JP3838065B2 - 肺高血圧の治療剤 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、肺高血圧(pulmonary hypertension)の治療に使用するためのバソプレシン拮抗剤に関する。具体的には本発明は、肺高血圧を治療するためのコニバプタン(conivaptan)の使用に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
肺高血圧(PH)は、肺血管抵抗および肺動脈圧が上昇した状態であり、これは換気−潅流関係を妨害する。PHは典型的には、肺循環内の上昇した血圧(収縮期30mmHg以上および拡張期12mmHg以上)を特徴としている。肺高血圧には二つのサブセット:原発性(特発性または「解明されていない」)および二次性がある。二次性形態が遙かに広く行きわたっている。二次性肺高血圧の最も一般的な原因は心疾患および肺疾患である。肺高血圧の根本的原因とは無関係に、肺の抵抗性(前毛細)血管は、肺高血圧の進行に寄与する解剖学的変化を受ける。後天性心疾患に二次的な肺動脈高血圧は左心室の障害で始まり、この障害が肺胞高血圧に続いて肺動脈高血圧を引き起こす。
【0003】
抗利尿ホルモン(ADH)としても知られているアルギニンバソプレシンは傍心室の大細胞性神経分泌細胞および視床下部の視覚上核において合成され、下垂体後葉に貯蔵される。2つのクラスのAVP受容体、V1およびV2がある。2つのサブクラスのV1受容体、すなわちV1AおよびV1Bがある。V1A受容体は脈管系に存在し、血管収縮の増大によるAVPの昇圧応答を媒介する。ラットにおける最近のインビトロ試験は、肺がV1A受容体サブタイプを含むことを示唆している。V1A受容体は血小板上にも存在し、この受容体はそこで血小板凝集を媒介する。V1B受容体は下垂体前葉にあり、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)放出を媒介する。V2受容体は腎臓の集合管にあり;アクアポリンチャンネルに結合して遊離水クリアランスを変調する。アルギニンバソプレシンは、血漿オスモル濃度の上昇(浸透圧受容体により媒介される)または血漿容積もしくは血圧の低下(圧受容体により媒介される)に応答して循環中に放出される。しかしながら、AVP放出のためには、ノルエピネフィリン、アンギオテンシンII、情動、悪心および嘔吐、および熱を含む他の刺激がある。上昇したAVPレベルは心不全患者において報告されているが、その病態生理学的役割は知られていない。
【0004】
本発明者らは、バソプレシン拮抗剤の使用が肺高血圧患者の肺圧を低下させるのに有効であることを見出した。バソプレシン拮抗剤は驚くべきことに、右大動脈圧および肺動脈収縮期圧を含む右側圧を、全身的血行力学に影響を与えることなく、選択的に低下させる。肺循環に対するバソプレシン拮抗剤のこの予想外の選択性は、原因が原発性または二次性の肺高血圧患者に利益を与えるであろう。それ故に本発明の目的は、バソプレシン拮抗剤を投与することにより肺高血圧を治療する方法を提供することである。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、バソプレシン拮抗剤を使用して肺高血圧を治療する方法を提供する。使用すべきバソプレシン拮抗剤は、アルギニンバソプレシンまたは抗利尿ホルモンの生物学的活性を阻害するのに有効である全ての化学的化合物である。多数の化合物がバソプレシン拮抗剤として知られており、このような化合物のどれでも本発明に係る肺高血圧の治療に利用することができる。
【0006】
好ましい実施形態において、利用すべきバソプレシン拮抗剤は、縮合ベンズアゼピン化合物、例えば米国特許第 5,723,606 号(これは参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものである。もう一つの好ましい実施形態において、バソプレシン拮抗剤は式I
【化2】
(式中、RおよびR5は水素または低級アルキルであり;
R1、R2およびR3は独立して水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノであり;
R4は水素、フェニルまたは置換フェニルである)
のイミダゾベンズアゼピン、およびその製薬上許容される塩である。
【0007】
本発明により使用すべき特に好ましいバソプレシン拮抗剤は、コニバプタン(conivaptan)であり、これはN−[4−(2−メチル−4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d][1]ベンズアゼピン−6−イルカルボニル)フェニル]ビフェニル−2−カルボキサミド塩酸塩である。コニバプタンは CI-1025 および YM087 とも呼ばれ、下記の構造式を有する:
【化3】
【0008】
本発明により使用できる他のバソプレシン拮抗剤としては、米国特許第 5,258,510 号(これは参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているベンゾへテロ環式化合物が挙げられる。肺高血圧の治療に使用すべきこの群からの好ましい化合物としては、下記のものが挙げられる:
