JP3841739B2 - ねじ摩耗量検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は,例えば,流路を開閉するのに設けられた水門,扉体,ゲート,バルブ等の負荷体を上下移動させる電動バルブアクチュエータにおいて,負荷体を支持するスピンドルを上下移動させるステムナットに設けた雌ねじの摩耗量を検出するねじ摩耗量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,水路,浄水場,発電所,河川等の流体が流れる流路には,流路を開閉して流量を制御するためのゲート,水門,バルブ等の負荷体が設けられ,該負荷体を作動するため電動バルブアクチュエータが使用されている。バルブを駆動するための電動バルブアクチュエータは,コントローラを用いて制御する中央情報システム化に向かうと共に,弁開閉の制御のうち簡単な一部の制御を行うことができるコントローラを設けたものが知られている(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
従来,弁駆動用アクチュエータ装置におけるねじ摩耗量検出装置として,基準ねじを設けて使用するねじとのギャップを検出し,それによって雌ねじの摩耗量を検出していた。或いは,ねじ摩耗量検出装置として,ねじの負荷トルクカーブを検出し,ねじのギヤップの増加によるトルクの変化から雌ねじの摩耗量を計算して求めていた。該雌ねじ摩耗量検出装置は,ハウジングに回転可能に取り付けられたスリーブ,該スリーブにスプライン嵌合した雌ねじ部材,該雌ねじ部材に噛合し且つ軸方向に移動可能な雄ねじ付きスピンドル,該スピンドルの負荷がかからない状態で前記スピンドルに回転可能に取り付けられ且つ前記雌ねじ部材と一体に回転すると共に前記雌ねじ部材の摩耗量に対応する軸方向の移動に従って軸方向下向きに移動可能なモデル雌ねじ,該モデル雌ねじの外周に形成された環状溝に嵌入するベアリングを取り付け且つ前記ハウジングに固定されたガイドピンに案内されて前記モデル雌ねじの軸方向の移動に対応して軸方向にのみ移動できる移動ブロック,及び前記雌ねじ部材の雌ねじの摩耗量に対応する前記移動ブロックの移動距離を検出する差動変圧器でなる移動量センサーから構成されているものである(例えば,特許文献2参照)。
【0004】
また,弁装置において,ステムナット摩耗量によるガタの量を検出する異常診断装置が知られている。該異常診断装置は,電動弁の閉作動時におけるハンマーブローから,ランニングトルクが発生するまでの時間を計測し,これに,電動弁が健全な状態にあるときに,予め基礎データとして計測しておいた弁棒の移動速度を乗ずることによりロッキングナット部分及びステムナットに生じるガタの量を検知する。また,ステムナットの摩耗量は,ステムナットネジ山幅の30%以内と規定されるので,これを超えた場合は,異常と判断する。また,該異常診断装置は,ロッキングナットの緩みは,急激に進行するのに対し,ステムナット摩耗は,長い時間をかけて徐々に進行するという特徴を持っているので,データを積み重ね,傾向管理を行うことによって両者の相違を区別するものである(例えば,特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−107254号公報(第2,3頁,第6図)
【特許文献2】
実公平8−9603号公報(第1頁,第2図)
【特許文献3】
特開2002−130531号公報(第7頁,図6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来のように,基準ねじを用いてギャップを検出するタイプのねじ摩耗量検出装置は,基準ねじを高精度に作製しなければならないと共に,該基準ねじを組み込むため複雑な構造を必要とし,コスト高になるという問題があった。又は,ねじの負荷トルクカーブを検出し,ねじのギヤップの増加によるトルクの変化から雌ねじの摩耗量を計算するねじ摩耗量検出装置は,雌ねじの摩耗をトルク波形で分析する場合に,正常時のトルク波形との間の相違が分かり難く,高精度に雌ねじの摩耗を検出できないという問題があった。
