JP3845058B2 - 低NOx燃焼器 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、燃焼排ガスの一部を燃焼用一次空気や燃焼用二次空気として再循環させることにより燃焼排ガス中のNOxを低減させるバーナを有する燃焼器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、予混合方式の燃焼器に用いられるバーナとして、例えば特許文献1に示すように,バーナ本体の上面に凹部を設けて、この凹部内の壁面に複数の炎孔を穿設した内部炎孔バーナがある。
【0003】
そして、これらの燃焼器においては、燃焼の際に発生する有害物質の低減が重要課題となっており、中でも近年においてはNOxの低減の要求が高まってきている。そこで、NOxを低減する方法として種々の方式が考えられているが、その中の一つである排ガス再循環燃焼方式が大きなNOx低減効果をあげている。この排ガス再循環方式とは、文字どおり燃焼時に発生する排ガスの一部を燃焼用空気として再循環させる方式であり、燃焼排ガス中に含まれる不活性成分であるCO2を燃焼領域に投入することで、燃焼用空気中の酸素濃度を低下させるとともに、CO2は熱容量が大きいため温度上昇が抑えられて燃焼温度が低下することを利用してNOxの発生を低減させるものである。
【0004】
また、前述の排ガス再循環方式には大きく分けて2つの方式があり、一つは送風機等の吸引手段を設けて燃焼排ガスを吸引し強制的に再循環させる強制再循環方式(例えば特許文献2)、そしてもう一つは、燃焼火炎が噴出する際の噴出力により燃焼排ガスの再循環を促す自己再循環方式(例えば特許文献3)であり、現在では後者の自己再循環方式の方が主流となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−159119
【特許文献2】
特開平6−159621
【特許文献3】
特開平6−42721
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、燃焼火炎の噴出力を利用した自己再循環方式は、圧力噴霧式等の高圧燃料噴射方式の燃焼器にのみ実現が可能であり、一般的な予混合方式の燃焼器に適用しても効果的に再循環を行うことはできない。そのため、予混合方式の燃焼器においては、今だ何らかの吸引手段を設ける必要があった。
【0007】
しかしながら、吸引手段を設けることは部品の追加となるためコストアップや、装置の大型化を招くことになってしまう。加えて、再循環する燃焼排ガスはかなりの高温であるため、燃焼排ガスと接触する吸引手段やその周辺の部品の耐久性も問題となる。そこで予混合燃焼にも適用可能な自己再循環方式バーナの開発が望まれていた。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためのもので、予混合方式の燃焼器において、吸引手段を設けることなく燃焼排ガスの再循環を可能とする低NOx燃焼器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、内側壁面に多数の炎孔を有し筒状空間部を有する環状本体に燃料ガスと空気の予混合気を供給する予混合室を連通し予混合気を燃焼させ燃焼排ガスを発生するバーナと、前記バーナを囲むバーナボックスと、前記バーナボックスに載置された燃焼室と、前記バーナボックスに設けられ前記燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部をバーナボックス内部に取り入れる排ガス取入口を有し、前記バーナボックスと前記燃焼室は前記筒状空間部により連通している構成とした。
【0010】
すなわち、請求項1の発明では、バーナボックスと燃焼室を連通する筒状空間部を設けたことにより、バーナの内側壁面に設けられた炎孔から噴出する燃焼火炎の上昇力が筒状空間部にバーナボックスから燃焼室に向かう吸引力を発生させる。また、この吸引作用によってバーナボックス内は負圧になり、そして、バーナボックスには排ガス取入口が設けられているので、燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部はこの排ガス取入口からバーナボックス内に流入するため、吸引手段を設けなくとも燃焼排ガスの自己再循環が可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、すり鉢状上面に多数の炎孔を有し中央空間部を有する環状本体に燃料ガスと空気の予混合気を供給する予混合室を連通し予混合気を燃焼させ燃焼排ガスを発生するバーナと、前記バーナを囲むバーナボックスと、前記バーナボックスに載置された燃焼室と、前記バーナボックスに設けられ前記燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部をバーナボックス内部に取り入れる排ガス取入口を有し、前記バーナボックスと前記燃焼室は前記中央空間部により連通している構成とした。
