JP3848142B2 - 熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電機を駆動するエンジン等の駆動源、燃料電池等を熱源に用いた熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発電機を駆動するエンジン等の駆動源で得られる排熱を回収し、それを利用する排熱利用システムが知られている。このシステムは、駆動源のウォータージャケット部に流す冷却水や排熱回収水を熱媒として利用し、この熱媒に吸収させた熱を利用するものである。この熱媒が吸収した熱を蓄熱し、又は、その熱で上水等を加熱して給湯利用することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の排熱利用システムでは、図12に示すように、駆動源200が発生した熱を冷却水202に吸収させ、この冷却水202を循環路204を通じて熱交換器206に流すとともに、貯湯槽208側の水210を循環路212及びポンプ214を通じて熱交換器206に流すことにより冷却水202と水210との間で熱交換を行い、冷却水202が持つ熱で水210を加熱し、貯湯槽208に蓄熱している。
【0004】
貯湯槽208側の水210の温度は温度センサ216、218、220で検出され、その検出温度と貯湯槽208側の水量により蓄熱量が算出される。この場合、駆動源200が運転している限り、発熱が生じるので、ポンプ214を運転すれば、自動的に熱交換が行われて蓄熱が行われることになるので、貯湯槽208の蓄熱が限界点に達したとき、ポンプ214の運転を停止するか、予め運転時間を設定しておくかという単純な制御方法が取られていた。
【0005】
このため、貯湯槽208の湯切れが発生するおそれがあり、湯切れ防止には貯湯槽208の容積を大きくする必要があり、容積を大きくすれば、貯湯槽208の放熱面積が大きくなる結果、放熱ロスが増大し、経済的な熱交換や蓄熱が損なわれるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、熱交換及び蓄熱制御の高効率化を実現した熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱交換蓄熱制御方法は、熱源(駆動源2)が発生する熱を熱媒に吸収させ、この熱媒が持つ熱を流体(8)に熱交換する処理と、前記熱交換により加熱された前記流体をタンク(20、貯湯タンク20A)に溜めて蓄熱する蓄熱処理と、前記タンクから流出する前記流体の流量、前記タンクに補填又は帰還される前記流体の流量をLとし、時間をt、流出流体の温度をTo、前記タンクに補填又は帰還される前記流体の温度をTiとすれば、次式から、熱量Qを算出する処理と、
Q=L×t×(To−Ti)
前記熱量に応じて前記熱媒の流量を加減することにより、前記熱交換の交換熱量を制御する処理とを含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、流体は、熱源を冷却する例えば、冷却媒体であって、液体、気体の何れでもよく、上水、暖房水等の液体や気体を用いることができる。この場合、流体は、循環させるだけでなく、タンクから外部に流出させて他の用途に用いる場合には、不足した流体をタンク等に補填することが必要となる。そして、熱量の演算には、流出する流体の流量の他、補填される流体又は帰還される流体の温度が演算情報として用いられる。
【0009】
したがって、このような流量、時間、温度及び補填流体の温度を演算情報に用いて必要熱量を演算し、この必要熱量に応じて熱交換の交換熱量を制御すれば、効率的な熱交換及び蓄熱処理を行うことができる。この場合、この交換熱量の制御は、熱量制御又は熱交換の時間制御の何れか一方、又は熱量制御及び時間制御の双方を含むものである。
【0010】
また、本発明の熱交換蓄熱制御方法は、熱源(駆動源2)の熱で加熱された第1の流体(8)の熱を第2の流体(16、温水16A)に熱交換し、前記第2の流体を加熱する熱交換処理と、前記第2の流体をタンク(20、貯湯タンク20A)に溜めて蓄熱する蓄熱処理と、前記タンクから流出する前記第2の流体の流量、前記タンクに補填又は帰還される前記第2の流体の流量をLとし、時間をt、流出する第2の流体の温度をTo、前記タンクに補填又は帰還される前記第2の流体の温度をTiとすれば、次式から、熱量Qを算出する処理と、
Q=L×t×(To−Ti)
前記熱量に応じて前記第1の流体の熱を前記第2の流体に熱交換する処理時間を加減し、熱交換を制御する処理とを含むことを特徴とする。
【0011】
ここで、第1の流体は熱源を冷却する例えば、冷却媒体を用いることができ、液体、気体の何れでもよい。また、第2の流体は、上水、暖房水等の液体の他、気体でもよい。この場合、第2の流体をタンクから外部に流出させて使用する場合にはタンクに流体の補填が必要となる。そこで、熱量の演算には、流出する第2の流体の流量等の他、タンクへの補填流体の温度が演算情報として用いられる。
【0012】
したがって、このような流量、時間、温度及び補填流体の温度を演算情報に用いて必要熱量を演算し、この必要熱量に応じて熱交換処理の処理時間を制御すれば、効率的な熱交換及び蓄熱処理を行うことができる。
【0013】
また、本発明の熱交換蓄熱制御方法において、前記熱量と前記第1の流体の温度及び流量とから熱交換の処理時間を算出し、その処理時間で熱交換させる処理を含む構成としてもよい。
【0014】
この場合、第2の流体を暖房負荷等に循環させて使用する場合である。この場合、第2の流体は暖房負荷等を循環してタンクに帰還することになる。そこで、必要熱量の演算には、タンクから流出する第2の流体の流量、時間、温度、タンクに帰還する第2の流体の温度等、第2の流体の流量、時間、温度が演算情報として用いられる。
【0015】
したがって、循環する流体の流量、時間、温度等を演算情報に用いて必要熱量を演算し、この必要熱量に応じて熱交換処理の処理時間を制御すれば、効率的な熱交換及び蓄熱処理を行うことができる。
【0016】
本発明の熱交換蓄熱制御方法において、前記処理時間は、設定熱量から前記熱量を減算して得られる必要熱量に応じて設定することを特徴とする。例えば、タンク容量等によって予め熱量を設定した場合、その設定熱量から前記熱量を減算することで必要熱量が求められるので、この必要熱量に応じて熱交換処理の処理時間を設定する。
