱不能に保持するように収容する構造部材例えばチャネル材であり、型鋼やアルミ合金製の押し出し材や引き抜き材などの型材などからなる。この支柱4は、アーム3及び補助アーム5が貫通するための開口部に折り返し部4aを備え、この折り返し部4aと対向するレール底部4bとの間でスライダ23のローラ9を転動可能にかつ脱落しないように支持するように設けられている。また、レール底部4b側にも、ローラ9の脱落を防止するためのフランジ4cが形成されている。更に、レール底部の中央には、固定手段を構成するロックプレートが収められる凹部(溝)4dが設けられている。これら凹部4d並びにフランジ4cは、日除けシート2の出し入れに従って摺動するスライダ23の移動距離と少なくとも同じ長さがあれば足りるが、本実施形態の場合のように押し出し材などで構成されることが経済的にも好適であることから、全長において形成されることが一般的である。
また、支柱4の全長は、少なくともスライダ23を日除けシート2が所定位置まで張り出されるのに必要な量だけスライドさせるのに必要な長さと補助アーム5を取付けるに必要な長さとを合わせた長さを有していれば良いが、それよりも長尺とすること、例えば図2に示すように支柱4の下端が地面や床面等に届く長さとすることがより好ましい。この場合には、オーニング全体の荷重を外壁15に広く分散させて負担させることができると同時に床面でも荷重の一部を受けて更に分散させることで外壁15が受ける負担を軽減することが可能となる。尚、支柱4としてのチャネル材の使用は、断面係数が大きく剛性に優れるので、外壁の補強とアーム及び補助アームの支持を図る上で好ましい。
各支柱4の上端には、図2及び図3に示すように、ブラケット7aがそれぞれ設けられ、その間で巻き戻し機構6の巻き取り軸6aを回転自在に支持するように設けられている。そして、その回りをカバー7で覆うことによって、巻き取り軸6aに巻き取られた日除けシート2を日差しや風雨から保護するように設けられている。カバー7は、図2に示すように左右の支柱4間に跨って配置され、ブラケット7aにビス止めなどによって固定されている。
また、支柱4にはスライダ23と当接しこのスライダ23の上方のスライド端を規定するストッパ片8が備えられている。このストッパ片8は、例えばローラ9が転動する支柱4の折り返し部4aの内側の壁面にビス止めなどによって取り付けられるL形のプレートから成り、ローラ9が転動する折り返し部4a並びにフランジ4cよりも内側の空間でスライダ23の先端に設けられているストッパ部材16と当接するように設けられている。そして、補助アーム5が支柱4の中へ収容されるのをストッパ片8が妨げることなくアーム基端部3aのスライドを規制するようにされている。このストッパ片8は、ローラ9の保護を兼ねている。
ロックプレート17は、スライダ23に出没自在に備えられるロケートピン24を受け入れる穴18が少なくとも2カ所以上設けられている。本実施形態の場合には、図示していないが、最大引き出し位置を定める穴とオーニング収納位置を定める穴18との間に日除けシート2の引き出し位置を調整するための任意の数(少なくとも1つ以上)の穴18を設けるようにしている。穴18の数は多いほど、シート引き出し量を細かく調整できる。また穴18の間隔も一定ピッチに限られず、不等ピッチであけるようにしても良い。穴18の位置を変えることによって、最大引き出し位置を調整できるし、収納位置を定める穴18との間に任意の数の穴18を設けることにより、日除けシート2の引き出し量を任意の位置で止めることができる。さらに、ロックプレート17をビス19で固定する場合には、穴18の位置を変えたロックプレート17と交換することによって、容易にシート引き出し位置の調整が実施できる。また、支柱4に対するロックプレート17の取り付け位置を変更することも可能となる。即ち、ロックプレート17そのものを交換したり、新たな位置に穴18を加工しなくとも、ロックプレート17の支柱4に対する取付位置を変更することによってアーム3の最大傾き即ち日よけシートの最大張り出し量などを変更することができる。
