JP3843195B2 - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に係り、特に、トラック幅が1μm以下の薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図31は、従来の複合型薄膜磁気ヘッドをスライダに備えた磁気ヘッド150を示す斜視図、図32は、図31の磁気ヘッド150の要部を示す断面図である。
この浮上式磁気ヘッド150は、図31に示すように、スライダ151と、スライダ151に備えられた複合型薄膜磁気ヘッド157を主体として構成されている。ここで、符号155は、スライダ151の磁気記録媒体の移動方向の上流側であるリーディング側を示し、符号156は、同じく移動方向の下流側であるトレーリング側を示す。このスライダ151の磁気記録媒体に対向する媒体対向面152には、レール151a、151b、151aが形成され、各レール同士間は、エアーグルーブ151c、151cとされている。
そして、このスライダ151のトレーリング側156の端面151dに複合型薄膜磁気ヘッド157が設けられている。
図33は、複合型薄膜磁気ヘッド157の要部を断面とした斜視図である。
複合型薄膜磁気ヘッド157は、図32および図33に示すように、磁気抵抗効果素子を備えたMR磁気ヘッドh1と、書込みヘッドである薄膜磁気ヘッドh2とが、スライダ151の端面151d上に積層されてなるものである。
【0003】
MR磁気ヘッドh1は、図32,図33に示すように、スライダ151の端面151d上に形成された磁性合金からなる下部シールド層163と、下部シールド層163に積層された下部ギャップ層164と、媒体対向面152に一部を露出させた磁気抵抗効果素子165と、磁気抵抗効果素子165および下部ギャップ層164を覆う上部ギャップ層166と、上部ギャップ層166を覆う上部シールド層167とから構成されている。
上部シールド層167は、薄膜磁気ヘッドh2の下部コア層と兼用とされている。
【0004】
上述のMR磁気ヘッドh1は、読取りヘッドとして用いられるものであり、磁気記録媒体からの微小の漏れ磁界が磁気抵抗効果素子165に印加されて磁気抵抗効果素子165の抵抗が変化し、この抵抗変化に基づいた電圧変化を磁気記録媒体の再生信号として読み取るものである。
【0005】
薄膜磁気ヘッドh2は、下部コア層(上部シールド層)167と、下部コア層167に積層されたギャップ層174と、ギャップ層174の後部領域Yに形成されたコイル176と、コイル176を覆う上部絶縁層177と、磁極端領域Xにてギャップ層174に接合されるとともに後部領域Yにて下部コア層167に接合される上部コア層178とから構成されている。
コイル176は、平面的に螺旋状となるようにパターン化されている。また、上部コア層178は、コイル176のほぼ中央部分にてその基端部178bが下部コア層167に磁気的に接続されている。
また、上部コア層178上には、アルミナなどからなる保護層179が積層されている。
【0006】
下部コア層167、ギャップ層174、および上部コア層178は、複合型薄膜磁気ヘッド157の後部領域Yから磁極端領域Xに向けて延在するとともに、媒体対向面152に露出している。この媒体対向面152においては、上部コア層178と下部コア層167とがギャップ層174を挟んで対向した状態で磁気ギャップを形成している。
ここで、図32に示すように、磁極端領域Xは、媒体対向面152近傍において、上部コア層178と下部コア層167とがギャップ層174のみを挟んで対向している領域をいい、後部領域Yは、磁極端領域X以外の領域をいう。
【0007】
上述の薄膜磁気ヘッドh2は、書込ヘッドとして用いられるものであり、コイル176に記録電流が与えられると、この記録電流により上部コア層178および下部コア層167に磁束が発生し、この磁束が磁気ギャップから外部に漏れて漏れ磁界を生じ、この漏れ磁界により磁気記録媒体が磁化されて記録信号が記録される。
【0008】
ところで、上記の薄膜磁気ヘッドh2を製造する際においては、予め下部コア層167、ギャップ層174および上部コア層178を順次積層パターンニングし形成する。ここで、上部コア層178は、フレームメッキ法により、メッキ、イオンミーリングを用いて加工され、媒体対向面152に露出する上部コア層178の幅は、前記フレームメッキ等のレジスト幅や、メッキ、エッチング加工により規定され、この媒体対向面152に露出する上部コア層178の幅により、磁気記録トラック幅が規定されている。
このように、薄膜磁気ヘッドh2の磁気記録トラック幅(媒体対向面に露出する上部コア層178の磁極端側の幅)を狭く設定することにより、磁気記録媒体のトラック幅を小さくすることが可能になって、磁気記録媒体の記録密度を高めることが可能になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の薄膜磁気ヘッドh2においては、コイル層176、上部絶縁層177の段差があり上部コア層178の形成におけるレジスト膜厚が厚くなり、フレームメッキの手段によりこれらの各層を精度良く成形し、磁極端を現状の最高の加工精度で加工したとしても、レジストパターン形成時の露光の分解能の限界により、磁気記録トラック幅を1μm以下にするのは困難であり、磁気記録媒体の記録密度をより向上させることができないという課題があった。
【0010】
上記の課題を解決するために、特願平11年080551号、特願平11年080552号、特願平11年094314号等に記載されるような技術を適用する場合があった。ここでは、記録密度を向上するために下部コア層167と上部コア層178の各々に高飽和磁束密度材料の磁性層を積層した2層構造とし、例えば、図34に示すように、下部コア層167に絶縁層177Aを積層し、この絶縁層177Aに、RIE(反応性イオンエッチング),イオンミーリング等の手段によって磁気記録トラックの幅を規定する1μm程度の溝177Bを形成し、該溝177B内部の下部コア層167にギャップ層174を積層し、この絶縁層177Aとギャップ層174との溝周辺に上部コア層178を形成して、磁気記録トラック幅を小さく設定していた。これらの技術においては、上部コア層178が、媒体対向面152から見て溝177Bよりも磁気記録トラックを形成しているギャップ層174よりも絶縁層177Aの部分にはみ出す場合がある。
このような場合には、図34に矢印Bで示すように、磁気ギャップ付近において、上部コア層178からの磁気記録トラック外側へ漏れる漏れ磁界が大きくなり、薄膜磁気ヘッドの書き込み能力が低下する可能性があった。
【0011】
さらに、上記のように、上述の問題点に対応して、図35に示すように、溝177Bに傾斜部177Cを設けて、上部コア層178の下側に傾斜部分を形成し、上部コア層178からの漏れ磁界を低減する手段を採用することがあった。このような場合には、先に形成された溝177Bの上縁部に傾斜部177Cを設けるために、工程数が多くなり、加工時間の増大と作業性の低減を招き、かつ、RIE(反応性イオンエッチング),イオンミーリング等の手段における加工雰囲気等の限定条件が多くなるため、その処理にかかる作業時間が増大する上、加工時間が増大するという問題が発生する。さらに、図34に示す構造に比べると、磁気ギャップ付近において、図35に矢印Bで示す上部コア層178からの磁気ギャップ外側へ漏れる漏れ磁界を減少することができるが、充分とはいえず、薄膜磁気ヘッドの書き込み能力が低下する可能性があった。
【0012】
また、今後、磁気ギャップ幅を小さく設定する際、フォトレジストを使用した技術において、分解能や焦点深度の問題から、図34および図35に示すような形状の磁気ギャップにおいては、磁気記録トラック幅、すなわち溝177B幅を0.1μm以下に設定することは不可能であると見られている。何故ならば、溝177Bを形成する際の幅寸法における予想される下限値が、たとえば、i線ステッパにおいては、その波長による限界から0.3μm程度、また、使用するフォトレジスト種類の限界から0.28μm程度が限界とされ、エキシマレーザステッパにおいては、その波長による限界から0.18μm程度が限界であると考えられるからである。しかし、磁気記録媒体の記録密度を向上するために、磁気記録トラック幅、つまり磁気ギャップ層における幅寸法をより縮小したいという要求に対応できる技術が待望されていた。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的のうち少なくとも1つを達成しようとするものである。
▲1▼磁気記録トラック幅が1μm以下であるような微細磁気記録トラック幅を有する薄膜磁気ヘッドを提供すること。
▲2▼このような磁気ヘッドにおいて、磁気記録トラック近辺における漏れ磁界の減少を図ること。
▲3▼薄膜磁気ヘッドの書込ヘッドのオーバーライト特性を向上すること。
▲4▼製造工程の簡略化と製造時間の短縮とを図ることのできる薄膜磁気ヘッドを製造する方法を提供すること。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜磁気ヘッドにおいて、下部コア層と、前記下部コア層の上に積層された絶縁層と、前記絶縁層の媒体対向面から後部に向けて延在するよう設けられた溝内の前記下部コア層上に形成された下部磁極層と、前記下部磁極層の上に形成されたギャップ層と、前記ギャップ層の上に形成された上部磁極層と、が積層され、
前記上部磁極層の上に上部コア層が形成され、前記下部コア層と上部コア層の間にコイルが形成され、
前記溝の内側壁には、前記上部磁極層の側端面から下部磁極層の側端面にわたり、前記上部磁極層側から前記下部磁極層側に向いて先窄まりとなるテーパが形成されて前記溝の幅方向寸法が前記上部コア層側から前記下部コア層側に向かって小さくなるとともに、前記溝に前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部が形成され、
前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度が、70度ないし87度の範囲に設定されてなり、
前記上部磁極層、ギャップ層、下部磁極層の幅方向寸法が前記のテーパ側壁部によって規定されてなり、
前記上部磁極層の全体、および、前記上部コア層における前記上部磁極層側端部が、前記溝の内部に設けられてなるとともに、
前記媒体対向面に露出されたギャップ層の幅が1μm以下に設定されてなることにより上記課題を解決した。
本発明は、前記媒体対向面において、前記上部コア層における前記上部磁極層側端部の幅方向長さが、前記上部磁極層における前記ギャップ層側端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記上部磁極層における前記ギャップ層側端部の幅方向長さが、前記ギャップ層における前記下部磁極層側端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記ギャップ層における前記下部磁極層側端部の幅方向長さが、前記下部磁極層における前記下部コア層側端部の幅方向長さよりも大きく設定されてなることができる。
本発明は、前記媒体対向面において、前記ギャップ層における前記上部磁極層側端部の幅方向長さが、前記ギャップ層における前記下部磁極層側端部の幅方向長さよりも大きく設定されてなることが可能である。
本発明において、前記上部コア層における前記上部磁極層側端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定されることが望ましい。
本発明において、前記上部磁極層が、前記溝の内部に設けられ、前記上部コア層における前記上部磁極層側端部が、前記絶縁層上面と面一に設けられてなることができる。
本発明において、前記下部磁極層および前記ギャップ層は、溝内に積層されて、前記ギャップ層の上には、前記媒体対向面側に前記上部磁極層が、また、前記後部側に後部絶縁層が積層されていることが可能である。
本発明において、前記ギャップ層が非金属材料で形成されてなることがある。
本発明において、前記上部磁極層、前記ギャップ層、前記下部磁極層はメッキ法により形成されてなることができる。
本発明の複合型薄膜磁気ヘッドは、磁気抵抗効果素子を備えた読出磁気ヘッドと、上記のいずれかに記載された薄膜磁気ヘッドとが積層されてなることが好ましい。
【0015】
