JP3848304B2 - テーブル姿勢調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップの角度調整等に利用されるテーブル姿勢調整装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テーブルの姿勢を変化させる姿勢調整装置としては、ウォーム&ホイール等を利用してテーブルを一定範囲内の角度で回転させるようにしたものが一般的であったが、歯車のバックラッシュによる位置決め誤差や動力伝達機構における動力の損失、更には、動力伝達機構における機械的な減速比の設計変更が容易でない等の点で問題があった。
【0003】
このような問題に鑑み、本出願人らは、ワークを載置するテーブルと、テーブルの移動方向を円弧軌跡に沿って規制するガイド手段と、テーブルを円弧軌跡に沿って移動させることで当該テーブルの姿勢を変化させるテーブル送り機構とを備えた微動位置決め機構を既に特許文献1として提案している。
【0004】
特許文献1として提案した微動位置決め機構の主要部の構成を図10の断面図に示す。
【0005】
この微動位置決め機構は、図10に示されるように、ワークを載置するテーブル100と、テーブル100を支えるベース101、および、ベース101に主要部を内蔵されたテーブル送り機構102によって構成される。
【0006】
このうち、下面を円弧状に形成されたテーブル100は、ドーブテールやアリ溝等からなる公知のガイド手段103を介してベース101上に取り付けられ、ベース101上の円弧軌跡104に沿って移動自在とされている。
【0007】
一方、テーブル送り機構102は、テーブル100の下面に沿って配備された2つのプーリ106,106と、該プーリ106,106に巻回されたタイミングベルト等の巻き掛けベルト105、および、送りネジ機構107によって構成される。
【0008】
このうち、送りネジ機構107の主要部を構成するリードネジ108は、円弧軌跡104に対して径方向の外側、つまり、図10で言えば円弧軌跡104の下方にオフセットして配備され、リードネジ108に螺合されたナットからなる走行子109が、リードネジ108の回転に応じて図10中の左右方向に直線移動するようになっている。
【0009】
そして、走行子109の直線移動に伴って、この走行子109にボルト等の係止手段110を介して固定された巻き掛けベルト105が回転駆動され、この巻き掛けベルト105の他部にボルト等の係止手段111を介して固定されたテーブル100が円弧軌跡104に沿って移動することによって、該テーブル100の姿勢、つまり、水平面を基準としたワーク載置面100aの傾き角度が変化するようになっている。テーブル100の姿勢変化の一例を図10中に二点鎖線で示す。
【0010】
このように、送りネジ機構や巻き掛けベルト等をテーブル送り機構として利用することにより歯車列に固有のバックラッシュの問題が改善された。
また、様々なリードを有する送りネジ機構が規格化して市販されていることから、送りネジ機構のみを換装する簡単な作業で微動位置決め機構における機械的な減速比の変更も容易に実施できるようになり、更には、送りネジ機構としてボールスクリュー&ソケット等を利用すれば、機械系の摩擦抵抗を大幅に軽減して動力の損失を抑制することも可能となった。
【0011】
【特許文献1】
特願平11−58177号(段落番号0109〜0133,図5)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、可撓性の巻き掛けベルトには、機械要素それ自体の問題として、曲げ伸ばしの繰り返しによる経年変化の問題がつきまとう。
【0013】
また、巻き掛けベルトを動力伝達手段として利用している関係上、送りネジ機構とテーブルの下面との間にプーリを配備しなければならず、更に、このプーリを極端に小径化するとベルトの曲げ伸ばしによる素材の劣化が問題になるといった事情もあり、装置の小型化に限界があった。
【0014】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、巻き掛けベルトやプーリを使用せずにテーブルの姿勢を変化させることが可能であって、しかも、耐久性が高く且つ小型化の容易なテーブル姿勢調整装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ワークを載置するテーブルと、テーブルの移動方向を円弧軌跡に沿って規制するガイド手段と、テーブルを円弧軌跡に沿って移動させることでテーブルの姿勢を変化させるテーブル送り機構とを備えたテーブル姿勢調整装置であり、前記目的を達成するため、特に、
送りネジ機構で駆動される走行子と、この走行子とテーブルとを接続するジョイント機構とによってテーブル送り機構を構成し、
前記走行子の直線移動軌跡を前記円弧軌跡から径方向にオフセットして配備すると共に、
前記ジョイント機構に、走行子の直線移動方向に対するテーブルの姿勢変化を許容する姿勢変化許容部と、前記走行子とテーブルとの間の離間距離の変化を許容する距離変化許容部とを設け、これらの姿勢変化許容部および距離変化許容部を共に剛体によって形成し、
前記姿勢変化許容部が、前記円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を有して前記走行子の周りに回転自在に接続された回転部材によって構成される一方、
前記距離変化許容部が、前記回転軸の径方向に直線移動を許容されて前記回転部材に嵌合された移動部材によって構成され、
該移動部材の先端部が前記テーブルに接続されていることを特徴とする構成を有する。
【0016】
以上の構成において送りネジ機構を作動させると、この送りネジ機構に装着された走行子が直線移動軌跡に沿って移動する。
