JP3842628B2 - リソグラフィ装置、集積回路装置製造方法および同方法で製造される集積回路装置 - Google Patents
リソグラフィ装置、集積回路装置製造方法および同方法で製造される集積回路装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リソグラフィ投影装置に関する。この装置は:
放射の投影ビームを供給する放射システムと;
所望のパターンに従って投影ビームをパターニング(パターン化、パターン付与)するように機能するパターニング手段を支持する支持構造と;
基板を保持する基板テーブルと;
パターニングされた投影ビームを基板の対象位置に投影する投影システムと;
を備える。
【0002】
【従来の技術】
本文で用いる場合、「パターニング手段」という用語は、基板の対象部分に生成すべきパターンに対応相当するパターニングした断面を入来する放射ビームに与えるために使用可能な手段を指すものとして広く解釈されるものとする。また、この文脈において、「光弁(ライトバルブ)」という用語も使用可能である。一般に、前記パターンは、集積回路または他の装置(以下を参照のこと)等、対象部分に生成される装置内の特定の機能層に対応する。かかるパターニング手段の例には、以下のものが含まれる。
【0003】
マスク。マスクの概念はリソグラフィにおいて周知であり、これは、2値(バイナリ)、交番移相、減衰移相、そして様々なハイブリッド・マスク・タイプ等のマスク・タイプを含む。かかるマスクを放射ビーム内に置くと、マスクに入射する放射は、マスク上のパターンに従って、選択的に透過(透過型マスクの場合)または反射(反射型マスクの場合)する。マスクの場合、支持構造は一般にマスク・テーブルであり、これによって、入射する放射ビーム内の所望の位置にマスクを確実に保持することができ、更に、所望の場合にはビームに対してマスクを動かし得るようにもする。
【0004】
プログラム可能ミラー・アレイ。かかる装置の一例は、粘弾性制御層および反射面を含むマトリクス・アドレス可能面である。かかる装置の基本的な原理は、(例えば)反射面のアドレス(指定)された領域が入射光を回折光として反射する一方、アドレスされていない領域が入射光を非回折光として反射するものである。適切なフィルタを用いて、反射ビームから前記非回折光を除去し、回折光のみを残す。このようにして、マトリクス・アドレス可能面のアドレッシング・パターンに従って、ビームをパターニングする。必要なマトリクス・アドレッシングは、適切な電子手段を用いて行うことができる。かかるミラー・アレイに関する更に詳しい情報は、例えば、米国特許5,296,891号および5,523,193号から得ることができる。これらの特許は、引用により本願に援用するものとする。プログラム可能ミラー・アレイの場合、前記支持構造は、フレームまたはテーブルとして具現化し、例えば、必要に応じて固定または可動とすることができる。
【0005】
プログラム可能LCDアレイ。かかる構造の一例は、米国特許5,229,872号に示されている。この特許も引用により本願に援用する。上述のように、この場合の支持構造はフレームまたはテーブルとして具現化し、例えば必要に応じて固定または可動とすることができる。
【0006】
簡略化のために、本文の以降の部分では、いくつかの箇所で、マスクおよびマスク・テーブルを伴う例を特定的に扱うことがある。しかしながら、かかる例で論じる一般的な原理は、上述のパターニング手段の更に広い文脈で理解するものとする。
【0007】
リソグラフィ投影装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において用いることができる。かかる場合、パターニング手段は、ICの個々の層に対応した回路パターンを発生することができ、このパターンを、放射感知物質(レジスト)の層によって被覆されている基板(シリコン・ウエハ)上の対象の部分(例えば1つ以上のダイから成る)上に結像することができる。一般に、単一のウエハは、投影システムによって一度に1つずつ連続的に照射された隣接する対象部分から成る全体的なネットワークを含む。マスク・テーブル上のマスクによるパターニングを用いた現在の装置では、2つの異なるタイプの機械を区別することができる。一方のタイプのリソグラフィ投影装置では、各対象部分を照射する際に、一度でマスク・パターン全体を対象部分上に露出する。かかる装置は、一般にウエハ・ステッパと呼ばれる。一般にステップ・アンド・スキャン装置と呼ばれる他方の装置では、各対象部分を照射する際に、投影ビーム下のマスク・パターンを所与の基準方向(「走査」方向)に徐々に走査し、これに同期して、この方向に対して平行または非平行に基板テーブルを走査する。一般に、投影システムはある倍率(一般に<1)を有するので、基板テーブルを走査する速度Vは、倍率Mに、マスク・テーブルを走査する速度を掛けたものである。ここで述べるリソグラフィ装置に関する更に詳しい情報は、例えば、米国特許6,046,792号から得ることができる。この特許は、引用により本願に援用する。
