JP3840648B2 - ビデオ表示装置 - Google Patents
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Description
本発明は、ビデオ・ディスプレイ装置の偏向回路に関する。特に、本発明は、陰極線管(CRT)用のイースト−ウエスト(East−West:E−W,以下左右と称す)糸巻きひずみ補正回路の制御段に関する。
発明の背景
経済的理由で、大抵の大画面CRTディスプレイでは、アルタ(ultor)電圧すなわち高電圧の発生は、ラスタ補正水平偏向回路の一部であるフライバックトランスで行われる。ビーム電流の変動は、フライバックトランスの一次巻線におけるピーク電流および高電圧の変調を引き起こす。一次電流の変調は望ましくない偏向電流の変調を生じる。高電圧の変動は偏向感度を変え、ラスタ・サイズを変動させる。
左右(East−West)ラスタ補正回路は、回路の動作を安定化させるために帰還を必要とする。左右ラスタ補正回路における従来技術の帰還は、リトレース・パルスを積分し、直流誤差電圧を得て、垂直周波数の左右ドライブ電圧と比較する。積分時定数は左右ラスタ補正回路の線形動作の周波数応答を決定する。水平偏向回路のスイッチ動作のために、帰還は比較的長い時定数(幾つかの水平ライン期間)を必要とする。従って、高電圧の突然の変化を生じる素速いビーム電流の変化は十分に素早く補償されないこともある。
従来技術の左右ラスタ補正回路にはリトレース期間の少なくとも後半の間にフライバックトランスの一次巻線と偏向回路とをある程度絶縁させるものもある。このような絶縁式ラスタ補正回路の一例はフォワード・レギュレータ(forward regulator)である。ハファール(Haferl)氏に付与された「ラスタひずみの補正」という名称の米国特許第5,399,945にはフォワード・レギュレータの一例が記述されている。
フォワード・レギュレータは、一次巻線と共振偏向回路との間にスイッチング・トランジスタが接続されている。フォワード・レギュレータの制御回路は、動作を安定化させるため直流帰還を必要とする。素速いビーム電流の変化によって引き起こされる“マウスティース(mouseteeth)”ラスタひずみのような偏向電流の乱れは、リトレース期間の後半での絶縁により相当に減らされる。
フライバック・トランスの負荷が変化すると、それに応じて、一次巻線のピーク電流が変化する。ピーク電流の変調により引き起こされるラスタのひずみは、帰還ループを介して補正される。直流帰還ループに関連する比較的長い時定数は不十分な効果を生じ、不利である。特に、素速い負荷の変化は目に見えるほどのラスタのひずみを生じる。
発明の概要
発明的な特徴を具体化する偏向回路において、制御回路は、サンプリング・コンデンサの両端で電荷比較技術を使用して、偏向リトレース電流とイースト−ウエスト(east−west,以下左右という)ドライブ電流を比較する。有利なことに、この回路は、自己安定化され、直流帰還を必要としない。この回路は、直流帰還ループを必要とせずに、負荷の変動を直ちに補償する。したがって、応答時間は、帰還ループを使用した場合よりもずっと早く、偏向回路のパラメータ、例えば、偏向周波数、一次巻線のインダクタンス、ヨークのインピーダンス、にのみ依存する。更に、使用されるサンプリング方法は線形動作および熱に対する安定性を改善する。
発明的な特徴を実施するにあたり、ビデオ表示装置は、リトレース期間の間、リトレース共振回路内に含まれる偏向コイルを備える。第1のスイッチは、第1の偏向周波数と関連する周波数の第1のスイッチ制御信号に応答すると共に、偏向コイルに結合されて、偏向コイルに偏向電流を発生する。サンプリング・スイッチが偏向コイルと第1のコンデンサに結合されて、偏向電流の大きさを示す信号をサンプリングすると共に、一定の偏向周期の第1の部分の間に、偏向電流の大きさを示す第1のコンデンサに第1の電荷を貯える。第2の偏向周波数に関連する周波数の変調信号源は第1のコンデンサに結合されて、一定の偏向周期の第2の部分の間に、第1の電荷と反対方向に変調信号の大きさを示す第2の電荷を第1のコンデンサに貯える。比較器は、第1と第2の電荷から第1のコンデンサに発生される信号に応答し、その間の差に従って、第2のスイッチ制御信号を発生する。第3のスイッチは、前記第2のスイッチ制御信号に応答し、偏向コイルに結合されて、ラスタのひずみを補正するように偏向電流を制御する。
請求の範囲と実施例との対応関係を図面で使われている参照符号で示すと次の通りである。
1.リトレース期間の間、リトレース共振回路(100)内に含まれる偏向コイル(LH)と、
