JP3844971B2 - 無線パケット通信装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の無線局が同一の無線回線を共有し複数の無線伝送速度群を使用して通信を行う無線通信システムにおいて用いられる無線パケット通信装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のIEEE802.11で規定される無線LANでは、2.4GHz帯と、5.2GHz帯の2つの周波数帯におけるシステムがある。このうち2.4GHz帯の無線LANでは無線伝送方式としてスペクトラム拡散方式を採用しているが、その中に直接拡散方式(DS−SS方式)を使用するシステムと周波数ホッピング方式(FH−SS方式)を使用するシステムの2種類のシステムが存在する。
【0003】
2.4GHz帯周波数ホッピング方式の無線LANでは1Mbps、2Mbpsの2種類の無線伝送速度を採用し、2.4GHz帯直接拡散方式の無線LANでは1Mbps、2Mbps、5.5Mbps、11Mbpsの4種類の無線伝送速度を採用し、また同標準規定の5.2GHz帯無線LANでは、オプションの規定を含めて6Mbps、9Mbps、12Mbps、18Mbps、24Mbps、36Mbps、48Mbps、54Mbpsの8種類の無線伝送速度を採用している。
【0004】
これらの無線LAN機器は1つのシステムで無線伝送速度の異なる複数の無線伝送方式をサポートしており、各無線局は送受間の伝搬路におけるフェ−ジング変動等によって生じる無線回線の品質の変化に応じて、使用する無線伝送方式を変更することが可能である。
【0005】
複数の無線局が無線チャネルを共有して無線パケット通信を行う場合、各無線局間の伝搬状況はそれぞれ異なるため無線回線の品質に差異が生じ、各無線局は異なる無線伝送方式を用いてパケットを送信する場合がある。
【0006】
このため、速い無線伝送速度で送信されたパケットと遅い無線伝送速度で送信されたパケットが同一のチャネルに混在する現象が発生する。
【0007】
一方、従来のIEEE802.11で規定される無線LANシステムのパケット送信方法では、図18に示すように、周期的に送信されるビーコンにより分割されている無線回線において、パケット送信に使用される無線伝送速度に関わらず、送信バッファの先頭にあるパケットから順次送信している。即ち、無線伝送速度1で送信されるパケットP1、無線伝送速度2で送信されるパケットP2及び無線伝送速度3で送信されるパケットP3が特にグループ化されることなく、送信バッファの先頭側から順に送信される。
【0008】
近年の無線パケット通信機器は、1つの無線機器を用いて広いエリアで高速に通信を可能にするため、各無線局が通信品質や無線伝送速度の異なる複数の無線伝送方式を使用する無線回線の品質に応じて切り替えて通信を行う機能を有している。
【0009】
これらのシステムは、使用する無線回線の品質が異なる複数の無線局が同一チャネルに混在する環境下においてパケットを送信する場合、無線回線の品質が良好な無線局は高速の無線伝送速度を有する無線伝送方式を、無線回線品質が劣悪な無線局は低速の無線伝送速度を有する無線伝送方式を選択する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記無線パケット通信機器を用いたシステムでは、同一のデータ量を有するパケットを送信する場合、使用する無線伝送速度により1パケットを送信するために占有する時間に差異が生じることとなる。つまり、高速の無線伝送速度でパケットを送信する無線局は短い時間でパケットの送信処理を終了するが、低速の無線伝送速度でパケットを送信する無線局はパケットの送信処理を終了するまでに、高速の無線伝送速度を使用する無線局に比べて長い時間が必要となる。
【0011】
