JP3841214B2 - 電気掃除機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気と塵埃とを分離する塵埃分離部を備えた電気掃除機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。この掃除機本体には、電動送風機の吸込側に連通管としてのホースが連通接続されている。このホースの吸込側には、操作部としての手許操作部が設けられている。この手許操作部の吸込側には、塵埃分離部としての円筒状のサイクロン分離部を介して延長管および吸込口体としての床ブラシが順次連通接続されている。サイクロン分離部は、床ブラシから空気とともに吸い込んだ塵埃を、内周面に沿って空気とともに旋回させることで空気から塵埃を遠心分離する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−166829号公報(第6−8頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の電気掃除機では、塵埃を空気とともに旋回させることで空気から遠心分離するので、塵埃を空気から確実に分離するためには、サイクロン分離部の軸寸法を長くするとともに径寸法を大きくする必要があるから、サイクロン分離部が大型化し、電気掃除機全体として大型化するという問題点を有している。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、小型化が可能な電気掃除機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸込口体ないし連通管の少なくともいずれかの風路に設けられ、吸込口体から空気とともに吸い込まれる塵埃に直進方向の慣性力を与え、空気と塵埃とを分離する塵埃分離部と、この塵埃分離部にて分離された塵埃を集塵する集塵部とを具備し、塵埃分離部は、一端側が上流側風路に連通し他端側が集塵部に連通した筒状の通路と、この通路の一端と他端との間の周壁に設けられ下流側風路に連通する開口と、この開口に取り付けられたフィルタとを備えたものである。そして、塵埃分離部は、空気とともに吸い込まれる塵埃に直進方向の慣性力を与えて空気と塵埃とを分離するので、この塵埃分離部を比較的小型化できるとともに、この塵埃分離部で分離した塵埃を集塵部に集塵することで、掃除機本体に設ける集塵室などを比較的小さくでき、掃除機本体をも小型化できるとともに、一端側が上流側風路に連通し他端側が集塵部に連通した筒状の通路の一端と他端との間の周壁に下流側風路に連通する開口を設け、この開口にフィルタを設けることで塵埃分離部を比較的簡単に構成できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態の電気掃除機の構成を図面を参照して説明する。
【0008】
図5において、1は掃除機本体であり、この掃除機本体1は床面を走行可能である。また、この掃除機本体1は、ケース体2と、このケース体2の上部に後部が連結して回動により上部を開放可能に覆って取り付けられる蓋体3とを備えた本体ケース4を有している。
【0009】
本体ケース4内のケース体2の前側下部には、前方に向けて本体吸込口9が開口されている。また、この本体吸込口9には、連通管としての可撓性を有する伸縮管である蛇腹状のホース体11の排気側、すなわち基端側が着脱可能に連通接続される。このホース体11の吸気側である先端側には、操作部としての手許操作部である筒状の握り管部12が設けられている。この握り管部12の下部には、集塵部としての略筒状の集塵室13が着脱可能に取り付けられている。さらに、握り管部12の吸気側である先端側には、伸縮可能な直線パイプ状の延長管14を介して吸込口体としてのノズル体である床ブラシ15が着脱可能に連通されて接続される。
【0010】
ここで、本体ケース4内には、電動送風機16が、本体ケース4の前後方向の中心域よりも若干後側に偏位して収容されている。この電動送風機16の前側である吸込側は、本体吸込口9を介してホース体11、握り管部12および床ブラシ15のそれぞれの排気側である基端側に連通している。すなわち、ホース体11は一端側である先端側が床ブラシ15に連通し、他端側である基端側が電動送風機16の吸込側に連通する。また、床ブラシ15は、電動送風機16の吸込側に連通する。そして、本体吸込口9と電動送風機16の吸込側との間には、床ブラシ15から空気とともに吸い込んだ微細な塵埃、すなわち細塵を分離する図示しないフィルタ体が、図示しない細塵用集塵室内に着脱可能に取り付けられている。さらに、本体ケース4内には、図示しないコードリールが収容され、このコードリールに巻回された電源コード17が本体ケース4の後部から導出されている。