【0007】
また,従来のねじ摩耗量検出装置については,主駆動ねじの外にスプリングで張りを与えた副ねじを設け,主駆動ねじとの距離を検出してねじの摩耗量を検出するものであり,主駆動ねじと副ねじとの間の距離を測定するのが困難である上に,機械式では構造が複雑になり,各部材に高加工精度を要求され,また,電気式ではねじの摩耗粉が部材間にかみ込んで悪影響を受け易く,検出される精度に信頼性が持てないという問題がある。
【0008】
また,上記の弁装置におけるステムナット摩耗量によるガタの量を検出する装置は,トルク曲線からギャップの空転量を推定して算出するものであり,即ち,出力速度は想定であり,正確なねじ摩耗量を検出できないものであり,また,トルクセンサ(歪みゲージ)は,ギヤケース内部に組み込む構成であり,簡単に組み込むことができず,現場での改造作業が困難である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は,水門,扉体,バルブ,ゲート等の負荷体を操作するスピンドルをステムナットによって上下運動可能に支持した電動バルブアクチュエータにおいて,雌ねじの摩耗量に対応するウォームの移動量を検出する位置センサとステムナットの回転を検出する回転センサとを,現場において電動バルブアクチュエータに簡単に組み込み,雌ねじの摩耗で発生するガタを直接的に高精度に検出できるねじ摩耗量検出装置を提供することである。
【0010】
この発明は,流路を開閉するため配設されたバルブ等の負荷体が取り付けられてハウジングに上下移動可能に支持されたスピンドル,該スピンドルに設けられた雄ねじに螺合する雌ねじを備え且つ前記ハウジングに回転可能に支持されたステムナット,前記雌ねじを回転駆動して前記スピンドルを上下移動させるため,前記ステムナットに固定されたウォームホイールと前記ウォームホイールに噛み合って駆動手段からの回転が伝達されるウォームを有する伝達装置を有する電動バルブアクチュエータにおいて,前記ウォームの軸方向の移動量に従って得られたトルク曲線に基づいて前記雄ねじと前記雌ねじとの間のギャップ量を決定すると共に,決定された前記ギャップ量に対応する前記ステムナットの回転数を検出し,前記ステムナットの前記回転数に前記雌ねじのピッチを乗じる演算をして前記雌ねじの摩耗量を検出することを特徴とするねじ摩耗量検出装置に関する。
【0011】
このねじ摩耗量検出装置では,前記トルク曲線は前記ウォームの軸方向の前記移動量を電気信号として取り出すことによって得られ,前記トルク曲線におけるトルク値の小さい領域を,前記雌ねじの摩耗で発生する前記雌ねじの空転であるとして前記雌ねじの前記ギャップ量として決定するものである。
【0012】
また,前記ウォームの軸方向の前記移動量に従う前記電気信号は,リニヤポテンショメータ等の位置センサによって検出されるものである。前記位置センサは,例えば,前記ウォームを設けたウォーム軸の端部にロータシャフトを介して前記リニヤポテンショメータの検出端子を対向設置することによって前記ウォームに取り付けることができる。
【0013】
また,前記ステムナットの前記回転数は,ロータリエンコーダ,ポテンショメータ等の回転センサによって検出するものである。前記回転センサは,例えば,前記ステムナットの外周に取り付けられた摺動接点に前記ポテンショメータの検出端子を摺動接させることによって前記ステムナットに取り付けることができる。
【0014】
また,前記ウォームホイールは前記ステムナットの外周側に一体的に固定され,前記ホィールは前記ハウジングに回転可能に支持されているものである。
【0015】
このねじ摩耗量検出装置は,上記のように構成されているので,例えば,リニヤポテンショメータ等の位置センサと,ロータリエンコーダ等の回転センサとの簡単な構造によって,アクチュエータとなるウォームの移動量に従って決定できるトルク曲線と,ステムナットの雌ねじの回転数とを同時に検出することによって,雌ねじの摩耗量を直接的に高精度に検出することができる。
