JP3840507B2 - メンブレンリアクタ - Google Patents

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Description

本発明は、触媒機能と分離機能を備えたチタノシリケート型ゼオライト結晶層を多孔質支持体上に析出させた混合物分離膜を有するメンブレンリアクタに関する。
従来、気体や液体の混合物の分離には、蒸留法、吸着法、膜分離法等が知られている。しかし、このうち蒸留法は熱を加えるため多くのエネルギーを必要とし、耐熱性の低いものや沸点の近いものや水とエタノールなど共沸混合物では分離が困難である。また、吸着法では、吸着剤の再生のための装置が大型であり、また多くのエネルギーを必要とするという課題がある。
これらの蒸留法や吸着法における課題を解決すべく膜分離法が期待されるが、膜分離法の膜には酢酸セルロース、シリコンゴム、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミドなどの種々の高分子を素材としたものが使用されており、高分子膜の膜性能に限界があり分離性が低いこと、さらに耐熱性や耐薬品性に難点があるため適用範囲が限定されるという課題がある。
そこで、このような高分子材料による課題を解決するため、近年では、無機質材料であるゼオライトを用いた分離膜が注目されている。しかし、ゼオライト結晶単独で形成された膜は、ゼオライト結晶間のつながりが弱く機械的強度が弱いことから、分離膜として利用することは困難である。
このため従来からゼオライトを多孔質の支持体に担持させた形態での使用が検討されてきた。
これまでに開発されたゼオライト膜には、例えば、特許文献1には、「ゼオライト膜及びその製造方法」として、シリカ源およびアルカリ金属源を含む水性混合物を多孔質支持体上で水熱合成して得られるシリカライト型ゼオライト膜が開示されている。この特許文献1に開示された発明によれば、化学的・熱的に安定で機械的強度の高く、分離係数が飛躍的に高いアルコール選択性分離膜が得られる。
また、特許文献2には「液体混合物分離膜」として、多孔質支持体上に析出させたA型ゼオライト膜よりなる液体混合物分離膜が開示されている。本特許文献2に開示された発明においても、特許文献1に開示された発明と同様に、ゼオライトの分子ふるい能によって、著しく高い水選択透過性を有している。また、パーベーパレーション法による液体混合率の分離において、分離効率が高く、透過安定性にも優れ、しかも化学的安定性、取扱い性も良好で実用的な液体混合物分離膜を提供することができる。
一方、ゼオライト中にチタンを含める技術についても既に開発されており、例えばシリカ源とチタン源から成るチタノシリケート型ゼオライトの合成例としては、特許文献3に「改良されたチタノシリケート触媒、その製造方法及びこれを触媒として使用する過酸化水素を利用した有機合成反応」として、チタノシリケートの一次粒子同士の結晶質による結合体であって、50〜300オングストロームの細孔を有し、粒度分布メジアンが1μm以上であるチタノシリケート触媒に関する開示がある。
この特許文献3に開示されたチタノシリケート触媒は、ハンドリング特性及び機械的強度に優れ活性の高いチタノシリケート粒子を提供するものである。
さらに、ゼオライトにより構成される分離膜を、触媒機能を有する多孔質支持体上に成膜させた反応分離体について、「ゼオライト積層複合体及びそれを用いたゼオライトメンブレンリアクタ」として特許文献4に開示されている。
本文献に開示される発明では、圧力損失が小さく、高温条件下においても分離膜にクラック等の欠陥が生じ難く、しかも高い分離性能と透過性能を発揮することができる。
特開平6−99044号公報 特開平7−185275号公報 特開平7−100387号公報 特開2003−88734号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたゼオライト膜は、いずれも製膜後の乾燥時に、ゼオライトの結晶粒界または支持体と結晶との界面でのクラックの発生、膜の剥離による膜欠陥等が生じ膜として緻密な物が得られず、結果的に分離性能が低いという課題があった。