【0008】
リソグラフィ投影装置を用いた製造プロセスでは、放射感知物質(レジスト)の層によって少なくとも部分的に被覆された基板上に、(例えばマスク内の)パターンを結像する。この結像工程に先立って、基板は、プライミング、レジスト被覆、およびソフトベーク等の様々な手順を施される場合がある。露出後、基板は、露光後ベーク(PEB)、現像、ハードベーク、および結像したフィーチャの測定/検査等の他の手順を施される場合がある。この手順の配列は、例えばICのような装置の個々の層をパターニングするための基礎として用いられる。かかるパターニングされた層は、次いで、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械的研磨等の様々なプロセスを経る場合がある。これらは全て、個々の層を完成させるためのものである。いくつかの層が必要である場合には、手順全体またはその変形を、新たな各層ごとに繰り返す必要がある。最終的に、基板(ウエハ)上には、集積回路装置のアレイ(列)が存在することになる。これらの集積回路装置は、ついで、ダイシングまたはのこ引き等の技法によって互いに切り離され、そこから個々の集積回路装置を、ピン等に接続されたキャリア上に搭載することができる。かかるプロセスに関する更に詳細な情報は、例えば、Peter van Zant、McGraw Hill Publishing Co.1997年、ISBN 0−07−067250−4の書籍「Microchip Fabrication: A Practical Guide to Semiconductor Processing(マイクロチップの製造: 半導体処理のための実用的な手引き)」第3版から得ることができる。この文献は引用により本願に援用する。
【0009】
簡略化のために、投影システムは、以降、「レンズ」と呼ぶ場合がある。しかしながら、この用語は、例えば屈折光学部品、反射光学部品、および反射屈折光学系を含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広く解釈されるものとする。また、放射システムは、放射の投影ビームを方向付け、整形し、または制御するためにこれらの設計タイプのいずれかに従って動作する構成要素を含むことができ、以下では、かかる構成要素のことを、まとめてまたは単独で「レンズ」と呼ぶ場合がある。更に、リソグラフィ装置は、2つ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスク・テーブル)を有するタイプのものである場合がある。かかる「多数ステージ」の装置では、平行な追加のテーブルを用いる場合があり、または、1つ以上のテーブル上で準備工程を実行しながら、1つ以上の他のテーブルを露出のために用いることも可能である。2ステージのリソグラフィ装置は、例えば、米国特許5,969,441号およびWO98/40791号に記載されている。これらは引用により本願に援用する。
【0010】
特に指定しない限り、本明細書中および請求の範囲中の「投影ビーム」という用語は、パターニング手段の下流のパターニングされた投影ビームと、パターニング手段の位置の上流または下流のいずれかのパターニングされていない投影ビーム(パターンが存在しないかまたはパターニング手段が存在しない)との双方を包含する。
【0011】
リソグラフィ投影プロセスでは、レジストに与える露光量(すなわち、露出の持続時間の間に積算される単位面積当たりのエネルギ量)を正確に制御することが重要である。公知のレジストは、比較的明確な閾値を有するように設計されており、これによって、閾値を超える露光量を受けるとレジストは露光されるが、露光量が閾値未満であると露光されないままとなる。これを用いることで、回折効果のためにフィーチャ(形)のエッジにおける投影像の強度が徐々に減少した場合でも、現像後のレジストには、フィーチャの鋭いエッジが生成される。投影ビーム強度の精度があまりに低い場合、露光強度プロファイルは、不適切な点でレジストの閾値と交差する。従って、露光量の制御は、正しい結像のために極めて重要である。
【0012】