5−ジメチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)−ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;
5−ジメチルアミノ−1−[2−クロロ−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)−ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;
5−メチルアミノ−1−[2−クロロ−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)−ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;
5−シクロプロピルアミノ−1−[2−クロロ−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)−ベンゾキシル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;
5−シクロプロピルアミノ−1−[2−クロロ−4−(2−クロロベンゾイルアミノ)−ベンゾキシル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;
5−ジメチルアミノ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)−ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;
5−ジメチルアミノ−1−[2−メトキシ−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)−ベンゾキシル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;
7−クロロ−5−メチルアミノ−1−[4−(2−メチルベンゾイルアミノ)−ベンゾキシル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン;および
7−クロロ−5−メチルアミノ−1−[4−(2−クロロベンゾイルアミノ)−ベンゾキシル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンズアゼピン。
【0009】
本発明により使用できる他のバソプレシン拮抗剤としては、米国特許第 5,225,402; 5,258,510; 5,338,755; 5,719,155; および 5,710,150 の各号(これら全ては参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものが挙げられる。具体的なバソプレシン拮抗剤としては、YM471、OPC-31260、OPC-21268、OPC-41061、SR-121463、SR-49059、VPA-985、CL-385004、FR-161282、JVT-605、VP-339、WAY-140288 その他が挙げられる。
【0010】
【発明の詳述】
本明細書で用いるように、「アルキル」、「低級アルキル」または「(C1−C10)−アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の炭化水素を意味し、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。アルキル基は、以下にフェニルについて列挙する1種またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい(従って、「置換アルキル」と呼ばれることもある)。
【0011】
本発明において「アルコキシ」、「低級アルコキシ」または「(C1−C10)−アルコキシ」とは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシおよび3−メチルヘキソキシなどを意味する。
【0012】
本発明においてハロゲンとは、弗素、臭素、塩素および沃素、およびそれらの1価の基を意味する。
記号「−」は結合を意味する。
式I中のR4はフェニルまたは置換フェニルであってよく、後者はアルキル、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ、CN、CF3、アルカノイル、例えばホルミルおよびアセチル、およびアリール基、例えばフリル、チエニル、ピリジルなどから選択された1個、2個または3個の置換基を有するフェニル基である。典型的な置換フェニル基としては、2−クロロフェニル、3,4−ジブロモフェニル、2−メチル−3−ニトロフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、2−フルオロ−3−シアノ−6−ヒドロキシフェニル、3−アセチルフェニルおよび4−ジメチルアミノフェニルが挙げられる。
【0013】
本明細書では下記の略語が用いられる。
【0014】
