JP3842340B2 - 消耗電極アーク溶接の短絡判別及びアーク長制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
消耗電極(以下、ワイヤという)を送給し出力電流を通電してアーク発生中の消耗電極先端又は給電チップと被溶接物との間の電圧を検出して短絡を判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法及び判別した信号によって出力電圧又は出力電流を増減させてアーク長を制御する消耗電極アーク溶接のアーク長制御方法である。
【0002】
【従来の技術】
従来、異なる作業者が同一形状の被溶接物を予め定められた溶接条件を設定して溶接を開始しても、被溶接物の加工精度、取り扱い及び保管による表面状態等の被溶接物の影響、商用電源電圧、ワイヤ送給速度等の装置の出力状態の変動の影響、溶接作業者の手振れによる消耗電極給電チップと被溶接物との間(以下、チップ母材間という)距離の変動の影響その他の外乱で、アーク長が瞬間的に変動する。その変動によって、アーク長が短くなると、スパッタの発生、溶け込み形状の変動、特に薄板の溶け落ち又は溶け込み不足等が生じ、逆にアーク長が大になるとアンダーカットの発生、ガスシールドの低下によるブローホールの発生等の問題があった。
【0004】
そのために、従来から適正なアーク長に制御する方法が種々提案されている。アーク長が短くなると短絡の頻度が増加するので、短絡回数を計数して、例えば1秒間に計数した短絡回数の増減に応じて溶接電圧又は溶接電流を増減させてアーク長を制御する方法も提案されている。通常の短絡判別方法は、溶接電源の出力端子電圧(以下、溶接電圧という)を検出して、比較的短絡時間の長い短絡、例えば150[μs]以上の溶接電圧の低下を検出することができたときに短絡であると判別する方法である。
【0010】
図1は、ワイヤを定速度送給し直流電流を通電し、出力電流の外部特性が定電圧特性である直流溶接電源装置を使用したときのアーク長Lとチップ母材間の電圧波形との関係を説明する図である。
【0012】
同図内の(a)乃至(c)は、それぞれアーク長Lが長いとき、適正なとき及び短いときのワイヤ先端と被溶接物とのアーク長を示し、同図内の(d)乃至(f)は、それぞれ上記(a)乃至(c)のチップ母材間の電圧波形を示し、Vaはチップ母材間の電圧を示している。同図(d)乃至(f)に示すように、アーク長Lが長いときは短絡を発生することがなく、適正なときは1秒間に3乃至10回程度の若干の短絡を発生し、短いときは1秒間に10回を越える頻繁な短絡を発生する。
【0020】
図2は、ワイヤを定速度送給しパルス電流を通電し、出力電流の外部特性が定電流特性のパルス溶接電源装置を使用したときのアーク長Lとチップ母材間の電圧波形との関係を説明する図であって、短絡の発生頻度の説明は図1と同様である。
【0030】
図3は、従来技術の直流溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡回数を判別し、溶接電源装置の出力電圧を増減させてアーク長を制御する直流溶接電源装置のブロック図である。
【0032】
同図において、溶接電源出力回路PSは、商用電源ACの電力を入力して溶接に適した特性の出力電圧及び出力電流の電力に変換して、チップ4と被溶接物2とに供給してアーク3を発生させる。この溶接電源出力回路PSの出力電流の外部特性は定電圧特性であって、ワイヤ送給速度は予め設定された定速度で送給される。
【0034】
理論上、ワイヤ送給速度とワイヤ溶融速度とが同じであるときは、アーク長が一定となる。ワイヤ送給速度は上記のとおり定速度送給をしているので、アーク長を制御するには、ワイヤ溶融速度を制御しなければならない。このワイヤ溶融速度は、出力電流の平均値によって変化する。出力電流の外部特性が定電圧特性のときは、出力電流を増減させようとすれば、溶接電源出力回路PSの出力電圧を増減させなければならない。
【0040】
図4は、溶接電源出力回路の出力電圧が定電圧特性のときのアーク特性と電源出力特性との関係を示す図である。同図において、横軸は出力電流値Iであり、縦軸は出力電圧値又はアーク電圧値即ちチップ母材間の電圧Vaであり、実線V1、V2及びV3はそれそれれ出力電圧が中、高、低のときの溶接電源装置の出力特性であり、点線L1、L2及びL3はそれそれれアーク長が中、大、小のときのアーク特性である。
【0042】
出力電圧が中のときの出力特性V1とアーク長が中のときのアーク特性L1との交点P1でアークを発生中に、アーク長を大にするために出力特性をV1からV2に切り換えると、動作点はL1上のP1からP4方向に移動して出力電流値I1が増加しアーク長が徐々に大になり、続いてアーク長が大になると、動作点はP4付近からP2方向に移動して、出力電流が減少しアーク長が大のアーク特性L2上の動作点P2付近になる。
【0044】
したがって、図3の溶接電源装置は、アーク長を一定値に制御するために、短絡を計数してその短絡回数に応じて出力電圧を増減させている。
【0050】
図3の従来技術の直流溶接電源装置の動作について説明する。溶接電圧瞬時値検出回路VDは、溶接電圧の瞬時値を検出して溶接電圧瞬時値検出信号Vdを出力する。検出電圧平滑回路VDAは、溶接電圧の瞬時値を平滑して検出電圧平滑信号Vdaを出力する。短絡低下判別基準信号回路VDRは、後述する図8に示す短絡によって溶接電圧が低下したときに短絡であると判別するための基準信号(短絡低下判別基準信号)Vdrを設定して出力する。短絡低下判別回路SDは、検出電圧平滑信号Vdaを入力として短絡低下判別基準信号Vdrよりも低下したときに短絡低下判別信号Sdを出力する。
【0052】
短絡回数計数回路SC1は、短絡低下判別信号Sdを入力して、予め定めた時間内、例えば1秒間の短絡回数を計数して短絡回数計数信号Sc1を出力する。
目標短絡回数設定回路SS1は、予め定めた時間内の短絡回数を設定して目標短絡回数設定信号Ss1を出力する。短絡回数比較回路CM1は、目標短絡回数設定信号Ss1と短絡回数計数信号Sc1とを比較して差の短絡回数比較信号Cm1を出力する。
【0054】
出力電圧値増減演算回路VUDは、短絡回数比較信号Cm1を入力して出力電圧値増減演算信号Vudを出力する。出力電圧値指令回路VQ1は、出力電圧値増減演算信号Vudを入力して出力電圧値指令信号Vq1を出力する。出力電圧値比較回路CM2は、出力電圧値指令信号Vq1及び溶接電圧瞬時値検出回路VDから出力される溶接電圧瞬時値検出信号Vdを入力して差の出力電圧値制御信号Cm2を溶接電源出力回路PSに出力する。
【0060】
図5は、従来技術のパルス溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡回数を判別し、溶接電源装置の出力電流を増減させてアーク長を制御するパルス溶接電源装置のブロック図である。
【0062】
同図において、溶接電源出力回路PSは、商用電源ACの電力を入力して溶接に適した特性の出力電圧及び出力電流の電力に変換してチップ4と被溶接物2とに供給してアーク3を発生させる。溶接電源出力回路PSの出力電流(ピーク電流とベース電流とから成るパルス電流)の外部特性は定電流特性であって、ワイヤ送給速度は予め設定された定速度で送給される。チップ母材間の電圧Va は、溶接電源出力回路PSの出力端子の電源負荷端子電圧値Vp から電源主回路インピーダンスZのインピーダンス降下Vzだけ低下する。
【0064】
理論上、ワイヤ送給速度とワイヤ溶融速度とが同じであるときは、アーク長が一定となる。ワイヤ送給速度は上記のとおり定速度送給をしているので、アーク長を制御するには、ワイヤ溶融速度を制御しなければならない。このワイヤ溶融速度は、出力電流の平均値によって変化する。したがって、図5の溶接電源装置は、アーク長を一定値に制御するために、短絡を計数してその短絡回数に応じて出力電流を増減させている。
【0066】
図5において、図3と異なる機能について説明する。このパルス溶接電源出力回路PSのピーク電流及びベース電流の外部特性は定電流特性であって、ワイヤ送給速度は予め設定された定速度で送給される。図5の溶接電源装置は、アーク長を一定値に制御するために、短絡を判別してその短絡回数に応じて出力電流の平均値を増減させている。出力電流の平均値を増減させるためには、パルス周波数(ベース期間)、パルス幅(ピーク期間)、ピーク電流値及びベース電流値の少なくとも一つを増減させる。図5のパルス溶接電源装置は、パルス周波数を増減させている。
【0068】
図5のパルス溶接電源装置において、溶接電圧瞬時値検出回路VD、検出電圧平滑回路VDA、短絡回数計数回路SC1、目標短絡回数設定回路SS1、短絡回数比較回路CM1及び出力電圧値増減演算回路VUDの機能は、図3と同じなので説明を省略する。
【0070】
電圧・周波数変換回路VFは、出力電圧値増減演算信号Vudを入力して、パルス周波数fに対応した周波数制御信号Vf を出力する。パルス幅設定回路TPは設定したパルス幅のパルス幅設定信号Tp を出力する。
パルス周波数・幅制御回路DFは、周波数制御信号Vf 及びパルス幅設定信号Tp を入力して、周波数制御信号Vf のパルス周波数に同期して、設定したパルス幅のパルス周波数・幅制御信号Df を出力する。
【0072】
