JP3844142B2 - 軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法 - Google Patents

軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、より低い焼鈍温度で硬さを低くすることができる電子部品用Fe−Ni系合金薄板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Fe−Ni系合金材料は、優れた低熱膨張特性を有するため、各種表示装置として使用されるブラウン管のシャドウマスク材として、あるいは半導体集積回路におけるリードフレーム等に使用されている。
Fe−Ni系合金は、Ni量を変えたり、Coを添加することによって、熱膨張特性を変更することができ、個々の用途にあわせた組成が選択されている。
代表的な合金としては、重量%で、Fe−36%Ni(インバー)、Fe−42%Ni、Fe−50%Ni、Fe−29%Ni−17%Co(コバール)合金がある。
これらのFe−Ni系合金材料は、上述した用途に対して、1mm厚さ以下の薄板として用いられること多く、エッチングやプレス打ち抜き加工を施された後、プレス成形による曲げ成形処理されて製品となる場合が多い。
たとえば、シャドウマスク材においては、微細な電子ビーム透過孔をエッチングにより形成した後、プレス成形において、シャドウマスク材として必要な曲面形状を形成している。
【0003】
たとえば、「特殊鋼」32巻3号42〜45頁に記載されるように、シャドウマスクの素材としてのFe−Ni系合金薄板には電子ビームの透過孔を形成するエッチング加工精度を高めることが要求され、また極めて高いプレス成形精度が要求される。
このような特性を得るためには、介在物の低減、結晶粒度の調整、結晶方位の制御など様々な手法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特にプレス成形精度を向上するために適用されている手法として、エッチングにより電子ビーム透過孔を形成した材料を加熱した状態で成形する方法、いわゆる温間プレス成形法が特公平5−49727号等に提案されている。
温間において成形することは、材料の耐力を減ずることができ、成形精度を高めることが可能となる。
また、このようなプレス成形に先立ち、素材を800℃以上に加熱する軟化焼鈍処理が行われている。このような軟化焼鈍処理は、充分な再結晶により材料を軟化し、加工し易くするための処理として有効である。しかし、800℃以上の高温で軟化焼鈍処理を適用することは、経済性の上から好ましくないため、できるだけ低い温度で軟化が可能なように、素材の改良が求められている。
最近、上述した軟化焼鈍処理を適用する素材において、酸素量を低減して、酸化物系介在物を低減してプレス成形性を向上させることが、特開平7−48651に提案されている。
【0005】
このように、介在物を低減することは、プレス成形性を改善する手法として有効である。
しかし、介在物を少なくするための精錬条件を厳しくすればするほど素材製造時のコストがかかるため、限界がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、多大なコストをかけることなく従来のFe−Ni系合金薄板よりも低温で軟化が可能な薄板を提供すること、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、軟化特性と金属組織および組成の関係について研究を行った。その結果、同様の組成で、同等量の介在物が存在する材料であっても、材料ごとに軟化特性が大きく異なることを見いだした。そしてその原因を追求したところ介在物の量でなく、介在物の個数を減らすこと、詳しくいうとエッチング性など他の特性に対して許容される大きさの範囲内の介在物を存在させ、微細な介在物を組織中に分散させないこと、その結果として結晶粒の成長を阻害する要因を取り除いて軟化特性を改善し、低温で軟化可能とすることを見いだしたのである。
すなわち、本発明は、重量%でNi30〜60%、Si≦1%、Mn≦2%、Al≦2%を含有し、残部Fおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物として存在する元素として、S≦0.01%、N≦0.01%、O≦0.01%を満足するものであって、金属ミクロ組織中に存在する最大径0.1μm以上の介在物の総個数の40%以上が、最大径で1μm以上20μm以下であることを特徴とする軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板である。
【0007】
本発明において、Niの一部は、熱膨張を調整するためにCoと置換することができる。
また、本発明においてエッチング性をより高いものとするためには、最大径0.1μm以上の介在物は、ミクロ組織において、100mm2断面内に600個以下に制限することが好ましい。
【0008】
また、本発明者は、微細な介在物を組織中に分散させない制御を行う手段として、熱間加工後の冷却速度の制御が重要であることを見いだした。
その要因の一つは、Fe−Ni系合金中に、脱酸用の添加剤として導入されるか、あるいは不可避的不純物として合金中に存在するMnと不可避的不純物として合金中に存在するSによって生成するMnSの微細析出である。
