JP3841622B2 - レーザー治療装置用ハンドピース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、特に歯科、口腔外科などの分野において患部にレーザー光を照射して治療をなすレーザー治療装置に用いるハンドピースに関するものである。
【0002】
【発明の背景】
レーザー光を利用するレーザー医療装置は、術者が把持するハンドピース本体およびその先端に装着されるレーザーチップを有するハンドピースと、レーザー光発生源と、レーザー光発生源からのレーザー光をハンドピースに導くための光導通手段と、空気その他の流体供給源からの流体をハンドピース本体に導くための流体送給路とを具備し、医療における種々の場面で利用されている。
【0003】
一般に、ハンドピース本体は、鏡筒とこれに内蔵されてレーザー光を集束してレーザーチップを介し患部である所定の照射域に放射するレンズを具えており、鏡筒の中心軸とレンズの光軸とを一致させてレーザー光をレーザーチップの入射口に適正に導光することが最も重要な要件となる。
特に、歯科、口腔外科の領域で使用されるレーザーチップは小型、細径であることを要するから、レンズからレーザーチップへの導光は極めて正確な制御が必要となる。 例えば歯科領域において、歯周病の治療にあたっては歯周ポケットに細管状のレーザーチップを進入させて患部にレーザー照射をなすことが必要である。このためには、レーザーチップも外径1mm前後、内径0.7mm前後と極めて細径になさざるを得ない。 一方、レンズから送給されるレーザービ−ム径はo.3mm前後であり、このように細く集束されたレーザービ−ムをレーザーチップの端部すなわち入射口のほぼ中心から入射するには、レンズの位置調整をよほど精密になす必要がある。
【0004】
従来、鏡筒内におけるレンズの保持機構は、レンズを嵌合保持するレンズ筒、レンズ筒内でレンズを固定するレンズ押え、レンズ筒の前後位置にそれぞれ設けられる位置決め環およびレンズ筒押えにより構成されていて、レンズ位置はレーザー進行方向での調整が可能であり、また回転方向での調節は可能であったが、光軸を鏡筒中心軸に対する垂直面においてX,Y軸方向に移動調節すること、換言すればレンズ自体を鏡筒中心軸に対する垂直面においてX,Y軸方向に移動調節することはできなかった。
したがって、レーザー光をレーザーチップの入射口の適正位置に集光するにはレンズを始めとするハンドピースの各構成部材を設計通りに組み立てること、また各構成部材の寸法精度を設計値に保つことが必要である。
【0005】
しかしながら、仮に各構成部材の寸法精度を設計値どおりに加工し得ても、これらの組み込み作業において微小の誤差の発生は不可避であるうえ、そもそも各構成部材の寸法精度を設計値どおりに加工すること自体容易なことではない。
【0006】
【発明の概要】
本願発明は、レーザー光発生源と光導通路を介して連結されるハンドピースにおいて、ハンドピースは本体部とこの本体部の端部に設けられ照射域にレーザー光を照射するレーザーチップとを具え、
レーザー光を集束して前記レーザーチップに伝送する前記本体部は、第1および第2鏡筒と、ミラーホルダーとからなり、
前記第1鏡筒内には、レンズ光軸の平行移動をなすための位置調整手段を有するレンズ保持機構により支持されるレンズが所定位置に装着され、
さらに、第1鏡筒内には、筒状のレンズホルダーが遊嵌されており、前記レンズはこのレンズホルダーに弾性嵌合するレンズ押えにより前記レンズホルダー内に固定されていて、このレンズホルダーを挟んで位置決め環とレンズホルダー押えが設けられ、これらは第1鏡筒内周面と螺合するようになっていて、これらのレンズホルダー、レンズ押え、位置決め環およびレンズホルダー押えにより前記レンズ保持機構が構成され、前記ミラーホルダー内にはレンズにより集束されたレーザー光を前記レーザーチップの中心軸方向に反射するミラーを具え、前記第1および第2鏡筒、前記ミラーホルダーは、互いの中心軸を合致させるために嵌め合い部を有するネジ結合により連結され、前記位置調整手段は、レンズを保持して鏡筒内に遊嵌される前記レンズホルダーと、このレンズホルダーを位置調整可能に支持するために鏡筒壁を貫通して突出する複数の調整ネジとを具え