【0011】
また、握り管部12は、図1ないし図3に示すように、延長管14と同軸上に直線状となる略円筒状の前側部21を先端側に備え、この前側部21の軸方向に対して鈍角状に軸方向を有する略円筒状の後側部22を基端側に備えている。そして、この後側部22の前側部21と反対側の端部、すなわち後側部22の基端側には、ホース体11の先端側に接続される接続部となる円筒状の摺動部23が後側部22に対して周方向に摺動可能に接続されている。これら前側部21、後側部22および摺動部23により、握り管部12は、側面視で略への字状に、すなわち鈍角状に屈曲されている。
【0012】
前側部21は、先端側、すなわち後側部22と反対側の端部に先端接続部24を有しており、この先端接続部24の基端側、すなわちこの先端接続部24と後側部22との間には、収容部25が先端接続部24と一体に設けられている。
【0013】
先端接続部24は、図1および図2に示すように、延長管14の基端側が挿入されて着脱可能に連通接続される吸入口26を先端側に備え、この吸入口26には、先端接続部24内に直線状に設けられた風路部27が連通している。この風路部27は、先端接続部24を貫通して設けられている。したがって、先端接続部24は、略円筒状に設けられている。さらに、風路部27は、延長管14と同軸上に設けられている。また、風路部27の収容部25側の開口端には、図1に示すように、収容部25に向けて縮径、すなわち絞られた縮径部としての絞り部28が設けられている。このため、絞り部28は、後述する塵埃分離部42に対して上流側風路である延長管14の基端側に連通している。
【0014】
また、収容部25は、先端接続部24よりも外径寸法および内径寸法が大きい略円筒状に形成されている。この収容部25の外周面の両側には、図3に示すように、略矩形状の窓部29がそれぞれ設けられている。これら窓部29は、収容部25の軸方向に沿って長手状に開口形成された窓部開口30を備えている。これら窓部開口30には、これら窓部開口30を閉塞して窓部材31がそれぞれ取り付けられている。これら窓部材31は、例えば透光性を有する、すなわち透明な合成樹脂などの部材で形成されている。そして、収容部25内には、図1に示すように、略円筒状の通路32が設けられている。この通路32は、収容部25の先端側に位置した管部33と、この管部33に連通接続された突当て部としての連通管34とを備えている。
【0015】
管部33は、図1および図2に示すように、先端側が風路部27の排気側である基端側に連通し、この風路部27と同軸上に設けられている。したがって、管部33は、延長管14と同軸上に設けられている。また、この管部33は、先端側である先端接続部24側から基端側である連通管34側に向けて縮径された略円筒状に形成されている。したがって、管部33の外周面は、円錐台状となっている。さらに、管部33の先端接続部24側の開口寸法は、先端接続部24の風路部27の絞り部28の内径寸法よりも大きく形成されている。言い換えると、絞り部28の内径寸法は、管部33の先端側の内形寸法よりも小さく形成されている。なお、管部33の基端側、すなわち連通管34側の内径寸法は、風路部27の絞り部28の内径寸法よりも小さくてもよい。
【0016】
また、管部33の周壁には、この周壁を管部33の径方向に貫通する開口35が複数、例えば4つ設けられている。これら開口35は、管部33の基端側がこの管部33の先端側よりも幅狭に形成された略台形状に設けられている。またさらに、これら開口35は、管部33の周方向に略等角度に互いに離間されている。そして、これら開口35には、フィルタとしてのネット状の第1のフィルタ36が取り付けられている。この第1のフィルタ36は、窓部29に対向しており、この窓部29から握り管部12の収容部25の外部に臨んでいる。言い換えると、第1のフィルタ36は、窓部29を介して握り管部12の外部から目視可能になっている。
【0017】
さらに、収容部25内の管部33の周囲は、下流側風路として後側部22の先端側に連通する通気風路37となっている。この通気風路37は、開口35に連通し、かつこの開口35および第1のフィルタ36を介して管部33の内部と連通している。すなわち、連通風路37は、通路32の一部である管部33と略同軸、すなわち同軸状に握り管部12内に設けられている。したがって、収容部25は、管部33と通気風路37とにより、同軸状の二重管構造に形成されている。
【0018】
