JP3838496B2 - 溶鋼の精錬方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鋼の精錬方法に関する技術分野に属し、詳細には、耐水素割れ性に優れた鋼を得るために溶鋼の精錬時にS(硫黄)源を添加して溶鋼中のS量を調整する溶鋼の精錬方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
耐水素割れ性に優れた鋼を得るために、溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量(S濃度)を調整することが行われる。この溶鋼中のS量(以下、 [S] ともいう)をどの程度に調整するかということに関し、従来は、レードル分析により得られた溶鋼中の水素量(以下、 [H] ともいう)の値と [S] 値と水素割れ発生の実績データとの関係を材質別に整理し、材質別の水素割れ感受性に応じて [S] 量の下限を規制(もしくは、上下限を規制)する方式が採られていた。また、まれに機械的性質の確保の点から [S] 量の上限値が制約されるものもあるが、この場合には、 [H] 上限をより厳しく管理するのが通例であった。
【0003】
例えば、各社で [H] 分析方法が異なるため一概にはいえないが、強度45kgf のものでは、 [H] ≦2.5ppm、0.008 %≦ [S] ≦0.015 %で決定するといったように、通常は実績に応じて [S] 量をある範囲に規定しておき、また、 [H] はある値以下になるように真空脱ガス処理時の時間を設定するなどして、それぞれを独立のものとして管理するのが通例であった。
【0004】
これは、特に大型の鍛鋼品などにおけることではあり、通常、厚板や棒鋼などでは、水素量を低減することは実施されているものの、S源を添加するようなことはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
大型の鍛鋼品においては、水素割れ防止のためにS源添加量を多くして [S] 量を高くするという対策がよく採られる。しかし、この場合には、介在物であるMnSが増加し、製品の清浄度の悪化および機械的性質の悪化を招いている。また、 [H] 実績値には、ばらつきがあり、外れれば、後工程での熱処理追加によるコストアップを招き、また、 [H] が結果的に低いときにも、先に [S] は調整しているので、過剰なMnSの問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に着目してなされたものであって、その目的は、耐水素割れ性に優れた鋼を得るために溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量を調整するに際し、溶鋼中のS量を過不足なく調整することができる溶鋼の精錬方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る溶鋼の精錬方法は、請求項1記載の溶鋼の精錬方法としており、それは次のような構成としたものである。
【0008】
即ち、請求項1記載の溶鋼の精錬方法は、耐水素割れ性に優れた鋼を得るために溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量を調整する溶鋼の精錬方法であって、溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量を測定し、この水素量の測定値に基づいて溶鋼中へのS源の添加量を定め、このS源を添加して溶鋼中のS量を下記式 (1) を満たす値に調整することを特徴とする溶鋼の精錬方法である(第1発明)。
【0009】
ただし、下記式(1) において、 [H] は溶鋼中の水素量の測定値(ppm)、 [S] は溶鋼中のS量(質量%)、Aは鋼の常温における強度(kgf/cm2)である。α、βは定数であって、 [H] /A≦0.073 のときは、α=0.136 、β=0であり、 [H] /A>0.073 のときは、α=0.571 、β=−0.032 である。
【0010】
[S] ≧(α [H] /A)+β -------- 式(1)
【0011】