本明細書における全ての論文および参考文献(特許を含む)の開示は参照により組み入れられる。
式Iの化合物は当技術で公知の手順で製造される。式Iのバソプレシン拮抗剤の出発材料および種々の中間体は商業的出所から得ることができるか、市販の有機化合物から製造できるか、または周知の合成方法を用いて製造できる。
【0015】
上記で述べたように、本発明の実施に必要な全ては、肺高血圧に罹患し治療が必要な哺乳類にバソプレシン拮抗剤を投与することである。どのバソプレシン拮抗剤も使用でき、医療ケアおよび薬剤科学の当業者はバソプレシン拮抗剤である化合物をよく知っている。さらに、バソプレシン拮抗剤活性を測定する普通のアッセイで評価することにより、このような化合物を容易に同定できる。それ故にこのような化合物はどれでも、肺高血圧を治療するのに有効な用量で患者(例えばヒトまたは哺乳類、例えばウマ、ウシ、イヌおよびネコ)に投与される。このような有効量は約0.1〜約1000mg/kgであり、典型的には1日1回または2回投与される約0.1〜約250mgである。
【0016】
本発明を以下の試験によりさらに説明するが、これらの試験が本発明をその範囲および精神において、具体的に記載された特定の手順または実施形態に限定するものと解釈すべきでない。
【0017】
症状発現前の薬理試験は、YM802(コニバプタン)がアルギニンバソプレシン(AVP)に強力に結合し、AVPの脈管効果および腎性効果の拮抗作用を引き起こしたことを示した。YM087 はV1A−およびV2−受容体に対して高い親和性を有し、pKi(結合阻害定数の負対数)がヒトV1A−受容体では8.20であり、ヒトV2−受容体(COS−1細胞で発現される)では8.95である。
【0018】
【実施例】
実施例1
臨床薬理学
コニバプタン(YM087)を、全部で15の相I試験(日本で8およびヨーロッパで7)に参加した約250人の健康被験者に与えた。経口投薬摂取被験者に、単一用量のYM087用量範囲0.2〜120mg)を毎日1回(QD)、または分割用量として投与される30または120mgのYM087を毎日2回(BID)与えた。幾人かの被験者にはYM087を単一静脈内(IV)注射として毎日1回、0.2〜250μg/kgの投与範囲にわたり、または最高50mgまで与えた。
【0019】
AVP誘発血小板凝集の阻害(V1A拮抗剤活性の証拠)が、YM087を20mg/日の経口または2.5mgのIVで受けた被験者において認められた。AVP誘発皮膚血管収縮の全阻害が、YM087 50mg IVを受けた被験者の中で観察された。
【0020】
正常被験者は、15mg経口または50μg/kg IVで始まる尿オスモル濃度の低下を伴ったアクアレティック作用(V2−受容体拮抗作用の証拠)を示した。より高い用量でのアクアレティック効果はより顕著であり、120mg QDまたは60mg BIDの経口投与または50mgのIV投与では不快すぎて許容されないと考えられた。YM087は250μg/kgおよび50mg/日までのIV用量において、投与後それぞれ3および6時間までの間に尿生産率を上昇させた。
【0021】
安全性
処置した約250人の被験者のうち、主要な安全性の懸念のないことが同定され、薬剤関連の深刻な逆事象がないことが報告された。処置関連とは無関係な最も頻発した逆事象は軽度または中位の渇きおよび軽度の頭痛であった。他の逆事象には、潮紅、冷たい四肢感覚、腹部愁訴、異常便、失神、めまい、動悸および体位性低血圧があった。YM087を受けた3人の被験者およびプラシーボを受けた1人は、軽微な可逆的な白血球減少を発症した。生物化学的または血液学的な検査室パラメーターには、薬剤関連トレンドは観察されなかった。より高い用量において、尿オスモル濃度は低下し、血漿オスモル濃度は上昇し、血漿ナトリウムの増加を伴ったり伴わなかったりした。これらの観察は、V2−受容体の拮抗作用に関連するものであり、安全性の懸念はないと考えられた。生命徴候(血圧および心拍数)はYM087で影響されなかった。
【0022】
この試験の目的は、重いうっ血性心不全(NYHAクラスIII/IV)患者において、血行力学的パラメーターに対するYM087の3つの異なるIV用量の用量依存性効果を決定することである。
この試験の別の目的は、重いうっ血性心不全(NYHAクラスIII/IV)患者において、YM087の3つの異なるIV用量の安全性を決定することである。この試験のもう一つの目的は、血行力学的変化に対するYM087のIV用量と血漿濃度との関係を評価することである。
【0023】
試験設計
このトライアルは、クラスIII/IV心不全患者において心肺血行力学に対するYM087の静脈内投与応答に関する二重盲険プラシーボ制御試験である。試験スケジュールの概要を以下の表1に示す。患者は利尿剤、ACE阻害剤および場合によりジゴキシンおよび/またはβ−遮断剤のバックグラウンド療法を受ける必要があり;患者は彼らが共同β−遮断剤治療を受けているかどうかについて分類される。患者は、共同心不全薬の一日量をカテーテル挿入の2時間以内に服用すべきである。試験処置段階中には、追加用量のバックグラウンド心不全薬を投与してはならない。バルーン−浮遊肺動脈カテーテルを挿入した後、8−〜18−時間基線および安定化期間にわたり、一連の測定値を得る。基線適格性基準(CI≦2.6L/分/m2;PCWP≧16mmHg)を満たす患者に、カテーテル安定化を確かめた後、YM087またはプラシーボのIV用量(30−分注入)を投与し、次の12時間監視する。
