JP3849087B2 - 除塵機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、用水路を横断して平鋼などを立て並べてスクリーンとしこれに捕捉された塵芥を引き上げることにより用水路から塵芥を除去する除塵機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、用水路の水を利用するのに、用水路を流下する塵芥が障害となるため、これを除去する機械は種々考案されて実用化され、それなりの成果を上げてきた。なかでも用水路を横断して平鋼などを立て並べてスクリーンとし、これに捕捉された塵芥を引き上げる方式の除塵機は歴史も古く種類も多くある。
【0003】
例えば下流側に少し傾けたスクリーンの上流側で用水路の両岸にエンドレスのコンベアチェーンとそのガイドレールを各1組設備し、両岸のコンベアチェーンを継ぐ形に棒状の熊手を数箇所取り付けて、電動機によりコンベアチェーンを駆動すれば熊手がスクリーンの前面に沿って上昇しつつ、スクリーンに捕捉された塵芥をかき上げて水路上に除去し、スクリーンが反転してスクリーンから離れた上流側を降下するときに熊手も水中に戻り、再び塵芥のかき上げを行なう、いわゆるロータリチェーン方式の除塵機がある。
【0004】
あるいは、下流側に少し傾けたスクリーンの上流側の両岸に設けたガイドレールに沿って上下に運動する昇降体に熊手を回転自由に組み付け、昇降体に取り付けて熊手と昇降体を一緒に上下させるためのワイヤロープとこれの巻き取りまたは巻き戻しを行なう昇降用巻上機並びに熊手に取り付けて熊手を開閉させるためのワイヤロープとこれの巻き取りまたは巻き戻しを行なう熊手用巻上機を陸上に設備することにより開いて降下させた熊手をスクリーンの下端部で閉の姿勢とし、熊手の先端をスクリーン前面に接触させつつ上昇させてスクリーン前面の塵芥を水路上にかき上げるいわゆるワイヤロープ方式の除塵機もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いわゆるロータリーチェーン方式の除塵機においては、エンドレスチェーンに導かれて降下し、地上から水中に入った熊手がスクリーンの下端付近において反転し、スクリーン前面に沿って上昇に移行するに際して熊手がスクリーンとの間に木片、小石などをかみ込んで過大な負荷が発生し、電動機が停止したりまたは熊手が折損するなどの故障が多く発生する欠点がある。
【0006】
また水中に常時位置しあるいは出入するエンドレスチェーンやそのガイドレールは錆や流砂による摩耗が激しく、耐用年数が短くなりやすいほか、ステンレス鋼を多く使用するなど高価な除塵機となる。
【0007】
またワイヤロープ方式の除塵機は水深の大きい所に使用可能という長所もあるが、操作速度が遅く、また熊手の重量が重くなるので大きい電動機が必要となり、高価な除塵機であり、大きな据え付けスペースを必要とするなど、小形の除塵機には適当ではない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
古くから用水路を流下する塵芥を除去する手段としては、用水路を横断して平鋼を立て並べて構成したスクリーンに捕捉した塵芥を作業員が用水路から引き上げる方法が一般的である。
【0009】
このときに使用した道具は鋼板製の幅300mm程度の熊手を竹竿の先端に結び付けたものであり、作業員が竹竿を操作して熊手をスクリーンの下端近くまで下げた後、スクリーン前面に沿って引き上げることにより塵芥を引き上げるのである。
【0010】
この作業員の動作を可能な限り忠実に近似する機械を作ることにより、従来の除塵機の持つ欠点を解消しようとするのがこの発明の目的である。特に小さな用水路(幅2.5m以下、深さ1.5m以下程度)に設ける小形の除塵機においては熊手も小さく、昇降竿やガイド管の部材も小形となるので以下に説明するように、作業員の動作に近似した動作を行なう除塵機を提供することが容易となる。
【0011】
