JP3839745B2 - 抄紙機の排水ダクト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙機の排水ダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
抄紙機の一例として、ツインワイヤ式抄紙機を図3に基づき説明する。
1はフォーミングロール、2はブレストロールで、これらのロール1,2は互いに接近して配置され、後述する上下部フォーミングワイヤのニップ部Nを構成している。3は上部フォーミングワイヤ(以下、上部ワイヤという)で、フォーミングロール1と複数のガイドロール11にエンドレスに巻き掛けられて、ワイヤパートの上半分領域で循環する。4は下部フォーミングワイヤ(以下、下部ワイヤという)で、ブレストロール2と複数のガイドロール12にエンドレスに巻き掛けられて、ワイヤパートの下半分領域で循環する。
前記上部ワイヤ3がフォーミングロール1に巻き掛けられた部分と、前記下部ワイヤ4がブレストロール2に巻き掛けられた部分は、ワイヤ3,4が互いに接近する方向に走行する部分であり、側面視で漏半状の開口部を形成している。そして、開口部の奥底が、フォーミングロール1とブレストロール2で挟まれるニップ部Nであり、そこから各ワイヤ3,4の走行方向下流側において、各ワイヤ3,4が重なって走行する領域の内部が紙層を形成するフォーミングゾーンを構成している。
そして、前記開口部に臨むように、ヘッドボックス6が配置されており、紙料懸濁液(以下、紙料液という)を前記ワイヤ3,4間に噴出させるようにしている。このようにして紙料液がフォーミングゾーンに供給される。この紙料液は、パルプと水の割合(重量)が約1対100 の懸濁液である。
【0003】
前記フォーミングロール1に後続して、前記上部ワイヤ3の上方には、サクションボックス30が設けられている。このサクションボックス30はフォーミングゾーンを通過していく紙料液から水分の数10%を吸引するために設けられている。さらに、このサクションボックス30の下面には数本の固定ブレード7が固定されており、上部ワイヤ3をガイドするようにしている。
上記サクションボックス30の下方領域において、下部ワイヤ4の下面には可動式のブレード8が配置されており、下部ワイヤ4を下方から支えている。
紙料液は、フォーミングロール1とブレストロール2に挟まれたニップ部Nと、上下のブレード7,8との間を通過する間に、上下ワイヤ3,4で搬送されながら大部分の水分が除去されて紙層に形成されていく。
【0004】
サクションボックス30に吸引された水は図示しない排水管を通して機外へ排出され、可動ブレード8を設けた領域から下へ流れ落ちた水は、セーブオール50によってワイヤパートの中央部に設けた排水口51へ誘導され、排水口51から図示しない白水キャナルを通って機外に排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記サクションボックス30は負圧源に接続されており、この負圧源によってその内部を負圧とし、紙料液の水を脱水している。したがって、サクションボックス30と排水管との間にはサクションボックス30内を気密に保つシールピットが必要であるし、サクションボックス30と負圧源の接続部分にはウォータセパレータ等の設備が必要となり、設備費が高騰する。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑み、サクションボックスの脱水機能を維持したままで設備の構造を簡単にでき、しかも設備費が低廉な排水ダクトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の抄紙機の排水ダクトは、サクションボックスと白水キャナルを備えた抄紙機において、前記サクションボックスと白水キャナルとを接続する排水管が設けられており、該排水管は、その先端が前記白水キャナルの側壁に設けられている開口に接続されており、該白水キャナルの側壁に設けられている開口との接続部において、該排水管の軸方向が、前記白水キャナルの側壁に対し、平面視で直角より小さい傾斜角度となるように配設されており、該白水キャナルの側壁に設けた開口は、抄紙機のワイヤパートの稼動中において、その上端が白水キャナルを流れる白水の水面より下方に位置するように形成されていることを特徴とする。
請求項2の抄紙機の排水ダクトは、請求項1記載の発明において、前記サクションボックス内の負圧するための負圧源が、前記排水管に、該排水管の内部を流れる水の水面より上方に接続されたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、排水管の先端が白水キャナルの側壁の開口部に接続されており、しかも抄紙機のワイヤパートの稼動中において開口部の上端が水面より下方に位置しているので、排水管は白水キャナルを流れる白水の水中に開口することになる。このため、抄紙機のワイヤパートの稼動中には、排水管内部における気相部分と白水キャナル内部の気相部分が常に水によってシールされるから、サクションボックスが排水管を通して白水キャナル内の空気を吸引することを防ぐことができる。つまり、排水管と白水キャナルの接続部分において白水による自己シーリングが行われるので、排水管内を気密に保つことができる。よって、排水管とサクションボックスとの間にシールピットが不要となり、設備の構造が簡単となる。しかも、排水管から流出する水は白水キャナル中の水の流れに対し小さな傾斜角で入っていくので、白水キャナル内の水の流れを乱すことなく排水管から白水キャナルに水を送ることができる。そして、排水管内の水の流れをスムースにすることができるから、排水管中に水が残留することを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、負圧源と排水管の接続部分にウォータセパレータが不要となるので、設備の構造が簡単になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図2は図3のII−II線概略断面矢視図である。図3はツインワイヤ式抄紙機のワイヤパートの全体側面図である。図2および図3において、符号30は上下ワイヤ3,4に挟まれて搬送される紙料液の水分を吸引するために設けられたサクションボックスを示している。このサクションボックス30は、その内部に複数のチャンバ30c を備えており、各チャンバ30c は、それぞれ吸引した水を機外に排水するための排水管30p を備えている。