【0017】
本発明の熱交換蓄熱制御方法において、前記処理時間は、所定期間毎の設定熱量から前記熱量を減算して得られる必要熱量に応じて設定することを特徴とする。この場合、所定期間毎、即ち、季節毎に熱量を設定し、この熱量から使用熱量を減算することにより、所定期間に応じた効率的な必要熱量を求めることができ、この必要熱量に応じて熱交換の処理時間を設定すれば、より効率的な熱交換及び蓄熱処理を行うことができる。
【0018】
本発明の熱交換蓄熱制御方法において、前記熱源の運転時間を必要熱量に応じて制御することを特徴とする。即ち、熱源の運転時間を制御することで熱交換処理の処理時間を制御することが可能である。
【0019】
また、本発明の熱交換蓄熱装置は、熱を発生する熱源(駆動源2)と、この熱源の前記熱で第1の流体(8)を加熱する第1の熱交換手段(熱交換部4)と、前記第1の流体の熱で第2の流体(16、温水16A)を加熱する第2の熱交換手段(熱交換器10、10A)と、この第2の熱交換手段で加熱された前記第2の流体を溜めて蓄熱する蓄熱手段(タンク20、貯湯タンク20A)と、この蓄熱手段及び前記第2の熱交換手段に前記第2の流体を循環させる循環路(14)と、前記蓄熱手段から流出する前記第2の流体の流量、前記蓄熱手段に補填又は帰還される前記第2の流体の流量をLとし、時間をt、流出する第2の流体の温度をTo、前記蓄熱手段に補填又は帰還される前記第2の流体の温度をTiとすれば、次式から、
Q=L×t×(To−Ti)
熱量Qを算出し、この熱量に応じて前記熱源の運転時間を制御する制御手段(制御部3)とを備えたことを特徴とする。即ち、このような構成により、上述した各熱交換蓄熱制御を実現でき、効率的な熱交換及び蓄熱処理を実現することができる。
【0020】
本発明の熱交換蓄熱装置において、前記制御手段は、予め熱量が設定される記憶手段(5)を備え、この記憶手段に記憶されている設定熱量を読み出し、この設定熱量から使用熱量を減算して得られる必要熱量に応じて前記熱源の運転時間を制御することを特徴とする。即ち、記憶手段には任意の設定熱量を記憶することにより、設定熱量から前記熱量を減算して必要熱量が得られるので、この必要熱量に応じて熱源の運転時間の制御を行うことができ、効率的な熱交換処理を実現することができる。
【0021】
本発明の熱交換蓄熱装置において、前記制御手段は、季節毎に予め設定した熱量を記憶手段に記憶し、この記憶手段から前記熱量を読み出し、この熱量から使用熱量を減算して得られる必要熱量に応じて前記熱源の運転時間を季節毎に制御することを特徴とする。即ち、記憶手段に、季節毎に設定熱量を記憶することにより、季節毎の設定熱量から前記熱量を減算して必要熱量が得られるので、この必要熱量に応じて熱源の運転時間の制御を季節毎に行うことができ、高温季における熱損失がなく、低温季における蓄熱不足を解消することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の第1実施例を示している。この実施例では、発電機を駆動するエンジン等の駆動源2が熱源として用いられている。この熱源には、この種の駆動源2の他、排熱を生じる燃料電池や、燃料ガスや灯油等を燃焼させて燃焼熱を生じるバーナ等を用いてもよい。
【0024】
この駆動源2の発停制御を行う制御手段として、制御部3が設けられており、この制御部3は、ROM、RAM、CPU等を備えたマイクロコンピュータやパーソナルコンピュータで構成することができ、この実施例では、ROM又はRAM等で構成される記憶手段5が備えられ、この記憶手段5には、運転時間を制御するための任意の熱量が設定される。また、駆動源2には、第1の熱交換手段として水冷ジャケット等の冷却手段が設置されている。この実施例では、これを熱交換部4として構成し、第1の流路として循環路6が形成され、この循環路6には熱媒としての冷却水等の第1の流体8を循環させる。この循環路6には、第2の熱交換手段として熱交換器10、流体8の圧送手段としてポンプ12が設置されている。
【0025】
熱交換器10には循環路6とは分離、独立した第2の流路として循環路14が接続され、この循環路14には、熱交換器10、第2の流体16を循環させるポンプ18、流体16によって蓄熱する蓄熱手段としてのタンク20が設置されている。ポンプ18には、例えば、回転数の制御が容易なDCモータが用いられ、その回転制御手段である制御部3から所望の運転パターンを実現する制御出力が加えられている。また、熱交換器10は、図示しないが、例えば、循環路14側にその管径より断面積の大きい筒状部を設け、この筒状部内に流体16と独立して流体8を流す管体、例えば、良好な熱交換が得られる螺旋管を設けることにより熱交換を行う構成である。矢印aは流体8の流れ方向、矢印bは流体16の流れ方向を示している。
【0026】
この場合、タンク20は流体16を貯留して下層部から上層部に向かって温度勾配が高くなるという階層蓄熱を行っており、そのため、タンク20の底部側から貯留流体24を抜き出し、高温化した流体16をタンク20の上方、貯留流体24の上層部側に供給させている。このような貯留流体24の温度をタンク20の階層毎、この場合にはZ1 、Z2 、Z3 、Z4 の複数ゾーンが設定されているので、各ゾーンZ1 、Z2 、Z3 、Z4 毎の温度を検出する手段として、温度センサ261、262、263が設置されている。これらの検出温度は、演算制御手段でもある制御部3に加えられる。
【0027】
また、この実施例の場合、タンク20には貯留流体24をタンク20から取り出すための流路28、タンク20に外部から流体16を補填するための流路30が形成されており、流路28には流出する流体16の流量、即ち、単位時間当たりの流量を検出する手段として流量センサ32、流体16の温度を検出する手段として温度センサ34が設けられ、流路30にはタンク20に補填される流体16の温度を検出する手段として温度センサ36が設けられている。例えば、流体16、貯留流体24を上水とすれば、加熱された上水を一般給湯等に利用することができる。
【0028】
次に、熱交換蓄熱方法を説明すると、熱源としての駆動源2の排熱で熱交換部4が加熱されるので、この熱交換部4に流体8をポンプ12によって通流させると、駆動源2の熱を吸収させる処理が行われる。この処理によって加熱された流体8は、この加熱処理とともにポンプ12によって熱交換器10に流れる。
【0029】
