JP3839507B2 - 多層構成体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱水処理後のガスバリアー性の回復が早く、耐熱水ブロッキング性に優れた多層構成体の一工程での製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明性・機械的強度・価格などに優れる二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPと略称する)に代表される汎用フィルムは、シーラントフィルムとラミネートされ、各種用途の包装材料として使用されているが、ガスバリアー性が良くない。ガスバリアー性改善のため、エチレン−ビニルエステル共重合体けん化物(以下EVOHと略称する)のフィルムを積層したり、OPPに塩化ビニリデン系共重合体(以下PVDCと略称する)をコーティングするなどの対策が講じられている。しかしEVOHフィルムの積層は高価格となり、またPVDCコートは溶液またはエマルジョンのコーティング工程と、ラミネート工程の二工程となりやはり高価格となる。
【0003】
特公平6−9916号公報には、脂肪族ポリアミド30〜90重量%および部分芳香族ポリアミド10〜70重量%からなるポリアミド組成物と、ビニルアルコール含有量40〜85モル%の範囲にあるEVOHとを、共押出ししてなる複合フィルムについて述べられている。しかし該発明は、溶融多層体を冷却しフィルム化することに関するものであり、溶融多層体を冷却しフィルム化することなく、溶融多層体を直ちに基材に積層させる共押出しコーティング法に関するものではない。また該公報に記載されているような、脂肪族ポリアミド(結晶性)であるポリアミド6と、部分芳香族ポリアミド(結晶性)であるポリアミドMXD6からなる結晶性ポリアミド組成物を用いてEVOHと共押出しコーティングしたのでは、後述する比較例1からも明らかなように、溶融多層体の製膜安定性が劣り、薄層のものが得られず経済的に不利である。しかも得られた積層フィルムの耐屈曲性が劣る。比較例5にも示すように、溶融多層体を冷却しフィルム化する場合、バブルの安定性と、フィルムの強度より本発明のような薄層のものを得ることは技術的に困難であるばかりでなく、耐屈曲性に劣り、熱水処理によるデラミが発生しやすく、フィルム化工程と基材とのタンデムドライラミネートなどのラミネート工程の二工程を必要とし、装置的にも非経済的である。
【0004】
特開平5−116259号公報には、EVOH層と密度0.90g/cm3以下のエチレン系重合体層を各々少なくとも一層含む溶融多層体を共押出しコーティングすることを特徴とする多層構成フィルムの製造方法について述べられている。しかし該発明はEVOHとエチレン系重合体に関するものであり、EVOHと特定のポリアミドの溶融多層体に関するものではない。
【0005】
特開平3−75120号公報には、ポリエステルフィルムと接着性樹脂層とからなる積層フィルム上に酸素バリアー性樹脂と接着性樹脂を共押出し、該接着性樹脂を前記積層フィルムの接着性樹脂層上に重ねて共押出ラミネートすることを特徴とする積層体の製造方法について述べられている。しかし該発明には、特定のポリアミドを用いて、熱水処理後のガスバリアー性の回復が早く、熱水処理しても白化やブロッキングの発生を防止する方策に関するものではない。
【0006】
特開平2−37298号公報には、少なくとも、EVOH10〜100重量%を含有する樹脂と、ポリエチレン系樹脂30重量%以上を含有する樹脂とを、該ポリエチレン系樹脂を含有する樹脂が一方の表面に積層されるべく押出し積層して押出積層物を生成し、次に該押出積層物を押出積層した直後にオゾン処理を施し、アンカーコート処理を施した別製の基材シートに積層し、押圧、冷却することを特徴とする積層体の製造法について述べられている。しかし該発明も、EVOHと特定のポリアミドの溶融多層体に関するものではない。
【0007】
特開昭51−18775号公報には少なくとも2層からなり、かつそのうちの1層がEVOHである薄膜状溶融物を基材フィルムに圧着することを特徴とするラミネートフィルムの製造方法について述べられている。しかし該発明のEVOHと共押出しされる熱可塑性樹脂は、該公報6頁2〜11行に示されている通りポリオレフィンまたはポリオレフィンを主体とする共重合体であり、ポリアミドは含まれていない。さらに該発明には、特定のポリアミドを用いて、熱水処理後のガスバリアー性の回復が早く、熱水処理しても白化やブロッキングの発生を防止する方策に関するものではない。また、基材の片面にシーラントを積層した後、巻き取ることなくただちに、EVOHとポリアミド組成物層の少なくとも2層よりなる溶融多層体を、基材の他方の面にEVOHが接するように共押出しコーティングすることに関する記述もない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、熱水処理後のガスバリアー性の回復が早く、耐熱水ブロッキング性に優れた多層構成体の一工程での製造方法に未だ十分なものがなく、かかる特性を兼備えた安価な多層構成体の製造方法が切望されている。
【0009】