また、特許文献3に開示されたチタノシリケート触媒は、開示された方法で調製されるチタノシリケート型ゼオライトは、そもそも触媒として開発されたため、いずれも粒子ないし粒子の凝集体であり、そのままでは分離膜としては使用できないか膜状に得られた場合でも分離性能が低いという課題があった。
さらに、特許文献4に開示されたゼオライトメンブレンリアクタでは、同質のゼオライトから構成される多孔質支持体を用いる必要があり、支持体の材料に限定要素があるという課題があった。また、多孔質支持体に触媒機能を持たせるため、反応原料物質を多孔質支持体側に供給する必要があり、反応分離装置として通常の浸透気化(パーベーパレーション)装置では使い勝手が悪く、支持体を覆う分離膜が反応を抑制するように働き、必ずしも反応分離装置として効率が高いものではなかった。
本発明は、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、多孔質支持体の上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を有する混合物分離膜を形成させて、分離膜自体が触媒作用を発揮して高い分離性能を有するメンブレンリアクタを提供することを目的とする。
本発明者らは、多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライトを膜状に結晶化させた膜が、欠陥が発生し難く、高性能の分離機能を有する優れた分離膜として有用なことを見出し、これをメンブレンリアクタに応用することで本発明を完成させた。
本発明の請求項1に記載されたメンブレンリアクタにおいては、上述の課題を解決すべく、多孔質支持体上に析出させたチタン触媒作用を備えるチタノシリケート型ゼオライト結晶層を有する混合物分離膜と、この混合物分離膜の上流側に設けられ反応原料物質を収容する反応容器と、混合物分離膜の下流側に一の端部を接続して反応生成物質を送出する配管とを有するメンブレンリアクタであって、前記チタノシリケート型ゼオライト結晶層 の反応原料の仕込み組成比(モル比)は、チタン源としてのチタン酸化物に対するケイ素 源としてのケイ素酸化物の組成比が5〜500であり、前記ケイ素酸化物に対する水の組 成比は10〜300であり、前記ケイ素酸化物に対する構造規定剤としての水酸化テトラ アルキルアンモニウムの組成比は0.05〜1.0であるものである。
このようなメンブレンリアクタにおいては、混合物分離膜はチタンによる触媒機能を備えたチタノシリケート型ゼオライト結晶層が多孔質支持体を覆うものであるため、触媒作用は反応原料物質に直接作用する。
また、混合物分離膜の下流側に接続された配管は、分離された反応生成物質を導く作用を有する。
また、本発明の請求項2に記載されたメンブレンリアクタにおいては、請求項1に記載されたメンブレンリアクタの配管に反応生成物質を冷却する冷却部を備えるものである。
上記構成に係るメンブレンリアクタは、配管内を送出される反応生成物質を凝縮させる作用を有する。
請求項3に記載されたメンブレンリアクタにおいては、請求項1又は請求項2に記載された発明において、反応容器が温度調節可能な恒温槽に収容されるものである。
このようなメンブレンリアクタにおいては、反応容器の温度を調節して触媒反応を促進する作用を有する。
本発明の請求項1に記載されたメンブレンリアクタは、多孔質支持体上にチタン触媒作 用を備えるチタノシリケート型ゼオライト膜を形成するため、反応生成物質に対して触媒作用を直接働きかけることが可能であると同時に分離機能を発揮して反応生成物質を分離することができる。
また、チタノシリケート型ゼオライト膜は製膜性に優れるため、混合物分離膜に欠陥が発生し難く、高い分離機能を維持することも可能である。
特に、請求項2に記載の発明では、冷却部によって透過気化した反応生成物質の蒸気を凝縮し減容化しながら容易に捕集することができる。
さらに、特に請求項3に記載の発明では、高温槽に反応容器を収容するため反応容器中の反応原料物質を反応に適切な温度に設定して反応を促進することが可能であり、また、温度を一定に維持して反応を安定に進行させることが可能である。
以下、本発明に係るメンブレンリアクタを実施するための最良の形態について説明する。