このために採用した手段のその1は、長いガイド管に納めた細くて軽量な昇降竿の採用である。断面の大きいガイド管に納められ保護されるので昇降竿は細く軽量のものでよく、昇降竿を昇降する電動機の出力の無駄が少なくて経済的である。
【0012】
手段のその2は、除塵機の機構全体が常時は陸上にあるようにしたことである。このことにより、細長い水草やビニール廃棄物などの流芥が除塵機に絡まることが原因の過負荷による除塵機の停止事故も少なく、また各構造体の材質も普通鋼でよく経済的である。
【0013】
手段のその3は、アームによってスクリーン上部に支持されたガイド管を揺動させることにより、熊手の運動を除塵に最も適したものとしたことである。熊手を降下させるときはガイド管の下端を用水路の上流側へ突き出すことにより熊手はスクリーンより充分上流側を降下するので、スクリーン前面に捕捉された塵芥が熊手の降下を妨げることがない。
【0014】
また熊手を引き上げるときはガイド管を適正位置に保ち、熊手の先端をスクリーン前面に接触させつつ昇降竿とともに熊手を引き上げるので効率よく塵芥のかき上げを行なうことができる。おわりに熊手がスクリーンの上端より上に引き上げられたときは、ガイド管の下端とともに熊手を操作台の上に引き込んで、塵芥を確実に操作台の上方に持ち込んで熊手から漏れて水中に転落するのを防止する。この一連の操作は除塵作業員の所作の近似に成功したものである。
【0015】
またこのガイド管の揺動の中心となる軸が支柱とアームとによってスクリーンの上方の適当な高さに支持され、軸の中心からガイド管の上端または下端までの長さを短くしているので揺動が安定している。
【0016】
手段のその4は熊手の開閉である。熊手の上限位置において熊手から塵芥が落下しやすくするため、熊手の上面をほぼ水平位置から鉛直まで開く。この所作は作業員にはなく、むしろ作業員はもっと複雑な熊手を振ったり、衝撃を加える動作をするのであるが、機械であるゆえに簡略にしたものである。
【0017】
この熊手を開く操作をこの発明においては、昇降ロープを巻き取る最終段階において、熊手を開閉するロープを緩めると同時にガイド管下端の段違い部に熊手の上面の突起が誘導されることにより実現する。
【0018】
またこの熊手を開く操作をこの発明においては、昇降ロープを巻き取る最終段階において熊手の上面を引き上げているT字形の金具の横棒部の両端部を、ガイド管下端の段違い部が誘導溝に沿って押し下げることにより実現する。
【0019】
この発明の除塵機は用水路を横断して平鋼を立て並べて構成したスクリーンに捕捉した塵芥を竹竿の先端に取り付けた熊手を使用してかき上げる作業員の動きを、ガイド管に昇降竿を挿入した2重管の中間部を支柱からスクリーン上部に突き出たアームの先端に揺動自由に取り付けた簡単な機構とガイド管下端切断部の段違い部に熊手上面の突起が誘導されて行なう熊手の開閉操作によって可能なかぎり忠実に再現するものであり、故障の少ない安価な小形の除塵機を提供するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の除塵機の実施の形態を、図面に基いて詳細に説明する。
【0021】
図1から図7はこの発明の除塵機の1実施例を示すものであり、図1は正面図、図2から図7は除塵機の操作の各段階を説明する断面図である。
【0022】
この実施例においては、水路中央に1箇所だけ設けたガイド管と昇降竿により熊手の昇降と開閉を行ない、塵芥をスクリーンから操作台の上に引き上げる。
【0023】
図1から図7において、角形鋼管を使用した昇降竿1の上流側に位置する辺の下端に設けた軸受2に支持される熊手開閉軸3によって回転自由に取り付けられた熊手4の上面5に、取付ピン6によって熊手開閉ロープ7の一端を取り付ける。
【0024】
また、昇降竿1の上部にはガイドローラ8を設けるとともに、昇降竿1を上げまたは下げ操作する昇降ロープ9の端部を取付ピン10によって取り付ける。このように装備した昇降竿1が挿入できる大きさの角形鋼管を、昇降竿1が上げまたは下げの運動をする際のガイド管11とし、その上端に設けた取付台12には熊手開閉ロープ7を巻き取りまたは巻き戻しする熊手用巻上機13と昇降ロープ9を巻き取りまたは巻き戻しする昇降用巻上機14を設置する。