第1の偏向周波数(fH)に関連する周波数の第1のスイッチ制御信号(V101)に応答し、前記偏向コイルに結合されて、前記偏向コイル内に偏向電流(i3)を発生する第1のスイッチ(Q2)と、
第1のコンデンサ(C4)と、
前記偏向コイルと前記第1のコンデンサに結合され、前記偏向電流の大きさを示す信号(V2)をサンプリングすると共に、サンプリングされた信号を、一定の偏向周期の第1の部分(リトレース)の間に、前記第1のコンデンサに加え、前記偏向電流の大きさを示す第1の電荷を前記第1のコンデンサに貯える第2のスイッチ(D7)と、
第2の偏向周波数に関連する周波数の変調信号源(301)であって、前記第1のコンデンサに結合されて、前記一定の偏向周期の第2の部分(トレース)の間に、前記第1の電荷と反対方向に、前記変調信号の大きさを示す第2の電荷を前記第1のコンデンサに貯える、前記変調信号源(301)と、
前記第1と第2の電荷から前記第1のコンデンサ内に発生される信号に応答して、その間の差に従って、第2のスイッチ制御信号(V6)を発生する比較器(Q4、Q5)と、
前記第2のスイッチ制御信号に応答し、且つ前記偏向コイルに結合されて、ラスタのひずみを補正するように前記偏向電流を制御する第3のスイッチ(Q1)とから成る、ビデオ表示装置。
2.(リトレースの間)前記第1の電荷(C4における)が貯えられており、前記第1のコンデンサに発生される電圧(V4)がランプ波であり、前記比較器(Q4、Q5)が前記ランプ波電圧に応答し、前記比較器の閾値レベルが交差すると、前記第2のスイッチ制御信号(V6)を発生する、請求項1記載のビデオ表示装置。
3.前記第2のスイッチ(D7)が、前記リトレース期間の対応する部分(リトレースの前半)の間に、前記偏向コイル(LH)に発生されるリトレース・パルス電圧(V2)の一部分をサンプリングする、請求項1記載のビデオ表示装置。
4.前記第2のスイッチ(D7)が、前記リトレース・パルス電圧(V2)のピーク電圧をサンプリングし、前記ピーク電圧の発生に続いて、前記第1のコンデンサ(C4)を前記リトレース共振回路(100)から切り離す、請求項3記載のビデオ表示装置。
5.前記第1のコンデンサ(C4)が、前記偏向コイル(LH)に結合され、前記リトレース共振回路(100)内に含まれ、前記リトレース期間の一部分の間に、リトレース容量を形成する、請求項1記載のビデオ表示装置。
6.前記リトレース共振回路(100)が、第2のリトレース容量(C3)を含んでいる、請求項5記載のビデオ表示装置。
7.第2のコンデンサが、前記第1のコンデンサ(C4)に結合され、容量性の分圧器を形成して前記第2のコンデンサを一方向に充電し、第4のスイッチが、前記第2のコンデンサに結合されて前記第2のコンデンサを反対方向に充電する、請求項1記載のビデオ表示装置。
8.フライバック・コンデンサ(C1)が、供給インダクタンス(W1)に結合され、前記リトレース期間の一部分の間に、前記第3のスイッチ(Q1)を介して前記偏向コイル(LH)に結合されるフライバック共振回路(99)を形成し、フォワード・レギュレータを形成する、請求項1記載のビデオ表示装置。
9.前記供給インダクタンス(W1)が、フライバックトランス(T)の一次巻線から成り、前記フライバックトランスは、アルタ端子(ULTOR)に結合され、ビーム電流の変動に従って変動する負荷を前記フライバックトランスに対して形成し、前記第3のスイッチ(Q1)が、前記リトレース共振回路(100)を前記負荷から切り離す、請求項8記載のビデオ表示装置。
10.前記第3のスイッチ(Q1)は、前記リトレース期間の第1の部分(リトレースの前半)の間、導通状態で動作し、前記リトレース期間の第2の部分(リトレースの後半)の間、非導通状態で動作する、請求項1記載のビデオ表示装置。
11.前記第3のスイッチ(Q1)が、左右変調器内に含まれる、請求項1記載のビデオ表示装置。
12.前記変調信号(i7)の一定の大きさに対し、前記第1の電荷(C4における)を前記第2の電荷と均しく保つように前記偏向電流(i3)が制御される、請求項1記載のビデオ表示装置。
13.前記偏向電流の大きさを示す信号(V2)の変化が、それと対応する前記第1の電荷(C4における)の変化を1周期ごとに生じる、請求項1記載のビデオ表示装置。
14.前記第1の電荷(C4における)が、前記第2の電荷(トレース期間)よりも相当に短い期間(リトレース期間)中に発生される、請求項1記載のビデオ表示装置。
15.リトレース共振回路(100)内に含まれる偏向コイル(LH)と、
偏向周波数(fH)に関連する周波数の第1のスイッチ制御信号(V101)に応答し、前記偏向コイルに結合されて偏向電流(i3)を発生し、且つ前記偏向コイル内の前記偏向電流の大きさを示すリトレース・パルス電圧(V2)を発生する第1のスイッチ(Q2)と、