ここで、ポンプ18を運転状態にすると、タンク20内の貯留流体24から流体16が熱交換器10に循環することとなり、この循環の間、流体8と流体16との間で熱交換処理が行われ、流体16は流体8が持つ熱によって加熱される。加熱された流体16はタンク20の貯留流体24の上層部側に流れ、流体16が受けた熱はその流体16とともにタンク20に蓄熱される。また、タンク20のゾーンZ1 、Z2 、Z3 、Z4 毎の貯留流体24の温度が温度センサ261、262、263で個別に検出され、各検出温度は演算情報として演算手段でもある制御部3に加えられる。
【0030】
そして、タンク20の貯留流体24は、その上層部側から流路28を通じて外部に流出させることができ、その流量は流量センサ32によって検出されるとともに、その温度が温度センサ34によって検出される。また、流路30を通じて外部から流体16がタンク20に補填される場合、その温度が温度センサ36によって検出される。これら検出流量及び各検出温度は演算情報として演算手段でもある制御部3に加えられる。
【0031】
ここで、タンク20から流出する流体16の流量をL、その流出時間をtとすると、積算流量Lm=L×tとなるので、流出する流体16の温度をTo、タンク20に補填される流体16の流入量を積算流量Lmと等しいと仮定し、流入する流体16の温度をTiとすると、熱量Qは、
【0032】
Q=L×t×(To−Ti)=Lm×(To−Ti) ・・・(1)
【0033】
となる。即ち、この熱量Qは、タンク20の蓄熱量から失われた損失熱量であり、これを必要熱量Qsとすると、この必要熱量Qsを得るための熱交換処理を行えば、熱量Qを補填することができる。即ち、駆動源2及びポンプ18の運転時間が熱交換量の制御としての熱交換処理の時間となるので、この熱量Qsを得るに必要な時間、即ち、積算時間だけ駆動源2及びポンプ18を運転すれば、熱交換量を得ることができる。例えば、実際の熱負荷があると思われる時間帯に運転をし、熱需要がある間も運転を続ければ、200リットル程度を必要とする場合でも、150リットル程度のタンク20で合理的な熱交換処理及び蓄熱処理を行うことができる。
【0034】
このような熱交換処理及び蓄熱処理を行えば、効率的な熱交換量の制御が可能となり、最適な熱交換量に基づいてタンク20に過剰な蓄熱をすることがなく、放熱ロスを抑制することができ、その結果、タンク20の容量を小さくすることができる。
【0035】
また、このような単純な処理に、季節等の複数の期間が設定され、記憶手段5に各期間毎に熱量を設定し、例えば、各設定熱量をQa(例えば、夏季)、Qb(例えば、中間季)、Qc(例えば、冬季)とすれば、各季毎の必要熱量Qsa、Qsb、Qscは、
【0036】
Qsa=Qa−Q ・・・(2)
【0037】
Qsb=Qb−Q ・・・(3)
【0038】
Qsc=Qc−Q ・・・(4)
【0039】
となるので、この熱量Qsを得るに必要な時間、即ち、積算時間だけ駆動源2及びポンプ18を運転してもよく、きめの細かい熱交換処理及び蓄熱処理を行うことができ、より効率的な処理が可能となり、放熱ロスを抑制することができ、タンク20の小容量化を図ることができる。
【0040】
次に、図2は、本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の第2実施例を示している。第1実施例では、流路28、30を独立した構成とし、流体16をタンク20から放流し、不足分をタンク20に補填する構成としたが、流路28、30によって循環路37を構成し、この循環路37を通して放熱負荷38に熱媒としての流体16を循環させ、流体16の熱を暖房熱源としたものである。このような場合にも、前記実施例と同様に効率的な熱交換処理及び蓄熱処理を行うことができ、タンク20に余分な蓄熱をすることがなく、放熱ロスを抑制することができ、タンク20の容量を小さくすることができる。
【0041】
次に、図3は、本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の第3実施例を示している。第2実施例では、熱伝達媒体として第1の流体8、第2の流体16を用いるとともに、両者を個別に循環又は流す手段として循環路6、14を用いて循環路6と循環路14との間に熱交換器10を設置したものであるが、図3に示す実施例では、タンク20と駆動源2の熱交換部4との間に単一の循環路6を構成し、第1及び第2の流体8、16に相当する単一の流体8を循環させることにより、熱交換器10を省略したものである。この実施例では、制御部3によって駆動源2の運転時間を調整すると、駆動源2が発生する熱と流体8との熱交換量が制御され、第1実施例や第2実施例のように、熱交換器10を介在させていないので、その熱交換量がタンク20の蓄熱量に直接的に作用する。
【0042】
このような構成とすれば、熱源である駆動源2が発生した熱との熱交換によって流体8を加熱し、その流体8を循環路6に循環させてタンク20に溜め、流体8とともに蓄熱することができる。そして、タンク20から循環路37に流体8を放熱負荷38に流すことにより、熱媒としての流体8の熱で暖房を行うことができる。そして、この場合には、第2実施例のような熱交換器10及び循環路14を省略できるとともに、単一の流体8で構成でき、前記実施例と同様に効率的な熱交換処理及び蓄熱処理を行うことができる。しかも、過剰蓄熱が防止でき、タンク20や循環路14等での放熱ロスを抑制でき、タンク20の容量も小さくできるという利点がある。なお、この実施例においても、図示しないが、蒸発等で流体8が不足した場合には、流体8の補填が行われる。
【0043】
そして、このような熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置には、次のような各種の実施の形態が存在する。
【0044】
a 熱源には、発電機を駆動するエンジン等の駆動源2の他、燃料電池等の排熱源を用いることができ、電熱源、気体燃料、液体燃料、固体燃料等の燃焼熱源、太陽熱、地熱、温泉熱等の自然熱源等、各種の熱源を利用することができる。
【0045】
b 熱交換部4には、駆動源2のラジエータ等、流体8を直接通流させる手段の他、間接流体を熱媒として流体8を加熱するものも含まれる。
【0046】
c 熱媒としての流体8には、液体、固体の何れでもよく、所定温度以上で流体化する物質を用いてもよい。
【0047】
