JP3849332B2 - Manufacturing method of disk for toroidal type continuously variable transmission - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機用ディスクの製造方法は、例えば自動車用の変速機として、或は各種産業機械用の変速機として利用するトロイダル型無段変速機を構成する、入力側ディスク又は出力側ディスクを造る為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機として、図1〜2に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6を設けている。
【0003】
即ち、上記両ディスク2、4の中心軸から外れた部分に配置したこれら各トラニオン6、6は、それぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、上記両ディスク2、4の中心軸の方向に対し直角方向に、且つ、互いに同心に設けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向する内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧を回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させている。
【0004】
上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム装置9を設け、このローディングカム装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け弾性的に押圧しつつ、この入力側ディスク2を回転駆動自在としている。このローディングカム装置9は、入力軸1と共に回転するローディングカム10と、保持器11により転動自在に保持した複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成している。上記ローディングカム10の片側面(図1〜2の右側面)には、円周方向に亙る凹凸であるカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図1〜2の左側面)にも、同様の形状を有するカム面14を形成している。そして、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。
【0005】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってローディングカム10が回転すると、カム面13が複数個のローラ12、12を、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記両カム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図1に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図2に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図1と図2との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】
又、図3〜4は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、16を介して、回転自在に支持している。即ち、上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の中心部には断面形状が円形である貫通孔17、17を、それぞれ上記各ディスク2、4の内側面と外側面とを軸方向(図3の左右方向)に貫通する状態で形成している。上記各ニードル軸受16、16は、上記各貫通孔17、17の内周面と上記入力軸15の中間部外周面との間に設けている。又、上記各貫通孔17、17の内側面寄り端部内周面に形成した係止溝18、18には止め輪19、19を係止して、上記各ニードル軸受16、16が上記各貫通孔17、17から、上記各ディスク2、4の内側面2a、4a側に抜け出る事を防止している。又、ローディングカム10は上記入力軸15の端部(図3の左端部)外周面にスプライン係合させ、外向フランジ状の鍔部20により上記入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止している。そして、このローディングカム10とローラ12、12とにより、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させるローディングカム装置9を構成している。上記出力側ディスク4には出力歯車21を、キー22、22により結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車21とが同期して回転する様にしている。
【0008】
1対のトラニオン6、6の両端部は1対の支持板23、23に、揺動並びに軸方向(図3の表裏方向、図4の左右方向)に亙る変位自在に支持している。そして、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円孔24、24部分に、変位軸7、7を支持している。これら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部25、25と枢支軸部26、26とを、それぞれ有する。このうちの各支持軸部25、25を上記各円孔24、24の内側に、ラジアルニードル軸受27、27を介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部26、26の周囲にパワーローラ8、8を、請求項に記載した軸受に相当する、別のラジアルニードル軸受28、28を介して、回転自在に支持している。
【0009】
尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸7、7の各枢支軸部26、26が各支持軸部25、25に対し偏心している方向は、上記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向(図4で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向としている。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸15の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、回転力の伝達状態で構成各部材に加わる大きな荷重に基づく、これら構成各部材の弾性変形に起因して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向(図3の左右方向、図4の表裏方向)に変位する傾向となった場合でも、上記構成各部品に無理な力を加える事なく、この変位を吸収できる。
【0010】
又、上記各パワーローラ8、8の外側面と上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸受29、29とスラストニードル軸受30、30とを設けている。このうちのスラスト玉軸受29、29は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容するものである。又、上記各スラストニードル軸受30、30は、上記各パワーローラ8、8から上記各スラスト玉軸受29、29を構成する外輪31、31に加わるスラスト荷重を支承しつつ、前記各枢支軸部26、26及び上記外輪31、31が、前記支持軸部25、25を中心に揺動する事を許容するものである。
【0011】
更に、上記各トラニオン6、6の一端部(図4の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド32、32を結合し、これら各駆動ロッド32、32の中間部外周面に駆動ピストン33、33を固設している。そして、これら各駆動ピストン33、33を、それぞれ駆動シリンダ34、34内に油密に嵌装している。
【0012】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の場合、入力軸15の回転は、ローディングカム装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車21より取り出される。入力軸15と出力歯車21との間の回転速度比を変える場合には、上記1対の駆動ピストン33、33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33、33の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図4の下側のパワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持板23、23に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図1〜2に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15と出力歯車21との間の回転速度比が変化する。
【0013】
尚、この様に上記入力軸15と出力歯車21との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ8、8を枢支している前記各変位軸7、7が、前記各支持軸部25、25を中心として僅かに回動する。この回動の結果、前記各スラスト玉軸受29、29の外輪31、31の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラストニードル軸受30、30が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて済む。
【0014】
図5〜6は、上述の様に構成し作用する、図3〜4に示したトロイダル型無段変速機に組み込む出力側ディスク4を取り出した状態で示している。この出力側ディスク4の中心部に形成した貫通孔17には、外側面の側(図5〜6の右側)から順に、円筒面部35と、スプライン部36と、外輪軌道部37と、第二円筒面部38とを設けている。このうちの円筒面部35は、請求項に記載した嵌合部に相当するもので、上記出力側ディスク4と共に回転する出力歯車21の内周縁部に固設したスリーブ39(図3)の一部にがたつきなく嵌合して、このスリーブ39と上記出力側ディスク4とを同心にする。前記キー22、22を設ける場合は、上記円筒面部35とスリーブ39との間に掛け渡す。但し、スリーブ39と出力側ディスク4とをスプライン係合させる場合には、上記キー22、22は不要である。反対に、キー22、22を設ける場合には、スプライン部に代えて、キー溝を設ける。上記スプライン部36を設けた場合、このスプライン部36は、上記スリーブ39の一部外周面に設けた雄スプライン部と係合して、このスリーブ39と上記出力側ディスク4との相対回転を防止する。尚、これらスリーブ39と出力側ディスク4との相対回転を防止する為の構造は、スプライン係合やキー係合に限らず、軸方向に亙る凹凸係合等、他の係合構造とする事もできる。又、前記止め輪19(図3)を係止する為の係止溝18は、このうちの外輪軌道部37と第二円筒面部38との間部分に設けている。この様な形状を有する上記出力側ディスク4(更に必要に応じて入力側ディスク2の内周面)には、ショット・ピーニングにより、残留圧縮応力層を形成する事が好ましい。この理由に就いて、図7〜9により説明する。
【0015】
トロイダル型無段変速機の運転時にパワーローラ8、8の周面8a、8aと入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4aとは、ローディングカム装置9の働きにより強く当接する。そして、これら各面8a、2a、4aの当接部には、減速時には図7に矢印で示す方向の、増速時には図8に矢印で示す方向の、それぞれ強い力が加わる。そして、この強い力に基づいて、上記入力側、出力側両ディスク2、4が弾性変形する。例えば、図7に示した減速時には、出力側ディスク4の内側面4aの直径方向反対側2個所位置の外径寄り部分が、スラスト方向に強く押される。この結果上記出力側ディスク4が、図9に実線で示す状態から鎖線で誇張して示す状態にまで、弾性変形する。この様に上記出力側ディスク4が弾性変形する際、この出力側ディスク4の中心部に設けた貫通孔17のうち、特に内側面4a寄りの第二円筒面部38部分に引っ張り応力が加わる。
【0016】
