JP3840776B2 - 吸水性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
吸水性樹脂組成物及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定化剤を含有する吸水性樹脂組成物、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吸水性樹脂は、衛生材分野、農業園芸分野、食品流通分野、土木建築分野、化粧品やトイレタリー分野、医療分野、電気電子分野、塗料接着剤分野等、種々の分野において利用され、生活の必需品となってきている。
【0003】
また、砂漠の緑化への利用等、地球環境保全への応用に関する検討も活発に行われている。
【0004】
このように、その用途が拡大増加するに伴い、要求される性能も厳しくなってきており、従来のもののように、単に吸水効果が高いだけでは満足されないようになってきている。例えば、衛生品の分野では、いわゆるドライタッチの向上や、漏れ率の低減が求められ、吸水倍率よりもゲル化率の高い吸水性樹脂が求められている。
【0005】
このため、架橋度の高い吸水性樹脂の開発が積極的に進められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、吸水性樹脂の用途として期待される農業園芸分野、土木建築分野等における屋外での使用を考えたとき、光や温度等、過酷な条件変化に対応可能な吸水性樹脂が求められている。
【0007】
近年、地球環境保全に対する関心の高まりから、砂漠の緑化等に利用できる吸水性樹脂のニーズが高まっており、かかる吸水性樹脂を安価に、且つ大量に供給する必要が生じている。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みて提案されたものであって、屋外使用での経時安定性に優れる吸水性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を克服せんものと鋭意研究を重ねた結果、吸水性樹脂に光安定化剤を含有させることで、光による経時変化を大幅に抑えることができるとの知見を得るに至った。
【0010】
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の吸水性樹脂組成物は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂にスルホン酸基が導入されてなる吸水性樹脂に光安定化剤を添加したことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の製造方法は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂に予め光安定化剤が添加された樹脂組成物を加水分解処理し、上記アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂にスルホン酸基を導入することを特徴とするものである。
【0012】
光安定化剤のような安定化剤を含有させることで、光安定性に優れたものとなり、吸水性樹脂の耐候性が大幅に改善される。
【0013】
また、特に、使用済み樹脂廃材(一般に、これら使用済み樹脂廃材は、安定化剤を含有する。)を原料として利用することにより、資源の有効利用が可能となり、地球環境保全の点でも好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の吸水性樹脂は、イオン基が導入された高分子材料を主体とし、安定化剤を含有してなるものである。
【0016】
ここで、本発明の吸水性樹脂の主体をなすイオン基が導入された高分子材料としては、以下のものを挙げることができる。
【0017】
(1)アクリル酸、またはその塩、あるいはこれら両者の架橋ポリマー。例えば次のような方法により得られる。
アクリル酸ナトリウム+架橋剤(架橋モノマー)→重合→乾燥
【0018】
(2)デンプン、ポリビニルアルコールにアクリル酸、その塩、アクリロニトリルをグラフト重合したポリマー。例えば次のような方法により得られる。
a.デンプン+アクリル酸+架橋剤→グラフト重合→中和→乾燥
b.デンプン+アクリロニトリル→グラフト重合→加水分解→中和→乾燥
【0019】
(3)アクリル繊維の加水分解物。例えば次のような方法により得られる。
アクリロニトリル+アクリル酸+N−メチロールアクリルアミド→重合→紡糸→加水分解→乾燥
【0020】
(4)ポリビニルアルコールの架橋ポリマー。例えば次のような方法により得られる。
ポリビニルアルコール→架橋(オルトリン酸、放射線等)→乾燥
【0021】
(5)アクリロニトリル、さらには必要に応じてスチレン、共役ジエンを含有するポリマーの加水分解物(酸処理物)。
【0022】
上記(5)の高分子材料は、構成ユニットとして、アクリロニトリルユニットを含有するため、イオン基が導入されても水溶性を示すことがない。アクリロニトリルユニットを含有する高分子材料は、イオン基の導入の際にアクリロニトリルのニトリル部分が加水分解されることにより、改質物が吸水性を示すことになる。