ベース電流値設定回路IBSは、ベース電流値設定信号Ibsを出力し、ピーク電流値設定回路IPSは、ピーク電流値設定信号Ipsを出力する。ピーク・ベース電流値切換回路SW1は、ピーク電流値設定信号Ipsとベース電流値設定信号Ibsとを切換えて、ピーク・ベース電流値切換信号Sw1を出力する。このピーク・ベース電流値切換信号Sw1は、パルス周波数・幅制御信号Df の周波数に同期して、ピーク期間Tpのときはパルス電流値設定信号Ipsを出力し、ベース期間Tbのときはベース電流値設定信号Ibsを出力する。
【0074】
設定・検出電流比較回路CM3は、溶接電流検出信号Id とピーク・ベース電流値切換信号Sw1とを入力して、その差の溶接電流制御信号Cm3を出力して、例えばPWM制御のインバータ回路を含む溶接電源回路PSに出力して溶接電流値を制御する。
【0076】
溶接条件は、次の回路で設定する。目標短絡回数設定回路SS1は目標短絡回数(出力電流の平均値)を設定し、パルス幅設定回路TPはパルス幅を設定し、ピーク電流値設定回路IPSはピーク電流値を設定し、ベース電流値設定回路IBSはベース電流値を設定する。
【0078】
このように図5の溶接電源装置は、設定された目標短絡回数設定信号Ss1とアーク長に対応する短絡低下判別信号Sdとを、短絡回数比較回路CM1で比較して、その差の短絡回数比較信号Cm1によって、パルス周波数fを増減させてワイヤ溶融速度を変化させ、設定した目標短絡回数と検出した判別短絡回数とが等しくなるように制御している。
【0080】
図6は、溶接電源装置の出力端子間又はチップ母材間の電圧を溶接電圧瞬時値検出回路VDに入力して、その検出信号を検出電圧平滑回路VDAに出力する検出位置接続図である。
【0082】
同図において、点線に示すように、図3の溶接電圧瞬時値検出回路VDをチップ4と被加工物2との間に接続すると、溶接電圧瞬時値検出回路VDは溶接電圧検出信号Vd1を出力し、また実線に示すように、図2の溶接電圧瞬時値検出回路VDを溶接電源装置の出力端子T1, T1に接続すると、溶接電圧瞬時値検出回路VDは溶接電圧検出信号Vd2を出力し、これらの検出信号を検出電圧平滑回路VDAに出力する。
【0090】
図7は、検出電圧平滑信号Vda及び短絡低下判別基準信号Vdrを入力しその差の短絡低下判別信号Sdを出力する従来技術の短絡低下判別回路SDである。
【0100】
図8は、直流溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【0102】
同図(A)のチップ母材間の電圧Vaの波形は、溶接ケーブル及び検出電圧平滑回路VDAのインピーダンスの影響を受けていない理想的な状態で検出されている。したがって、短絡時間X1が100[μs]程度の微少短絡Sb1であっても、チップ母材間の電圧Vaは正確に低下して短絡低下判別基準信号Vdrのレベル以下まで低下するので短絡低下判別信号Sdを出力している。なお、同図の微少短絡(Sb1)の直後の電圧上昇Sh及び電圧上昇時間Y1は本発明の項で後述する。
【0110】
図9は、パルス溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び短絡低下判別信号Sd1及びSd2を示す図である。
【0112】
同図において、パルス溶接電源装置は図5に示す装置であり、図3の直流電流がパルス電流に置き換わっている。同図(A)において、パルス電流のピーク期間Tpに微少短絡Sp1を発生し、またベース期間Tbに微少短絡Sb1を発生しているが、両者ともチップ母材間の電圧Vaは短絡低下判別基準信号Vdrのレベル以下まで低下し、短絡低下判別信号Sd1及びSd2を出力している。
【0120】
図10は、直流溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び検出電圧平滑信号Vdaの波形及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【0122】
図8及び図9は、チップ母材間の電圧Vaを溶接電圧瞬時値検出回路VDによって検出して短絡低下判別回路SDに直接に入力することによってインピーダンスの影響を受けていない理想的な状態で検出しているが、大電流を通電する実際の溶接現場では若干のインピーダンスZの影響をなくすことが不可能なために、短絡低下判別回路SDの入力信号にL・di/dt(Lはリアクタンス、diは出力電流変化)及びノイズが加わる。したがって、実用上は、溶接電圧瞬時値検出回路VDから短絡低下判別回路SDまでの間に、検出電圧平滑回路VDAを挿入することが必要になる。
【0124】
図10(A)のチップ母材間の電圧Vaの波形は図8(A)と同じ波形であるが、検出電圧平滑信号Vdaの波形は検出電圧平滑回路VDAのインピーダンスの影響を受けて、同図(B)に示すように、短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下することができないために、同図(C)に示すように、図8(B)と同様の短絡低下判別信号Sdを出力することができない。
【0130】
図11は、パルス溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び検出電圧平滑信号Vdaの波形及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【0132】
同図において、パルス溶接電源装置は図5に示す装置であり、また、チップ母材間の検出位置は、図6の検出位置接続図の点線でに示す位置であって、チップ母材間の電圧Vaを溶接電圧瞬時値検出回路VDに入力してその出力信号Vd1を検出電圧平滑回路VDAから出力している。
【0134】
同図(A)のチップ母材間の電圧Vaの波形は図9(A)と同じ波形でパルス電流のピーク期間Tpに微少短絡Spを発生し、またベース期間Tbに微少短絡Sbを発生しているが、検出電圧平滑信号Vdaの波形は検出電圧平滑回路VDAのインピーダンスの影響を受けて、同図(B)に示すように、両者とも、検出電圧平滑信号Vdaは短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下することができないために、同図(C)に示すように、図9(B)と同様の短絡低下判別信号Sd1及びSd2を出力することができない。
【0140】
図12(A)は直流溶接電源装置の溶接電流Iの波形であり、同図(B)はチップ母材間の電圧Vaの波形であり、同図(C)は出力端子間の電圧Vpの波形であり、同図(D)は検出電圧平滑信号Vdaであり、同図(E)は短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【0142】
前述した図8及び図9は、チップ母材間の電圧Vaを溶接電圧瞬時値検出回路VDによって検出して短絡低下判別回路SDに直接に入力することによってインピーダンスの影響を受けていない理想的な状態で検出しているが、大電流を通電する実際の溶接現場では、被溶接物が大であり溶接位置が移動していくために、チップ母材間の電圧Vaを検出することが困難な場合が多い。したがって、溶接電源装置の出力端子間の電圧Vpを検出している。
【0144】
この場合、インピーダンスZの影響をなくすことが不可能なために、短絡低下判別回路SDの入力信号に、L・di/dt(Lはリアクタンス、diは出力電流変化)及びノイズが加わる。したがって、溶接電圧瞬時値検出回路VDから短絡低下判別回路SDまでの間に、検出電圧平滑回路VDAを挿入している。
【0146】
同図(A)の溶接電流Iの波形の時刻t1において短絡が生じたときに、同図(B)のチップ母材間の電圧Vaの波形は図8(A)と同じ波形であるが、出力端子間の電圧Vpは溶接ケーブルのインピーダンスの影響を受けて、同図(D)に示す検出電圧平滑信号Vdaだけでなく、検出電圧平滑回路VDAを通過させる前の出力端子間の電圧Vpに相当する信号であっても、同図(C)に示すように短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下することができないために、同図(E)に示すように、図8(B)と同様の短絡低下判別信号Sdを出力することができない。
【0148】
実際には、溶接電圧瞬時値検出回路VDから短絡低下判別回路SDまでの間に検出電圧平滑回路VDAを挿入しているので、同図(D)に示す波形の検出電圧平滑信号Vdaが短絡低下判別回路SDに供給されるので、短絡低下判別信号Sdを出力することができないために、さらに微少短絡の判別が困難になる。
【0150】
図13(A)はパルス溶接電源装置の溶接電流Iの波形であり、同図(B)はチップ母材間の電圧Vaの波形であり、同図(C)は出力端子間の電圧Vpの波形であり、同図(D)は検出電圧平滑信号Vdaであり、同図(E)は短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【0152】
図12において前述したように、実際の溶接現場では、チップ母材間の電圧Vaを検出することが困難なために、溶接電源装置の出力端子間の電圧Vpを検出している。さらに、溶接電圧瞬時値検出回路VDから短絡低下判別回路SDまでの間に、検出電圧平滑回路VDAを挿入している。
【0154】