またさらに、管部33の基端側には、図2に示すように、連通口38が、管部33と同軸上に設けられている。この連通口38は、管部33の軸方向に沿ってこの管部33を貫通して設けられ、連通管34の先端側と連通している。
【0019】
通路32の一部である連通管34は、図1および図2に示すように、側面視で下側に向けて約90°屈曲したL字状のパイプであり、連通口38と反対側の端部が、収容部25と後側部22との隣接部に穿設された円形状の下部連通口39に連通接続されている。したがって、連通管34は、握り管部12の外部と連通している。
【0020】
また、下部連通口39の内周縁部には、可撓性を有するシール部としてのパッキン41が全周に亘って取り付けられている。このため、連通管36は、集塵室13が握り管部12の下部に取り付けられた状態で、集塵室13に対して気密になるように連通接続される。この結果、通路32は、一端側である先端側が、絞り部28、風路部27および吸入口26を介して上流側風路である延長管14および床ブラシ15に連通し、他端側である基端側が下部連通口39を介して集塵室13内に連通している。
【0021】
そして、風路部27、絞り部28、通路32、開口35および第1のフィルタ36などにより、床ブラシ15から空気とともに吸い込んだ塵埃に直進方向の慣性力を与えて空気と塵埃とを分離する塵埃分離部42が構成されている。したがって、塵埃分離部42は、握り管部12内に設けられており、延長管14により床ブラシ15と直線状に連通されている。
【0022】
また、収容部25は、作業者が把持することで握り管部12により床ブラシ15などを操作可能にする把持部43を後側部22側の外周面に備えている。この把持部43は、収容部25の基端側に設けられており、この収容部25の基端側に突出し、摺動部23の基端側の上方に亘って下方に湾曲している。そして、この把持部43には、図5に示すように、電動送風機16の駆動状態などを設定する設定ボタン44が複数設けられている。
【0023】
さらに、後側部22内には、図1および図2に示すように、直線円筒状、すなわち直線パイプ状の通路部45が同軸上に収容されている。この通路部45は、先端側である前側部21の収容部25側の端部が、この収容部25と同軸上に開口し、かつ基端側である摺動部23側の端部が後側部22と同軸上に開口するとともに摺動部23内にまで延設されている。
【0024】
そして、後側部22の外周面の上側の前側部21側である把持部43の下方には、取付孔46が穿設されている。また、通路部45の外周面における取付孔46に対向する部分には、この取付孔46と同軸上に貫通取付孔47が穿設されている。
【0025】
またさらに、取付孔46および貫通取付孔47には、弁体としてのリーク弁53が挿入されて取付孔46および貫通取付孔47の周方向に沿って回動可能に取り付けられている。
【0026】
後側部22の外周面の下側には、図4に示すように、略矩形状の通気開口としての開口部84が穿設されている。この開口部84は、通路部43の外周面の下側まで貫通して設けられ、集塵室13を握り管部12の下部に取り付けた状態で集塵室13の基端側に対して気密になるように連通接続される。この開口部84の縁部の先端側の側方には、複数、例えば2対、すなわち4つの爪状の固定部85が突出して一体に設けられている。
【0027】
また、開口部84の内周縁部には、図1および図2に示すように、可撓性を有するシール部としての開口パッキン86が開口部84の全周に亘って取り付けられている。
【0028】
一方、集塵室13は、図4に示すように、握り管部12の後側部22の軸方向に略平行な直線状の軸方向を有する略円筒状に形成され、握り管部12の下部における前側部21と後側部22との隣接部近傍、すなわち握り管部12の狭角部側のスペースに着脱可能に取り付けられている。この集塵室13は、一般的な作業者が片手で把持可能な程度の大きさを有している。また、集塵室13は、略円筒状の集塵室本体91を備え、この集塵室本体91の一端側の開口には、蓋体としての集塵室底蓋である集塵蓋部92が開閉可能に取り付けられている。
【0029】
集塵室本体91は、握り管部12の下部に取り付けられた状態で上側に位置する集塵室上蓋としての上部本体93と、この上部本体93の下側に位置する下部本体94とを有している。
【0030】
上部本体93は、図4に示すように、下部本体94の上端部の両側に沿ってそれぞれ設けられ、集塵室13の一端側である先端側よりの位置が互いに連結されて平面視略H字状に形成されている。また、上部本体93は、集塵室13を握り管部12の下部に取り付けた状態で握り管部12の収容部25と後側部22との隣接部の近傍に位置する。