テーブルはジョイント機構を介して走行子に接続されているので、走行子の直線移動に伴ってガイド手段による規制を受けつつ円弧軌跡に沿って移動し、その姿勢を様々に変化させる。
走行子の移動軌跡が直線移動軌跡であるのに対してテーブルの移動軌跡は円弧軌跡となっているため、走行子やテーブルの移動に伴って走行子の直線移動軌跡に対するテーブルの姿勢が様々に変化し、また、走行子とテーブルとの間の離間距離も様々に変化することになるが、走行子の直線移動軌跡に対するテーブルの姿勢変化はジョイント機構の姿勢変化許容部によって許容され、同時に、走行子とテーブルとの間の離間距離の変化はジョイント機構の距離変化許容部によって許容されるので、直線移動する走行子によってテーブルを円弧軌跡に沿わせて正確に移動させることが可能となる。
この際、走行子の周りに回転自在に接続された回転部材が円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を中心として回転することにより、走行子の直線移動軌跡に対するテーブルの姿勢変化、より具体的には、テーブルに接続された移動部材の走行子に対する傾き角度の変化を許容し、同時に、回転部材に嵌合された移動部材が回転部材に対して回転軸の径方向に直線移動することにより、走行子とテーブルとの間の離間距離の変化を許容することになる。
しかも、ジョイント機構を構成する姿勢変化許容部と距離変化許容部は共に剛体によって形成されているので、可撓性の巻き掛けベルトを使用した従来の微動位置決め機構とは違い、経年変化による劣化や損傷が発生せず、装置を長期間に亘って安定的に使用することができる。
更に、姿勢変化許容部および距離変化許容部からなる一組のジョイント部材によって走行子とテーブルとを接続して走行子の動きをテーブルに伝達するようにしているので、巻き掛けベルトと複数のプーリを併用して走行子の動きをテーブルに伝達する従来の微動位置決め機構と比べて装置の小型化も容易である。
【0019】
あるいは、円弧軌跡を含む平面内で走行子の直線移動軌跡に直交する方向に直線移動を許容されて走行子に接続された移動部材によって距離変化許容部を構成する一方、
円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を有して移動部材の周りに回転自在に嵌合された回転部材によって姿勢変化許容部を構成し、
この回転部材の先端部をテーブルに接続した構成としてもよい。
【0020】
このような構成を適用した場合には、走行子に接続された移動部材が走行子の直線移動軌跡に直交する方向に直線移動することにより、走行子とテーブルとの間の離間距離の変化を許容する。
同時に、移動部材の周りに回転自在に嵌合された回転部材が円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を中心として回転することにより、走行子の直線移動軌跡に対するテーブルの姿勢変化、より具体的には、走行子に接続された移動部材に対するテーブルの傾き角度の変化を許容することになる。
【0021】
ここで、走行子の周りに回転部材および移動部材を内外に重合して配備するように構成することも可能である。
【0022】
このような構成を適用すれば、送りネジ機構における送りネジの外周部に走行子と回転部材および移動部材を纏めて取り付けることができるので、ジョイント機構の一層の小型化が可能であり、装置全体の小型化は更に容易となる。
【0023】
更に、より具体的な実施態様としては、走行子の直線移動軌跡を円弧軌跡に対して径方向の外側にオフセットした構成が望ましい。
【0024】
走行子の直線移動軌跡を円弧軌跡に対して径方向の外側にオフセットすることにより、テーブルを走行子に接近させてテーブルの姿勢を中立位置とした際にテーブルと走行子との間の離間距離を最短として、移動部材を最も短縮した状態とすることができる。このため、回転部材に対して直線移動する移動部材のブレ(請求項1の構成を適用した場合)、あるいは、走行子に対して直線移動する移動部材のブレ(請求項2の構成を適用した場合)によって生じる機械的な誤差を、テーブルの姿勢の中立位置、つまり、最も頻繁に使用されると考えられる姿勢において最小とすることができる。
また、これとは逆に、走行子の直線移動軌跡を円弧軌跡に対して径方向の内側にオフセットした構成も適用可能であるが、その場合は、テーブルの姿勢を中立位置とした際にテーブルと走行子との間の離間距離が最大となる一方、テーブルの姿勢を限界まで変化させた際に移動部材が最も短縮された状態となる。従って、直線移動軌跡を円弧軌跡に対して径方向の内側にオフセットした場合では、移動部材のブレによって生じる機械的な誤差は、テーブルの姿勢変化の限界位置で最小となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を適用したテーブル姿勢調整装置の幾つかの例について具体的に説明する。
【0030】
図1は本発明を適用した一実施形態のテーブル姿勢調整装置の主要部の構成を示した断面図である。
【0031】
本実施形態のテーブル姿勢調整装置1は、図1に示されるように、ワークを載置するワーク載置面2aを有するテーブル2と、テーブル2を支えるベース3、および、ベース3に主要部を内蔵されたテーブル送り機構4によって構成される。
【0032】
テーブル2の下面は図1に示される通り円弧状に形成され、ドーブテールやアリ溝等からなる公知のガイド手段5を介してベース3上に取り付けられ、ベース3上の円弧軌跡6に沿って移動自在とされている。つまり、ガイド手段5はテーブル2の移動方向を円弧軌跡6に沿って規制するためのガイド手段であり、円弧軌跡6は垂直面内に形成されていることになる。
【0033】