d ポンプ12、18は、DCモータを駆動源とするポンプ以外のものでもよい。
【0048】
e 流体16は、上水の他、浴槽水等の液体であってもよい。即ち、熱交換が可能で、タンク20に蓄熱できる手段であればどのようなものでもよい。タンク20を蓄熱手段としない場合には、熱交換が可能な液体、粉粒体等を流体16として用いてもよい。
【0049】
次に、この熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の具体的な実施例を説明すると、図4ないし図6は熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の具体的な実施例を示し、図4は熱源側の熱交換及び蓄熱系統、図5は図4に続く蓄熱系統及び熱利用系統、図6は図5に続く熱利用系統を示したものである。
【0050】
この実施例では、熱を放出する熱源として図示しない発電機を駆動する駆動源2にはエンジンが用いられており、この駆動源2の熱交換部4は、駆動源2の冷却手段であって、排熱回収路を兼ねる循環路6を通じて流体8を循環させている。この流体8は、排熱回収用のエンジン冷却水、排熱回収水であって、熱媒として機能するものである。この循環路6の駆動源2の入口側及び出口側にはそれぞれ温度検出手段としてサーミスタ等からなる温度センサ31、33が設置されているとともに、流路切換手段としての三方弁35を介して第1のバイパス路37が形成されている。また、循環路6には、流体8を強制循環させるための循環ポンプ12A、循環路6に循環させる流体8を溜める循環タンク40、図示しない発電機の出力によって加熱する電気ヒータ42、流体8の循環流量を検出する流量センサ44、熱交換器10A、10B等が設けられるとともに、バイパス路37とは別に、暖機時の循環路を短縮化するための第2のバイパス路46が形成され、このバイパス路46と循環路6の間には三方弁48が介在している。循環ポンプ12Aは電圧等で容易に回転数が制御可能な直流モータ50によって駆動される。
【0051】
熱交換器10Aは流体8と、流体16として、貯湯タンク20Aに溜められる温水16Aとの熱交換を行い、温水16Aを流体8が持つ熱で加熱する手段である。貯湯タンク20Aには、温水16Aを循環させる循環路14が貯湯タンク20Aの底面側と天井側とを結ぶ閉回路として構成され、この循環路14には第3及び第4のバイパス路54、56が設けられているとともに、これらバイパス路54、56には流路切換手段として三方弁58、60が設けられている。また、循環路14には熱交換器10A、流量センサ62、循環ポンプ18A、温度センサ66等が設けられている。循環ポンプ18Aは電圧等で容易に回転数が制御可能な直流モータ67によって駆動される。循環ポンプ18Aが運転されると、貯湯タンク20Aの下層部側から抜かれた温水16Aが熱交換器10Aで加熱された後、貯湯タンク20Aの上層部側に戻される。そのため、貯湯タンク20A内の温水16Aの供給や取出しによる階層蓄熱の乱調防止手段として、貯湯タンク20Aの上部側に第1の緩衝板68、その底部側に第2の緩衝板70が設置されている。
【0052】
貯湯タンク20Aの底面側には、給水路72が設けられるとともに、排水栓74が設けられ、給水管76から上水Wが貯湯タンク20Aの底面側に給水される。給水路72には、給水温度を検出する温度センサ36が設けられ、給水管76には、減圧弁78及び流量センサ80が設けられているとともに、ミキシングバルブ82を介して給湯管84が接続されている。また、貯湯タンク20Aの側面部には積層沸き上げされる温水16Aの温度を検出する温度検出手段として複数の温度センサ861、862、863、864、865、866、867、868、869、870が一定の間隔で設置されている。この実施例では、10個の温度センサ861〜870が設置されているが、計測ゾーンに応じてこれより少なく又は多く設置してもよい。
【0053】
また、貯湯タンク20Aの上部側には温水取出路88が設けられ、この温水取出路88の一端は、過圧逃し弁90及び負圧弁92を介して外気に開放されており、温度センサ34Aが設けられている。この温水取出路88の他端側には、給湯バックアップ用の熱交換器96、出湯温検出用の温度センサ98等が設けられている。熱交換器96は、バーナ100による燃料ガスの燃焼熱を熱源とする。この熱交換器96の出口側の給湯管84には、前記ミキシングバルブ82、流量センサ32A、水比例弁102、混合温検出用の温度センサ34B等が設けられている。
【0054】
また、給湯管84から出湯される温水HWは、追焚用循環路106側に供給されて浴槽108に注湯可能である。追焚用循環路106側には、三方弁110、循環ポンプ112、水位センサ114、温度センサ116、熱交換器118等が設けられている。
【0055】
そして、循環路6に設けられた熱交換器10Bは、流体8を熱源とする暖房用熱媒としての温水119の加熱手段であって、暖房用循環路120に設けられている。この暖房用循環路120は、室内放熱器38Aや浴室暖房乾燥機38B等の暖房端末に温水119を循環させる手段であって、温水119を溜めて膨張沸騰を抑制する手段としての温水タンク128、循環ポンプ130、流量センサ32B、熱交換器118、134等が設けられている。温水タンク128には、給水管136が接続されるとともに、給水を調整するためのバルブ138が設けられている。レベルセンサ140は、温水タンク128に適正量の温水119を溜めるためのレベル制御に用いられる。熱交換器134は、バーナ142による燃料ガスの燃焼熱を熱源とし、浴槽108内の浴槽水BWの追焚の他、暖房用熱源としての温水119のバックアップ加熱に用いられる。また、熱交換器118では、温水119が持つ熱を追焚用循環路106の加熱に用いている。
【0056】
この熱交換蓄熱装置において、図4に三方弁35、48、58、60の切換方向A、B、C又はDが示されており、例えば、暖機運転時、三方弁35はC−A方向、三方弁48はC−A方向に切り換られ、このとき、温水16Aの自然対流防止のため、三方弁58はD−A方向、三方弁60はD−C(閉止)方向に切り換えられる。
【0057】
