JP3844885B2 - オフセットパラボラアンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセットパラボラアンテナに関し、特にオフセットパラボラアンテナにおいて使用される1次放射器の設置位置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すように、オフセットパラボラ反射鏡2と1次放射器4とを備えたオフセットパラボラアンテナでは、通常、1次放射器4は、オフセットパラボラ反射鏡2の焦点位置に配置される。この場合、1次放射器4から放射されたビームのうち、実線で示すようにオフセットパラボラ反射鏡2の中心において反射されたものは、反射鏡2の回転中心に平行に放射される。
【0003】
焦点位置Fから図4に示すようにビーム偏向角θF だけ1次放射器4の位置をずらした場合、即ち給電偏位させた場合、ずらされた1次放射器4から放射され、反射鏡2の中心において反射されたビームは、焦点位置Fから放射されたビームと角度θB だけ偏位する。角度θB と角度θF とは、数1に示すような比例関係にある。ここで、BDFはビーム偏向係数である。
【0004】
【数1】
θB =BDF*θF
【0005】
一般に、給電偏位を行うと、焦点Fのみに収束していた電波に収差が発生し、1次放射器4に入射する電波に位相誤差が生じる。そのため、アンテナの効率の低下を招くと考えられていた。そこで、1台のオフセットパラボラ反射鏡に複数の1次放射器を設けるマルチビームアンテナ以外では、1次放射器4は、焦点位置Fに配置されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように給電偏位を行った場合、給電偏位されたビームの方向からオフセットパラボラ反射鏡2を見た場合、有効開口面積は、変動し、特定の方向に偏位させた場合には、有効開口面積の増加に基づくアンテナ効率の増加を望むことができる。
【0007】
本発明は、1次放射器を特定の方向に偏位させることによる有効開口面積の増加に伴うアンテナ効率の増加と、1次放射器を偏位させることによる位相誤差に基づくアンテナ効率の低下とを考慮して、両者を合成したアンテナ効率を増加させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、オフセットパラボラ反射鏡と、1次放射器とを、具備するオフセットパラボラアンテナにおいて、1次放射器が、前記オフセットパラボラ反射鏡の焦点位置から前記オフセットパラボラ反射鏡の先端方向側に位置するように配置されている。これによって、有効開口面積は増加し、この増加に伴うアンテナ効率は増加する。一方、位相誤差に基づいてアンテナ効率は低下する。このオフセットパラボラアンテナにおけるビーム偏向角が、オフセットパラボラ反射鏡の有効開口面積に基づくアンテナ効率増加と、前記1次放射器の偏位による位相誤差に基づくアンテナ効率低下とを、合成した合成アンテナ効率が、前記焦点位置に前記1次放射器があるときの前記合成アンテナ効率よりも大きくなる角度に選択されている。
【0009】
前記偏向角は、0度よりも大きくこのアンテナの半値角の約2倍以下であることが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるオフセットパラボラアンテナの原理を示したもので、図4と同様なオフセットパラボラ反射鏡2と1次放射器4とを備えている。1次放射器4が、偏向させられる。焦点位置Fからオフセットパラボラ反射鏡2の長軸に沿ってオフセットパラボラ反射鏡2の先端側に向かう方向を、この偏向の正方向、反対方向を負方向とする。
【0011】
1次放射器4をビーム偏向角θF だけ正方向に偏向させた場合、ビームは、反射鏡2の中心、先端、及び基端において、反射される。これらビームは、焦点位置Fに1次放射器4が配置されているとき、反射鏡2の中心、先端、及び基端において反射されるビームと、角度θB をなす。なお、角度θB は、下向きを正とする。
【0012】
1次放射器4を焦点位置Fに配置した場合、ビームから見たオフセットパラボラ反射鏡2の有効開口面積S1 は、図1に実線で示すように円となり、その大きさは、数2で示される。但しDは、図1に示すオフセットパラボラ反射鏡2の直径である。
【0013】
【数2】
1 =π(D/2)2
【0014】
ビーム偏向角θF だけ正方向に1次放射器4を偏向させたときに、ビームから見たオフセットパラボラ反射鏡2の有効開口面積は、図1に点線で示されるように楕円となり、その大きさは、数3で示される。但し、Φはオフセット角である。
【0015】
【数3】
2 =[cos(Φ−θB ) /cos Φ] *π(D/2)2
【0016】
