JP3844574B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を燃やした際に生じた熱を吸収して熱交換を行う熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタン、プロパン、ブタンなどの燃料を燃焼させた際に生じる熱を吸収して、給水等の被加熱流体を加熱する熱交換器では、排気の潜熱を吸収する際に生じる凝縮水が熱交換器の表面に生じることがある。この凝縮水は、燃焼空気が高温で酸化して生成された窒素酸化物(NOx)やガス漏れ検知のために燃焼ガスに添加された付臭剤が酸化することで生成された硫黄酸化物(SOx)等が溶解し、硝酸と硫酸との溶融したpH2〜3の酸性の水滴になっている。
【0003】
このような酸性の凝縮水によって熱交換器の受熱管部が腐食されて内部の流体が漏れ出てしまうような事態を防止するために、従来の熱交換器では、その表面を耐酸性の塗料などで被覆する等の対策が施されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐酸性の塗膜にピンホールなどの欠落部分が生じたり、長年の使用によって塗膜が劣化して欠落部分が生じることがあり、熱交換器の受熱管部等を酸性の凝縮水による腐食から十分に守ることができなかった。
【0005】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、熱交換器の表面を覆う被膜に欠落部分が生じても、酸性の凝縮水によって流体の通る受熱管部等が腐食されることのない熱交換器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]燃料を燃やした際に生じた熱を吸収して熱交換を行う熱交換器において、
前記熱交換器は、加熱すべき流体を通す金属製の受熱管部(51)を少なくとも備え、
前記熱交換器のうち前記燃料を燃焼させた際に生じる排気に触れる表面部を当該排気の潜熱を吸収することによって生成する凝縮水による腐食から保護するための被膜(55)で被覆し、
前記熱交換器の受熱管部(51)の近傍に当該受熱管部(51)よりもイオン化傾向の大きい金属から成る犠牲陽極(53)を配置し、
前記受熱管部(51)と前記犠牲陽極(53)との間を電気的に導通し、
前記熱交換器が前記排気の潜熱を吸収することによって生じる酸性の凝縮水(61)が前記受熱管部(51)表面の前記被膜(55)の欠落部分と前記犠牲陽極(53)との間に付着した際に、前記受熱管部(51)よりもイオン化傾向の大きい前記犠牲陽極(53)が陽イオンになって溶け出すことで前記受熱管部(51)の腐食を防止し
前記犠牲陽極(53)は棒状の形状を成し、前記受熱管部(51)と熱交換用の多数のフィン(52)とをろう付けした後に残る前記フィン(52)に開設されたろう棒を通すための穴に、前記犠牲陽極(53)を通して支持したことを特徴する熱交換器。
【0007】
[2]前記犠牲陽極(53)を、前記受熱管部(51)のうち前記燃料の燃焼を停止した後に前記凝縮水(61)がたまり易い箇所の近傍に配置したことを特徴とする[1]記載の熱交換器。
【0008】
[3]前記熱交換器を設置した状態で、前記受熱管部(51)の近傍であって当該受熱管部(51)の下方側になる箇所に前記犠牲陽極(53)を配置したことを特徴とする[1]または[2]記載の熱交換器。
【0009】
[4]前記受熱管部(51)に付着した少量の凝縮水(61)が前記犠牲陽極(53)にも接触し得るように前記犠牲陽極(53)を前記受熱管部(51)に近づけて配置したことを特徴とする[1]、[2]または[3]記載の熱交換器。
【0010】
[5]前記犠牲陽極(53)を、前記受熱管部(51)の延びる方向に沿って配置したことを特徴とする[1]、[2]、[3]または[4]記載の熱交換器。
【0011】
[6]前記受熱管部(51)と前記犠牲陽極(53)とを前記凝縮水(61)の生じない排気通路(15)以外の箇所で電気的に導通させたことを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]または[5]記載の熱交換器。
【0013】
]前記被膜は、耐酸性であって電気的絶縁性を有するものであることを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]、[5]または[6]記載の熱交換器。
【0014】