しかして、本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するために創案されたものであり、熱水処理後のガスバリアー性の回復が早く、耐熱水ブロッキング性に優れた多層構成体を一工程で得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、基材(C)層の片面にシーラントを積層した後、巻き取ることなくただちに、エチレン含有量20〜65モル%、ビニルエステル成分のけん化度90モル%以上のEVOH(A)層と、結晶性ポリアミド35〜65重量%および非晶性ポリアミド65〜35重量%からなるポリアミド組成物(B)層の少なくとも2層よりなる溶融多層体を、基材(C)層の他方の面に、(B)層が外表面となるように共押出しコーティングすることによって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。本発明において、基材(C)としては、エチレンホモポリマーおよびエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマーおよびプロピレンコポリマー、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジポアミド、ポリメタキシリレンアジポアミドなどのポリアミド、PVDC、塩化ビニルコポリマー、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂よりなる無延伸フィルムまたはシート、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フィルムや、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス箔、銅箔などの金属箔、合成紙などが例示される。さらにこれ等の基材および基材の原料となる熱可塑性樹脂をドライラミネート、共押出ラミネートなどの手法で多層化した、無延伸多層フィルムまたはシート、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フィルムも使用可能である。これらの内で、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、圧延高密度ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリε−カプロラクタムフィルムが好ましく、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、圧延高密度ポリエチレンフィルムなどの防湿性の良好なものが特に好ましい。
【0012】
基材の片面あるいは両面には、印刷、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理などが施されていても良いし、アルミニウム、アルミナ、酸化珪素などの金属および/または金属酸化物が、物理蒸着または化学蒸着などの方法により蒸着されていても良いし、これら蒸着や印刷や各種処理を2種以上組合せて行っていても良い。これらの内で、基材に熱可塑性樹脂を用いる場合には、両面にコロナ放電処理や火炎処理が施されているほうが、得られた多層構成体の接着力の点で好ましい。
【0013】
基材(C)の厚みに特に制限はないが、経済性と強度より1〜1000μm、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜100μm、特に好ましくは5〜50μmである。
【0014】
本発明において、基材の片面にまず積層されるシーラントの役目は、ヒートシール性やイージーピール性の付与である。該シーラントとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂または、該熱可塑性樹脂よりなるフィルムまたはシートなどが例示され、特に制限はない。これらを単独で用いても良いし、2種以上をブレンドして用いても良いし、多層体で用いても良い。基材と積層後のシーラント層の外表面は、基材より低融点または低軟化点であるものが好ましい。シーラントの厚みに特に制限はないが、経済性と強度より1〜1000μm、好ましくは5〜500μm、より好ましくは15〜200μm、特に好ましくは25〜100μmである。
【0015】
シーラントと基材の積層方法は、基材(基材の積層面は、アンカーコート剤などの接着剤で処理されていることが望ましい)へのシーラント用熱可塑性樹脂の押出しコーティングまたは共押出しコーティング、該熱可塑性樹脂を押出し製膜し基材と直接積層するニーラムラミネーション、基材と該熱可塑性樹脂よりなるフィルムまたはシートとを溶融ポリエチレンを介して積層するポリサンドラミネーション、または基材と該熱可塑性樹脂よりなるフィルムまたはシートとのドライラミネーションなどの方法が例示される。これらの内、ニーラムラミネーション、ポリサンドラミネーション、ドライラミネーションが好ましく、ポリサンドラミネーション、ドライラミネーションがより好ましい。アンカーコート剤やドライラミネーション用接着剤はポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリエチレンイミン系、アルキルチタネート系などの公知の物が使用可能である。