そして、この熱交換制御手段としてコンピュータ等で構成された制御部3が設置されており、この制御部3は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAM、駆動出力や検出出力の入出力手段としてI/O等を備えているとともに、給湯積算手段として給湯積算出力カウンタ144を備えている。この制御部3には、第1及び第2実施例で説明した通り、自由に変更可能な設定熱量を記憶する記憶手段5が接続されており、この記憶手段5はRAMや外部記憶装置で構成される。この制御部3で実行される制御は、貯湯タンク20Aから温水16Aの流出流量、その時間、その温度の演算要素から熱量を演算し、予め設定された熱量から演算した熱量を減算して必要熱量を算出し、ポンプ18Aを運転して熱交換器10Aによる熱交換処理とともに、貯湯タンク20Aへの蓄熱処理を実行するものである。このような制御を行うため、制御部3には温度センサ34A、34B、36、流量センサ32A等、各種センサ等から検出出力が制御入力として加えられ、この制御部3から得られる制御出力が直流モータ50、67や三方弁35、48、58、60等、各種の制御機器のアクチュエータに加えられる。また、制御部3には、アラーム等の表示を行う表示手段として表示器146が設けられ、この表示器146は文字表示器、音声発生器等で構成できる。なお、この実施例では、ディジタル制御を行うため、コンピュータ等を用いた制御部3を例に取って説明しているが、アナログ処理を行う制御回路を用いてもよい。
【0058】
次に、この熱交換蓄熱処理の制御動作のメインルーチンを図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0059】
電源が投入されると、ステップS1では、三方弁35、48、58、60等の各種弁を初期位置に設定した後、ステップS2に移行する。ステップS2では、常時起動プログラムが実行される。この常時起動プログラムでは、エンジン異常停止制御、エンジン運転許可制御、エンジン停止制御、エンジン強制停止制御、暖房命令制御、給湯積算出力カウンタ144の制御、弁異常チェック制御、温度センサ異常チェック制御等が行われる。また、ステップS3では、暖房命令が制御部3に付与されたか否かが判定され、暖房命令がない場合にはステップS4に移行し、エンジン運転が許可されたか否かを判定する。即ち、季節に応じて設定される運転許可時間内であるか否かがステップS4で確認される。
【0060】
ステップS4でエンジン運転が許可された場合には、ステップS5に移行し、要求蓄熱量が所定蓄熱量以上か否かを判定する。即ち、ステップS5では、例えば、
【0061】
(給湯負荷×1.2−積算出力−タンク蓄熱量)>1000kcal・・・(5)
【0062】
であるか否かを判定し、予想される給湯需要から貯湯タンク20Aの蓄熱量を引いた値が所定蓄熱量以上である場合に駆動源2を運転可能とする。この場合、係数1.2は給湯負荷に余裕を持たせるための数値の一例であり、この数値に限定されるものではない。
【0063】
ここで、ステップS5における演算に用いる必要熱量を表す「給湯負荷」は、各季節毎に予め給湯予想負荷を決定するものである。
【0064】
【表1】
【0065】
即ち、「給湯負荷」は、その時点の季節及び時刻における次回の給湯予想量であるから、例えば、7月X日、18:00に駆動源2の運転を開始する場合、給湯負荷は6000kcalで計算し、また、2月Y日、5:00に駆動源2の運転を開始する場合、給湯負荷は2000kcalで計算する。
【0066】
また、「積算出力」は、制御部3に内蔵されている給湯積算出力カウンタ144を用いて求められる給湯及び注湯に使用された出力の合計である。即ち、給湯需要があると思われる時間帯で、バックアップと蓄熱利用を含めた全ての出力を求め、そのデータをエンジン運転時間にフィードバックする。
【0067】
また、貯湯タンク20Aのタンク蓄熱量は、例えば、タンク容量を200リットルとし、図8に示すように、貯湯タンク20Aを7階層に区分すれば、各ゾーンZ=1〜7は同容量であり、各ゾーン当たりの温水量は約28.6リットルとなるので、ここで、水温を冬期で5℃、春秋期で15℃、夏期で25℃と定義すると、各ゾーンの熱量Q(kcal)は、
【0068】
Q=28.6×{(上側検出温度+下側検出温度)/2−水温}・・・(6)
【0069】
となり、タンク蓄熱量Qmは全ゾーン1〜7の合計となる。但し、一つの条件として{(上側検出温度+下側検出温度)/2−水温}<10℃の場合には、そのゾーンは零とする。この場合、入水温が20℃のとき、平均湯温が30℃のゾーンは利用価値がないため、蓄熱量は零となる。そして、例えば、冬期、温度センサ861の検出温度が75℃、温度センサ863の検出温度が70℃のとき、ゾーン1の熱量Q1 は、
【0070】
Q1 =28.6×{(75+70)/2−5}=1930.5(kcal)・・・(7)
【0071】
となる。なお、サーミスタ(TH)等で構成される温度センサ861〜870の中、温度センサ862、869は蓄熱量Qmの計算には使用しない。
【0072】
ここで、出湯温度To、入水温度Ti、積算流量Lmとすると、使用された熱負荷(熱量)Q(kcal)は、式(1)から、Q=(To−Ti)×Lmで求められ、これを考慮した上で、貯湯タンク20Aに蓄熱を行い、使用された熱負荷+タンク蓄熱量=予想負荷に到達するまで、所定時間の熱交換処理及び蓄熱処理を行う。熱交換及び蓄熱の処理時間は、ポンプ18Aの運転時間となる。
【0073】
そして、ステップS5で前記要求蓄熱量が1000kcal以上であると判定されたとき、又はステップS3で暖房命令が発せられているとき、ステップS6に移行し、貯湯タンク20Aの最下部側の温度センサ870の検出温度が所定温度、例えば、40℃以上か否かを判定し、所定温度以下の場合、ステップS7に移行する。ステップS7では、前回の駆動源2の停止から所定時間、例えば、60分以上経過したか否かが判定され、所定時間以下の場合には、エンジン等の駆動源2の保護のためその起動を禁止する。即ち、貯湯タンク20Aの最下部側の湯温が低温であることを確認し、駆動源2のオーバーヒートを防止している。そして、所定時間が経過している場合には、ステップS8に移行し、駆動源2の起動を行うとともに、暖機運転を行う。この暖機運転では、三方弁48を切り換えてバイパス路46を介して循環路6を狭小化し、熱媒温度の急激な立上りを行う。
【0074】
そして、この暖機運転の後、ステップS9に移行し、駆動源2の入口側の流体8の温度が所定温度、例えば、65℃になるように制御する。この一定温度制御は、温度センサ31、33の検出温度を監視しながら、直流モータ50の回転数を増減させ、循環ポンプ12Aで圧送される流体8の流量を加減することにより行われる。