図13(A)のパルス溶接電流Iの波形の時刻t1において短絡が生じたとき、同図(B)のチップ母材間の電圧Vaの波形は図9(A)と同じ波形でパルス電流のピーク期間Tpに微少短絡Sp1を発生し、またベース期間Tbに微少短絡Sb1を発生しているが、出力端子間の電圧Vpは溶接ケーブルのインピーダンスの影響を受けて、同図(D)に示す検出電圧平滑信号Vdaだけでなく、検出電圧平滑回路VDAを通過させる前の出力端子間の電圧Vpに相当する信号であっても、同図(C)に示すように、短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下することができないために、同図(E)に示すように、図9(B)と同様の短絡低下判別信号Sd1及びSd2を出力することができない。
【0156】
実際には、溶接電圧瞬時値検出回路VDから短絡低下判別回路SDまでの間に、検出電圧平滑回路VDAを挿入しているので、同図(D)に示す波形の検出電圧平滑信号Vdaが短絡低下判別回路SDに供給されるので、短絡低下判別信号Sdを出力することができないために、微少短絡の判別が困難になる。
【0160】
図14は、短絡時間の分布を一定値ごとに分割した分割短絡時間[μs]と各分割短絡時間ごとの短絡回数[回/秒]との関係を示す短絡回数分布図である。横軸は短絡時間0〜225[μs]を25[μs]ごとの9段階に分割した分割短絡時間を示し、縦軸は各分割短絡時間ごとの10秒間の短絡回数[回/秒]を示す。
【0162】
図14の実験条件は、溶接電流200[A]、溶接電圧24[V]、溶接速度100[cm/min]、ワイヤ銘柄YM−24S、ワイヤ直径1. 2[mm]、シールドガス成分5%の酸素を含むアルゴンガスである。同図において、例えば、左端の分布Y1は短絡時間が0〜25[μs]の短絡が、10秒間で6回生じたことを示し、右端の分布Z3は短絡時間が200〜225[μs]の短絡が、10秒間で9回生じたことを示している。
【0164】
前述した従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法においては、短絡時間が150[μs]を越える短絡でなければ判別できないので、この分布図中合計44回中の17回であるので分布図中40%しか判別することができなかった。
【0170】
図15は、ワイヤ送給速度[cm/min](横軸)とチップ母材間の電圧Va[V](縦軸)との関係を、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法を使用した直流溶接電源装置で自動調整したチップ母材間の電圧曲線Zと熟練者が手動調整したチップ母材間の電圧曲線Mとを示すチップ母材間の電圧対比曲線である。
【0172】
実験条件は図14と同じである。また自動調整したチップ母材間の電圧曲線Zが、熟練者が手動調整したチップ母材間の電圧曲線Mよりも低下している理由は、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法の精度が、熟練者が判断して手動調整した精度よりも低いことを示している。このことは、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法が、前述した図14に示す短絡時間の短い分布Y1乃至Y4を短絡であると判別していないためである。
【0200】
【発明が解決しようとする課題】
通常、図10又は図11の従来技術において説明したように、チップ母材間の電圧Vaを溶接電圧瞬時値検出回路VDによって検出して短絡低下判別回路SDに直接に入力することによってインピーダンスの影響を受けていない理想的な状態で検出しても、大電流を通電する実際の溶接現場では若干のインピーダンスZの影響をなくすことが不可能である。
そのために、実用上は、溶接電圧瞬時値検出回路VDから短絡低下判別回路SDまでの間に、検出電圧平滑回路VDAを挿入することが必要になり、検出電圧平滑信号Vdaの波形は検出電圧平滑回路VDAのインピーダンスの影響を受けて、図10(B)又は図11(B)に示す波形になっていた。
【0202】
従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法は、溶接電圧瞬時値検出電圧Vaが短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下したときに、短絡が発生したと判別していた。したがって、直流溶接電源装置においては、図10(B)に示すように、短絡時間の短い微少短絡の検出電圧平滑信号Vdaは、短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下することができないので、短絡低下判別信号Sdを出力することができないし、またパルス溶接電源装置においても、図11(B)に示すように、同様の理由で、短絡低下判別信号Sd1及びSd2を出力することができなかった。そのために、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法は、微少短絡を判別することができないときが相当にあった。
【0204】
さらに、実際の溶接現場では、被溶接物が大であり溶接位置が移動していくために、チップ母材間の電圧Vaを検出することが困難な場合が多く、溶接電源装置の出力端子間の電圧Vpを検出している。この出力端子間の電圧Vpは溶接ケーブルのインピーダンスの影響を受けて、検出電圧平滑回路VDAを通過させる前の信号であっても、図12(C)又は図13(C)に示すように、出力端子間の電圧Vpは短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下することができない。
【0206】
したがって、直流溶接電源装置においては、図12(D)に示すように、短絡時間の短い微少短絡の検出電圧平滑信号Vdaは、短絡低下判別信号Sdを出力することができないし、またパルス溶接電源装置においても、図13(D)に示すように、同様の理由で、短絡低下判別信号Sd1及びSd2を出力することができなかった。そのために、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法は、微少短絡を判別することができないときが相当にあった。
【0208】
実際には、溶接電圧瞬時値検出回路VDから短絡低下判別回路SDまでの間に、検出電圧平滑回路VDAを挿入しているので、図12(D)又は図13(D)に示す波形の検出電圧平滑信号Vdaが短絡低下判別回路SDに供給されるので、短絡低下判別信号Sdを出力することができないために、さらに微少短絡の判別が困難であった。
【0250】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ワイヤを送給し出力電流を通電してアーク発生中の消耗電極先端又は給電チップと被溶接物との間の電圧を検出して短絡を判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法及び判別した信号によって出力電圧又は出力電流を増減させてアーク長を制御するときに、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときに短絡の発生であると判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法及びアーク長制御方法である。
【0251】
実施態様1の消耗電極アーク溶接の短絡判別方法は、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して、(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときに短絡の発生であると判別する短絡判別方法(以下、第1の発明という)である。
【0252】
実施態様2の消耗電極アーク溶接の短絡判別方法は、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して、(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたとき又は(N+m)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときのいずれか一方だけを短絡の発生であると判別する短絡判別方法(以下、第2の発明という)である。
【0253】
実施態様3の消耗電極アーク溶接の短絡判別方法は、消耗電極を送給し出力電流を通電してガスシールド中でアークを発生し、溶接電源装置の出力端子間又は給電チップと被溶接物との間の電圧を検出して短絡を判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法において、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して、(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたとき又は短絡によって溶接電圧が低下したときに短絡であると判別するための予め設定した値(短絡低下判別設定値)Vdrよりも低下したときのいずれか一方だけを短絡の発生であると判別する短絡判別方法(以下、第3の発明という)である。
【0254】