このため、異なる無線伝送速度を使用してパケットを送信する無線局が同一の無線チャネルに混在した場合、無線回線に送出されたパケットのトラヒックの状態により低速の無線伝送速度を使用する無線局が帯域の大半を占有し、システム全体の伝送効率を劣化させる問題がある。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、異なる無線伝送速度を使用してパケットを送信する無線局が同一の無線チャネルに混在した場合でも、システム全体の伝送効率を良好に維持することができる無線パケット通信装置及び方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る無線パケット通信装置は、無線でパケットを送受信する機能と、パケット毎に使用する無線伝送速度を選択する機能と、送信を予定しているパケットを送信バッファに蓄積する機能とを備えた複数の無線局の各々に設けられ、前記複数の無線局が同一の無線回線を共有し複数の無線伝送速度群を使用して通信を行う無線通信システムにおけるトラヒックの状況であって、無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量としてのトラヒックの状況を検出する検出手段と、検出されたトラヒックの状況に応じて、前記使用される複数の無線伝送速度群を区分する区分手段と、送信バッファ内のパケットを、同一の区分枝に属する無線伝送速度毎にグループ化するグループ化手段と、グループ化された送信バッファ内のパケットを、グループ毎に異なる無線チャネルに割当てる割当手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る無線パケット通信装置は、検出手段が、無線伝送速度毎に分類され無線局が送信した各パケットが有するデータ量、無線伝送速度毎に分類され無線局が受信した各パケットが有するデータ量、及び無線伝送速度毎に分類され無線局の送信バッファ内の各パケットが有するデータ量のうち、少なくとも1つに基づいて、トラヒックの状況を検出することを特徴とする。
【0015】
一方、本発明に係る無線パケット通信方法は、無線でパケットを送受信する機能と、パケット毎に使用する無線伝送速度を選択する機能と、送信を予定しているパケットを送信バッファに蓄積する機能とを備えた複数の無線局が、同一の無線回線を共有し複数の無線伝送速度群を使用して通信を行う無線通信システムにおける無線パケット通信方法であって、前記無線通信システムにおけるトラヒックの状況であって、無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量としてのトラヒックの状況を検出する検出工程と、検出されたトラヒックの状況に応じて、前記使用される複数の無線伝送速度群を区分する区分工程と、送信バッファ内のパケットを、同一の区分枝に属する無線伝送速度毎にグループ化するグループ化工程と、当該グループ化された送信バッファ内のパケットを、グループ毎に異なる無線チャネルに割当てる割当工程と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る無線パケット通信方法は、検出工程では、無線伝送速度毎に分類され無線局が送信した各パケットが有するデータ量、無線伝送速度毎に分類され無線局が受信した各パケットが有するデータ量、及び無線伝送速度毎に分類され無線局の送信バッファ内の各パケットが有するデータ量のうち、少なくとも1つに基づいて、トラヒックの状況を検出することを特徴とする。
【0017】
ところで、上記本発明に係る無線パケット通信装置及び無線パケット通信方法は同じ技術的思想に基づくものであり、それぞれ当該技術的思想を、装置として捉えたもの、方法として捉えたものである。
【0018】
そこで、以下では、本発明に係る無線パケット通信装置による課題解決手段を説明するが、無線パケット通信方法についての課題解決手段も同一思想に基づくものである。
【0019】
本発明に係る無線パケット通信装置は、無線でパケットを送受信する機能と、パケット毎に使用する無線伝送速度を選択する機能と、送信を予定しているパケットを送信バッファに蓄積する機能とを備えた複数の無線局の各々に設けられており、これら複数の無線局は、同一の無線回線を共有し複数の無線伝送速度群を使用して通信を行う無線通信システムを構成している。即ち、この無線通信システムにおいて、各無線局は、送信を予定しているパケットを送信バッファに一旦蓄積し、送信されるパケット毎に使用する無線伝送速度を上記複数の無線伝送速度群から選択し、共有の同一の無線回線を用いてパケットを送信する。
【0020】