また、テーブル2を円弧軌跡6に沿って移動させるテーブル送り機構4は、送りネジ機構7の一部を構成するリードネジ10で駆動される走行子8と、テーブル2の下面と走行子8とを接続するジョイント機構9により構成される。
【0034】
リードネジ10は両端のベアリング15,15とスリーブ16,16とを介してベース3に対し回転自在かつ軸方向移動不能に取り付けられ、リードネジ10の一端に装着された手動操作ハンドル17に対する回転操作、もしくは、手動操作ハンドル17に代えて取り付けられる図示しないステッピングモータ等の駆動手段によって回転駆動されるようになっている。
【0035】
走行子8の直線移動軌跡はリードネジ10の中心軸と同一であり、リードネジ10、すなわち、走行子8の直線移動軌跡は、図1に示される通り、ベース3上の円弧軌跡6から径方向の外側にオフセットして配備されていることになる。
なお、ここでいう径方向とは円弧軌跡6の曲率半径の方向性のことであり、「径方向の外側にオフセットして配備する」というのは、具体的には、円弧軌跡6の凸側に所定の間隔をあけてリードネジ10を配備するといった意味合いである。
【0036】
送りネジ機構は、本来、送りネジとして機能するリードネジあるいはボールスクリュー等と、これに螺合するナットあるいはソケット等によって構成されるものであるが、本実施形態においては、ネジ穴を設けた走行子8をリードネジ10と直に螺合させているので、走行子8それ自体が送りネジ機構7の一部を構成するナットあるいはソケット等として機能していることになる。
ここでは一例としてリードネジ10を採用しているが、ボールスクリュー其の他の送りネジを利用してもよい。
【0037】
走行子8の外観を図2(a)に、また、ジョイント機構9の一部を構成する回転部材11と移動部材12の外観を各々図2(b)および図2(c)に示す。
【0038】
走行子8は、図2(a)に示されるように、円柱状の本体13に直径方向のネジ穴14を形成した部材であり、ネジ穴14に螺合されたリードネジ10の回転によって図1中で左右方向の直線移動軌跡に沿って送りを掛けられる。
【0039】
また、ジョイント機構9の一部を構成する回転部材11は本実施形態における姿勢変化許容部を構成するもので、図2(b)に示されるように、円柱状の本体18を直径方向に貫通する孔19と、この孔19に直交して本体18を直径方向に貫通する他の孔20を備える。
【0040】
このうち、孔19は、走行子8を内嵌して回転自在に軸支するためのもので、走行子8の本体13の外径に匹敵する内径を備えた完全な円孔である。
孔19と走行子8とのハメアイに関しては、走行子8を回転軸として回転する回転部材11の回転を妨げない範囲でタイトなものとすることが望ましい。
【0041】
また、本体18の孔20は、走行子8に螺合するリードネジ10を挿通するためのものである。
孔20の寸法および形状は、回転部材11が走行子8を回転軸として回転する際に、走行子8に螺合されたリードネジ10が孔20と干渉するのを防止する必要性を満たすため、上下方向の長穴とするか、あるいは、リードネジ10の外径よりも相当度に大きな円孔等とする。
【0042】
一方、ジョイント機構9の一部を構成する移動部材12は本実施形態における距離変化許容部を構成するもので、図2(c)に示されるように、円筒状の本体21と其の上部に形成された矩形状のフランジ部22とで一体に構成されている。
【0043】
円筒状の本体21の内周面は、回転部材11を摺動自在に内嵌するための部分であり、回転部材11の外径に匹敵する内径を備えた完全な円周面である。
本体21の内周面と回転部材11とのハメアイに関しては、回転部材11の中心軸の方向に沿った移動部材12の直線移動を妨げない範囲でタイトなものとすることが望ましい。
【0044】
更に、本体21には、回転部材11に内嵌された走行子8に螺合するリードネジ10を挿通するための孔23が直径方向に貫通して設けられている。
孔23の寸法および形状は、移動部材12が回転部材11と共に走行子8を回転軸として回転する際に、リードネジ10が孔23と干渉するのを防止する必要性と、リードネジ10を螺合した走行子8を内嵌した回転部材11の中心軸の方向に沿って移動部材12が直線移動する際に、リードネジ10が孔23と干渉するのを防止する必要性とを共に満たすため、上下方向の長穴とするか、あるいは、リードネジ10の外径よりも相当度に大きな円孔等とする。
【0045】
これらの走行子8,回転部材11,移動部材12およびリードネジ10を的確に組み立てるためには、まず、走行子8を回転部材11の孔19に内嵌して走行子8のネジ穴14の位置を回転部材11の孔20の位置に合わせた後、更に、走行子8を内嵌した回転部材11を移動部材12の本体21の内周面に内嵌して回転部材11の孔20の位置を移動部材12の孔23の位置に合わせ、最終的に、図1に示されるように孔23,孔20,ネジ穴14の中心軸が一直線上に位置するようにして、走行子8のネジ穴14にリードネジ10を螺合させるようにする。
【0046】
本実施形態におけるジョイント機構9は、姿勢変化許容部である回転部材11と距離変化許容部である移動部材12とによって構成され、移動部材12のフランジ部22の四隅に位置するネジ通し穴24に通されたネジによって、移動部材12の先端部がテーブル2の下面に固定して接続される。
【0047】
つまり、姿勢変化許容部である回転部材11は、円弧軌跡6を含む平面すなわち図1の紙面に直交する回転軸を有して走行子8の周りに回転自在に接続された部材であり、この場合の回転軸は、円柱状の走行子8それ自体によって構成されている。
【0048】
また、距離変化許容部である移動部材12は、回転部材11の中心軸の方向に沿った直線移動を許容されて回転部材11に嵌合された部材であり、しかも、回転部材11は前述した通り走行子8を回転軸として回転自在であって、回転部材11の中心軸は常に走行子8の中心軸を通るので、結局のところ、移動部材12は前述の回転軸すなわち走行子8の径方向に直線移動を許容されて回転部材11に嵌合された部材ということになる。