実施態様4は、第1又は第2又は第3の発明において、ガスシールドのガス成分がスプレイアークを発生させるガス成分である短絡判別方法である。
【0255】
実施態様5は、第1又は第2又は第3の発明において、ガスシールドのガス成分がアルゴンガス又はアルゴンガスを主成分とする混合ガスである短絡判別方法である。
【0256】
実施態様6は、第1又は第2又は第3の発明において、出力電流の外部特性が定電圧特性の直流電流である短絡判別方法である。
【0257】
実施態様7は、第1又は第2又は第3の発明において、出力電流の外部特性が定電流特性のピーク電流とベース電流とを繰り返すパルス電流であって、ピーク電流の外部特性が定電流特性であってベース電流からピーク電流への切換時の電流変化期間(ピーク電流切換短絡判別禁止期間)Tkpの電流変化を短絡の発生であると判別しない短絡判別方法である。
【0258】
実施態様8は、第1又は第2又は第3の発明において、出力電流の外部特性が定電流特性のピーク電流とベース電流とを繰り返すパルス電流であって、ピーク電流及びベース電流の外部特性が定電流特性であって、ベース電流からピーク電流への切換時及びピーク電流からベース電流への切換時の電流変化期間(ピーク電流切換短絡判別禁止期間及びベース電流切換短絡判別禁止期間)Tkp及びTkbの電流変化を短絡の発生であると判別しない短絡判別方法である。
【0259】
実施態様9は、第1又は第2又は第3の発明において、出力電流の外部特性が定電流特性のピーク電流とベース電流とを繰り返すパルス電流であって、ベース電流の外部特性が定電流特性であって、ベース電流からピーク電流への切換時から開始してピーク電流からベース電流への切換時までの期間の電流変化を短絡の発生であると判別しない短絡判別方法である。
【0260】
実施態様10は、第1又は第2又は第3の発明において、ベース電流からピーク電流への切換時の電流変化期間Tkpを、ピーク電流への切換開始時から予め定めた時間までの間とする短絡判別方法である。
【0261】
実施態様11は、第1又は第2又は第3の発明において、ベース電流からピーク電流への切換時の電流変化期間Tkpを、ピーク電流への切換開始時から予め定め定めた電圧値Vepよりも小になるまでの間とする短絡判別方法である。
【0262】
実施態様12は、第1又は第2又は第3の発明において、微少短絡を含む周期(短絡直後の電圧上昇検出周期)Tmが25乃至200[μs]ある短絡判別方法である。
【0263】
実施態様13は、第1又は第2又は第3の発明において、アーク発生中の消耗電極の送給速度がアーク発生前に設定した一定速度である短絡判別方法である。
【0264】
実施態様14は、第1又は第2又は第3の発明において、アーク発生中の消耗電極の送給速度が切り換えられた2種類以上の速度である短絡判別方法である。
【0265】
実施態様15は、第1又は第2又は第3の発明において、短絡の発生であると判別した信号(出力電圧値増減演算信号)Vudによって出力電圧を増減させてアーク長を制御するアーク長制御方法である。
【0266】
実施態様16は、第1又は第2又は第3の発明において、短絡の発生であると判別した信号(出力電圧値増減演算信号)Vudによって出力電流を増減させてアーク長を制御するアーク長制御方法である。
【0300】
【発明の実施の形態】
図16は、1回の短絡が発生したときのチップ母材間の電圧Vaの変動を示す図で、直流電圧低下又はベース電圧低下Sbが短絡時間(電圧低下時間)X1だけ継続し、その直後に、電圧上昇Shが電圧上昇時間Y1だけ継続している。このチップ母材間の電圧Vaの変動は、前述した図8(A)又は図9(A)の短絡時のチップ母材間の電圧Vaの変動と同じである。
【0302】
同図において、短絡が発生すると、電圧低下Sbが短絡時間(電圧低下時間)X1だけ継続し、その直後に、電圧上昇Shが後述する図17に示すように、200〜1200[μs]の長い電圧上昇時間Y1だけ継続する電圧上昇が現れている。出願人は、この電圧上昇を解明して微少短絡の短絡電圧上昇判別方法を発明した。
【0310】
図17は、短絡が発生したときの電圧低下(Sb)した短絡時間(電圧低下時間)X1[μs](横軸)と電圧低下が継続した直後に電圧上昇(Sh)した電圧上昇時間Y1[μs](縦軸)との関係を示す図である。
【0312】
同図は、図14と同じ実験条件で溶接した50回の短絡現象の短絡時間(電圧低下時間)X1と電圧上昇時間Y1との関係の分布を示す図である。ほとんどの電圧低下時間X1が5〜600[μs]の範囲であり、電圧上昇時間Y1が200〜1200[μs]の範囲内に含まれる。
【0314】
同図において、図14で前述したように、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法においては、短絡時間が150[μs]を越える短絡でなければ判別できないので、短絡時間が150[μs]直線ZZよりも右側の短絡でなければ、判別することができない。したがって、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法では600[μs]以下の短絡のうち、半分弱しか判別することができないことは、前述した図14の検討結果とも一致している。
【0316】
これに対して、短絡直後の電圧上昇時間Y1は200〜1200[μs]の範囲に分布し、継続時間が従来の短絡判別方法の短絡時間5〜150[μs]よりも長いので、短絡を判別することが容易である。したがって、本発明の短絡直後の電圧上昇を適用した短絡判別方法によって判別すると精度が向上する。
【0320】
図18は、1回の短絡が発生したときのチップ母材間の電圧Vaの変動を示す図で、電圧低下Sbが短絡時間X1だけ継続し、その直後に、短絡が発生する前のチップ母材間の電圧Vaから電圧上昇Shした上昇変化電圧ΔVaが電圧上昇時間Y1だけ継続している。このチップ母材間の電圧Vaの変動は、前述した図8(A)又は図9(A)のチップ母材間の電圧Vaの変動と同じである。
【0322】
図19は、短絡時の電圧低下時間X1[μs](横軸)と短絡が発生する前のチップ母材間の電圧Vaから短絡が発生して電圧低下時間X1が継続した直後に電圧上昇(Sh)したチップ母材間の電圧Vaまでの上昇変化電圧ΔVa[V](縦軸)との関係を示す図である。
【0324】
同図は、図14と同じ実験条件で溶接した短絡時間(電圧低下時間)X1と上昇変化電圧ΔVaとの関係の分布を示す図である。ほとんどの電圧低下時間X1が5〜600[μs]の範囲であり、上昇変化電圧ΔVaが4〜10[V]の範囲内に含まれる。
【0326】
したがって、短絡が発生する前のチップ母材間の電圧Vaと短絡直後に電圧上昇(Sh)したチップ母材間の電圧Vaとの上昇変化電圧ΔVaが、4〜10[V]あるとき、短絡であると判別することができる。したがって、本発明の短絡直後の上昇変化電圧ΔVaを適用した短絡判別方法によって判別すると精度が向上する。
【0328】
図16乃至図19において、短絡が発生する前のチップ母材間の電圧Vaと短絡直後に電圧上昇(Sh)したチップ母材間の電圧Vaとの上昇変化電圧ΔVaが4〜10[V]に大きく変化する現象は、ガスシールドのガス成分がスプレイアークを発生させるガス成分、例えば、アルゴンガス又はアルゴンガスを主成分とする混合ガスのときに現れる。
【0330】
図20は、本発明の点線で囲まれた短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡を判別し、短絡回数によって溶接電源装置の出力電圧を増減させてアーク長を制御する直流溶接電源装置のブロック図である。
【0332】
同図において、N回目の検出電圧平滑信号Vdaを記憶する検出電圧値記憶回路VSHが追加になり、図3の短絡低下判別回路SDが短絡上昇判別回路SUになり、短絡低下判別基準信号回路VDRが短絡上昇判別基準信号回路VURになっている。
【0334】
従来の図3の短絡時の電圧低下の判別回路は、検出電圧平滑信号Vdaが短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下したときに、短絡が発生したと判別している。したがって、この短絡低下判別回路SDは、(N+1)回目に検出した電圧値とN回目に検出した電圧値とを比較していないので、N回目の検出電圧平滑信号Vdaを記憶する検出電圧値記憶回路VSHが存在していないが、検出電圧平滑信号Vdaが短絡低下判別基準信号Vdrのレベルまで低下したときに、短絡が発生したと判別するための短絡低下判別基準信号回路VDRが必要である。
【0336】
これに対して、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路は、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した短絡上昇判別基準信号Vurの値を越えたときに短絡の発生であると判別している。(N+1)回目に検出した電圧値とN回目に検出した電圧値との差の演算変化電圧ΔVnが、短絡上昇判別基準信号Vurの値を越えたときに短絡を判別している。
【0338】
したがって、この短絡上昇判別回路SUは、(N+1)回目に検出した電圧値とN回目に検出した電圧値とを比較しているので、N回目の検出電圧平滑信号Vdaを記憶する検出電圧値記憶回路VSHが必要である。さらに、(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した短絡上昇判別基準信号Vurの値を越えたときに、短絡を判別するための短絡上昇判別基準信号回路VURが必要である。