【0024】
血行力学的パラメーターおよび生命徴候を、薬剤投与前2時間の間の基線において、およびIV注入開始後30分、1、2、3、4、6、8および12時間において処理する。尿道カテーテルを入れ、尿排出量を、試験薬投与後12時間までの2時間前の間、1時間毎に測定する。液体摂取を、Swan-Ganzカテーテル挿入時から2時間毎に(IV注入時間を除く)、および処置期間を通して250mlに制限する。YM087血漿レベルを処置後1、3および8時間において決定する。血清電解質、BUN、クレアチニンおよび血清オスモル濃度を、基線および処置後4および12時間において測定する。臨床検査室およびバソプレシン血清レベルを、基線および薬剤投与後12時間において測定する。呼吸困難をアセスメントするための数値評点目盛を、基線および試験薬剤投与後12時間において処理する。
【0025】
試験スケジュール
【表1】
【0026】
スクリーニングおよび基線段階(10−20時間)(表1参照)
この段階は、研究者が、処置期間に入るための資格を有するであろう患者を評価し、多数の試験パラメーターに関する基線値をアセスメントするのを可能にする。告知同意には署名される。医療病歴、身体検査およびNYHA機能クラスのアセスメントを行う。臨床検査室パラメーターを測定する。左心室拍出分画(LV−EF)が前の3か月間に測定されていない場合、患者は放射性核種、コントラスト脳心造影法または2次元エコー心拍記録法を受けてLV−EFが記録される。
【0027】
患者は、基線および処置段階を通してバックグラウンド心不全薬の安定用量に留まっている。患者は、Swan-Granzカテーテル挿入の2時間以内に共同心不全薬の用量を服用する。試験処置段階中には追加のバックグラウンド薬を投与しない。バルーン−浮遊肺動脈カテーテルを挿入した後8−〜18−時間基線および安定化期間にわたり、幾つかの血行力学的パラメーターを得る。試験薬剤投与前2時間の間から少なくとも30分間隔てた逐次的示度において、基線適格基準(CI≦2.6L/分/m2;PCWP≧16mmHg)を満たす患者は処置段階に入る。より長い基線期間(≧2時間)にわたる血行力学的パラメーターの追加の測定値は、再現性基準を満たすことが必要である。PCWPおよびCOの二つの逐次測定値は、それぞれ平均の±10%および±15%である。患者は基線測定前6時間絶食し、12−時間処置段階の最初の6時間は絶食したままである。
【0028】
参加資格を有する患者は、臨床検査室およびバソプレシン血漿レベルの基線アセスメントのために採血される。尿道カテーテルを入れ、尿排出量測定値を、試験薬剤投与前≧2時間およびその後の処置段階の間に得る。血行力学的測定値を、尿道カテーテル挿入後少なくとも30分に得る。液体摂取を、Swan-Ganzカテーテル挿入時から2時間毎に(IV注入時を除く)、および処置期間を通して250mLに制限する。生命徴候を少なくとも4時間毎にアセスメントする。呼吸困難をアセスメントするための数値評点目盛を、試験薬剤投与後1時間以内に処理する。
【0029】
処置段階
基線適格基準を満たす患者を1時間以内に無作為化し、プラシーボまたは3つの用量のYM087(10、20または40mg)の一つが1:1:1:1の比で30分にわたり投与される二重盲険IVボールス用量を患者に与える。患者は、12−時間処置期間中は共同心不全薬の服用を断つ。患者をβ−遮断剤との共同治療を受けたかどうかについて分類する。血行力学的パラメーター(心拍出量、肺内圧および全身性圧)および生命徴候を、IV注入開始後0.5、1、2、3、4、6、8および12時間において測定する。臨床検査室およびバソプレシン血漿レベルを、投与後12時間に測定する。YM087血漿レベルを、処置後1、3および8時間において決定する。血清電解質、BUN、クレアチニンおよび血清オスモル濃度を、処置後4および12時間において測定する。毎時尿排出量測定値を、全12−時間処置段階中に得る。呼吸困難をアセスメントするための数値評点目盛を、試験薬剤投与後12時間に処理する。
【0030】
試験薬剤投与後の処置後段階(24−48時間)
患者は、試験薬剤投与後少なくとも24−48時間に外来患者追跡訪問のために戻る。患者を逆事象の臨床アセスメントのために追跡する。臨床実験質的パラメーターを測定する。患者の安全性/許容性のために必要ならば、バックグラウンド心疾患薬を再調節する。
【0031】
試験母集団
この試験に登録された全ての患者は、収縮期LV機能不全のためNYHAクラスIII/IV心疾患を有する。
【0032】
患者の出所および数
全部で140人の患者(処置グループ当たり35人)が20の試験センターで登録される。各サイトは6〜8人の患者を登録することが期待される。登録は競争的であり、試験が完了したときに停止される。
【0033】
患者の選択基準
含める基準
試験に含めるために適切な患者は下記の基準を満たす:
1. 18〜80才の男性および女性;女性は閉経、不妊手術または適切な産児制限を行っているので、研究者の意見によれば彼女らは試験中に妊娠しない;