【0075】
ところで、ステップS1において、三方弁35、48、58、60等の弁初期位置設定のサブルーチンでは、三方弁58はD−A方向、三方弁60はD−C(閉止)方向、三方弁48はC−A方向、三方弁35はC−A方向に切り換えられる。この結果、常時起動プログラムの実行が準備される。
【0076】
また、ステップS2のサブルーチンであるエンジン異常停止制御では、駆動源2であるエンジンが運転状態にあるか否かが判定され、運転状態にあるとき、所定時間として例えば、10秒経過の後、ガス弁が閉(OFF)であるか否かが判定され、閉止している場合には、エンジン停止を行った後、表示器146にエンジン異常停止を行った旨の表示としてアラーム表示を行う。
【0077】
また、駆動源2であるエンジンが運転状態でない場合には、所定時間として例えば、10秒経過の後、ガス弁が開(ON)であるか否かが判定され、開状態の場合には、エンジン停止を行った後、表示器146に「エンジン停止せず」とのアラーム表示を行う。
【0078】
また、メインルーチンのステップS2のサブルーチンであるエンジン運転許可制御では、エンジン運転が許可時間であるか否かが判定され、運転許可時間にある場合には、エンジン運転許可指示として「許可」を出力し、また、エンジン運転許可時間でない場合には、エンジン運転許可を禁止する指示として「禁止」を出力する。
【0079】
また、メインルーチンのステップS2のサブルーチンであるエンジン停止制御では、駆動源2のエンジンの電源をOFFにし、弁初期位置制御を実行した後、エンジンの運転状態を停止状態にする。
【0080】
また、メインルーチンのステップS2のサブルーチンであるエンジン強制停止制御では、強制停止入力手段として例えば、Escキーが押されたか否かが判定され、このEscキーが押されたとき、エンジン停止制御を実行し、制御を終了する。
【0081】
次に、図9は、図7のメインルーチンのステップS2のサブルーチンである給湯積算出力カウンタ144の制御を示している。即ち、このサブルーチンがスタートすると、ステップS11では、エンジン運転が「許可」であるか否かが判定され、許可の場合にはステップS12に移行し、カウンタリセットを行う。即ち、給湯積算出力カウンタ144に格納されている熱量Qcを0kcalとした後、ステップS13に移行し、水温を決定する。即ち、冬期では5℃、春秋期では15℃、夏期では25℃を設定した後、ステップS14に移行し、混合温サーミスタである温度センサ34Bの湯温測定を行う。
【0082】
そして、ステップS15では、給湯量を検出する流量センサ32Aが所定流量として例えば、1リットルカウントしたか否かを判定し、1リットルカウントを行った場合、ステップS16に移行する。ステップS16では、1リットル当たりの熱量計算として給湯積算出力熱量Qnを演算する。即ち、この給湯積算出力熱量Qn(kcal)は、
【0083】
Qn=(湯温−水温)×1(kcal) ・・・(8)
で算出される。
【0084】
そして、ステップS17に移行し、エンジン運転許可が「禁止」されているか否かが判定され、エンジン運転が禁止されている場合にはステップS11に復帰し、エンジン運転が禁止されていない場合にはステップS14に移行し、ステップS14〜ステップS16の処理を実行する。
【0085】
次に、図10は、図7に示すフローチャートのステップS8のサブルーチンであるエンジン起動及び暖機運転の制御を示している。
【0086】
ステップS31では、温水16Aの自然対流を防止するため、三方弁58をD−A方向、三方弁60をD−C(閉止)方向、暖機回路を構成するため、三方弁48をC−A方向、三方弁35をC−A方向に切り換えるとともに、循環ポンプ12Aを中回転に設定した後、ステップS32に移行し、温度センサ33の検出温度が所定温度、例えば、55℃以下であるか否かを判定し、この55℃を超えている場合、ステップS33に移行し、プリチェックの開始から所定時間として例えば、20分が経過したか否かを判定する。55℃を超えて20分が経過している場合には何らかの異常が発生していることが予想されるので、ステップS34に移行し、表示器146にアラームを発生させ、「異常停止」を告知する。このとき、駆動源2の停止モードに移行することになる。
【0087】
ステップS32で検出温度が所定温度として55℃以下の場合、ステップS35に移行して駆動源2であるエンジンの電源をONとし、ステップS36に移行してエンジン起動接点を所定時間、例えば、5秒間だけON状態とし、ステップS37に移行してエンジン起動接点をOFFにした後、所定時間、例えば、3秒間待機し、ステップS38に移行する。ステップS38では、ガス弁がON状態か否かを判定し、ガス弁がON状態でない場合、ステップS39に移行し、その起動が所定回数、例えば、5回目か否かを判定する。所定回数以下の場合には、ステップS40に移行し、所定回数に移行する所定時間、例えば、5秒間待機してステップS36に戻る。また、ステップS39でエンジン起動が所定回数に到達している場合、ステップS41に移行してエンジン停止とし、ステップS42で表示器146にアラームを発生させるとともに、エンジン起動失敗を告知させる。この告知によって利用者は、異常を知ることができる。
【0088】
ステップS38でガス弁がONに移行したと判定されたとき、ステップS43に移行して駆動源2のエンジンは運転状態となり、ステップS44に移行する。ステップS44では温度センサ33の検出温度が所定温度、例えば、60℃を超えているか否かを判定し、60℃を超えていない場合、ステップS45に移行し、所定時間の経過、例えば、20分が経過したか否かを判定し、所定時間が経過するまで、検出温度の推移を監視する。20分が経過したにも拘わらず、検出温度が60℃を超えない場合には、ステップS46に移行してエンジン停止を行った後、ステップS47に移行し、表示器146にアラームを発生させるとともに、エンジン・インバータ異常を告知させる。この告知によって利用者は、異常を知ることができる。
【0089】
そして、ステップS44で温度センサ33の検出温度が60℃を超えている場合には、暖機運転が正常に行われたことを表しているので、ステップS48に移行し、三方弁48をB−C方向に切り換え、バイパス路46を切り離した後、メインルーチン(図7)のステップS9に移行し、駆動源2による発電とともに、排熱回収を開始する。