この様な引っ張り応力は、上記出力側ディスク4の回転に伴って繰り返し加わる為、何らの対策も施さないと、上記第二円筒面部38部分に亀裂が発生し易くなる等、上記出力側ディスク4の耐久性確保が難しくなる。そこで、この出力側ディスク4の内周面のうちで、内側面4a寄り部分である、上記第二円筒面部38部分に、ショット・ピーニングによる残留圧縮応力層を形成すれば、上記繰り返し加わる引っ張り応力に拘らず、上記第二円筒面部38部分に亀裂が発生しにくくできる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様に、第二円筒面部38部分に亀裂防止の為の残留圧縮応力層を形成する場合に、この第二円筒面部38に隣接する外輪軌道部37部分にもショット・ピーニングが施されて、この外輪軌道部37の表面粗さが悪化してしまう。この結果、この外輪軌道部37を含んで構成するニードル軸受16(図3)の耐久性が損なわれる。上記第二円筒面部38にショット・ピーニングを施す際に、上記外輪軌道部37にマスキングを施せば、この外輪軌道部37の表面粗さが悪化する事を防止できるが、貫通孔17の奥に設けた上記外輪軌道部37に有効なマスキングを行なう事は、実際上は非常に難しい。
本発明のトロイダル型無段変速機用ディスクの製造方法は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0018】
【課題を解決する為の手段】
本発明の製造方法の対象となるディスクを組み込んだトロイダル型無段変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同様に、互いに同心に且つ互いに独立した回転自在に支持された入力側、出力側両ディスクと、これら入力側、出力側両ディスクの中心軸に対し交差しないがこれら両ディスクの中心軸の方向に対し直角方向位置である捻れの位置にある、互いに同心の1対の枢軸を中心として揺動する複数個のトラニオンと、これら各トラニオン毎に支持された変位軸と、これら各変位軸に軸受により回転自在に支持され、上記入力側、出力側両ディスクの内側面同士の間に挟持されたパワーローラとを備える。又、上記入力側、出力側両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、上記各パワーローラの周面を球面状の凸面として、これら各周面と上記各内側面とを当接させている。
更に、本発明の製造方法の対象となるトロイダル型無段変速機用ディスクの場合には、上記入力側、出力側両ディスクのうちの少なくとも何れかのディスクの内周面に、当該ディスクの外側面側から順番に、このディスクをこのディスクと共に回転する部材に外嵌する為の嵌合部と、このディスクの内側に挿通した回転軸の外周面との間に設けるニードル軸受の外輪軌道と、円筒面部とを、互いに直列に形成している。
そして、本発明のトロイダル型無段変速機用ディスクの製造方法の場合には、上記嵌合部及び外輪軌道と上記円筒面部とを設けたディスクの内周面のうち、少なくとも当該ディスクの内側面寄り部分に、ショット・ピーニングによる残留圧縮応力層を形成した後、この残留圧縮応力層のうちで上記円筒面部に形成された部分はそのままとして、上記外輪軌道部分の残留圧縮応力層の少なくとも一部を研削加工により除去し、この外輪軌道部分を平滑面とする。
【0019】
【作用】
上述の様に構成する本発明の製造方法により造られたディスクを組み込んだトロイダル型無段変速機により、入力側ディスクと出力側ディスクとの間で回転力の伝達を行なわせる作用、並びにこれら両ディスク同士の間の変速比を変化させる作用は、前述した様な従来から知られているトロイダル型無段変速機の場合と同様である。
特に、本発明の製造方法により造られたディスクを組み込んだトロイダル型無段変速機の場合には、嵌合部及び外輪軌道と円筒面部とを設けたディスクの内周面部分に残留圧縮応力層を形成しているので、パワーローラから加わる大きなスラスト荷重に基づき、内周面部分に繰り返し加わる引っ張り応力に拘らず、上記ディスクの耐久性を確保できる。
更に、外輪軌道部分を平滑面としているので、この外輪軌道部分を含んで構成するニードル軸受の耐久性も確保できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のトロイダル型無段変速機用ディスクの製造方法の特徴は、出力側ディスク4等、内周面に嵌合部及び外輪軌道と円筒面部とを設けたディスクの内周面の性状を適正にする点にある。このディスク以外の部分の構造及び作用は、前述した従来構造を含め、従来から知られ、或は考えられている各種トロイダル型無段変速機と同様であるから、同等部分に関する説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0021】
本発明の製造方法により造られて、トロイダル型無段変速機を構成する出力側ディスク4も、前述した従来のトロイダル型無段変速機を構成する出力側ディスク4と同様、図5〜6に示す様に構成している。即ち、入力側ディスク4の中心部に形成した貫通孔17には、外側面の側(図5〜6の右側)から順に、請求項に記載した嵌合部に相当する円筒面部35と、スプライン部36と、外輪軌道部37と、請求項に記載した円筒面部に相当する第二円筒面部38とを設けている。上記出力側ディスク4の製造時には、上記貫通孔17の内周面のうち、内側面4a寄り部分には、この第二円筒面部38側開口部からショット・ピーニングを施す事により、残留圧縮応力層を形成する。このショット・ピーニングを施す際、上記貫通孔17の内周面の何れの部分にもマスキングを施さない。この為、上記残留圧縮応力層は、上記第二円筒面部38だけでなく、上記外輪軌道部37にも形成される。これに対して本発明のトロイダル型無段変速機用ディスクの製造方法により上記出力側ディスク4を造る場合には、上記外輪軌道部37部分に形成された残留圧縮応力層は、上記ショット・ピーニング後に、研削加工により除去し、この外輪軌道部37部分を平滑面とする。上記第二円筒面部38部分に形成された残留圧縮応力層をそのままとする事は勿論である。
【0022】
上述の様に構成する本発明の製造方法により造られた、上記出力側ディスク4を組み込んだトロイダル型無段変速機の場合には、上記出力側ディスク4の中心部に形成した貫通孔17のうち、トロイダル型無段変速機の運転に伴って最も大きな引っ張り応力が加わる第二円筒面部38部分に残留圧縮応力層が存在する。この為、トロイダル型無段変速機の運転に伴って、パワーローラ8、8(図3〜4)から加わる大きなスラスト荷重に基づき、上記貫通孔17の内周面部分に繰り返し加わる引っ張り応力に拘らず、上記出力側ディスク4の耐久性を確保できる。