本発明者の検討によれば、MnSは、冷間圧延前の熱間領域から冷間領域に冷却する際の冷却速度が遅いと、組織中に微細な介在物として析出して結晶粒の成長を阻害する要因となり軟化特性を劣化する。一方、冷却速度を早めるとMnSの析出量が減り、軟化特性の改善が可能となる。
また、MnSの析出量は、MnとS濃度に比例して多くなるため、MnとS量の多い材料ほど冷却速度を速める必要がある。
【0009】
本発明者は、800℃未満の温度で20分程度の加熱処理を適用した時に、ビッカース硬さで150Hv以下が得られる1100〜700℃の間の冷却速度とMnおよびS量(重量%)の関係を検討し、次式
V1≧6000×(Mn/55+S/32)[℃/時間]...(1)
(1)式を満足することが望ましいことを見いだした。(1)式において、本発明者はMnとS量はMnSとなって析出するため、MnとSとはそれぞれの質量数で除している。
【0010】
すなわち、本発明の製造方法は、重量%でNi30〜60%、Si≦1%、Mn≦2%、Al≦2%を含有し、残部Fおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物として存在する元素として、S≦0.01%、N≦0.01%、O≦0.01%を満足する素材に熱間圧延加工および冷間圧延を行い電子部品用Fe−Ni系合金薄板を得る製造方法であって、冷間圧延前の熱間領域から冷間領域に冷却する際の1100〜700℃の間の冷却速度を、MnとSの重量%から計算される(1)式で定義するV1とすることを特徴とする軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板の製造方法である。
V1≧6000×(Mn/55+S/32)[℃/時間]..(1)
【0011】
また、本発明者の検討によれば、MnやSの他に、Fe−Ni系合金中に、脱酸用の添加剤として導入されるか、あるいは不可避的不純物として合金中に存在するAlと不可避的不純物として合金中に存在するNによって生成するAlNの微細析出の抑制も重要である。
本発明者の検討によれば、AlNもMnSと同様に、熱間加工後の冷却速度が遅いと、組織中に微細な介在物として析出して結晶粒の成長を阻害する要因となり軟化特性を劣化する。一方、冷却速度を早めるとAlNの析出量が減り、軟化特性の改善が可能となる。
また、AlNの析出量もMnSの析出量と同様に、AlとNの濃度に比例して多くなるため、AlとN量の多い材料ほど冷却速度を速める必要がある。
【0012】
本発明者は、800℃未満の温度で20分の加熱処理を適用した時に、ビッカース硬さで150Hv以下が得られる冷却速度をV2として、次式(2)を満足することが望ましい。(2)式において、本発明者はAlとN量はAlNとなって析出するため、AlとNとはそれぞれの質量数で除している。
V2≧5000×(Al/27+N/14)[℃/時間]..(2)
もちろん、実際の冷却速度は、V1およびV2をともに満足することが最も望ましいものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の最大の特徴の一つは、エッチング性など他の特性に対して許容される大きさの範囲内の介在物を存在させ、1μm以下の微細な介在物をできるだけ組織中に分散させないことにより、軟化特性を改善し、低温で軟化可能なFe−Ni系合金薄板を見いだしたことにある。
本発明のもう一つの大きな特徴は、上述したように、冷間圧延前の熱間領域から冷間領域に冷却する際の1100〜700℃の間の冷却速度(以下単に冷却速度という)を速めること、具体的には上述した(1)式または(2)式を満足する冷却速度とすることによって軟化特性の改善に有害な微細な介在物の存在を減らし、軟化特性を改善できることを見いだしたことである。
【0014】
本発明においては、介在物品位として、最大径0.1μm以上の介在物で規定した。これは、0.1μmより大きい介在物は、走査型電子顕微鏡で分析することにより同定可能であるためである。そして、本発明は、介在物としては、エッチング性を劣化しない範囲でできるだけ大きくするような組織として、0.1μm以上の介在物の総個数の40%以上が最大径で1μm以上20μm以下であるものと規定した。
ここで40%と規定したのは、エッチング性と成形性が共に優れた範囲として本発明者が見いだしたものである。
より好ましくは、1μm未満の介在物の個数を30%未満とし、20μmを超える介在物の個数を10%未満とする。
【0015】
本発明の製造方法においては、MnとSの量から設定した冷却速度V1およびAlとNの量から設定した冷却速度V2を規定している。
V1≧6000×(Mn/55+S/32)[℃/時間]..(1)
V2≧5000×(Al/27+N/14)[℃/時間]..(2)
(1)式および(2)式は、成形前に行われる焼鈍により軟化する温度は、MnとSの量あるいはAlとNの量が増えると高温化し、冷却速度を早くすると低温化できることを見いだし、800℃以下で20分程度の焼鈍によりビッカース硬さ150Hv以下が達成できる必要条件を提案するものである。
本発明において、介在物を制御するための冷却速度の調整は、熱間加工直後の冷却工程で適用しても良いし、いったん冷却した素材を1100℃以上に加熱して冷却する工程を付与しても良い。
【0016】
以下に、上記(1)式および(2)式に使用した係数について説明する。