【0016】
また,このねじ摩耗量検出装置は,既存の電動バルブアクチュエータにも簡単に取り付けることができ,即ち,ウォームの端部にリニヤポテンショメータ等の位置センサを取り付けることによってウォームの移動量を検出でき,また,ステムナットにロータリエンコーダ,ポテンショメータ等の回転センサを取り付けることによってステムナットの雌ねじの回転数を検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照して,この発明による電動バルブアクチュエータにおけるねじ摩耗量検出装置の実施例を説明する。このねじ摩耗量検出装置を組み込んだ電動バルブアクチュエータは,図1に示すように,例えば,水路,浄水場等の流路に配置され,該流路での流体の流れを制御するためゲート,水門,扉体,バルブ等の負荷体であるバルブ5を備えたスピンドル1を上下駆動させるものであり,モータや手動ハンドル等の駆動装置からの回転を伝達するウォームギヤを含む伝達装置24を通じてステムナット2の雌ねじ11を回転駆動し,雌ねじ11に螺合する雄ねじ10を備えたスピンドル1を上下移動させるものである。
【0018】
電動バルブアクチュエータは,例えば,河川,運河等の土手に基礎として築かれたスラブ上には,1本又は複数のスピンドル1の上下運動を案内する減速機等が組み込まれた伝達装置24を有し,ハウジング3内には,図示していないが,バルブ開度計ケース,バルブコントロールケース,スイッチケース等が収容されている。また,電動バルブアクチュエータにおけるスピンドル1と噛み合う後述の雌ねじ11の摩耗量を,電動バルブアクチュエータにおけるねじ摩耗量検出装置からの電気信号によって,水路,浄水場,水門等の現場に赴くことなく遠隔監視室で検出することができるように構成されている。
【0019】
このねじ摩耗量検出装置が組み込まれた電動バルブアクチュエータは,ギヤケース等のハウジング3内を,下端部にゲート,バルブ等の負荷体であるバルブ5が取り付けられたスピンドル1が上下方向に往復移動可能に取り付けられている。ハウジング3は,複数のハウジング部材から成り,ステムナット2を回転可能に支持するため,フランジ部25や支持段部26を設けている。ハウジング3のフランジ部25や支持段部26には,スラスト軸受等の軸受21が介在され,ハウジング3に軸受21を介してステムナット本体20が回転可能に配設されている。ステムナット本体20の嵌合部19には,ステムナット2がスプラインやキーによって固定されている。また,ステムナット本体20の外周部にはウォームギヤを構成するウォームホィール8がスプライン,キー,圧入等によって固定されている。従って,電動バルブアクチュエータは,ウォームホィール8,ステムナット本体20及びステムナット2が駆動装置から伝達装置24を通じて回転されるウォーム9によって一体構造で回転される構造に構成されている。
【0020】
電動バルブアクチュエータは,水路,浄水場等の流路(図示せず)に接続したハウジング3に固定された流路管16,流路管16の流路4を開閉するため配設されたバルブ5が取り付けられ且つハウジング3に上下移動可能に支持されたスピンドル1,スピンドル1に設けられた雄ねじ10に螺合する雌ねじ11を備え且つハウジング3に回転可能に支持されたステムナット2,及び雌ねじ11を回転駆動してスピンドル1を上下移動させるためステムナット2に駆動装置であるモータ12からの回転を伝達する伝達装置24を有する。伝達装置24は,ステムナット2の外周側に一体的に固定され且つハウジング3に回転可能に支持されたウォームホィール8,及びウォームホィール8に螺合し且つハウジング3に回転可能に支持されたウォーム9から構成されたウォームギヤを有する。電動バルブアクチュエータでは,上記の構成によって,ステムナット2が回転することに応じて,雌ねじ11が回転し,雌ねじ11の回転によって雄ねじ10が雌ねじ11に沿って上下移動し,スピンドル1が上下移動することになる。
【0021】