【0025】
一方、ガイド管11の下部には昇降竿1をガイドするローラ15を取り付けると同時に、熊手開閉軸3に直交するガイド管11の面の下端に段違い部16を設け、この段違い部16に接触する位置の熊手4の上面5に突起17を設けてある。
【0026】
図7に示すように、昇降竿1がガイド管11にいっぱいに引き込まれて熊手4の上面5の突起17がガイド管11の下端の段違い部16に導かれると、熊手4を開くことができる。すなわち、熊手用巻上機13を停止したまま昇降用巻上機14を少し動かして、昇降ロープ9を巻き取ると、熊手4の上面5の突起17がガイド管11の下端の段違い部16に接触し、その形状に導かれるので熊手4の上面5は熊手開閉軸3によって約90°回転し、昇降竿1並びにガイド管11の中心線に直交する位置から平行する位置に変化する。すなわち、熊手4が開くのである。
【0027】
ところで用水路18において、平鋼を立て並べて作ったスクリーン19は、用水路18の底の溝20によって下端を固定され、上部を用水路18の上を横断して設置した操作台21によって支持されている。
【0028】
また操作台21に強固に取り付けて立てた支柱22から上流方向に突出したアーム23の先端の軸受24とガイド管11の中間部に設けた軸支持部25とが軸26によって回転自由に結合されている。
【0029】
一方、支柱22の天端部に設けた取付台27にピン28によってその基部を取り付けたネジ式伸縮機29の先端部をピン30によってガイド管11の上部に設けた取付台31と結合する。したがってネジ式伸縮機29を伸縮するとガイド管11が軸26を中心にして揺動する。よって昇降竿1の下端にある熊手4を上流方向に移動させたり、下流方向に移動させたりすることができる。
以上のように構成した除塵機によってスクリーン19が流水から捕捉した塵芥33を操作台21の上にかき上げる手順を図2から図7までの断面図によって説明する。
【0030】
図2は除塵機の休止姿勢である。熊手開閉ロープ7は熊手用巻上機13によって、また昇降ロープ9は昇降用巻上機14によって、各々バランスよく巻き取られているので、昇降竿1は大部分がガイド管11の内にあり、熊手4の上面5は昇降竿1の下端の切断部32に密着している。また、ネジ式伸縮機は短くなってガイド管11の下端とともに熊手4を用水路18の上流方向に押し出している。除塵操作はこの姿勢からスタートし、この姿勢に戻って終了する。
【0031】
図2の姿勢から熊手用巻上機13により熊手開閉ロープ7が、また昇降用巻上機14により昇降ロープ9がそれぞれ等しい速度で、同一長さだけ巻き戻されて熊手4をその下限位置まで降下させたのが図3の姿勢である。
【0032】
これに引き続いて、ネジ式伸縮機29を適度に伸ばして熊手4の先端をスクリーン19の前面に接触させたのが、図4の姿勢である。
【0033】
さらに、熊手開閉ロープ7を熊手用巻上機13によって、また昇降ロープ9を昇降用巻上機14によって、それぞれ等しい速度で同一長さだけ巻き取り、熊手用巻上機13の巻き取り限度に至ったのが図5の姿勢である。熊手4はスクリーン19の前面に捕捉されていた塵芥33をかき取り、スクリーン19の上端より上に余裕をもって位置している。
【0034】
図5の姿勢からネジ式伸縮機29を最大限度まで伸ばして熊手4を操作台21の上方に引き込み、塵芥33を操作台21の上に落とす準備をしたのが図6の姿勢である。
【0035】
これに続いて熊手用巻上機13を停止させたまま昇降用巻上機14を動かして昇降ロープ9をその巻き取り限度まで巻き取ったのが図7の姿勢である。
【0036】
昇降ロープ9だけを巻き取ったことにより熊手開閉ロープ7には緩みが生じ、熊手4の上面5の突起17がガイド管11の下端の段違い部16に導かれて熊手4が開いた結果、塵芥33が操作台21の上面に放出されている。
【0037】