本実施例では、ロックプレート17は1枚のプレート材で構成しているが、これに限られるものではなく、複数枚のプレート17を支柱4に対してそれぞれ取り付けるようにしてもよい。また、プレート材を別個に支柱4に取り付けずとも、支柱4そのものにスライダ23のロケートピン24を受け入れる穴18を直接設けて固定手段22を構成するようにしても良い。1枚のプレート材でロックプレート17を構成する場合には、支柱4の強度を補強することができる。
スライダ23は、例えば樹脂成形などによって得られたブロックに2対のローラ9と1対のストッパ部材16を備え、ロケートピン24を出入り自在に搭載するものである。ロケートピン24は、先端が球面に形成されると共に後端にコントロールワイヤ26の係留ボール25が引っかかるための係留部24dと係留ボール25を収容するボール受け凹部24b並びにワイヤー26aが通過するワイヤ口24cが形成されている。ワイヤ口24cはボール受け凹部24bに挿入されたワイヤ先端の係留ボール25が通り抜けない幅のスリットである。また、ロケートピン24には、ピン出没穴29よりも大径のフランジ24aを後端側に備えており、該フランジ24aをばね収容室28の底面28aに当接させることでロケートピン24の突出を規制し、ロケートピン24の最大突出量を定める。また、このフランジ24とばね収容室28を閉じるブラケット20の座面との間には、圧縮コイルばね27が配置され、ロケートピン24をスライダ23から突出させる力を常時付勢するように設けられている。更には、コントロールワイヤ26のアウターケーシング26bを1対の締め付けナット26cによってブラケット20の座面に固定するようにしている。尚、符号10は車軸、43はブラケット20をスライダ23に取り付ける固定ねじである。
コントロールワイヤ26の手元側は、アーム3の中程に設けられているハンドル30に備えられている操作レバー31に係留されている。即ち、L形の操作レバー31の短辺側に設けられた係留部34にコントロールワイヤ26の手元側の係留ボール35が引っかけられて、連結ピン33を中心に回転する操作レバー31の動きによってワイヤ26aを引っ張るように設けられている。コントロールワイヤ26のアウターケーシング26bは1対の締め付けナット37によって固定板39に取り付けられている。固定板39はハンドル30に設けられているスリット38に差し込まれてハンドル30に固定され、締め付けナット37部分がU字形の前後の溝39に差し込まれるようにセットされて、コントロールワイヤ26のアウターケーブル26bがハンドル30に固定されるように設けられている。
ハンドル30は、ビス32によってアーム3に取り付けられている。このハンドル30の形状は特に限定されるものではないが、レバー31を握りしめながらアーム3を押し引き可能とするように、半環状とすることが好ましい。このハンドル30はレバー31の操作とアームの把持を容易にするが、場合によっては設けられないこともある。レバー31をアーム3側に押すことによってコントロールワイヤ26が引っ張られるように直接アーム3に取付ければ、アーム3と共にレバー31を把持してオーニングの開閉操作を行うことができる。
また、アーム3の日除けシート4を取り付けた先端部分3bとスライダ23を備えた基端部3aとの間、本実施形態の場合にはアームのほぼ中間部3cには補助アーム5が回転自在に連結されている。補助アーム5はブラケット12によってアーム3に連結ピン40を中心に回転自在に連結されている。尚、図中の符号41はキャップである。
アーム3は日除けシート2を支持し得る強度を有するものであればどのような形状・構造でも良いが、できるだけ軽量でかつ強度に優れる材質や形状であることが好ましいことは言うまでもない。そこで、本実施形態では、断面矩形状のアルミパイプ材を採用し、その基端部3aにブラケット20を介してスライダ23が備えられている。
また、左右のアーム3はそれぞれの先端部3bを前枠11によって互いに連結され、同期して動作するように設けられている。前枠11には日除けシート2の先端縁及び必要に応じて前垂れシート44が止め付けられている。