表1に示すAlおよびNの含有量の少なくして、AlNの析出による軟化特性の劣化を問題としないように調整した組成eをベース組成として、MnとS量を変えたインゴットを製造し、熱間加工によりフープを製造し、ついで1250℃にフープを加熱して1100℃〜700℃の冷却速度Vを変えて冷却した。
得られた素材に対して、焼鈍時間を20分として、ビッカース硬さで150Hv以下が得られる温度を求め、これを軟化温度として評価した。結果を表1に示す。得られた軟化焼鈍温度と、冷却速度V/(Mn/55+S/32)の関係を表2に示す。
表2に示すように、合金組成eにおいては、800℃以下の軟化温度が得られるのは、冷却速度V/(Mn/55+S/32)の値が6000よりも大きい場合であった。
本発明の(1)式の係数である6000は、この結果から規定したものである。
【0017】
一方表1に示すMnとSの含有量の少なくして、MnSの析出による軟化特性の劣化を問題としないように調整した組成fをベース組成として、AlとN量を変えたインゴットを製造し、熱間加工によりフープを製造し、ついで1250℃にフープを加熱して1100℃〜700℃の冷却速度を変えて冷却した。
得られた素材に対して、焼鈍時間を20分として、ビッカース硬さで150Hv以下が得られる温度を求め、これを軟化温度として評価した。結果を表3に示す。得られた軟化焼鈍温度と、冷却速度/(Al/27+N/14)の関係を表3に付記する。
表3に示すように、表1の合金組成fにおいては、800℃以下の軟化温度が得られるのは、冷却速度/(Al/27+N/14)の値が5000よりも大きい場合であった。
本発明の(2)式の係数である5000は、この結果から規定したものである。
【0018】
【表1】
Figure 0003844142
【0019】
【表2】
Figure 0003844142
【0020】
【表3】
Figure 0003844142
【0021】
以下、本発明が規定する薄帯の合金組成について説明する。
Niは、30%未満では低熱膨張を有するオーステナイト組織とならないため、下限を30%とした。また、Ni量を60%を超えて添加しても熱膨張特性が劣化するため、60%を上限とした。
Coは、Niに置換可能であり、熱膨張特性を調整するために添加することができる。
【0022】
Mnは、脱酸元素として添加されるか、合金中に不可避的に存在する元素である。2%を超えると、上述したように冷却速度を高めても合金中の介在物量が多くなりすぎ、軟化特性の改善が達成できないため、また2%を超えるとエッチング性を害することにもなるので2%以下とした。本発明は冷却速度によってMnSの析出をコントロールできるため、0.5%以上のAlであっても充分な軟化特性を得ることが可能である。
Siは、脱酸元素として添加されるか、合金中に不可避的に存在する元素である。1%を超えると、合金中の介在物を増加し、エッチング性を害するので、1%を上限とする。
【0023】
Alは、脱酸元素として添加されるか、合金中に不可避的に存在する元素である。2%を超えると、上述したように冷却速度を高めても合金中の介在物量が多くなりすぎ、軟化特性の改善が達成できないため、また2%を超えるとエッチング性を害することにもなるので2%以下とした。本発明は冷却速度によってAlNの析出をコントロールできるため、0.5%以上のMnであっても充分な軟化特性を得ることが可能である。
Sは、合金中に不可避的不純物として存在する元素である。Sは、MnSを生成し介在物となって、エッチング性および軟化焼鈍特性を害するものである。本発明の製造方法を採用しても、0.01%を超えて存在すると介在物が多くなりすぎ、軟化焼鈍特性を改善できなくなるため、0.01%以下とした。本発明は冷却速度によってMnSの析出をコントロールできるため、0.001%以上のSであっても充分な軟化特性を得ることが可能である。
【0024】
Nは、合金中に不可避的不純物として存在する元素である。Nは、AlNを生成し介在物となって、エッチング性および軟化焼鈍特性を害するものである。本発明の製造方法を採用しても、0.01%を超えて存在すると介在物が多くなりすぎ、軟化焼鈍特性を改善できなくなるため、0.01%以下とした。本発明は冷却速度によってAlNの析出をコントロールできるため、0.002%以上のN量であっても充分な軟化特性を得ることが可能である。
Oは、Al23、SiO2、MgO、CaO、MnO、TiOなどの鋼中に含まれる活性な元素と結合し介在物を生成する。
酸化物系介在物は、精錬工程で低減していないと、粗大な酸化物となってエッチング性を害するため、0.01%以下とした。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
表4に示す合金組成のインゴットを用いて、熱間加工によりFe−Ni系合金のフープを製造し、ついで1250℃に前記フープを加熱して1100℃〜700℃の冷却速度を変えて冷却した。
表4に記載した組成より計算した(1)式および(2)式の右辺それぞれによって計算される最低冷却速度をV1cおよびV2c(次に示す)として表6に示す。また、実際に試料に対して適用した冷却速度を表6に付記した。
V1c=6000×(Mn/55+S/32)[℃/時間]
V2c=5000×(Al/27+N/14)[℃/時間]
【0026】