【0012】
すなわち、請求項2の発明では、バーナボックスと燃焼室を連通する中央空間部を設けたことにより、バーナのすり鉢状上面に設けられた炎孔から噴出する燃焼火炎の上昇力が中央空間部にバーナボックスから燃焼室に向かう吸引力を発生させる。また、この吸引作用によってバーナボックス内は負圧になり、そして、バーナボックスには排ガス取入口が設けられているので、燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部はこの排ガス取入口からバーナボックス内に流入するため、吸引手段を設けなくとも燃焼排ガスの自己再循環が可能となる。さらに、すり鉢状上面を有する環状本体は加工がしやすく製造コストを押さえることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記予混合室は、前記バーナボックス内で燃焼排ガスを取り入れる構造を有する。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記予混合室は、燃料ガスと空気を混合する第1予混合室と、前記第1予混合室から噴出する予混合気と前記バーナボックス内の燃焼排ガスを混合する第2予混合室からなり、前記第2予混合室は前記環状本体に連通しているものである。
【0015】
すなわち、請求項3または4の発明では、燃料ガスは予混合室でバーナボックス内に充満した燃焼排ガスも巻き込んで予混合されるので、予混合段階(燃焼用一次空気)と燃焼段階(燃焼用二次空気)の両方で燃焼排ガスを再循環することとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の燃焼器を添付の図面をもとに説明する。
【0017】
(実施例1)本発明の実施例1を図1および図2をもとに説明する。図1は燃焼器の断面図であって、液体燃料を気化する気化器1は、気化器1に液体燃料を供給する電磁ポンプ2と、ヒータ3を内蔵した気化筒4と、ソレノイド5によって開閉するノズル6から構成されている。
【0018】
またバーナ7は、気化器1により気化された燃料ガスと空気を混合して予混合気とする予混合室8と、この予混合気を燃焼させて燃焼排ガスを発生させる環状本体9から構成されており、環状本体9は多数の炎孔10を有した内側壁面11と、この内側壁面11により形成される筒状空間部12を有している。そして、バーナ7を収納するバーナボックス13と、バーナボックス13上に設けられ燃焼空間を形成する燃焼室14が設けられていて、バーナボックス13と燃焼室14とは筒状空間部12により連通している。
【0019】
また、図2は燃焼器の斜視図であって、バーナボックス13には燃焼により燃焼室14に放出された燃焼排ガスをバーナボックス13内に取り入れるための排ガス取入口15が設けられており、燃焼排ガスは排ガス取入口15からバーナボックス13内に流入し、さらに燃焼火炎の上昇力に伴って発生する吸引力により筒状空間部12に引き込まれて火炎に供給されて再循環する。
【0020】
次に上述の構成における燃焼器の動作を説明する。まず、燃焼器の運転が指示されると、ヒータ3に通電を行い気化器1の予熱を開始する。そして、気化器1の温度が液体燃料を気化する温度まで上昇すると、電磁ポンプ2を駆動して液体燃料を気化器1に供給するとともに、ソレノイド5に通電して気化器1先端のノズル6を開放する。
【0021】
そして気化器1に供給された液体燃料は、加熱されて気化ガスとなりノズル6から予混合室8へ噴出され、このとき、周囲の空気も燃焼用一次空気として予混合室8へ引き込まれ、気化ガスと燃焼用一次空気が予混合されて予混合気となる。そして予混合気は環状本体9の内側壁面11に設けられた炎孔10より噴出し、図示しない点火装置により点火されて燃焼を開始し、燃焼排ガスが燃焼室14に放出される。
【0022】