塵芥33の放出のあと、ネジ式伸縮機29を限度まで短くしてガイド管11の下部と熊手4を用水路18の上流側に戻し、昇降用巻上機14により昇降ロープ9を図6から図7に変化させるために巻き取った長さだけ巻き戻すと、図2の姿勢に復帰する。
【0038】
すなわち、最初の休止位置に戻ったのであり、以上の手順を繰り返すことにより除塵機はスクリーン19の前面に捕捉された塵芥33を操作台21の上面にかき上げることができる。
【0039】
以上に説明したこの発明の上記実施例では、用水路の幅も深さも小さいものであるため、ガイド管11と昇降竿1が各1本であったが、用水路の幅が大きい場合は昇降竿1とガイド管11を2組使用して用水路の幅に適応した幅の熊手4を上昇、降下、開、閉するようにすれば、熊手4の安定がよく、スクリーン19の全幅において塵芥33のかき上げを効率よく実施することができる。
【0040】
いずれにしても、スクリーン19の前面から熊手4によって塵芥33をかき上げるとき、スクリーン19の前面と昇降竿1(ガイド管11)の中心線とが平行となるようにアーム23の先端の軸26の位置を決定すると、かき上げが安定する。
【0041】
また、スクリーン19の傾き角が90°(すなわち鉛直)の場合において昇降竿1の長さを短く設計できるので経済的である。
図8から図17はこの発明の除塵機の他の実施例を示すものであり、図8から図13は除塵機の操作の各段階を説明する断面図、図14は図11の誘導溝や熊手付近の詳細図、図15は図14の状況を熊手の先端側から見た詳細図、図16は図12から図13に移行する過程において、ガイド管下端の段違い部の斜線部がT字形の金具の横棒部の両端部を誘導溝の支持する部分から押し出す状況の詳細図、図17は図13の誘導溝と熊手の付近の詳細図である。
【0042】
この実施例においては、水路中央に1箇所だけ設けたガイド管と昇降竿により熊手の昇降と開閉を行ない、塵芥をスクリーンから操作台の上に引き上げる。
【0043】
図8から図17において、角形鋼管を使用した昇降竿41の下端の用水路中心線に直交する方向であり、上流側に位置する辺の下端に設けた軸受42に支持される熊手開閉軸43によって回転自由に昇降竿41の下端に取り付けられた熊手44の上面45に、熊手44の開閉を制御するT字形の金具46の縦棒部の最下端をピン47によって回転自由に取り付ける。
【0044】
このT字形の金具46の横棒部の中央48に取り付けたロープ49は誘導プーリ51によって昇降竿41の内部において熊手開閉軸43を下端に取り付けた角形鋼管の辺の反対側の辺の近くを通るように誘導された後に、誘導プーリ51によって昇降竿41の内部の中心部に戻って上方に向かい、昇降竿41の天端にピン52によって取り付けられて昇降竿41の内部に吊り下げられた充分大きい弾性力と充分な長さを有する引張バネ53の下端54に取り付けられて熊手44の上面45を昇降竿41の下端切断面55に密着するよう引張バネ53の弾性力によって熊手44をT字形の金具46を介して引き上げている。
【0045】
一方、このT字形の金具46の横棒部の両端部56は昇降竿41の熊手開閉軸43に直交する辺の下端近くに設けた概略くの字形の誘導溝57に納まってT字形の金具46の移動を規制している。
【0046】
この誘導溝57の特徴は、上部が熊手開閉軸43を取り付けた辺の反対側の辺に接近し、熊手44の上面45が昇降竿41の下端の切断面55に密着したときにT字形の金具46の横棒部の両端部56が納まるべき位置であり、その位置でT字形の金具46が熊手44から引かれたときに横棒部の両端部56を支持する部分(昇降竿の中心線に直交する方向の誘導溝の縁の部分)58を有しており、また誘導溝57の下部は熊手開閉軸43を取り付けた辺に接近し、熊手44が熊手開閉軸43によって約90°回転したときにT字形の金具46の横棒部の両端部56が納まるべき位置であり、この2点を斜めに結んで1個の誘導溝57としたものである。
また昇降竿41の上端にはガイド管59の内面に沿って移動するためのガイドローラ60を設けるとともに、昇降竿41を上げまたは下げ操作するための昇降ロープ61の下端をピン62によって取り付けてガイド管59の内部を上方に導く。