電動バルブアクチュエータにおいて,流路管16には,バルブ5が嵌合するバルブ嵌入部18が形成されており,バルブ5がバルブ嵌入部18に嵌合することによって流路4が閉鎖され,図示のように,バルブ5が上昇した位置では流路4は開放状態になる。ハウジング3には,流路4の水等の流体が伝動装置24や雌ねじ11へ侵入しないようにシールするため,スピンドル1が挿通するリング状のグランドパッキン15がハウジング3の支持段部23に配設され,グランドパッキン15が押さえ部材22でハウジング3に固定されている。
【0022】
このねじ摩耗量検出装置が適用された電動バルブアクチュエータは,図1〜図3に示すように,流路4を開閉するため配設されたバルブ5が取り付けられ且つ上下移動可能にハウジング3に支持されたスピンドル1,スピンドル1に設けられた雄ねじ10に螺合する雌ねじ11を備え且つハウジング3に回転可能に支持されたステムナット2,及び雌ねじ11を回転駆動してスピンドル1を上下移動させるため,ステムナット2に固定されたウォームホイール8とウォームホイール8に噛み合ってモータ12の回転が伝達されるウォーム9とから成るウォームギヤを備えた伝達装置24を有している。また,この電動バルブアクチュエータは,手動ハンドル39によってスピンドル1を上下移動させることができる。その場合には,手動ハンドル39を手動で回転させると,手動ハンドル39に設けたハンドルボス40が回転し,ハンドルボス40の回転がクラッチ27を通じてスプライン42でスリーブ41に回転が伝達され,スリーブ41の回転によってステムナット2の雌ねじ11が回転し,それによって雌ねじ11と噛み合う雄ねじ10を持つスピンドル1が上下移動し,スピンドル1に固定したバルブ5が流路4を開閉する。
【0023】
この電動バルブアクチュエータは,コントローラの指令でモータ12によって自動的にバルブ5を開閉制御したり,また,現場において手動ハンドル39の手動による回転によって,上記の伝達系を通じて,バルブ5を手動で開閉できるものである。この電動バルブアクチュエータは,ウォーム9を設けたウォーム軸29の一端側に歯車伝達系を通じてモータ12が取り付けられ,ウォーム軸29の他端側にウォーム9の移動量を検出する位置センサであるリニヤポテンショメータ6が取り付けられている。電動バルブアクチュエータは,流路4の状況,バルブ5の開閉状態等の種々の情報がコントロールユニット30によって処理され,バルブ5を取り付けたスピンドル1のトルクはトルクスイッチ28で検出され,バルブ5の開閉状態はリミットスイッチ31で検出され,また,バルブ5の開度は開度計17で表示される。
【0024】
このねじ摩耗量検出装置は,特に,ウォーム9の軸方向の移動量に従って得られたトルク曲線に基づいて雄ねじ10と雌ねじ11との間のギャップ量を決定すると共に,決定されたギャップ量に対応するステムナット2の回転数を検出し,ステムナット2の回転数に雌ねじ11のピッチを乗じる演算をして雌ねじ11の摩耗量を検出することを特徴としている。また,ステムナット2の回転数は,ステムナット2の外周側に取り付けられたロータリエンコーダ,ポテンショメータ等の回転センサ7によって検出される。回転センサ7は,ステムナット2に固定された摺動接点13にポテンショメータの検出端子14を対向させることによってステムナット2に簡単に取り付けることができる。更に,ウォーム9の軸方向の移動量に従う電気信号は,図4に示されている位置センサであるリニヤポテンショメータ6によって検出される。上記のことを数式で表すと,次のとおりである。ねじ摩耗量をΔAとし,雌ねじ11のピッチをPとし,雌ねじ11の摩耗による雌ねじ11と雄ねじ10との間のギャップ量に対応する雌ねじ11が固定されたステムナット2の回転数を回転角αで表すと,次式になる。
ΔA=P×(α/360)
【0025】