公知のリソグラフィ装置では、露光量の制御を行う際には、放射システム内のある点において投影ビーム強度を監視し、その点と基板レベルとの間で生じる投影ビームの放射の吸収を検量する。投影ビーム強度の監視を行うには、放射システム内の部分的に透過なミラーを用いて、投影ビーム・エネルギの既知の一部分をエネルギ・センサへと送出する。エネルギ・センサは、この投影ビームの既知の一部分の放射エネルギを測定し、これによって放射システム内の所与の点における投影ビーム・エネルギを求めることができる。放射の前記吸収の検量を行うには、一連の検量行程の間、補足的なエネルギ・センサで基板を置換する。前者のエネルギ・センサの出力は、放射源の出力の変動を有効に測定するものであり、前記吸収の検量結果と組み合わせて、基板レベルにおけるエネルギ・レベルを予測する。場合によっては、基板レベルにおけるエネルギ・レベルの予測は、例えば、放射の投影ビームの断面を整形するための構成要素の設定を考慮に入れることがある。次いで、露光量に影響を与えるパラメータ、例えば露光の持続時間または走査速度および/または放射源の出力を調節して、所望の露光量をレジストに与えることができる。
【0013】
露光量制御の公知の方法は、放射源の出力の変動を考慮しており、前記部分的に透過なミラーの下流で生じる放射の吸収の予測可能な変動に十分に対処するが、吸収のあらゆる変動を容易にまたは正確に予測可能なわけではない。このことは、特に、157nm、126nm等の波長、またはEUV(50nm未満、例えば13.6nm)の露光放射を用いた装置に当てはまる。この場合、結像可能な最小のフィーチャの大きさを縮小するためには、より短い波長を用いることが不可欠である。かかる波長は、空気および他の多くの気体によって大量に吸収されるので、それらを利用したリソグラフィ装置は、非吸収気体を流し込むか、または排気しなければならない。流し込む気体の組成の何らかの変動や、外部からの漏れは、放射システム内のエネルギ・センサの下流で発生する投影ビーム放射の吸収、従ってレジストに送出される露光量において、大きくかつ予測不可能な変動を生じる恐れがある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、既知のエネルギ・センサおよび露光量制御システムの問題を回避または軽減する、改良した露光量検知および制御システムを提供することである。
【0015】
【課題を達成するための手段】
上記および他の目的は、冒頭の段落において特定したようなリソグラフィ装置において、本発明に従って達成される。このリソグラフィ装置は、投影ビームの放射のパルスの通過によって生じる音を検出するように構成および配置された音響センサを備えることを特徴とする。
【0016】
音響センサは、マイクロホン、(微小)自記気圧計、または振動センサとすることができ、投影ビームの放射のパルスの通過によって生じる音を検出する。これらの音は、放射パルスが通過する雰囲気において放射パルスからのエネルギが吸収される場合に、または前記放射パルスが入射する物体、例えば投影レンズの光学要素または基板自体によって生じる局部的な発熱の結果である。前記音響センサの出力信号を、前記出力信号に応答する制御手段に供給することができ、これによって、対象部分の露光の間、前記投影ビームによって前記基板に与えられる単位面積当たりの放射エネルギを制御するように前記制御手段を構成および配置する。例えば、検出された音波の振幅を、投影ビームの強度の変化または汚染の存在を検出するために使用可能であり、かくして、露光量制御を改善するために使用可能である。
【0017】
本発明は、放射のパルスが基板に達することによって、または、基板と、基板に最も近い投影レンズの要素との間にあるチャンバを放射パルスが通過することによって生じる振動を検出するために用いる場合、特に有利である。この場合、本発明は、投影ビーム強度および/または基板レベルにおける前記投影ビーム強度の変化の直接的かつ現場での測定値を与え、特に精度高い露光量制御を可能とする。
【0018】
本発明の更に別の態様によれば、集積回路装置製造方法が提供される。この方法は:
放射感知物質の層によって少なくとも部分的に被覆された基板を設ける工程と;
放射システムを用いて放射の投影ビームを供給する工程と;
パターニング手段を用いて投影ビームの断面にパターンを与える工程と;
放射のパターニングされた投影ビームを放射感知物質層の対象部分上に投影する工程と;
を備え:
音響センサを用いて:
前記投影ビームの放射のパルスの通過によって生じる音と;
前記投影ビームが入射する物体の振動と;
前記投影ビームが入射する物体の発する音と;
のうち1つを検出する工程と;
前記音響センサの出力信号に応答する制御手段を用いて、対象部分の露光の間、前記投影ビームによって前記基板に与えられる単位面積当たりの放射エネルギを制御する工程と;