前記レーザーチップは中空針状体で構成して内壁面に金鍍金を施しレーザー光が前記中空針状体の入射口面のいずれかに達すれば、レーザー光軸と針状中空体の中心軸が合致し ていなくても、すなわち、レーザー光が入射口面と垂交せず所定角度で入射しても、入射光は、針状中空体の内周面の金メッキ層により輾転反射されて出射口から出射されるになす一方、歯周ポケットにレーザーチップの先端を挿入してレーザー光を照射できるように前記針状中空体は、全長15mm、外径1mm,中空部の径は0.7mmに設定してレーザー光の入射口を極めて微細なものとし、さらに、前記中空針状体はその軸線がミラーホルダーの先端において斜め前方を指向するようにミラーホルダーに取り付けるとともに、空気供給源からの空気をレーザーチップとしての中空針状体の先端から放出するための空気流路を具え、この空気流路は前記第1鏡筒外周部に設けられ第1鏡筒内におけるレンズ装着部を迂回するバイパス、第1鏡筒中空部、第2鏡筒2中空部、ミラーホルダー3中空部およびレーザーチップとしての中空針状体により構成し、前記バイパスは、第1鏡筒1の外周面と前述の鏡筒カバーの内周面により形成される間隙からなっていて、このバイパスの一端には、複数の通気口が設けられ、バイパスの他端にも通気口が複数形成されていて、空気供給源から第1鏡筒に送給された空気は、通気口を経てバイパスを流れて第1鏡筒のレンズ装着部を迂回し、通気口から再び第1鏡筒内に流入してレーザーチップの先端から放出され所定の冷却作用をなすようにしたレーザー治療装置用ハンドピースを実現しようとするものである。
【0007】
【発明の実施形態】
以下、本願発明の実施形態を説明する。
図1は本願発明の1実施形態に係るハンドピースの側面図で、図において1は、第1鏡筒であり、この第1鏡筒1の外周には鏡筒カバー1aが装着されている。 また、2は、前記第1鏡筒1に連結される第2鏡筒で、第1鏡筒1同様に鏡筒カバー2aがその外周に装着されている。 MHは、前記第2鏡筒2の端部に連結されたミラーホルダーであり、その先端部にはレーザーチップTが設けられている。 前記第1鏡筒1、前記第2鏡筒2およびミラーホルダーMHによりハンドピースの本体部が構成されていて、これら各部材は互いの中心軸の合致を安定確保できるように螺合手段により連結されている。
【0008】
図2は、図1に示すハンドピースにおける第1鏡筒1内部の関連構成を示す、一部切欠断面図である。
第1鏡筒内1には、レンズ光軸の平行移動をなすための位置調整手段を有するレンズ保持機構により支持されるレンズ3が所定位置に装着されている。
さて、図2において、4は第1鏡筒1内に遊嵌される筒状のレンズホルダーで、レンズ3はこのレンズホルダー4に弾性嵌合するレンズ押え5によりレンズホルダー4内に固定されている。また、第1鏡筒1内にはレンズホルダー4を挟んで位置決め環6とレンズホルダー押え7が設けられていて、これらは第1鏡筒内周面と螺合するようになっている。 レンズホルダー4、レンズ押え5、位置決め環6およびレンズホルダー押え7によりレンズ保持機構が構成されている。
【0009】
レンズ保持機構は、レンズ光軸の平行移動をなすための位置調整手段を有しているが、この位置調整手段は、第1鏡筒1内に遊嵌されるレンズホルダー4とこのレンズホルダー4を支持する調整ネジ8により構成されているが、これについては、後に詳述する。
【0010】
該実施形態でハンドピースは、空気供給源からの空気をレーザーチップTとしての中空針状体の先端から放出するための空気流路を具えているが、この空気流路は第1鏡筒1外周部に設けられ第1鏡筒内1におけるレンズ装着部を迂回するバイパス9、第1鏡筒1中空部、第2鏡筒2中空部、ミラーホルダー3中空部およびレーザーチップTとしての中空針状体により構成されている。 バイパス9は、図示のように第1鏡筒1の外周面と前述の鏡筒カバー1aの内周面により形成される間隙からなっていて、このバイパス9の一端(図で右方端)には、複数の通気口10が設けられ、バイパス9の他端(図で左方端)にも通気口11が複数形成されている。
空気供給源から第1鏡筒1に送給された空気は、通気口10を経てバイパス9を流れて第1鏡筒1のレンズ装着部を迂回し、通気口11から再び第1鏡筒1内に流入してレーザーチップTの先端から放出され所定の冷却作用をなす。
【0011】