図4に示すように,位置センサであるリニヤポテンショメータ6は,ハウジング3に固定されたケース32とケース32に固定されたカバー33内に収容されている。リニヤポテンショメータ6は,カバー33とケース32に固定されたプレート37とによって支持され,その端部にはジョイント34が取り付けられている。ジョイント34に設けた軸受36によって回転可能に支持されたロータシャフト35は,ウォーム9のウォーム軸29の端面に当接している。従って,ウォーム9の移動量は,負荷スライド可能に取り付けられたロータシャフト35とジョイント34とを介してリニヤポテンショメータ6の検出端子38に伝達される。リニヤポテンショメータ6の検出端子38の移動量は,電気信号として出力され,コントローラにウォーム9の移動量の情報として入力される。
【0026】
このねじ摩耗量検出装置において,トルク曲線を図5に示す。図5において,上側のグラフはトルク曲線TCであり,横軸が時間tの経過を示し,縦軸がトルク値Tを示している。また,下側のグラフはステムナット2即ち雌ねじ11の回転数αであり,横軸が時間tの経過を示し,縦軸が雌ねじ11の回転数即ち回転角αを示している。トルク曲線TCは,ウォーム9の軸方向の移動量を電気信号として取り出すことによって得られる。トルク曲線TCから判断すると,トルク曲線TCにおけるトルク値Tの小さい領域Sは,雌ねじ11の摩耗によって発生する雌ねじ11の空転であるとして雌ねじ11のギャップ量として決定する。
【0027】
このねじ摩耗量検出装置について,詳しくは,トルク曲線TCでは,モータ12が駆動し始めてウォーム9が回転駆動するが,クラッチ27の作動ラグ,歯車伝達系のバックラシュ等における動力伝達系のタイムラグが存在する。そこで,トルク曲線TCにおけるトルク値Tの小さい領域Sは,雌ねじ11のゆるみ始めに瞬時にトルク値Tが上昇する点の時間t1 を検出すると共に,バルブ5即ちスピンドル1のゆるみ始めに瞬時にトルク値Tが上昇する点の時間t2を検出し,t1 とt2 との間の期間と決定する。そこで,t1 とt2 との間の期間のトルク値Tの小さい領域Sに対応する雌ねじ11の回転数即ち回転角αを検出すればよいことになる。
【0028】
次に,図6を参照して,このねじ摩耗量検出装置におけるこの発明によるねじ摩耗量検出装置を説明するためのバルブの開トルク及びステムナットの回転センサのパルス周波数について説明する。図6のグラフでは,横軸は時間tを示しており,また,縦軸は,グラフGAはバルブ5の開トルクを示し,また,グラフGBはステムナット2の回転数に対するパルス周波数を示している。グラフGAにおいて,0〜t0 の期間はトルクばね緩和時期であり,t0 〜t1 の期間はウォーム9の空転時期である。t1 はクラッチ27の衝撃トルク(ハンマーグロトルク)の時点即ち雌ねじ11のゆるみ始めの時点であり,t2 はバルブ引き抜きトルクが負荷される時点即ちスピンドル1のゆるみ始めの時点である。従って,t1 〜t2 の期間は雌ねじ11と雄ねじ10との間のガタ即ち雌ねじ11とスピンドル1との間のガタであり,雌ねじ11の摩耗によって発生するガタ期間である。従って,この電動バルブアクチュエータでは,雌ねじ11の摩耗量分即ちギャップ量が吸収された時点でバルブ5が開放方向に移動し,開度計17が開度が示すことになる。また,グラフGBにおいて,t1 の時点でパルスをカウント開始ONし,t2 の時点でパルスをカウント終了OFFし,その間のパルスを計測することによって,ステムナット2の回転数即ち回転角αを計測するようにコントローラは設定されている。
【0029】
【発明の効果】
この発明によるねじ摩耗量検出装置は,上記のように構成されているので,ウォームに負荷されるトルク曲線とステムナット即ち雌ねじの回転数との情報のみで,雌ねじの摩耗量を直接的に,高精度に検出することができ,従来のような雌ねじの摩耗を検出するための基準ねじを不要にし,摩耗量測定手段が簡単に取り付けられ,構造そのものをシンプルにし,低コストに作製することができる。また,このねじ摩耗量検出装置は,例えば,ゲート,水門等の現場から離れた所,即ち,現場から遠く離れた遠隔操作盤において上記の情報を検出して中央制御装置へ送信でき,それによって,雌ねじの摩耗量を事前にキャッチし,所定の摩耗量以上になれば,雌ねじを備えたステムナットを交換し,雌ねじのねじ山の脱落によってスピンドルが落下するような事故を未然に防止でき,安全性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるねじ摩耗量検出装置を組み込んだ電動バルブアクチュエータの一実施例を示す概略説明図である。