第2のコンデンサ(C6、C7)に結合され、容量性分圧器を形成する第1のコンデンサ(C4)と、
前記リトレース・パルス電圧を前記容量性分圧器に印加し、偏向周期(リトレース)の一部分の間に、前記リトレース・パルス電圧の一部分を前記第1のコンデンサに発生する第2のスイッチ(D7)と、
前記第1のコンデンサに結合され、前記変調信号に従って前記第1のコンデンサに発生される電圧を変化させる左右変調信号(i7)の源(301)と、
前記第1のコンデンサに発生される電圧に応答する比較器(Q4、Q5)と、
前記比較器の出力信号(V6)に応答し、前記偏向コイルに結合され、ラスタのひずみを補正するように前記偏向電流を制御する第3のスイッチ(Q1)と、から成る、ビデオ表示装置。
16.前記比較器(Q4、Q5)の閾値が、交差すると、前記比較器が、前記出力信号(V6)を発生する、請求項15記載のビデオ表示装置。
17.前記第2のコンデンサ(C6、C7)に結合され、前記偏向周期の部分に先立ち、前記第2のコンデンサ内に貯えられた電荷を初期化する第4のスイッチ(D8)を更に含んでいる、請求項15記載のビデオ表示装置。
18.前記第2のスイッチ(D7)と前記第4のスイッチ(D8)の各々が、それと対応する、前記第2のコンデンサ(C6、C7)の端子(60)に結合されるダイオードを含んでいる、請求項17記載のビデオ表示装置。
19.入力供給電圧源を更に含み、供給インダクタンス(W1)が、前記入力供給電圧(B+)源に結合されて、前記供給インダクタンス内にフライバック・パルス電圧(V1)を発生し、前記第3のスイッチ(Q1)が、前記供給インダクタンスと前記リトレース共振回路(100)に結合され、前記供給インダクタンスを前記リトレース共振回路に結合させ、前記リトレース共振回路内のエネルギの損失を補充し、前記第3のスイッチは、前記リトレース・パルス電圧の制御可能な部分の間、前記リトレース共振回路から前記供給インダクタンスを切り離す、請求項15記載のビデオ表示装置。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の特徴を具体化するラスタ補正水平偏向回路の回路図を示す。
第2a−2h図は、第1図の回路の動作を説明するのに役立つ波形を示す。
発明の詳細な説明
本発明の特徴を具体化する第1図の水平偏向回路250は、フォワード・レギュレータ型のラスタ補正偏向回路である。水平偏向回路250は、例えば、カラー陰極線管(CRT)Philips 110°A66 EAK 222X11型において水平偏向を行う。回路250は、PAL標準で約15.625KHzの水平周波数fHで動作するスイッチング・トランジスタQ2およびダンパ・ダイオードDQ2を備える。リトレース・コンデンサC3は、トランジスタQ2およびダイオードDQ2と並列に結合される。偏向コイルLHはS字整形コンデンサまたはトレース・コンデンサC2と直列に結合され、トランジスタQ2とダイオードDQ2とリトレース・コンデンサC3の各々と並列に結合される分岐回路を形成し、水平リトレースの間、リトレース共振回路100を形成する。
発明的な特徴を具体化するラスタひずみ補正回路200は、リトレースの間、フライバック回路251のMOS(metal oxide semiconductor)スイッチング・トランジスタQ1のスイッチングのタイミングを制御する左右(E-W)制御回路300を備える。フライバック回路251のフライバックトランスTの一次巻線W1は、B+電圧源とダイオードD1のアノードとの間に結合される。ダイオードD1のカソードはスイッチング・トランジスタQ1のドレイン電極に結合される。フライバック・コンデンサC1はダイオードD1と一次巻線W1間の接続端子W1aに結合され、巻線W1と共に、回路251のフライバック共振回路99を形成する。トランジスタQ1のソース電極は、端子62を介して、回路250のトランジスタQ2のコレクタに結合される。スイッチング制御電圧V101は端子62に偏向電流i3およびリトレース電圧V2を発生する。
水平発振器と位相検波器(第1図に詳細に示さず)を含む制御段101は水平同期信号H SYNC INに応答する。水平同期信号H SYNC INは、例えば、テレビジョン受像機のビデオ検波器(図示せず)から得られ、共通の導体または大地電位を基準とする。リトレース電圧V2から発生されるリトレース電圧V3は、コンデンサC6とコンデンサC7を介して結合され、容量性の分圧器を形成し、共通の導体または大地電位を基準とする低振幅のリトレース電圧V4aを得る。電圧V4aは制御段101の入力101aに加えられ、リトレース・パルス電圧V2とコイルLH内の偏向電流i3をビデオ信号の同期信号HSYNC INに同期させる。制御段101は、スイッチング電圧V101を、従来のドライブ段(図示せず)を介して、トランジスタQ2のベース・エミッタ接合部に加え、水平周波数fHのベース・ドライブ電流を発生する。