このとき本発明に係る無線パケット通信装置では、検出手段が、無線通信システムにおけるトラヒックの状況であって無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量としてのトラヒックの状況を検出する。ここで、検出手段は、無線伝送速度毎に分類され無線局が送信した各パケットが有するデータ量、無線伝送速度毎に分類され無線局が受信した各パケットが有するデータ量、及び無線伝送速度毎に分類され無線局の送信バッファ内の各パケットが有するデータ量、のうち少なくとも1つ(即ち、何れか1つ又は2つ以上の組み合わせ)に基づいて、トラヒックの状況を検出することができる。例えば、上記のうち無線局が送信した各パケットが有するデータ量について、無線伝送速度毎に総和し、パケットのヘッダー長等を加味して、各無線伝送速度で送信される総データ量を求め、求めた総データ量を無線伝送速度で除することで、各無線伝送速度についてのパケット送信時間を求める。ここで得られた各無線伝送速度についてのパケット送信時間及び総データ量を、無線通信システムにおけるトラヒックの状況を表す量として、検出することができる。
【0021】
そして、区分手段が、上記のようにして検出されたトラヒックの状況に応じて、使用される複数の無線伝送速度群を区分する。これにより、システム全体の伝送効率を良好に維持できるようなトラヒック状況に応じた無線伝送速度群の区分が可能となる。また、グループ化手段は、上記のようなトラヒック状況に応じた無線伝送速度群の区分の結果、同一の区分枝に属するとされた無線伝送速度毎に、送信バッファ内のパケットをグループ化し、割当手段は、グループ化された送信バッファ内のパケットをグループ毎に異なる無線チャネルに割当てる。
【0024】
このようにして、送信バッファ内のパケットは、トラヒック状況に応じた無線伝送速度群の区分の結果、同一の区分枝に属するとされた無線伝送速度毎にグループ化され、グループ毎に異なる無線チャネルに割当てられるので、異なる無線伝送速度を使用してパケットを送信する無線局が同一の無線チャネルに混在した場合でも、システム全体の伝送効率を良好に維持することができる
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る無線パケット通信装置及び方法の一実施形態について説明する。図1に本発明に係る無線パケット通信装置10の構成例を、図2に無線パケット通信装置10が送信する無線パケットの構成例を、図3に無線パケット通信装置10の送信バッファ15内のパケットの構成例を、それぞれ示す。
【0026】
図1に示す無線パケット通信装置10において、受信した無線パケットはアンテナ部11、共用器12を順に通過し受信部13により復調される。これにより、受信データが取得される。無線パケット通信装置10からの送信データは一度送信バッファ15に蓄積された後、送信制御部16からの制御信号により送信部14に転送され、送信部14により変調される。変調された送信データは共用器12、アンテナ部11を順に通過して無線回線に送信される。
【0027】
無線伝送速度群区分回路18は、本発明に係る無線パケット通信方法に基づく後述の処理を実行し、送信制御部16は、この無線伝送速度群区分回路18からの制御信号に基づいて、送信するパケットを送信バッファ15から選択するとともに、パケット送信に使用する無線チャネルを選択する。また、送信制御部16は、送信パケットが有する送信先アドレスをキーにして、図17に例示したデータベース17に格納された当該送信先アドレスに対応する無線伝送速度(パケット送信に使用する無線伝送速度)の情報を読み出し、各パケットが送信に使用する無線伝送速度を決定する。
【0028】
なお、送信する無線パケットは、図2に示すように、送信データ24の他に、少なくともパケット送信に用いられる、無線伝送速度21、パケット長22及び送信先アドレス23を示す情報が挿入されており、送信バッファ15内に蓄積されたパケットは、図3に示すように、送信データ24の他に、少なくともパケット長22と送信先アドレス23とを示す情報が挿入されている。
【0029】
次に、本実施形態の作用として、無線伝送速度群区分回路18により実行される本発明の無線パケット通信方法に基づく処理を図4に沿って説明する。無線伝送速度区分回路18は、まず、ステップ41にて使用可能な無線チャネルの数を検出し、次のステップ42では実施可能な全ての無線伝送速度群の区分方法を算出する。
【0030】
例えば、無線パケット通信装置10が使用する無線伝送速度の数を3つとし、使用可能な無線チャネルの数を3とした場合、実施可能な全ての無線伝送速度群の区分方法として、図5に示す5つの区分方法が算出される。
【0031】