【0023】
ここで、上記(5)の高分子材料におけるアクリロニトリルユニットの含有量は、2〜95モル%、好ましくは10〜60モル%、より好ましくは20〜50%である。
【0024】
アクリロニトリルの含有量が少なすぎると、吸水効果が低下するとともに、イオン基の導入後得られる吸水性樹脂が水溶性を示すことになり、吸水性樹脂として使用することが不可能となってしまう。
【0025】
一方、アクリロニトリルの含有量が多すぎると、高分子材料自体が硬くなるために、粉砕し難くなり、改質反応が困難になったりする。また、アクリロニトリルの含有量が多すぎると、他の構成ユニットであるスチレンや共役ジエンの含有量が少なくなるために、溶媒やスルホン化剤等の酸に対して膨潤し難くなり、イオン基の導入が難しくなる。このため、吸水樹脂として実用上の必要条件となる電解質水溶液に対する吸水効果が低下してしまう。
【0026】
また、上記高分子材料のアクリロニトリル以外の構成ユニットとしては、スチレン、共役ジエン(ブタジエン、イソプレン等)が挙げられる。これらの構成ユニットには、イオン基導入操作(酸処理又はアルカリ処理を行う)によりイオン基(酸性基又はアルカリ基)が導入され、吸水性を向上させる。
【0027】
アクリロニトリル以外の構成ユニットの含有量としては、スチレン、共役ジエンの少なくとも1種類以上を5〜95モル%以上、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは40〜85モル%、より好ましくは50〜80モル%である。
【0028】
また、上記高分子材料は、アクリロニトリルの他に、スチレン、共役ジエンが含有されていれば、さらに、別の構成ユニットが含有されていてもよい。これら他の構成ユニットとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、α−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(炭素数:1〜10の飽和及び不飽和炭化水素 )、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0029】
上記アクリロニトリルを含有した高分子材料の重量平均分子量(Mw)としては、1000〜20000000、さらには、10000〜1000000が一般的である。分子量が1000より小さい場合には、改質処理をした際に水溶性を示すことになり、所望の吸水性樹脂が得られない。一方、分子量が20000000より大きい場合には、改質処理が難しくなる。ただし、高分子材料が廃材である場合には、樹脂間に架橋が形成されている場合があるため、特に分子量に限定されない。
【0030】
具体的に本発明に用いられるアクリロニトリルを含有する高分子材料としては、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、SAN樹脂(スチレン−アクリロニトリル樹脂)、ASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂)、ACS樹脂(アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリル−スチレン樹脂)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等が挙げられる。
【0031】
上述した高分子材料は、本発明の改質処理を阻害しない樹脂であれば、他の異なる樹脂が混合されいてもよい。異なる樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。なお、これらの樹脂は、高分子材料全体に対して60重量%以下の割合で混合されることが望ましい。これは、これら異なる樹脂の含有量が60重量%を越えると、イオン基の導入反応が阻害される虞があるためである。
【0032】
なお、上述した高分子材料は、新たに製造されたバージン材であってもよいし、樹脂原料や成形品の生産過程での排出品(半端品)や、各種用途のカバーやケース、電化製品や自動車等に使用された筐体や各種部品材料、チューブやホース、各種緩衝材等の、ある特定の用途を目的として成型された使用済みの樹脂である廃材であってもよい。又は、使用済み樹脂である廃材とバージン材との混合物であってもよい。排出場所としては、工場、販売店、過程等のいずれであってもよいが、家庭からの一般廃棄物より工場や販売店等から回収されたものの方が、比較的組成がそろったものが多いためより好ましい。
【0033】
高分子材料からなる廃材は、一般に大きく分けて、埋め立て、焼却、再溶融の3種類の手法にて処理されている。この中でも、国内では、埋め立てと焼却が全体の約90%を占め、ほとんどリサイクルされていないのが現状である。
【0034】