このようにして燃焼が開始されると、図1の矢印が示すように炎孔10から噴出する燃焼火炎の上昇力は筒状空間部12にバーナボックス13から燃焼室14に向かう吸引力を発生させる。すると、この吸引作用によってバーナボックス13内は負圧になるため、燃焼室14内の燃焼排ガスが排ガス取入口15からバーナボックス13に流入する。そして、バーナボックス13に流入した燃焼排ガスは、筒状空間部12へ吸引され、内側壁面11で燃焼している火炎に供給される。
【0023】
燃焼排ガス中には不活性成分であるCO2が多く含まれているため、上述のように燃焼排ガスの一部を燃焼用二次空気として再循環させ火炎に供給することで、燃焼用二次空気中の酸素濃度を低下させるとともに、CO2は熱容量が大きいため温度上昇が押さえられて燃焼温度が低下する。よって、NOxの発生が抑制されることとなる。
【0024】
つまり、バーナ7の環状本体9に設けられた内側壁面11は、炎孔10から噴出する燃焼火炎の上昇力によって筒状空間部12にバーナボックス13から燃焼室14に向かう吸引力を発生させ、この吸引力が燃焼室14の燃焼排ガスの一部を排ガス取入口15からバーナボックス13に流入させる再循環通路を形成するので、予混合方式の燃焼器においても別途吸引手段を設けなくとも燃焼排ガスの自己再循環が可能となる。
【0025】
(実施例2)次に本発明の実施例2を図3をもとに説明する。なお、第1の実施例と同じ構成部品については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0026】
バーナ7は、すり鉢状上面16に予混合気を噴出する多数の炎孔10を有する環状本体9を有しており、さらに環状本体9の中央にはバーナボックス13と燃焼室14を連通する中央空間部17が設けられている。
【0027】
このような構成の燃焼器において、炎孔10から噴出した予混合気は、図示しない点火装置によって点火されて燃焼を開始すると、燃焼火炎の上昇力が中央空間部17を通してバーナボックス13から燃焼室14に向かう吸引力を発生させる。すると、この吸引作用によってバーナボックス13内は負圧になるため、燃焼室14内の燃焼排ガスが排ガス取入口15からバーナボックス13に流入する。そして、バーナボックス13に流入した燃焼排ガスは、中央空間部17へ吸引され、すり鉢状上面16で燃焼している火炎に供給される。つまり実施例1と同様に、燃焼排ガスの自己再循環が可能となり、従ってNOxの発生が抑制される。
【0028】
なお、本実施例のようなすり鉢状上面16を有する環状本体9は、加工が簡単であるため、製造コストを低減することもできる。
【0029】
(実施例3)次に本発明の実施例3を図4をもとに説明する。なお、第1の実施例と同じ構成部品については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0030】
図4において第1予混合室18は、気化器1から噴出される燃料ガスと空気を混合し、第2予混合室19に向けて予混合気を噴出する。そして、第1予混合室18と第2予混合室19の間には隙間が設けられており、第1予混合室18から予混合気が噴出する際に、この隙間からバーナボックス13内の空気を取り入れるようになっている。そして、第2予混合室19は環状本体9と連通しており、第1予混合室18と対向する開口は第1予混合室18の開口より広口の形状をなしている。
【0031】
上述のような構造において、気化器1で加熱された液体燃料は気化ガスとなり、ノズル6からまず前段の第1予混合室18へ噴出され、このとき、周囲の空気も燃焼用一次空気として第1予混合室18へ引き込まれるので、気化ガスは燃焼用一次空気と予混合されて予混合気となる。そして、第1予混合室18から後段の第2予混合室19へ噴出する際に、図の破線矢印で示すように第1予混合室18と第2予混合室19の隙間からバーナボックス13内の燃焼排ガスも引き込みさらに予混合が行われる。
【0032】
実施例1および2で説明したように、燃焼排ガスが再循環することによりバーナボックス13は燃焼排ガスが充満している状態となっているため、第2予混合室19では第1予混合室18からの予混合気と燃焼排ガスが予混合される。つまり、予混合段階(燃焼用一次空気)と燃焼段階(燃焼用二次空気)の両方で燃焼排ガスを再循環させるため、よりNOx低減効果が高くなる。
【0033】
なお、本実施例では第1予混合室18と第2予混合室19に分け、第1予混合室18と第2予混合室19の間に設けた隙間からバーナボックス13の燃焼排ガスを引き込む構成としたが、この他にも例えば予混合室8に孔を設けてここから燃焼排ガスを取り入れるように構成したりすることもできる。ただしその場合、予混合室8からバーナボックス13に予混合気が吹き出さないような構造になるよう注意する必要があるが、本実施例のような構成とすれば確実にバーナボックス13内の燃焼排ガスを第2予混合室19に引き込むことができる。