ここで、溶鋼中の水素量の単位のppm は、質量比でのppm すなわち質量百万分率のことである(以下、同様)。鋼の強度の単位のkgf/cm2 については、1kgf/cm2 =9.80665 ×104 Paである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は例えば次のような形態で実施する。
溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量を測定し、この水素量の測定値に基づいて溶鋼中へのS源の添加量を定め、このS源を添加して溶鋼中のS量を前記式 (1) を満たす値に調整する。より具体的には、次のようにして行う。
【0013】
溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量をオンライン分析にて求める。次に、この水素量の測定値を、溶鋼中の水素量と溶鋼中のS量と鋼の耐水素割れ性との関係を示す図や表等に照らし合わせ、これにより、耐水素割れ性に優れた鋼を得ることができるときの溶鋼中のS量の最小値を求める。そして、得ようとする鋼の耐水素割れ性だけでなく、清浄度および/または機械的性質の点も考慮して、溶鋼中のS量が前記S量の最小値より少し高めのS量になるように、溶鋼中へのS源(単体硫黄または硫化物)の添加量を定め、この量のS源を溶鋼中へ添加する。即ち、溶鋼中のS量が前記式 (1) を満たす値になるようにS源を溶鋼中へ添加する。
【0014】
このような形態で本発明が実施される。以下、本発明について主にその作用効果を説明する。
【0015】
本発明に係る溶鋼の精錬方法は、前述の如く、耐水素割れ性に優れた鋼を得るために溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量を調整する溶鋼の精錬方法であって、溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量を測定し、この水素量の測定値に基づいて溶鋼中へのS源の添加量を定め、このS源を添加して溶鋼中のS量を前記式 (1) を満たす値に調整することを特徴とする溶鋼の精錬方法としている。
【0016】
上記方法によれば、溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量を測定して把握した上で、その水素量に応じて溶鋼中のS量を調整することができる。即ち、耐水素割れ性に優れた鋼を得ようとするとき、溶鋼中の水素量によって最低限必要な溶鋼中のS量は相違するので、従来法のように単に溶鋼中のS量の下限を規制(もしくは上下限を規制)して溶鋼中のS量を調整するのでは、溶鋼中の水素量によって溶鋼中のS量が多くなり過ぎ、不必要にMnSが増加して清浄度等の悪化を招くという不具合があるが、これに対し、上記方法によれば、溶鋼中の水素量に応じて溶鋼中のS量を的確に調整することができるので、溶鋼中の水素量によって溶鋼中のS量が多くなり過ぎることがないようにすることができ、また、溶鋼中のS量が不足で少な過ぎることがないようにすることもできる。つまり、上記方法によれば、溶鋼中のS量を過不足なく調整することができる。
【0017】
従って、本発明に係る溶鋼の精錬方法によれば、耐水素割れ性に優れた鋼を得るために溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量を調整するに際し、溶鋼中のS量を過不足なく調整することができるようになる。
【0018】
本発明に係る溶鋼の精錬方法によれば、このように溶鋼中のS量を過不足なく調整することができるので、過剰なS源添加(すなわち溶鋼中のS量を過剰に高くすること)によるMnS量の増大などによる清浄度の悪化や機械的性質の悪化を抑えつつ、耐水素割れ性に優れた鋼を得ることができるようになる。即ち、得ようとする鋼の規格の許せる範囲内で、溶鋼中の水素量に応じてS源添加量(ひいてはS源添加後の溶鋼中のS量)をバランスよく決定することができ、それにより溶鋼中のS量の無用な増大による清浄度の悪化や機械的性質の悪化を抑えつつ、また、溶鋼中のS量の不足による熱処理追加を不要としつつ、耐水素割れ性に優れた鋼を得ることができるようになる。
【0019】