本発明の薄膜磁気ヘッドは、上部磁極層により媒体対向面側において上部磁極端が形成され、下部磁極層により媒体対向面側において下部磁極端が形成され、これら上部磁極層と下部磁極層との間にギャップ層を介在させて磁気ギャップが形成されてなる構造を有し、前記上部磁極層と前記下部磁極層との間の部分周りに、媒体対向面に到達して前記上部磁極層と前記下部磁極層との間に位置する溝が形成される絶縁層が設けられ、この絶縁層の溝内に前記ギャップ層が設けられて、このギャップ層が上部磁極端と下部磁極端とで挟まれて磁気ギャップが形成されて、前記溝の内側壁には、前記上部磁極層側から前記下部磁極層側に向いて先窄まりとなるテーパが形成され、前記溝の前記上部磁極層側の幅よりも前記ギャップ層形成部分の幅を小さくしてなることにより上記課題を解決した。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、上部コア層および下部コア層が後部領域から磁極端領域に向けて延在してそれらの端面が媒体対向面に露出され、前記後部領域にて前記上部コア層と前記下部コア層とが接続され、この上部コア層と下部コア層との接続部分の周囲にコイルが設けられ、前記磁極端領域にて前記上部コア層と前記下部コア層との間にギャップ層が設けられてなる構造を有し、前記下部コア層に絶縁層が積層され、該絶縁層の前記磁極端領域に前記媒体対向面から前記後部領域に向けて延在する溝が設けられ、該溝に下部磁極層と前記ギャップ層とが積層され、前記ギャップ層の前記磁極端領域には上部磁極層が積層され、前記下部磁極層が前記下部コア層に接続され、前記上部磁極層が前記上部コア層に接続されて、前記上部磁極層により上部磁極端が前記下部磁極層により下部磁極端が構成され、前記溝が、該溝の幅方向寸法が前記上部コア層側から前記下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状とされて、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有してなり、前記媒体対向面に露出した部分において、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さが、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さが、前記下部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定されてなることにより上記課題 を解決した。
本発明においては、前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度が、70度〜87度程度の範囲に設定されてなることが好ましい。
本発明においては、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定される技術か、前記上部コア層における下端部が前記溝からはみ出す幅方向寸法を1.0μm以下に設定する技術を選択することができる。
また、本発明において、前記上部磁極層および上部コア層における下端部が、前記溝の内部に設けられてなる技術を選択することができる。
前記媒体対向面に露出されたギャップ層の幅(磁気記録トラック幅)が1μm以下に設定されてなることが可能である。
または、本発明において、前記溝が、前記下部コア層上に立設されて前記媒体対向面に到達された2つのテーパ側壁部と、これら2つの側壁部を前記溝の前記後部領域側にて連結し、前記下部磁極端のギャップデプスを規定する磁極端面とを具備してなる技術か、または、前記溝が、前記下部コア層側と前記上部コア層側と前記媒体対向面側とに各々開口し、前記媒体対向面における開口の寸法と略同一断面寸法で少なくとも前記磁極端領域の一部に延在する溝本体部と、該溝本体部に連続して前記後部領域に延在する溝連続部とを有してなる技術を選択することができる。
または、本発明において、前記溝連続部が、前記溝本体部と略同一断面寸法で前記後部領域に延在する溝延長部を有してなる技術か、前記溝連続部が、該溝本体部の前記後部領域側に接続され該後部領域側方向に向けて前記下部コア層幅方向に寸法の拡大する溝拡大部を有してなる技術を選択することができる。
本発明において、前記ギャップ層の前記後部領域には後部絶縁層が積層されるとともに、該後部絶縁層が、前記上部磁極層と前記上部コア層とに接続され、前記上部磁極層が前記ギャップ層と接する前記媒体対向面から後部絶縁層までの長さによりギャップデプスが確定されてなることができる。さらに、前記後部絶縁層の前記後部領域側先端が、前記ギャップ層と前記上部磁極層との間に割り込んで入って、前記後部絶縁層の前記後部領域側先端により前記ギャップデプスが確定されてなることができる。この後部絶縁層においては、前記媒体対向面側から前記後部領域側に向かってその厚みを増加するよう傾斜したアペックス面を備えてなることが好ましい。本発明において、前記後部絶縁層がレジストがノボラック系樹脂とすることが可能である。本発明において、前記後部絶縁層の上には、前記コイルの一部が設けられてなる技術を適応することができる。
または、本発明において、前記後部絶縁層の上にコイル絶縁層が積層され、このコイル絶縁層は、前記後部絶縁層のアペックス面に向けて傾斜する傾斜面を備えてなることができる。
【0016】
さらに、本発明においては、例えば、前記下部コア層の上面が研磨加工された平坦面とされたことや、前記後部絶縁層のアペックス面の傾斜角度は、前記下部コア層に対して10度〜80度の範囲であること、および、前記後部絶縁層が前記絶縁層の上側に連続して延在していることが可能である。
磁気抵抗効果素子を備えたMR磁気ヘッドまたはGMR磁気ヘッドとされる読出磁気ヘッドと、上述の手段を選択した薄膜磁気ヘッドとが積層されてなる複合型薄膜磁気ヘッドとする技術を選択することができる。
【0017】
本発明における薄膜磁気ヘッドは、下部コア層と下部磁極層とにより下部コアが形成され、上部コア層と上部磁極層とにより上部コアが形成され、下部磁極層とギャップ層と上部磁極層とにより磁気ギャップが形成されて、上部コアと下部コアとの間に磁気ギャップが介在してなるものである。
磁気ギャップを構成する下部磁極層とギャップ層と上部磁極層が、予め形成された溝に積層されるので、磁気ギャップの幅(磁気記録トラック幅)は溝の幅により決定される。従って、溝の幅を狭く設定することにより、磁気ギャップの幅(磁気記録トラック幅)を例えば1μm以下のサブミクロンオーダーにまで狭くすることが可能になる。
【0018】
本発明において、前記溝が、該溝の幅方向寸法が前記上部コア層側から前記下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状とされて、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有してなることにより、前記媒体対向面に露出した部分において、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さが、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さが、前記下部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定されて、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、書込ヘッドのオーバーライト特性を向上することができる。
さらに、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定される技術か、前記上部コア層における下端部が前記溝からはみ出す幅方向寸法を1.0μm以下に設定する技術を選択することにより、前記溝付近において磁束の流れを円滑にすることができ、よりいっそう磁気ギャップ層付近における漏れ磁束の低減を図ることができる。
また、上部磁極層と下部磁極層とで形成される磁気ギャップの幅方向長さ寸法:磁気記録トラック幅寸法を、前記溝の上端部側幅寸法、および、上部コア層、上部磁極端層の幅方向長さよりも小さく設定することができる。このため、媒体対向面における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
【0019】
本発明においては、前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度を70度より小さい角度に設定すると、上部コア層、上部磁極層の溝におけるテーパ側壁部に当接している側壁部分からの漏れ磁界が増大し、磁気ギャップへの漏れもあるが、下部コア層への漏れ磁界が増大して好ましくなく、前記傾斜角度を88度より大きい値に設定した場合には、上部コア層のレジストパターン形成における露光等の寸法・アライメントが難しくなり好ましくない。
また、本発明において、前記上部磁極層および上部コア層における下端部が、前記溝の内部に設けられてなる技術を選択することにより、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図るとともに、磁気記録トラック付近における磁束の流れを円滑にすることができ、漏れ磁界の低減を図ることができる。
【0020】
また、磁気ギャップを形成する下部磁極層、ギャップ層等の幅方向寸法よりも、溝の上端部における幅方向寸法を低減することができるため、溝を精度良く形成することが可能になって、磁気記録トラック幅をより狭く設定することが可能になる。
また、前記溝の上端部における幅方向寸法を1μm以下、より好ましくは0.7μm程度とすることで、磁気ギャップの幅方向寸法により規制される磁気記録トラック幅を0.31μm程度に設定することが可能になる。
【0021】
本発明の薄膜磁気ヘッドにおいては、前記絶縁層、前記下部磁極層、前記ギャップ層および前記上部磁極層が前記媒体対向面に露出しているように構成することにより、媒体対向面における磁気ギャップ幅が絶縁層の溝の幅と一致するので磁気記録トラック幅を狭く設定することが可能になり、また、磁気ギャップが媒体対向面から露出するので、磁気ギャップから生じる漏れ磁界によって磁気記録媒体に対して効率よく磁気記録することが可能となる。
【0022】
また、下部コア層の上面を研磨加工することにより、下部コア層の上面が表面粗さRa=0.0005μm〜0.01μmの範囲の平坦面となるので、溝を精度良く形成することが可能になって、磁気記録トラック幅をより狭くすることが可能になる。
また、前記後部絶縁層におけるアペックス面の傾斜角度は、前記下部コア層に対して10〜80度の範囲であることが好ましい。アペックス面の傾斜角度が10度未満では、上部コア層と下部コア層との間のリラクタンスが小さくなり、アペックス面付近で上部コア層から上部磁極層への漏れ磁界が増大するので好ましくなく、80度を超えると、必然的に上部コア層の断面形状を滑らかに形成することができず、上部コア層断面形状が部分的に鋭角的になり、この付近の反磁界が大きくなるため、記録効率が落ちるので好ましくない。
さらに、前記後部絶縁層がノボラック系樹脂からなることにより、後述のようにポストベークにより後部絶縁層にアペックス面を形成し、後述するようにギャップ層を電極とする電気メッキ法により上部磁極層を形成しギャップデプス位置設定の正確性を向上するとともに、後部絶縁層上にコイルを形成可能とすることができる。
【0023】
また、前記絶縁層は、AlO、Al2O3、SiO、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrNのうちのいずれか1種からなることが好ましく、単層膜または、それらの多層膜で形成してもよい。絶縁層が前記記載の材質からなるものであれば、溝を形成する際に異方性エッチングを行うとともにその異方性の程度を設定することが可能になって、サイドエッチングが発生することなく、特に溝の深さ方向に対する溝の幅の寸法精度を向上することが可能になる。
【0024】
また、前記ギャップ層は、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Cr、NiMo合金、NiW合金、NiP合金、NiPd合金、NiPt合金のうちのいずれか1種または2種以上からなることが好ましく、単層膜または、それらの多層膜で形成してもよい。これらの材料は、いずれも非磁性材料であって磁化することがなく薄膜磁気ヘッドの記録用ギャップ層を構成するものとして最適であるとともに、これら材料は金属材料であって下部コア層を電極とする電気メッキ法にて溝内に積層することが可能となる。
【0025】
さらに、下部磁極層は、FeNi合金、FeがNiよりも高濃度のFeNi合金、CoFeNi合金のうちのいずれか1種からなることが好ましく、単層膜または、それらの多層膜で形成してもよい。これらの材料は、いずれも軟磁気特性に優れた磁性材料であって薄膜磁気ヘッドのコアを構成するものとして最適であるとともに、これら材料は金属材料であって下部コア層を電極とする電気メッキ法にて溝内に積層することが可能となる。
【0026】