【0034】
(実施例4)次に本発明の実施例4を図5をもとに説明する。なお、第1の実施例と同じ構成部品については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0035】
燃焼室14内には、環状本体9と排ガス取入口15を内側に囲うように円筒状の燃焼筒20が設けられている。この燃焼筒20は、燃焼排ガスが燃焼室14内に拡散するのを防ぐために設けたもので、バーナ7で発生した燃焼排ガスは、燃焼筒20内に充満して、すぐさま排ガス取入口15からバーナボックス13に引き込まれる。つまり、燃焼排ガスが燃焼室14の空気によって希釈されるのを防ぐことができるため、より多くの燃焼排ガスをバーナボックス13に引き込むこととなる。
【0036】
ただし、燃焼筒20と環状本体9とが近接しすぎると、燃焼筒20が保炎板の役割を果たしてしまい、燃焼炎までもが排ガス取入口15に引き込まれてしまうので、燃焼筒20は環状本体9と所定の間隔を離して設ける必要がある。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1の発明によれば、予混合燃焼方式の燃焼器であっても、吸引手段を設けずに燃焼排ガスの自己再循環が可能になるので、装置の大型化やコストアップを招くことなくNOxを低減する燃焼器を提供することができる。
【0038】
また、請求項2の発明によれば、上述の効果に加え、上面がすり鉢状のバーナは加工が簡単であるため、燃焼器の製造コストを低減することができる。
【0039】
また、請求項3および請求項4の発明によれば、予混合室をバーナボックス内の燃焼排ガスを取り入れる構造としたので、予混合段階と燃焼段階の両方で燃焼排ガスを再循環させるため、よりNOx低減効果の高い燃焼器となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の燃焼器の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の燃焼器の斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施例の燃焼器のバーナ断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例の燃焼器のバーナ断面図である。
【図5】本発明の第4の実施例の燃焼器の斜視図である。
【符号の説明】
11 内側壁面
10 炎孔
12 筒状空間部
9 環状本体
8 予混合室
7 バーナ
13 バーナボックス
14 燃焼室
15 排ガス取入口
16 すり鉢状上面
17 中央空間部
18 第1予混合室
19 第2予混合室
Claims (4)
- 内側壁面に多数の炎孔を有し筒状空間部を有する環状本体に燃料ガスと空気の予混合気を供給する予混合室を連通し予混合気を燃焼させ燃焼排ガスを発生するバーナと、前記バーナを囲むバーナボックスと、前記バーナボックスに載置された燃焼室と、前記バーナボックスに設けられ前記燃焼室内に放出された燃焼排ガスの一部をバーナボックス内部に取り入れる排ガス取入口を有し、前記バーナボックスと前記燃焼室は前記筒状空間部により連通していることを特徴とする低NOx燃焼器。
- すり鉢状上面に多数の炎孔を有し中央空間部を有する環状本体に燃料ガスと空気の予混合気を供給する予混合室を連通し予混合気を燃焼させ燃焼排ガスを発生するバーナと、前記バーナを囲むバーナボックスと、前記バーナボックスに載置された燃焼室と、前記バーナボックスに設けられ前記燃焼室に放出された燃焼排ガスの一部をバーナボックス内部に取り入れる排ガス取入口を有し、前記バーナボックスと前記燃焼室は前記中央空間部により連通していることを特徴とする低NOx燃焼器。
- 前記予混合室は、前記バーナボックス内で燃焼排ガスを取り入れる構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の低NOx燃焼器。
- 前記予混合室は、燃料ガスと空気を混合する第1予混合室と、前記第1予混合室から噴出する予混合気と前記バーナボックス内の燃焼排ガスを混合する第2予混合室からなり、前記第2予混合室は前記環状本体に連通していることを特徴とする請求項3に記載の低NOx燃焼器。
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