廃材のリサイクルとしては、一般に、加熱溶融し再成形する(但し、熱可塑性樹脂のみ)することが行われている。しかしながら、熱による品質の劣化(分子量低下、樹脂の酸化等)や、ゴミ等の異物の混入、または種々の着色剤、補強剤となる無機顔料、金属粉顔料を含有した樹脂が混入することにより色合わせが必要になる等、多くの問題があった。このように、廃材を加熱溶融によりリサイクルする場合、処理技術や処理コストが大きな障害となっていた。
【0035】
したがって、これを有効利用できれば、資源の有効利用につながり、地球の環境保全に貢献することができる。
【0036】
また、この高分子材料は、顔染料や難燃剤、可塑剤、充填剤、その他補助剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0037】
特に、無機顔料及び/又は金属粉顔料を含有する高分子材料は、改質反応の際に同顔料が同材料表面からはずれ易くなり、ポーラス状の表面が発生し反応表面積が増加することから、改質反応が促進される。引き続いて、このポーラス状の表面は、改質反応が活発化することで軟化状態となる。そのため、さらに深部に存在する顔料までが同材料から脱離されることになり、改質反応はより加速化されることになる。
【0038】
以上の理由により、顔料を含有する高分子材料は、改質反応の促進が図られ、改質後の高分子材料の表面は、深部までがポーラスな状態となる。したがって、この高分子材料から得られる吸水性樹脂は、吸水面積が多くなることから、吸水倍率、吸収速度の点から飛躍的に向上する。
【0039】
上述した無機顔料及び/又は金属粉顔料の含有量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。
【0040】
顔料の含有量が少なすぎると、高分子材料の改質反応に対する促進効果が低くなる。一方、顔料の含有量が多くなりすぎると、経済的に不利になったり、改質反応のコントロールが困難になる。
【0041】
これら無機顔料及び金属粉顔料としては、上述した高分子材料に対して分散性の良好であるものが好ましく、カーボンブラック、鉄黒、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、群青、紺青、コバルトブルー、リトポン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、黄色酸化鉄、アンバー、シエンナー、オーカー、ビリジアン、アルミニウム粉、真鍮粉、ブロンズ粉等が挙げられる。特に、カーボンブラック、酸化チタンが好ましい。
【0042】
カーボンブラックは、チャンネル法、ファーネス法、サーメル法のいずれの方法によって製造されたものでもよく、それぞれの単独又は複数の併用で用いてもよい。なお、平均粒子径としては、5〜500μm、好ましくは10〜50μmである。
【0043】
酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、長微粒子チタンのいずれのタイプでもよく、それぞれの単独又は複数の併用で用いてもよい。なお、平均粒子径としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.05〜10μmである。
【0044】
これら無機顔料や金属粉顔料は、高分子材料中に単独で含有されていてもよいし、2種類以上混合して含有されていてもよい。
【0045】
また、これら無機顔料や金属粉顔料は、吸水性樹脂を製造することを目的として、上述した高分子材料に添加してもよいし、着色剤、隠ぺい剤、補強剤、電気伝導性付与剤として他の目的で添加されたものであってもよいし、両方の目的であってもよい。通常、上述の使用済み樹脂廃材は、これら無機顔料や金属粉顔料等の顔染料を含んでおり、さらには後述の安定化剤も含んでいるので、新たにこれらを添加する必要がなく、この点でも有利である。
【0046】
上記(5)の加水分解物に導入されるイオン基としては、スルホン酸基、スルホン酸塩、クロロメチル化アミン基、カルボキシル基(カルボン酸基)、カルボン酸塩、−PO(OH)2、−PO(OH)2塩、−CH2PO(OH)2、−CH2PO(OH)2塩、−NO2が挙げられる。このなかでも、スルホン酸基、スルホン酸塩、クロロメチル化アミン基、カルボン酸塩が好ましい。これらイオン基は、単独であっても、2種類以上導入されていてもよい。
【0047】
このイオン基の導入量は、全ユニットに対して、5〜95モル%、好ましくは10〜70モル%である。
【0048】
イオン基の導入量が多すぎると、高分子材料の改質物が水溶性を示してしまい、吸水性樹脂として使用できなくなってしまう。一方、イオン基の導入量が少ないと、吸水効果が低下してしまい、特に電解質水溶液に対する吸水性効果が低下してしまう。
【0049】
これらイオン基の導入は、上述の高分子材料を加水分解処理(酸処理)することにより行われる。
【0050】
酸処理に用いられる酸としては、無機酸が好ましい。無機酸としては、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸等のスルホン化剤や、硝酸、発煙硝酸、燐酸、塩化燐、酸化燐等が挙げられる。これらの中では、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸が好ましく、特に濃度70重量%以上の濃硫酸が好ましい。