上記SとS との比を有効開口面積比Sとすれば、有効開口面積比Sは数4によって表される。
【0017】
【数4】
S=S2 /S1 =[cos(Φ−θB ) /cos Φ]
【0018】
Sは、数4から明らかなように、ビーム偏向角θF を正方向に偏向させた場合には、θB =Φとなるまで大きくなる。
【0019】
このように、θ=φとなるまで、給電偏位させることによって、有効化以降面積が大きくなればなるほど、オフセットパラボラアンテナの効率は増加する。一方、このように給電偏位することによって、位相誤差が生じ、オフセットパラボラアンテナの効率は低下する。
【0020】
図2は、この状態を示したもので、有効開口面積の増加に基づく効率の増加を破線で示してある。また位相誤差に基づく効率の低下を点線で示し、これらを合成した効率を実線で示してある。ビーム偏向角θF が比較的小さい場合には、有効開口面積の増加に基づく効率の増加は、比較的大きい。一方、ビーム偏向角θF が比較的小さい場合には、位相誤差に基づく効率の低下は、小さい。従って、図2から明らかなように、両効率を合成した効率は、ビーム偏向角θF が0度以外の正方向の位置にあり、ビーム偏向角θF が比較的小さいときに、最大値を採る。
【0021】
図3は、50形のオフセットパラボラアンテナにおける、アンテナ効率と関連するアンテナ利得と、ビーム偏向角θF との関係を示したもので、ビーム偏向角θF を−11.20度から+22度まで変化させ、12.25GHz、12.5GHz、12.75GHzにおける垂直偏波及び水平偏波の電波をそれぞれ受信したときの各アンテナ利得を平均した平均アンテナ利得を示したものである。
【0022】
ビーム偏向角θF が0度の場合、アンテナ利得は34.95dBであり、これからビーム偏向角θF を徐々に正方向に大きくしていくに連れて、アンテナ利得も最大値まで上昇し、この最大値から下降し、約6度のビーム偏向角θF のとき、ビーム偏向角θF が0度の場合とほぼ同じ利得となる。従って、ビーム偏向角θF を、0度よりも大きく6度よりも小さい範囲に選択すると、ビーム偏向角θF を0度とした場合、即ち焦点位置Fに1次放射器4を配置した場合よりも大きなアンテナ利得が得られる。ここで、50形のオフセットパラボラ反射鏡においては、F/D(焦点距離/アンテナ径)が0.5の場合、半値角は3.2乃至3.3度であり、上記の大きなアンテナ利得が得られる6度は、半値角の約2倍である。
【0023】
またビーム偏向角θF が約4度の場合、ほぼ最大の35.13dBのアンテナ利得が得られ、この利得はビーム偏向角θF が約2度になるまで殆ど変化していない。従って、ビーム偏向角を約2度以上約4度以下とした場合に、ほぼ最大のアンテナ利得が得られる。
【0024】
図3には、50形のオフセットパラボラアンテナの例を示したが、他の形のオフセットパラボラアンテナにおいても、F/D比やアンテナ径D等のパラメータに変動があるが、同様な傾向があり、0度以上アンテナ半値角の2倍以下にビーム偏向角θF を選択することによって、オフセットパラボラアンテナの効率、利得を向上させることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるオフセットパラボラアンテナによれば、1次放射器のビーム偏向角を適当に選択することによってアンテナ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるオフセットパラボラアンテナの原理説明図である。
【図2】図1のオフセットパラボラアンテナのビーム偏向角と効率との関係を示す図である。
【図3】図1のオフセットパラボラアンテナのビーム偏向角とアンテナ利得との関係を示す図である。
【図4】従来のオフセットパラボラアンテナの原理説明図である。
【符号の説明】
2 オフセットパラボラ反射鏡
4 1次放射器

Claims (2)

  1. オフセットパラボラ反射鏡と、1台の1次放射器とを、具備し、
    前記1次放射器は、前記オフセットパラボラ反射鏡の焦点位置から前記オフセットパラボラ反射鏡の先端方向側に位置するように配置され、ビーム偏向角が、オフセットパラボラ反射鏡の有効開口面積に基づくアンテナ効率増加と、前記1次放射器の偏位による位相誤差に基づくアンテナ効率低下とを、合成した合成アンテナ効率が、前記焦点位置に前記1次放射器があるときの前記合成アンテナ効率よりも大きくなる角度に選択されていることを特徴とするオフセットパラボラアンテナ。
  2. 請求項1記載のオフセットパラボラアンテナにおいて、前記ビーム偏向角は、0度よりも大きく前記オフセットパラボラアンテナの半値角の約2倍以下であることを特徴とするオフセットパラボラアンテナ。
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