更に、上記外輪軌道部37部分を平滑面としているので、この外輪軌道部37部分を含んで構成するニードル軸受16(図3、7、8)の耐久性も確保できる。
尚、本発明の特徴であるディスクは、嵌合部及び外輪軌道と円筒面部とを設けたディスクであれば、図示の例の様に出力側ディスクに限らず、入力側ディスクであっても良い。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上に述べた通り構成され作用する為、ディスク及びこのディスクを支持する為のニードル軸受の耐久性を十分に確保して、トロイダル型無段変速機の実用化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法の対象となるディスクを組み込んだトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す略側面図。
【図2】同じく最大増速時の状態で示す略側面図。
【図3】トロイダル型無段変速機の具体的構造の1例を示す断面図。
【図4】図3のA−A断面図。
【図5】出力側ディスクのみを取り出して示す断面図。
【図6】同じく半部断面図。
【図7】減速時に各ディスクに加わる力を説明する為の、トロイダル型無段変速機の部分断面図。
【図8】増速時の状態を示す、図7と同様の図。
【図9】スラスト荷重に基づく出力側ディスクの変形状態を誇張して示す、出力側ディスクのみを取り出して図7の左方から見た状態で示す図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 枢軸
6 トラニオン
7 変位軸
8 パワーローラ
8a 周面
9 ローディングカム装置
10 ローディングカム
11 保持器
12 ローラ
13、14 カム面
15 入力軸
16 ニードル軸受
17 貫通孔
18 係止溝
19 止め輪
20 鍔部
21 出力歯車
22 キー
23 支持板
24 円孔
25 支持軸部
26 枢支軸部
27 ラジアルニードル軸受
28 ラジアルニードル軸受
29 スラスト玉軸受
30 スラストニードル軸受
31 外輪
32 駆動ロッド
33 駆動ピストン
34 駆動シリンダ
35 円筒面部
36 スプライン部
37 外輪軌道部
38 第二円筒面部
39 スリーブ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
A method for manufacturing a toroidal type continuously variable transmission disk according to the present invention includes, for example , an input side disk constituting a toroidal type continuously variable transmission used as a transmission for an automobile or a transmission for various industrial machines. Or to make an output side disk .
[0002]
[Prior art]
The use of a toroidal continuously variable transmission as schematically shown in FIGS. This toroidal continuously variable transmission, for example, as disclosed in Japanese Utility Model Laid-Open No. 62-71465, supports an
[0003]
That is, the
[0004]
A
[0005]
When the toroidal type continuously variable transmission configured as described above is used, when the
[0006]
When changing the rotational speed ratio (transmission ratio) between the
[0007]
3 to 4 show an example of a more specific toroidal type continuously variable transmission described in the microfilm of Japanese Utility Model Application No. 63-69293 (Japanese Utility Model Laid-Open No. 1-173552). The
[0008]
Both ends of the pair of
[0009]
The pair of
[0010]
In addition, between the outer surface of each of the
[0011]
Further, drive
[0012]
In the case of the toroidal type continuously variable transmission configured as described above, the rotation of the
[0013]
When the rotational force is transmitted between the
[0014]
FIGS. 5 to 6 show the output-
[0015]
During operation of the toroidal continuously variable transmission, the
[0016]
Since such tensile stress is repeatedly applied as the
[0017]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, when a residual compressive stress layer for preventing cracks is formed on the second
The manufacturing method of the toroidal type continuously variable transmission disk of the present invention was invented in view of such circumstances.