【0051】
上述した無機酸と高分子材料とを反応させることにより、アクリロニトリル部は加水分解を受け、アミド基やカルボキシル基が導入される。一方、スチレン部や共役ジエン部には、スルホン酸や−PO(OH)2、−CH2PO(OH)2、ニトロ基等のイオン基が導入されることになる。
【0052】
なお、上述した酸処理において、スルホン化剤を用いる場合、ルイス塩基を併用してもよい。このルイス塩基としては、アルキルフォスフェート(トリエチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート)、ジオキサン、無水酢酸、酢酸エチル、パルミチン酸エチル、ジエチルエーテル、チオキサン等が挙げられる。この酸処理において、併用されるルイス塩基の添加量は、高分子材料中のモノマーユニット全体に対して1〜200モル%とされ、好ましくは、2〜100モル%とされる。この酸処理において、ルイス塩基の添加量が上述した範囲より少ないと、反応中にゲル化物が発生し易くなり好ましくない。また、ルイス塩基の添加量が上述した範囲より多いと、スルホン化反応が進行し難くなってしまい好ましくない。
【0053】
上述した酸の仕込量としては、酸の濃度に大きく影響を受けるが、概ね高分子材料の重量に対して、1〜500倍、好ましくは5〜200倍である。
【0054】
酸の仕込量が少なすぎると、スチレンや共役ジエンへのイオン基の導入率及びアクリロニトリルの加水分解率が低下することになり、吸水性樹脂としての性能(吸水性)が低下してしまう。一方、酸の仕込量が多すぎると、過剰分の酸を水洗及び中和することが必要になり、経済的にも作業的にも不利になる。
【0055】
これら酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。併用する場合は、混合してもよいし、逐次添加してもよい。例えば、濃硫酸で処理した後に、無水硫酸で処理してもよい。
【0056】
ここで、具体的に、酸処理は、以下のように行われる。
【0057】
(イ)先ず、高分子材料に対して濃硫酸又はクロルスルホン酸のいずれか一方を添加し、次に、無水硫酸又は発煙硫酸のいずれか一方を添加することが好ましい。この手法では、先ず、濃硫酸又はクロルスルホン酸のいずれか一方が添加されることによって、高分子材料中のスチレンや共役ジエン部にスルホン基が導入される。そして、次に、無水硫酸又は発煙硫酸のいずれか一方が添加されることによって、同高分子材料がスルホン架橋されることとなる。このため、この手法によれば、架橋度の高い吸水性樹脂を得ることができる。したがって、この手法によれば、水系で優れた形状安定性を有する機能性樹脂を得ることができる。
【0058】
(ロ)先ず、溶媒中でスルホン化剤(無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、濃硫酸等)と高分子材料とを反応させることによって、高分子材料中にスルホン基を導入することができる。または、溶媒中にn−ブチルリチウムを添加し、さらにドライアイスと反応させることによって、高分子材料中にカルボキシル基を導入することができる。または、溶媒中に三塩化燐を添加し、さらに加水分解することによって、高分子材料中に−PO(OH)2 基を導入することができる。
【0059】
(ハ)ポリスチレン系樹脂廃材については、クロロメチルエーテルとルイス酸とによりクロロメチル化し、さらにアンモニアや各種アミン化合物と反応させるおとによって、樹脂に3級又は4級アミン塩をイオン基として導入することができる。ポリスチレン系樹脂をクロロメチル化物と三塩化燐と反応させ、さらに加水分解することによって、ポリスチレン系樹脂に−PO(OH)2 基を導入することができる。
【0060】
(ニ)硫酸と硝酸の混合液と反応させることによりポリマーに−NO2 基を導入することができる。
【0061】
上述した改質処理は、酸水溶液中で行ってもよいが、有機溶媒を用いた系で行ってもよい。
【0062】
反応系に用いられる溶媒としては、炭素数1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水素(好ましくは1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン)、脂肪族環状炭化水素(好ましくは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン)、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウ、炭素数1〜7のパラフィン系炭化水素、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトン、メチルエチルケトン、チオフェン等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜2の脂肪族ハロゲン化炭化水素、脂肪族環状炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二酸化イオウである。これら溶媒は、そのもの単体で用いてもよいし、複数混合して用いてもよい。上述した溶媒内での混合比率は、特に限定されない。