フライバック・トランスTは、トランスTの高電圧巻線W2から発生される高電圧ULTOR(アルタ)の発生に必要なエネルギを貯える。コンデンサC1は、フライバック・トランスTの一次巻線W1用のフライバック・コンデンサとして作用する。エネルギの回復は、コンデンサC1の両端に結合されるダンパ・ダイオードD2で行われる。絶縁ダイオードD1は、エネルギが、トランジスタQ1と並列に結合されるダイオードDQ1を介して、偏向回路250からフライバックトランスTの中へ戻るのを防止する。偏向回路250は、アルタ電圧を発生するのに必要なエネルギの一部を供給しないので、フライバック・トランスTは低いインピーダンスを有する。フォワード・レギュレータのトランジスタQ1は偏向回路250に加えられるエネルギを制御する。
第2a−2h図は、第1図の回路の動作を説明するのに役立つ波形を示す。第1図および第2a−2h図で、同様な符号および数字は同様な要素および機能を示す。
第1図のトランジスタQ1とQ2は、トレース期間の間、導通している。トレース期間の間、コンデンサC5における電圧V5は抵抗R2を介してトランジスタQ1のゲートに結合され、トランジスタQ1をオンにする。リトレース期間の開始時、第2a図の時点t0において、トランジスタQ2(第1図)はカット・オフになる。その結果、フライバック・コンデンサC1両端のフライバック電圧V1とリトレース・コンデンサC3両端のリトレース電圧V2は、第2a図に示すように、増加し始める。トランジスタQ1(第1図)は、トランジスタQ1のスイッチング・ゲート-ソース電圧V6の波形を示す、第2f図の制御可能な時点(時刻t1とt2間)でオフにされる。
ラスタの最上部で、トランジスタQ1は、第2c図の時刻t1でターン・オフする。中心の近くで、ターン・オフの時点は時刻t2の方へ移動し、その結果、第1図で電圧V2の垂直周期の包絡線波形で示すように、偏向電流が増加する。
一次巻線W1(第1図)の電流は、第2c図に電流i1で示すように、トレースの終りの方で増加する。リトレースの間、一次巻線W1の電流は、電流i1とi2に分割される。電流i1は、トランジスタQ1(第1図)を通って、偏向回路250に流れ込む。電流i2(第2c図に破線で示す)はコンデンサC1を通って流れる。電流は、電流i1とi2の電流経路におけるそれぞれのインピーダンスにより、且つまた電圧V1とV2間の電圧差により、分割される。電流i1は、変調された時点t1−t2に従って、偏向回路250を付勢するのに必要な電荷を供給し、第2b図に示すように、垂直周期で変調された偏向電流i3が得られる。
偏向電流i3(第1図)は、リトレース期間の間、主リトレース電流i4(コンデンサC3を通って流れる)と、リトレース・サンプリング電流i5に分割される。正極性の電流i5は、直列結合のコンデンサC4とダイオードD7およびコンデンサC6とC7を通って流れる。直列結合されるコンデンサのうち最小値を有するコンデンサC6は電流i5の振幅を決定する。第2d図は、同じような形状を有するが振幅の異なる電流i4とi5を示す。第2d図の時刻t1とt2で波形が突然変化すると、第2c図でトランジスタQ1の電流i1も変化している。
電流i1(第1図)は、リトレース期間の前半に、リトレース・コンデンサC3および直列結合のコンデンサC4、C6、C7における電荷を補充し、あとに続くトレース期間の間、望ましい偏向電流の振幅が得られる。電流i1は、リトレース電圧V2および偏向電流i3のピーク値を決定する。
第2a図の時刻t0(リトレースの開始)で、左右電流発生回路301を回路300(第1図)に結合するスイッチ・ダイオードD10は、リトレース電圧V2を増加させることによりカット・オフされる。リトレース期間の前半(第2d図の期間t0−t3)で、正の電流i5は、ダイオードD7を介して、コンデンサC4(第1図)を充電し、コンデンサC4にランプ波電圧V4を発生し、偏向電流i3をサンプリングする。電流i5はコンデンサC6を充電し、コンデンサC6の上部端子60に電圧V3を発生する。コンデンサC4、C5、C6、C7は容量性の分圧器を形成し、30Vの正の電圧V4aが得られる。