さらに、上部磁極層は、FeNi合金、FeがNiよりも高濃度のFeNi合金、CoFeNi合金のうちのいずれか1種からなることが好ましく、単層膜または、それらの多層膜で形成してもよい。これらの材料は、いずれも軟磁気特性に優れた磁性材料であって薄膜磁気ヘッドのコアを構成するものとして最適であるとともに、これら材料は金属材料であって記録用ギャップ層を電極とする電気メッキ法にて溝内に積層することが可能となるので、上部磁極層の積層位置を後部絶縁層により設定し、ギャップデプス位置設定における正確性を向上することができるとともに、上部磁極層を溝に確実に形成し、上部磁極層の幅を溝の幅と一致させることが可能になる。
【0027】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法においては、上部磁極層により媒体対向面側において上部磁極端を形成し、下部磁極層により媒体対向面側において下部磁極端を形成し、これら上部磁極層と下部磁極層との間にギャップ層が介在して磁気ギャップを形成する薄膜磁気ヘッドの製造方法であり、前記上部磁極層と前記下部磁極層との間の部分周りに、媒体対向面に到達して前記上部磁極層と前記下部磁極層との間に位置する溝を形成する絶縁層を設け、この絶縁層の溝内に前記ギャップ層を設けて、このギャップ層を上部磁極端と下部磁極端とで挟んで磁気ギャップを形成し、前記溝の内側壁に、前記上部磁極層側から前記下部磁極層側に向いて先窄まりとなるテーパを形成し、前記溝の前記上部磁極層側の幅よりも前記ギャップ層形成部分の幅を小さくしてなることにより上記課題を解決した。
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法においては、上部コア層および下部コア層が後部領域から磁極端領域に向けて延在してそれらの端面が媒体対向面に露出され、前記後部領域にて前記上部コア層と前記下部コア層とが磁気的に接続され、この上部コア層と下部コア層との接続部分の周囲にコイルが設けられ、前記磁極端領域にて前記上部コア層と前記下部コア層との間にギャップ層が設けられてなる薄膜磁気ヘッドの製造方法であり、前記下部コア層に絶縁層を積層し、前記磁極端領域の前記媒体対向面外側、および、前記磁極端領域に延在する溝を該溝の前記磁極端領域における幅方向寸法が上側から下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有し、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有するように、前記絶縁層に形成するとともに、該溝の底面を前記下部コア層に到達させ、該溝に、下部磁極層と前記ギャップ層とを積層して前記下部コア層と前記下部磁極層とを接続し、前記ギャップ層の前記磁極端領域に前記媒体対向面と略平行なギャップデプスを有する前記上部磁極層を形成し、前記後部領域にコイルを形成し、前記磁極端領域にて前記上部磁極層と接合するとともに前記後部領域にて前記コイルの一部を覆う前記上部コア層を形成して前記上部コア層と前記上部磁極層とを接続することにより上記課題を解決した。
本発明においては、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定される技術か、前記上部コア層における下端部が前記溝からはみ出す幅方向寸法を1.0μm以下に設定する技術を選択することができる。
本発明においては、前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度を70度〜87度程度の範囲に設定することが好ましい。
また、本発明において、前記上部磁極層および上部コア層における下端部が、前記溝の内部に設けられてなる技術を選択することができる。
さらに、本発明において、前記溝を、前記磁極端領域の前記媒体対向面外側、前記磁極端領域にの記絶縁層に形成するとともに、前記後部領域にも延在するように前記絶縁層に形成するとともに、該溝の底面を前記下部コア層に到達させ、該溝に、下部磁極層と前記ギャップ層とを積層して前記下部コア層と前記下部磁極層とを接続し、前記ギャップ層の前記後部領域に後部絶縁層を形成して前記上部磁極層のギャップデプス位置を規定し、前記ギャップ層の前記磁極端領域に前記媒体対向面と略平行に前記後部絶縁層によって規定された前記ギャップデプスを有する前記上部磁極層を形成することができる。
本発明において、前記後部絶縁層には、前記ギャップデプス付近にポストベークを施すことによって前記媒体対向面側から前記後部領域側に向かってその厚みを増加するよう傾斜したアペックス面を形成することが好ましく、前記アペックス面と前記下部コア層とのなす角を10度〜80度程度に形成することができ、前記後部絶縁層が、ポジ型フォトレジストから形成されて、前記ポジ型フォトレジストが、ノボラック系樹脂から形成されてなることが可能である。
前記下部磁極層と前記ギャップ層とを、前記下部コア層を電極とする電気メッキ法にて形成する技術が選択される。
前記媒体平行面位置における前記溝の幅方向最大寸法を1μm以下に設定することが好ましい。
【0028】
本発明において、前記下部コア層に積層した絶縁層に、前記磁極端領域の前記媒体対向面外側、および、前記磁極端領域に延在する溝を該溝の前記磁極端領域における幅方向寸法が上側から下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有し、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有するように形成するとともに、該溝の底面を前記下部コア層に到達させ、該溝に、下部磁極層と前記ギャップ層とを積層して前記下部コア層と前記下部磁極層とを接続し、前記ギャップ層の前記磁極端領域に前記媒体対向面と略平行なギャップデプスを有する前記上部磁極層を形成し、前記後部領域にコイルを形成し、前記磁極端領域にて前記上部磁極層と接合するとともに前記後部領域にて前記コイルの一部を覆う前記上部コア層を形成して前記上部コア層と前記上部磁極層とを接続することにより、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、オーバーライト特性の向上した書込ヘッドの製造方法を提供することができる。
さらに、前記磁極端領域の前記媒体対向面外側、および、前記磁極端領域に延在する溝を該溝の前記磁極端領域における幅方向寸法が上側から下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有し、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有するように形成することにより、フォトリソグラフィ技術における分解能や焦点深度により規定される最低幅寸法とされる溝を形成したとしても、前記媒体対向面に露出した部分において、前記上部コア層における下端部の幅方向長さを、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定し、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さを、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定し、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さを、前記下部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定して、上部磁極層と下部磁極層とで形成される磁気ギャップの幅方向長さ寸法:磁気記録トラック幅寸法を、前記最低幅寸法とされる前記溝の上端部側幅寸法、および、上部コア層、上部磁極端層の幅方向長さよりも小さく設定できることにより、媒体対向面における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
本発明においては、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定される技術か、前記上部コア層における下端部が前記溝からはみ出す幅方向寸法を1.0μm以下に設定する技術を選択することや、前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度を70度〜88度程度の範囲に設定すること、また、前記上部磁極層および上部コア層における下端部を、前記溝の内部に設ける技術を選択することにより、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図るとともに、媒体対向面における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
【0029】
ここで、下部コア層を研磨して平坦化すれば、後の工程において積層する絶縁層が平坦化されて、異方性エッチングにて溝を精度良く形成することが可能になり、溝を異方性エッチングにて形成すれば、サイドエッチングが発生することなく、溝の深さ方向に対する溝幅の寸法精度を向上することが可能になる。
また、溝を形成するに際しては、絶縁層にマスク層を積層してこのマスク層にパターンを形成し、このパターンから露出する絶縁層に対して異方性エッチングを行い、このとき、エッチング電力、基板バイアス電力、エッチングガス圧、ガス種類等の条件を設定することにより、異方性の程度を設定しておこなうことが好ましい。異方性エッチングは、反応性イオンエッチング法にて行うのが、寸法精度良く溝を形成できる点で最も好ましい。
ここで、マスク層は、フォトレジスト層、金属膜層、フォトレジスト層と金属膜層との積層体、金属酸化物層のいずれか1種であることが好ましく、フォトレジスト層としては、通常のポジ型、ネガ型フォトレジストの他、遠紫外線、電子線、X線、イオン線等により露光可能なフォトレジストであっても良い。また、金属膜層としては、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Au、Al、In、Siのいずれか1種であることが好ましい。更に、金属酸化物層としては、SiO、SiO2 、TaO、Ta2O5、TiO、SiN、Si3N4、CrO、WO、ZrO、NiO、AlO、Al2O3、IrOのいずれか1種または2種以上であることが好ましく、単層膜またはそれらの多層膜から形成してもよい。
さらに、前記溝を反応性イオンエッチング法(RIE法;Reactive Ion Etching法)にて形成する際に用いる反応ガスは、CF4 、CF4 とO2 との混合ガス、C3F8、C3F8とO2 との混合ガス、C4F8、C4F8とO2 との混合ガス、C5F8、C5F8とO2 との混合ガス、Cl2 、BCl3 、Cl2 とBCl3 との混合ガス、CHF3 、のいずれか1種、または、Arとの混合ガス、または、各ガスの組み合わせを用いることができる。これらの反応ガスは、絶縁層およびマスク層の材質に基づいて上記のガスの中から好適なものが選定される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る薄膜磁気ヘッドおよび薄膜磁気ヘッドの製造方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態にかかる複合型薄膜磁気ヘッドの正面図、図2は同側断面図である。
なお、これらの図において、前述の図30ないし図34に示す構成要素と略同一の構成要素には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態の複合型薄膜磁気ヘッド1は、磁気抵抗効果素子を備えた読出ヘッド(MR磁気ヘッドまたはGMR磁気ヘッド)21とインダクティブヘッド(書込ヘッド)41とが、スライダ151の端面151dに積層されてなるものである。
【0031】
図1に示すように、読出ヘッド21は、スライダ151の端面151d上に形成された絶縁層22と、該絶縁層22に積層されて磁性合金からなる下部シールド層23と、下部シールド層23に積層された読出ギャップ層24と、読出ギャップ層24に埋め込まれて一部を媒体対向面に露出させた磁気抵抗効果素子25と、読出ギャップ層24に積層された平坦化絶縁層26と、平坦化絶縁層26に埋め込まれた上部シールド層27とからなるものである。上部シールド層27は、書込ヘッド41の下部コア層と兼用とされている。また、上部シールド層(下部コア層)27は、FeNi合金,FeCoNi合金等からなる軟磁性合金であることが好ましい。
下部シールド層23、読出ギャップ層24、平坦化絶縁層26、上部シールド層27、および磁気抵抗効果素子25の各端面は、媒体対向面152側に露出している。
また、磁気抵抗効果素子25には、センス電流を与えるための電極層28,28が接続されている。
【0032】
磁気抵抗効果素子25としては、磁気抵抗効果を有する軟磁性材料の他、いわゆる巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を例示することができる。
【0033】
上述の読出磁気ヘッド21においては、磁気記録媒体からの微小の漏れ磁界が磁気抵抗効果素子25に印加されて磁気抵抗効果素子25の抵抗が変化し、この抵抗変化に基づいた電圧変化を磁気記録媒体の再生信号として読み取る。