2. ニューヨーク心臓協会基準によるクラスIII/IV機能障害を有する症候的心不全;
3. 少なくとも1か月間続くACE阻害剤、係蹄利尿剤および場合によりジゴキシンおよび/またはβ−遮断剤からなる現在の心不全治療;
4. 試験薬剤投与前少なくとも30分間隔の逐次的示度における心係数≦2.6L/分/m2、および肺毛細管楔入圧≧16mmHg;および
5. 告知同意に署名。
【0034】
排除する基準
下記の状態のいずれかの存在は、患者を試験適格から排除する:
1. 授乳または妊娠;
2. 仰臥血圧<95mmHgまたは制御されない高血圧の患者;
3. 2+浮腫(膝の上)以上の患者;
4. 徐脈性−または頻脈性不整脈(例えば洞停止、第2度モビッツII型または第3度AVブロック、心房細動または心房粗動、心室頻拍の頻発);二重チャンバーペースメーカーおよび/または内移植可能な細動除去器を付けた患者は、これらの装置がスクリーニング前>60日に内移植されているならば適格である;
5. 基線の1か月以内の不安定な狭心症および/または急性心筋梗塞;
6. 重いCOPD(FVC≦1.5L;FEV1≦1.0L)または原発性肺高血圧の患者;
7. 矯正されない有意な原発性心臓弁膜症または矯正されない先天性心臓病、例えば大動脈弁狭窄(AVA<0.8cm2)、僧帽弁狭窄(MVA<1.2cm2/m2)、弁の交換を必要とする重い心弁閉鎖不全症;
8. 閉塞型心筋症の患者;
9. コラーゲン血管病、または他の矯正可能な栄養性または代謝性心不全の原因による活性心筋炎、収縮性心膜炎、未治療の甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症、副腎不全症、急性脈管炎の患者:
10. アラニンアミノ転移酵素(ALT)およびアスパラギン酸塩アミノ転移酵素(AST)の上昇が正常上限(ULN)標準範囲の>3倍および/またはビリルビン≧2mg/dLの患者;
【0035】
11. 有意な腎障害、血清クレアチニン>2.5mg/dLまたはクレアチニンクリアランス<30mL/分の患者;
12. 深刻な血液学的疾患(例えば重い貧血、Hgb<10g/dL:白血病、白血球[WBC]<4000/gL);
13. この試験のためのスクリーニングの5年以内の活性癌(局在皮膚癌または局在前立腺癌を除く);
14. スクリーニングの7日以内にIV変力薬(例えばドブタミン;ドーパミン、ミルリノン、アムリノンなど)または非経口血管拡張剤(例えばニトロプルシド;ニトログリセリン)を連続投与および/または毎日投与されている患者;
15. ジギタリス毒性の臨床的証拠;
16. 現行の不法薬物使用またはアルコール中毒;
17. 研究者の意見によれば、処置、安全性および/または効力の評価を妨げることのある全ての同時の病気;
18. この試験に参加するためのスクリーニングの30日以内に治験薬(プラシーボを含む)に関する別の臨床トライアルへの関与;または
19. この試験に参加するための告知同意を理解および署名する能力がないこと。
【0036】
禁止/許容される薬剤または注意
CHFの自然な進行に関連しない潜在的な心臓の変化に関する結果を解釈する際に区別できないファクターおよびバイアスを最低限にするために、同時心不全薬を試験の処置段階を通して安定に保つ。同時薬剤の変更は患者の安全性の問題が明らかな場合に行われる。
非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)は、これらが腎機能に対して阻害効果を有するため認められない。
【0037】
許可される薬剤には、冠動脈疾患(CAD)、高血圧、糖尿病、高脂質血症およびCHFの治療に用いられるものが含まれる。心不全薬には、ACE阻害剤、利尿剤、ジゴキシン、β−遮断剤および間欠的酸素を含めることができる。他の非経口血管拡張剤(例えばニトロプルシド、ニトログリセリン)、または変力剤の開始のいずれも許可されない。慢性的低用量(<300mg QD)のアミオダロンは許容されるが、ソタロール、ドフェチリドまたは他のクラスIII抗不整脈剤は許容されない。負変力効果を有するカルシウムチャンネル遮断剤(例えばベラパミル、ジルチアゼム)は禁止される。
この試験に登録された患者は、治験薬の効果を試験する他のいずれの進行中のプロトコールにも参加できない。
【0038】
食事および液体の摂取
患者は、基線血行力学的測定前少なくとも6時間は絶食し、12−時間処置段階の最初の6時間中は絶食したままであることを要する。液体摂取は、Swan-Ganzカテーテルの挿入時から2時間毎に(試験薬剤のIV注入時を除く)、および処置期間を通して、250mLに制限される。
【0039】
試験方法
効力パラメーター
一次効力パラメーター
PCWPにおいて試験薬剤注入の開始後3〜6時間における最後の基線測定値からの、プラシーボと比較したピーク変化。応答プロフィールの他の特性(例えばPCWP/時間曲線の下の面積)はプロトコールの統計分析の部において定義される。
【0040】
二次効力パラメーター
・ 試験薬剤注入の開始後3〜6時間における最後の基線測定値からの、プラシーボと比較した
1.心係数(CI);