【0340】
図21(A)乃至(E)は、それぞれ本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置の溶接電流I、チップ母材間の電圧Vaの波形、出力端子間の電圧Vpの波形、検出電圧平滑信号Vda及び短絡上昇判別信号Suを示す図である。
【0342】
同図の(B)及び同図C)に示すチップ母材間の電圧Va及び出力端子間の電圧Vpの波形は、それぞれ、図12(B)及び同図12(C)と同じ波形であるが、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を使用しているので、溶接ケーブルのインピーダンスの影響があっても、さらに、検出電圧平滑回路VDAを通過させた後の信号Vdaであっても、同図(E)に示すように、短絡上昇判別信号Suを出力することができる。
【0350】
図22は、本発明の点線で囲まれた短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡を判別し、短絡回数によって溶接電源装置の出力電流を増減させてアーク長を制御するパルス溶接電源装置のブロック図である。
【0352】
図22は、N回目の検出電圧平滑信号Vdaを記憶する検出電圧値記憶回路VSH及びパルス周波数・幅制御信号Dfを入力して短絡判別禁止信号Vkを出力する短絡判別禁止回路VKが追加になり、図5の短絡低下判別回路SDが短絡上昇判別回路SUになり、短絡低下判別基準信号回路VDRが短絡上昇判別基準信号回路VURになっている。同図において、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路の内、検出電圧値記憶回路VSH及び短絡判別禁止回路VK以外の回路は前述した図20の説明と同様であり、それ以外の電圧上昇の判別回路は、前述した図5の説明と同様であるので、説明を省略する。
【0360】
図23(A)乃至(E)は、それぞれ本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置の溶接電流I、チップ母材間の電圧Vaの波形、出力端子間の電圧Vpの波形、検出電圧平滑信号Vda及び短絡上昇判別信号Suを示す図である。
【0362】
同図(B)及び同図(C)に示すチップ母材間の電圧Va及び出力端子間の電圧Vpの波形は、それぞれ図13(B)及び同図(C)と同じ波形であるが、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を使用しているので、溶接ケーブルのインピーダンスの影響があっても、さらに、検出電圧平滑回路VDAを通過させた後の検出電圧平滑信号Vdaであっても、同図(E)に示すように、短絡上昇判別信号Suを出力することができる。
【0400】
【実施例】
図24及び図25は、図20の点線で囲まれた本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順1/2及び2/2を示す図である。
【0402】
図24において、手順のステップST1乃至ST6はつぎのとおりである。初期設定ステップST1において、短絡によって変動した検出電圧平滑信号Vdaの上昇変化電圧ΔVaが短絡後の電圧上昇であると判別する基準値(短絡上昇判別基準値)Vur、検出電圧平滑信号Vdaのサンプリング周期(以下、短絡直後の電圧上昇検出周期という)Tm及び出力電圧を自動調整する周期(出力電圧自動調整周期)Tv及び目標短絡回数Smを設定する。
【0404】
ステップST2おいて、検出電圧平滑信号Vdaを短絡直後の電圧上昇検出周期Tmで検出するクロック信号を出力する。ステップST3おいて、検出電圧平滑信号Vdaを短絡直後の電圧上昇検出周期Tmごとに読み込み、読み込んだ検出電圧平滑信号V(n)を、例えば、図20の検出電圧値記憶回路VSHに記憶する。
【0406】
ステップST4において、前回のN回目に読み込んで記憶した検出電圧平滑信号Vnと今回の(N+1)回目に読み込んだ検出電圧平滑信号V(n+1)との差の演算変化電圧ΔVnを演算する。ステップST5において、演算変化電圧ΔVnが短絡上昇判別基準値Vurよりも大であるときはステップST6に進み、短絡回数を計数する短絡カウンタSC1の計数短絡回数Snを加算し、また演算変化電圧ΔVnが短絡上昇判別基準値Vurよりも小であるときは、図25のステップST11に進む。なお、同図の符号の*A、*B及び*Cは、図25のステップの同じ符号に続く。
【0410】
図25において、ステップST11は、前回のN回目に読み込んで記憶した検出電圧平滑信号Vnに代わる今回の(N+1)回目に読み込んだ検出電圧平滑信号V(n+1)を上書き記憶する。ステップST12は、出力電圧自動調整周期Tvに達してないときは、ステップST2の検出電圧平滑信号Vdaを短絡直後の電圧上昇検出周期Tmでサンプリングするステップ2に戻り、また出力電圧自動調整周期Tvに達しているときは、ステップST13に進む。
【0412】
ステップST13は、計数短絡回数Snが目標短絡回数Smよりも大であるときは出力電圧増加信号Vudを出力し、小のときは出力電圧減少信号Vudを出力する。ステップST16は、短絡カウンタSC1の計数短絡回数Snをリセットする。ステップST17は、溶接終了指令が入力されていないときは図24のステップST2に戻り、入力されているときは手順を終了する。
【0430】
図26は、図22の点線で囲まれた本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置のベース電流からピーク電流に切り換えるとき及びピーク電流からベース電流に切り換えるときの短絡判別を禁止する機能を説明する図である。
【0432】
同図(A)乃至(D)は図23の(A)乃至(D)と同じであり、同図(E)は、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路の内、ベース電流からピーク電流に切り換えるとき及びピーク電流からベース電流に切り換えるときの短絡判別を禁止するために、図22のパルス周波数・幅制御信号Dfを入力して短絡判別禁止回路VKから出力される短絡判別禁止信号Vkである。
【0434】
同図(E)において、Tkpはベース電流からピーク電流に切り換えるときの短絡判別を禁止するためのピーク電流切換短絡判別禁止期間であり、Tkbはピーク電流からベース電流に切り換えるときの短絡判別を禁止するためのベース電流切換短絡判別禁止期間である。同図(F)において、ピーク電流切換短絡判別禁止期間Tkp及びベース電流切換短絡判別禁止期間Vkbに発生する判別偽信号Snp及びSbnの出力を阻止する。
【0440】
図27は、図22の点線で囲まれた本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順を示す図の1/3である。
【0442】
図27において、手順のステップST1乃至ST4はつぎのとおりである。初期設定ステップST1において、短絡直後の電圧上昇検出周期Tm、ピーク期間の電圧上昇判別許可設定値Vep、ベース期間の電圧上昇判別許可設定値Veb、ピーク期間の検出電圧平滑信号Vdaの上昇変化電圧ΔVaが短絡後の電圧上昇であると判別する基準値(短絡上昇判別基準値)Vup、ベース期間の検出電圧平滑信号Vdaの上昇変化電圧ΔVaが短絡後の電圧上昇であると判別する基準値(短絡上昇判別基準値)Vub、出力電圧を自動調整する周期(出力電圧自動調整周期)Tv及び目標短絡回数Smを設定する。ただし、Veb<Vub及びVep<Vupに設定する。
【0444】
上記の初期設定値は、例えば短絡直後の電圧上昇検出周期Tm=100[μs]、ピーク期間の電圧上昇判別許可設定値Vep=0.5[V]、ベース期間の電圧上昇判別許可設定値Veb=0.5[V]、ピーク期間の短絡上昇判別基準値Vup=2[V]、ベース期間の短絡上昇判別基準値Vub=1.5[V]に設定する。
【0446】
ステップST2乃至ST4は、図24のステップST2乃至ST4と同じなので説明を省略する。なお、同図の符号の*Dは図28のステップの同じ符号に続き、*A及び*Cは図29のステップの同じ符号に続く。
【0450】
図28は、図22の点線で囲まれた本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順を示す図の2/3である。
【0452】
ステップST21は、ピーク期間かベース期間かを判別し、ピーク期間のときはステップST22に進み、またベース期間のときはステップST32に進む。ステップST22は、次のベース期間の電圧上昇判別を禁止する。ステップST23は、演算変化電圧ΔVnがピーク期間の電圧上昇判別許可設定値Vepよりも小さくなって、ベース期間からピーク期間への切換時の過渡現象がなくなったかを判別する。このステップST23は、演算変化電圧ΔVnがピーク期間の電圧上昇判別許可設定値Vepよりも小さいときは、ピーク期間の電圧上昇判別を許可し、また演算変化電圧ΔVnがピーク期間の電圧上昇判別許可設定値Vepよりも大きいときは、図29のステップST11に進む。