【0063】
これら有機溶媒の添加量は、高分子材料重量に対して約200倍未満であることが好ましい。有機溶媒の添加量がこの範囲より多い場合には、改質処理の反応率が低くなるとともに、経済的にも不利である。
【0064】
なお、上記改質処理に一度使用した酸及び有機溶媒は、反応終了後回収してそのまま、あるいは抜き取りや蒸留等の手法により回収して再度反応に使用してもよい。
【0065】
上述したような酸処理においては、原料となる高分子材料の粒径を細かしておくことが好ましい。高分子材料の表面積を増加させることにより、改質処理される部分を増加させることになり、高分子材料に対するイオン基の導入率を向上させることができる。
【0066】
このように高分子材料の粒径を細かくするためには、高分子材料の塊を粉砕機等により粉砕し、この粉砕物を振るい分けするといった手法が挙げられる。高分子材料にゴム成分が含有されている場合には、低温で廃材を凍結させた後に粉砕処理を行うことが好ましい。
【0067】
また、ポリスチレン系樹脂等のような高分子材料をの粒径を細かくするためには、高分子材料を加熱溶融し、加熱溶融した高分子材料を微小な粒子状にするといった手法を用いることもできる。
【0068】
具体的に本発明において、イオン基の導入率を向上させるためには、高分子材料の小片サイズを3.5メッシュ以上のメッシュサイズを通過するものとすることが好ましい。高分子材料の小片サイズがこれより大きくなると、被反応物の表面積が小さくなり改質処理されにくくなるため、反応時間がかかり実用的でにとともに、吸水性樹脂として性能(吸水性)が大幅に低下することになる。
【0069】
なお、上述した高分子材料へのイオン基の導入反応では、イオン基を導入する際に、反応系に分散剤を添加してもよい。これによって、高分子材料は、反応系において良好に分散することとなり、イオン基の導入率が向上したものとなる。
【0070】
さらに、上述した改質処理の反応温度は、使用する酸の種類、有機溶媒の使用の有無で大きく異なるが、0〜200℃とされ、好ましくは、30〜150℃とされる。温度が低くすぎると、反応速度が遅くなり実用的でないとともに、イオン基の導入率が低下して良好な吸水効果が得られなくなる。一方、温度が高すぎると、熱分解により高分子材料の分子鎖が切断されやすくなり、樹脂が水溶性を示してしまい、吸水性樹脂として使用できなくなる。
【0071】
また、反応時間は、反応温度によって大きく異なるが、概ね1分〜80時間とされ、好ましくは、5分〜20時間とされる。反応時間が短すぎると、反応が十分に進行しない。一方、反応時間が長すぎると、生産効率が悪くなってしまう。
【0072】
以上、酸処理によりイオン基が導入された反応物は、反応系全体を多量の水で洗浄するか、逆性の水溶液で中和するとよい。
【0073】
反応後のポリマーを洗浄する方法としては、多量の水や塩基性水溶液に反応液をそのまま加えるか、もしくは反応系から反応物を先ずフィルター等でろ過し、これを多量の水や塩基性水溶液に投入する等の方法が挙げられる。このとき、高分子材料中のニトリル基は、アミド基もしくはカルボキシル基(またはその塩)に転換される。
【0074】
塩基性水溶液に使用する塩基性物質としては、アルカリ金属(ナトリウム、リチウム、カリウム等)やアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)の酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩等や、アンモニアや各種(1〜3級)アミン化合物等が挙げられ、これらをそのまま、もしくは水溶液の状態で反応系中に徐々に添加していき中和処理を完結させる。
【0075】
ただし、ポリマーの吸水効果を向上させるためには、中和せずに水洗のみを行うことが望ましい。
【0076】
以上のようにして得られた改質物は、ゲル状であるために、天日、加熱、減圧、遠心及びプレス等の乾燥処理が施され、イオン基が導入された高分子材料(5)となる。
【0077】
本発明の吸水性樹脂は、上記イオン基が導入された高分子材料(1)〜(5)を主体とし、さらに安定化剤を含有するものである。
【0078】
安定化剤としては種々のものが挙げられるが、例えば酸化防止効果を有するものとしては、以下に示すフェノール系、イオウ系、リン系、その他のものを挙げることができる。
【0079】
<フェノール系>
2,6−ジ−t−ブチル−P−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニゾール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1、3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス[3,3′−ビス−(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、α−トコフェロール(ビタミンE)、ノルジヒドログアヤレチック酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルベンジル)4−メチルフェノール、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート。