2.肺血管抵抗(PVR);
3.全身性血管抵抗(SVR)
のピーク変化。
・ 応答プロフィールの他の特性(CI、PVR、SVR)はプロトコールの統計分析の部において定義される(曲線の下の面積)。
・ プラシーボと比較した、時間にわたる尿排出量の変化。
・ RA、PAs、PAd、BPおよびHRに関する記述的統計を行う。
・ 基線からの、試験薬剤投与後12時間における呼吸困難をアセスメントするための数値評点目盛の変化。
【0041】
他のアセスメント
薬物動態学的/薬力学的分析
YM087の血漿濃度を、試験薬剤のIV注入開始後1、3および8時間において、確認されたLC/MS/MS方法を用いて測定する。アッセイの感度、特異性、線形性および再現性を、試料を分析する前に決定する。一次効力パラメーターとYM087の血漿濃度との間の関係を、個体間変動性を含めて、適切な薬物統計学的方法を用いて評価する。
【0042】
神経ホルモンのアセスメント
バソプレシン血漿レベルを、基線および試験薬剤のIV注入開始後12時間において測定する。
【0043】
試験薬剤
説明
試験薬剤は、患者または外来者に特に指定しないで、オープンラベルの5−mLアンプルとして試験サイトに提供される。各アンプルは5mg/mLのYM087を含有する。この薬剤は目隠しされない人によって調製される。研究者および試験コーディネーターは目隠しされる。YM087(25mg/5mL)アンプルは光から保護された箱の中で周囲温度(15℃−30℃)で貯蔵される。充分な数のアンプルが、試験が完了するまで各サイトに提供される。試験薬剤の調製、廃棄および投与の指示の詳細な記載は、試験薬剤の最初の発送と共に提供される。
【0044】
投与手順
YM087滅菌注射液をD5Wを含む50−mLバッグに加える。表2に、所望の用量を得るためにD5W中に希釈する注射用YM087の量を示す。バッグ内容物を、ポンプ注入装置(例えばIMEDTM、IVACTM)により30分間にわたり患者に投与する。
【0045】
【表2】
【0046】
統計学的分析および理論的根拠
能力および試料サイズ
この試験のために、全部で140人の患者が考慮され、4つの処置グループ(プラシーボ、12、20および40mg)のそれぞれに35人の患者を用いる。プラシーボと3つの活性処置のいずれかとの間で、処置薬投与後3〜6時間以内の基線からのPCWPピーク変化における3mmHgの差を検出する能力を、t−試験の能力のための式(Lachin J. M., Controlled Clinical Trials 1981; 2: 93-133)を用いて決定する。プラシーボとの複数比較のための調節を、Dunnettのアプローチ(Dunnett C. W., Biometirics 1964; 20: 482-91)を用いて行う。15%のドロップアウト率、0.05の両側の全体誤差率、およびPCWPピーク変化について3mmHgの標準偏差を仮定すると、プラシーボとYM087グループとの間で3mmHgの差を検出する能力は93.6%である。しかしながら、4mmHgの標準偏差を仮定するならば、能力は71.1%となる。
【0047】
効力パラメーター
うっ血性心不全の臨床トライアルにおける血行力学的データは、通常、処置グループ間での基線からピーク応答までの変化の差を評価することによりアセスメントされる。一般的に、ピーク応答は、特定時間(例えば2、3および4時間)前に得た測定値の平均と定義される(Katz S.D. ら, American Heart Journal 1992; 123(1): 95-103)。
【0048】
この試験のために、PCWP、CI、SVRおよびPVRの血行力学的効力パラメーターを、それらの応答プロフィールに関して評価する。応答プロフィールを、ピーク変化に関してアセスメントし、曲線の下の面積(AUC)の限界を、基線からのパラメーター変化および測定時間により決定する。ピーク変化は、基線からの、処置薬投与後3〜6時間以内の、問題の血行力学的パラメーターの最大変化と定義される。基線値は、処置薬投与前に得られた最後の適正な測定値と考えられる。AUCは「リニア台形法則」を用いて決定される。この法則は、各台形の面積を:時間に対する基線からの変化のグラフ上の二つの点、これらの点からX軸に対する垂線、およびX軸によって限定し、これらの面積を合計してAUCを得る。ある時間における測定値がない場合は、他の全ての利用可能な観察を用いて計算する。処置グループに関する用量応答を、選択された尺度についてアセスメントする。
【0049】
この試験のための一次効力パラメーターは、基線からのPCWPのピーク変化である。二次パラメーターは、基線からのCI、SVRおよびPVRのピーク変化である。RA圧およびPA圧の変化も、特性決定する。加えて、尿排出量の変化を特性決定する。
【0050】
一次効力パラメーターの分析
共分散分析(ANCOVA)モデルを第一分析として用い、PCWPのピーク変化(上記で定義したとおり)に関して各YM087用量をプラシーボと比較する。このモデルは、処置、センター、β−遮断剤治療の存在または不在に関するインディケーター変数、およびおそらく共変量としての基線値による効果を含むであろう。処置−対−センター、処置−対−基線の相互作用を調査する。基線測定値および少なくとも1つの追跡測定値を有する全ての無作為化患者は、この分析のために考慮される。3〜6時間以内に1つの観察しかないならば、その観察および基線値を用いてピーク変化を計算する。3〜6時間ウィンドウに測定値がないならば、3時間目以前の最後の測定値を先に進め、ピークの計算に用いる。