【0031】
また、下部本体94は、図3に示すように、例えば透明な合成樹脂などの部材で形成されている。そして、この下部本体94は、下方に湾曲した断面半円形状に形成されている。このため、下部本体94内には、図1および図2に示すように、塵埃分離部42にて分離された塵埃が収容される断面半円形状の塵埃収容部95が集塵室本体91内に形成されている。
【0032】
また、この下部本体94の上端部には、図1ないし図3に示すように、矩形状の集塵室連通孔98が穿設されている。この集塵室連通孔98は、下部本体94の軸方向の他端側である基端側に設けられている。したがって、この集塵室連通孔98は、集塵室13を握り管部12の下部に取り付けた状態で、開口パッキン86により開口部84に気密になるように連通する。また、この集塵室連通孔98には、この集塵室連通孔98を横断して細長矩形状のリブ99が設けられている。このリブ99により、集塵室連通孔98は集塵室13の軸方向に2分割されている。そして、集塵室連通孔98には、この集塵室連通孔98の全面を閉塞して第2のフィルタ101が取り付けられている。
【0033】
またさらに、下部本体94の軸方向の一端側である先端側には、図1ないし図4に示すように、円形状の集塵室通気孔103が穿設されている。この集塵室通気孔103は、図1および図2に示すように、集塵室13を握り管部12の下部に取り付けた際に、パッキン41により下部連通口39に対して気密になるように連通する。言い換えると、塵埃分離部42と集塵室13とは、下部連通口39および集塵室通気孔103により互いに連通している。
【0034】
そして、上部本体93と下部本体94との隣接部の軸方向の中心域には、図3および図4に示すように、固定部85に対して係脱される矩形状の一対の脱着ボタン111が設けられている。この脱着ボタン111は、集塵室13の集塵室本体91の軸方向に沿って所定距離だけ摺動すなわちスライド可能に取り付けられている。この脱着ボタン111は、スライドにより固定部85に対して係合が外れることで握り管部12から集塵室13を取り外し可能にする。
【0035】
集塵蓋部92は、円形キャップ状に形成され、集塵室本体91に対して閉じた際に、集塵室本体91の基端側の開口を閉塞する。また、この集塵蓋部92には、集塵蓋部92を集塵室本体91に対して固定および開放する開閉クランプ116が嵌合して取り付けられている。
【0036】
次に、上記一実施の形態の掃除動作を説明する。
【0037】
まず、本体吸込口9にホース体11の基端を連通接続させるとともに、先端に床ブラシ15が連通接続された延長管14の基端を、ホース体11の握り管部12の先端接続部24に連通接続させ、集塵室13を握り管部12の下部に取り付ける。
【0038】
この後、握り管部12の把持部43を把持しつつ、この把持部43の所定の設定ボタン44をオンして本体ケース4内の電動送風機16を駆動させ、作業者が把持部43を把持して床ブラシ15を前後方向に向けて操作して掃除する。
【0039】
このとき、電動送風機16の駆動により、床面上の塵埃が床ブラシ15から空気とともに吸い込まれる。
【0040】
この床ブラシ15から吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに延長管14内をこの延長管14の軸方向に沿って直線状に通過し、握り管部12の先端接続部24内の風路部27に流入し、絞り部28により流速を速められつつ吸入口26を介して握り管部12の収容部25の管部33内に流入する。
【0041】
管部33内に流入した吸込風は、第1のフィルタ36を通過して開口35から通気風路37へと流入する。言い換えると、吸込風は、管部33にて吸込風および塵埃の移動方向と交差する方向である管部33の径方向、すなわち外周側に向けて流される。この後、この吸込風は、握り管部12の後側部22内の通路部45内を通過して、ホース体11内へと流入し本体吸込口9から本体ケース4内に流入する。
【0042】
一方、所定以上の質量がある塵埃、すなわち比較的大きい塵埃は、吸込風により直進方向の慣性力が与えられた状態で管部33内に流入し、この慣性力により延長管14と同軸上に管部33内を直線状に移動して連通口38を介して連通管34に流入し、この連通管34の屈曲部に突き当たって下部連通口39および集塵室通気孔103を介して集塵室13内に導入される。
【0043】
この結果、床ブラシ15から空気とともに吸い込んだ塵埃が、慣性力により塵埃分離部42にて塵埃と空気とに分離、すなわち慣性分離される。言い換えると、空気と塵埃とを、空気にて旋回流を起こさない直進分離により分離する。