また、図2および図3において、符号51はワイヤパートの側壁に設けられた排水口を示しており、この排水口51には白水キャナルDPが接続されている。そして、この排水口51と可動ブレード8の下方との間にはセーブオール50が設けられている。
このため、サクションボックス30によって紙料液から除去された水は、サクションボックス30の各チャンバ30c に設けられた排水管30p を通して機外に排出することができるし、可動ブレード8によって紙料液から除去された水は、セーブオール50と白水キャナルDPを通して機外に排出することができる。
【0010】
さて、本発明の特徴である排水ダクトの構成について説明する。
なお、本発明の排水ダクトとは、上記の白水キャナルDPと、サクションボックス30の各チャンバ30c に設けられた排水管30p から構成される排水経路およびその付属装置のことである。
【0011】
図1(A)は本実施形態の排水ダクトの概略説明図であり、図1(B)は排水管30p と白水キャナルDPの接続部の拡大断面図である。図1および図2に示すように、前記白水キャナルDPの側壁SWには、開口DHが形成されている。この開口DHは、その上端が、ワイヤパートの稼働中において白水キャナルDP内を流れる白水の水面WFよりも常に下方となる位置に形成されている。この白水キャナルDPの開口DHには、前記サクションボックス30のチャンバ30c のうち最下流側のチャンバ30c (図2では右端に設けられたチャンバ30c 、以下単に右チャンバ30c という)に設けられた排水管30p の先端が接続されている。
【0012】
このため、右チャンバ30c の排水管30p の先端は、常に白水キャナルDP内を流れる白水の水中に接続されることになり、排水管30p 内部における気相部分と白水キャナルDP内部の気相部分が、白水キャナルDP内を流れる白水によって常にシールされるから白水キャナルDP内部に対して排水管30p 内が気密に保たれる。よって、サクションボックス30内部が負圧になっていても、排水管30p を通して白水キャナルDP内の空気がサクションボックス30内に吸引されることを防ぐことができるので、サクションボックス30内の真空度が低下することを防ぐことができる。
【0013】
上記のごとく、本発明の排水ダクトによれば、排水管30p と白水キャナルDPの接続部分において水による自己シーリングが行われるので、排水管30p とサクションボックス30の右チャンバ30c との間にシールピットを設けなくてもサクションボックス30および排水管30p の内部を気密に保つことができ、設備の構造を簡単にすることができる。
しかも、サクションボックス30の右チャンバ30c を負圧にする負圧源BPを排水管30p に接続した場合、その接続部分を排水管30p の内部を流れる水の水面より上方に接続しておけば、負圧源BPに水が到達する心配が無く、負圧源BPと排水管30p との接続部分にウォータセパレータが不要となるので、設備の構造が簡単になる。
なお、負圧減BPは、サクションボックス30の右チャンバ30c に接続してもよい。
【0014】
また、図2に示すように、右チャンバ30c の排水管30p は、前記白水キャナルDPの側壁SWとの接続部において、その軸方向が白水キャナルDPの側壁SWに対して、平面視で直角より小さい傾斜角度θとなるように接続されている。つまり、右チャンバ30c の排水管30p と白水キャナルDPがY字状となっており、排水管30p 内を流れる水の流線が、白水キャナルDP内を流れる白水の流線に対して直角より小さい傾斜角度で合流するように配設されているのである。
このため、排水管30p から流出する水と白水キャナルDP中の白水とが合流した部分で、白水キャナルDP内の白水の流れが大きく乱れることを防ぐことができるので、排水管30p 内の水の流れをスムースにすることができる。
また、配水管30p の底面は白水キャナルDPに向かって下傾するように形成されているから、スムースな流れを保ったまま排水管30p から白水キャナルDPに水を送ることができ、しかも排水管30p 中に水が残留することを防ぐことができる。
【0015】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、排水管と白水キャナルの接続部分において白水による自己シーリングが行われるので、排水管内を気密に保つことができ、排水管とサクションボックスとの間にシールピットが不要となり、設備の構造が簡単となる。しかも、白水キャナル内の水の流れを乱すことなく排水管から白水キャナルに水を送ることができ、排水管内の水の流れをスムースにすることができ、排水管中に水が残留することを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、負圧源と排水管の接続部分にウォータセパレータが不要となるので、設備の構造が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本実施形態の排水ダクトの概略説明図であり、(B)は排水管30p と白水キャナルDPの接続部の拡大断面図である。
【図2】 図3のII−II線概略断面矢視図である。
【図3】 ツインワイヤ式抄紙機のワイヤパートの全体側面図である。
【符号の説明】
30 サクションボックス
30c サクションチャンバ
DP 白水キャナル
DH 開口
SW 側壁
BP 負圧源
Claims (2)
- サクションボックスと白水キャナルを備えた抄紙機において、
前記サクションボックスと白水キャナルとを接続する排水管が設けられており、
該排水管は、
その先端が前記白水キャナルの側壁に設けられている開口に接続されており、
該白水キャナルの側壁に設けられている開口との接続部において、該排水管の軸方向が、前記白水キャナルの側壁に対し、平面視で直角より小さい傾斜角度となるように配設されており、
該白水キャナルの側壁に設けた開口は、抄紙機のワイヤパートの稼動中において、その上端が白水キャナルを流れる白水の水面より下方に位置するように形成されている
ことを特徴とする抄紙機の排水ダクト。 - 前記サクションボックス内を負圧にするための負圧源が、前記排水管に、該排水管の内部を流れる水の水面より上方に接続された
ことを特徴とする請求項1記載の抄紙機の排水ダクト。
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