【0051】
AUCの第二分析は第一分析を支持するために行われる。基線からのPCWP変化および時間曲線の下の面積については、ANCOVAを用い、第一分析について記載したのと同様に分析を行う。このモデルは、処置、センター、β−遮断剤治療の存在または不在に関するインディケーター変数、およびおそらく共変量としての基線値による効果を含むであろう。処置−対−センター、処置−対−基線の相互作用を調査する。基線測定値および少なくとも1つの追跡測定値を有する全ての無作為化患者は、この分析のために考慮される。
【0052】
積極的に特許請求するために、PCWPのピーク変化に関する第一分析からの結果は、Dunnettのアプローチを用いて0.049に相当するαレベルにおいて、またはAUCの第二分析からの結果は0.001レベルにおいて有意であるべきである。用量応答に関して支持となる二次トレンド分析も行う。また、応答プロフィールの選択された測定値について。反復尺度ANCOVAを行う。
【0053】
二次効力パラメーターの分析
CI、SVRおよびPVRの二次効力パラメーターに関する第一分析を、一次効力パラメーターについて記載したようにANCOVAを用いて行い、処置グループとプラシーボとを、基線からのそれらのピーク変化(上記で定義したとおり)に関して比較する。患者は一次パラメーターについて記載した基準に従ってこの分析のために考慮される。有意性レベルを、Dunnettの方法を用いてプラシーボとの複数の比較のために調節する。
【0054】
AUCの分析およびトレンド分析は支持するものと考えられ、一次パラメーターについて記載したのと同様にして行われる。反復尺度ANCOVAを、応答プロフィールの選択された測定値について行う。基線測定値および少なくとも1つの追跡測定値を有する全ての無作為化患者が考慮される。
【0055】
尿排出量の二次パラメーターを基線および各収集時間において要約する。加えて、呼吸困難をアセスメントするために数値評点目盛を用いる。これらのパラメーターに関する基線からの相当する変化を要約する。記述的要約は、平均、標準誤差、中央、最低および最高を含む。他の同時に測定した血行力学的パラメーター(すなわちRA、PAs、PAd、袖口SBP、袖口DBP、計算したMAPおよびHR)も要約する。
【0056】
結果および論考
試験の結果は、バソプレシン拮抗剤の使用が肺高血圧患者において肺圧を低下させるのに効果的であることを示す。
血行力学的アセスメントを、基線において、および試験薬剤の投与後0.5、1、2、3、4、6、8および12時間において得る。図1〜4および9に示すデータは、バソプレシン拮抗剤が右大動脈圧(図1)および肺動脈収縮期圧(図2)を低下させることを確立する。40mg用量において、コニバプタンはRAPを3−mmHgだけ低下させ(図1)、PAsを4−mmHgだけ低下させた(図2)。10、20および40mgコニバプタンのIV投与後の吸息クラックル音の変化を、プラシーボと比較した。図9に示すデータは、コニバプタンを受けた患者がプラシーボと比較して、吸息クラックル音が悪化した者が少なかったことを示す。全身性血行力学に対する効果はない。平均動脈圧に対して効果がなく(図3)、収縮期圧に対して効果がない(図4)。これらの結果は、バソプレシン拮抗剤が右側圧の低下において全身性血行力学に影響を与えずに選択的であるという点で驚くべきである。肺循環に対するバソプレシン拮抗剤のこの予想外の選択性は、原発性または二次的原因の肺高血圧患者に利益を与えるであろう。
【0057】
実施例2
臨床薬理学
コニバプタン(YM087)を、全部で15の相I試験(日本で8およびヨーロッパで7)に参加した約250人の健康被験者に与えた。経口投薬摂取被験者に、単一用量のYM087(用量範囲0.2〜120mg)を毎日1回(QD)、または分割用量として投与される30または120mgのYM087を毎日2回(BID)与えた。被験者にYM087を単一IV注射として毎日1回、0.2〜250μg/kgの投与範囲にわたり、または最高50mgまで与えた。
【0058】
AVP誘発血小板凝集の阻害(V1A拮抗剤活性の証拠)が、YM087を20mg/日の経口または25mgのIVで受けた被験者において認められた。AVP誘発皮膚血管収縮の全阻害が、50mg IVを受けた被験者において観察された。正常被験者は、15mg経口または50μg/kg IVで始まる尿オスモル濃度の低下を伴ったアクアレティック作用(V2受容体拮抗作用)を示した。より高い用量でのアクアレティック効果はより顕著であり、120mg QDまたは60mg BIDの経口投与または50mgのIV投与では、正常被験者には不快すぎて許容されないと考えられた。YM087は250μg/kgおよび50mg/日までのIV用量において、投与後それぞれ3および6時間までの間に尿生産率を上昇させた。
【0059】
安全性