【0016】
本発明において、EVOH(A)は公知のものであり、例えば、エチレンとビニルエステルを、メタノールやt−ブタノールやジメチルスルホキシドなどの溶剤中で、加圧下で過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を用い公知の方法で重合させ、続いて酸、またはアルカリ触媒でけん化して得られる物などが例示される。脂肪酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニルエステル、プロピオン酸ビニルエステル、バーサチック酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニルエステルなどがあげられ、芳香族カルボン酸ビニルエステルなども使用可能であるが、酢酸ビニルエステルが好ましい。
【0017】
EVOHのエチレン含有量は20〜65モル%、好適には25〜60モル%、より好適には25〜50モル%、ビニルエステル成分のけん化度は90モル%以上、好適には95モル%以上、より好適には98モル%以上である。エチレン含有量が20モル%未満では、高湿度時のガスバリアー性が低下し、65モル%を越えると十分なガスバリアー性が得られない。一方、けん化度が90モル%未満では、高湿度時のガスバリアー性が低下するだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化し、得られる膜面にゲルが発生しやすい。また、JIS−K−7210(温度210℃、荷重2.16kg)で測定したEVOHのメルトインデックスは0.1〜100g/10分のものが好ましく、0.5〜50g/10分のものがより好ましく、1〜20g/10分のものがさらに好ましい。
【0018】
また、EVOHには少量のプロピレン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、その塩、アルキルチオール類、N−ビニルピロリドンなどの共重合成分を含んでいても差支えない。また特開平6−298847号公報に記載されているような過酸化水素水処理を行っていても良い。
【0019】
また、(A)層に用いられるEVOHは単一の組成のもののみならず、エチレン含有量、重合度あるいはけん化度等、その樹脂組成が互いに異なる2種類以上のEVOHの混合物であってもよい。
【0020】
また、EVOHには、本発明を阻害しない範囲で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、ホウ酸などの架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤などの各種添加剤、ポリアミド、ポリオレフィン、高吸水性樹脂などの各種樹脂を配合してもよい。
【0021】
さらにまた、下記の特性値(P値)が45秒以上、15分以内である熱分解挙動を有するEVOHを用いることが好ましい。
P値…内径2mmφ、長さ1cmのノズルおよび内径9.5mmφのシリンダーを有するメルトインデクサー(JIS−K−7210;宝工業(株)製メルトインデクサー L203型)を300℃に加熱し、該シリンダーに試料樹脂5gを入れ、直ちに2.16kgの荷重をかけ1gの試料樹脂をノズルから吐出させた後荷重を除き、その直後ノズルの出口を封鎖(たとえば直径2mmφの針金をノズルに挿入して封鎖)し、次いで480gの荷重をかけて、ストップウォッチをスタートさせ、ピストンが5mm上昇する迄の時間。
【0022】
P値は45秒以上、15分以内にあることが重要であり、好ましくは1分以上、15分以内、より好ましくは2分以上、10分以内である。P値が45秒未満でも通常の押出温度では、共押出しコートでえられたEVOH層は良好な膜面のものがえられるが、生産性向上を目的とし高速加工を行うために押出温度を上昇させると、共押出しコートでえられたEVOH層に、EVOHの熱分解に起因する気泡を含みやすくなり外観不良となる。一方15分を越えると押出機にゲルなどの滞留物が付着しやすくなり、長時間連続運転性が低下する。
【0023】
このようなEVOHは、代表的には次のような方法により得られる。すなわち揮発分{EVOHを120℃で24時間乾燥した時の重量減少率(乾燥重量基準)を揮発分とする}が0.3%以下、好適には0.2%以下、より好適には0.15%以下となるまで乾燥することと、酸根70〜2000ppm、好適には70〜1000ppm、より好適には100〜1000ppm、アルカリ金属イオン15〜400ppm、好適には20〜300ppm、より好適には30〜200ppm、アルカリ土類金属イオン10〜300ppm、好適には30〜200ppm、より好適には50〜150ppm含ませることにより得られる。なおアルカリ金属イオンが100ppm以上の場合はアルカリ土類金属イオンを含まなくても良く、アルカリ土類金属イオンが50ppm以上の場合はアルカリ金属イオンを含まなくても良い場合がある。
【0024】
