JP3840507B2 - メンブレンリアクタ - Google Patents
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Description
このため従来からゼオライトを多孔質の支持体に担持させた形態での使用が検討されてきた。
これまでに開発されたゼオライト膜には、例えば、特許文献1には、「ゼオライト膜及びその製造方法」として、シリカ源およびアルカリ金属源を含む水性混合物を多孔質支持体上で水熱合成して得られるシリカライト型ゼオライト膜が開示されている。この特許文献1に開示された発明によれば、化学的・熱的に安定で機械的強度の高く、分離係数が飛躍的に高いアルコール選択性分離膜が得られる。
この特許文献3に開示されたチタノシリケート触媒は、ハンドリング特性及び機械的強度に優れ活性の高いチタノシリケート粒子を提供するものである。
本文献に開示される発明では、圧力損失が小さく、高温条件下においても分離膜にクラック等の欠陥が生じ難く、しかも高い分離性能と透過性能を発揮することができる。
v
本発明の請求項1に記載されたメンブレンリアクタにおいては、上述の課題を解決すべく、多孔質支持体上に析出させたチタン触媒作用を備えるチタノシリケート型ゼオライト結晶層を有する混合物分離膜と、この混合物分離膜の上流側に設けられ反応原料物質を収容する反応容器と、混合物分離膜の下流側に一の端部を接続して反応生成物質を送出する配管とを有するメンブレンリアクタであって、前記チタノシリケート型ゼオライト結晶層 の反応原料の仕込み組成比(モル比)は、チタン源としてのチタン酸化物に対するケイ素 源としてのケイ素酸化物の組成比が5〜500であり、前記ケイ素酸化物に対する水の組 成比は10〜300であり、前記ケイ素酸化物に対する構造規定剤としての水酸化テトラ アルキルアンモニウムの組成比は0.05〜1.0であるものである。
このようなメンブレンリアクタにおいては、混合物分離膜はチタンによる触媒機能を備えたチタノシリケート型ゼオライト結晶層が多孔質支持体を覆うものであるため、触媒作用は反応原料物質に直接作用する。
また、混合物分離膜の下流側に接続された配管は、分離された反応生成物質を導く作用を有する。
上記構成に係るメンブレンリアクタは、配管内を送出される反応生成物質を凝縮させる作用を有する。
このようなメンブレンリアクタにおいては、反応容器の温度を調節して触媒反応を促進する作用を有する。
また、チタノシリケート型ゼオライト膜は製膜性に優れるため、混合物分離膜に欠陥が発生し難く、高い分離機能を維持することも可能である。
本実施の形態におけるメンブレンリアクタの混合物分離膜を構成する多孔質支持体としては、チタノシリケート型ゼオライトを膜状に結晶化出来るような化学的安定性があり多孔質であれば特に制限されるものではなく、例えばアルミナ、シリカ、ジルコニア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス、アルミニウム、銀、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリイミド等の有機高分子からなる多孔質材料を用いることができる。
また、多孔質支持体に膜状に析出されるチタノシリケート型ゼオライト結晶層の厚さは0.1〜500μm、さらに0.5〜100μmとすることが好適である。
本発明では過酸化水素水を酸化剤として用いるが、この濃度に特に制限はなく、低濃度あるいは高濃度の過酸化水素水を適宜用いることができ、通常5〜90%、好ましくは5〜80%の過酸化水素水を用いる。
出発原料としてテトラエチルオルトシリケート(アルドリッチ社製98%)22.1g、テトラブチルオルトチタネート(和光純薬製95%)0.78g、水酸化テトラプロピルアンモニウム(東京化成社製20%)16.0g、水211.5g、過酸化水素水(和光純薬製30%)1mlを用いて調整した原料ゲル(SiO2:TiO2:RN+ :H2O =1:0.02:0.17:120)を、テフロン(登録商標)内筒を備えたステンレス製耐圧反応管に仕込み、多孔質ムライト製支持体(長さ10cm、平均孔径約1ミクロン)をこの中に浸漬し、温度200℃で12時間水熱合成を行った。前記反応終了後、表面に膜が析出した前記支持体を取り出し、水中で洗浄した後、500℃で10時間焼成した。