アーム3の中程を吊り下げる補助アーム5は、その基端部5aを支柱4に連結ピン42によって回転可能に連結し、先端部5bをアーム3に対してブラケット12を介して連結ピン40周りに回転可能に取り付けている。したがって、支柱4に沿ってスライダ23が摺動することによってアーム3の基端部3aが上方へ移動する際に、アーム3の先端部3bを外壁15から離す方向に導くような回転を与え、アーム3の先端3b側を外壁15から水平方向に突き出させるように吊り下げる。この補助アーム5は、図3に示すように、日除けシート2を収納した際に、アーム3を支柱4とほぼ平行に起立させるため、支柱内に収まる幅に形成されているが、必ずしもそのような厚みや断面形状、端部形状に限定されることはない。尚、本実施形態ではアーム3にブラケット12をビス止めや溶接付けなどで固着し、このブラケット12に補助アーム5の先端部5bを回転可能に取り付けている。
日除けシート2は、特に生地に限定を受けるものではなく、キャンバス地などの一般に使用されているシート材の中から、あるいはそれ以外の新規のシート材の中から適宜選択される。また、日除けシート2はその張り出し側で前枠11に止め付けられるが、本実施形態のように先端縁より幾分内側を止め付け、止め付け部分から先を図2等に示すように前枠11から垂れ下がるフラップ44としてもよい。
また、本実施形態ではこの日除けシート2に適度な張力を与えて巻き上げる巻き戻し機構6を設けることにより、アーム3と補助アーム5を畳むときこの日除けシート2が自動的に巻き取られるとともに、畳んだ後も引き続き日除けシート2が引っ張られてアーム3が倒れないようにしている。巻き戻し機構6の構造は特に図示していないが、例えば本実施形態では、左右のブラケット7aによって回転可能に支持され日除けシート2が巻き付けられる巻き取り軸と、この巻き取り軸に巻き上げ方向(図3等では時計回り方向)への回転力を付与する図示しないトーションばねとを備えた構造となっている。
以上のような構造のオーニング1によると、オーニングを閉じる場合にはアーム3や補助アーム5を図3に示すように畳むことができ、しかも補助アーム5は支柱4内に収容されて邪魔にならず、アーム3は支柱4の縦溝を覆い隠すように並び立ち簡潔な外観となる。また、アーム3および補助アーム5を畳むことに伴い、日除けシート2は巻き戻し機構6により自動的に巻き取られ、巻き取り軸6aの周囲に密に巻き付いてカバー7からはみ出すことがない(図3)。したがって、本実施形態のオーニング1は不使用時において非常にコンパクトとなる利点がある。
また、オーニング1を開く場合にはアーム3のハンドル30を掴んでアーム3を手で外壁15から離すように倒せば良い。このとき、アーム3は図3に示すように基端部3aのスライダ23を支柱4に沿って上昇させながら徐々に倒れ、巻き戻し機構6から日除けシート2を引き出す。また、この動作に伴い補助アーム5は支柱4から引き出されて基端部5aの軸42を中心に回動する。そして、アーム3を所定角度まで引き倒した状態でレバー30を離すことによって、スライダ23からロケートピン24が飛び出してロックプレート17の穴18に嵌入され、スライダ23をロックプレート17即ち支柱4に固定することから、その時点でアーム3が固定される(図5)。このとき、スライダ23から突出するストッパ部材16もストッパ片8と当接しているので、ロケートピン24とロックプレート17の穴18とは或る程度位置合わせされている。
一方、オーニング1を収容するには倒れた状態のアーム3を引き起こすあるいは押し上げるようにすればよく、これによりアーム3は基端部3aを下方にスライドさせながら軸42を中心に補助アーム5を回転させて徐々に起き上がり、支柱4に並び立つ。また、補助アーム5はこの動作に伴い軸42を中心に外壁15側に回動し、支柱4内に収容される。このとき、日除けシート2は巻き戻し機構6によって自動的に巻き戻され、巻き取り軸に巻き付く。
ここで、オーニングの開閉時には、ハンドル31とともにレバー30を握ることによって、固定手段22のロック解除と同時にアーム3をハンドル31を持って操作できるので、片手でも開閉操作ができる。しかも、レバー31を操作しない限り、ロケートピン24がロックプレート17の穴18に嵌入されてスライダが移動できない状態なので、風に煽られるなどして勝手に閉じたりする誤動作を防止でき、安全性が高まる。