ここで酸根とは、好適にはpka(25℃での酸度指数)3.5以上の酸、たとえば酢酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、アスパラギン酸、アミノ安息香酸、グルタミン酸などの有機酸、ホウ酸などの無機酸から水素原子を除いたものであり、酸、酸無水物または金属塩などの化合物として添加される。また他の酸根としてはリン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの無機酸性物質などのリン酸根が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが例示され、アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンなどが例示される。該金属イオンは、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、水酸化物、塩化物などの化合物として添加される。
【0025】
例えば、炭酸ナトリウムを添加した場合には、ナトリウムイオンのみを含むが、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの金属塩を添加した場合には、酸根と金属イオンの両者を含むので、各々の値を計算する必要がある。
【0026】
本発明において得られる多層構成体のEVOH(A)層の厚み{溶融多層体に(A)層を2層以上含む場合は得られる多層フィルムでのその合計厚み}は1〜50μmが好ましく、2〜20μmがより好ましく、2〜10μmがさらに好ましい。1μ未満ではガスバリアー性が十分でないことがあり、50μmを越えると多層構成体の価格が高くなることと、内容物充填後の輸送中などの屈曲により多層構成体にピンホールが発生しやすいことがある。
【0027】
本発明において、結晶性ポリアミドとしては、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン、エチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタンなどのジアミン成分と、2,6−ナフタリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸などの多価カルボン酸成分を原料として得られるポリアミドや、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸を原料として得られるポリアミドおよびそれらの共重合体が例示される。
【0028】
これらの内で、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66、ポリアミド12、ポリアミド6/12、ポリアミドMXD6などが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド6/66がより好ましい。また、温度250℃、剪断速度100/秒での結晶性ポリアミドの溶融粘度は1,000〜50,000ポイズ、好ましくは1,000〜40,000ポイズ、より好ましくは5,000〜30,000ポイズである。
【0029】
本発明において、非晶性ポリアミドとは、窒素中、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量計(DSC)を用い測定した結晶融解熱量が1cal/g未満のものをいう。非晶性ポリアミドとしては、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テレフタル酸などの脂肪族または芳香族ジカルボン酸成分と、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4´−ジアミノ−ジシクロヘキシルプロパン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−ジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジメチル−ジシクロヘキシルメタンなどの脂肪族ジアミン成分を原料として得られるポリアミドおよびそれらの共重合体などが例示される。さらにラクタムやイソシアネート系化合物を原料に添加しても良い。
【0030】
これらの内で、テレフタル酸とイソフタル酸のモル比率が20:80〜40:60、好ましくは20:80〜35:65、より好ましくは25:75〜35:65のものをジカルボン酸成分とし、ヘキサメチレンジアミンをジアミン成分としたポリアミドがより好ましい。また、温度260℃、剪断速度100/秒での非晶性ポリアミドの溶融粘度は1,000〜50,000ポイズ、好ましくは3,000〜40,000ポイズ、より好ましくは4,000〜30,000ポイズである。
【0031】
本発明に用いられる結晶性ポリアミドおよび非晶性ポリアミドからなるポリアミド組成物(B)の各成分の配合割合は、結晶性ポリアミドが35〜65重量%、好適には40〜60重量%、さらに好適には40〜55重量%であり、非晶性ポリアミドが65〜35重量%、好適には60〜40重量%、さらに好適には60〜45重量%である。結晶性ポリアミドが35重量%未満では熱水処理時ブロッキングが発生しやすく、一方、65重量%を越えると製膜安定性に劣る。