このうち区分方法1では、無線伝送速度1と無線伝送速度2と無線伝送速度3を、それぞれ異なる区分枝1、区分枝2、区分枝3に区分する。区分方法2では、無線伝送速度1と無線伝送速度2を同一の区分枝である区分枝1に、無線伝送速度3を区分枝2に区分する。区分方法3では、無線伝送速度1を区分枝1に、無線伝送速度2と無線伝送速度3を同一の区分枝である区分枝2に区分する。
【0032】
また、区分方法4では、無線伝送速度1と無線伝送速度3を同一の区分枝である区分枝1に、無線伝送速度2を区分枝2に区分する。区分方法5では、無線伝送速度1と無線伝送速度2と無線伝送速度3を、同一の区分枝である区分枝1に区分する。
【0033】
次のステップ43では、トラヒック状況の検出処理のサブルーチンを実行する。このトラヒック状況の検出処理のサブルーチンとしては、図6〜図9の各種処理が挙げられるので、各々について概説する。
【0034】
図6に示すトラヒック状況の検出処理では、最初に送信パケットの観測時間を設定し(ステップ61)、設定した観測時間だけ送信パケットの観測を行う(ステップ62)。この観測結果において送信パケットが有るか否かを判定し(ステップ63)、送信パケットが無ければ図6のサブルーチンからリターンし、送信パケットが有る場合には、各パケットが使用した無線伝送速度と、各パケットが有するデータ量を表すパケット長とを、図2に示す各パケットの無線伝送速度情報部21及びパケット長情報部22より取得する(ステップ64)。そして、取得した各パケットのパケット長情報を無線伝送速度毎に分類して(ステップ65)、図6のサブルーチンからリターンする。このようにして図6のトラヒック状況の検出処理では、トラヒック状況として、無線伝送速度毎に分類された送信パケットのデータ量が検出される。
【0035】
また、図7に示すトラヒック状況の検出処理では、最初に受信パケットの観測時間を設定し(ステップ71)、設定した観測時間だけ受信パケットの観測を行う(ステップ72)。この観測結果において受信パケットが有るか否かを判定し(ステップ73)、受信パケットが無ければ図7のサブルーチンからリターンし、受信パケットが有る場合には、各パケットが使用した無線伝送速度と、各パケットが有するデータ量を表すパケット長とを、図2に示す各パケットの無線伝送速度情報部21及びパケット長情報部22より取得する(ステップ74)。そして、取得した各パケットのパケット長情報を無線伝送速度毎に分類して(ステップ75)、図7のサブルーチンからリターンする。このようにして図7のトラヒック状況の検出処理では、トラヒック状況として、無線伝送速度毎に分類された受信パケットのデータ量が検出される。
【0036】
また、図8に示すトラヒック状況の検出処理では、最初に観測対象とするパケット数を設定する(ステップ81)。次に、送信バッファ15内に送信待ちパケットが有るか否かを判定し(ステップ82)、送信待ちパケットが無ければ図8のサブルーチンからリターンし、送信待ちパケットが有る場合には、送信バッファ15内の送信待ちパケットを先頭から、設定されたパケット数だけ観測する(ステップ83)。そして、観測した各パケットについて、図3のパケット長情報部22及び送付先アドレス情報部23より、パケット長と送付先アドレスとを取得し(ステップ84)、取得した送付先に使用する無線伝送速度の情報をデータベースより取得する(ステップ85)。さらに、取得した無線伝送速度毎に各パケットのパケット長情報を分類して(ステップ86)、図8のサブルーチンからリターンする。このようにして図8のトラヒック状況の検出処理では、トラヒック状況として、無線伝送速度毎に分類された送信バッファ内のパケットのデータ量が検出される。
【0037】
さらに、図9に示すトラヒック状況の検出処理では、まず、使用するトラヒックの状況の検出方法を上記図6の処理、図7の処理、図8の処理のうちから、2つ以上選択する(ステップ91)。次に、選択した全てのトラヒックの状況の検出方法より得られる、パケットが無線伝送速度毎に分類された各パケットのパケット長を全て取得する(ステップ92)。この場合、選択された2つ以上のトラヒック状況の検出方法より得られる無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量が検出される。
【0038】