また、オーニング設置に当たってはまず支柱4を外壁の所定位置に配置し、その後アーム3や補助アーム5などを取り付ければよいから設置作業が簡単になる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、本実施形態では折り返し部4aを有するチャネル状の支柱4を採用しているがこれに特に限定されるものではなく、スライダ23を離脱不能でかつ上下方向に摺動可能に支持し得るもので、更に外壁に対する当接面積が大きな形状であればどのような形状でも構わず、I型あるいは⊥型などのアルミニウム型材などからなる支柱を採用しても良い。
例えば、断面I型の型材から成る支柱4’の場合には、図10に示すように外壁15に取り付けられる下辺4a’と外壁15から突き出る上辺4b’との間でスライダ23’のローラ9を引っかけるようにして外壁15に沿ってスライダ23’を摺動可能に装着し、両辺4a’,4b’に対して垂直な壁となる辺4c’にスライダ23に搭載されたロケートピン24が嵌入する複数の穴18’を利用して該穴18’の位置にスライダ23を固定するように設けても良い。スライダ23’は、板材を折り曲げることによってあるいは引き抜き材や押し出し材を利用することによって得られたコ形のブロックに2対のローラ9を備え、ロケートピン24を出入り自在に搭載するものである。ロケートピン24は、例えば図5に示すものと同様の構造のものでありその詳細な説明は省略するが、筒状のフランジ付きケーシング47に圧縮コイルばね27と共に収容されてスライダ23’の側面に取り付けられている。ケーシング47の底部にコントロールワイヤ26のアウターケーシング26bを1対の締め付けナット26cによって固定し、ケーシング内に引き込んだワイヤー26aの先端の係留ボール25をロケートピン24の係留部24dに引っかけるようにしている。ロケートピン24は、スライダ23’のピン出没穴29から支柱4’の辺4c’へ向けて突出し、フランジ24aをスライダ23’のピン出没穴29の周縁に当接させることでロケートピン24の突出を規制するように設けられている。そして、フランジ24とケーシング47の底部との間に配置されている圧縮コイルばね27によって、ロケートピン24を辺4c’へ向けて突出させる力を常時付勢するように設けられている。コントロールワイヤ26は図8のレバーによって操作される。この実施形態においては、ロックプレート17を用いずに、支柱4’に直接開けられた穴18’にロケートピン24を嵌入する固定手段22を構成するようにしている。図示していないが、支柱4’の辺4c’にロックプレート17をビス止めなどで取り付けるようにしても良い。
また、図示していないが、断面⊥型の支柱を採用する場合には、外壁15から突き出た辺に外壁15に沿ったスライダ用の長孔を設け、該長孔を貫通する摺動ピン好ましくは回転ローラのようなものをスライダに備えて支柱と係合する構成にしても良い。そして、上述のケーシング47に収容されたロケートピン24と穴18’とを前述のスライダ用長孔とはオフセットさせて備えるようにする。
更に、ロケートピン24の操作は、アーム3に取り付けたハンドル30の中のレバー31によって行われる場合に限られず、ロケートピン24をユーザーが直接掴んで操作するようにしていも良い。例えば、図12に示すように、ロケートピン24の後端側に握り玉45を備えた握り棒46を取付け、該握り棒45を直接引っ張ることによってロケートピン24をロックプレート17の穴18から引き出してスライダ23の固定を解除するようにしても良い。ロケートピン24は握り棒45を離すとばね27の力でスライダ23から突出する
また、図13に示すように、スライダ23に開けた穴48と支柱4にあけた穴18’とを重ねてロケートピン24’を通して直接スライダ23と支柱4とを連結して固定するようにしても良い。
また、本実施形態では支柱4を2本備えたオーニング1について説明したが、これも好適な一例に過ぎず、構造物の本数を適宜増やして構わない。例えば、幅広の日除けシートを採用する場合などには、両端以外に中央にもアームと支柱とを配置し、3組以上のアーム3と支柱4で支持するようにしてもよい。
また、アームの先端の前枠の代わりに自動巻き取り機構の巻き取りローラを備えて一対のアームを連結し、アームの先端に日除けシートを巻き取り外壁側に日除けシートの一端が取り付けられるようにしても良い。この場合には、アームが倒れて日除けシートが張り出された状態では、日除けシートが引き出されているのでアーム先端にかかる日除けシート重量は少なく、アームを引き起こすための力も大きくは必要としない。