出発原料としてテトラエチルオルトシリケート(アルドリッチ社製98%)80.34g、テトラブチルオルトチタネート(和光純薬製95%)3.86g、水酸化テトラプロピルアンモニウム(東京化成社製20%)134.5g、水81.3g、過酸化水素水(和光純薬製30%)1mlを用いて調整した原料ゲル(SiO2:TiO2:RN+ :H2O =1:0.03:0.35:28)を、テフロン(登録商標)内筒を備えたステンレス製耐圧反応管に仕込み、多孔質ムライト製支持体(長さ10cm、平均孔径約1ミクロン)をこの中に浸漬し、温度170℃で24時間水熱合成を行った。前記反応終了後、表面に膜が析出した前記支持体を取り出し、水中で洗浄した後、500℃で10時間焼成した。
比較例として、チタン源を含まないMFI型シリカライト膜を以下のようにして調製した。出発原料としてテトラエチルオルトシリケート(アルドリッチ社製98%)22.1g、水酸化テトラプロピルアンモニウム(東京化成社製20%)16.0g、水211.5gを用いて調整した原料ゲル(SiO2:RN+ :H2O =1:0.17:120)を、テフロン(登録商標)内筒をそなえたステンレス製耐圧反応管に仕込み、多孔質ムライト製支持体(長さ10cm、平均孔径約1ミクロン)を、この中に浸漬し、温度200℃で24時間水熱合成を行った。前記反応終了後、表面に膜が析出した前記支持体を取り出し水中で洗浄した後、500℃で10時間焼成した。
図1に示されるのはいずれもX線回折測定図であり、(1)はチタノシリケート型ゼオライトの結晶粉末、(2)は、実施例1で調製した多孔質支持体上に析出させたチタノシリケート型ゼオライト膜、(3)は比較例1で調製した多孔質支持体上に析出させたMFI型シリカライト膜、(4)は多孔質支持体のものである。測定図の横軸は2theta(θ)、すなわち入射角の2倍値を度(degree)で示すもので、縦軸はX線回折強度を示すものである。
図1において、(1)と(2)のX線回折図のピークパターンはよく一致しており、また、比較例1で調製したチタン源を含まないMFI型シリカライト膜のピークパターンとも良く一致している。しかし、いずれも(4)とは一致していない。したがって、いずれもゼオライトの結晶構造を示しており、今回の実施例におけるチタノシリケート型の混合物分離膜においても適切にチタノシリケート型ゼオライト結晶層が析出していることが確認された。
図2の本実施例に係る(1)では960cm−1付近にTi−O−Si結合に起因する吸収ピークが観測されている。
210nm付近に4配位Tiに基づく吸収が観測された。
図2,3に示された結果によりMFI型骨格におけるTi原子の置換が確認でき、多孔質支持体表面にチタノシリケート型ゼオライト結晶層が生成していることが確認された。
ゼオライト分離膜1の上端部から下流側にはシリコンチューブ3が接続されており、このシリコンチューブ3はコールドトラップ11を介して真空ポンプ12を備える真空ライン15に接続されている。
従って、ゼオライト分離膜1の内部は減圧されており、供給液2のうちゼオライト分離膜1を透過気化した反応生成物質であるアセトンやアセトアルデヒドはシリコンチューブ3を介してコールドトラップ11に捕集されて液化する。
なお、ゼオライト分離膜1の底部から供給液2が侵入しないように栓10によって塞いでいる。また、真空ライン15の真空度は真空計14によって測定されている。N2ガス13は、真空ライン15を常圧に戻すリーク時に封入される。空気を吸入すると水蒸気が混入するため、N2ガス13を用いるものである。
実施例1で調製した多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させたゼオライト膜1を、恒温槽6内に設置したガラス容器9に、供給液2として、2−プロパノール(33wt%)/過酸化水素水(18wt%)溶液を入れて反応分離をおこなった。ゼオライト分離膜1の下端は栓10で閉じ、反対側から真空ポンプ12により減圧することで膜を通り内側に透過気化した蒸気をコールドトラップ11で捕集した。透過物の組成の決定をガスクロマトグラフにより行った結果、30時間後、反応生成物質として80wt%のアセトンの生成を確認した。