以上のようなトラヒック状況の検出処理(図4のステップ43)を終え、次のステップ44では、トラヒック状況として取得された無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量より、以下のようにして各無線伝送速度についてのパケット送信時間を求める。即ち、無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量を無線伝送速度毎に総和し、パケットのヘッダー長等を加味して、各無線伝送速度で送信される総データ量を求め、求めた総データ量を無線伝送速度で除することで、各無線伝送速度についてのパケット送信時間を求める。そして、上記求められた各無線伝送速度についてのパケット送信時間及び総データ量の情報を用いて、図5の5つの無線伝送速度の区分方法の各々を使用した場合の無線局のスループット特性を算出し、算出した無線局のスループット特性が最大となる無線伝送速度の区分方法を選択する。
【0039】
この無線伝送速度の区分方法の選択は、一例として以下のように行われる。
【0040】
パケットのデータ量をG、パケット送信に必要となる時間をTとし、図5の表に示した例(すなわち無線伝送速度が3種類の場合)で説明する。
【0041】
まず、無線伝送速度1を使用して送信するパケットのデータ量の総和をG1、全てのパケットを送信するために必要となる時間をT1とする。この計算を無線伝送速度2、無線伝送速度3に対しても同様に行いG2、T2、G3、T3を導出する。
【0042】
次に、以下の各式を用いて、各区分方法のスループット特性を導出する。
【0043】
区分方法1のスループット特性S1は以下の式(1)で求められる。
【0044】
【数1】
区分方法2のスループット特性S2は以下の式(2)で求められる。
【0045】
【数2】
区分方法3のスループット特性S3は以下の式(3)で求められる。
【0046】
【数3】
区分方法4のスループット特性S4は以下の式(4)で求められる。
【0047】
【数4】
区分方法5のスループット特性S5は以下の式(5)で求められる。
【0048】
【数5】
そして、最後に上記S1からS5のうち最も大きい値を示す区分方法を選択する。
【0049】
次のステップ45では、同一の区分枝に属する無線伝送速度を使用するパケット毎に送信バッファ15内パケットをグループ化し、次のステップ46では、各グループに属するパケットをグループ毎に異なる無線チャネルへ割当てる。
【0050】
これらステップ45、46の処理を、図5の5つの例で説明すると、最適な無線伝送速度群の区分方法として図5に示した区分方法1を検出した場合、図10に示すように、無線伝送速度1で送信されるパケットP1をグループ1、無線伝送速度2で送信されるパケットP2をグループ2、無線伝送速度3で送信されるパケットP3をグループ3とすることにより送信バッファ15内のパケットをグループ化する。そして、グループ1に属するパケットを無線チャネル1に、グループ2に属するパケットを無線チャネル2に、グループ3に属するパケットを無線チャネル3に、それぞれ割当てる。
【0051】
また、最適な無線伝送速度群の区分方法として図5に示した区分方法2を検出した場合、図11に示すように、無線伝送速度1で送信されるパケットP1及び無線伝送速度2で送信されるパケットP2をグループ1とし、無線伝送速度3で送信されるパケットP3をグループ2とすることにより送信バッファ内のパケットをグループ化する。そして、グループ1に属するパケットを無線チャネル1に、グループ2に属するパケットを無線チャネル2に、それぞれ割当てる。
【0052】
また、最適な無線伝送速度群の区分方法として図5に示した区分方法3を検出した場合、図12に示すように、無線伝送速度1で送信されるパケットP1をグループ1とし、無線伝送速度2で送信されるパケットP2及び無線伝送速度3で送信されるパケットP3をグループ2とすることにより送信バッファ内のパケットをグループ化する。そして、グループ1に属するパケットを無線チャネル1に、グループ2に属するパケットを無線チャネル2に、それぞれ割当てる。
【0053】
また、最適な無線伝送速度群の区分方法として図5に示した区分方法4を検出した場合、図13に示すように、無線伝送速度1で送信されるパケットP1及び無線伝送速度3で送信されるパケットP3をグループ1とし、無線伝送速度2で送信されるパケットP2をグループ2とすることにより送信バッファ内のパケットをグループ化する。そして、グループ1に属するパケットを無線チャネル1に、グループ2に属するパケットを無線チャネル2に、それぞれ割当てる。
【0054】