【0049】
姿勢変化許容部である回転部材11と距離変化許容部である移動部材12は、共に、容易に変形したり磨耗したりしない剛体、例えば、金属材料やエンジニアリングプラスチック等で構成されている。
【0050】
既に述べた通り、移動部材12の先端部であるフランジ部22はテーブル2の下面に固定して接続されている。
【0051】
次に、手動操作ハンドル17あるいは図示しないステッピングモータ等の駆動手段を作動させて送りネジ機構7のリードネジ10を回転させた場合の各部の動作について図3の作用原理図に基いて具体的に説明する。
【0052】
図3の作用原理図は、図1のテーブル姿勢調整装置1の各部を模式化して示したもので、図3中の直線Xは走行子8の直線移動軌跡すなわちリードネジ10の中心軸であり、また、点Oと点Pは直線移動軌跡に沿って移動する走行子8と回転部材11とを表している。
より具体的に言えば、図1の状態に対応する走行子8と回転部材11の位置は図3中の点Oの位置であり、点Pは、原点となる点Oから直線移動軌跡に沿って走行子8と回転部材11を任意の移動量xだけ移動させたときの状態である。
また、円弧Rは円弧軌跡6と其の延長部分であり、点Qは円弧軌跡6の曲率中心であって、線分rは円弧軌跡6の曲率中心からテーブル2の底面までの離間距離を表している。
そして、線分Sは、テーブル2の底面と走行子8との離間距離、つまり、移動部材12の実質的な有効長であるフランジ部22の先端面から走行子8までの距離を表している。移動部材12はフランジ部22を介してテーブル2の底面に対して垂直に固定されているので、線分rと線分Sは、例えば、図3中の線分Q−Pに示されるように常に同一直線上に位置することになる。
【0053】
この実施形態では、回転部材11が走行子8に対して回転自在とされ、また、走行子8の径方向に対する移動部材12の直線移動が許容されている。従って、直線Xに沿った走行子8および回転部材11の直線移動により走行子8の直線移動方向に対するテーブル2の姿勢が変化することで図3中の角度βが変わっても、走行子8に対する回転部材11の回転によって角度βの変化に対処することができる。同時に、直線Xに沿った走行子8および回転部材11の直線移動により走行子8とテーブル2との間の離間距離が変化することで図3中の線分Sの長さが変わっても、走行子8の径方向に対する移動部材12の直線移動すなわち移動部材12の実質的な有効長の変化によって線分Sの長さ変化に対処することができる。
【0054】
よって、原点となる点Oからの走行子8の移動量をx、また、これに対応するテーブル2の傾き角度をαとすれば、テーブル2の傾き角度αは移動量xの値に応じて、
x=r・tanα
の式に従って変化することになる。
【0055】
図3では鉛直線を基準としてワーク載置面2aの法線の傾き角度αを記載しているが、この傾き角度αは、水平面を基準とするワーク載置面2aの傾き角度と同一である。
【0056】
ここでは、一例として、r=100mmとした場合を例にとって、走行子8の移動量xと水平面を基準とするワーク載置面2aの傾き角度αとの関係を図4の図表に示す。
【0057】
図4の図表に示される誤差の値は、原点Oからの移動量を1mmとした時の傾き角度αを基準として移動量1mmに対する傾き角度αの変化量を算出し、この変化量に比例して傾き角度αが変化することを理想とした場合の誤差である。従って、誤差はタンジェントカーブに従って非線形的に増大することになるが、実際に精密測定等で利用される傾き角度αはワーク載置面2aが水平となる0度を基準として±数度前後の範囲であるから、このような誤差の増大は実質的な問題とはならない。
【0058】
また、数値制御のもとで駆動制御されるステッピングモータを利用してリードネジ10を回転させるような場合には、アブソリュート制御、つまり、現在位置と目標位置との間の偏差によらず、常に絶対位置を指定してステッピングモータに駆動パルスを出力する方式を適用することで誤差による問題は解消され得る。
【0059】
また、この実施形態では、ジョイント機構9を構成する回転部材11と移動部材12が共に剛体によって形成され、しかも、これらの部材の動作は摺動および回転のみであって曲げ伸ばしのように疲労を伴う運動は全く行なわないので、経年変化による劣化や損傷は発生せず、長期間に亘って安定的に使用することができる。
【0060】
更に、回転部材11と移動部材12とからなる一組のジョイント部材によって走行子8とテーブル2を接続して走行子8の動きをテーブル2に伝達するようにしているので、巻き掛けベルトやプーリを併用して走行子の動きをテーブルに伝達する場合と比べ、装置の小型化も容易である。
特に、本実施形態においては、走行子8と回転部材11および移動部材12をリードネジ10と同軸上に位置させて内外に重合して配備しているので、装置の大幅な小型化が実現されている。
【0061】
また、走行子8の直線移動軌跡を円弧軌跡6に対して径方向の外側にオフセットしているので、走行子8を図3の原点Oに位置させてテーブル2のワーク載置面2aを水平としてテーブル2の姿勢を中立位置とした状態でテーブル2と走行子8との間の離間距離が最短となり、移動部材12が最も短縮された状態となるので、実際に精密測定等で利用される傾き角度の範囲で、移動部材12のブレ等によって生じる機械的な誤差を最小とすることができる。
【0062】
次に、図5を参照して、本発明を適用したテーブル姿勢調整装置の他の実施形態について具体的に説明する。
【0063】
図5は本発明を適用した他の一実施形態のテーブル姿勢調整装置25の主要部の構成を示した断面図である。
【0064】