]前記熱交換器は、排気の顕熱を主として吸収する顕熱回収用の熱交換器とこれよりも排気通路(15)の下流側に配置され排気の潜熱を主として吸収する潜熱回収用の熱交換器との双方を有するものにおける前記潜熱回収用の熱交換器であることを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]または[7]記載の熱交換器。
【0015】
前記本発明は次のように作用する。
熱交換器が排気の潜熱を吸収することによって生じた酸性の凝縮水(61)が、熱交換器の表面で生成し付着しても、熱交換器の表面を被膜(55)で被覆しているので当該被膜(55)にピンホールなどの欠落部分が無い限り、熱交換器の受熱管部(51)等が凝縮水(61)によって腐食されることはない。なお被膜(53)は耐酸性であって電気的絶縁性を備えたものである。
【0016】
一方、凝縮水(61)が受熱管部(51)に付着し、かつ当該箇所の被膜(55)にピンホール等の欠落部分が生じているときは、受熱管部(51)よりもイオン化傾向の大きい犠牲陽極(53)が陽イオンになって凝縮水(61)中に溶け出して、受熱管部(51)の腐食が防止される。すなわち、犠牲陽極(53)が受熱管部(51)の近傍に配置されているので、潜熱の吸収によって生じた凝縮水(61)は受熱管部(51)と犠牲陽極(53)の双方に触れる状態になる。
【0017】
ここで犠牲陽極(53)が受熱管部(51)よりもイオン化傾向の大きい金属で形成されているので、犠牲陽極(53)側が陽イオンと電子とに分離する。また受熱管部(51)と犠牲陽極(53)とが、たとえば排気通路(15)以外の箇所で、導線等の導電体によって導通されているので、犠牲陽極(53)で生じた電子は導電体を通じて受熱管部(51)側に流れ、犠牲陽極(53)は、正に帯電し、凝縮中の硝酸イオンや硫酸イオン等の陰イオンを引きつけるとともに、犠牲陽極(53)で生じた陽イオンが凝縮水(61)中に溶け出すという反応が起こる。
【0018】
一方、犠牲陽極(53)で生じ、導線等を通じて受熱管部(51)側に集まった電子は、排気中の窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が凝縮水(61)に溶けた際に生じた水素イオン等の陽イオンと、被膜(55)の欠落している箇所で結合する反応が生じる。このようにして、受熱管部(51)よりもイオン化傾向の大きい犠牲陽極(53)が陽イオンとなって凝縮水(61)中に溶け出すので、受熱管部(51)の被膜(55)に欠落部分があっても、当該箇所が凝縮水(61)によって腐食されることはない。また犠牲陽極(53)から溶け出した陽イオンが凝縮水(61)中の硝酸イオンなどの陰イオンと結合し、凝縮水(61)を中和する効果を得ることができる。なお、燃焼させる燃料は、燃焼ガスのほか、石油や灯油などの液体燃料であってもよい。
【0019】
さらに犠牲陽極(53)を、受熱管部(51)のうち、燃料の燃焼を停止した後に凝縮水(61)がたまり易い箇所の近傍、たとえば、熱交換器を設置した状態で受熱管部(51)の下方側になる箇所に犠牲陽極(53)を配置する。燃焼を停止した後は、凝縮水(61)の蒸発が進みにくくなるとともに、重力に従って凝縮水(61)が受熱管部(51)の表面をつたって当該受熱管部(51)の下方側に集まるので、受熱管部(51)の下部に長い間、凝縮水(61)が溜まり、腐食されやすい状態になる。したがって、受熱管部(51)の下方側近傍など、燃焼停止後に凝縮水(61)のたまり易い箇所に犠牲陽極(53)を配置しておけば、凝縮水(61)による腐食を効果的に防止することができる。
【0020】
なお、受熱管部(51)に付着した少量の凝縮水(61)が犠牲陽極(53)にも接触し得るように、犠牲陽極(53)を受熱管部(51)にできるだけ近づけて配置すれば、極めて少量の凝縮水(61)が付着した場合でも、犠牲陽極(53)が陽イオンとして溶け出し、受熱管部(51)側の腐食を防止することができる。
【0021】
また犠牲陽極(53)を、受熱管部(51)の延びる方向に沿って配置するようにすれば、受熱管部(51)のどの箇所に凝縮水(61)が付着しても、当該凝縮水(61)と犠牲陽極(53)とが接触する状態が形成され、犠牲陽極(53)から陽イオンの溶け出す反応が起こり、受熱管部(51)側の腐食を防止することができる。
【0022】
さらに、犠牲陽極(53)を棒状の形状とし、受熱管部(51)に熱交換用の多数のフィン(52)をろう付けした後に残る当該フィン(52)に開設されたろう棒を通すための穴(54)に、犠牲陽極(53)を通して支持する。このように、ろう棒を通すための穴(54)を犠牲陽極(53)を支持するための穴として兼用することで、別途、穴等を開設する必要がなく、製造工程を簡略化することができる。なお、犠牲陽極(53)を設置状態で受熱管部(51)の下方側近傍に配置する場合には、熱交換器の天地を反対にしてろう付けすればよい。