【0090】
次に、図11は、図7のフローチャートのステップS9のサブルーチンであるエンジン入温度制御(目標値65℃の制御)を示している。
【0091】
ステップS51では駆動源2であるエンジンが運転状態か否かを常に監視し、ステップS52では循環ポンプ18Aの回転制御等を実行する。即ち、駆動源2に対する流体8の入側温度、即ち、温度センサ31の検出温度である戻り温度が所定温度、例えば、65℃を目標値として循環ポンプ18Aの回転制御を行う。なお、この制御の結果、循環ポンプ18Aの回転が停止している場合には、三方弁60をA−C方向に切り換え(閉)、循環ポンプ18Aが回転している場合は三方弁60をD−B方向に切り換えた後、ステップS53に移行する。
【0092】
ステップS53では、貯湯タンク20Aの最下部側の温度センサ870の検出温度が所定温度、例えば、50℃以上か否かを判定し、所定温度以下の場合、ステップS54に移行する。この場合、始動条件とのヒステリシス温度は例えば、10℃に設定する。そして、ステップS54では、駆動源2に対する流体8の入側温度、即ち、温度センサ31の検出温度である戻り温度が所定温度、例えば、75℃以上が所定時間、例えば、10秒以上か否か、且つ、循環ポンプ18Aの回転数が最大か否かを判定する。戻り温度が所定温度で所定時間以下、且つ、循環ポンプ18Aの回転数が最大でない場合、ステップS55に移行する。
【0093】
ステップS55では、駆動源2の運転状態が停止か否かを判定し、駆動源2が停止していないとき、即ち、運転状態のとき、ステップS56に移行し、暖房接点がON状態か否かを判定する。ON状態でない場合には、ステップS57に移行し、エンジン運転が許可されているか否かを判定し、エンジン運転が許可されている場合には、ステップS58に移行してタンク蓄熱量が(給湯負荷×1.2−積算出力)より多いか否かを判定する。即ち、この判定は、暖房を行っていない場合、エンジン運転許可時間内であれば、この条件成立でエンジン運転停止を行うことを意図している。
【0094】
ところで、ステップS53で温度センサ870の検出温度が所定温度、即ち、50℃を超えている場合、又は、ステップS54で戻り温度が所定温度以上で所定時間以上、且つ、循環ポンプ18Aの回転数が最大である場合には、ステップS59に移行し、循環ポンプ18Aを停止させ、ステップS60に移行してエンジン停止を行う。ステップS61では、エンジン停止から所定時間の経過、例えば、30秒が経過するまで待機した後、ステップS62に移行し、循環ポンプ12Aを停止させた後、図7に示すメインルーチンのステップS2に戻る。即ち、循環ポンプ18Aを停止させた後、循環ポンプ12Aを停止させるのは、貯湯タンク20A側の階層蓄熱の崩れを防止するためである。
【0095】
また、ステップS55でエンジン停止、ステップS57でエンジン運転禁止、又は、ステップS58でタンク蓄熱量が(給湯負荷×1.2−積算出力)を超えている場合には、ステップS63に移行し、エンジン停止を行い、ステップS64でエンジン停止から所定時間例えば、30秒が経過するまで待機した後、ステップS65に移行し、循環ポンプ18Aの停止を行い、ステップS62に移行する。
【0096】
そして、この熱交換蓄熱装置では、駆動源2の冷却回路を構成する循環路6に排熱回収用の熱交換器10A、暖房用の熱交換器10Bを設置しているので、温水16A、温水119に排熱を効率よく吸収させることができ、温水16Aを貯湯タンク20Aに導いて蓄熱させ、温水119を暖房用循環路120に流すことができる。
【0097】
ところで、駆動源2の能力や耐久性を保つには、駆動源2からの排熱吸収には限度があり、流体8の戻り温度は一定温度、例えば、65℃を中央値として一定温度幅、例えば、65±5℃程度に維持することが望ましいものであるが、実際には、室内放熱器38A、浴室暖房乾燥機38Bの運転状態や運転台数等で暖房負荷の変化や、外部からの給水温度等で駆動源2に戻る流体8の戻り温度は大きく変動する。そこで、循環路6側の流体8の循環流量の制御と、循環路14側の温水16Aの循環流量の制御とを併用して流体8の戻り温度を制御する。この場合、例えば、消費電力が低く、制御性の良い直流モータ50で駆動される循環ポンプ12Aや、同様に、直流モータ67で駆動される循環ポンプ18Aを使用すれば、流体8や温水16Aの流量を暖房負荷の増減に応じて幅広く調整することができ、流体8の戻り温度を最適化することができる。
【0098】
この場合、暖房要求がないとき、熱交換器10Aのみで熱交換が行われるので、この熱交換に応じて駆動源2への流体8の戻り温度が所定温度、例えば、65℃となるように循環ポンプ18Aの回転数を制御して流量を調整し、貯湯タンク20Aへの蓄熱を行う。
【0099】
また、暖房要求があったとき、暖房端末の放熱負荷の大きさで流体8の戻り温度が変動するが、その戻り温度が所定温度以下、例えば、65℃以下の場合、熱交換器10Aでの熱回収は不要であるため、循環ポンプ18Aを停止し、流体8の戻り温度が所定温度、例えば、65℃を超える場合、循環ポンプ18Aを運転させ、流体8の戻り温度が所定温度、即ち、65℃となるように温水流量を調整し、貯湯タンク20Aへの蓄熱を行う。
【0100】
しかし、暖房要求において、低温水で十分な低温要求の場合、例えば床暖房の場合には、その暖房端末には60℃程度の温水循環で十分である。このような低い温度要求について、駆動源2への流体8の戻り温度は65℃であり、流体8からの往き温度は75℃であるため、熱交換器10Bには60℃を超える熱交換が行われる。このような高温の温水119を循環させると、床暖房パネルは過熱状態となり、好ましくない。
【0101】
そこで、低温(60℃)の暖房要求の場合には、駆動源2の流体8の戻り温度を低温要求に最適な戻り温度、例えば、60℃、往き温度を70℃にシフトさせるように循環ポンプ18Aの回転を制御し、温水16Aの流量を調整する。即ち、温水16Aの流量を増加させると、排熱回収熱量が増加し、駆動源2の循環路6の流体8の温度が低下することになる。
【0102】