【0080】
<イオウ系>
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)。
【0081】
<リン系>
トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイトフェニルイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノリルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ及び/又はジノリルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトレイルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトレイルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレン−ジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト。
【0082】
<その他>
エリソルビン酸、エリソルビン酸ソーダ、クエン酸イソプロピル。
【0083】
また、光安定化の効果を有するものとしては、以下に示すベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、サリシレート系、オキザリックアシッドアニリド系のものを挙げることができる。
【0084】
<ベンゾフェノン系>
2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン。
【0085】
<ベンゾトリアゾール系>
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール。
【0086】
<ヒンダードアミン系(主にHALSで総称されるもの。)>
ビス−[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]セバケート、ビス−[N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)2−n−ブチルマロネート、テトラキス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル混合)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル混合)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル混合}1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル混合}1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]。
【0087】
<シアノアクリレート系>
エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート。
【0088】
<サリシレート系>
フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート。
【0089】
<オキザリックアシッドアニリド系>
2−エトキシ−2′−エチルオキザリックアシッドビスアニリド。
【0090】
以上の安定化剤は、吸水性樹脂中に単独で含まれていてもよいし、2種以上複数のものが含まれていてもよい。ただし、同じ系、例えば酸化防止剤同士、あるいは光安定化剤同士が含まれるよりは、異なる系のものを含有している方が様々な要因(光や熱)に対する安定性効果を得るという点で好ましい。
【0091】
これらの安定化剤は、上述のイオン基を有する高分子材料に直接添加してもよいし、例えば酸処理等によりイオン基を導入する場合に、原料となるポリマーに予め含有されていてもよい。さらには、吸水性樹脂の製造時に添加してもよいし、前述の各段階で複数に分けて添加してもよい。
【0092】
吸水性樹脂に直接添加する方法としては、吸水性樹脂に安定化剤を個体状でブレンドする方法や、もしくは安定化剤を分散もしくは溶解した水溶液を吸水性樹脂に吸収させる方法等が挙げられる。
【0093】
製造時に安定化剤を添加する方法としては、例えばデンプンにアクリル酸をグラフト重合した吸水性樹脂の場合には、グラフト重合を経て中和の後に反応系に安定化剤を添加し、次に乾燥することで製造することができる。アクリル酸ソーダの架橋ポリマー型の吸水性樹脂の場合には、アクリル酸ソーダと架橋剤とによる重合の後、安定化剤を添加し乾燥することにより製造することができる。なお、安定化剤にはラジカルを捕獲するものが多いため、重合前に添加すると重合が阻害される虞れがあるため、重合以降に添加することが好ましい。