【0034】
図2は、本実施形態の薄膜磁気ヘッドを示す側面断面図、図3は、本実施形態の薄膜磁気ヘッドにおける溝43および磁極端領域の要部を示す斜視図、図4は同正面図、図5は同拡大側断面図である。
本実施形態における書込ヘッド41は、図1ないし図5に示すように、下部コア層(上部シールド層)27に絶縁層42が積層され、絶縁層42の磁極端領域Xに、媒体対向面152から後部領域Yに向けて延在する溝43が設けられ、下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46と後部絶縁層80とが溝43に積層されるとともに、下部磁極層44が下部コア層27に接続され、さらに、上部磁極層46が上部コア層47に接続されてなるものである。ここで、上部磁極層46により上部磁極端が構成され、下部磁極層44により下部磁極端が構成されている。
【0035】
上部コア層47および下部コア層27は、図2に示すように、後部領域Yから磁気端領域Xに向けて延在して、それらの端面が媒体対向面152に露出している。また、上部コア層47および下部コア層27は後部領域Yにおいて磁気的に接続されている。
後部絶縁層80は、ギャップ層45上の後部領域Y側に位置されるとともに、絶縁層42上の後部領域Y側に位置されている。
ここで、磁気端領域Xとは、図2に示すように、媒体対向面152近傍において上部コア層47と下部コア層27とがギャップ層45を挟んで対向している領域をいい、後部領域Yとは、磁気領域X以外の領域をいう。
【0036】
溝43は、図3ないし図5に示すように、該溝43の幅方向寸法が前記上部コア層47側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する下窄まり形状とされて、媒体対向面152における開口の形状と略同一断面形状で磁気端領域Xに延在し下部コア層27に隣接する溝本体部51と、この溝本体部51に連続して後部領域Yに延在して下部コア層27に隣接する溝連続部90とからなるものである。これら溝本体部51と溝連続部90とは、略同一の断面形状を有するものとされる。
溝連続部90は、前記溝本体部51と略同一断面寸法で、前記後部領域Yに延在する溝延長部91を有する。
溝本体部51および溝延長部91には、下部コア層27上に立設されて媒体対向面152に到達するとともに前記下部コア層27の上面27aに対して傾斜角度αを有する2つのテーパ側壁部52,52が設けられてなり、これら2つのテーパ側壁部52,52が、後部領域Yの溝延長部91の最奥部に位置し前記媒体対向面152と略平行に近い状態の端面53により連結されている。
テーパ側壁部52,52は、図4に示すように、このテーパ側壁部52,52が前記下部コア層27の上面27aに対してなす傾斜角度αを70度〜87度の範囲に設定することが好ましく、この傾斜角度αが、例えば80度とされる。ここで、前記テーパ側壁部52,52が前記下部コア層27の上面27aに対してなす傾斜角度αを70度より小さい角度に設定すると、上部コア層47、上部磁極層46の溝43におけるテーパ側壁部52,52に当接している側壁部分からの漏れ磁界が増大し、磁気ギャップへの漏れもあるが、下部コア層への漏れ磁界が増大し、上部コア層47と下部コア層27との間のリラクタンスが小さくなり、磁気記録トラック端部の漏れ磁束が大きくなるので好ましくなく、前記傾斜角度αを88度より大きい値に設定した場合には、所望の磁気記録トラック幅を形成するために必要な溝43の幅寸法を形成することができない可能性があるとともに、上部コア層のレジストパターン形成における露光等の寸法・アライメントが難しくなり好ましくない。
【0037】
下部磁極層44およびギャップ層45は、溝本体部51および溝延長部91に位置して積層されて、下部磁極層44が下部コア層27に接続されている。
また、上部磁極層46は、磁極端領域Xの溝本体部51に積層されて上部コア層47と接続されており、この上部磁極層46の後部領域Y側の端部によりギャップデプスGdが規定されている。
下部コア層27と下部磁極層44とにより下部コアが形成され、上部コア層47と上部磁極層46とにより上部コアが形成され、下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46とにより磁気ギャップが形成されて、上部コアと下部コアとの間に磁気ギャップが介在されてなる。
これら下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46と上部コア層47とは、図4に示すように、前記媒体対向面152に露出した部分において、前記上部コア層47における下端部(上部磁極層46側端部)の幅方向長さW47が、前記上部磁極層46における下端部(ギャップ層45側端部)の幅方向長さW46よりも大きく設定され、前記上部磁極層46における下端部の幅方向長さW46が、前記ギャップ層45における下端部(下部磁極層44側端部)の幅方向長さW45よりも大きく設定され、前記ギャップ層45における下端部の幅方向長さW45が、前記下部磁極層44における下端部(下部コア層27側端部)の幅方向長さW44よりも大きく設定されてなる。
上部磁極層46は、その上面が絶縁層42の上面よりも低い位下部コア層27置つまり下部コア層27に近い位置に設けられ、かつ、その上面を上部コア層47により完全に覆われている。
上部コア層47は、図4に示すように、磁極端領域Xにおいて断面矩形状とされ、その下端部の幅方向長さW47が、前記溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51より小さく設定されるとともに、上部コア層47の上下方向に上部コア層47の上面の幅方向長さW47とほぼ等しい幅方向寸法を有し、かつ、上部コア層47の下端部が溝43の内部に位置するように設けられる。
【0038】
後部絶縁層80は、例えばノボラック系樹脂などからなるポジ型フォトレジストから形成されてなり、図5に示すように、ギャップ層45上の後部領域Y側の溝延長部91に位置して積層されており、この後部絶縁層80は、媒体対向面152から後部領域Y側に向かってその厚みを増加するよう傾斜したアペックス面80aを備えている。
また、ギャップ部分周辺の絶縁層42、下部磁極層44、ギャップ層45および上部磁極層46は、媒体対向面152に露出している。
このように構成することにより、媒体対向面152における磁気記録トラック幅が溝43のテーパ側壁部52,52の間隔寸法と一致するので、溝43の溝幅の形成精度を向上させるならば、磁気記録トラック幅を狭くすることが可能になり、また、磁気ギャップが媒体対向面152に露出するので、磁気ギャップから生じる漏れ磁界によって磁気記録媒体に対して効率よく磁気記録することが可能となる。
【0039】
本発明の薄膜磁気ヘッド41は、磁気記録トラックを構成する下部磁極層44の一部とギャップ層45と上部磁極層46とが、予め形成された溝43に積層されるので、磁気記録トラックの幅寸法は溝43の幅寸法により決定される。従って、溝43が、該溝43の幅方向寸法を前記上部コア層47側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状として、前記下部コア層27の上面27aに対して傾斜角度αを有するテーパ側壁部52,52を有してなる。これにより、磁極端領域Xにおいて、前記上部コア層47における下端部の幅方向長さW47が、前記上部磁極層46における下端部の幅方向長さW46よりも大きく設定され、かつ、前記上部磁極層46における下端部の幅方向長さW46が、前記ギャップ層45における下端部の幅方向長さW45よりも大きく設定され、かつ、前記ギャップ層45における下端部の幅方向長さW45が、前記下部磁極層44における下端部の幅方向長さW44よりも大きく設定されてなることができる。これにより、上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、薄膜磁気ヘッド41のオーバーライト特性を向上することができる。
さらに、上部コア層47の下端部の幅方向長さW47が、前記溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51より小さく設定されるとともに、上部コア層47の下端部が溝43の内部に位置するように設けられることにより、いっそう上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることが可能となり、薄膜磁気ヘッド41のオーバーライト特性を向上することができる。
【0040】
また、この薄膜磁気ヘッド41においては、該溝43の幅方向寸法を前記上部コア層47側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状として、テーパ側壁部52,52により規定される下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46と上部コア層47との幅方向寸法W44,W45,W46,W47を述のように、
W44>W45>W46>W47
の関係を満たすように設定している。このことにより、従来のフォトリソグラフィ技術における分解能や焦点深度により規定される最低幅寸法とされる溝43を形成したとしても、上部磁極層46と下部磁極層44とで形成される磁気ギャップの幅方向長さ寸法:磁気記録トラック幅寸法を、前記最低幅寸法とされる前記溝43の上端部側幅寸法W51よりも小さく設定できることにより、媒体対向面152における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
ここで、溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51を1μm以下、例えば、絶縁層42の膜厚が1.7μmのとき、従来のフォトリソグラフィ技術における分解能や焦点深度により規定される最低幅寸法である、0.7μm程度とし、テーパ側壁部52,52の下部コア層27の上面27aに対してなす傾斜角度αを80度とし、下部磁極層44の厚み寸法を0.3程度μm、ギャップ層45の厚み寸法を0.2μm程度とするならば、磁気記録トラック幅を0.24μm程度とすることが可能になり、従来は不可能であった、1μm以下の磁気記録トラック幅を形成することができる。
また、上記の寸法以外にも、溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51と、下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46と上部コア層47との幅方向寸法W44,W45,W46,W47とを、テーパ側壁部52,52の下部コア層27の上面27aに対してなす傾斜角度αによって規定することができ、これらの関係は、表1に示すようになる。
【0041】
【表1】
表1に示すように、傾斜角度αを70゜〜87゜の範囲とし、溝43の最大寸法を0.7μm〜1.86μmの範囲に設定することにより、磁気記録トラック幅を0.241μm〜0.841μmにコントロールすることができることが判る。すなわち、従来実現不可能と思われていた1μm以下の磁気記録トラック幅のコントロールが可能となる。
【0042】
また、上述の薄膜磁気ヘッド41においては、図5に示すように、後部絶縁層80にアペックス面80aが形成されているので、上部コア層47のアペックス面80a側にテーパ部分が形成され、このアペックス面80aおよびテーパ部分の存在により、上部コア層47と上部磁極層46との境界部分での磁束の流れが円滑になって、上部コア層47と上部磁極層46との接合部分にて、周囲の余分な領域に磁束が漏れることがない。
【0043】
ここで、後部絶縁層80のアペックス面80aの傾斜角度βが、下部コア層27に対して10〜80度の範囲、より好ましくは20〜40度の範囲であることが好ましい。アペックス面80aの傾斜角度βが10度未満では、上部コア層47と下部コア層27との間のリアクタンスが小さくなり、アペックス面80a付近で上部コア層47から上部磁極層46への漏れ磁界が増大するので好ましくなく、80度を超えると、必然的に上部コア層47の断面形状を滑らかに形成することができず、上部コア層47断面形状が部分的に鋭角的になり、この付近の反磁界が大きくなるため、記録効率が落ちるので好ましくない。
また、アペックス面80aの傾斜角度βが20〜30度の範囲の場合には、さらにO/W特性(オーバーライト特性)を向上することができる。
【0044】
また、後部絶縁層80上には、図2に示すように、コイル49が形成され、さらに、後部絶縁層80とコイル49を覆う上部絶縁層50が積層されている。
コイル49は、後部絶縁層80にて平面的に螺旋状となるようにパターン化されている。