を備えることを特徴とする。
【0019】
本文において、本発明による装置をICの製造に用いることに特に言及するが、かかる装置は多くの他の可能な用途を有することは明示的に理解されよう。例えば、これは、集積光学システム、磁区メモリ用の誘導および検出パターン、液晶表示パネル、薄膜磁気ヘッド等の製造に用いることができる。特許請求の範囲において用いる「集積回路装置」という用語は、そのような装置を全て包含することを意図する。かかる代替的な用途の状況においては、本文における「レチクル」、「ウエハ」、または「ダイ」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語「マスク」、「基板」、および「対象位置」によってそれぞれ置換されるものとして見なされることは、当業者には認められよう。
【0020】
本文において、「放射」、および「ビーム」という用語は、紫外線放射(例えば365、248、193、157、または126nmの波長を有する)およびEUV(例えば5ないし20nmの範囲の波長を有する超紫外線放射)を含む全てのタイプの電磁放射を包含するために用いられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明を、例示的な実施形態および添付の概略図面を参照して、以下に説明する。
【0022】
図面において、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【0023】
実施形態1
図1は、本発明の特定の実施形態によるリソグラフィ投影装置を概略的に示す。
この装置は:
パルス放射の投影ビームPB(例えば、193nmまたは157nmの波長で動作するエキシマ・レーザによって、または13.6nmで動作するレーザによるプラズマ源によって発生するようなUV放射)を供給する放射システムEx、IL;この特定例では、放射システムは放射源LAも備える。
【0024】
マスクMA(例えばレチクル)を保持するためのマスク・ホルダが設けられ、要素PLに対してマスクを正確に位置決めするための第1の位置決め手段に接続された、第1の物体テーブル(マスク・テーブル)MT;
【0025】
基板W(例えばレジストで被覆されたシリコン・ウエハ)を保持するための基板ホルダが設けられ、要素PLに対して基板を正確に位置決めするための第2の位置決め手段に接続された、第2の物体テーブル(基板テーブル)WT;
【0026】
マスクMAの照射部分を、基板Wの対象部分C(例えば1つ以上のダイから成る)上に結像するための、投影システム(「レンズ」)PL(例えば、水晶および/またはCaF2レンズ系またはかかる物質から作成されたレンズ要素から成る反射屈折系、またはミラー系)を有する。
【0027】
ここで述べるように、この装置は透過タイプ(すなわち透過型マスクを有する)である。しかしながら、一般に、これは、例えば反射型(反射型マスクを有する)とすることも可能である。あるいは、この装置は、上述のようなタイプのプログラム可能ミラー・アレイ等、他の種類のパターニング手段を用いることも可能である。
【0028】
放射源LA(例えばUVエキシマ・レーザ、レーザによるプラズマ源、放電源、またはストレイジ・リングまたはシンクロトロン内の電子ビーム経路の周囲に設けられたアンジュレータまたはウィグラー)は、放射ビームを生成する。このビームは、直接、または例えばビーム拡大器Ex等のコンディショニング手段を通過した後に、照射システム(照射装置)ILに供給される。照射装置ILは、ビーム内の強度分布の外側および/または内側の半径方向の広がり(一般に、それぞれσアウタおよびσインナと呼ばれる)を設定するための調整手段AMを備える場合がある。更に、照射装置ILは、一般に、積分器INおよび集光レンズCO等、他の様々な構成要素を備える。このようにして、マスクMAに入射する投影ビームPBは、その断面において所望の均一性および強度分布を有する。
【0029】
図1を参照すると、放射源LAは、リソグラフィ投影装置の筐体内に存在する場合がある(例えば放射源LAが水銀ランプである場合に多い)が、これは、リソグラフィ投影装置から離して配置して、生成された放射ビームを(例えば適切な方向付けミラーを利用して)装置内に導くことも可能であることを注記しておく。この後者のケースは、放射源LAがエキシマ・レーザである場合に当てはまることが多い。本発明および特許請求の範囲は、これらのケースの双方を包含する。特に、本発明及び特許請求の範囲は、例えば157、126、および13.6nmの波長のような約170nm未満の波長を有する放射の投影ビームを供給するように放射システムEx、ILを適合させた実施形態を包含する。