得られた熱間圧延素材を冷間により、0.2mmまで圧延し、得られたFe−Ni系合金薄板の、最大径0.1μm以上の介在物を検出してその個数を評価した。また、焼鈍時間を20分として、ビッカース硬さで150Hv以下が得られる温度を求め、これを軟化温度として評価した。
また、エッチング加工性の評価として、それぞれの試料に対して塩化第二鉄水溶液により薄板表面に0.5mmφの半球状の孔を20個形成し、孔のエッチング面に発生する20μm以上の欠陥の個数をカウントした。
結果を表6に示す。
【0027】
【表4】
Figure 0003844142
【0028】
【表5】
Figure 0003844142
【0029】
【表6】
Figure 0003844142
【0030】
表6のたとえば、インバー合金の素材aの例において、試料1、2、3の順で冷却速度を速めた場合、試料1、2、3の順で軟化温度が低下しており、冷却速度を速めることにより、軟化特性を改善できることがわかる。
また、インバー合金の素材aの例において表4と表5を対比すると、試料1のように、V1cおよびV2cとして示した最低冷却速度のいずれよりも遅い冷却速度を適用した試料1では、軟化温度が800℃を大きく超えてしまい好ましくなく、最低冷却速度V1cおよびV2cに対していずれよりも速い冷却速度を適用した試料3は、800℃よりも大幅に低い軟化温度を有するものとなり、軟化特性が改善されたことがわかる。
【0031】
表6の試料1、2、3に示すように、軟化温度の低い試料は、介在物の総個数に大差がなくても、介在物の大きさに大きな違いがある。
すなわち、冷却速度の遅い試料1では、冷却速度の速い試料3に比べて1〜20μmの大きさの介在物の個数が少なく、1μm未満の微細な介在物と20μmを超える粗大な介在物が多い結果となっている。
これは、冷却速度が遅いことによって、MnSあるいはAlNが、微細介在物として析出するとともに、酸化物系介在物に凝集して介在物粒径を粗大化しているためであることが、介在物のX線分析により確認できた。
冷却速度と軟化特性および介在物形態の傾向は表4〜表6に示すように、インバー合金の素材aだけではなく、Ni量あるいはCo量の異なる素材b,c,dにおいても、同様の傾向にあることがわかる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、Fe−Ni系合金薄板中の介在物の大きさをエッチング性を劣化しない範囲でできるだけ、大きいものに調整することにより、微細な介在物が存在することによる軟化特性の劣化を防止することができる。これにより、多大なコストをかけることなく、低温で軟化が可能となり、工業上極めて有用である。

Claims (5)

  1. 重量%でNi30〜60%、Si≦1%、Mn≦2%、Al≦2%を含有し、残部Fおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物として存在する元素として、S≦0.01%、N≦0.01%、O≦0.01%を満足するものであって、金属ミクロ組織中に存在する最大径0.1μm以上の介在物の総個数の40%以上が、最大径で1μm以上20μm以下であることを特徴とする軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板。
  2. Niの一部をCoで置換したことを特徴とする請求項1に記載の軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板。
  3. 金属ミクロ組織100mm2に占める最大径0.1μm以上の介在物の総数が600個以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板。
  4. 重量%でNi30〜60%、Si≦1%、Mn≦2%、Al≦2%を含有し、残部Fおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物として存在する元素として、S≦0.01%、N≦0.01%、O≦0.01%を満足する素材に熱間圧延加工および冷間圧延を行い電子部品用Fe−Ni系合金薄板を得る製造方法であって、冷間圧延前の熱間領域から冷間領域に冷却する際の1100〜700℃の間の冷却速度を、MnとSの重量%から計算される(1)式で定義するV1とすることを特徴とする軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板の製造方法。
    V1≧6000×(Mn/55+S/32)[℃/時間]..(1)
  5. 重量%でNi30〜60%、Si≦1%、Mn≦2%、Al≦2%を含有し、残部Fおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物として存在する元素として、S≦0.01%、N≦0.01%、O≦0.01%を満足する素材に熱間圧延加工および冷間圧延を行い電子部品用Fe−Ni系合金薄板を得る製造方法であって、冷間圧延前の熱間領域から冷間領域に冷却する際の1100〜700℃の間の冷却速度を、AlとNの重量%から計算される(2)式で定義するV2とすることを特徴とする軟化焼鈍特性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板の製造方法。
    V2≧5000×(Al/27+N/14)[℃/時間]..(2)
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