【0454】
ステップST25において、演算変化電圧ΔVnがピーク期間の短絡上昇判別基準値Vupよりも大であるときは、ステップST6の短絡回数を計数する短絡カウンタSC1の計数短絡回数Snを加算し、また演算変化電圧ΔVnが短絡上昇判別基準値Vupよりも小であるときは、図29のステップST11に進む。
【0456】
ステップST32は、次のピーク期間の電圧上昇判別を禁止する。ステップST33は、演算変化電圧ΔVnがベース期間の電圧上昇判別許可設定値Vebよりも小さくなって、ピーク期間からベース期間への切換時の過渡現象がなくなったかを判別する。このステップST33は、演算変化電圧ΔVnがベース期間の電圧上昇判別許可設定値Vebよりも小さいときは、べース期間の電圧上昇判別を許可し、また演算変化電圧ΔVnがべース期間の電圧上昇判別許可設定値Vebよりも大きいときは、図29のステップST11に進む。
【0458】
ステップST35において、演算変化電圧ΔVnがベース期間の短絡上昇判別基準値Vubよりも大であるときは、ステップST36の短絡回数を計数する短絡カウンタSC2の計数短絡回数Snを加算し、また演算変化電圧ΔVnが短絡上昇判別基準値Vubよりも小であるときは、図29のステップST11に進む。
【0460】
図29は、図22の点線で囲まれた本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順を示す図の3/3である。
【0462】
図29において、ステップST11乃至ST17は、前述した図25のステップST11乃至ST17と同じなので説明を省略する。なお、同図の符号の*Eは図28のステップの同じ符号に続き、*A及び*Cは図27のステップの同じ符号に続く。
【0464】
ステップST14の出力電圧の増加信号(出力電圧値増減演算信号)Vud及びステップST15の出力電圧の減少信号(出力電圧値増減演算信号)Vudは、図22の電圧・周波数変換回路VFに入力され、周波数制御信号Vfを増減させてパルス周波数fに対応した周波数制御信号Vf を出力する。この実施例では、出力電圧値増減演算信号Vudによってパルス周波数fを制御したが、パルス幅Tp(ピーク期間)、ピーク電流値Ip、ベース電流値Ib又はベース期間Tbを制御してもよい。
【0466】
図28の実施例では、ベース電流からピーク電流への切換時から開始してピーク電流からベース電流への切換時までの期間の電流変化を短絡の発生であると判別しない構成として、ベース電流からピーク電流への切換時の電流変化期間(ピーク電流切換短絡判別禁止期間)Tkpを、ピーク電流への切換開始時から予め定め定めた設定値(ピーク期間の電圧上昇判別許可設定値Vep)よりも小になるまでの間とする構成について説明したが、ベース電流からピーク電流への切換時の電流変化期間(ピーク電流切換短絡判別禁止期間)Tkpを、ピーク電流への切換開始時から予め定めた時間までの間とすることができる。
【0470】
図30は、短絡の電圧低下時間が短い場合、例えば、X1=20[μs]、短絡後の電圧上昇時間がY1=200[μs]の検出電圧平滑信号Vdaの波形と検出電圧平滑信号Vdaの短絡直後の電圧上昇検出周期Tm[μs]との関係を示す図である。
【0472】
同図において、サンプリング1乃至6の各短絡直後の電圧上昇検出周期Tmを50[μs]とすると、短絡直後の電圧上昇検出周期Tmがサンプリング1からサンプリング2までの50[μs]のとき、上昇変化電圧ΔVaが2[V]あるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別が可能である。また短絡直後の電圧上昇検出周期Tmがサンプリング1からサンプリング3までの100[μs]のとき、上昇変化電圧ΔVaが2[V]以上あるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別が十分に可能である。
【0474】
以下同様に、短絡直後の電圧上昇検出周期Tmがサンプリング1からサンプリング5までの200[μs]のとき、上昇変化電圧ΔVaが2[V]以上あるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別が可能である。しかし、短絡直後の電圧上昇検出周期Tmがサンプリング1からサンプリング6までの250[μs]になると、上昇変化電圧ΔVaが0.5[V]に低下してしまうので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別をすることができなくなる。
【0476】
したがって、短絡の電圧低下時間X1が20[μs]程度の短く、短絡後の電圧上昇時間がY1=200[μs]であるときは、検出電圧平滑信号Vdaの短絡直後の電圧上昇検出周期Tmが50[μs]から200[μs]までであれば、上昇変化電圧ΔVaが2[V]以上あるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別が可能である。
【0480】
図31は、短絡の電圧低下時間が長い場合、例えば、X1=300[μs]の検出電圧平滑信号Vdaの波形と短絡直後の電圧上昇検出周期Tm=25及びTm=50[μs]との関係を示す図である。
【0482】
同図において、短絡の電圧低下時間X1が200[μs]から600[μs]の長い場合、サンプリング11と12との間の短絡直後の電圧上昇検出周期Tm=25[μs]にすると、上昇変化電圧ΔVaが1[V]あるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別可能の限度てある。しかし、サンプリング12と13との間の短絡直後の電圧上昇検出周期Tm=50[μs]とすると、上昇変化電圧ΔVaが3[V]になるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別が十分に可能である。
【0490】
以上の図30及び図31の検討結果、N回目に検出した電圧値と(N+1)回目に検出した電圧値とを比較する場合、検出電圧平滑信号Vdaの短絡直後の電圧上昇検出周期Tmの下限値が25[μs]のときは、上昇変化電圧ΔVaが1[V]以上あるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別の限度である。検出電圧平滑信号Vdaの短絡直後の電圧上昇検出周期Tmが50[μs]から200[μs]までのときは、上昇変化電圧ΔVaが2[V]以上あるので、本発明の短絡後の電圧上昇の判別が十分に可能である。
【0500】
図20の本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置及び図22の本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置において、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路が、N回目に検出した電圧値と(N+1)回目に検出した電圧値とを比較する場合について説明した。
【0502】
しかし、短絡の電圧低下時間X1の短い短絡、例えば、10[μs]の短絡をより確実に判別するために、短絡直後の電圧上昇検出周期Tmを小さく、例えば、50[μs]にしたときは、電圧低下時間X1の長い短絡、例えば600[μs]で電圧上昇速度が遅いときは、上昇変化電圧ΔVaが1[V]未満になると検出が困難になる。
【0504】
そこで、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路が、N回目に検出した電圧値と(N+1)回目に検出した電圧値との比較するだけでなく、N回目に検出した電圧値と(N+2)回目に検出した電圧値も比較して、N回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときのいずれか一方だけを短絡の発生であると判別すると、短絡をより確実に判別することができる。
【0506】
本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路が、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して、(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたとき又は(N+m)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときのいずれか一方だけを短絡の発生であると判別すると、さらに短絡をより確実に判別することができる。
【0508】
例えば、図31において、短絡直後の電圧上昇検出周期Tm=100[μs]のときに、サンプリング10の位置でN回目の電圧を検出し、サンプリング15の位置で(N+5)回目の電圧を検出すれば、短絡をより確実に判別することができる。ただし、前述した短絡直後の電圧上昇検出周期Tm=25[μs]のときに、サンプリング11の位置でN回目の電圧を検出し、サンプリング12の位置で(N+1)回目の電圧を検出して短絡を判別することができた場合は、上記のサンプリング15の位置で(N+5)回目の電圧検出と重複しないように、いずれか一方だけを短絡回数に加算する。
【0510】