本発明において、溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量を測定するに際し、その測定方法については特には限定されないが、オンラインにて(溶鋼の精錬中に)溶鋼中の水素量を迅速に測定することができ、しかも測定精度に優れている測定方法を採用することが望ましい。このような測定方法としては、例えば図2に示すような水素迅速分析方法を挙げることができる。この水素迅速分析方法はプローブ浸漬法によるものであり、溶鋼中の水素量の分析の所要時間は約1分である。なお、これに対し、図3に示す溶鋼試料採取法は分析試料をピンサンプル採取し、それを分析するという方法によるものであり、水素量の分析の所要時間は約20分であるので、好適ではない。
【0020】
溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量を調整するが、溶鋼の精錬が複数回行われる場合には、最後の精錬時が前記S量の調整をする精錬時とする。溶鋼中へ添加するS源としては、S(単体硫黄)または硫化物が用いられる。この硫化物としては、その種類は特には限定されず、種々のものを用いることができ、例えば通常FeSが用いられる。
【0021】
【実施例】
本発明の実施例及び比較例を以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0022】
溶鋼の精錬時の溶鋼中の水素量( [H] )と、溶鋼中のS量( [S] )と、この溶鋼の精錬後に所定の工程を経て得られた鋼についての水素割れ感受性との関係を調べた。この結果から、鋼の常温における強度と [S] 別の [H] の水素割れ限界値(限界 [H] )を求めた。即ち、水素割れ感受性調査において水素割れが発生しやすい場合の [H] と水素割れが発生しにくい場合の [H] との境界の [H] (それ以上の [H] では水素割れが発生しやすく、それ未満の [H] では水素割れが発生しにくい [H] )を求めた。
【0023】
このとき、溶鋼の精錬後の所定の工程としては、精錬後の溶鋼を下注ぎ造塊法により鋼塊とし、その後、予熱→鍛練→熱処理の工程を経て種々の製品(半製品)を得る工程とした。
【0024】
水素割れ感受性調査は、次のような方法により行った。すなわち、各強度別に種々の [H] 、 [S] 値のものを同一の鍛練→熱処理にて半製品とし、その後の超音波探傷(UT)にて割れの有無を確認し、100%合格の限界点を [H] 、 [S] 別の割れの限界点とした。なお、このような方法により得られた [H] 、 [S] 別の割れの限界点は、理論的に求められるものとよく合っていた。
【0025】
上記調査の結果を表1に示す。この表1において、表中の数値が上記でいうところの境界の [H] すなわち水素割れ限界 [H](ppm)である。例えば、 [S] =0.005 質量%、鋼の常温における強度(母材強度)=45kgf/cm2 の場合には、水素割れ限界 [H] =1.7ppmである。なお、この表1は、前述した溶鋼中の水素量と溶鋼中のS量と鋼の耐水素割れ性との関係を示す図や表等の一例に相当する。
【0026】
上記表1に基づいて図1を得た。即ち、横軸を [H](ppm)、縦軸を [S](質量%)とし、上記表1の水素割れ限界 [H] の値を鋼の強度別にプロットして、図1を作成した。この図1において、各プロットの点は上記境界の [H] すなわち水素割れ限界 [H](ppm)に相当する点であり、これらを結んでなる線は水素割れ感受性を示す場合と示さない場合の境界を示す線である。即ち、各線より下(あるいは右)の領域に入る条件( [H] 、 [S] )の場合には水素割れ感受性を示し、各線より上(あるいは左)の領域に入る条件( [H] 、 [S] )の場合には水素割れ感受性を示さないことになる。なお、この図1は、前述した溶鋼中の水素量と溶鋼中のS量と鋼の耐水素割れ性との関係を示す図や表等の一例に相当する。
【0027】
このようにして表1および図1を求めておいてから、溶鋼の精錬を下記のようにして行った。
【0028】
溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量( [H] )をオンライン分析にて求めた。この分析方法としては、図2に示すような水素迅速分析方法を採用した。この分析の所要時間は約1分であった。同時に、溶鋼中のS量( [S] )をオフライン分析にて求めた。この分析方法としては、カントバック法(QV法)(:発光分光分析法)を採用した。この分析の所要時間は約2分であった。
【0029】