【0023】
また、排気の顕熱を主として吸収する顕熱回収用の熱交換器とこれよりも排気通路(15)の下流側に配置され排気の潜熱を主として吸収する潜熱回収用の熱交換器の双方から構成される熱交換器においては、潜熱回収用の熱交換器側に多量の凝縮水(61)が発生するので、先に述べた被覆(55)や犠牲陽極(53)を、当該潜熱回収用の熱交換器側に設けて腐食を防止すればよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
各図は、本発明の一実施の形態を示している。
本実施の形態は、本発明にかかる熱交換器を給湯器10に適用したものである。図2、図3に示すように、給湯器10は、排気中の顕熱を主として吸収する顕熱回収用熱交換器40と、これよりも排気の流れで下流側に配置され、主として排気の潜熱を吸収する潜熱回収用熱交換器50とを備えている。このうち犠牲陽極を適用した防食は潜熱回収用熱交換器50側に施される。なお図3は、図2に比して一部省略したものを記載している。
【0025】
給湯器10は、燃焼室11を備えており、当該燃焼室11の下部には、バーナー12が配置されている。バーナー12の上方には、顕熱回収用熱交換器40が、さらに上方には潜熱回収用熱交換器50が配置されている。顕熱回収用熱交換器40と潜熱回収用熱交換器50の間には、潜熱回収用熱交換器50に生成する凝縮水を受け止め、凝縮水が顕熱回収用熱交換器40に落下するのを防止するための受け皿13が取り付けられている。
【0026】
受け皿13は、燃焼室11を右端の一部を除いて上下に仕切るものであり、顕熱回収用熱交換器40を経由した後の排気は、受け皿13が無い燃焼室11右端の開口部14を通じて潜熱回収用熱交換器50の配置されている排気通路部15に流れるようになっている。
【0027】
受け皿13は、開口部14側から燃焼室11の左端側に向けて下り傾斜しており、傾斜の下端部分には、受け皿13によって回収された凝縮水を一時的に溜めるドレン受け16が設けられている。ドレン受け16の底部には、凝縮水の排出通路17が接続され、当該排出通路17の途中には、酸性の凝縮水を中和するための中和処理器18が取り付けられている。
【0028】
潜熱回収用熱交換器50の入側には給水の流入する給水水管21が接続され、潜熱回収用熱交換器50の出側は、連結水管22によって顕熱回収用熱交換器40の入側と接続されている。顕熱回収用熱交換器40の出側には、加熱後の給水の流れ出る給湯水管23が接続されている。
【0029】
給水水管21の入口部近傍には、供給される給水の温度を検知するための入水サーミスタ24が、またその下流側には、通水の有無や通水量を検知するための水量センサー25が取り付けられている。給湯水管23には、その出口部近傍に、出湯される湯の温度を検知するための出湯サーミスタ26が、またその下流側には、出湯される湯の流量を制限するための水量制御弁27が設けられている。
【0030】
燃焼室11の左下方には、給気をバーナー12に向けて送り込むための燃焼ファン28が配置されている。またバーナー12に燃焼ガスを送り込むガス供給管31の途中には、燃焼ガスの供給をオンオフ制御するガス電磁弁32、元ガス電磁弁33と、バーナー12へ供給する燃焼ガスの供給量を調整するガス比例弁34が取り付けられている。
【0031】
給湯器10は、給湯器10の動作を統括制御する回路部品を収めた電装基板35を有し、当該電装基板35には、たとえば、台所等に配置され、湯温の設定操作等の受け付けや、各種の状態表示を行うリモコン36が接続されている。
【0032】
図4は、潜熱回収用熱交換器50の構成を示している。潜熱回収用熱交換器50は、加熱すべき給水の通る受熱管51と、排気からの熱の回収効率を高めるための多数のフィン52と、各受熱管51の下方近傍であって受熱管51の延びる方向に沿って配置された犠牲陽極53とから構成されている。犠牲陽極53は、図3に示すように、潜熱回収用熱交換器50が給湯器10内に取り付けられた状態で、犠牲陽極53の下方側近傍(ほぼ受熱管51の真下)になるように取り付けられている。
【0033】