本実施の形態におけるメンブレンリアクタの混合物分離膜を構成する多孔質支持体としては、チタノシリケート型ゼオライトを膜状に結晶化出来るような化学的安定性があり多孔質であれば特に制限されるものではなく、例えばアルミナ、シリカ、ジルコニア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス、アルミニウム、銀、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリイミド等の有機高分子からなる多孔質材料を用いることができる。
多孔質支持体の平均気孔径は0.05〜10μm、気孔率が10〜60%程度のものが好適である。これらの内、特に平均気孔径0.1〜2μm、気孔率30〜50%が好ましい。またこれらの多孔質支持体の形状は平板状、管状、円筒状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状などいずれの形状のものでもよい。
チタノシリケート型ゼオライトとは、ゼオライト構造をもつ結晶性のSiO(シリカライト)の結晶格子を形成するSiの一部をTiで置換することにより得られる化合物で、過酸化水素を酸化剤とした種々の有機化合物の酸化触媒として知られている。結晶格子内にTi原子が導入されると、赤外吸収スペクトルにおいて960cm−1付近にTi−O−Si結合に起因する吸収ピークが観測され、紫外・可視吸収スペクトルでは210nm付近に4配位Tiに基づく吸収が観測される。これらの測定によりTi原子の置換が確認できる。
また、多孔質支持体に膜状に析出されるチタノシリケート型ゼオライト結晶層の厚さは0.1〜500μm、さらに0.5〜100μmとすることが好適である。
また、チタノシリケート型ゼオライト結晶層を多孔質支持体上に形成させる方法としては、ケイ素源としてテトラアルキルオルトシリケートやコロイダルシリカ(シリカゲルやゾル)など、チタン源としてテトラアルキルオルトチタネートやハロゲン化チタン化合物など、構造規定剤として水酸化テトラアルキルアンモニウムなどを出発原料とし、これらに蒸留水と過酸化水素等を所定比混合、攪拌して原料ゾルあるいはゲルを調整した後、多孔質支持体を浸漬し、所定温度で所定時間、水熱合成を行い、その後、構造規定剤を除去するために焼成を行う方法がある。
ケイ素源として用いるテトラアルキルオルトシリケートは、特に限定する物ではないが、例えばテトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート、テトラペンチルオルトシリケート、テトラヘキシルオルトシリケート、テトラヘプチルオルトシリケート、テトラオクチルオルトシリケート、トリメチルエチルシリケート、ジメチルエチルシリケート、メチルトリエチルシリケート、ジメチルプロピルシリケート等があげられる。これらの内入手の容易さからテトラエチルオルトシリケートが好ましく用いられる。
チタン源として用いるテトラアルキルオルトチタネートは、特に限定する物ではないが、例えばテトラメチルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、テトラプロピルオルトチタネート、テトラブチルオルトチタネート、テトラオクチルオルトチタネート、トリメチルエチルチタネート、ジメチルジエチルチタネート、メチルトリエチルチタネート、ジメチルジプロピルチタネート等があげられる。これらの内入手の容易さからテトラエチルオルトチタネートやテトラブチルオルトチタネートが好ましく用いられる。
構造規定剤として用いる水酸化テトラアルキルアンモニウムは、特に限定する物ではないが、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等があげられ、入手の容易さからテトラプロピルアンモニウムが好ましく用いられる。
多孔質支持体を原料ゲルに浸漬する際に支持体上に種結晶を担持させておくことによりチタノシリケート型ゼオライトの結晶を支持体上に効率よく析出させることが出来る。すなわち、チタノシリケート型ゼオライトの結晶化時間が短縮でき好都合である。種結晶としては、平均粒径が500μm以下、特に0.5〜50μmの結晶が多孔質支持体上に保持しやすく好適である。この種結晶の多孔質支持体への担持量は1〜500mg/cm、特に10〜60mg/cm が好ましい。