上記 [H] の分析値を図1に照らし合わせ、これにより、水素割れ感受性を示さない領域に移行させるために最低限必要な [S] すなわち耐水素割れ性に優れた鋼を得ることができるときの [S] の最小値を求めた。そして、得ようとする鋼の耐水素割れ性だけでなく、清浄度および機械的性質の点も考慮して、 [S] が上記 [S] の最小値より少し高めの値になるように、上記 [S] の最小値および前記 [S] の分析値に基づいて溶鋼中へのS源(単体硫黄または硫化物)の添加量を定め、この量のS源を溶鋼中へ添加した。
【0030】
例えば、強度:45kgf/cm2 級の鋼を製造する場合において、溶鋼の精錬時にオンライン分析にて [H] を求めたところ、 [H] =1.7ppmであった。同時に、発光分光分析にて [S] を求めたところ、 [S] =0.003 質量%であった。この [H] =1.7ppm、 [S] =0.003 質量%の点は、図1において水素割れ感受性に関する境界線より下(あるいは右)にあるので、水素割れ感受性を示す領域にある。このため、この状態のままでは、水素割れ感受性を示さない(耐水素割れ性に優れた)鋼を得ることはできない。
【0031】
そこで、 [H] =1.7ppmのときにおいて、水素割れ感受性を示さない領域に移行させるために最低限必要な [S] を図1より求めると、それは0.005 質量%である。従って、得ようとする鋼の耐水素割れ性の点からは、 [S] を0.005 質量%超で出来るだけ多くなるようにするとよい。しかし、 [S] を多くし過ぎると清浄度や機械的性質が悪くなり過ぎる。そこで、鋼の耐水素割れ性の点だけではなく、清浄度および機械的性質の点も考慮して、 [S] が前記分析の時点における0.003 質量%から0.005 質量%より少し高めの値に移行して0.007 質量%になるように、溶鋼中へのS源の添加量を定め、この量のS源を溶鋼中へ添加した。
【0032】
このようにして溶鋼の精錬時にS源の添加量を定め、この量のS源を溶鋼中へ添加して [S] を調整した。このような調整がされた溶鋼の [S] 、 [H] は、いずれの場合も、図1において水素割れ感受性を示さない領域にあり、且つ、水素割れ感受性に関する境界線より少し上(あるいは左)に位置する。例えば、強度:45kgf/cm2 級の鋼を製造する場合、このような調整がされた溶鋼の [S] 、 [H] は、いずれの場合も、図1中に図示した楕円で囲まれた領域(その中に本発明法と記した個所)内にある。この領域内での [S] は [S] =0.003 〜0.012 質量%であり、後述の従来技術の場合に比べて低い。
【0033】
これに対して、従来技術のように [H] および [S] の範囲を安全側に定めて管理する場合は、溶鋼の精錬時にS源を添加した後の溶鋼の [S] 、 [H] は、図1において水素割れ感受性を示さない領域にあるが、水素割れ感受性に関する境界線より大分上(あるいは左)に位置する。例えば、強度:45kgf/cm2 級の鋼を製造する場合、S源の添加後の溶鋼の [S] 、 [H] は、いずれの場合も、図1中に図示した四角で囲まれた領域(その中に45kgf での従来の管理範囲と記した個所)内にある。この領域内での [S] は [S] =0.008 〜0.015 質量%である。
【0034】
前記溶鋼の精錬の後、得られた鋼塊を用いて前記所定の工程と同様の工程を経て丸棒(例えばφ600mm の丸棒)を製造した。そして、この丸棒から試験材を採取し、清浄度の測定、引っ張り試験や曲げ試験等による機械的性質の測定、および、水素割れ感受性調査を行った。このとき、清浄度の測定および機械的性質の測定は通常の方法(JIS に規定する方法)により行った。水素割れ感受性調査は前記水素割れ感受性調査の場合と同様の方法により行った。
【0035】
この結果、強度:45kgf/cm2 級の鋼の製造に際し、従来技術のように [H] および [S] の範囲を安全側に定めて管理する場合(比較例の場合)は、得られた鋼は耐水素割れ性に優れていたが、介在物であるMnSの量が多くて清浄度が悪く、また、強度および伸びが低く、靱性も低くて機械的性質が悪かった。
【0036】