【0030】
投影ビームPBは、続いて、マスク・テーブルMTに保持されたマスクMAを捕える。マスクMAを横断した後、投影ビームPBはレンズPLを通過する。レンズPLは、投影ビームPBを、基板Wの対象部分C上に合焦する。第2の位置決め手段(および干渉測定手段IF)を利用して、基板テーブルWTを精度高く移動させて、例えば投影ビームPBの経路内で異なる対象位置Cを位置決めすることができる。同様に、第1の位置決め手段を用いて、例えばマスク・ライブラリからマスクMAを機械的に検索した後、または走査の間に、投影ビームPBの経路に対してマスクMAを精度高く位置決めすることができる。一般に、物体テーブルMT、WTの動きは、長行程モジュール(粗い位置決め)および短行程モジュール(細かい位置決め)を用いて実現する。これらのモジュールは、図1には明示的に示していない。しかしながら、(ステップ・アンド・スキャン装置に対して)ウエハ・ステッパの場合は、マスク・テーブルMTは、単に短行程アクチュエータに接続するか、または固定することができる。
【0031】
照射システムILでは、投影ビームPBの一部を、ビームスプリッタBSによって、エネルギ・センサESへと方向転換させる。ビームスプリッタBSは、水晶上にアルミニウムを堆積することによって形成した部分反射器とすることができ、都合の良い方向に投影ビームを屈曲させるために用いられる。本実施形態では、ビームスプリッタは、公知の割合、例えば1%を、エネルギ・センサESに反射させるように具現化する。エネルギ・センサESの出力は、露光の際に与えられる露光量の制御に用いられる。
【0032】
ここに示す装置は、2つの異なるモードで使用可能である。
1.ステップ・モードでは、マスク・テーブルMTを基本的に静止状態に保ち、マスク像全体を、一度で(すなわち単一の「フラッシュ」で)対象部分C上に投影する。次いで、基板テーブルWTをxおよび/またはy方向に移動させて、投影ビームPBによって異なる対象部分Cを照射可能とする。
2.スキャン・モードでは、基本的に同じ事柄が当てはまるが、所与の目標部分Cを単一の「フラッシュ」で露光しない点が異なる。代わりに、マスク・テーブルMTを、所要の方向に(いわゆる「スキャン方向」例えばy方向に)速度vで移動させることができ、投影ビームPBをマスク像上で走査させる。これと共に、基板テーブルWTを、同時に速度V=Mvで、同じまたは反対の方向に動かす。ここで、Mは、レンズPLの倍率である(通例、M1/4または1/5である)。このようにして、解像度に関して妥協することなく、比較的大きな対象部分Cを露光することができる。
【0033】
図1では、投影システムPLによって含まれる空間に音響センサ20が設けられており、投影ビームPBの放射のパルスの通過によって生じる音を検出する。
【0034】
図2および3は、本発明に従って、投影ビームPBの強度および/または前記投影ビーム強度の変化を測定するために用いられる音響センサの構成を示す。図2では、楕円形のチャンバ10内の投影ビームPBの伝播の方向に沿った図が示されている。楕円形は、2つの焦点24を規定する。図3では、投影ビームPBの伝搬方向に垂直な方向のチャンバ10の図が示されている。チャンバ10は、伝搬方向に平行な方向の投影ビームPBの放射に対して実質的に透過である。投影ビームPBは、公知の組成の気体が充填された楕円形のチャンバ10の一方の焦点24を横切るように構成されており、他方の焦点24には、マイクロホンまたはマイクロ自記微圧計20が配置されている。チャンバ内の気体の組成は、公知かつ予測可能な吸収特性を有するように選択する。投影ビームが157nmの波長を有する場合、気体は、例えば、基本的に157nm放射に対して透過なN2を、157nm放射を著しく吸収する公知の量のO2と混合したものとすることができる。ほとんど全ての気体はEUVを大量に吸収するので、EUV放射を用いた装置では、いかなる好都合な気体でも使用可能である。吸収気体は、本発明の目的のために、または清掃等の何らかの他の目的のために故意に導入するか、または、例えば排気もしくは浄化システムによって残された不可避の残留物である場合もあることを注記しておく。
【0035】