多孔質支持体上に種結晶を担持させるには、種結晶の粉末を溶媒、好ましくは水中に分散させ、これを多孔質支持体上にコートするのが好ましいが、多孔質支持体製造時に原料の一部としてT型ゼオライトの粉末を混入させてもよい。
このようにして多孔質支持体の表面にチタノシリケート型ゼオライト結晶層の厚さが前述のとおり、0.1〜500μm、好ましくは0.5〜100μmとなるように析出させることにより、本実施の形態に係る好適な混合物分離膜を得ることができる。
本発明において、多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させた分離膜を合成する際の反応原料の仕込み組成比(以下、組成比はモル比で表す。)は、SiO /TiO =5〜500、HO /SiO =10〜300、RN/SiO=0.05〜1.0(RNは水酸化テトラアルキルアンモニウムを表す。)、となるように調整することが好ましい。さらに好ましくは、SiO /TiO =20〜300、HO /SiO=20〜200、RN/SiO=0.1〜0.8である。
本発明において、水熱合成法により多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させた分離膜を合成する際の合成温度は100〜220℃、好ましくは150〜200℃であり、合成時間は10〜150時間、好ましくは16〜30時間である。前記合成温度、合成時間にて反応を1回行うことにより、高い分離性能を有する多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させた分離膜を合成できる。この際、圧力は自圧或いは加圧下のいずれかの方法で行うことが出来るが、通常は自圧下で行える。系の攪拌は必ずしも行う必要はなく、静置状態でも製膜化は十分進行する。
このように水熱合成した膜は水で十分に洗浄後、焼成を行う。焼成処理の温度は300〜700℃であり、好ましくは400〜600℃である。焼成時間は、特に限定されないが、1〜50時間、好ましくは5〜20時間焼成処理を行うことにより、本発明のメンブレンリアクタに用いられるチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させた混合物分離膜を製造することが出来る。
本発明により製造されるメンブレンリアクタは、過酸化水素を酸化剤とした、種々の有機化合物の酸化反応に活性を示し、例えばアルコールの酸化、オレフィンのエポキシ化、芳香族化合物の水酸化として有用である。
本発明では過酸化水素水を酸化剤として用いるが、この濃度に特に制限はなく、低濃度あるいは高濃度の過酸化水素水を適宜用いることができ、通常5〜90%、好ましくは5〜80%の過酸化水素水を用いる。
以下に実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例は、チタン源であるテトラブチルオルトチタネートなどの量と、水熱合成の温度と時間を変えながらチタノシリケート型ゼオライト膜を多孔質支持体に析出させた2種類の混合物分離膜を調製するとともに、比較例1としてチタンを含まず合成されたMFI型シリカライト膜を多孔質支持体に析出させた混合物分離膜を調製した。
実施例1(合成例1)
出発原料としてテトラエチルオルトシリケート(アルドリッチ社製98%)22.1g、テトラブチルオルトチタネート(和光純薬製95%)0.78g、水酸化テトラプロピルアンモニウム(東京化成社製20%)16.0g、水211.5g、過酸化水素水(和光純薬製30%)1mlを用いて調整した原料ゲル(SiO:TiO:RN :HO =1:0.02:0.17:120)を、テフロン(登録商標)内筒を備えたステンレス製耐圧反応管に仕込み、多孔質ムライト製支持体(長さ10cm、平均孔径約1ミクロン)をこの中に浸漬し、温度200℃で12時間水熱合成を行った。前記反応終了後、表面に膜が析出した前記支持体を取り出し、水中で洗浄した後、500℃で10時間焼成した。
実施例2(合成例2)