また、最適な無線伝送速度群の区分方法として図5に示した区分方法5を検出した場合、図14に示すように、無線伝送速度1で送信されるパケットP1、無線伝送速度2で送信されるパケットP2及び無線伝送速度3で送信されるパケットP3を、同一のグループであるグループ1として扱うことにより送信バッファ内のパケットをグループ化する。そして、グループ1に属するパケットを無線チャネル1に割当てる。
【0055】
ここで、パケット送信状況の変化に応じて、送信バッファ内パケットの割り当てが動的に変動する例を示す。
【0056】
図15はチャネルとして周波数分割方式を採用した場合を示す。この図15(a)では、送信バッファ内パケットを、伝送速度が3Mbpsのパケットと、伝送速度が1Mbpsのパケット(斜線を施したパケット)とにグループ化し、周波数分割方式で分割された2つのチャネルに対し、チャネル1には3Mbpsのパケットを、チャネル2には1Mbpsのパケットを、それぞれ割当てる。
【0057】
その後、トラヒック状況が変動し、最適な区分方法が変更され、例えば、1Mbpsのパケットと3Mbpsのパケットとが同一のグループになり、チャネルが1つになったとする。この場合、図15(b)に示すように、送信バッファ内パケットをFIFOで順に1つずつ取り出し、周波数分割された2つの周波数帯域での伝送に割当てる。
【0058】
図16はチャネルとして時分割方式を採用した場合を示す。この図16(a)では、送信バッファ内パケットを、伝送速度が3Mbpsのパケットと、伝送速度が1Mbpsのパケット(斜線を施したパケット)とにグループ化し、時分割方式で分割された2つのチャネルに対し、チャネル1には3Mbpsのパケットを、チャネル2には1Mbpsのパケットを、それぞれ割当てる。
【0059】
その後、トラヒック状況が変動し、最適な区分方法が変更され、例えば、1Mbpsのパケットと3Mbpsのパケットとが同一のグループになり、チャネルが1つになったとする。この場合、図16(b)に示すように、送信バッファ内パケットをFIFOで順に1つずつ取り出し、時分割された2つのタイムスロットでの伝送に割当てる。
【0060】
このように、本実施形態は、トラヒック状況の変動に応じて動的に送信バッファ内パケットの割り当てを変化させることを特徴とする。
【0061】
以上説明した図4に示す無線パケット通信方法に基づく処理により、トラヒック状況の検出結果に基づき無線局のスループット特性が最大となる無線伝送速度の区分方法が選択され、当該区分の結果、同一の区分枝に属するとされた無線伝送速度毎に、送信バッファ内パケットがグループ化され、グループ毎に異なる無線チャネルに割当てられる。このため、異なる無線伝送速度を使用してパケットを送信する無線局が同一の無線チャネルに混在した場合でも、無線通信システム全体の伝送効率を良好に維持することができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、図5に示すように、無線伝送速度が3種類で、区分方法が5つ存在するケースについて説明したが、本発明はこれ以外のケースに適用しうることは言うまでもない。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、送信バッファ内のパケットは、トラヒック状況に応じた無線伝送速度群の区分の結果、同一の区分枝に属するとされた無線伝送速度毎にグループ化され、グループ毎に異なる無線チャネルに割当てられるので、異なる無線伝送速度を使用してパケットを送信する無線局が同一の無線チャネルに混在した場合でも、システム全体の伝送効率を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の無線パケット通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】無線パケット通信装置が使用する送信パケットの構成例を示す概念図である。
【図3】無線パケット通信装置の送信バッファ内のパケットの構成例を示す概念図である。
【図4】無線伝送速度群区分回路により実行される無線パケット通信方法に基づく処理を示すフローチャートである。
【図5】実施可能な全ての無線伝送速度群の区分方法の算出例を示す図である。
【図6】送信パケットからトラヒック状況を検出する検出処理を示すフローチャートである。
【図7】受信パケットからトラヒック状況を検出する検出処理を示すフローチャートである。
【図8】送信待ちパケットからトラヒック状況を検出する検出処理を示すフローチャートである。