上部コア層47は、後部領域Yにおいて、後部絶縁層80のアペックス面80a、および上部絶縁層50を覆っており、上部絶縁層50を介してコイル49を覆うようにして形成されている。
【0045】
絶縁層42は、AlO、Al2O3、SiO、SiO2 、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3 、BN、CrNのうちのいずれか1種からなることが好ましく、単層膜またはそれらの多層膜から形成してもよい。絶縁層42が前記記載の材質からなるものであれば、溝43を形成する際、後述するように異方性の程度を設定した異方性エッチングを行うことが可能になってサイドエッチングが発生することなく、特に溝43の深さ方向における各層下部磁極層44とギャップ層45,上部磁極層46,上部コア層47の位置に対して溝43幅方向寸法精度を向上することが可能になる。
【0046】
また、ギャップ層45は、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Cr、NiMo合金、NiW合金、NiP合金、NiPd合金、NiPt合金のうちのいずれか1種または2種以上からなることが好ましく、単層膜またはそれらの多層膜から形成してもよい。これらの材料は、いずれも非磁性材料であって磁化することがなく薄膜磁気ヘッドのギャップ層を構成するものとして最適であるとともに、これらの材料はいずれも金属材料であって下部コア層27を電極とする電気メッキ法によって溝43内に積層することが可能となるので、上部磁極層46が積層される部分のギャップ層45を溝43の溝本体部51部分に確実に形成することができ、ギャップ層45の幅を溝本体部51の幅と一致させることが可能になるとともに、ギャップ層45を、上部磁極層46が形成される界の電気メッキの電極として使用することが可能となる。
【0047】
さらに、下部磁極層44は、FeNi合金,FeがNiより高濃度のFeNi合金,CoFeNi合金のうちのいずれか1種からなることが好ましく、単層膜またはそれらの多層膜から形成してもよい。これらの材料は、いずれも軟磁気特性に優れた磁性材料であって薄膜磁気ヘッドのコアを構成するものとして最適であるとともに、これらの材料はいずれも金属材料であって下部コア層27を電極とする気相メッキ法にて溝43内に積層することが可能となる。
これら下部磁極層44およびギャップ層45は、溝本体部51および溝延長部91の底部を被覆した状態とされている。
【0048】
さらに、上部磁極層46は、FeNi合金,FeがNiより高濃度のFeNi合金,CoFeNi合金のうちのいずれか1種からなることが好ましく、単層膜またはそれらの多層膜から形成してもよい。これらの材料は、いずれも軟磁気特性に優れた磁性材料であって薄膜磁気ヘッドのコアを構成するものとして最適であるとともに、これらの材料はいずれも金属材料であってギャップ層45を電極とする電気メッキ法にて溝43内に積層することが可能となる。
また、上部磁極層46は、図5に示すように、前記上部コア層47と接する該上部磁極層46における前記媒体対向面152から後部絶縁層80までの長さS1が、前記ギャップ層45と接する該上部磁極層46における前記媒体対向面152から後部絶縁層80までの長さS2より大きく構成されてなる。
【0049】
上述の薄膜磁気ヘッド41においては、コイル49に記録電流が与えられ、この記録電流により上部コア層47および下部コア層27に磁界が発生し、さらに、この磁界が上部磁極層46および下部磁極層44に印加され、磁界がギャップ層45から外部に漏れて漏れ磁界を生じ、この漏れ磁界により磁気記録媒体が磁化されて記録信号が記録される。
【0050】
次に、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する。
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、後に図6ないし図24に基づいて詳細に説明するが、要約すると、下部コア層27の上面を研磨して平坦化し、前記下部コア層27に絶縁層42を積層し、前記磁極端領域Xの前記媒体対向面152の外側,前記磁極端領域Xおよび前記後部領域Yに延在する溝43を前記絶縁層42に形成するとともに、この溝43に、下部磁極層44とギャップ層45を積層して前記下部コア層27と前記下部磁極層44とを接続し、次に、後部絶縁層80を積層してギャップデプスGdを設定した後、上部磁極層46を積層し、この上部磁極層47に接合する上部コア層47と、コイル49,上部絶縁層50とを形成する。
【0051】
さらに詳細に説明すると、まず、図6に示すように、スライダ151の端面151d上に、基板絶縁層22、下部シールド層23、磁気抵抗効果素子25、電極28、28、読出ギャップ層24を順次形成し、さらに読出ギャップ層24上に下部コア層(上部シールド層)27を形成する。
【0052】
次に、図7に示すように、読出ギャップ層24及び下部コア層27を覆う平坦化絶縁層26を形成する。
【0053】
次に、図8に示すように、平坦化絶縁層26の上面を研磨して下部コア層27の上面27aを露出させ、さらにこの上面27aを研磨して平坦化する。ここでの研磨は、いわゆるCMP(Chemical Mechanical Polishing )法等の手段により行うことができる。
上面27aの平坦度は、表面粗さとしてRa=0.0005μm〜0.01μmの範囲とするのが好ましい。
この時点で読出磁気ヘッド21が完成する。
【0054】
ここで、下部コア層27の上面27aを研磨して平坦化するのは、後の工程において積層する絶縁層が平坦化され、後述のように異方性エッチングにて溝を精度良く形成することが可能になって、磁気記録トラック幅を狭くすることが可能になるからである。
【0055】
次に、図9に示すように、平坦化絶縁層26の一部および下部コア層27を覆う絶縁層42を積層する。絶縁層42は、AlO、Al2O3、SiO、SiO2 、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3 、BN、CrNのうちのいずれか1種からなり、単層膜またはそれらの多層膜からなるものであり、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等の手段により積層する。ここで、絶縁層42の厚さは、1.0μm〜4.0μmの範囲とすることが好ましい。
【0056】
次に、図10に示すように、絶縁層42にマスク層71を形成し、このマスク層71にフォトリソグラフィ技術によりパターン71aを形成し、パターン71aから露出した絶縁層42に対して異方性の程度を設定した異方性エッチングを行うことにより、溝43を形成する。異方性エッチングの手段としては、反応性イオンエッチング法(RIE法;Reactive Ion Etching法)を好適に用いることが、寸法精度良く溝を形成できる点で最も好ましい。
また、異方性エッチングに際しては、エッチング電力、基板バイアス電力、エッチングガス圧、ガス種類等の条件を設定することにより、異方性の程度を設定しておこなうことが好ましい。
【0057】
ここで、マスク層71は、好ましくは、厚さが0.1μm〜4μmの範囲とされ、フォトレジスト層、金属膜層、フォトレジスト層と金属膜層との積層体、金属酸化物層のいずれか1種であることが好ましい。
フォトレジスト層としては、通常のポジ型、ネガ型フォトレジストの他、遠紫外線、電子線、X線、イオン線等により露光可能なフォトレジストであっても良い。また、金属膜層としては、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Au、Al、In、Siのいずれか1種または2種以上であることが好ましく、単層膜またはそれらの多層膜で形成してもよい。更に、金属酸化物層としては、SiO、SiO2 、TaO、Ta2O5、TiO、SiN、Si3N4、CrO、WO、ZrO、NiO、AlO、 Al2O3 、IrOのいずれか1種または2種以上であることが好ましく、単層膜またはそれらの多層膜から形成してもよい。
さらに、溝43をRIE法にて形成する際に用いる反応ガスは、CF4 、CF4 とO2 との混合ガス、C3F8、C3F8とO2 との混合ガス、C4F8、C4F8とO2 との混合ガス、C5F8、C5F8とO2 との混合ガス、Cl2 、BCl3 、Cl2 とBCl3 との混合ガス、CHF3 、のいずれか1種、または、Arとの混合ガス、または、各ガスの組み合わせを用いることができる。これらの反応ガスは、絶縁層42およびマスク層71の材質に基づいて、RIE法の異方性の程度を設定するために、エッチング電力、基板バイアス電力、エッチングガス圧、エッチング作用時間等と組み合わせてエッチング条件とされ、上記のガスの中から好適なものが選定される。
【0058】
上述のように、エッチング条件を設定することにより、溝43を、図11ないし図14に示すように、該溝43の幅方向寸法が前記上部コア層47側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状として、媒体対向面152における開口の形状と略同一断面形状で磁気端領域Xに延在し下部コア層27に隣接する溝本体部51と、この溝本体部51に略同一断面形状として連続して後部領域Yに延在し下部コア層27に隣接する溝延長部91を有し、これら溝本体部51および溝延長部91に、下部コア層27上に立設されて媒体対向面152に到達するとともに前記下部コア層27の上面27aに対して傾斜角度αを有する2つのテーパ側壁部52,52と、これら2つのテーパ側壁部52,52を連結する溝延長部91の最奥部の端面53とを形成し、マスク層71を剥離する。
このテーパ側壁部52,52が前記下部コア層27の上面27aに対してなす傾斜角度αは、図13に示すように、上記エッチング条件により70度〜88度の範囲に設定することが好ましく、この傾斜角度αが、例えば80度とされる。
【0059】
形成された溝43は、図11にZで示す磁極端領域Xの媒体対向面152外側,媒体対向面152から後部領域Yに向けて(図12中矢印y方向)前記磁極端領域Xおよび前記後部領域Yの一部に延在するとともに、溝43の底面に下部コア層27の上面27aが露出するように形成される。この溝43は、溝本体部51および溝連続部90の幅方向最大寸法W51が1μm以下、例えば0.7μm以下と小さく設定される。
【0060】
次に、図15,図16,図17に示すように、溝43に下部磁極層44、ギャップ層45を形成する。
【0061】
具体的には、図15ないし図17に示すように、まず下部磁極層44およびギャップ層45を電気メッキ法により下部コア層27の上面27aに順次積層する。このとき、下部磁極層44およびギャップ層45は、溝43の溝本体部51および溝延長部91内に位置し、絶縁層42の上端部分に達しないようにその厚さを調整して形成される。下部磁極層44の厚さは、0.1μm以上1.0μm以下とされ、好ましくは0.3μmとされる。また、ギャップ層45の厚さは、0.10μm以上0.40μm以下とされ、好ましくは0.2μmとされる。
【0062】
次に、図18,図19に示すように、後部絶縁層80積層する。
この後部絶縁層80は、ポジ型フォトレジストとされ、その組成は、ノボラック系樹脂(1),キノンジアジド化合物(2)を含有するものとされることが好ましい。 ここで、ノボラック系樹脂(1)およびキノンジアジド化合物(2)の分子構造の一例を示す。
【化1】
【化2】
このうち、本実施形態の後部絶縁層80としては、例えば、ポストベーク温度90℃〜130℃程度の低温において、後述するように、アペックス角度を容易に温度コントロールにて制御可能であるフォトレジストが選択される。
【0063】
この後部絶縁層80に、図19に示すように、フォトリソグラフィ技術により上部磁極層46に対するギャップデプスGdの位置設定をおこなうパターンを形成する。
【0064】
この後部絶縁層80には、図18にPで示すそのエッジ部分に、120℃30分の加熱条件によってポストベークを施すことにより、および、UVキュア法や、電子ビーム照射器によりレジスト(後部絶縁層80)の溶剤成分を放出し、絶縁化せしめることにより、図19および図20に示すように、エッジ部分にアペックス面80aを形成する。ここで、アペックス面80aのアペックス角度は、レジスト膜厚、加熱温度により制御することができる。
ここで、上述したノボラック系樹脂の組成、レジスト膜厚、および、ポストベークにおける加熱条件を制御することによりアペックス面81aのギャップ層45に対する角度β(図5参照)を設定する。例えば、レジスト厚2.5μmにおいて、ポストベーク温度を120℃とした場合でのアペックス角度は25゜〜30゜となり、また同じレジスト厚2.5μmにおいて、ポストベーク温度を100℃とした場合は、アペックス角度は50゜〜60゜となり、レジスト膜厚、および、ポストベークにおける加熱条件を制御することにより、角度βを増大または縮小することができる。