【0047】
このように装備した昇降竿41が挿入できる大きさの角形鋼管を昇降竿41が上下に運動する際のガイド管59とし、その上端には昇降竿41を上下させる昇降ロープ61を巻き取りまたは巻き戻しする巻上機63を設置する。
【0048】
一方、ガイド管59の下部には昇降竿41をガイドするローラ64を取り付けると同時に、ガイド管59の熊手開閉軸43に直交する面の下端切断部に段違い部を設ける。
【0049】
この段違い部には、昇降竿41の下端付近がガイド管59の下端に引き込まれたときにT字形の金具46の横棒部の両端部56が接触する。この段違い部の斜線部65はT字形の金具46の横棒部の両端部56を誘導溝57の上部の支持する部分58から押し出すように機能する。
【0050】
一方、この段違い部の直角部分66はT字形の金具46の横棒部の両端部56をガイド管59の下端方向に押し下げるよう機能する。
【0051】
ところで用水路67において、平鋼を立て並べて作ったスクリーン68は、用水路67の底の溝69によって下端を固定され、上部を用水路67の上を横断して設置した操作台70によって支持されている。
【0052】
また操作台70に強固に取り付けて立てた支柱71から上流方向に突出したアーム72の先端の軸受73とガイド管59の中間部に設けた軸支持部74とが軸75によって回転自由に結合されている。
【0053】
一方、支柱71の天端部に設けた取付台76にピン77によってその基部を取り付けたネジ式伸縮機78の先端部をピン79によってガイド管59の上部に設けた取付台80と結合する。したがってネジ式伸縮機78を伸縮するとガイド管59が軸75を中心にして揺動する。よって昇降竿41の下端にある熊手44を上流方向に移動させたり、下流方向に移動させたりすることができる。
以上のように構成した除塵機によって、スクリーン68が流水から捕捉した塵芥81を操作台70の上にかき上げる手順を、図8から図13によって説明する。
【0054】
図8は除塵機の休止姿勢を示す。昇降ロープ61は巻上機63によっ巻き取り限度手前まで巻き取られているので、昇降竿41は大部分がガイド管59の内にあり、熊手44の上面45は昇降竿41の上端にピン52で吊り下げられた引張バネ53の弾性力によってロープ49、T字形の金具46を介して引き上げられ、昇降竿41の下端の切断面55に密着している。
【0055】
また、ネジ式伸縮機78は短く縮んでガイド管59の下端とともに熊手44を用水路67の上流方向に押し出している。除塵操作はこの姿勢からスタートし、この姿勢に戻って終了する。
図8の姿勢から巻上機63により昇降ロープ61が巻き戻され、熊手44をその下限位置まで降下させたのが図9の姿勢である。
【0056】
これに引き続いて、ネジ式伸縮機78を適度に伸ばして熊手44の先端をスクリーン68の前面に接触させたのが、図10の姿勢である。
【0057】
さらに、巻上機63によって昇降ロープ61を巻き取り、昇降竿41とともに熊手44をスクリーン68の前面の塵芥81をかき取りつつ引き上げたのが図11の姿勢であり、図14および図15がそのときの誘導溝57や熊手44の付近の詳細を示している。この過程において熊手44は塵芥81の重量やスクリーン68との摩擦力によって下方向の力を受けるのであるが、引張バネ53の弾性力に加えてT字形の金具46の横棒部の両端部56が誘導溝57の支持する部分58に保持されるため熊手開閉軸43によって回転することはできない。すなわち熊手44は塵芥81をかき取る姿勢を変えることなくスクリーン68の上方まで引き上げられる。
【0058】
図11の姿勢からネジ式伸縮機78を最大限度まで伸ばして熊手44を操作台70の上方に引き込み、塵芥81を操作台70の上に落とす準備をしたのが図12の姿勢である。
【0059】
これに続いて巻上機63を動かして昇降ロープ61をその巻き取り限度まで巻き取ったのが図13の姿勢である。
【0060】