実施例2で調製した多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させたゼオライト膜1を、恒温槽6内に設置したガラス容器9に、供給液2として、エタノール(40wt%)/過酸化水素水(18wt%)溶液を入れて、30℃で反応分離をおこなった。ゼオライト分離膜1の下端は栓10で閉じ、反対側から真空ポンプ12により減圧することで膜を通り内側に透過気化した蒸気をコールドトラップ11で捕集した。透過物の組成の決定をガスクロマトグラフにより行った結果、48時間後、反応生成物質として80wt%のアセトアルデヒドの生成を確認した。
比較例1で調製したチタン源を含まないMFI型シリカライト膜を用いて、実施例1及び実施例2と同様な方法により、式(1)又は式(2)の反応分離を行ったが、いずれもコールドトラップには反応生成物質はもちろんのこと、反応原料物質の捕集も確認されなかった。
このような結果から、本実施の形態に係るメンブレンリアクタの混合物分離膜は、反応原料物質を透過することなく、反応生成物質のみを透過し、その分離膜を構成するチタノシリケート型ゼオライト膜の触媒機能によって、反応生成物質を生成した上で、透過気化させて反応原料物質と分離させることができる。
すなわち、本実施の形態に係るメンブレンリアクタの混合物分離膜は、触媒機能と分離機能を併せ持つことで反応原料物質と反応生成物質を分離可能である。
また、多孔質支持体にチタノシリケート型ゼオライトを膜状に結晶化させた膜を形成させているため、触媒機能が反応原料物質に直接的に作用し、触媒による反応効率も高い。さらに、チタノシリケート型ゼオライト膜は製膜性に優れており欠陥が発生し難く、高性能の分離機能を長期間に亘って維持することができる。
但し、本実施の形態に係るメンブレンリアクタでは、図5に示すようにシリコンチューブ3に真空ライン15を接続して真空ポンプ12によってゼオライト分離膜1の下流側を減圧することで透過気化した反応生成物質であるアセトンやアセトアルデヒドを吸引するようにしているものの、必ずしも真空ポンプ12を備えた真空ライン15を設ける必要はない。例えば、窒素ガスなどの不活性ガスを充填できるようなラインを設けておき、ガラス容器9に貯留された供給液2の液面上からゼオライト分離膜1の上流側を加圧することで、反応生成物質をシリコンチューブ3を介してコールドトラップ11に導くようにしてもよい。
また、本実施の形態に係るメンブレンリアクタは、コールドトラップ11を備えるため、透過気化した蒸気を液化させながら捕集することができ、捕集された反応生成物質の減容化が可能である。
さらに、メンブレンリアクタのガラス容器9は、恒温槽6内に収容されているため、反応に適した温度に調節が可能であると同時にその温度に一定に制御することができ、より効率的に反応生成物質を回収することができる。
なお、本実施の形態においては、供給液2を貯留する容器としてガラス容器9を用いたが、供給液2及びゼオライト分離膜1に対して安定した特性を備えるならば特にガラス製に限定するものではなく、例えば陶磁器製などの容器を用いてもよい。
Claims (3)
- 多孔質支持体上に析出させたチタン触媒作用を備えるチタノシリケート型ゼオライト結晶層を有する混合物分離膜と、この混合物分離膜の上流側に設けられ反応原料物質を収容する反応容器と、前記混合物分離膜の下流側に一の端部を接続して反応生成物質を送出する配管とを有するメンブレンリアクタであって、前記チタノシリケート型ゼオライト結晶 層の反応原料の仕込み組成比(モル比)は、チタン源としてのチタン酸化物に対するケイ 素源としてのケイ素酸化物の組成比が5〜500であり、前記ケイ素酸化物に対する水の 組成比は10〜300であり、前記ケイ素酸化物に対する構造規定剤としての水酸化テト ラアルキルアンモニウムの組成比は0.05〜1.0であることを特徴とするメンブレンリアクタ。
- 前記配管には反応生成物質を冷却する冷却部を備えることを特徴とする請求項1記載のメンブレンリアクタ。
- 前記反応容器は温度調節可能な恒温槽に収容されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメンブレンリアクタ。
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