【0044】
集塵室13内に導入された塵埃は、集塵室13の塵埃収容部95内に収容される。
【0045】
さらに、通路部45内を通過する吸込風により、通路部45が集塵室13内よりも負圧となり、集塵室連通孔98および開口部84から集塵室13内の空気が第2のフィルタ101を介して通路部45内へと引き込まれ、集塵室13内にも集塵室通気孔103から集塵室連通孔98へと向かう空気の流れが形成される。この空気の流れにより、集塵室13の塵埃収容部95内の塵埃が、集塵室13の軸方向の集塵室連通孔98側寄り、すなわち集塵蓋部92側寄りに圧縮される。
【0046】
そして、本体ケース4内に流入した吸込風は、細塵用集塵室の細塵用フィルタを通過してこの吸込風に残留した細塵を分離された後、電動送風機16を通過して排気風となり、図示しない排気孔から本体ケース4の外部に排気される。
【0047】
さらに、例えば机の上などを掃除する場合には、床ブラシ15および延長管14を取り外した状態で使用し、握り管部12の先端接続部24から空気とともに塵埃を吸い込んで、上記動作と同様にして塵埃と空気とを分離する。
【0048】
また、塵埃が集塵室13内に所定量溜まった際には、作業者が片手で集塵室13の下側を支持した状態で一対の脱着ボタン111をスライドさせて集塵室13を握り管部12から取り外し、集塵蓋部92を開けて集塵室13内の塵埃を図示しないごみ箱などに廃棄し、集塵蓋部92を閉じて集塵室13を握り管部12に再び取り付けて使用する。
【0049】
上述したように、上記一実施の形態では、床ブラシ15から空気とともに吸い込まれた塵埃に直進方向の慣性力を与え、空気と塵埃とを分離する塵埃分離部42を、ホース体11の先端側に設け、この塵埃分離部42にて分離された塵埃を集塵室13にて集塵する構成とした。
【0050】
この結果、塵埃分離部42による充分な塵埃分離性能を確保しつつ、塵埃分離部42を、例えばいわゆるサイクロン式で空気を塵埃とともに旋回させて塵埃を遠心分離する場合などと比較して、軸寸法を短くできるとともに、径寸法を小さくできるので、小型化、すなわちコンパクト化できるとともに、この塵埃分離部42で分離した比較的大きい塵埃を集塵室13に集塵することで、掃除機本体1には比較的小型の細塵用集塵室などを設けるだけで済み、掃除機本体1をも軽量化およびコンパクト化でき、掃除機本体1の取り回しを向上できる。
【0051】
したがって、電気掃除機全体としてコンパクト化でき、掃除機本体1内に集塵部を有する一般的ないわゆるキャニスタ型の電気掃除機と比較して、電気掃除機の吸い込みの仕事率、すなわち吸込仕事率などの性能面を妥協することなく理想に近づけた掃除機本体1の大きさ、あるいは重量を実現可能になる。
【0052】
しかも、サイクロン式で空気を塵埃とともに旋回させて塵埃を遠心分離する場合と比較して、空気の経路を短くできるため、吸込圧力の損失を抑制できる。
【0053】
また、通路32、開口35および第1のフィルタ36などの比較的簡単な構成で塵埃分離部42を形成することにより、電気掃除機全体としての製造性を向上できる。
【0054】
さらに、握り管部12の先端接続部24の風路部27に絞り部28を設けることにより、床ブラシ15から空気とともに吸い込んだ塵埃の流速が絞り部28により管部33に向けて速められるので、塵埃の運動エネルギを空気から分離する直前で大きくでき、管部33内で塵埃をより効率よく慣性分離できる。
【0055】
そして、塵埃分離部42を、作業者が把持して床ブラシ15を操作する把持部43を備えた握り管部12内に設けることにより、塵埃分離部42を床ブラシ15、延長管14、あるいはホース体11などに設けた場合と比較して、握り管部12にて床ブラシ15を、より操作しやすくできる。
【0056】
また、塵埃分離部42の開口35に連通する連通風路37を、管部33と同軸上に設けることにより、これら連通風路37および管部33を別々に平行に構成する場合と比較して、握り管部12を細く、すなわちスマートかつスリムにでき、握り管部12の重量の増加を必要最小限に留めることができる。
【0057】
さらに、集塵室13を塵埃分離部42の下部に設けることにより、集塵室13を塵埃分離部42から取り外す際に、塵埃が集塵室13から毀れたりすることで塵埃を周囲に撒き散らすことを抑制できるとともに、塵埃分離部42内に残留した塵埃が自重で集塵室13に落下して集塵される確率が増し、より確実に集塵できる。
【0058】
そして、作業者が片手で集塵室13の下側を支持した状態でこの集塵室13を握り管部12から取り外しできるので、この取り外しの際に作業者が集塵室13を誤って落下させることなどをも抑制できる。