【0032】
本発明において、ポリアミド組成物(B)のブレンド方法としては、結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドをドライブレンドし、そのまま押出機に投入し、共押出しコーティングする方法でも良いし、一旦ドライブレンドした後、または各々の所定量をフィーダーを用い連続的に、単軸または二軸スクリュー押出機(混練部が付いていても付いていなくてもよく、スクリュー回転は同方向でも異方向でもよい)、インテンシブミキサー、連続式インテンシブミキサーなどを用い溶融押出後、冷却下ペレット化して、溶融ブレンド体としたものを共押出しコーティングする方法でも良い。
【0033】
また、ポリアミド組成物(B)には、本発明を阻害しない範囲で、酸化防止剤、金属塩、色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤などの各種添加剤、ポリオレフィン、高吸水性樹脂などの各種樹脂を配合してもよい。
【0034】
本発明において得られる多層構成体のポリアミド組成物(B)層の厚み{溶融多層体に(B)層を2層以上含む場合は得られる多層フィルムでのその合計厚み}は1〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。1μ未満では耐熱水ブロッキング性が十分でないことがある。また、50μmを越えた時に生じる恐れのある問題点としては、熱水処理後のガスバリアー性の回復が遅くなること、内容物充填後の輸送中などの屈曲により多層構成体にピンホールが発生しやすいこと、多層構成体の価格が高くなることがあげられる。
【0035】
本発明において、EVOH(A)層とポリアミド組成物(B)層の少なくとも2層よりなる溶融多層体の好ましい構成は、(外側)(B)/(A)(基材側)、(外側)(B)/(A)/(B)(基材側)、(外側)(B)/(A)/(A)(基材側)、(外側)(B)/(A)/(A)/(B)(基材側)、(外側)(B)/(A)/(B)/(A)(基材側)、(外側)(B)/(A)/(B)/(A)/(B)(基材側)などが挙げられる。溶融多層体でポリアミド組成物を2層以上含む場合、それらポリアミド組成物の組成比は異なっていても良い。また溶融多層体でEVOHを2層以上含む場合、それらEVOHのエチレン含有量、けん化度、メルトインデックス、P値は異なっていても良い。
【0036】
また、外側より(B)/(A)構成が存在すれば、その基材側にはEVOHやポリアミド組成物以外の熱可塑性樹脂層が存在しても良い。このような溶融多層体の構成としては、(外側)(B)/(A)/熱可塑性樹脂(基材側)、(外側)(B)/(A)/熱可塑性樹脂/(A)(基材側)、(外側)(B)/(A)/熱可塑性樹脂/(B)(基材側)、(外側)(B)/(A)/熱可塑性樹脂/(A)/熱可塑性樹脂(基材側)などが例示される。
EVOH(A)層とポリアミド組成物(B)層の少なくとも2層よりなる多層溶融体の共押出しコーティング用ダイはデュアルスロットダイ、マルチマニホールドダイ、フィードブロックダイなどを採用可能であるが、マルチマニホールドダイやフィードブロックダイが好ましい。
【0037】
本発明において、多層溶融体を基材に共押出しコーティングすることは重要である。前記したとおり、特定のポリアミド組成物及びEVOHを共押出しコーティングすることにより、EVOH(A)層、ポリアミド組成物(B)層の厚みを薄くしても、製膜安定性が優れている。なお製膜安定性とは、150m/分という高速共押出しコーティングで得られる多層溶融体の塗膜幅の変動(ネックイン変動)が50mm以内におさまることを意味し、この変動が少ないほど、EVOHおよびポリアミド組成物の収率が向上する。
【0038】
また、EVOH(A)とポリアミド組成物(B)よりなる溶融多層体を、シーラントを形成した反対側の基材面上にポリアミド組成物(B)層を外表面とするように共押出コーティングすることが重要である。
ポリアミド組成物(B)層が外表面となるように共押出コーティングするのは、EVOH(A)層が外表面となるようにコーティングしたのでは得られた多層構成体を熱水処理した時に熱水ブロッキングなどのトラブルを引起こし易いからである。
また、ヒートシール層を共押出コーティング層上に形成したのでは、熱水処理時にEVOH層に吸収された水分を熱水処理後にEVOH層から放出させる際の水分の透過の妨げとなる。このことは、特にポリオレフィン系などの水分の透過しにくいヒートシール層を用いたときに顕著である。EVOHのガスバリア性は水分を吸収することで大きく低下するので、結果として熱水処理後のガスバリア性の回復が遅延することになる。したがって、水分の透過性の良好なポリアミド組成物層のみを介して外界に水分を放出できることから本発明の構成が好ましいのである。特に、ポリアミド組成物層の厚みが薄いときにガスバリア性の回復が迅速で好ましい。
【0039】