図1のものと同様な構成を有する部分については図1で用いたものと同様の符号を付すにとどめ、図1のものと異なるテーブル送り機構26の構造について詳細に説明する。
【0065】
テーブル送り機構26は、送りネジ機構27の一部を構成するリードネジ10で駆動される走行子28と、テーブル2の下面と走行子28とを接続するジョイント機構29により構成される。
【0066】
走行子28の直線移動軌跡はリードネジ10の中心軸と同一であり、リードネジ10、すなわち、走行子28の直線移動軌跡は、図5に示される通り、ベース3上の円弧軌跡6から径方向の外側にオフセットして配備されていることになる。
【0067】
送りネジ機構は、本来、送りネジとして機能するリードネジあるいはボールスクリュー等と、これに螺合するナットあるいはソケット等によって構成されるものであるが、本実施形態においては、ネジ穴を設けた走行子28をリードネジ10と直に螺合させているので、走行子28それ自体が送りネジ機構27の一部を構成するナットあるいはソケット等として機能していることになる。
【0068】
走行子28の外観を図6(a)に、また、ジョイント機構29の一部を構成する移動部材30と回転部材31の外観を各々図6(b)および図6(c)に示す。
【0069】
走行子28は、図6(a)に示されるように、円柱状の本体32に直径方向のネジ穴33を形成した部材であり、ネジ穴33に螺合されたリードネジ10の回転によって図5中で左右方向の直線移動軌跡に沿って送りを掛けられる。
【0070】
また、ジョイント機構29の一部を構成する移動部材30は本実施形態における距離変化許容部を構成するもので、図6(b)に示されるように、円柱状の本体34を直径方向に貫通する孔35と、この孔35に直交して本体34を直径方向に貫通する他の孔36を備える。
【0071】
このうち、孔35は、走行子28を摺動自在に内嵌するための部分であり、走行子28の外径に匹敵する内径を備えた完全な円孔である。
孔35と走行子28とのハメアイに関しては、走行子28の中心軸の方向に沿った移動部材30の直線移動を妨げない範囲でタイトなものとすることが望ましい。
【0072】
また、本体34の孔36は、走行子28に螺合するリードネジ10を挿通するためのものである。
孔36の寸法および形状は、移動部材30が走行子28の中心軸に沿って直線移動する際に、走行子28に螺合されたリードネジ10が孔36と干渉するのを防止する必要性を満たすため、上下方向の長穴とするか、あるいは、リードネジ10の外径よりも相当度に大きな円孔等とする。
【0073】
一方、ジョイント機構29の一部を構成する回転部材31は本実施形態における姿勢変化許容部を構成するもので、図6(c)に示されるように、円柱状の本体37と其の上部に形成された矩形状のフランジ部38とで一体に構成されている。
【0074】
円柱状の本体37には、該本体37を直径方向に貫通する孔39と、この孔39に直交して本体37を直径方向に貫通する他の孔40が設けられている。
【0075】
このうち、孔39は、移動部材30を回転自在に内嵌するための部分であり、移動部材30の外径に匹敵する内径を備えた完全な円孔である。
孔39と移動部材30とのハメアイに関しては、移動部材30を回転軸として回転する回転部材31の回転を妨げない範囲でタイトなものとすることが望ましい。
【0076】
また、本体37の孔40は、移動部材30に内嵌された走行子28に螺合するリードネジ10を挿通するための孔である。
孔40の寸法および形状は、回転部材31が移動部材30と共に走行子28の中心軸に沿って直線移動する際に、リードネジ10が孔40と干渉するのを防止する必要性と、リードネジ10を螺合した走行子28を内嵌した移動部材30を回転軸として回転部材31が回転する際に、リードネジ10が孔40と干渉するのを防止する必要性とを共に満たすため、上下方向の長穴とするか、あるいは、リードネジ10の外径よりも相当度に大きな円孔等とする。
【0077】
これらの走行子28,移動部材30,回転部材31およびリードネジ10を的確に組み立てるためには、まず、走行子28を移動部材30の孔35に内嵌して走行子28のネジ穴33の位置を移動部材30の孔36の位置に合わせた後、更に、走行子28を内嵌した移動部材30を回転部材31の孔39に内嵌して移動部材30の孔36の位置を回転部材31の孔40の位置に合わせ、最終的に、図5に示されるように孔40,孔36,ネジ穴33の中心軸が一直線上に位置するようにして、走行子28のネジ穴33にリードネジ10を螺合させるようにする。
【0078】
本実施形態におけるジョイント機構29は、距離変化許容部である移動部材30と姿勢変化許容部である回転部材31とによって構成され、回転部材31のフランジ部38の四隅に位置するネジ通し穴41に通されたネジによって、回転部材31の先端部がテーブル2の下面に固定して接続される。
【0079】
つまり、距離変化許容部である移動部材30は、円弧軌跡6を含む平面すなわち図5の紙面内で走行子28の直線移動軌跡に直交する方向に直線移動を許容されて走行子28接続された部材である。
【0080】
また、姿勢変化許容部である回転部材31は、円弧軌跡6を含む平面すなわち図5の紙面に直交する回転軸を有して移動部材30の周りに回転自在に嵌合された部材であり、この場合の回転軸は、円柱状の移動部材30それ自体によって構成されている。
【0081】
前記と同様、距離変化許容部である移動部材30と姿勢変化許容部である回転部材31は、共に、容易に変形したり磨耗したりしない剛体、例えば、金属材料やエンジニアリングプラスチック等で構成されている。
【0082】
既に述べた通り、回転部材31の先端部であるフランジ部38はテーブル2の下面に固定して接続されている。
【0083】
次に、手動操作ハンドル17あるいは図示しないステッピングモータ等の駆動手段を作動させて送りネジ機構27のリードネジ10を回転させた場合の各部の動作について図7の作用原理図に基いて具体的に説明する。