これに対し、前記のように溶鋼の精錬時に [H] を分析して求め、これに基づいてS源の添加量を定め、この量のS源を溶鋼中へ添加して [S] を調整した場合(本発明の実施例の場合)は、得られた鋼は比較例の場合と同様に耐水素割れ性に優れているだけでなく、比較例の場合に比較してMnSの量が著しく少なくて極めて清浄度に優れ、また、強度および伸びが著しく高く、靱性も高くて機械的性質に極めて優れていた。
【0037】
強度:60kgf/cm2 級の鋼の製造の場合も、本発明の実施例の場合は、得られた鋼は比較例の場合と同様に耐水素割れ性に優れているだけでなく、比較例の場合よりもMnSの量が著しく少なくて極めて清浄度に優れ、また、強度および伸びが著しく高く、靱性も高くて機械的性質に極めて優れていた。強度:75kgf/cm2 級、80kgf/cm2 級、85kgf/cm2 級、90kgf/cm2 級の鋼の製造の場合も、本発明の実施例の場合は、得られた鋼は比較例の場合と同様に耐水素割れ性に優れているだけでなく、比較例の場合よりもMnSの量が著しく少なくて極めて清浄度に優れ、また、強度および伸びが著しく高く、靱性も高くて機械的性質に極めて優れていた。
【0038】
このように本発明の実施例の場合、溶鋼の精錬時に [H] に応じて [S] を調整するので、 [S] を過不足のない量にすることができ、このため、耐水素割れ性を確保した上で、 [S] を不必要に高くし過ぎることがないようにすることができる。従って、本発明の実施例の場合は、耐水素割れ性を確保した上で、比較例の場合に比べて、 [S] を的確に低くすることができ、このため、MnSの量が著しく少なくて極めて清浄度に優れると共に機械的性質に極めて優れた鋼を得ることができるようになる。
【0039】
前述の図1における水素割れ感受性に関する境界線は、下記式(近似式)(2) で表現することができる。
[S] =(α [H] /A)+β -------- 式(2)
但し、上記式(2) において、 [H] は溶鋼中の水素量の測定値(ppm)、 [S] は溶鋼中のS量(質量%)、Aは鋼の常温における強度(kgf/cm2)である。α、βは定数であって、 [H] /A≦0.073 のときは、α=0.136 、β=0であり、 [H] /A>0.073 のときは、α=0.571 、β=−0.032 である。
【0040】
従って、図1において水素割れ感受性を示さない領域は、下記式(3) で表現することができる。
[S] ≧(α [H] /A)+β -------- 式(3)
【0041】
故に、溶鋼の精錬時に溶鋼中へS源を添加して [S] を調整する際、耐水素割れ性に優れた鋼を得るためには、 [H] の値に応じて [S] を上記の式(3) を満たす値に調整するとよいことになる。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る溶鋼の精錬方法によれば、耐水素割れ性に優れた鋼を得るために溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量を調整するに際し、溶鋼中のS量を過不足なく調整することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶鋼中の [H] と [S] との関係を示す図である。
【図2】 溶鋼中の水素量を迅速に測定することができる水素迅速分析方法の概要を示す図である。
【図3】 溶鋼試料採取法による水素の分析方法の概要を示す図である。
Claims (1)
- 耐水素割れ性に優れた鋼を得るために溶鋼の精錬時にS源を添加して溶鋼中のS量を調整する溶鋼の精錬方法であって、溶鋼の精錬時に溶鋼中の水素量を測定し、この水素量の測定値に基づいて溶鋼中へのS源の添加量を定め、このS源を添加して溶鋼中のS量を下記式 (1) を満たす値に調整することを特徴とする溶鋼の精錬方法。
[ S ] ≧(α [ H ] /A)+β -------- 式 (1)
但し、上記式 (1) において、 [ H ] は溶鋼中の水素量の測定値( ppm) 、 [ S ] は溶鋼中のS量(質量%)、Aは鋼の常温における強度( kgf/cm 2 ) である。α、βは定数であって、 [ H ] /A≦ 0.073 のときは、α= 0.136 、β=0であり、 [ H ] /A> 0.073 のときは、α= 0.571 、β=− 0.032 である。
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