【0094】
原料ポリマー中に予め安定化剤が含有されている例としては、ABS樹脂廃材(安定化剤含有樹脂:ただし、安定化剤の含有量が不足するときには、追加添加を行う。)が挙げられ、これを例えば熱硫酸で処理した後、水洗、乾燥することにより製造することができる。
【0095】
すなわち、原料ポリマー中に予め安定化剤が含有されている場合、安定化剤を含有する高分子材料を加水分解処理し、イオン基を導入する。例えば、高分子材料が、アクリロニトリルを構成ユニットとして含有するポリマーである場合には、濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硝酸、発煙硝酸、燐酸、塩化燐、酸化燐により加水分解処理(酸処理)によりイオン基を導入する。
【0096】
上記安定化剤の添加量は、製造方法を問わず、吸水性樹脂(乾燥重量)中、0.00001〜20重量%であることが好ましく、0.0001〜5重量%であることがより好ましい。添加量がこれより少ないと安定化剤としての効果が不足し、添加量が多すぎると吸水性樹脂の性能に悪影響を及ぼす虞れがありコスト面でも不利である。
【0097】
以上のように安定化剤を吸水性樹脂の製品や製造中に添加することにより、加熱酸化や光酸化反応が抑制されるところとなり、吸水性樹脂の分子量低下を抑制することが可能となる。したがって、屋外使用時での経時安定性に優れた吸水性樹脂とすることが可能である。
【0098】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明がこれら実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0099】
実施例1
使用済みのパソコンの筐体[ABS樹脂廃材:樹脂組成として、スチレンユニットを48モル%、アクリロニトリルユニットを39モル%、ブタジエンユニットを13モル%含有。安定化剤として、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.2重量%含有。]を冷凍粉砕し、32〜65メッシュの粉砕物を樹脂原料とした。
【0100】
次に、この粉砕物3gを濃硫酸(濃度:96重量%)90g中に加え、80℃で20分間反応させた。反応終了後、系内の固形物をグラスフィルターでろ過し、水洗の後、循風乾燥器にて115℃で2時間乾燥を行った。
【0101】
これらの操作により黒色の吸水性樹脂が得られた。
【0102】
この吸水性樹脂中のスルホン酸基は、全モノマーユニットの38モル%で、安定化剤の含有量は0.012重量%(対乾燥重量)であった。
【0103】
実施例2
使用済み8mmカセットテープのガードパネル(透明部分)[SAN樹脂廃材:樹脂組成として、スチレンユニットを64モル%、アクリロニトリルユニットを36モル%を含有。安定化剤として、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートを0.2重量%、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.1重量%含有。]を粉砕し、32〜65メッシュの粉砕物を樹脂原料とした。
【0104】
次に、この粉砕物3.5gを、濃硫酸(濃度:89重量%)90g中に加え、60℃で60分間反応させた。その後、発煙硫酸(SO3 60重量%含有)0.5gを追加添加し、さらに30分間反応を行った。
【0105】
反応終了後、反応系中の固形物をグラスフィルターでろ過し、水洗の後、乾燥機にて2時間乾燥した。これにより、透明な吸水性樹脂が得られた。
【0106】
この吸水性樹脂(実施例2)中のスルホン酸基は、全モノマーユニットの47モル%であり、安定化剤のうち前者の含有量は0.01重量%、後者の含有量は0.008重量%(対乾燥重量)であった。
【0107】
実施例3
デンプンをα化処理した後、重合濃度が20重量%でデンプン/アクリル酸=20/80(重量%比)となるように仕込み、レゾックス系触媒(H2O2触媒量:0.1モル%)を用いて重合を行った。
【0108】
重合終了後、水酸化ナトリウムにてポリアクリル酸分の70モル%を中和し、次に、ポリマー純分に対して0.01重量%となるようにエリソルビン酸ソーダを重合ゲルに練り込んだ。
【0109】
その後、乾燥器にて乾燥を行うことで、安定化剤を含む吸水性樹脂を得た。
【0110】
実施例4
市販の橋かけポリアクリル酸ソーダ型吸水性樹脂1gに1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンの0.001重量%水溶液5gを吸収させ、その後乾燥を行うことで安定化剤を含有する吸水性樹脂を得た。
【0111】
実施例5
市販のポリビニルアルコール架橋型吸水性樹脂1gにフェニルサリシレートの0.002重量%エタノール溶液2gを吸収させ、その後乾燥を行うことで安定化剤を含有する吸水性樹脂を得た。
【0112】
比較例1