【0084】
図7の作用原理図は、図5のテーブル姿勢調整装置25の各部を模式化して示したもので、図7中の直線Xは走行子28の直線移動軌跡すなわちリードネジ10の中心軸であり、また、点Oと点Pは直線移動軌跡に沿って移動する走行子28を表している。
より具体的に言えば、図5の状態に対応する走行子28の位置は図7中の点Oの位置であり、点Pは、原点となる点Oから直線移動軌跡に沿って走行子28を任意の移動量xだけ移動させたときの状態である。
また、円弧Rは円弧軌跡6と其の延長部分であり、点Qは円弧軌跡6の曲率中心であって、線分rは円弧軌跡6の曲率中心からテーブル2の底面に固着された回転部材31の孔39の中心軸までの離間距離を表している。
そして、線分Sは、回転部材31の孔39の中心軸と走行子28との離間距離、つまり、移動部材30の実質的な有効長である直線Xから移動部材30の中心軸までの離間距離を表している。移動部材30は回転部材31を介してテーブル2の底面に対して回転自在に取り付けられているので、線分rと線分Sの成す角βは、走行子28の移動量xの変化に応じて変動する。
【0085】
この実施形態では、回転部材31が移動部材30に対して回転自在とされ、また、移動部材30は走行子28の直線移動軌跡に直交する方向の直線移動を許容されている。従って、直線Xに沿った走行子28の直線移動により走行子28の直線移動方向に対するテーブル2の姿勢が変化することで図7中の角度βが変わっても、移動部材30に対する回転部材31の回転によって角度βの変化に対処することができる。同時に、直線Xに沿った走行子28の直線移動により走行子28とテーブル2との間の離間距離が変化することで図7中の線分Sの長さが変わっても、直線移動軌跡に直交する移動部材30の直線移動すなわち移動部材30の実質的な有効長の変化によって線分Sの長さ変化に対処することができる。
【0086】
よって、原点となる点Oからの走行子28の移動量をx、また、これに対応するテーブル2の傾き角度をαとすれば、テーブル2の傾き角度αは移動量xの値に応じて、
x/r=sinα、即ち、x=r・sinα
の式に従って変化することになる。
【0087】
図7では鉛直線を基準としてワーク載置面2aの法線の傾き角度αを記載しているが、この傾き角度αは、水平面を基準とするワーク載置面2aの傾き角度と同一である。
【0088】
ここでは、一例として、r=100mmとした場合を例にとって、走行子28の移動量xと水平面を基準とするワーク載置面2aの傾き角度αとの関係を図8の図表に示す。
【0089】
図8の図表に示される誤差の値は、原点Oからの移動量を1mmとした時の傾き角度αを基準として移動量1mmに対する傾き角度αの変化量を算出し、この変化量に比例して傾き角度αが変化することを理想とした場合の誤差である。従って、誤差はサインカーブに従って非線形的に増大することになるが、実際に精密測定等で利用される傾き角度αはワーク載置面2aが水平となる0度を基準として±数度前後の範囲であるから、このような誤差の増大は実質的な問題とはならない。
【0090】
また、図8の図表と図4の図表との比較、あるいは、サインカーブとタンジェントカーブとの比較からも明らかなように、サインカーブに従って誤差量を変化させる図5の実施形態は、タンジェントカーブに従って誤差量を変化させる図1の実施形態と比べて線形的な精度が高い。
【0091】
前記と同様、数値制御のもとで駆動制御されるステッピングモータを利用してリードネジ10を回転させるような場合には、アブソリュート制御、つまり、現在位置と目標位置との間の偏差によらず、常に絶対位置を指定してステッピングモータに駆動パルスを出力する方式を適用することで誤差による問題は解消され得る。
【0092】
また、この実施形態では、ジョイント機構29を構成する移動部材30と回転部材31が共に剛体によって形成され、しかも、これらの部材の動作は摺動および回転のみであって曲げ伸ばしのように疲労を伴う運動は全く行なわないので、経年変化による劣化や損傷は発生せず、長期間に亘って安定的に使用することができる。
【0093】
更に、移動部材30と回転部材31とからなる一組のジョイント部材によって走行子28とテーブル2を接続して走行子28の動きをテーブル2に伝達するようにしているので、巻き掛けベルトやプーリを併用して走行子の動きをテーブルに伝達する場合と比べ、装置の小型化も容易である。
特に、本実施形態においては、走行子28と移動部材30および回転部材31をリードネジ10と同軸上に位置させて内外に重合して配備しているので、装置の大幅な小型化が実現されている。
【0094】
また、走行子28の直線移動軌跡を円弧軌跡6に対して径方向の外側にオフセットしているので、走行子28を図7の原点Oに位置させてテーブル2のワーク載置面2aを水平としてテーブル2の姿勢を中立位置とした状態でテーブル2と走行子28との間の離間距離が最短となり、移動部材30が最も短縮された状態となるので、実際に精密測定等で利用される傾き角度の範囲で、移動部材30のブレ等によって生じる機械的な誤差を最小とすることができる。
【0095】
図1および図5に示した実施形態とも、円弧軌跡6を垂直面内に形成したものであるから、テーブル2は水平面に対して姿勢を変化させることになり、特に、テーブル2の上面をワーク載置面2aとして利用する竪型の測定装置等のための姿勢調整装置として好適である。
【0096】
次に、水平面内でテーブルの姿勢を変化させるようにしたテーブル姿勢調整装置の一実施形態について図9の平面図を参照して簡単に説明する。
【0097】
図9に示されるテーブル姿勢調整装置42は、ワークを載置するワーク載置面43aを有するテーブル43と、テーブル43を支えるベース44、および、ベース44上に設けられたテーブル送り機構45によって構成される。