本発明では、基材の片方の面にシーラント、他方の面に多層溶融体を積層する必要があるが、従来プラスチックフィルムを一台の装置で多段に積層する場合には、基材の片面にのみ行っていた。装置を本加工目的の為、新たに設置しても良いが、従来の装置で両面に積層を行うには、通常は基材を給紙する第一給紙からシーラント、通常はバリアー材を給紙する第二給紙から基材を供給し、一段目の積層(ポリサンドラミネーション、ドライラミネーション)を行うか、または第二給紙から基材のみを供給し、シーラントを押出しコーティング、共押出しコーティング、ニーラムラミネーションにより一段目の積層を行った後、巻き取ることなくただちに、EVOHとポリアミド組成物の溶融多層体を基材に共押出しコーティングにより二段目の積層をすることで解決可能となる。本発明の積層方法の例を図1〜3に、従来の一般的な積層方法の例を図4、5に示す。
【0040】
第二給紙から基材を供給し、一段目の積層でEVOHとポリアミド組成物の溶融多層体を基材に共押出しコーティングを行い、二段目の積層でシーラントの積層を行う場合は、該溶融多層体がゴムロール側に接触するため、外観不良や連続運転時の冷却不足よる該溶融多層体とゴムロールとの粘着などのトラブルが発生しやすい。
【0041】
基材に溶融多層体を共押出しコーティングする前に、溶融多層体の片面あるいは両面にオゾン処理、コロナ放電処理、電子線照射処理などが施されても良い。また、基材(C)層とEVOH(A)層間の接着力が十分得られない場合には、基材(C)層をアンカーコート剤で処理した後、基材(C)層のアンカーコート処理面にEVOH(A)層が接するように、EVOH(A)とポリアミド組成物(B)とを共押出しコーティングする事が好ましい。なおEVOH(A)とポリアミド組成物(B)とを共押出しフィルムに成形した後、基材とドライラミネートする場合は、後述する比較例5から明らかなように、熱水処理時にデラミが発生しやすい。
【0042】
上記アンカーコート剤としては、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合を1種ないし2種以上を主鎖に含み、かつ水酸基を2個ないし2個以上含む主剤(ポリプロピレングリコールとビスフェノールAとを反応させたポリエーテルや、ポリプロピレングリコールとトルイレンジイソシアネートやm−キシリレンジイソシアネートとを反応させたポリエーテルポリウレタンや、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、アジピン酸とジエチレングリコール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールとを反応させたポリエステルや、イソフタル酸、アジピン酸とエチレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとを反応させたポリエステルポリウレタンなどが例示される)と、多官能イソシアネートの硬化剤(トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとの反応物や、ポリプロピレングリコール付加グリセリンとm−キシリレンジイソシアネートとの反応物や、m−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどが例示される)とからなる、2液硬化型のアンカーコート剤を用いることが耐熱水性の点で望ましい。このようなアンカーコート剤は、東洋モートン(株)、武田薬品工業(株)、大日本インキ化学工業(株)、大日精化工業(株)をはじめとする各接着剤メーカーより市販されている。アンカーコート剤の塗布量は固形分として0.05〜4g/m2、好ましくは0.05〜1g/m2、より好ましくは0.1〜0.5g/m2である。
【0043】
このようにして得られた多層構成体を、袋、蓋材などに用いた包装材料に、内容物を充填の後熱封緘した包装体は、80℃以上の熱水による15分以上の殺菌工程において熱水ブロッキングや白化などの問題がなく、ガスバリアー性の回復に優れており、水羊羮、プリン、ゼリー、蜜豆などの菓子類、ぜんまい、蕨、沢庵、菜の花などの漬物類、ソーセージ、ハム、蒲鉾などの加工食品、コーンスープ、ミートソース、釜飯、肉じゃが、煮豆などの惣菜類を初め各種食品、医薬品、工業薬品に好適に適用できる。また高温での接着力が良好なので、餅、ウィンナソーセージ、味噌、ラーメンスープなどの自動充填包装工程におけるトラブルが発生しにくい。さらに非晶性ポリアミドを使用したことにより、紫外線遮断性も付与されており、赤蕪、桜海老、ワカメ、カニ足風蒲鉾などの退色を抑制できる。
【0044】
以下実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定を受けるものではない。なお部、%とあるのは、特に断りのない限りいずれも重量基準である。
【0045】
【実施例】
実施例1
両面コロナ放電処理された厚さ20μmのOPP{東京セロファン紙(株)製、トーセロU−2}に、アンカーコート剤{東洋モートン(株)製、AD−503A/CAT10(ポリエステル系)}を固形分として0.2g/m2塗布し、70℃で溶剤を蒸発させた後、シーラントとして40μmの低密度ポリエチレンフィルム{アイセロ化学(株)製、スズロンL、S−201}を、低密度ポリエチレン{三井石油化学工業(株)製、ミラソン11}を320℃に溶融し、厚み15μmでOPP面のアンカーコート処理面にポリサンドラミネーションにより積層した。