ここでは、受熱管51およびフィン52は、それぞれ銅で形成されている。このほか受熱管51やフィン52を、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウムまたはこれらの合金で形成してもよい。また、受熱管51およびフィン52は、排気と触れる表面部を耐酸性の電気的に絶縁性のある被膜でコーティングしてある。被膜として、エポキシ、テフロン、アクリル等の有機塗料またはシリコンセラミックなどを用いることができる。
【0034】
犠牲陽極53は、受熱管51、フィン52の母材よりもイオン化傾向の大きい金属(受熱管51等に比して卑なる金属)で形成されている。たとえば、受熱管51等を銅で形成した場合には、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛など、銅よりもイオン化傾向の大きい金属で形成される。なお、ここでは犠牲陽極53の直径は3ミリの棒状を成している。
【0035】
受熱管51と犠牲陽極53とは、凝縮水の生成しない排気の通路部以外の箇所で導通が図られている。なお、受熱管51と犠牲陽極53は、フィン52を通じて導通し得るが、受熱管51と犠牲陽極53との確実な導通を得るために、別途導線等の導電体により排気通路15以外の箇所で導通をとっている。
【0036】
フィン52に設けられた各犠牲陽極53の貫通している穴54は、受熱管51と多数のフィン52とをろう付けする際に用いるろう棒を通すための穴を兼用している。ろう付けは、穴54にろう棒を通し、当該ろう棒側が上向きになるようにして行われ、ろう付け後に残る穴54に犠牲陽極53を通している。
【0037】
次に作用を説明する。
給湯器10は、顕熱回収用熱交換器40と潜熱回収用熱交換器50の双方によって熱交換し、これらを合わせた熱交換効率が90パーセント以上になるようになっている。顕熱回収用熱交換器40側での効率は、75パーセント程度に抑えられ、潜熱回収用熱交換器50側で残る15パーセント程度の効率を得るようにフィンの枚数等が設定されている。
【0038】
顕熱回収用熱交換器40側で、85パーセント程度の熱交換効率を得るようにすると、潜熱の回収が進んで凝縮水が発生する。そこで、顕熱回収用熱交換器40側の効率を75パーセント程度に抑え、排気の顕熱が主として回収されるようにして、顕熱回収用熱交換器40側で、ほとんど凝縮水が発生しないようになっている。
【0039】
一方、潜熱回収用熱交換器50に到達した排気の温度は、200℃〜280℃程度まで下がっているので、潜熱回収用熱交換器50では、排気の潜熱が主として回収され、効率が低くても、凝縮水が多量に生成する。生成した凝縮水は、燃焼空気が高温で酸化して生成された窒素酸化物(NOx)やガス漏れ検知のために燃焼ガスに添加された付臭剤が酸化することで生成された硫黄酸化物(SOx)等が溶解し、硝酸と硫酸の溶融したpH2〜3の酸性の水滴になっている。
【0040】
図1は、潜熱回収用熱交換器50の表面に凝縮水が付着した状態における潜熱回収用熱交換器50の断面を示している。生成した凝縮水61は、重力に従って、潜熱回収用熱交換器50の受熱管51やフィン52等の表面をつたって、受熱管51の下方側に集まってくる。
【0041】
このように潜熱回収用熱交換器50が排気の潜熱を吸収することによって生じた酸性の凝縮水61が、潜熱回収用熱交換器50の表面に付着しても、熱交換器の表面がエポキシ等の有機塗料からなる耐酸性の被膜55でコーティングされているので、当該耐酸性の被膜55にピンホールなどの欠落部分62が無い限り、受熱管51やフィン52が凝縮水61によって腐食されることはない。
【0042】
一方、製造工程や長期間の使用による劣化によってピンホール等の欠落部分62が生じているときは、受熱管51、フィン52の母材よりもイオン化傾向の大きい金属で形成された犠牲陽極53が陽イオンになって凝縮水61中に溶け出し、受熱管51やフィン52の腐食が防止される。
【0043】
図5は、犠牲陽極53が陽イオンとなって溶け出す際の原理を示したものである。これはボルタの電池と同様の原理である。すなわち、図1に示すように、犠牲陽極53が、受熱管51の下方近傍の、凝縮水61のたまり易い箇所に配置されているので、付着した凝縮水61はピンホール等の欠落部分62を通じて受熱管51と犠牲陽極53の双方に触れた状態になる。したがって、図1に示す状態は、硝酸イオンや硫酸イオンの含まれる凝縮水61の中に、ピンホール等の欠落部分62の生じた受熱管51等から成る陰極と、犠牲陽極53とを浸し、受熱管51等からなる陰極と犠牲陽極53とを導線で接続した図5に示す状態に等しい。
【0044】