【0065】
次に、図21に示すように、上部磁極層46を電気メッキ法によりギャップ層45上に積層する。
ギャップ層45は、その後部領域Yが後部絶縁層80により覆われているが、磁極端領域Xにおける溝43の底面において、図20に示すように、ギャップ層45の上面が露出しているので、この露出したギャップ層45上にのみ形成される。
【0066】
また、図21,および図22においては、上部磁極層46が溝43から溢れないようにして形成されているが、上部磁極層46の上面を絶縁層42の上面とほぼ面一とすることも可能である。
また、下部磁極層44、ギャップ層45および上部磁極層46を電気メッキ法で形成するに際しては、これら各層44、45、46が金属材料からなることが必要とされる。これらの層の内のいずれか1つが絶縁材料であると、絶縁層が積層されることになり、電気メッキを継続することが困難になるからである。
また、下部磁極層44および上部磁極層46は軟磁性材料であることが必要とされ、ギャップ層45は非磁性材料からなることが必要とされる。
【0067】
従って、下部磁極層44および上部磁極層46の好ましい材質としては、FeNi合金、FeがNiよりも高濃度であるFeNi合金、CoFeNi合金の1種の単層膜またはそれらの多層膜等が例示され、ギャップ層45の好ましい材質としては、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Cr、NiMo合金、NiW合金、NiP合金、NiPd合金、NiPd合金等の1種または2種以上の材料が例示される。
【0068】
次に、図22に示すように、コイル49を後部絶縁層80上に形成し、このコイル49を埋める上部絶縁層50を積層する。
次に、図23および図24に示すように、上部磁極層46,後部絶縁層80のアペックス面80aおよび上部絶縁層50を覆う上部コア層47を形成する。
このとき、上部コア層47は、磁極端領域Xにおいて断面矩形状とされ(図4参照)、その下端部の幅方向長さW47を、前記溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51より小さく設定するとともに、上部コア層47の上下方向に上部コア層47の上面の幅方向長さW47とほぼ等しい幅方向寸法を有し、かつ、上部コア層47の下端部を溝43の内部に位置して上部磁極層46を完全に覆うように形成される。
次いで、媒体対向面152から切断する切断加工、および該媒体対向面152を研磨加工して、本発明に係る薄膜磁気ヘッド41が製造される。
【0069】
上述の薄膜磁気ヘッド41は、溝43内部の下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46とが、媒体対向面152から露出しているので、媒体対向面152において磁気記録トラック幅を溝43の幅方向寸法と一致して設定することにより磁気記録トラック幅を狭くすることができ、また、磁気ギャップから生じる漏れ磁界によって磁気記録媒体に対して効率よく磁気記録することができる。
【0070】
上述の薄膜磁気ヘッド41は、溝43を、該溝43の幅方向寸法が前記上部コア層47側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状とし、前記下部コア層27の上面27aに対して傾斜角度αを有する2つのテーパ側壁部52,52を形成し、この溝43内部に、下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46と後部絶縁層80とを積層して磁気ギャップおろび磁気記録トラックを形成することにより、前記上部コア層47における下端部の幅方向長さW47がを前記上部磁極層46における下端部の幅方向長さW46よりも大きく設定し、前記上部磁極層46における下端部の幅方向長さW46を、前記ギャップ層45における下端部の幅方向長さW45よりも大きく設定し、前記ギャップ層45における下端部の幅方向長さW45を、前記下部磁極層44における下端部の幅方向長さW44よりも大きく設定することができる。
この際、溝43を形成するエッチングにおけるエッチング電力、基板バイアス電力、エッチングガス圧、ガス種類等の条件を設定して、異方性の程度を設定することにより、テーパ側壁部52,52が前記下部コア層27の上面27aに対してなす傾斜角度αを70度〜88度の範囲の任意の大きさに設定することができ、これにより、テーパ側壁部52,52の傾斜角度αによって規定される下部磁極層44、ギャップ層45、上部磁極層46、後部絶縁層80の幅方向寸法W44,W45,W46,W47(図4参照)を任意に設定することができる。
これにより、従来のフォトリソグラフィ技術における分解能や焦点深度により規定される最低幅寸法とされる溝43を形成したとしても、上部磁極層46と下部磁極層44とで形成される磁気ギャップの幅方向長さ寸法:磁気記録トラック幅寸法を、前記最低幅寸法とされる前記溝43の上端部側幅寸法W51よりも小さく設定できることにより、媒体対向面152における磁気記録トラック幅を小さく設定し、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
同時に、これにより上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、薄膜磁気ヘッド41のオーバーライト特性を向上することができる。
【0071】
また、上部コア層47の下端部の幅方向長さW47を、前記溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51より小さく設定するとともに、上部コア層47の上下方向に上部コア層47の上面の幅方向長さW47とほぼ等しい幅方向寸法を有し、かつ、上部コア層47の下端部を溝43の内部に位置して上部磁極層46を完全に覆うように形成されることにより、媒体対向面152における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。また、これにより上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、薄膜磁気ヘッド41のオーバーライト特性を向上することができる。
【0072】
さらに、上述の薄膜磁気ヘッド41においては、後部絶縁層80にアペックス面80aが形成されているので、上部コア層47の上部磁極層46にテーパ部分が形成され、このテーパ部分,アペックス面80aの存在により、ギャップデプスGd側における上部コア層47と上部磁極層46との間での磁束の流れも円滑になって、上部コア層47と上部磁極層46との接続部分にて余計な部分に磁束が漏れることがないために、書込磁気ヘッドとしてのオーバーライト特性を向上することが可能となる。
さらに、溝43を異方性の程度を設定した異方性エッチングを行うことのみで形成し、図34に示す従来例のような傾斜部177Cを設ける必要がないため、作業工程の簡略化を図ることができる。
【0073】
以下、本発明に係る薄膜磁気ヘッドおよび薄膜磁気ヘッドの製造方法の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図25は本実施形態にかかる薄膜磁気ヘッドにおける溝を示す斜視図、図26は薄膜磁気ヘッドの側断面図、図27は図26の拡大側断面図、図28は本実施形態にかかる薄膜磁気ヘッドを示す平面図である。
なお、これらの図において、前述した図1ないし図24に示す第1実施形態における構成要素と略同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
本実施形態においては、まず、図9に示した第1実施形態と同様に絶縁層42を積層した後、図25および図28に示すように、この絶縁層42にマスク層を形成して溝43を形成するが、形成された溝43の溝延長部90が第1実施形態と異なっている。
そして、本実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいては、図28に示すように、形成された溝43が、符号Zで示す磁極端領域Xの媒体対向面152外側,媒体対向面152から後部領域Yに向けて前記磁極端領域Xおよび前記後部領域Yの一部に延在するとともに、溝43の底面に下部コア層27の上面27aが露出するように形成される。
【0075】
本実施形態においては、溝43は、図25ないし図28に示すように、該溝43の幅方向寸法が前記上部コア層47側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状とされて、媒体対向面152における開口の形状と略同一断面形状で磁気端領域Xに延在し下部コア層27に隣接する溝本体部51と、この溝本体部51に連続し後部領域Yに延在して下部コア層27に隣接する溝連続部90とからなるものとされる。
溝連続部90は、図25,図28に示すように、溝本体部51の前記後部領域Y側に接続され該後部領域Y側に向けて前記上部コア層47幅方向に寸法の拡大する溝拡大部92を有する。
溝本体部51には、図25に示すように、下部コア層27上に立設されて媒体対向面152に到達するとともに前記下部コア層27の上面27aに対して傾斜角度αを有する2つのテーパ側壁部52,52と、該テーパ側壁部52,52に連続してその間隔が拡大する拡大側壁面52A,52Aが設けられてなり、溝拡大部92には、この拡大側壁面52A,52Aが連続して設けられてなる。
この、テーパ側壁部52,52および拡大側壁面52A,52Aは、図4に示した第1実施形態と同様に、このテーパ側壁部52,52および拡大側壁面52A,52Aがそれぞれ前記下部コア層27の上面27aに対してなす傾斜角度αを70度〜88度の範囲に設定されることが好ましく、この傾斜角度αが、例えば80度とされる。
【0076】
また、下部磁極層44およびギャップ層45は、図26,図27に示すように、溝本体部51および溝拡大部92に位置して積層されコイル49の下方位置まで連続しており、下部磁極層44が下部コア層27に接続されている。
また、上部磁極層46は溝本体部51に積層されて、その上面が絶縁層42の上面よりも低い位置つまり下部コア層27に近い位置に設けられ、かつ、その上面を上部コア層47により完全に覆われて上部コア層47と接続されており、上部磁極層46は、図27に示すように、前記上部コア層47と接する該上部磁極層46における前記媒体対向面152から後部絶縁層80までの長さS1が、前記ギャップ層45と接する該上部磁極層46における前記媒体対向面152から後部絶縁層80までの長さS2より大きく構成されてなり、この前記ギャップ層45と接する該上部磁極層46における前記媒体対向面152から後部絶縁層80までの長さS2によりギャップデプスGdが規定されている。
上部コア層47は、図4に示した第1実施形態と同様に、前記媒体対向面152において断面矩形状とされ、その下端部の幅方向長さW47が、前記溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51より小さく設定されるとともに、上部コア層47の上下方向に上部コア層47の上面の幅方向長さW47とほぼ等しい幅方向寸法を有し、かつ、上部コア層47の下端部が溝43の内部に位置するように設けられるとともに、溝本体部51および溝拡大部92の拡大側壁面52A,52Aの存在する部分においては、その厚み寸法を維持した状態で溝43の形状に対応して上部磁極層46を完全に覆うように形成される。
【0077】
後部絶縁層80は、図26,図27に示すように、ギャップ層45上の後部領域Y側の溝拡大部92に位置して積層されており、後部絶縁層80は、媒体対向面152から後部領域Y側に向かってその厚みを増加するよう傾斜したアペックス面80aを備えてなる。
また、絶縁層42、下部磁極層44、ギャップ層45および上部磁極層46は、媒体対向面152に露出している。
このように構成することにより、媒体対向面152における磁気記録トラック幅が溝43におけるテーパ側壁部52,52の間隔寸法と一致するので磁気記録トラック幅を狭くすることが可能になり、また、磁気ギャップが媒体対向面152に露出するので、磁気ギャップから生じる漏れ磁界によって磁気記録媒体に対して効率よく磁気記録することが可能となる。
【0078】
また、上述の薄膜磁気ヘッド41は、第1実施形態と同様の効果を呈すことができるとともに、磁極端領域Xにおける上部磁極層46および上部コア層47の幅方向寸法が、溝43におけるテーパ側壁部52,52および拡大側壁面52A,52Aのそれぞれの間隔寸法と一致するので、上部コア層27から上部磁極層46への磁束の流れが、溝43の形状に沿って円滑化され、これにより上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、薄膜磁気ヘッド41のオーバーライト特性を向上することができる。
【0079】