以上説明した熱交換蓄熱制御を行えば、貯湯タンク20Aから流出した温水16Aの流量、時間、温度の各要素を用いて熱量を演算し、この熱量を予め季節等の期間毎の設定熱量から減算することにより必要熱量を算出し、この必要熱量に応じて駆動源2及びポンプ18Aの運転時間を制御するので、貯湯タンク20Aに余分な蓄熱をすることがなく、放熱ロスを最小限に抑えることができ、効率的な熱交換処理及び蓄熱処理を実現することができる。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果が得られる。
a 熱交換量を制御するので、不要な蓄熱処理の防止とともに、放熱ロスを低減することができる。
b 熱交換及び蓄熱の処理時間を最小限に抑えることができ、不要な蓄熱処理を防止できるとともに、放熱ロスを低減することができ、効率的な熱交換及び蓄熱処理を実現することができる。
c 使用熱量を学習して熱交換及び蓄熱の運転パターンの最適化を実現できるので、熱交換及び蓄熱処理の経済的な運転処理とともに、蓄熱手段やタンクの小容量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の第1実施例を示す図である。
【図2】本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の第2実施例を示す図である。
【図3】本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の第3実施例を示す図である。
【図4】本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の具体的実施例である熱交換系統及び蓄熱系統を示す図である。
【図5】本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の具体的実施例である図4に続く蓄熱系統及び熱利用系統を示す図である。
【図6】本発明の熱交換蓄熱制御方法及び熱交換蓄熱装置の具体的実施例である図5に続く熱利用系統を示す図である。
【図7】熱交換制御動作を示すフローチャートである。
【図8】貯湯タンクの蓄熱形態を示す図である。
【図9】メインルーチンにおける給湯積算出力カウンタ処理に関するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】メインルーチンにおけるエンジン起動処理及び暖機運転処理に関するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】メインルーチンにおけるエンジン入温度65℃制御に関するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】従来の熱交換及び蓄熱を示す図である。
【符号の説明】
2 駆動源(熱源)
3 制御部(制御手段)
4 熱交換部(第1の熱交換手段)
5 記憶手段
8 第1の流体
14 循環路
16 第2の流体
16A 温水(第2の流体)
10、10A 熱交換器(第2の熱交換手段)
20 タンク(蓄熱手段)
20A 貯湯タンク(蓄熱手段)
Claims (9)
- 熱源が発生する熱を熱媒に吸収させ、この熱媒が持つ熱を流体に熱交換する処理と、
前記熱交換により加熱された前記流体をタンクに溜めて蓄熱する蓄熱処理と、
前記タンクから流出する前記流体の流量、前記タンクに補填又は帰還される前記流体の流量をLとし、時間をt、流出流体の温度をTo、前記タンクに補填又は帰還される前記流体の温度をTiとすれば、次式から、熱量Qを算出する処理と、
Q=L×t×(To−Ti)
前記熱量に応じて前記熱媒の流量を加減することにより、前記熱交換の交換熱量を制御する処理と、
を含むことを特徴とする熱交換蓄熱制御方法。 - 熱源の熱で加熱された第1の流体の熱を第2の流体に熱交換し、前記第2の流体を加熱する熱交換処理と、
前記第2の流体をタンクに溜めて蓄熱する蓄熱処理と、
前記タンクから流出する前記第2の流体の流量、前記タンクに補填又は帰還される前記第2の流体の流量をLとし、時間をt、流出する第2の流体の温度をTo、前記タンクに補填又は帰還される前記第2の流体の温度をTiとすれば、次式から、熱量Qを算出する処理と、
Q=L×t×(To−Ti)
前記熱量に応じて前記第1の流体の熱を前記第2の流体に熱交換する処理時間を加減し、熱交換を制御する処理と、
を含むことを特徴とする熱交換蓄熱制御方法。 - 前記熱量と前記第1の流体の温度及び流量とから熱交換の処理時間を算出し、その処理時間で熱交換させる処理を含むことを特徴とする請求項2記載の熱交換蓄熱制御方法。
- 前記処理時間は、設定熱量から前記熱量を減算して得られる必要熱量に応じて設定することを特徴とする請求項2又は3記載の熱交換蓄熱制御方法。
- 前記処理時間は、所定期間毎の設定熱量から前記熱量を減算して得られる必要熱量に応じて設定することを特徴とする請求項2又は3記載の熱交換蓄熱制御方法。
- 前記熱源の運転時間を必要熱量に応じて制御することを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱交換蓄熱制御方法。
- 熱を発生する熱源と、
この熱源の前記熱で第1の流体を加熱する第1の熱交換手段と、
前記第1の流体の熱で第2の流体を加熱する第2の熱交換手段と、
この第2の熱交換手段で加熱された前記第2の流体を溜めて蓄熱する蓄熱手段と、
この蓄熱手段及び前記第2の熱交換手段に前記第2の流体を循環させる循環路と、
前記蓄熱手段から流出する前記第2の流体の流量、前記蓄熱手段に補填又は帰還される前記第2の流体の流量をLとし、時間をt、流出する第2の流体の温度をTo、前記蓄熱手段に補填又は帰還される前記第2の流体の温度をTiとすれば、次式から、
Q=L×t×(To−Ti)
熱量Qを算出し、この熱量に応じて前記熱源の運転時間を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする熱交換蓄熱装置。 - 前記制御手段は、予め熱量が設定される記憶手段を備え、この記憶手段に記憶されている設定熱量を読み出し、この設定熱量から使用熱量を減算して得られる必要熱量に応じて前記熱源の運転時間を制御することを特徴とする請求項7記載の熱交換蓄熱装置。
- 前記制御手段は、季節毎に予め設定した熱量を記憶手段に記憶し、この記憶手段から前記熱量を読み出し、この熱量から使用熱量を減算して得られる必要熱量に応じて前記熱源の運転時間を季節毎に制御することを特徴とする請求項7記載の熱交換蓄熱装置。
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