図31のように、短絡の電圧低下時間X1が200[μs]から600[μs]の長い場合、従来の短絡低下判別方法が、本発明の短絡上昇判別方法よりも、短絡をより確実に判別することができるので、従来の短絡低下判別方法と本発明の短絡上昇判別方法とを併用すると、短絡時間の短いMIG又はMAG溶接から短絡時間の長い炭酸ガスアーク溶接までの広範囲の溶接方法に適用することができる。ただし、従来の短絡低下判別方法の短絡判別と本発明の短絡上昇判別方法の短絡判別とが重複しないように、いずれか一方だけを短絡回数に加算する。
【0520】
図20の本発明の直流溶接電源装置及び図22の本発明のパルス溶接電源装置において、ワイヤ送給速度を定速度で送給する場合について説明したが、ワイヤ送給速度を溶接中に連続的に又は断続的に切り換える必要性があるとき、例えば突き合わせ溶接で突き合わせの隙間のバラツキが大であったり、溶接ロボットで溶接中に溶接姿勢が変化してワイヤ溶融速度を変更したとき、図20の本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置及び図22の本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置は自動的にアーク長を制御するので、最適の用途となる。
【1000】
【発明の効果】
実施態様1乃至実施態様3の本発明の短絡判別方法の共通の効果は次のとおりである。従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法においては、図14で前述したように、分布図中の短絡回数の40%しか判別することができなかったが、本発明の短絡判別方法は、3[μs]以上の短絡の判別をすることができるので、短絡時間が3[μs]の縦の直線YYよりも右側のY1乃至Y4の短絡も判別することができ、分布図中の合計45回中の43回、即ち短絡回数の95%を判別することができる。
【1001】
従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法を使用した溶接電源装置においては、前述した図8に示すように、自動調整したチップ母材間の電圧曲線Zが、熟練者が手動調整したチップ母材間の電圧曲線Mよりも低下していたが、本発明の電圧上昇の短絡判別方法を使用した溶接電源装置においては、自動調整したチップ母材間の電圧曲線Yが、熟練者が手動調整したチップ母材間の電圧曲線Mに近づいているので、熟練者が判断して手動調整したときと同様に、短絡の電圧低下時間X1の短い短絡をより確実に判別することができる。
【1002】
実施態様2の効果は、上記の実施態様1乃至実施態様3の本発明の短絡判別方法の共通共通の効果に加えて、次のとおりである。10[μs]程度の短絡の電圧低下時間X1の短い短絡をより確実に判別するために、50[μs]程度の短絡直後の電圧上昇検出周期Tmを小さくしたときは、200[μs]乃至600[μs]程度の電圧低下時間X1の長い短絡のときは、上昇変化電圧ΔVaが1[V]未満になると検出が困難になる。
そこで、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路が、N回目に検出した電圧値と(N+1)回目に検出した電圧値との比較するだけでなく、N回目に検出した電圧値と(N+m)回目に検出した電圧値も比較して、N回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときのいずれか一方だけを短絡の発生であると判別するすると、短絡をより確実に判別することができる。
生であると判別すると、さらに短絡をより確実に判別することができる。
【1003】
実施態様3の効果は、上記の実施態様1乃至実施態様3の本発明の短絡判別方法の共通共通の効果に加えて、次のとおりである。10[μs]程度の短絡の電圧低下時間X1の短い短絡をより確実に判別するために、50[μs]程度の短絡直後の電圧上昇検出周期Tmを小さくしたときは、200[μs]乃至600[μs]程度の電圧低下時間X1の長い短絡のときは、上昇変化電圧ΔVaが1[V]未満になると検出が困難になる。
そこで、実施態様3の判別方法として、従来の短絡低下判別方法と本発明の短絡上昇判別方法とを併用すると、短絡時間の短いMIG又はMAG溶接から短絡時間の長い炭酸ガスアーク溶接までの広範囲の溶接に適用することができる。
【1004】
実施態様4及び実施態様5の効果は、実施態様1乃至実施態様3の共通の効果に加えて、スプレイアークを発生させるガス成分がアルゴンガス又はアルゴンガスを主成分とする混合ガスのときは、短絡後の電圧上昇する上昇変化電圧ΔVaが大であるので、本発明の電圧上昇の短絡をより確実に判別することができる。
【1008】
実施態様8乃至実施態様11の効果は、実施態様1乃至実施態様3の共通の効果に加えて、出力電流の外部特性がパルス電流であるとき、ベース電流からピーク電流への切換時及びピーク電流からベース電流への切換時の電流変化期間の電流変化を短絡の発生であると判別しない機能を追加することによって、短絡をより確実に判別することができる。
【1009】
実施態様9の効果は、実施態様1乃至実施態様3の共通の効果に加えて、出力電流の外部特性がパルス電流であるとき、ベース電流からピーク電流への切換時及びピーク電流からベース電流への切換時のピーク期間を含めてその前後も短絡が発生する可能性が極めて少ないので、ベース電流からピーク電流への切換時及びピーク電流からベース電流への切換時の電流変化期間の電流変化を短絡の発生であると判別して、短絡判別機能を簡略化することができる。
【1012】
実施態様12の効果は、実施態様1乃至実施態様3の共通の効果に加えて、短絡直後の電圧上昇検出周期Tmを25乃至200[μs]に設定することによって、5乃至150[μs]の微少短絡も確実に判別することができる。
【1014】
実施態様14の効果は、実施態様1乃至実施態様3の共通の効果に加えて、突き合わせ溶接で突き合わせの隙間のバラツキが大であったり、溶接ロボットで溶接中に溶接姿勢が変化してワイヤ溶融速度を変更したとき、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置及びパルス溶接電源装置は自動的にアーク長を制御するので、最適な用途となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ワイヤを定速度送給し直流電流を通電し、出力電流の外部特性が定電圧特性である直流溶接電源装置を使用したときのアーク長Lとチップ母材間の電圧波形との関係を説明する図である。
【図2】図2は、ワイヤを定速度送給しパルス電流を通電し、出力電流の外部特性が定電流特性のパルス溶接電源装置を使用したときのアーク長Lとチップ母材間の電圧波形との関係を説明する図である。
【図3】図3は、従来技術の直流溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡回数を判別し、溶接電源装置の出力電圧を増減させてアーク長を制御する直流溶接電源装置のブロック図である。
【図4】図4は、溶接電源出力回路の出力電圧が定電圧特性のときのアーク特性と電源出力特性との関係を示す図である。
【図5】図5は、従来技術のパルス溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡回数を判別し、溶接電源装置の出力電流を増減させてアーク長を制御するパルス溶接電源装置のブロック図である。
【図6】図6は、溶接電源装置の出力端子間又はチップ母材間の電圧を溶接電圧瞬時値検出回路VDに入力してその検出信号を検出電圧平滑回路VDAに出力する検出位置接続図である。
【図7】図7は、検出電圧平滑信号Vda及び短絡低下判別基準信号Vdrを入力してその差の短絡低下判別信号Sdを出力する従来技術の短絡低下判別回路SDである。
【図8】図8は、直流溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【図9】図9は、パルス溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び短絡低下判別信号Sd1及びSd2を示す図である。
【図10】図10は、直流溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び検出電圧平滑信号Vdaの波形及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【図11】図11は、パルス溶接電源装置のチップ母材間の電圧Vaの波形及び検出電圧平滑信号Vdaの波形及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【図12】図12(A)乃至(E)は、それぞれ、直流溶接電源装置の溶接電流Iの波形であり、チップ母材間の電圧Vaの波形、出力端子間の電圧Vpの波形、検出電圧平滑信号Vda及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【図13】図13(A)乃至(E)は、それぞれ、パルス溶接電源装置の溶接電流Iの波形、チップ母材間の電圧Vaの波形、出力端子間の電圧Vpの波形、検出電圧平滑信号Vda及び短絡低下判別信号Sdを示す図である。