【0046】
続いて、(A)層のシーラントの反対面にも同様にアンカーコート剤を塗布した後、エチレン含有量27モル%、ビニルエステル成分のけん化度99.5モル%のEVOH(A)(MI8g/10分、P値6分、ナトリウムイオン125ppm、カルシウムイオン0ppm、酢酸根43ppm、燐酸根30ppm、揮発分0.08%)を200℃に溶融させ、結晶性ポリアミドとしてポリアミド6{宇部興産(株)製、UBEナイロン1024FD−1}(溶融粘度10,000ポイズ)50重量%、および非晶性ポリアミドとしてジアミン成分がヘキサメチレンジアミン、多価カルボン酸成分がイソフタル酸とテレフタル酸のモル比が30:70からなる非晶性ポリアミド(溶融粘度10,000ポイズ)50重量%からなるポリアミド組成物(ドライブレンド品)(B)を250℃に溶融させ、(A)の溶融体と(B)の溶融体の多層体を、(A)層がOPPのアンカーコート処理面と接触するように150m/分で共押出しコートを行い、低密度ポリエチレンフィルム(40μm)/低密度ポリエチレン(15μm)/OPP(20μm)/EVOH(4μm)/ポリアミド組成物(2μm)構成の多層構成体を得、該多層構成体を40℃で3日間エージングした。
【0047】
該積層体を20℃、65%RHでゲルボフレックステスターを用い1000回の屈曲を与えたが、ピンホールの発生はなかった。
【0048】
該積層体で水100mlを封入した縦230mm、横150mmの4方袋をを作り、この包装体5袋を重ねて、85℃で30分間熱水処理した。どの袋にもデラミ、白化、ブロッキングは見られず、良好な耐熱水性を有していた。また、熱水処理後20℃、65%RHに10時間放置した後の酸素透過量は、2.0ml/m2・24h・atm{モダンコントロール社製、OX−TRAN、10/50A型を用い20℃、65%RH(袋外部側)〜20℃、100%RH(袋内部側)で測定}と良好であった。これらの結果を表1にまとめて示す。
【0049】
比較例1
実施例1において、ポリアミド組成物(ドライブレンド品)(B)を結晶性脂肪族ポリアミドであるポリアミド6{東レ(株)製、アミランCM、1021XF}(溶融粘度8,000ポイズ)50重量%、および結晶性部分芳香族ポリアミドであるポリアミドMXD6(脂肪族ジカルボン酸成分:アジピン酸、芳香族ジアミン成分:メタキシリレンジアミン)(溶融粘度2,000ポイズ)50重量%からなる結晶性ポリアミド組成物に変更し、EVOH(A)がOPPのアンカーコート処理面と接触するように150m/分で共押出しコートし多層構成体を得ようとしたが、溶融多層体の製膜安定性が劣っており、80mmのネックイン幅変動が発生した。多層構成体を得るには、(A)および(B)の共押出しコート速度を40m/分に下げざるを得ず、非常に生産性が悪くなってしまった。低密度ポリエチレンフィルム(40μm)/低密度ポリエチレン(15μm)/OPP(20μm)/EVOH(4μm)/ポリアミド組成物(2μm)構成の多層構成体を得、該多層構成体を40℃で3日間エージングした。以下実施例1と同様の操作を行い、その結果を表1に示す。
【0050】
比較例2
実施例1において、ポリアミド組成物(ドライブレンド品)(B)を結晶性ポリアミドとしてポリアミド6{宇部興産(株)製、UBEナイロン1024FD−1}(溶融粘度10,000ポイズ)30重量%、および非晶性ポリアミドとしてジアミン成分がヘキサメチレンジアミン、多価カルボン酸成分がイソフタル酸とテレフタル酸のモル比が30:70からなる非晶性ポリアミド(溶融粘度7,000ポイズ)70重量%からなるポリアミド組成物に変更し、EVOH(A)がOPPのアンカーコート処理面と接触するように150m/分で共押出しコートし多層構成体を得た。低密度ポリエチレンフィルム(40μm)/低密度ポリエチレン(15μm)/OPP(20μm)/EVOH(4μm)/ポリアミド組成物(2μm)構成の多層構成体を得、該多層構成体を40℃で3日間エージングした。以下実施例1と同様の操作を行い、その結果を表1に示す。
【0051】
比較例3
実施例1において、積層順序と積層面を変更し、ポリアミド層の厚みも変更して、OPP(20μm)/EVOH(4μm)/ポリアミド組成物(30μm)/低密度ポリエチレン(15μm)/低密度ポリエチレンフィルム(40μm)構成の多層構成体を得、該多層構成体を40℃で3日間エージングした。以下実施例1と同様の操作を行い、その結果を表1に示す。
【0052】
比較例4
実施例1において、EVOHとPAの積層の向きを逆にし、EVOH層の厚みも変更して低密度ポリエチレンフィルム(40μm)/低密度ポリエチレン(15μm)/OPP(20μm)/ポリアミド組成物(2μm)/EVOH(30μm)構成の多層構成体を得、該多層構成体を40℃で3日間エージングした。以下実施例1と同様の操作を行い、その結果を表1に示す。なお、熱水処理後のガスバリアー性については、ブロッキングの発生が激しく、測定不能であった。
【0053】
比較例5