ここで、犠牲陽極53が受熱管51等よりもイオン化傾向の大きい金属で形成されているので、犠牲陽極53側が陽イオンと電子とに分離する。また受熱管51と犠牲陽極53とが、導線63を通じて導通しているので、犠牲陽極53で生じた電子は導線63を通じて受熱管51側に流れ、犠牲陽極53は、正に帯電した状態になる。これにより、凝縮水61中の硝酸イオンや硫酸イオン等の陰イオンが犠牲陽極53側に引きつけられるとともに、犠牲陽極53から生じた陽イオンは凝縮水61中に溶け出すという反応が起こる。
【0045】
犠牲陽極53で生じた電子は、導線63を通じて受熱管51側に集まり、排気中の窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が凝縮水61に溶けた際に生じた水素イオン等の陽イオンと、ピンホール等の欠落部分62で結合する。このように、受熱管51よりもイオン化傾向の大きい犠牲陽極53側が陽イオンとなって凝縮水61中に溶け出すので、受熱管51の表面の耐酸性の被膜55にピンホール等の欠落部分62があっても、当該箇所が凝縮水61によって腐食されることはない。また犠牲陽極53から溶け出した陽イオンが凝縮水61の中の硝酸イオン等の陰イオンと結合し、凝縮水61を中和する効果も得ることができる。
【0046】
このように、受熱管51等よりもイオン化傾向の大きい金属からなる犠牲陽極53を受熱管51の近傍に配置し、かつ受熱管51と犠牲陽極53との導通を図っているので、凝縮水61が生成し付着しても、ピンホール等の欠落部分62から受熱管51が腐食されることを防止することができる。
【0047】
なお、燃焼停止後は、凝縮水61の蒸発が進みにくく、また重力に従って凝縮水61が受熱管51の表面をつたって受熱管51の下方側に集まるので、かかる部分に長い間、凝縮水61が溜まり、腐食されやすい状態になる。したがって、受熱管51の下方側近傍など、燃焼停止後に凝縮水のたまり易い箇所に犠牲陽極53を配置することで、図5に示すボルタの電池を長時間にわたり形成することで、言い換えれば凝縮水61が蒸発するまでの時間の大部分にわたって凝縮水61による受熱管51の腐食を効果的に防止することができる。
【0048】
受熱管51に少量の凝縮水61が付着した状態であっても、当該凝縮水61が受熱管51と犠牲陽極53との双方に接触し得るように、犠牲陽極53を受熱管51のできるだけ近傍に配置することが望ましい。また犠牲陽極53を、受熱管51の延びる方向に沿って配置するようにすれば、受熱管51のどの箇所に凝縮水61が付着しても、当該凝縮水61と犠牲陽極53とが接触する状態が形成されるので、受熱管51の腐食を的確に防止することができる。
【0049】
なお、受熱管51が腐食して穴の空くような事態になると、給水が漏れる事態が発生するので、フィン52よりも受熱管51側の腐食を優先的に防止する必要がある。このため、犠牲陽極53を受熱管51の近傍に配置している。
【0050】
また犠牲陽極53を棒状の形状とし、受熱管51に熱交換用の多数のフィン52をろう付けした後に残る当該フィン52に開設されたろう棒を通すための穴54に、棒状の犠牲陽極53を通して支持するようにしたので、ろう棒を通すための穴54を犠牲陽極53を支持するための穴として兼用でき、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0051】
さらに、潜熱回収用熱交換器50の下方に受け皿13を配置しているので、潜熱回収用熱交換器50から顕熱回収用熱交換器40の上に凝縮水が落下することが防止され、顕熱回収用熱交換器40の腐食を防止している。
【0052】
以上説明した実施の形態では、顕熱回収用熱交換器40と潜熱回収用熱交換器50の双方を備え、このうちの潜熱回収用熱交換器50に犠牲陽極53を取り付けてその腐食を防止するようにしたが、たとえば、熱交換器を1つだけ備え、これによって排気の顕熱と潜熱の双方を回収するものに、犠牲陽極等を適用して腐食を防ぐようにしても良い。また、燃料として燃焼ガスを用いたが、石油や灯油などの液体燃焼を燃焼させるものであってもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明にかかる熱交換器によれば、潜熱回収用熱交換器の受熱管等を耐酸性および絶縁性を有する被膜で被覆するとともに、受熱管の近傍に、これよりもイオン化傾向の大きい犠牲陽極を配置して受熱管と犠牲陽極の間の導通を図っているので、耐酸性の被膜にピンホール等の欠落部分が存在する場合であっても、排気の潜熱を回収することによって受熱管の回りに生成した酸性の凝縮水に、犠牲陽極側が陽イオンとなって溶け出して、受熱側の腐食が防止される。また犠牲陽極から溶け出した陽イオンによって、凝縮水の中和も図られる。