チャンバ10内の気体は投影ビームから放射を吸収するので、投影ビーム・パルスがチャンバ10を通過する場合、これが気体の局部的な発熱を引き起こし、局部的な圧力増大を招くと共に音波を生じさせる。圧力増大および/または音波は、次いで、マイクロホンまたは自記微圧計20によって検出される。チャンバは楕円形であるので、投影ビームが通過する一方の焦点24において発生するいかなる音波も、マイクロホンまたは自記微圧計20が位置する他方の焦点24に集中する。圧力変化の大きさおよび/または音波の強度は、投影ビーム・パルスの強度およびチャンバ10内の気体の吸収特性に依存する。これらの特性について理論的および/または経験的に知っていれば、マイクロホンまたは自記微圧計20の出力から投影ビーム・パルスの強度を算出することができる。投影ビーム強度の算出においては、他の測定値、例えば、チャンバ10内に設けられたセンサ21によって得られる温度を考慮することができる。以前の強度測定値の履歴を考慮することも可能である。
【0036】
図2および3に示す音響センサ装置は、放射源LAと基板Wとの間の投影ビーム経路内のいかなる好都合な位置にも配置することができる。基板W上のレジストに送出される放射エネルギを最も正確に測定するために、音響センサ装置は、好ましくは、できる限り基板の近くに、例えば、投影システムPLの端部付近に配置する。
【0037】
図4に、上述の音響センサ装置を用いた露光量制御システムを示す。これは、マイクロホンまたは自記微圧計20およびセンサ21からの出力を受けるコントローラ60を備え、それらを用いて、基板レベルでの投影ビーム強度を算出し、従って各放射パルスによってレジストに与えられる露光量を算出する。増幅器23を用いてマイクロホン20の出力の信号レベルを上げ、極めて小さい強度の音の検出も可能とする。算出した露光量をメモリ61に格納する。このメモリは、以前の放射パルスによって与えられた露光量の履歴を保持している。基板上の所与の対象領域の露光は、複数のパルスによって与えられた露光量から蓄積されるので、現在の露光を形成している以前のパルスの履歴を用いて、露光に寄与する後続の放射パルスに加えられる何らかの必要な補正を決定する。必要な補正を行うには、例えば、放射源LAの強度の調整、シャッタSHの開放時間の調整、照射システムの開口面に位置する絞りの開口度の調整、パルス反復率の調整、ステップ・アンド・スキャン装置の走査速度の調整、またはこれらのパラメータのいずれかの適切な組み合わせを用いることができる。
【0038】
実施形態2
図5に、本発明の第2の実施形態を示す。これは、以下に述べる点を除いて、第1の実施形態と同一とすることができる。マイクロホン(または自記微圧計)20は、投影システムPLに取り付けられたチャンバ50内の、ウエハWと直接対向する要素40の下に位置する。要素40のような要素は、以下では「最終」要素と呼ぶ場合がある。チャンバ50は、最終要素40と基板Wとの間の空間のほとんどを占めており、マイクロホン20の出力から求めた投影ビーム強度が、レジストに与える実際の露光量にできる限り近付くようにする。また、マイクロホン20の出力信号を、エネルギ・センサESの出力信号と組み合わせて用いて、例えば、図1に示すビームスプリッタBSの下流の伝搬経路に沿った投影ビームの吸収の変化を検量することができる。
【0039】
実施形態3
本発明の第3の実施形態は、以下に述べる点を除いて第1の実施形態と同一とすることができる。第3の実施形態は、投影ビームの放射パルスを基板に送出した場合に基板が発する音を利用する。図6に示す音響センサ装置の配置は、第2の実施形態のものと同様であるが、マイクロホン20は、基板Wが発する音を拾うように向きが変わっている。これらの音は、投影ビームPBのパルスが基板Wに当たった際の、基板およびレジストにおける突然の局部的発熱によって生じる。局部的な発熱によって生じた局部的な膨張は、基板に振動を生じ、基板の表面積が大きいために音が発する。これらの音はマイクロホン20によって拾われる。音の振幅が、放射の各パルスで基板に与えられるエネルギ量を示す。
【0040】
実施形態4
本発明の第4の実施形態は、第3の実施形態の変形であるが、基板Wを真空に保持した場合、例えばEUV放射を用いたリソグラフィ装置において用いるように適合されている。図7に示すように、マイクロホン20は、例えば基板の後ろ側にある、基板Wに機械的に結合された振動センサ22によって置換されている。振動センサ22は、音をマイクロホンに伝える媒体が存在しないので、基板の(音響)振動を直接測定する。
【0041】
実施形態5
第5の実施形態では、基板の代わりに光学要素の振動を測定するが、その他の点では第4の実施形態と同様である。投影ビームPBが、100%未満の透過率を有する光学要素を通過した場合、または、例えば、EUVを用いたリソグラフィ装置の投影システム内の、100%未満の反射率を有するミラーのような光学要素によって反射された場合、この要素によって、投影ビームから少量のエネルギが吸収される。前述の実施形態における基板Wと同様に、このエネルギの吸収は、局部的な発熱およびこの要素の(音響)振動を生じさせる。振動は、吸収される放射エネルギの量に依存し、このエネルギ量は、投影ビーム・パルス・エネルギの固定部分または確定可能な部分であるので、振動の測定値を用いて、投影ビーム・パルス・エネルギおよび/または投影ビーム強度を求めることができる。ミラーの場合、図8に示すように、後ろ側に取り付けられた振動センサ22によって、従来のように振動を測定することができる。