【0059】
しかも、集塵室13は、握り管部12の把持部43の下方に位置しているから、握り管部12と集塵室13との重心が垂直上下方向に直線的になり、作業者が把持部43を把持して床ブラシ15を操作する際に、この把持部43には握り管部12と集塵室13との自重のみが垂直上下方向に加わる。
【0060】
このため、集塵室13を把持部43に対して比較的遠い位置に設けた場合と比較して、操作時に不必要なモーメントが発生せず、床ブラシ15を容易に操作できる。同時に、掃除をする際の一連の動作の中で、作業者が一方の手で把持部43を把持して床ブラシ15を操作し、かつ他方の手で容易に集塵室13を取り外し、作業者が屈むなどすることなく比較的楽な姿勢で集塵室13内の塵埃を廃棄できるなど、操作性および使い勝手をより向上できる。また、上側に構造物を有する、例えばベッドなどの下側に床ブラシ15を挿入する際に、集塵室13が上側の構造物の邪魔にならないため、掃除性をより良好にできる。
【0061】
またさらに、集塵室13の下部本体94を、透明な部材で設けることにより、集塵室13の塵埃収容部95に集塵された塵埃の量などを容易に外部から目視確認できる。しかも、作業者が手元で掃除の際の塵埃を作業中に目視できることで、作業者が掃除をしている感覚、すなわち作業者の掃除感をも良好にできる。
【0062】
そして、握り管部12の収容部25に透明な窓部材31を備えた窓部29を設けることにより、塵埃分離部42の第1のフィルタ36への塵埃の付着による目詰まりなどを外部から容易に目視確認できる。
【0063】
また、連通管34を、透明な部材で設けることにより、この連通管34の詰まりなどを外部から容易に目視確認できる。
【0064】
この結果、塵埃分離部42の保守管理、すなわちメンテナンスなども容易にできる。
【0065】
さらに、サイクロン式の塵埃分離部および集塵部を延長管に一体に設けた従来の場合と比較して、握り管部12を被掃除面に対して、より近づけることが可能になるから、例えば机の上を掃除する際などにも塵埃分離部42および集塵室13が邪魔になることがなく、手軽に掃除でき、使い勝手をさらに向上できる。
【0066】
またさらに、比較的大きな塵埃を、塵埃分離部42および集塵室13によりホース体11の先端側で除去できるので、塵埃を掃除機本体1内で集塵する場合と比較して、ホース体11の太さを小さくできる。
【0067】
この結果、ホース体11を軽量化および短縮化でき、掃除の際に床ブラシ15をより容易に操作できるとともに、塵埃の風路が短くなることで、塵埃が詰まると除去することが容易でない蛇腹状のホース体11に、塵埃が詰まることを抑制できる。
【0068】
そして、例えば金属針(ピン)、あるいは金属製の刃などを床ブラシ15から誤って吸い込んだ場合でも、これら金属針、あるいは金属製の刃などがホース体11内には吸い込まれないから、可撓性を有する比較的軟質のホース体11が、これら金属針、あるいは金属製の刃などで傷付くことをも防止できる。
【0069】
また、塵埃分離部42の風路部27および管部33を延長管14と同軸状に設けることにより、床ブラシ15から吸い込んだ空気が一直線状に管部33まで吸い込まれるので、塵埃の速度を吸込風の速度に近づけることができるとともに、吸込圧力の損失を低減でき、吸込仕事率をより向上できる。
【0070】
さらに、通路部45内を通過する吸込風により、集塵室13内に集塵室通気孔103から集塵室連通孔98へと向かう空気の流れを形成して、集塵室13の塵埃収容部95内の塵埃を、集塵蓋部92側寄りに圧縮することで、集塵室13内の塵埃収容部95の容積を効率よく使用できる。
【0071】
またさらに、集塵室連通孔98に第2のフィルタ101を設けることにより、集塵室13の塵埃収容部95内に収容された塵埃がホース体11へと吸い込まれることを、より確実に防止できる。
【0072】
そして、パッキン41を下部連通口39の内周縁部に取り付け、かつ開口パッキン86を開口部84の内周縁部に取り付けることにより、塵埃分離部42、集塵室13および通路部45を気密な状態で接続でき、吸込風が外部に漏れることによる吸込圧力の低下、あるいは塵埃が外部に漏れることなどを防止できる。
【0073】
なお、上記一実施の形態において、塵埃分離部42は、握り管部12の前側部21内だけでなく、床ブラシ15、延長管14、握り管部12およびホース体11など、床ブラシ15の先端からホース体11の基端までの風路の任意の部分、すなわち床ブラシ15ないしホース体11の少なくともいずれかの位置に設けることが可能である。