リトレースの後半の間、負の電流i5は、ダイオードD8とコンデンサC5とトランジスタQ4のベース-エミッタ接合部とを介して、コンデンサC6を放電させる。有利なことに、負の電流i5は、無効電流経路を介してコンデンサC5を充電して電圧V5を発生し、電圧V5の発生中に電力は消費されない。第2f図の電圧V5は、トランジスタQ1のゲートに結合される抵抗R2(第1図)を介して、ゲート電圧を供給し、前述のように、ゲート電圧V6を発生する。ゲート電圧V6はトランジスタQ1のスイッチング動作を制御する。コンデンサC6の値は電流i5の振幅を決定する。コンデンサC6の値は、最も狭い画像幅においてトランジスタQ1を飽和状態に保つのに十分なレベルの電圧V5を得るように選択される。電圧V4は電圧V2よりもずっと小さいので、電圧V3は電圧V2とほぼ等しい。
コンデンサC4両端の電圧V4は第2e図の波形で示される。説明のために、電圧V4(第1図)は電圧V2(“A”で示され、端子62における電位に関連する)を基準とする。コンデンサC4の下部端子61に発生される電圧は、時刻t3(第2e図)まで、端子62における電位“A”に対して負に変化するので、下方にランプ(傾斜)するリトレース電圧の形状部分を発生する。時刻t3(第2a図)で、電圧V2は減少し始めるので、ダイオードD7(第1図)をオフにし、ダイオードD8をオンにする。ダイオードD8のアノードは端子60に結合される。従って、電圧V4(第2e図)は、期間t3−t4の間、一定に留まる。時刻t4で、電圧V2(第2a図)はほぼゼロ・ボルトである。
電圧V2が減少するので、コンデンサC4(第1図)両端の電圧V4はダイオードD10を順方向にバイアスする。回路301の電流源トランジスタQ6は電流i7を発生する。電流i7は、トレース期間t4−t0′にコンデンサC4を放電させる(第2e図に上方にランプする電圧V4の部分として示す)。電流i5の正及び負の部分はほぼ等しいものと仮定する。従って、電流i5は、制御回路300に電流を供給するコンデンサC5の放電電流と等しい。
従って、電圧V4は、ダイオードD7を介する充電電流およびダイオードD10を介する放電電流の結果として発生される。充電と放電が等しいとき電圧V4の平均値は一定である。比較器トランジスタQ5(第1図)のベース電極は端子62に結合される。トランジスタQ5のエミッタ電極は、エミッタ抵抗R5とスイッチ・ダイオードD6を介して端子60に結合される。
充電期間t0−t3(第2e図)の一部の間、下方にランプする電圧V4は、導通するダイオードD7を介して、トランジスタQ5に印加され、トランジスタQ5(第1図)をオンにする。抵抗R5と導通ダイオードD6とトランジスタQ5を含む電流経路内の電流は上方にランプするコレクタ電流をトランジスタQ5に発生する。トランジスタQ5のコレクタ電流はトランジスタQ5のコレクタ抵抗R4に結合される。トランジスタQ5のコレクタ電流が約0.2mAに達すると、ラッチを形成する一対のトランジスタQ3とQ4で形成される再生スイッチをトリガする。この正帰還により、トランジスタQ3とQ4は急速に飽和し、トランジスタQ1をオフにする。
電流i6(第2g図)は、狭いゲートのターン・オフ電流のピーク500mAを示す。トランジスタQ1は、リトレースの終りまで、カット・オフされた状態のままである。トランジスタQ3とQ4のトリガ・レベルは、第2e図で水平の点線(“Q3、Q4の導通閾値”と呼ばれる)により、電圧V4の波形で示されている。電圧V4と交差する点は、リトレースの間、トランジスタQ1(第1図)のターン・オフ時点t1またはt2を決定する。
トランジスタQ3とQ4は、少なくとも時刻t3まで、コンデンサC8における放電電流によって飽和状態に保たれる。コンデンサC8の放電電流は、ダイオードD5、抵抗R5、トランジスタQ5、トランジスタQ3のベース-エミッタおよび抵抗R6を含む電流経路内に流れる。トレースの間、コンデンサC8は充電されて、以下に説明するように、電圧V6にほぼ等しい電圧(約15V)を発生する。
トランジスタQ3とQ4の飽和は、ダイオードD8を通って流れコンデンサC5を充電する負の電流i5によって、リトレースの終りまで持続される。リトレースの終わり(時刻t4)に、トランジスタQ3とQ4は自動的にオフになる。何故ならば、トランジスタQ1のゲート抵抗R1、抵抗R6およびトランジスタQ5における電流がすべてゼロであれば、トランジスタQ3のコレクタ電流は抵抗R2における電流よりも常に小さいからである。従って、トランジスタQ3とQ4で形成される、ゲート・ターン-オフ再生スイッチは交差点(第2e図)でトリガされる。電流i6(第2g図)の電流ピーク500mAは、トランジスタQ1(第1図)に関連するゲート容量(図示せず)の放電を示す。電流i6(第2g図)の低電流パルス18mAは、抵抗R2とトランジスタQ3を通って流れる電流を示す。