【0042】
実施形態6
上述の実施形態では、投影ビームの放射エネルギの公知または確定可能な部分の吸収によって生じた音を測定して、投影ビームの強度を求める。この手順は、汚染物質または故意に導入した吸収剤が、公知の量だけ存在し、公知の効果を有するという前提に基づいている。第6の実施形態では、この逆を用いる。投影ビームの強度が公知または予測可能であるならば、投影ビームの通過によって生じた音の測定値を用いて、投影ビームを部分的に吸収している汚染物質の存在を検出または測定することができる。例えば、このようにして、パージまたは排気した装置内への空気の漏れ、または光学要素上の吸収層の成長を検出することができる。従って、第6の実施形態では、汚染が生じ得る場所に、マイクロホンまたは他の圧力センサもしくは音響センサを配置して、投影ビームの放射パルスの通過と共に検出される音を監視して、いかなる汚染の増大も検出する。
【0043】
同一の装置内で、多数のセンサを用いて、または同一のセンサを用いて、投影ビーム強度の検出および汚染の検出の原理を組み合わせることが可能であることを注記しておく。例えば、通常の環境のもとで、チャンバ内の気体はこれを通過する放射の1%を吸収し、基準音を発生する場合がある。しかしながら、仮に汚染物質によって吸収が2%に増大すると、吸収される放射エネルギが2倍になり、検出される音が大幅に増大する。このように検出される音を著しく増大させると思われる他の原因に、投影ビーム強度が倍増することが考えられるが、この可能性は低いので、大幅な音の増大の原因は、放射源の出力の変化ではなく、汚染の増大であると考えることができる。同様に、検出された音の傾向を監視し、傾向パターン・マッチングによって、投影ビーム強度または汚染の変化が原因であると考えることができる。
【0044】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本発明は、上述のものとは異なる方法で実現することも可能である。ここでの説明は、本発明を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるリソグラフィ投影装置を示す。
【図2】図1の装置において用いる音響センサ装置の平面図である。
【図3】図2の音響センサ装置の側面図である。
【図4】図1の装置における制御システムの図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるリソグラフィ装置の一部の側面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態によるリソグラフィ装置の一部の側面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態によるリソグラフィ装置の一部の側面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態によるリソグラフィ装置の一部の側面図である。
Claims (2)
- 放射の投影ビームを供給する放射システムと;
所望のパターンに従って前記投影ビームをパターニングするように機能するパターニング手段を支持する支持構造と;
基板を保持する基板テーブルと;
前記パターニングされた投影ビームを前記基板の対象位置に投影する投影システムと;
を備えたリソグラフィ投影装置において:
前記投影ビームの放射のパルスの通過によって生じる音を検出するように構成および配置された音響センサを備え、
前記音響センサは、前記投影ビーム放射を部分的に吸収する雰囲気を充填されると共に前記リソグラフィ投影装置の動作の間に前記投影ビームが横断するチャンバ内に配置されたマイクロホンまたは自記気圧計を備え、
前記チャンバは、前記投影ビームが発生する音を前記音響センサ上に集中させるための集中手段を備えることを特徴とする、リソグラフィ投影装置。 - 前記集中手段は、前記チャンバの少なくとも1つの断面が楕円形である前記チャンバの内面を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
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