【0074】
また、延長管14を使用しない電気掃除機などにも適用可能である。
【0075】
さらに、吸込口体としては、床ブラシ15以外にも、例えば鶴口など、他の様々な吸込口体が可能である。
【0076】
またさらに、集塵室13を設ける位置は、塵埃分離部42の下部に限定されず、例えば塵埃分離部42の周囲など、他の様々な場所に設けることが可能である。
【0077】
そして、塵埃分離部42は、吸込風を周囲に流して直線状に塵埃を慣性分離する構成であれば、上記構成に限定されない。
【0078】
また、塵埃分離部42および集塵室13は、それぞれ複数個ずつ設けて集塵効率を向上してもよい。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、塵埃分離部は、空気とともに塵埃を直線状に移動させて空気と塵埃とを分離するので、この塵埃分離部を比較的小型化できるとともに、この塵埃分離部で分離した塵埃を集塵部に集塵することで、掃除機本体に設ける集塵室などを比較的小さくでき、掃除機本体をも小型化できるとともに、一端側が上流側風路に連通し他端側が集塵部に連通した筒状の通路の一端と他端との間の周壁に下流側風路に連通する開口を設け、この開口にフィルタを設けることで塵埃分離部を比較的簡単に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電気掃除機の一実施の形態の一部を示す側面断面図である。
【図2】 同上電気掃除機の一部を示す断面斜視図である。
【図3】 同上電気掃除機の一部を示す斜視図である。
【図4】 同上電気掃除機の集塵部の取り外し状態を示す斜視図である。
【図5】 同上電気掃除機を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 掃除機本体
11 連通管としてのホース体
12 操作部としての握り管部
13 集塵部としての集塵室
14 延長管
15 吸込口体としての床ブラシ
16 電動送風機
28 縮径部としての絞り部
29 窓部
32 通路
35 開口
36 フィルタとしての第1のフィルタ
37 連通風路
42 塵埃分離部
43 把持部
Claims (8)
- 電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に連通する連通管と、
この連通管に連通する吸込口体と、
この吸込口体ないし前記連通管の少なくともいずれかの風路に設けられ、前記吸込口体から空気とともに吸い込まれる塵埃に直進方向の慣性力を与え、空気と塵埃とを分離する塵埃分離部と、
この塵埃分離部で分離された塵埃を集塵する集塵部とを具備し、
前記塵埃分離部は、
一端側が上流側風路に連通し他端側が前記集塵部に連通した筒状の通路と、
この通路の一端と他端との間の周壁に設けられ下流側風路に連通する開口と、
この開口に取り付けられたフィルタとを備えた
ことを特徴とした電気掃除機。 - 塵埃分離部は、上流側風路に連通し筒状の通路の上流側に位置してこの通路に向けて縮径された縮径部を備えた
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。 - 把持部を備え、吸込口体ないし連通管の少なくともいずれかに設けられ、把持されて前記吸込口体を操作可能にする操作部を具備し、
塵埃分離部は、前記操作部内に設けられた
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。 - 塵埃分離部の開口に連通し、筒状の通路の少なくとも一部と同軸に操作部内に設けられた連通風路を具備した
ことを特徴とした請求項3記載の電気掃除機。 - 集塵部は、塵埃分離部の下部に設けられた
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の電気掃除機。 - 吸込口体と塵埃分離部とを直線状に連通接続する延長管を具備し、
塵埃分離部は、通路の少なくとも一部が、前記延長管と同軸に設けられた
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の電気掃除機。 - 塵埃分離部のフィルタの少なくとも一部に対向して設けられ、透光性を有する窓部を具備した
ことを特徴とした請求項1ないし6いずれか一記載の電気掃除機。 - 塵埃分離部は、通路の少なくとも一部が透光性を有する部材で設けられた
ことを特徴とした請求項7記載の電気掃除機。
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