前述したように、トランジスタQ5をオンにして再生スイッチをトリガするトリガ電流は、トランジスタQ5のエミッタと抵抗R5とダイオードD6を含む電流経路に流れる。このトリガ電流は、少量の電流i5をコンデンサC4から分流させる。トランジスタQ5をトリガするため、コンデンサC4から分流される電流i5の部分は、コンデンサC4の電荷の平衡に小さな誤差を生じ得る。
分流電流の量を減らすために、トリガ時点と時刻t3の間に、コンデンサC8の放電電流を使用して、分流電流を停止させるようにダイオードD6をバック・バイアスする。それにより、誤差が減らされ、有利である。コンデンサC8は、トレース期間の間、前述のように、15ボルトに充電される。
リトレース期間の後半に、コンデンサC6は、ダイオードD8を介して放電し、コンデンサC5を、ラスタの幅に依り、12ボルトと24ボルトの間の電圧V5に充電する。トレース期間の間、ダイオードD8が非導通になった後、コンデンサC6の上部端子60における電圧V3は、ほぼ電圧V5のレベルにとどまっており、それにより、トレース電圧V3はダイオードD6とD7を非導通状態に保つ。これにより、トレース期間の間、トランジスタQ1を誤ってトリガするのを防止する。
ゲート抵抗R1は電流制限器として動作する。トランジスタQ1のソースとゲート間に結合されるツェナダイオードD3は電圧制限器として動作する。第2f図は、トランジスタQ1のゲート-ソース電圧を示す。時刻t4直後の電圧V6のゆっくりした増加は、抵抗R2(第1図)を介して充電されているゲート容量によって引き起こされる。
偏向電流i3の振幅は、電圧V4とトランジスタQ5の導通閾値との交差点によって制御されるトランジスタQ1のターン・オフ時点により決定される(第2e図)。時刻t0に近づくターン・オフ時点で、電圧V2と電流i3の振幅は最低となる。逆に、時刻t3におけるターン・オフ時点で、振幅は最高となる(第2aおよび2b図)。
例えば、ダイオードD10(第1図)を介する垂直周波数のパラボラ電流i7が増加すると、電圧V4(第2e図)のピーク・レベルが移動し、正方向の電圧V4の平均値も移動し、トランジスタQ1(第1図)のターン・オフの時点を遅らせる。その結果、電流i1は、より長い期間、偏向回路250に流れ込む。それによって、電流i1は電流i3の振幅を高め、次に、電流i5の振幅を高める。電流i5の振幅が高められると、コンデンサC4における充電量と放電量が平衡状態に保たれる。電流i5の振幅が高まると、電圧V4の平均値は、電流i7のレベルの増加に比例するレベルで安定化される。第2e図に示すように、ピーク・ピーク電圧V4は、ラスタの最上部と最下部におけるよりもラスタの中央部における方が高い(電流i3の振幅の増加に対応する)。
発明的な特徴を実施するにあたり、電圧V4の平均値も自動調節される;すなわち、比較器トランジスタQ5の導通閾値レベルの変化に対し自動的に調整される。調整が起こるのは、電流i7によるコンデンサC4の放電が、電流i5により生じる充電とちょうど均しく自動的に維持されるからである。電圧V4の平均値の自動的変化が得られるようにするために、コンデンサC4の充電と放電の相違はそれと対応するトランジスタQ5のトリガ地点の変化によって補償される傾向にある。その結果、有利なことに、直流帰還経路は必要とされない。
トランジスタQ6は電流源として働き、コンデンサC4の放電を、ダイオードD10の順方向電圧の変動およびトランジスタQ2の飽和電圧の変動とは無関係にする。リトレースの間、ダイオードD10が非導通であるとき、電流i7はコンデンサC9を充電する。コンデンサC9はトレースの開始時に放電する。第2h図の波形はコンデンサC9(第1図)両端の電圧V7を示す。このようにして、電流i7は、ダイオードD10の非導通期間の長さとは無関係の量だけ、コンデンサC4を放電させる。このような長さは、トランジスタQ2のターン・オフ特性により変えられる。ダイオードD10と直列に結合される抵抗Rは、偏向ダンパ・ダイオードDQ2両端の過渡的な負電圧のピークによって発生される寄生電流を制限する。コンデンサC9に結合される保護ダイオードD9は、コンデンサC4を放電させる付加的な電流経路を提供し、電流i7が低すぎるときにコンデンサC4が過度に充電されるのを防止する。
スタートアップ動作のために、145Vの電源電圧B+がオンにされ且つ水平発振器とドライバが動作中であると仮定する。電流i7は、ダイオードD10、D7、D8、抵抗R3およびトランジスタQ2を介して、コンデンサC5を充電する。電流i7はコンデンサC4も充電する。電流i7のうちコンデンサC5を充電する電流部分がトランジスタQ4をオンにするほど著しく電圧降下を抵抗R3に生じないように、抵抗R3の抵抗値は選択される。電圧V5とV6が増加すると、トランジスタQ1の順方向導通、電流i1およびリトレース・パルス電圧V1とV2、の各々が増加する。スタートアップ・リトレース・パルスの電荷は電圧V5を更に増加させ、トランジスタQ1の動作はA級動作からD級動作に切り替えられる。D級動作の開始時に、トランジスタQ1のターン・オフ時点は時刻t3から、変調された期間t1−t2に移動し、正常の動作が確立される。