試薬のSAN樹脂(樹脂組成として、スチレンを60モル%、アクリロニトリルを40モル%含有し、安定化剤は含有していない。)を粉砕、分級し、32〜65メッシュの固形物を取り出した。
【0113】
これを実施例2と同様の操作で処理し、透明の吸水性樹脂を得た。この吸水性樹脂中のスルホン酸基は全モノマーユニットの44モル%であった。これを比較例1とした。
【0114】
比較例2
市販のデンプン/アクリル酸ソーダグラフト型吸水性樹脂を比較例2とした。
【0115】
比較例3
市販の橋かけポリアクリル酸ソーダ型吸水性樹脂を比較例3とした。
【0116】
比較例4
市販のポリビニルアルコール架橋型吸水性樹脂を比較例4とした。
【0117】
以上の各吸水性樹脂(実施例1〜5、比較例1〜4)について、経時安定性を以下の方法により評価した。
【0118】
評価1
上記各吸水性樹脂、及びこれらを純水にて50倍に膨潤させたものを、90℃で100時間、オーブンで加熱乾燥した。
【0119】
この加熱処理後、得られた乾燥物と乾燥前の吸水性樹脂について、純水に対する吸水倍率の変化(吸水効果の低減率)[(加熱処理後の吸水倍率/加熱前の吸水倍率)×100(%)]を測定し、比較を行った。結果を表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
この表1を見ると明らかなように、本発明を適用した各実施例1〜5は、比較例1〜4に比べて熱に対する優れた経時安定性を示すことがわかる。
【0122】
評価2
上記各吸水性樹脂、及びこれらを純水にて50倍に膨潤させたものに対して、15W、100VのUVランプ(距離50cm)にて照射を50時間行った。
【0123】
その後、照射処理後得られたものと未照射のものとを同じ条件(90℃、2時間)で乾燥し、得られた樹脂の純水に対する吸水倍率の違い[(照射処理品/未照射品)×100(%)]を測定し、比較を行った。結果を表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】
この表1を見ると明らかなように、本発明を適用した各実施例1〜5は、比較例1〜4に比べて光に対する優れた経時安定性を示すことがわかる。
【0126】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、吸水性に優れ、しかも光に対する経時安定性に優れた吸水性樹脂組成物を提供することができる。このような特性を有する吸水性樹脂組成物は、砂漠緑化等、屋外使用に適したものであり、吸水性樹脂組成物の応用範囲を大幅に拡大することができる。
【0127】
また、本発明の吸水性樹脂組成物を製造する際に、使用済みとなった樹脂廃材を原料として利用すれば、資源の有効活用につながり、地球環境保全に貢献することができる。
Claims (8)
- アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂にスルホン酸基が導入されてなる吸水性樹脂に光安定化剤を添加したことを特徴とする吸水性樹脂組成物。
- 上記光安定化剤の乾燥重量における含有量が0.00001〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載の吸水性樹脂組成物。
- 上記光安定化剤が、ベンゾフェノン系光安定化剤、ベンゾトリアゾール系光安定化剤、ヒンダートアミン系光安定化剤、シアノアクリレート系光安定化剤、サリシレート系光安定化剤、オキザリックアシッドアニリド系光安定化剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の吸水性樹脂組成物。
- 上記吸水性樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂の加水分解処理物であることを特徴とする請求項1記載の吸水性樹脂組成物。
- 上記アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂は、アクリロニトリルユニットを2〜95モル%含有していることを特徴とする請求項4記載の吸水性樹脂組成物。
- アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂に予め光安定化剤が添加された樹脂組成物を加水分解処理し、上記アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂にスルホン酸基を導入することを特徴とする吸水性樹脂組成物の製造方法。
- 上記加水分解処理を濃硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸から選ばれる1種以上により行うことを特徴とする請求項6記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
- 上記樹脂組成物は、使用済み樹脂からなる廃材であることを特徴とする請求項6記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
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