【図9】図6〜図8の方法を2つ以上組み合わせてトラヒック状況を検出する検出処理を示すフローチャートである。
【図10】区分方法1を用いたパケットのグループ化方法及びグループ化されたパケット群の無線チャネル割当の例を示す概念図である。
【図11】区分方法2を用いたパケットのグループ化方法及びグループ化されたパケット群の無線チャネル割当の例を示す概念図である。
【図12】区分方法3を用いたパケットのグループ化方法及びグループ化されたパケット群の無線チャネル割当の例を示す概念図である。
【図13】区分方法4を用いたパケットのグループ化方法及びグループ化されたパケット群の無線チャネル割当の例を示す概念図である。
【図14】区分方法5を用いたパケットのグループ化方法及びグループ化されたパケット群の無線チャネル割当の例を示す概念図である。
【図15】(a)は周波数分割方式で分割された2つのチャネルに、速度毎にグループ化された送信バッファ内パケットを割り当てた例を示す概念図であり、(b)はチャネルを1つにした場合の送信バッファ内パケットの割り当て例を示す概念図である。
【図16】(a)は時分割方式で分割された2つのチャネルに、速度毎にグループ化された送信バッファ内パケットを割り当てた例を示す概念図であり、(b)はチャネルを1つにした場合の送信バッファ内パケットの割り当て例を示す概念図である。
【図17】データベースに格納された情報の一例を示す図である。
【図18】従来方式のパケット送信方法の例を示す概念図である。
【符号の説明】
10…無線パケット通信装置、11…アンテナ、12…共用器、13…受信部、14…送信部、15…送信バッファ、16…送信制御部、17…データベース、18…無線伝送速度群区分回路
Claims (4)
- 無線でパケットを送受信する機能と、パケット毎に使用する無線伝送速度を選択する機能と、送信を予定しているパケットを送信バッファに蓄積する機能とを備えた複数の無線局の各々に設けられ、
前記複数の無線局が同一の無線回線を共有し複数の無線伝送速度群を使用して通信を行う無線通信システムにおけるトラヒックの状況であって、無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量としてのトラヒックの状況を検出する検出手段と、
検出されたトラヒックの状況に応じて、前記使用される複数の無線伝送速度群を区分する区分手段と、
送信バッファ内のパケットを、同一の区分枝に属する無線伝送速度毎にグループ化するグループ化手段と、
グループ化された送信バッファ内のパケットを、グループ毎に異なる無線チャネルに割当てる割当手段と、
を備えた無線パケット通信装置。 - 前記検出手段は、
無線伝送速度毎に分類され無線局が送信した各パケットが有するデータ量、無線伝送速度毎に分類され無線局が受信した各パケットが有するデータ量、及び無線伝送速度毎に分類され無線局の送信バッファ内の各パケットが有するデータ量のうち、少なくとも1つに基づいて、トラヒックの状況を検出することを特徴とする請求項1記載の無線パケット通信装置。 - 無線でパケットを送受信する機能と、パケット毎に使用する無線伝送速度を選択する機能と、送信を予定しているパケットを送信バッファに蓄積する機能とを備えた複数の無線局が、同一の無線回線を共有し複数の無線伝送速度群を使用して通信を行う無線通信システムにおける無線パケット通信方法であって、
前記無線通信システムにおけるトラヒックの状況であって、無線伝送速度毎に分類されたパケットのデータ量としてのトラヒックの状況を検出する検出工程と、
検出されたトラヒックの状況に応じて、前記使用される複数の無線伝送速度群を区分する区分工程と、
送信バッファ内のパケットを、同一の区分枝に属する無線伝送速度毎にグループ化するグループ化工程と、
当該グループ化された送信バッファ内のパケットを、グループ毎に異なる無線チャネルに割当てる割当工程と、
を備えた無線パケット通信方法。 - 前記検出工程では、
無線伝送速度毎に分類され無線局が送信した各パケットが有するデータ量、無線伝送速度毎に分類され無線局が受信した各パケットが有するデータ量、及び無線伝送速度毎に分類され無線局の送信バッファ内の各パケットが有するデータ量のうち、少なくとも1つに基づいて、トラヒックの状況を検出することを特徴とする請求項3記載の無線パケット通信方法。
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