図3は、第2鏡筒2、ミラーホルダーMH、レーザーチップTの関連構成を示す一部切欠断面図である。前述のように、第2鏡筒2とミラーホルダーMHとは螺合手段により連結されており、ミラーホルダーMHの先端部には、前記レンズ3により集束されたレーザー光を反射するためのミラーMが設置されている。
Tは、レーザーチップとしての針状中空体で、一端はレーザー光の入射口となり、他端はレーザー光の出射口となっている。 針状中空体Tは、その軸線がミラーホルダーMHの先端において斜め前方を指向するようにミラーホルダーMHに取り付けられており、前記ミラーMはレンズ3からのレーザー光を針状中空体Tの前記入射口に反射するように所定角度をもってミラーホルダーMHに設置されている。 なお、針状中空体Tの内周面には、レーザー光が中心軸から逸れて周面にあたった場合、これを輾転反射させて出射口Tbに導くために金メッキが施されている。
【0012】
図4は、前記位置調整手段の説明図である。 レンズの位置調整手段は、前述のように第1鏡筒1内に遊嵌されるレンズホルダー4とこのレンズホルダー4を支持する調整ネジ8により構成されている。 調整ネジ8は、第1鏡筒1の外周面から内周面に貫通して穿設されたネジ孔に螺合してレンズホルダー4の外周面に対して接してレンズホルダー4を第1鏡筒1内にあたかも浮いた状態に支持している。 すなわち、前記ネジ孔は、第1鏡筒1の円周に沿って各90度間隔で4個形成されていて、これらに螺合する4本の調整ネジ8がレンズホルダー4の外周面に接してこれを保持するようになっている。各調整ネジ8を第1鏡筒1内に出没させると、レンズホルダー4はこれに垂直に交わる面においてX−Y方向に移動し、したがってレンズの光軸も同様に、X−Y方向に移動することになる。
【0013】
該実施形態に係るハンドピースは、歯科領域において歯周部の疾患治療に対応し、特に歯周ポケットにレーザーチップの先端を挿入してレーザー光を照射できるように設計されている。 このため、レーザーチップとしての前記針状中空体Tは、全長15mm、外径1mm,中空部の径は0.7mmに設定されていて、針状中空体Tのレーザー光の入射口は極めて微細なものとなっている。
【0014】
一方、ハンドピースの組み立てにあたっては、レンズで集束されたレーザー光がレーザーチップとしての針状中空体の中心軸と合致するように、前記各構成部材の寸法精度を高めるとともに正確に各部材を組み込むようにすることは当然であるが、部材の製造工程あるいは各部材の組み込み工程において、微小な誤差が発生し、これがためレンズから入射口にいたるレーザー光軸と各部材の中心軸とのズレが生じレーザー光を針状中空体に入射できない事態の発生を完全に回避することはできない。
【0015】
このようなズレが発生した場合、前記調整手段によりレンズの位置をX−Y方向に移動してレーザー光が針状中空体Tの入射口に達し、さらに入射口においてレーザー光軸と針状中空体Tの中心軸を一致させるようになす。
レーザー光は入射口面のいずれかに達すれば、レーザー光軸と針状中空体Tの中心軸が合致していなくても、すなわち、レーザー光が入射口面と垂交せず所定角度で入射しても、入射光は、針状中空体Tの内周面の金メッキ層により輾転反射されて出射口から出射されるが、この場合前記角度が所定以上であると出力の低下がみられる。
なお、レンズ3の回転方向の調節は、レンズホルダー押え7を外し、調整ネジ8の締結を緩めた状態で爪楊枝等でレンズホルダー4を動かして行う。
【0016】
前述のように、レーザーチップとしての針状中空体Tは、その軸線がミラーホルダーMHの先端において斜め前方を指向するようにミラーホルダーMHに取り付けられているので、口腔内で複雑に入り組んだ部位に対応して針状中空体Tのレーザー光の出射口をセットして所定照射域に正確容易にレーザー光を照射できる。
【0017】
【発明の効果】
本願発明にあっては、以上説明した構成作用により、レンズの傾きのみならずレンズ自体の位置を垂直面におけるX−Y方向に自在かつ容易に移動調節できるから、レーザー光軸と鏡筒その他のレーザー光伝送路との位置関係を精密に制御できる。 したがって、レーザー光の出射端であるレーザーチップの入射口が微小であっても正確にレーザー光を導くことができ、特に歯科、口腔外科等の分野で使用するレーザー治療装置のハンドピースとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 1実施形態に係るハンドピースの外観図である。