図12の姿勢において巻上機63を動かして昇降ロープ61の巻き取りを始めると昇降竿41の下端部がガイド管59の下端切断部の段違い部に引き込まれる。ぞして図16のように、先ず最初に段違い部の斜線部65がT字形の金具46の横棒部の両端部56を誘導溝57の支持する部分58から押し出し、次に段違い部の直角部分66がT字形の金具46の横棒部の両端部56を誘導溝57の下部に向かって押し下げる。その結果T字形の金具46によって押された熊手44が熊手開閉軸43によって約90°回転し、塵芥81を放出するのに有利な姿勢となったのが図13および図17の状態である。
【0061】
この状態では引張バネ53は伸びているが、引張バネ53は充分に長いから弾性力の増大はそれほど大きくならず、巻上機63にとって過大なものとはならない。
【0062】
このようにして操作台70の上に塵芥81を放出したあと、ネジ式伸縮機78を限度まで短くしてガイド管59の下部と熊手44を用水路67の上流側に戻し、巻上機63により昇降ロープ61を図12から図13に変化させるために巻き取った長さだけ巻き戻すと、図8の姿勢に復帰する。
【0063】
すなわち、最初の休止位置に戻ったのであり、以上の手順を繰り返すことにより除塵機はスクリーン68の前面に捕捉された塵芥81を操作台70の上面にかき上げることができる。
【0064】
【発明の効果】
この発明の除塵機によれば、安価で故障の少ない除塵機を提供できるのであるが、以下に具体的に説明する。すなわち、
(1)この発明の除塵機によれば、構造が簡単で部品数は少ないので、製造費がかからず、安価で故障の少ない、かつ操作の容易な除塵機を提供できる。
(2)操作するときに動く部品がすべて通常時は陸上にあるので、摩耗や発錆による劣化がなく、維持、修繕も容易である。
(3)熊手、昇降竿、ガイド管、巻上機、ネジ式伸縮機、アーム、支柱など全部品が操作台の上に組み立てられるから、工場において組み立てた除塵機をそのまま現地に運搬し、設置することができる。よって現場費用が非常に安価となる。
(4)前項と同一の理由で、この発明の除塵機を車両(自動車等)に搭載し数箇所のスクリーンを巡回して除塵する、移動式除塵機とすることができ、安価に除塵作業の動力化が実現できて画期的である。
(5)用水路に鉛直に立て並べたスクリーンから除塵するのに適しているので、急流部の狭い谷の取水設備や都市河川など、除塵機の据え付けスペースが大きくできない現場に応用すると有利である。
【0065】
以上の効果は、最近、農村、都市とを問わず、河川、用水路が汚れ、流芥が増加したため、小さな水路の狭い場所での除塵作業の機械化、動力化が求められ、その箇所数も増加する傾向にある社会の要請に対応するものであり、構造が簡単で安価であり、しかも故障が少なくかつ維持費の少ない除塵機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の除塵機の一実施例の正面図である。
【図2】この発明の除塵機の一実施例の断面図で、熊手が休止位置にある。
【図3】塵芥をかき上げるべく、熊手をスクリーンより上流に離した姿勢で熊手を下限まで下げた状態の断面図である。
【図4】熊手を下限まで下げ、かつ熊手の先端をスクリーン前面に接触させ、これから塵芥をかき上げようとする状態の断面図である。
【図5】塵芥をかき取りつつ熊手を上限まで引き上げた状態の断面図である。
【図6】熊手を操作台上に引き込んだ状態の断面図である。
【図7】操作台の上で熊手を開き、塵芥を放出した状態の断面図である。
【図8】この発明の除塵機の他の実施例の断面図で、熊手が休止位置にある。
【図9】塵芥をかき上げるべく、熊手をスクリーンより上流に離した姿勢で熊手を下限まで下げた状態の断面図である。
【図10】熊手を下限まで下げ、かつ熊手の先端をスクリーン前面に接触させ、これから塵芥をかき上げようとする状態の断面図である。
【図11】塵芥をかき取りつつ熊手を上限まで引き上げた状態の断面図である。
【図12】熊手を操作台上に引き込んだ状態の断面図である。
【図13】操作台の上で熊手を開き、塵芥を放出した状態の断面図である。
【図14】図11の誘導溝や熊手付近の詳細図である。
【図15】図14の状況を熊手の先端側から見た詳細図である。