出発原料としてテトラエチルオルトシリケート(アルドリッチ社製98%)80.34g、テトラブチルオルトチタネート(和光純薬製95%)3.86g、水酸化テトラプロピルアンモニウム(東京化成社製20%)134.5g、水81.3g、過酸化水素水(和光純薬製30%)1mlを用いて調整した原料ゲル(SiO:TiO:RN :HO =1:0.03:0.35:28)を、テフロン(登録商標)内筒を備えたステンレス製耐圧反応管に仕込み、多孔質ムライト製支持体(長さ10cm、平均孔径約1ミクロン)をこの中に浸漬し、温度170℃で24時間水熱合成を行った。前記反応終了後、表面に膜が析出した前記支持体を取り出し、水中で洗浄した後、500℃で10時間焼成した。
比較例1
比較例として、チタン源を含まないMFI型シリカライト膜を以下のようにして調製した。出発原料としてテトラエチルオルトシリケート(アルドリッチ社製98%)22.1g、水酸化テトラプロピルアンモニウム(東京化成社製20%)16.0g、水211.5gを用いて調整した原料ゲル(SiO:RN :HO =1:0.17:120)を、テフロン(登録商標)内筒をそなえたステンレス製耐圧反応管に仕込み、多孔質ムライト製支持体(長さ10cm、平均孔径約1ミクロン)を、この中に浸漬し、温度200℃で24時間水熱合成を行った。前記反応終了後、表面に膜が析出した前記支持体を取り出し水中で洗浄した後、500℃で10時間焼成した。
実施例1で得られた多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を析出させた分離膜のX線回折を行った結果について図1を参照しながら説明する。
図1に示されるのはいずれもX線回折測定図であり、(1)はチタノシリケート型ゼオライトの結晶粉末、(2)は、実施例1で調製した多孔質支持体上に析出させたチタノシリケート型ゼオライト膜、(3)は比較例1で調製した多孔質支持体上に析出させたMFI型シリカライト膜、(4)は多孔質支持体のものである。測定図の横軸は2theta(θ)、すなわち入射角の2倍値を度(degree)で示すもので、縦軸はX線回折強度を示すものである。
図1において、(1)と(2)のX線回折図のピークパターンはよく一致しており、また、比較例1で調製したチタン源を含まないMFI型シリカライト膜のピークパターンとも良く一致している。しかし、いずれも(4)とは一致していない。したがって、いずれもゼオライトの結晶構造を示しており、今回の実施例におけるチタノシリケート型の混合物分離膜においても適切にチタノシリケート型ゼオライト結晶層が析出していることが確認された。
次に図2を参照しながら、本実施例のチタノシリケート型ゼオライト膜と比較例のMFI型ゼオライト膜について赤外線吸収スペクトルの測定結果について説明する。図2の(1)は本実施例に係るチタノシリケート型ゼオライト膜の赤外線吸収スペクトル測定結果を示し、(2)はMFI型ゼオライト膜の赤外線吸収スペクトル測定結果を示す図である。図2における横軸は1cm当りの波数を示しており縦軸はTransmission(透過率)を示すものである。
図2の本実施例に係る(1)では960cm−1付近にTi−O−Si結合に起因する吸収ピークが観測されている。
更に、図3は本実施例に係るチタノシリケート型ゼオライト膜に対して紫外・可視領域の拡散反射スペクトルを測定した結果を示す図である。図3において、横軸は拡散反射スペクトルの波長を示し、縦軸は吸光度を示す。この図3では、
210nm付近に4配位Tiに基づく吸収が観測された。
図2,3に示された結果によりMFI型骨格におけるTi原子の置換が確認でき、多孔質支持体表面にチタノシリケート型ゼオライト結晶層が生成していることが確認された。
また、図4は、この実施例1で得られた混合物分離膜の表面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真を示すものであり、図4から、多孔質支持体上に緻密にMFI型のチタノシリケート型ゼオライトが析出しているのが確認された。
実施例1〜2及び比較例1で調製したゼオライト膜を用いて、式(1)及び式(2)に示すような、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)及びエタノールの酸化の反応分離を行った。
反応分離に使用した装置の概略図を図5に示す。図5おいて、符号1は実施例1、2及び比較例1で調製したゼオライト分離膜である。このゼオライト分離膜1は、中空円筒形でありガラス容器9内に貯留された供給液2内に浸漬されている。供給液2は、2−プロパノールやエタノールなどの反応原料物質及び過酸化水素水であり、撹拌子4とスターラー5の作用によって攪拌される。ガラス容器9はさらに恒温槽6内に浸漬されており、温度調節装置7によって温度を一定に維持している。