有利なことに、コンデンサC4両端の電荷の平衡は回路の直線性を改善させ、偏向電流i3は電流i7に線形的に比例する。有利なことに、コンデンサC4において電荷は平衡のとれた状態に保たれるので、直流帰還は必要とされない。有利なことに、この回路は直流帰還回路を使用しないので、ドライブ信号の遷移の間、寄生発振とオーバシュートは小さい。
また、コンデンサ両端の電荷の平衡は、熱に対する安定性をもたらす。ダイオードD6、D7の順方向電圧およびトランジスタQ5とQ3のベース・エミッタ接合部の順方向電圧の変化は、それと対応する電圧V4の平均値の変化によって補償される。電圧V4の平均値は、関連するすべての順方向電圧に影響され、コンデンサC4の充電量はその放電量と等しくなる。充電と放電に相違があると、平均電圧V4が変化する。
変調されない電流i7が、変調されない偏向電流i3を生じるものと仮定する。例えば、温度の変化のため順方向電圧が変化すると、平均電圧V4に変化を生じ、前述した電圧V4の交差点、トランジスタQ1のターン・オフ時点および偏向電流i3はそのままで変化しない。
フライバックトランスTの二次巻線の何れか(例えば、第1図の巻線W2)における負荷の変動は、時刻t0(第2c図)において、それと対応するピーク電流の変化を一次巻線W1に生じる。その結果、電流i1の振幅はそれに従って変化し、つぎに、偏向電流i3が変化する。このような効果は、合成された偏向回路とフライバックトランス回路に特徴的なものである。しかしながら、有利なことに、制御回路200に使用されるサンプリング方法は、このような負荷の変動に関連するラスタのひずみを抑制する。電流i5(第2d図)は、電流i1とi4の和のサンプルである。例えば、電流i1が増加すると、電流i5が増加する。その結果、時刻t0以後、電圧V4(第2e図)はより早く下方にランプしつつあり、交差点を時刻t0に方に進める。逆に、電流i1のピーク振幅が減少すると交差点を遅らせ、次に、トランジスタQ1のターン・オフ時点を遅らせる。従って、電流i1のピーク振幅の変化はそれに対応する変調期間t1−t2の移動により直ちに補償される。それにより、有利なことに、フライバックトランスTの一次巻線W1におけるピーク電流の振幅の変動により生じるラスタのひずみが抑制される。
Claims (19)
- リトレース期間の間、リトレース共振回路内に含まれる偏向コイルと、
第1の偏向周波数に関連する周波数の第1のスイッチ制御信号に応答し、前記偏向コイルに結合されて、前記偏向コイル内に偏向電流を発生する第1のスイッチと、
第1のコンデンサと、
前記偏向コイルと前記第1のコンデンサに結合され、前記偏向電流の大きさを示す信号をサンプリングすると共に、サンプリングされた信号を、一定の偏向周期の第1の部分の間に、前記第1のコンデンサに加え、前記偏向電流の大きさを示す第1の電荷を前記第1のコンデンサに貯える第2のスイッチと、
第2の偏向周波数に関連する周波数の変調信号源であって、前記第1のコンデンサに結合されて、前記一定の偏向周期の第2の部分の間に、前記第1の電荷と反対方向に、前記変調信号の大きさを示す第2の電荷を前記第1のコンデンサに貯える、前記変調信号源と、
前記第1と第2の電荷から前記第1のコンデンサ内に発生される信号に応答して、その間の差に従って、第2のスイッチ制御信号を発生する比較器と、
前記第2のスイッチ制御信号に応答し、且つ前記偏向コイルに結合されて、ラスタのひずみを補正するように前記偏向電流を制御する第3のスイッチとから成る、ビデオ表示装置。 - 前記第1の電荷が貯えられており、前記第1のコンデンサに発生される電圧がランプ波であり、前記比較器が前記ランプ波電圧に応答し、前記比較器の閾値レベルが交差すると、前記第2のスイッチ制御信号を発生する、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記第2のスイッチが、前記リトレース期間の対応する部分の間に、前記偏向コイルに発生されるリトレース・パルス電圧の一部分をサンプリングする、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記第2のスイッチが、前記リトレース・パルス電圧のピーク電圧をサンプリングし、前記ピーク電圧の発生に続いて、前記第1のコンデンサを前記リトレース共振回路から切り離す、請求項3記載のビデオ表示装置。