【図16】図12から図13に移行する過程において、ガイド管下端の段違い部の斜線部がT字形の金具の横棒部の両端部を誘導溝の支持する部分から押し出す状況の詳細図である。
【図17】図13の誘導溝と熊手の付近の詳細図である。
【符号の説明】
1 昇降竿
2 軸受
3 熊手開閉軸
4 熊手
5 上面
6 取付ピン
7 熊手開閉ロープ
8 ガイドローラ
9 昇降ロープ
10 取付ピン
11 ガイド管
12 取付台
13 熊手巻上機
14 昇降巻上機
15 ローラ
16 段違い部
17 突起
18 用水路
19 スクリーン
20 溝
21 操作台
22 支柱
23 アーム
24 軸受
25 軸支持台
26 軸
27 取付台
28 ピン
29 ネジ式伸縮機
30 ピン
31 取付台
32 切断部
33 塵芥
41 昇降竿
42 軸受
43 熊手開閉軸
44 熊手
45 上面
46 T字形の金具
47 ピン
48 横棒部の中央
49 ロープ
51 誘導プーリ
52 ピン
53 引張バネ
54 下端
55 下端切断面
56 横棒部の両端部
57 誘導溝
58 支持する部分
59 ガイド管
60 ガイドローラ
61 昇降ロープ
62 ピン
63 巻上機
64 ローラ
65 斜線部
66 段違い部の直角部分
67 用水路
68 スクリーン
69 溝
70 操作台
71 支柱
72 アーム
73 軸受
74 軸支持部
75 軸
76 取付台
77 ピン
78 ネジ式伸縮機
79 ピン
80 取付台
81 塵芥
Claims (4)
- 下記の構成を有するようにしたことを特徴とする除塵機。
a.断面が4辺形の管状の昇降竿の用水路中心線に直交する方向の2辺のうち、上流側に位置する辺の下端に水平に設けた軸受に支持される熊手開閉軸によって、熊手を昇降竿の下端に回転自由に取付け、
b.また、昇降竿の上端には昇降竿が上下に運動できる径とした断面が4辺形の筒状のガイド管の内面に沿って移動するためのガイドローラを設けるとともに、昇降竿を上げまたは下げ操作する昇降ロープの一端を取り付けて上記ガイド管の内部を上方に導き、上記ガイド管の上端に設置した昇降ロープを巻き取りまたは巻き戻しする昇降用巻上機に接続し、
c.さらに前記熊手の上面に熊手を開閉するロープの一端を取り付けて昇降竿の内部からガイド管の内部を経て上方に導き、ガイド管の上端に設置した熊手を開閉するロープを巻き取りまたは巻き戻しする熊手巻上機に接続し、
d.一方、ガイド管の下端には昇降竿をガイドするローラを取り付けると同時にガイド管の熊手開閉軸に直交する面の下端切断部に段違い部を設け、
e.この段違い部に接触するように熊手の上面に突起を設けて昇降竿の下端がガイド管の下端部に引き込まれたときに熊手の突起がガイド管の下端部の段違い部に誘導されて熊手の上面が昇降竿ならびにガイド管の中心線に直交する姿勢から平行な姿勢に熊手開閉軸によって約90°回転するよう構成し、
f.他方、用水路を横断して平鋼等を立て並べて構成したスクリーンの上部を支持するよう、用水路の上に用水路を横断して設置した操作台に強固に取り付けて立てた支柱の適当な高さにおいて、スクリーン上方に突き出したアームに設けた軸受に用水路の中心線に直交しかつ水平な回転軸を納め、この回転軸によってガイド管の中間部に設けた軸受とアーム先端の軸受を連結し、
g.これによって支柱からスクリーンの上方に突き出したアームの先端において揺動自由にその中間部を支持されたガイド管に挿入された昇降竿の下端に開閉自由に取り付けられた熊手が、ガイド管の揺動によってスクリーンの上流方向や下流方向に移動可能となるようにし、
h.加えて、支柱の天端部に一端をピンによって取り付けたネジ式伸縮機の他端をガイド管の上端部近くにピンによって連結してネジ式伸縮機の伸縮によってガイド管が揺動するようにした。 - 下記の構成を有するようにしたことを特徴とする除塵機。
a.断面が4辺形の管状の昇降竿の用水路中心線に直交する方向の2辺のうち、上流側に位置する辺の下端に水平に設けた軸受に支持される熊手開閉軸によって回転自由に昇降竿の下端に取り付けられた熊手の上面に、熊手の開閉を制御するT字形の金具の縦棒部の最下端をピンによって回転自由に取り付け、