ゼオライト分離膜1の上端部から下流側にはシリコンチューブ3が接続されており、このシリコンチューブ3はコールドトラップ11を介して真空ポンプ12を備える真空ライン15に接続されている。
従って、ゼオライト分離膜1の内部は減圧されており、供給液2のうちゼオライト分離膜1を透過気化した反応生成物質であるアセトンやアセトアルデヒドはシリコンチューブ3を介してコールドトラップ11に捕集されて液化する。
なお、ゼオライト分離膜1の底部から供給液2が侵入しないように栓10によって塞いでいる。また、真空ライン15の真空度は真空計14によって測定されている。Nガス13は、真空ライン15を常圧に戻すリーク時に封入される。空気を吸入すると水蒸気が混入するため、Nガス13を用いるものである。
実施例3(使用例1)
実施例1で調製した多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させたゼオライト膜1を、恒温槽6内に設置したガラス容器9に、供給液2として、2−プロパノール(33wt%)/過酸化水素水(18wt%)溶液を入れて反応分離をおこなった。ゼオライト分離膜1の下端は栓10で閉じ、反対側から真空ポンプ12により減圧することで膜を通り内側に透過気化した蒸気をコールドトラップ11で捕集した。透過物の組成の決定をガスクロマトグラフにより行った結果、30時間後、反応生成物質として80wt%のアセトンの生成を確認した。
実施例4(使用例2)
実施例2で調製した多孔質支持体上にチタノシリケート型ゼオライト結晶層を膜状に析出させたゼオライト膜1を、恒温槽6内に設置したガラス容器9に、供給液2として、エタノール(40wt%)/過酸化水素水(18wt%)溶液を入れて、30℃で反応分離をおこなった。ゼオライト分離膜1の下端は栓10で閉じ、反対側から真空ポンプ12により減圧することで膜を通り内側に透過気化した蒸気をコールドトラップ11で捕集した。透過物の組成の決定をガスクロマトグラフにより行った結果、48時間後、反応生成物質として80wt%のアセトアルデヒドの生成を確認した。
比較例2
比較例1で調製したチタン源を含まないMFI型シリカライト膜を用いて、実施例1及び実施例2と同様な方法により、式(1)又は式(2)の反応分離を行ったが、いずれもコールドトラップには反応生成物質はもちろんのこと、反応原料物質の捕集も確認されなかった。
なお、実施例3あるいは実施例4において、供給液2として反応生成物質であるアセトンあるいはアセトアルデヒドをガラス容器9に入れて同様に実験を行った結果、アセトンやアセトアルデヒドは透過気化された
このような結果から、本実施の形態に係るメンブレンリアクタの混合物分離膜は、反応原料物質を透過することなく、反応生成物質のみを透過し、その分離膜を構成するチタノシリケート型ゼオライト膜の触媒機能によって、反応生成物質を生成した上で、透過気化させて反応原料物質と分離させることができる。
すなわち、本実施の形態に係るメンブレンリアクタの混合物分離膜は、触媒機能と分離機能を併せ持つことで反応原料物質と反応生成物質を分離可能である。
また、多孔質支持体にチタノシリケート型ゼオライトを膜状に結晶化させた膜を形成させているため、触媒機能が反応原料物質に直接的に作用し、触媒による反応効率も高い。さらに、チタノシリケート型ゼオライト膜は製膜性に優れており欠陥が発生し難く、高性能の分離機能を長期間に亘って維持することができる。
また、真空ポンプ12によってゼオライト分離膜1の上端部に接続されたシリコンチューブ3を減圧するため、ゼオライト分離膜1内部も減圧され、反応原料物質をゼオライト分離膜1に取り込むことができ、触媒反応を促進させてゼオライト分離膜1の内側に透過気化した反応生成物質の蒸気をより多く発生させることができる。