【図2】図1の電動バルブアクチュエータの要部を示す一部断面の説明図である。
【図3】図2の電動バルブアクチュエータの側断面図である。
【図4】この発明によるねじ摩耗量検出装置における位置センサの一実施例を示す概略説明図である。
【図5】この発明によるねじ摩耗量検出装置を説明するためのトルク曲線を示すグラフである。
【図6】この発明によるねじ摩耗量検出装置を説明するためのバルブの開トルク及びステムナットの回転センサのパルス周波数を示すグラフである。
【符号の説明】
1 スピンドル
2 ステムナット
3 ハウジング
4 流路
5 バルブ(負荷体)
6 リニヤポテンショメータ(位置センサ)
7 回転センサ(ロータリエンコーダ,ポテンショメータ)
8 ウォームホィール
9 ウォーム
10 雄ねじ
11 雌ねじ
13 摺動接点
14 ポテンショメータの検出端子
24 伝達装置(ウォームギヤ)
29 ウォーム軸
35 ロータシャフト
38 検出端子
Claims (7)
- 流路を開閉するため配設されたバルブ等の負荷体が取り付けられてハウジングに上下移動可能に支持されたスピンドル,該スピンドルに設けられた雄ねじに螺合する雌ねじを備え且つ前記ハウジングに回転可能に支持されたステムナット,前記雌ねじを回転駆動して前記スピンドルを上下移動させるため,前記ステムナットに固定されたウォームホイールと前記ウォームホイールに噛み合って駆動手段からの回転が伝達されるウォームを有する伝達装置を有する電動バルブアクチュエータにおいて,
前記ウォームの軸方向の移動量に従って得られたトルク曲線に基づいて前記雄ねじと前記雌ねじとの間のギャップ量を決定すると共に,決定された前記ギャップ量に対応する前記ステムナットの回転数を検出し,前記ステムナットの前記回転数に前記雌ねじのピッチを乗じる演算をして前記雌ねじの摩耗量を検出することを特徴とするねじ摩耗量検出装置。 - 前記トルク曲線は前記ウォームの軸方向の前記移動量を電気信号として取り出すことによって得られ,前記トルク曲線におけるトルク値の小さい領域を,前記雌ねじの摩耗で発生する前記雌ねじの空転であるとして前記雌ねじの前記ギャップ量として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ摩耗量検出装置。
- 前記ウォームの軸方向の前記移動量に従う前記電気信号は,リニヤポテンショメータ等の位置センサによって検出されることを特徴とする請求項2に記載のねじ摩耗量検出装置。
- 前記位置センサは,前記ウォームを設けたウォーム軸の端部にロータシャフトを介して前記リニヤポテンショメータの検出端子を対向設置することによって前記ウォームに取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のねじ摩耗量検出装置。
- 前記ステムナットの前記回転数は,ロータリエンコーダ,ポテンショメータ等の回転センサによって検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のねじ摩耗量検出装置。
- 前記回転センサは,前記ステムナットの外周に取り付けられた摺動接点に前記ポテンショメータの検出端子を摺動接させることによって前記ステムナットに取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載のねじ摩耗量検出装置。
- 前記ウォームホイールは前記ステムナットの外周側に一体的に固定され,前記ホィールは前記ハウジングに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のねじ摩耗量検出装置。
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