b.このT字形の金具の横棒部の中央に取り付けたロープは誘導プーリによって昇降竿の内部において熊手開閉軸を下端に取り付けた昇降竿の辺の反対側の辺の近くを通るように誘導された後に上方に向かい、昇降竿の天端に取り付けられて昇降竿の内部に吊り下げられた充分大きい弾性力と充分な長さを有する引張バネの下端に取り付けられて熊手の上面を昇降竿の下端切断面に密着するよう引張バネの弾性力によって熊手をT字形の金具を介して引き上げ、
c.一方、このT字形の金具の横棒部の両端部は昇降竿の熊手開閉軸に直交する辺の下端近くに設けた概略くの字形の誘導溝に納まってT字形の金具の移動を規制し、
d.この誘導溝を、上部が熊手開閉軸を取り付けた辺の反対側の辺に接近し、熊手の上面が昇降竿の下端の切断面に密着したときにT字形の金具の横棒部の両端部が納まるべき位置であり、その位置でT字形の金具が熊手から引かれたときに横棒部の両端部を支持する部分を有すると同時に、誘導溝の下部は熊手開閉軸を取り付けた辺に接近し、熊手が熊手開閉軸によって約90°回転したときにT字形の金具の横棒部の両端部が納まるべき位置であり、この2点を斜めに結んで1個の誘導溝となるよう構成し、
e.また、昇降竿の上端には昇降竿が上下に運動できる径とした断面が4辺形の筒状のガイド管の内面に沿って移動するためのガイドローラを設けるとともに、昇降竿を上げまたは下げ操作する昇降ロープの一端を取り付けて上記ガイド管の内部を上方に導き、
f.上記筒状のガイド管の上端に設置した昇降ロープを巻き取りまたは巻き戻しする昇降用巻上機に接続し、
g.一方、ガイド管の下端には昇降竿をガイドするローラを取り付けると同時にガイド管の熊手開閉軸に直交する面の下端切断部に段違い部を設け、
h.この段違い部には昇降竿の下端がガイド管の下端部に引き込まれたときにT字形の金具の横棒部の両端部が接触するようにし、
i.すなわち、この段違い部の先端と段の後部とを結ぶ斜線部はT字形の金具の横棒部の両端部を誘導溝の上部から押し出すよう機能し、段の後部はT字形の金具の横棒部の両端部を誘導溝にしたがって昇降竿の下端の方向に押し下げるよう機能する形状とし、
j.他方、用水路を横断して平鋼等を立て並べて構成したスクリーンの上部を支持するよう、用水路の上に用水路を横断して設置した操作台に強固に取り付けて立てた支柱の適当な高さにおいて、スクリーン上方に突き出したアームに設けた軸受に用水路の中心線に直交しかつ水平な回転軸を納め、この回転軸によってガイド管の中間部に設けた軸受とアーム先端の軸受を連結し、
k.これによって支柱からスクリーンの上方に突き出したアームの先端において揺動自由にその中間部を支持されたガイド管に挿入された昇降竿の下端に開閉自由に取り付けられた熊手が、ガイド管の揺動によってスクリーンの上流方向や下流方向に移動可能となり、
l.加えて、支柱の天端部に一端をピンによって取り付けたネジ式伸縮機の他端をガイド管の上端部近くにピンによって連結してネジ式伸縮機の伸縮によってガイド管が揺動するようにした。 - 請求項1または2に記載した除塵機において、ネジ式伸縮機の代わりに油圧ジャッキまたは空気ジャッキを使用してガイド管を揺動させるようにしたことを特徴とする除塵機。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載した除塵機において、ロープの代わりにローラチェーンまたはリンクチェーンを使用したことを特徴とする除塵機。
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JP34388198A JP3849087B2 (ja) | 1998-12-03 | 1998-12-03 | 除塵機 |
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1998
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