- 前記第1のコンデンサが、前記偏向コイルに結合され、前記リトレース共振回路内に含まれ、前記リトレース期間の一部分の間に、リトレース容量を形成する、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記リトレース共振回路が、第2のリトレース容量を含んでいる、請求項5記載のビデオ表示装置。
- 第2のコンデンサが、前記第1のコンデンサに結合され、容量性の分圧器を形成して前記第2のコンデンサを一方向に充電し、第4のスイッチが、前記第2のコンデンサに結合されて前記第2のコンデンサを反対方向に充電する、請求項1記載のビデオ表示装置。
- フライバック・コンデンサが、供給インダクタンスに結合され、前記リトレース期間の一部分の間に、前記第3のスイッチを介して前記偏向コイルに結合されるフライバック共振回路を形成し、フォワード・レギュレータを形成する、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記供給インダクタンスが、フライバックトランスの一次巻線から成り、前記フライバックトランスは、アルタ端子に結合され、ビーム電流の変動に従って変動する負荷を前記フライバックトランスに対して形成し、前記第3のスイッチが、前記リトレース共振回路を前記負荷から切り離す、請求項8記載のビデオ表示装置。
- 前記第3のスイッチは、前記リトレース期間の第1の部分の間、導通状態で動作し、前記リトレース期間の第2の部分の間、非導通状態で動作する、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記第3のスイッチが、左右変調器内に含まれる、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記変調信号の一定の大きさに対し、前記第1の電荷を前記第2の電荷と均しく保つように前記偏向電流が制御される、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記偏向電流の大きさを示す信号の変化が、それと対応する前記第1の電荷の変化を1周期ごとに生じる、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記第1の電荷が、前記第2の電荷よりも相当に短い期間中に発生される、請求項1記載のビデオ表示装置。
- リトレース共振回路内に含まれる偏向コイルと、
偏向周波数に関連する周波数の第1のスイッチ制御信号に応答し、前記偏向コイルに結合されて偏向電流を発生し、且つ前記偏向コイル内の前記偏向電流の大きさを示すリトレース・パルス電圧を発生する第1のスイッチと、
第2のコンデンサに結合され、容量性分圧器を形成する第1のコンデンサと、
前記リトレース・パルス電圧を前記容量性分圧器に印加し、偏向周期の一部分の間に、前記リトレース・パルス電圧の一部分を前記第1のコンデンサに発生する第2のスイッチと、
前記第1のコンデンサに結合され、前記変調信号に従って前記第1のコンデンサに発生される電圧を変化させる左右変調信号の源と、
前記第1のコンデンサに発生される電圧に応答する比較器と、
前記比較器の出力信号に応答し、前記偏向コイルに結合され、ラスタのひずみを補正するように前記偏向電流を制御する第3のスイッチと、から成る、ビデオ表示装置。 - 前記比較器の閾値が、交差すると、前記比較器が、前記出力信号を発生する、請求項15記載のビデオ表示装置。
- 前記第2のコンデンサに結合され、前記偏向周期の部分に先立ち、前記第2のコンデンサ内に貯えられた電荷を初期化する第4のスイッチを更に含んでいる、請求項15記載のビデオ表示装置。
- 前記第2のスイッチと前記第4のスイッチの各々が、それと対応する、前記第2のコンデンサの端子に結合されるダイオードを含んでいる、請求項17記載のビデオ表示装置。
- 入力供給電圧源を更に含み、供給インダクタンスが、前記入力供給電圧源に結合されて、前記供給インダクタンス内にフライバック・パルス電圧を発生し、前記第3のスイッチが、前記供給インダクタンスと前記リトレース共振回路に結合され、前記供給インダクタンスを前記リトレース共振回路に結合させ、前記リトレース共振回路内のエネルギの損失を補充し、前記第3のスイッチは、前記リトレース・パルス電圧の制御可能な部分の間、前記リトレース共振回路から前記供給インダクタンスを切り離す、請求項15記載のビデオ表示装置。
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