さらに、犠牲陽極を棒状の形状とし、受熱管部に熱交換用の多数のフィンをろう付けした後に残る当該フィンに開設されたろう棒を通すための穴に、犠牲陽極を通して支持することにより、ろう棒を通すための穴を犠牲陽極を支持するための穴として兼用することができ、別途、穴等を開設する必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る熱交換器を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る熱交換器を適用した給湯器を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る熱交換器を適用した給湯器を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る熱交換器を示す斜視図である。
【図5】犠牲電極による防腐の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
10…給湯器
11…燃焼室
12…バーナー
13…受け皿
14…開口部
15…排気通路部
16…ドレン受け
28…燃焼ファン
40…顕熱回収用熱交換器
50…潜熱回収用熱交換器
51…受熱管
52…フィン
53…犠牲陽極
54…穴
55…耐酸性の被膜
61…凝縮水
62…被膜の欠落部分

Claims (8)

  1. 燃料を燃やした際に生じた熱を吸収して熱交換を行う熱交換器において、
    前記熱交換器は、加熱すべき流体を通す金属製の受熱管部を少なくとも備え、
    前記熱交換器のうち前記燃料を燃焼させた際に生じる排気に触れる表面部を当該排気の潜熱を吸収することによって生成する凝縮水による腐食から保護するための被膜で被覆し、
    前記熱交換器の受熱管部の近傍に当該受熱管部よりもイオン化傾向の大きい金属から成る犠牲陽極を配置し、
    前記受熱管部と前記犠牲陽極との間を電気的に導通し、
    前記熱交換器が前記排気の潜熱を吸収することによって生じる酸性の凝縮水が前記受熱管部表面の前記被膜の欠落部分と前記犠牲陽極との間に付着した際に、前記受熱管部よりもイオン化傾向の大きい前記犠牲陽極が陽イオンになって溶け出すことで前記受熱管部の腐食を防止し
    前記犠牲陽極は棒状の形状を成し、前記受熱管部と熱交換用の多数のフィンとをろう付けした後に残る前記フィンに開設されたろう棒を通すための穴に、前記犠牲陽極を通して支持したことを特徴する熱交換器。
  2. 前記犠牲陽極を、前記受熱管部のうち前記燃料の燃焼を停止した後に前記凝縮水がたまり易い箇所の近傍に配置したことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記熱交換器を設置した状態で、前記受熱管部の近傍であって当該受熱管部の下方側になる箇所に前記犠牲陽極を配置したことを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器。
  4. 前記受熱管部に付着した少量の凝縮水が前記犠牲陽極にも接触し得るように前記犠牲陽極を前記受熱管部に近づけて配置したことを特徴とする請求項1、2または3記載の熱交換器。
  5. 前記犠牲陽極を、前記受熱管部の延びる方向に沿って配置したことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の熱交換器。
  6. 前記受熱管部と前記犠牲陽極とを前記凝縮水の生じない排気通路以外の箇所で電気的に導通させたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の熱交換器。
  7. 前記被膜は、耐酸性であって電気的絶縁性を有するものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の熱交換器。
  8. 前記熱交換器は、排気の顕熱を主として吸収する顕熱回収用の熱交換器とこれよりも排気通路の下流側に配置され排気の潜熱を主として吸収する潜熱回収用の熱交換器との双方を有するものにおける前記潜熱回収用の熱交換器であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の熱交換器。
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