【0098】
円弧軌跡46はベース44上の水平面内に断面凸状に形成され、ドーブテールやアリ溝等からなる公知のガイド手段47を介して、該円弧軌跡46上にテーブル43がサドル状に設置されている。テーブル43は円弧軌跡46に沿って移動自在である。つまり、ガイド手段47はテーブル43の移動方向を円弧軌跡46に沿って規制するためのガイド手段であり、円弧軌跡46は水平面内に形成されていることになる。
【0099】
この実施形態では、送りネジ機構の一部を構成するリードネジ10は、ベース44上に一体成形された軸受け部48,48によって回転自在かつ軸方向移動不能に取り付けられており、リードネジ10の両端部に手動操作ハンドル17が取り付けられている。
【0100】
テーブル送り機構45の一部であるジョイント機構49は、リードネジ10と共に円弧軌跡46の径方向外側にオフセットして配備され、該ジョイント機構49の先端部がテーブル43の一側に固定して接続されると共に、ジョイント機構49の他方の端部は、リードネジ10に螺合された図示しない走行子に接続されている。
【0101】
ジョイント機構49としては、図1に示したジョイント機構9、あるいは、図5に示したジョイント機構29の何れかを選択的に利用する。
【0102】
走行子やジョイント機構49の各部の構造については、図1および図5に示した実施形態から明らかであるから、詳細な説明は省略する。
【0103】
この実施形態のテーブル姿勢調整装置42は、テーブル43の姿勢を水平面内で変化させる点が前述の図1および図5の実施形態と相違するが、その作用原理や効果に関しては、図1および図3あるいは図5および図7で示した実施形態と実質的に同様である。
【0104】
以上に述べた3つの実施形態では、何れも、走行子の直線移動軌跡を円弧軌跡に対して径方向の外側にオフセットし、円弧軌跡の内側(凹面)に沿ってテーブルの姿勢を変化させるものについて説明したが、これとは逆に、走行子の直線移動軌跡を円弧軌跡に対して径方向の内側にオフセットし、円弧軌跡の外側(凸面)に沿ってテーブルの姿勢を変化させるように構成することも、前述した各実施形態を参照すれば、技術的に容易に実施し得る。
【0105】
【発明の効果】
本発明のテーブル姿勢調整装置は、テーブルの移動方向を規制する円弧軌跡からオフセットして送りネジ機構で駆動される走行子を配備すると共に、走行子とテーブルとを接続するジョイント機構にテーブルの姿勢変化を許容する姿勢変化許容部とテーブルの離間距離の変化を許容する距離変化許容部とを設けたので、走行子の直線移動により円弧軌跡に沿ってテーブルを正確に移動させてテーブルの姿勢を自由に調整することができる。
しかも、ジョイント機構を構成する姿勢変化許容部と距離変化許容部は共に剛体によって形成されているので、可撓性の巻き掛けベルトを使用した従来の微動位置決め機構とは違って経年変化による劣化や損傷が発生せず、装置を長期間に亘って安定的に使用することができる。
更に、姿勢変化許容部および距離変化許容部からなる一組のジョイント部材によって走行子とテーブルを接続して走行子の動きをテーブルに伝達するようにしているので、巻き掛けベルトと複数のプーリを併用して走行子の動きをテーブルに伝達する従来の微動位置決め機構と比べて装置の小型化も容易である。
【0106】
特に、円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を有して走行子の周りに回転自在に接続された回転部材によって姿勢変化許容部を構成すると共に、この回転軸の径方向に直線移動を許容されて回転部材に嵌合された移動部材によって距離変化許容部を構成しているので、姿勢変化許容部および距離変化許容部は単に摺動もしくは回転の運動をするのみであって、巻き掛けベルトを使用した従来の微動位置決め機構とは違って曲げ伸ばしのように疲労を伴う運動は全く行なわないので、経年変化による劣化や損傷を確実に防止して、装置を極めて長期間に亘って安定的に使用することができる。
【0107】
また、円弧軌跡を含む平面内で走行子の直線移動軌跡に直交する方向に直線移動を許容されて走行子に接続された移動部材によって距離変化許容部を構成する一方、円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を有して移動部材の周りに回転自在に嵌合された回転部材によって姿勢変化許容部を構成した場合では、走行子の移動量に応じてテーブルの傾き角度を略線形的に変化させることが可能となるので、テーブルの姿勢調整を更に精密に行なうことができる。
【0108】
しかも、走行子の周りに回転部材および移動部材を内外に重合して配備するように構成しているので、ジョイント機構の一層の小型化が可能であり、装置全体の小型化が更に容易となった。
【0109】
更に、走行子の直線移動軌跡を円弧軌跡に対して径方向の外側にオフセットした配置を適用しているので、テーブルを走行子に接近させてテーブルの姿勢を中立位置とした際にテーブルと走行子との間の離間距離を最短として移動部材を最も短縮した状態とすることができる。
このため、移動部材のブレ等によって生じる機械的な誤差をテーブルの姿勢の中立位置、つまり、最も頻繁に使用されると考えられる姿勢において最小とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態のテーブル姿勢調整装置の主要部の構成を示した断面図である。
【図2】図2(a)は同実施形態のテーブル姿勢調整装置が備える走行子の外観について示した斜視図、図2(b)は同実施形態のテーブル姿勢調整装置が備えるジョイント機構の一部を構成する回転部材の外観について示した斜視図、また、図2(c)は同ジョイント機構の一部を構成する移動部材の外観について示した斜視図である。