【図14】図14は、短絡時間の分布を一定値ごとに分割した分割短絡時間と各分割短絡時間ごとの短絡回数との関係を示す短絡回数分布図である。
【図15】図15は、ワイヤ送給速度とチップ母材間の電圧Vaとの関係を、従来の短絡時の電圧低下の短絡判別方法を使用した直流溶接電源装置で自動調整したチップ母材間の電圧曲線Zと熟練者が手動調整したチップ母材間の電圧曲線Mとを示すチップ母材間の電圧対比曲線である。
【図16】図16は、1回の短絡が発生したときのチップ母材間の電圧Vaの変動を示す図で、電圧低下が短絡時間X1だけ継続し、その直後に電圧上昇が電圧上昇時間Y1だけ継続することを示す図である。
【図17】図17は、短絡が発生したときの電圧低下が短絡時間X1と継続した直後に電圧上昇が電圧上昇時間Y1との関係を示す図である。
【図18】図18は、1回の短絡が発生したときのチップ母材間の電圧Vaの変動を示す図で、電圧低下が短絡時間X1だけ継続し、その直後に短絡が発生する前のチップ母材間の電圧Vaから電圧上昇した上昇変化電圧ΔVaが電圧上昇時間Y1だけ継続している。
【図19】図19は、短絡時間X1(横軸)と短絡が発生する前のチップ母材間の電圧Vaから短絡が発生して短絡時間X1が継続した直後に電圧上昇したチップ母材間の電圧Vaまでの上昇変化電圧ΔVa(縦軸)との関係を示す図である。
【図20】図20は、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡を判別し、短絡回数によって溶接電源装置の出力電圧を増減させてアーク長を制御する直流溶接電源装置のブロック図である。
【図21】図21(A)乃至(E)は、それぞれ、直流溶接電源装置の溶接電流Iの波形であり、チップ母材間の電圧Vaの波形、出力端子間の電圧Vpの波形、検出電圧平滑信号Vda及び短絡上昇判別信号Suを示す図である。
【図22】図22は、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置の出力端子又はチップ母材間の電圧を入力して短絡を判別し、短絡回数によって溶接電源装置の出力電流を増減させてアーク長を制御するパルス溶接電源装置のブロック図である。
【図23】図23(A)乃至(E)は、それぞれ、本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置の溶接電流I、チップ母材間の電圧Vaの波形、出力端子間の電圧Vpの波形検出電圧平滑信号Vda及び短絡上昇判別信号Suを示す図である。
【図24】図24は、図20の本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順の1/2を示す図である。
【図25】図25は、図20の本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えた直流溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順の2/2を示す図である。
【図26】図26は、図22の本発明の短絡後の電圧上昇の判別回路を備えたパルス溶接電源装置のベース電流からピーク電流に切り換えるとき及びピーク電流からベース電流に切り換えるときの短絡判別を禁止する機能を説明する図である。
【図27】図27は、図22の本発明の短絡後の電圧上昇判別回路を備えたパルス溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順の1/3を示す図である。
【図28】図28は、図22の本発明の短絡後の電圧上昇判別回路を備えたパルス溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順の図2/3を示すである。
【図29】図29は、図22の本発明の短絡後の電圧上昇判別回路を備えたパルス溶接電源装置の回路の機能をソフトウエアで実現する手順の3/3を示す図である。
【図30】図30は、短絡の電圧低下時間が短い場合の検出電圧平滑信号Vdaの波形と検出電圧平滑信号Vdaの短絡直後の電圧上昇検出周期Tm[μs]との関係を示す図である。
【図31】図31は、短絡の電圧低下時間が長い場合の検出電圧平滑信号Vdaの波形と短絡直後の電圧上昇検出周期Tm=25及びTm=50[μs]との関係を示す図である。
【図32】図32は、ワイヤ送給速度とチップ母材間の電圧Vaとの関係を、本発明の短絡時の電圧低下の短絡判別方法を使用した直流溶接電源装置で自動調整したチップ母材間の電圧曲線Yと熟練者が手動調整したチップ母材間の電圧曲線Mとを示すチップ母材間の電圧対比曲線である。
【符号の説明】
2…被溶接物
3…アーク
4…チップ
AC…商用電源
CM1…短絡回数比較回路
Cm1…短絡回数比較信号
CM2…出力電圧値比較回路
Cm2…出力電圧値制御信号
CM3…設定・検出電流比較回路
Cm3…溶接電流制御信号
DF…パルス周波数・幅制御回路
Df…パルス周波数・幅制御信号
f…パルス周波数
IBS…ベース電流値設定回路
Ibs…ベース電流値設定信号
ID…溶接電流検出回路
Id…溶接電流検出信号
IPS…ピーク電流値設定回路
Ips…ピーク電流値設定信号
PS…溶接電源出力回路
Sb…直流電圧又はベース電圧低下
SC1…短絡回数計数回路、短絡カウンタ
Sc1…短絡回数計数信号
SC2…短絡カウンタ
SD…短絡低下判別回路
Sd…短絡低下判別信号
Sh…電圧上昇
Sm…目標短絡回数
Sn…計数短絡回数
Snp…(ピーク電流切換短絡判別禁止期間Tkpに発生する)判別偽信号
Sbn…(ベース電流切換短絡判別禁止期間Tkbに発生する)判別偽信号
Sp…ピーク電圧低下
SS1…目標短絡回数設定回路
Ss1…目標短絡回数設定信号
SU…短絡上昇判別回路
Su…短絡上昇判別信号
SW1…ピーク・ベース電流値切換回路
Sw1…ピーク・ベース電流値切換信号
Tm…短絡直後の電圧上昇検出周期
Tkp…ベース電流からピーク電流への切換時の電流変化期間、
ピーク電流切換短絡判別禁止期間
Tkb…ピーク電流からベース電流への切換時の電流変化期間、
ベース電流切換短絡判別禁止期間
TP…パルス幅設定回路
Tp…パルス幅設定信号
Tv…出力電圧自動調整周期
Va…チップ母材間の電圧
VD…溶接電圧瞬時値検出回路
Vd…溶接電圧瞬時値検出信号
VDA…検出電圧平滑回路
Vda…検出電圧平滑信号
VDR…短絡低下判別基準信号回路
Vdr…短絡低下判別基準信号、短絡低下判別設定値
Veb…ベース期間の電圧上昇判別許可設定値
Vep…ピーク期間の電圧上昇判別許可設定値
VF…電圧・周波数変換回路
Vf…周波数制御信号
VK…短絡判別禁止回路
Vk…短絡判別禁止信号
V(n+1)…(N+1)回目に検出した電圧
(N+1)回目に読み込んだ検出電圧平滑信号Vda
Vn…N回目に検出した電圧
N回目に読み込んだ検出電圧平滑信号Vda
Vp…出力端子間の電圧
VQ1…出力電圧値指令回路
Vq1…出力電圧値指令信号
VSH…検出電圧値記憶回路
Vsh…検出電圧値記憶信号
Vub…ベース期間の短絡上昇判別基準値
VUD…出力電圧値増減演算回路
Vud…出力電圧値増減演算信号、出力電圧の増加信号、出力電圧の減少信号
Vup…パルス期間の短絡上昇判別基準値
VUR…短絡上昇判別基準信号回路
Vur…短絡上昇判別基準信号、短絡上昇判別基準値
X1…短絡時間(電圧低下時間)
Y1…短絡直後の電圧上昇時間
ΔVa…上昇変化電圧
ΔVn…(N+1)回目とN回目との演算変化電圧
ΔVn=V(n+1)−Vn
Claims (4)
- 消耗電極を送給し出力電流を通電してガスシールド中でアークを発生し、溶接電源装置の出力端子間又は給電チップと被溶接物との間の電圧を検出して短絡を判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法において、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して、(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときに短絡の発生であると判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法。
- 消耗電極を送給し出力電流を通電してガスシールド中でアークを発生し、溶接電源装置の出力端子間又は給電チップと被溶接物との間の電圧を検出して短絡を判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法において、アーク電圧値を微少短絡を含む周期で検出して、(N+1)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたとき又は(N+m)回目に検出した電圧値がN回目に検出した電圧値よりも予め設定した値を越えたときのいずれか一方だけを短絡の発生であると判別する消耗電極アーク溶接の短絡判別方法。
- ガスシールドのガス成分がスプレイアークを発生させるガス成分である請求項1又は2の消耗電極アーク溶接の短絡判別方法。
- 請求項1又は2に記載した短絡の発生であると判別した信号によって出力電圧を増減させてアーク長を制御する消耗電極アーク溶接のアーク長制御方法。
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