さらに、磁気ギャップのギャップデプスが媒体対向面152から後部絶縁層80の磁極端領域X側端部までの距離にて規定されており、磁気ギャップを構成する上部磁極層46の端部が、溝43を形成した後に、フォトレジストとして形成される後部絶縁層80の位置形状によって設定でき、溝拡大部92内部において、ポジ型フォトレジストの位置設定の正確性を向上することができるため、ギャップデプスの設定がばらつくことがない。
【0080】
以下、本発明に係る薄膜磁気ヘッドおよび薄膜磁気ヘッドの製造方法の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図29は本実施形態にかかる薄膜磁気ヘッドを示す正面図である。
なお、これらの図において、前述した図1ないし図24に示す第1実施形態における構成要素と略同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0081】
本実施形態において、前述の第1実施形態と異なる箇所は、図29に示すように、前記媒体対向面152に露出した部分において、前記上部磁極層46の上面が前記絶縁層42の上面と等しい高さに設定される、つまり、前記上部磁極層46の上端部の幅方向長さが、前記溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51と等しく設定されてなる。さらに、上部コア層47の下端部の幅方向寸法が、前記溝43の前記媒体対向面152における幅方向最大寸法W51より大きく設定されてはみ出した状態とされてなる。
ここで、この上部コア層47における下端部が前記溝43からはみ出す幅方向寸法WS が、1.0μm以下に設定される。これにより、上部コア層47から上部磁極層46に至る溝43のテーパ側壁部52,52付近において、磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、薄膜磁気ヘッド41のオーバーライト特性を向上することができる。
【0082】
また、本実施形態においては、第1実施形態および第2実施形態に示したように、上部磁極層46の上面が前記絶縁層42の上面と等しい高さに設定され、つまり、上部コア層47の下端部が溝43の内部に位置する場合であっても、上部コア層46の両側部分が前記溝43からはみ出す状態とされてもよく、この場合にも、上部コア層47における両側部分が前記溝43からはみ出す幅方向寸法WS が、1.0μm以下に設定される。これにより、上記のように、上部コア層27からギャップ層45に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができる。
【0083】
以下、本発明に係る薄膜磁気ヘッドおよび薄膜磁気ヘッドの製造方法の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図30は本実施形態にかかる薄膜磁気ヘッドを示す平面図である。
なお、この図において、前述した図1ないし図24に示す第1実施形態における構成要素と略同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
また、本実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいては、図30に示すように、形成された溝43が、符号Zで示す磁極端領域Xの媒体対向面152外側,媒体対向面152から後部領域Yに向けて前記磁極端領域Xに延在するとともに、溝43の底面に下部コア層27の上面27aが露出するように形成される。
この溝本体部51は、前記第1実施形態の溝本体部51と同様に、溝43の幅方向寸法が前記上部コア層47側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状とされて、媒体対向面152における開口の形状と略同一断面形状で磁気端領域Xに延在するものとされる。
溝本体部51には、前記第1実施形態と同様に、下部コア層27上に立設されて媒体対向面152に到達するとともに前記下部コア層27の上面27aに対して傾斜角度αを有する2つのテーパ側壁部52,52が設けられてなり、これら2つのテーパ側壁部52,52が、磁極端領域Xと後部領域Yと境界部において、溝本体部51の最奥部に位置し前記媒体対向面152と略平行に近い状態の端面53により連結されている。
そして、これらテーパ側壁部52,52と端面53とにより、下部磁極層44とギャップ層45と上部磁極層46と上部コア層47との積層位置が規定されており、媒体対向面152から端面53までの距離、つまり、媒体対向面152から下部磁極層44および上部磁極層46の後部領域Y側端部までの距離にて磁気ギャップのギャップデプスGdが規定されている。
【0085】
上述の薄膜磁気ヘッド41は、第1実施形態と同様の効果を呈すことができるとともに、磁気ギャップから生じる漏れ磁界によって磁気記録媒体に対して効率よく磁気記録することができる。
また、磁気ギャップのギャップデプスGdが媒体対向面152から端面53までの距離にて規定されており、磁気記録トラックを構成する上部磁極層46の端部が、溝43を形成しただけで設定でき、製造工程の簡略化と製造時間の短縮とを図ることができる。
【0086】
【実施例】
本発明では、概略説明すると、上記第1実施形態における構造の薄膜磁気ヘッドを実施例として製造し、ここで、エッチング条件の設定により図3に示すテーパ側壁部52,52の下部コア層27の上面27aに対して形成された傾斜角度αを測定した。
【0087】
(実施例)
実施例として、図5に示す第1実施形態において、Fe18%,Ni82%の組成とされる下部コア層に、SiO2 からなる絶縁層(1.2μm)にを積層し、この絶縁層に表2に記載するエッチング条件で反応性イオンエッチングをおこない、絶縁層42のトップ(溝43の幅方向最大寸法W51)が0.700μm、絶縁層42のボトム(下部磁極層44における下端部の幅方向長さW44)が0.100μmとされる幅寸法の溝を形成した。
【表2】
ここで、エッチング電力(パワー)、基板バイアス電力(パワー)、エッチングガス圧、ガス組成は、表2に示す条件である。この他にも、実施例1,3の条件にて、各エッチングテーパ(傾斜角度α)が制御できることがわかる。
この結果、形成されたテーパ側壁部52,52の下部コア層27の上面27aに対して形成された傾斜角度αが表2に記載するような値となった。
つまり、表1に示したように、傾斜角度αを70゜〜87゜の範囲とし、かつ、溝43の最大寸法を0.7μm〜1.86μmの範囲に設定することにより、磁気記録トラック幅を0.312μm〜0.987μmの範囲において、任意の寸法にコントロールすることができることが判る。すなわち、従来実現不可能と思われていた1μm以下の磁気記録トラック幅のコントロールが可能となる。
【0088】
以上の結果から、本発明における薄膜磁気ヘッドが、従来のフォトリソグラフィ技術における分解能や焦点深度により規定される最低幅寸法とされる溝を形成したとしても、溝を、該溝の幅方向寸法が前記上部コア層側から前記下部コア層27側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状として設定することができ、上部磁極層46と下部磁極層44とで形成される磁気ギャップの幅方向長さ寸法:磁気記録トラック幅寸法を、前記最低幅寸法とされる前記溝43の上端部側幅寸法W51よりも小さく設定できることにより、媒体対向面152における磁気記録トラック幅を小さく設定し、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができることが解る。
【0089】
その後、これらの実施例の溝に電気メッキ法によりFe18%,Ni82%の組成とされる下部磁極層(0.3μm)、NiPdからなるギャップ層(0.2μm)を積層し、ポジ型レジスト3μm、プリーベーク、露光、現像しノボラック系樹脂からなる後部絶縁層(最大厚さ2.8μm)によって、媒体対向面から1.0μmとされるギャップデプスGdを設定した後、電気メッキ法によりFe50%,Ni50%の組成とされる上部磁極層(0.5μm)を形成し、その後、コイルと上部絶縁層とを形成した後、Fe50%,Ni50%の組成とされる上部コア層(2.5μm)を形成した書込ヘッドを有する薄膜磁気ヘッドを製造した。ここで、括弧内の数値はそれぞれの膜厚を示している。
このとき、後部絶縁層に対して、120℃、30分のポストベークの後UVキュア等による絶縁化処理をおこない、図5に示した角度βが28度を有するアペックス面を形成した。
【0090】
このような薄膜磁気ヘッドに対して、以下のような条件で、書込ヘッドのオーバーライト特性試験をおこなった。
記録電流:35mA(起磁力NI=0.35A・T)
薄膜磁気ヘッド磁気記録媒体相対速度:24m/sec
記録周波数f1 :10MHz(線記録密度:20kFcz)
重ね書き周波数f2 :60MHz
v1:f1の出力(バンドパスフィルターを通した基本周波数成分)
v1’:f2を記録した後のf1の残留出力(同基本周波数成分)
|ow|:オーバーライト特性(db)
|ow|=|20log(v1’/v1 )|
【0091】
上記のようなオーバーライト特性試験の結果、以下のような結果を得た。
【0092】
以上の結果から、本発明における薄膜磁気ヘッドが、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性を向上することができることが解る。
【0093】
【発明の効果】
本発明の薄膜磁気ヘッドおよび薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、以下の効果を奏する。
【0094】
本発明において、前記溝が、該溝の幅方向寸法が前記上部コア層側から前記下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有する形状とされて、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有してなることにより、前記媒体対向面に露出した部分において、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さが、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さが、前記下部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定されて、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、書込ヘッドのオーバーライト特性を向上することができる。
【0095】
さらに、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定される技術か、前記上部コア層における下端部が前記溝からはみ出す幅方向寸法を0.8μm以下に設定する技術を選択した場合には、前記溝付近において磁束の流れを円滑にすることができ、よりいっそう磁気ギャップ層付近における漏れ磁束の低減を図ることができる。
また、上部磁極層と下部磁極層とで形成される磁気ギャップの幅方向長さ寸法:磁気記録トラック幅寸法を、前記溝の上端部側幅寸法、および、上部コア層、上部磁極端層の幅方向長さよりも小さく設定することができる。このため、媒体対向面における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
【0096】
本発明においては、フォトレジストを使用した技術において、分解能や焦点深度の限界により規制される溝上側の幅に対して、前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度を70度〜87度の範囲に設定することにより、磁気記録トラック幅を前記溝の幅より小さく設定可能なため、1μm以下の磁気記録トラック幅を有する薄膜磁気ヘッドを提供することができる。
また、磁気記録トラックを形成する下部磁極層、ギャップ層等の幅方向寸法よりも、溝の上端部における幅方向寸法を低減することができるため、溝を精度良く形成することが可能になって、磁気記録トラック幅をより狭く設定することが可能になる。
また、前記溝の上端部における幅方向寸法を1μm以下、より好ましくは0.7μm程度とすることで、磁気ギャップの幅方向寸法により規制される磁気記録トラック幅を0.24μm程度に設定することが可能になる。
【0097】
磁気抵抗効果素子を備えた読出磁気ヘッドと、先に記載の薄膜磁気ヘッドとが積層されてなるので、特にコンピュータ等の磁気記録装置にこの複合型薄膜磁気ヘッドが用いられた場合に、高い記録密度と大きな記憶容量を有する磁気記録装置を提供することができる。
【0098】