【図3】同実施形態のテーブル姿勢調整装置の動作原理を示した作用原理図である。
【図4】r=100mmとして同実施形態の走行子の移動量xと水平面を基準とするワーク載置面の傾き角度αとの関係を示した図表である。
【図5】本発明を適用した他の一実施形態のテーブル姿勢調整装置の主要部の構成を示した断面図である。
【図6】図6(a)は同実施形態のテーブル姿勢調整装置が備える走行子の外観について示した斜視図、図6(b)は同実施形態のテーブル姿勢調整装置が備えるジョイント機構の一部を構成する移動部材の外観について示した斜視図、また、図6(c)は同ジョイント機構の一部を構成する回転部材の外観について示した斜視図である。
【図7】同実施形態のテーブル姿勢調整装置の動作原理を示した作用原理図である。
【図8】r=100mmとして同実施形態の走行子の移動量xと水平面を基準とするワーク載置面の傾き角度αとの関係を示した図表である。
【図9】水平面内でテーブルの姿勢を変化させるようにしたテーブル姿勢調整装置の一実施形態について示した平面図である。
【図10】従来の微動位置決め機構の概要について示した断面図である。
【符号の説明】
1 テーブル姿勢調整装置
2 テーブル
2a ワーク載置面
3 ベース
4 テーブル送り機構
5 ガイド手段
6 円弧軌跡
7 送りネジ機構
8 走行子(送りネジ機構の他部)
9 ジョイント機構
10 リードネジ(送りネジ機構の一部)
11 回転部材(姿勢変化許容部)
12 移動部材(距離変化許容部)
13 本体
14 ネジ穴
15 ベアリング
16 スリーブ
17 手動操作ハンドル
18 本体
19 孔(円孔)
20 孔(長穴)
21 本体
22 フランジ部
23 孔(長穴)
24 ネジ通し穴
25 テーブル姿勢調整装置
26 テーブル送り機構
27 送りネジ機構
28 走行子
29 ジョイント機構
30 移動部材(距離変化許容部)
31 回転部材(姿勢変化許容部)
32 本体
33 ネジ穴
34 本体
35 孔(円孔)
36 孔(長穴)
37 本体
38 フランジ部
39 孔(円孔)
40 孔(長穴)
41 ネジ通し穴
42 テーブル姿勢調整装置
43 テーブル
43a ワーク載置面
44 ベース
45 テーブル送り機構
46 円弧軌跡
47 ガイド手段
48 軸受け部
49 ジョイント機構
100 テーブル
100a ワーク載置面
101 ベース
102 テーブル送り機構
103 ガイド機構
104 円弧軌跡
105 巻き掛けベルト
106 プーリ
107 送りネジ機構
108 リードネジ
109 走行子
110 係止手段
111 係止手段
Claims (4)
- ワークを載置するテーブルと、前記テーブルの移動方向を円弧軌跡に沿って規制するガイド手段と、前記テーブルを前記円弧軌跡に沿って移動させることでテーブルの姿勢を変化させるテーブル送り機構とを備えたテーブル姿勢調整装置であって、
前記テーブル送り機構が、送りネジ機構で駆動される走行子と、該走行子と前記テーブルとを接続するジョイント機構とによって構成され、
前記走行子の直線移動軌跡が前記円弧軌跡から径方向にオフセットして配備されると共に、
前記ジョイント機構が、前記走行子の直線移動方向に対する前記テーブルの姿勢変化を許容する姿勢変化許容部と、前記走行子と前記テーブルとの間の離間距離の変化を許容する距離変化許容部とを備え、該姿勢変化許容部および距離変化許容部が共に剛体によって形成され、
前記姿勢変化許容部が、前記円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を有して前記走行子の周りに回転自在に接続された回転部材によって構成される一方、
前記距離変化許容部が、前記回転軸の径方向に直線移動を許容されて前記回転部材に嵌合された移動部材によって構成され、
該移動部材の先端部が前記テーブルに接続されていることを特徴とするテーブル姿勢調整装置。 - ワークを載置するテーブルと、前記テーブルの移動方向を円弧軌跡に沿って規制するガイド手段と、前記テーブルを前記円弧軌跡に沿って移動させることでテーブルの姿勢を変化させるテーブル送り機構とを備えたテーブル姿勢調整装置であって、
前記テーブル送り機構が、送りネジ機構で駆動される走行子と、該走行子と前記テーブルとを接続するジョイント機構とによって構成され、
前記走行子の直線移動軌跡が前記円弧軌跡から径方向にオフセットして配備されると共に、
前記ジョイント機構が、前記走行子の直線移動方向に対する前記テーブルの姿勢変化を許容する姿勢変化許容部と、前記走行子と前記テーブルとの間の離間距離の変化を許容する距離変化許容部とを備え、該姿勢変化許容部および距離変化許容部が共に剛体によって形成され、
前記距離変化許容部が、前記円弧軌跡を含む平面内で前記走行子の直線移動軌跡に直交する方向に直線移動を許容されて前記走行子に接続された移動部材によって構成される一方、
前記姿勢変化許容部が、前記円弧軌跡を含む平面に直交する回転軸を有して前記移動部材の周りに回転自在に嵌合された回転部材によって構成され、
該回転部材の先端部が前記テーブルに接続されていることを特徴とするテーブル姿勢調整装置。 - 前記走行子の周りに前記回転部材および前記移動部材が内外に重合して配備されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のテーブル姿勢調整装置。
- 前記走行子の直線移動軌跡が前記円弧軌跡に対して径方向の外側にオフセットして配備されていることを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3の何れか一項に記載のテーブル姿勢調整装置。
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