結晶性ポリアミドとしてポリアミド6{宇部興産(株)製、UBEナイロン1024FD−1}(溶融粘度10,000ポイズ)50重量%、および非晶性ポリアミドとしてジアミン成分がヘキサメチレンジアミン、多価カルボン酸成分がイソフタル酸とテレフタル酸のモル比が30:70からなる非晶性ポリアミド(溶融粘度7,000ポイズ)50重量%からなるポリアミド組成物を240℃でブレンドペレット化した。エチレン含有量44モル%、ビニルエステル成分のけん化度99.5モル%のEVOH(A)(MI12g/10分、P値3分 ナトリウムイオン190ppm、カルシウムイオン0ppm、酢酸根190ppm、揮発分0.1%)を220℃に溶融させ、該ポリアミド組成物(B)を250℃に溶融させ、実施例1と同じ厚み{(A)層が4μm、(B)層が2μm}で、(B)/(A)の2種2層空冷インフレフィルムを丸ダイを用い製膜速度30m/分で得ようとしたが、バブルが安定せず、薄層のフィルムは得られなかった。
【0054】
上記方法に代わり、上記EVOH(A)を220℃に溶融させ、上記ポリアミド組成物(B)を250℃に溶融させ、接着性低密度ポリエチレン(密度0.920)を180℃に溶融させ、(A)の溶融体、(B)の溶融体、接着性低密度ポリエチレンの溶融体を、丸ダイを用い製膜速度8m/分で(B)(30μm)/(A)(30μm)/接着性低密度ポリエチレン(15μm)構成の3種3層空冷インフレフィルムを得た。
【0055】
両面コロナ放電処理された厚さ20μmのOPP{東京セロファン紙(株)製、トーセロU−2}に、ドライラミネート用接着剤{武田薬品工業(株)製、タケラックA−968/タケネートA−8}を、固形分として3g/m2塗布し、70℃で溶剤を蒸発させた後、前記共押出しフィルムのポリアミド組成物(B)面と張合わせ、40℃で3日間エージングした。得られたフィルムの構成は、OPP(20μm)/ポリアミド組成物(30μm)/EVOH(30μm)/接着性低密度ポリエチレン(15μm)であった。
【0056】
以下は実施例1と同様の操作を行った。該積層体を20℃,65%RHでゲルボフレックステスターで1000回の屈曲を与えたが、ピンホールは発生しており、耐屈曲性の点で劣っていた。また、85℃で30分間熱水処理で、どの袋にもブロッキングは見られなかったが、顕著なデラミと白化が発生し耐熱水性の点でも劣っていた。さらに、熱水処理後20℃、65%RHに10時間放置した後の酸素透過量は、45ml/m2・24h・atmと熱水処理後のバリアー性早期回復の点でも劣っていた。この結果も表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003839507
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法は、製膜安定性に優れ、また得られた多層構成フィルムは、熱水処理後のガスバリアー性の回復が早く、耐熱水ブロッキング性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例(ポリサンド・押出しラミ法)を示した説明図である。
【図2】本発明例(ニーラム・押出しラミ法)を示した説明図である。
【図3】本発明例(ドライ・押出しラミ法)を示した説明図である。
【図4】従来の方法例(タンデムドライラミ法)を示した説明図である。
【図5】従来の方法例(タンデム押出しラミ法)を示した説明図である。
【符号の説明】
1…基材フィルム
2…バリアー材フィルム
3…シーラントフィルム
4…接着層用押出機
5…シーラント用押出機(単層)
6…シーラント用押出機(複層)
7…EVOH用押出機
8…ポリアミド組成物用押出機
9…接着剤塗布装置
10…製品

Claims (4)

  1. 基材(C)層の片面にシーラントを積層した後、巻き取ることなくただちに、エチレン含有量20〜65モル%、ビニルエステル成分のけん化度90モル%以上のエチレン−ビニルエステル共重合体けん化物(A)層と、結晶性ポリアミド35〜65重量%および非晶性ポリアミド65〜35重量%からなるポリアミド組成物(B)層の少なくとも2層よりなる溶融多層体を、基材(C)層の他方の面に、(B)層が外表面となるように共押出しコーティングすることを特徴とする多層構成体の製造方法。
  2. 結晶性ポリアミド35〜65重量%および非晶性ポリアミド65〜35重量%からなるポリアミド組成物(B)層、エチレン含有量20〜65モル%、ビニルエステル成分のけん化度90モル%以上のエチレン−ビニルエステル共重合体けん化物(A)層、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、圧延高密度ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび二軸延伸ポリε−カプロラクタムフィルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の基材(C)層およびシーラントが、(B)/(A)/(C)/シーラントの順に構成してなる多層構成体。
  3. 請求項2記載の多層構成体からなる包装材料。
  4. 請求項3記載の包装材料を熱封緘してなる包装体。
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