【図2】 図1に係るハンドピースの第1鏡筒部分における断面図である。
【図3】 図1に係るハンドピースのミラーホルダー部分における断面図である。
【図4】 図1に係るハンドピースにおける位置調節手段の説明斜視図である。
【符号の説明】
MH.......ミラーホルダー
T.........レーザーチップ(針状中空体)
1.........第1鏡筒
1a........鏡筒カバー
2.........第2鏡筒
2a........鏡筒カバー
3.........レンズ
4.........レンズホルダー
5.........レンズ押え
6.........位置決め環
7.........レンズホルダー押え
8.........調整ネジ
9.........(冷却用空気)バイパス
Claims (1)
- レーザー光発生源と光導通路を介して連結されるハンドピースにおいて、ハンドピースは本体部とこの本体部の端部に設けられ照射域にレーザー光を照射するレーザーチップとを具え、
レーザー光を集束して前記レーザーチップに伝送する前記本体部は、第1および第2鏡筒と、ミラーホルダーとからなり、
前記第1鏡筒内には、レンズ光軸の平行移動をなすための位置調整手段を有するレンズ保持機構により支持されるレンズが所定位置に装着され、
さらに、第1鏡筒内には、筒状のレンズホルダーが遊嵌されており、前記レンズはこのレンズホルダーに弾性嵌合するレンズ押えにより前記レンズホルダー内に固定されていて、このレンズホルダーを挟んで位置決め環とレンズホルダー押えが設けられ、これらは第1鏡筒内周面と螺合するようになっていて、これらのレンズホルダー、レンズ押え、位置決め環およびレンズホルダー押えにより前記レンズ保持機構が構成され、前記ミラーホルダー内にはレンズにより集束されたレーザー光を前記レーザーチップの中心軸方向に反射するミラーを具え、前記第1および第2鏡筒、前記ミラーホルダーは、互いの中心軸を合致させるために嵌め合い部を有するネジ結合により連結され、前記位置調整手段は、レンズを保持して鏡筒内に遊嵌される前記レンズホルダーと、このレンズホルダーを位置調整可能に支持するために鏡筒壁を貫通して出没可能な複数の調整ネジとを具えてこの調整ネジの出没によりレンズホルダーはこれと垂直に交わる面において X − Y 方向に移動し、したがってレンズの光軸も同様に X-Y 方向に移動可能とし、前記レーザーチップは中空針状体で構成して内壁面に金鍍金を施しレーザー光が前記中空針状体の入射口面のいずれかに達すれば、レーザー光軸と針状中空体の中心軸が合致していなくても、すなわち、レーザー光が入射口面と垂交せず所定角度で入射しても、入射光は、針状中空体の内周面の金メッキ層により輾転反射されて出射口から出射されるになす一方、歯周ポケットにレーザーチップの先端を挿入してレーザー光を照射できる
ように前記針状中空体は、全長15mm、外径1mm,中空部の径は0.7mmに設定してレーザー光の入射口を極めて微細なものとし、さらに、前記中空針状体はその軸線がミラーホルダーの先端において斜め前方を指向するようにミラーホルダーに取り付けるとともに、空気供給源からの空気をレーザーチップとしての中空針状体の先端から放出するための空気流路を具え、この空気流路は前記第1鏡筒外周部に設けられ第1鏡筒内におけるレンズ装着部を迂回するバイパス、第1鏡筒中空部、第2鏡筒2中空部、ミラーホルダー3中空部およびレーザーチップとしての中空針状体により構成し、前記バイパスは、第1鏡筒1の外周面と前述の鏡筒カバーの内周面により形成される間隙からなっていて、このバイパスの一端には、複数の通気口が設けられ、バイパスの他端にも通気口が複数形成されていて、空気供給源から第1鏡筒に送給された空気は、通気口を経てバイパスを流れて第1鏡筒のレンズ装着部を迂回し、通気口から再び第1鏡筒内に流入してレーザーチップの先端から放出され所定の冷却作用をなすようにしたことを特徴とするレーザー治療装置用ハンドピース。
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