但し、本実施の形態に係るメンブレンリアクタでは、図5に示すようにシリコンチューブ3に真空ライン15を接続して真空ポンプ12によってゼオライト分離膜1の下流側を減圧することで透過気化した反応生成物質であるアセトンやアセトアルデヒドを吸引するようにしているものの、必ずしも真空ポンプ12を備えた真空ライン15を設ける必要はない。例えば、窒素ガスなどの不活性ガスを充填できるようなラインを設けておき、ガラス容器9に貯留された供給液2の液面上からゼオライト分離膜1の上流側を加圧することで、反応生成物質をシリコンチューブ3を介してコールドトラップ11に導くようにしてもよい。
また、本実施の形態に係るメンブレンリアクタは、コールドトラップ11を備えるため、透過気化した蒸気を液化させながら捕集することができ、捕集された反応生成物質の減容化が可能である。
さらに、メンブレンリアクタのガラス容器9は、恒温槽6内に収容されているため、反応に適した温度に調節が可能であると同時にその温度に一定に制御することができ、より効率的に反応生成物質を回収することができる。
なお、本実施の形態においては、供給液2を貯留する容器としてガラス容器9を用いたが、供給液2及びゼオライト分離膜1に対して安定した特性を備えるならば特にガラス製に限定するものではなく、例えば陶磁器製などの容器を用いてもよい。
以上、実施例3、実施例4及び比較例2結果から、本実施の形態に係るメンブレンリアクタにおいては、例えば2−プロパノールやエタノールの酸化反応において高い反応分離性を示し、反応生成物質であるアセトンやアセトアルデヒドを効率的に分離することができるという顕著な効果を確認することができた。
本発明に係るメンブレンリアクタは、多種多様の気体混合物あるいは液体混合物の分離に利用できる。さらに、チタノシリケート型ゼオライト膜による触媒機能と分離機能の両方を利用して、触媒反応前の反応原料物質から触媒反応後の反応生成物質を分離することが可能であるので、単に複数の種類の混合物を分離するだけでなく、触媒反応生成物質を抽出するような化学反応システムなどにも利用可能である。
いずれもX線回折測定図であり、(1)はチタノシリケート型ゼオライトの結晶粉末、(2)は、実施例1で調製した多孔質支持体上に析出させたチタノシリケート型ゼオライト膜、(3)は比較例1で調製した多孔質支持体上に析出させたMFI型シリカライト膜、(4)は多孔質支持体のものである。 実施例1で調製した多孔質支持体上に析出させたチタノシリケート型ゼオライト膜(1)と、比較例1で調製した多孔質支持体上に析出させたMFI型シリカライト膜(2)の赤外線吸収スペクトル測定図である。 実施例1で調製した多孔質支持体上に析出させたチタノシリケート型ゼオライト膜の紫外・可視領域の拡散反射スペクトルの測定結果図である。 実施例1で調製した多孔質支持体上に析出させたチタノシリケート型ゼオライト膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例3,4及び比較例2の反応分離に使用した装置の概略図ある。
符号の説明
1…ゼオライト分離膜 2…供給液 3…シリコンチューブ 4…撹拌子 5…スターラー 6…恒温槽 7…温度調節装置 8…冷却管 9…ガラス容器 10…栓 11…コールドトラップ 12…真空ポンプ 13…Nガス 14…真空計 15…真空ライン

Claims (3)

  1. 多孔質支持体上に析出させたチタン触媒作用を備えるチタノシリケート型ゼオライト結晶層を有する混合物分離膜と、この混合物分離膜の上流側に設けられ反応原料物質を収容する反応容器と、前記混合物分離膜の下流側に一の端部を接続して反応生成物質を送出する配管とを有するメンブレンリアクタであって、前記チタノシリケート型ゼオライト結晶 層の反応原料の仕込み組成比(モル比)は、チタン源としてのチタン酸化物に対するケイ 素源としてのケイ素酸化物の組成比が5〜500であり、前記ケイ素酸化物に対する水の 組成比は10〜300であり、前記ケイ素酸化物に対する構造規定剤としての水酸化テト ラアルキルアンモニウムの組成比は0.05〜1.0であることを特徴とするメンブレンリアクタ。
  2. 前記配管には反応生成物質を冷却する冷却部を備えることを特徴とする請求項1記載のメンブレンリアクタ。
  3. 前記反応容器は温度調節可能な恒温槽に収容されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメンブレンリアクタ。
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