本発明において、前記下部コア層に積層した絶縁層に、前記磁極端領域の前記媒体対向面外側、および、前記磁極端領域に延在する溝を該溝の前記磁極端領域における幅方向寸法が上側から下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有し、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有するように形成するとともに、該溝の底面を前記下部コア層に到達させ、該溝に、下部磁極層と前記ギャップ層とを積層して前記下部コア層と前記下部磁極層とを接続し、前記ギャップ層の前記磁極端領域に前記媒体対向面と略平行なギャップデプスを有する前記上部磁極層を形成し、前記後部領域にコイルを形成し、前記磁極端領域にて前記上部磁極層と接合するとともに前記後部領域にて前記コイルの一部を覆う前記上部コア層を形成して前記上部コア層と前記上部磁極層とを接続することにより、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において磁束の流れを円滑にすることができ、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図ることができるため、オーバーライト特性の向上した書込ヘッドの製造方法を提供することができる。
【0099】
さらに、前記磁極端領域の前記媒体対向面外側、および、前記磁極端領域に延在する溝を該溝の前記磁極端領域における幅方向寸法が上側から下部コア層側に向かって小さくなるようにテーパを有し、前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部を有するように形成することにより、フォトリソグラフィ技術における分解能や焦点深度により規定される最低幅寸法とされる溝を形成したとしても、前記媒体対向面に露出した部分において、前記上部コア層における下端部の幅方向長さを、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定し、前記上部磁極層における下端部の幅方向長さを、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定し、前記ギャップ層における下端部の幅方向長さを、前記下部磁極層における下端部の幅方向長さよりも大きく設定して、上部磁極層と下部磁極層とで形成される磁気ギャップの幅方向長さ寸法:磁気記録トラック幅寸法を、前記最低幅寸法とされる前記溝の上端部側幅寸法、および、上部コア層、上部磁極端層の幅方向長さよりも小さく設定できることにより、媒体対向面における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
本発明においては、前記上部コア層における下端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定される技術か、前記上部コア層における下端部が前記溝からはみ出す幅方向寸法を0.8μm以下に設定する技術を選択することや、前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度を70度〜87度程度の範囲に設定すること、また、前記上部磁極層および上部コア層における下端部を、前記溝の内部に設ける技術を選択することにより、上部コア層からギャップ層に至る上部磁極端付近において漏れ磁束の減少を図るとともに、媒体対向面における磁気記録トラック幅を小さくし、さらに、磁気記録媒体における磁気記録密度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態における複合型薄膜磁気ヘッドを示す正面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドを示す側面断面図である。
【図3】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの溝および磁極端領域の要部を示す斜視図である。
【図4】 本発明の第1実施形態における複合型薄膜磁気ヘッドの磁極端領域の要部を示す正面図である。
【図5】 本発明の第1実施形態における複合型薄膜磁気ヘッドの磁極端領域の要部を示す側面断面図である。
【図6】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、複合型薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図7】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、複合型薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図8】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、複合型薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図9】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図10】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図11】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの平面図である。
【図12】 本発明の実施形態である薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの溝を示す斜視図である。
【図13】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図14】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドを示す側面図である。
【図15】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの斜視図である。
【図16】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図17】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、複合型薄膜磁気ヘッドの側面図である。
【図18】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの側面図である。
【図19】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの側面図である。
【図20】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの斜視図である。
【図21】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの側面図である。
【図22】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの側面図である。
【図23】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの側面図である。
【図24】 本発明の第1実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、薄膜磁気ヘッドの正面図である。
【図25】 本発明の第2実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、溝を示す斜視図である。
【図26】 本発明の第2実施形態における薄膜磁気ヘッドを示す側面図である。
【図27】 本発明の第2実施形態における薄膜磁気ヘッドを示す拡大側面図である。
【図28】 本発明の第2実施形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するための図であって、溝を示す平面図である。
【図29】 本発明の第3実施形態における薄膜磁気ヘッドを示す正面図である。
【図30】 本発明の第4実施形態における薄膜磁気ヘッドにおける溝を示す平面図である。
【図31】 従来の浮上式磁気ヘッドを示す斜視図である。
【図32】 従来の複合型薄膜磁気ヘッドを示す側面断面図である。
【図33】 従来の複合型薄膜磁気ヘッドを示す斜視図である。
【図34】 従来の複合型薄膜磁気ヘッドを示す正面図である。
【図35】 従来の他の複合型薄膜磁気ヘッドを示す正面図である。
【符号の説明】
1…複合型薄膜磁気ヘッド,27…下部コア層(上部シールド層),27a…上面,41…薄膜磁気ヘッド,42…絶縁層,43…溝,44…下部磁極層,45…ギャップ層,46…上部磁極層,47…上部コア層,49…コイル,50…上部絶縁層,51…溝本体部,52…テーパ側壁部,52A…拡大側壁部,53…端面,71…マスク層,71a…パターン,80…後部絶縁層,80a…アペックス面,90…溝連続部,91…溝延長部,92…溝拡大部,α…傾斜角度
Claims (9)
- 下部コア層と、前記下部コア層の上に積層された絶縁層と、前記絶縁層の媒体対向面から後部に向けて延在するよう設けられた溝内の前記下部コア層上に形成された下部磁極層と、前記下部磁極層の上に形成されたギャップ層と、前記ギャップ層の上に形成された上部磁極層と、が積層され、
前記上部磁極層の上に上部コア層が形成され、前記下部コア層と上部コア層の間にコイルが形成され、
前記溝の内側壁には、前記上部磁極層の側端面から下部磁極層の側端面にわたり、前記上部磁極層側から前記下部磁極層側に向いて先窄まりとなるテーパが形成されて前記溝の幅方向寸法が前記上部コア層側から前記下部コア層側に向かって小さくなるとともに、前記溝に前記下部コア層の上面に対して傾斜角度を有するテーパ側壁部が形成され、
前記テーパ側壁部が前記下部コア層の上面に対してなす傾斜角度が、70度ないし87度の範囲に設定されてなり、
前記上部磁極層、ギャップ層、下部磁極層の幅方向寸法が前記のテーパ側壁部によって規定されてなり、
前記上部磁極層の全体、および、前記上部コア層における前記上部磁極層側端部が、前記溝の内部に設けられてなるとともに、
前記媒体対向面に露出されたギャップ層の幅が1μm以下に設定されてなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 前記媒体対向面において、前記上部コア層における前記上部磁極層側端部の幅方向長さが、前記上部磁極層における前記ギャップ層側端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記上部磁極層における前記ギャップ層側端部の幅方向長さが、前記ギャップ層における前記下部磁極層側端部の幅方向長さよりも大きく設定され、前記ギャップ層における前記下部磁極層側端部の幅方向長さが、前記下部磁極層における前記下部コア層側端部の幅方向長さよりも大きく設定されてなることを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記媒体対向面において、前記ギャップ層における前記上部磁極層側端部の幅方向長さが、前記ギャップ層における前記下部磁極層側端部の幅方向長さよりも大きく設定されてなることを特徴とする請求項1または2記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記上部コア層における前記上部磁極層側端部の幅方向長さが、前記溝の前記媒体対向面における幅方向最大寸法より小さく設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記上部磁極層が、前記溝の内部に設けられ、前記上部コア層における前記上部磁極層側端部が、前記絶縁層上面と面一に設けられてなることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記下部磁極層および前記ギャップ層は、溝内に積層されて、前記ギャップ層の上には、前記媒体対向面側に前記上部磁極層が、また、前記後部側に後部絶縁層が積層されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記ギャップ層が非金属材料で形成されてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記上部磁極層、前記ギャップ層、前記下部磁極層はメッキ法により形成されてなることを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の薄膜磁気ヘッド。
- 磁気抵抗効果素子を備えた読出磁気ヘッドと、請求項1ないし8のいずれかに記載された薄膜磁気ヘッドとが積層されてなることを特徴とする複合型薄膜磁気ヘッド。
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