[0018]
[Means for solving the problems]
A toroidal type continuously variable transmission incorporating a disk that is the object of the manufacturing method of the present invention is, like the above-described conventional toroidal type continuously variable transmission, concentric with each other and rotatably supported independently of each other. A pair of concentric with each other at the twisted position that does not intersect the center axis of both the input side and output side disks but is perpendicular to the direction of the center axis of these both disks. A plurality of trunnions oscillating around a pivot axis, displacement shafts supported for each of the trunnions, and supported by the respective displacement shafts by bearings so that the inner surfaces of both the input side and output side disks are Ru and a clamping been power rollers during. Also , the inner surfaces of the input and output disks facing each other are concave surfaces each having a circular arc cross section, and the peripheral surfaces of the power rollers are spherical convex surfaces. It is in contact with the side .
Furthermore, in the case of the toroidal type continuously variable transmission disk that is the object of the manufacturing method of the present invention, the outer surface of the disk is arranged on the inner peripheral surface of at least one of the input side and output side disks. The outer ring raceway of the needle bearing provided between the fitting portion for externally fitting this disk to a member that rotates together with this disk and the outer peripheral surface of the rotary shaft inserted inside this disk, in order from the side surface side , The cylindrical surface portions are formed in series with each other.
In the case of the toroidal-type continuously variable transmission disk manufacturing method of the present invention, at least the inner surface of the disk among the inner peripheral surfaces of the disk provided with the fitting portion, the outer ring raceway, and the cylindrical surface portion. After forming the residual compressive stress layer by shot peening on the side portion, at least a part of the residual compressive stress layer of the outer ring raceway portion is left as it is in the residual compressive stress layer formed on the cylindrical surface portion. Is removed by grinding, and the outer ring raceway portion is made a smooth surface .
[0019]
[Action]
The operation of transmitting torque between the input side disk and the output side disk by the toroidal continuously variable transmission incorporating the disk manufactured by the manufacturing method of the present invention configured as described above, and both The action of changing the gear ratio between the disks is the same as that of the conventionally known toroidal type continuously variable transmission as described above.
In particular, in the case of a toroidal continuously variable transmission incorporating a disk manufactured by the manufacturing method of the present invention, a residual compressive stress layer is formed on the inner peripheral surface portion of the disk provided with a fitting portion, an outer ring raceway, and a cylindrical surface portion. Therefore, the durability of the disk can be ensured regardless of the tensile stress repeatedly applied to the inner peripheral surface portion based on the large thrust load applied from the power roller.
Furthermore, since the outer ring raceway portion is a smooth surface, the durability of the needle bearing that includes the outer ring raceway portion can be ensured.
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The feature of the toroidal-type continuously variable transmission disk manufacturing method according to the present invention is that the properties of the inner peripheral surface of the
[0021]
Similarly to the
[0022]
In the case of a toroidal continuously variable transmission incorporating the
Furthermore, since the outer
Note that the disc that is a feature of the present invention is not limited to the output side disc as in the illustrated example, and may be an input side disc as long as the disc has a fitting portion, an outer ring raceway, and a cylindrical surface portion. .
[0023]
【The invention's effect】
Since the present invention is configured and operates as described above, it is possible to sufficiently secure the durability of the disk and the needle bearing for supporting the disk and contribute to the practical use of the toroidal continuously variable transmission.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic side view showing a basic configuration of a toroidal-type continuously variable transmission incorporating a disc that is a target of a manufacturing method of the present invention in a state of maximum deceleration.
FIG. 2 is a schematic side view showing a state at the time of maximum acceleration.
FIG. 3 is a sectional view showing an example of a specific structure of a toroidal-type continuously variable transmission.
4 is a cross-sectional view taken along line AA in FIG.
FIG. 5 is a cross-sectional view showing only the output side disk taken out.
FIG. 6 is a half sectional view of the same.
FIG. 7 is a partial cross-sectional view of a toroidal continuously variable transmission for explaining the force applied to each disk during deceleration.
8 is a view similar to FIG. 7, showing a state at the time of acceleration. FIG.
9 is an exaggerated view of the deformation state of the output side disk based on the thrust load, and is a view showing only the output side disk taken out and viewed from the left side of FIG.
[Explanation of symbols]
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