試験した約250人の被験者の中に主要な安全性の懸念のないことが同定され;1人の重い心不全患者は大てんかん発作を持続し、これはおそらく40mg BIDのYM087に関連していた。処置関連とは無関係な最も頻発した逆事象は軽度または中位の渇きおよび軽度の頭痛であった。他の偶然の逆事象には、潮紅、冷たい四肢感覚、腹部愁訴、異常便、失神、めまい、動悸および体位性低血圧があった。YM087を受けた3人の被験者およびプラシーボを受けた1人は、軽微な可逆性の白血球数減少を発症した。生物化学的または血液学的な検査室パラメーターには、薬剤関連トレンドは観察されなかった。より高い用量において、尿オスモル濃度は低下し、血漿オスモル濃度は上昇し、血漿ナトリウムの増加を伴ったり伴わなかったりした。これらの観察は、V2−受容体の拮抗作用に関連するものであり、安全性の懸念はないと考えられた。生命徴候(血圧および心拍数)はYM087で影響されなかった。
【0060】
試験目的
この試験の目的は、急性代償不全性心不全患者における肺うっ血の症状を軽減するYM087の有効性を探索することであり;この試験の別の目的は、急性代償不全性心不全患者におけるYM087の安全性を探索することである。
【0061】
試験設計
このトライアルは、24−時間の期間にわたり30−分間の静脈内注入として2回(8時間間隔)投与されるYM087 20mgの、プラシーボと対比した安全性および効力に関する探索二重盲険プラシーボ制御試験である。試験スケジュールの概要を以下の表3に示す。このトライアルは、急性代償不全性心不全のために監視ユニットに入院したNYHAクラスII−IV心不全の病歴を有する患者における肺うっ血の軽減に対する効果を探索する。患者は、場合によりACE−阻害剤、利尿剤、ジゴキシンおよびβ−遮断剤によるバックグラウンド療法を受けていてもよいが、これらの薬剤(利尿剤を除く)が入院前に開始された場合に限られる。病院に着いたとき、患者を登録基準についてアセスメントする。基準を満足したならば、同意を得て患者を登録した。非経口変力剤(例えばミルリノン;ドブタミン)での治療が必要な患者または挿管されている患者を排除する。呼吸数が測定されるであろう。臨床検査室パラメーターを、スクリーニングの2時間以内にアセスメントされなかった場合に測定する。いったん同意されると、患者の臨床的苦痛を、生命徴候により、急性心不全スコアにより、患者の呼吸および包括的状態については医師/試験コーディネーター臨床アセスメント目盛により、そして呼吸および包括的状態については患者ビジュアルアナログ目盛によりアセスメントした。患者に100%酸素を5〜10分間投与し、次いで血中ガスを抜いてA−a勾配をアセスメントする。基線呼吸数を試験薬剤投与前5分に測定する(含める基準を満たすために≧24であることを要する)。患者を無作為化し、8時間間隔で2回の30−分IV注入として投与される20mgのYM087またはプラシーボで処置した。全ての患者は研究者の裁量で、IV係蹄利尿剤、酸素、モルフィンおよびIV血管拡張剤を含む通常のケアを受けた。全ての患者にフロセミド20mg IVを初期用量として投与した。試験薬剤の最初の用量を投与した後少なくとも2時間は、追加用量の利尿剤を投与せず;続いて必要に応じ患者の臨床状態に基づいて研究者の裁量で、用量を調節した。生命徴候および呼吸数を、試験薬剤の最初の注入開始後6時間にわたり1時間毎に、次いで24時間にわたり2時間毎にアセスメントした。患者の臨床状態を、試験薬剤のIV注入開始後1、3、6、8、12、18および24時間においてアセスメントした。A−a勾配を、初期用量の試験薬剤のIV注入開始後3および12時間においてアセスメントした。臨床検査室パラメーターを、試験薬剤の最初の注入開始後8および12時間にアセスメントした。血清電解質、BUNおよびクレアチニンを、試験薬剤の最初の注入開始後4、8、12、18および24時間において測定した。最初の用量の試験薬剤のIV注入開始後4、8、12、18および24時間におけるYM087レベルの薬物動態学的アセスメントのために、試料を得た。
【0062】
【表3】
【0063】
スクリーニング/基線段階(2時間まで)
病院に着いたとき、患者を登録基準についてアセスメントした(表3参照)。基準を満足したならば、同意を得て患者を登録した。スクリーニング段階において、医療病歴の診察および身体検査を行った。非経口変力剤での治療が必要な患者または挿管されている患者を排除した。患者は試験薬剤投与前2時間以内に利尿剤を受けていてはならない。スクリーニングの≦24時間に長期作用性利尿剤(例えばメタラゾン)を開始した患者を排除した。呼吸数を測定した。生命徴候(電解質、腎および肝機能、血液学的パラメーター)も、スクリーニングの2時間以内にアセスメントされていない場合に測定した。
【0064】
基線段階を用いて多数の試験パラメーターのための基線値を確立した。いったん登録されると、患者の臨床的苦痛を、生命徴候により、急性心不全スコアにより、患者の呼吸および包括的状態については医師/試験コーディネーター臨床アセスメント目盛により、そして呼吸および包括的状態については患者ビジュアルアナログ目盛によりアセスメントした。患者に100%酸素を5〜10分間投与し、血中ガスをA−a勾配のアセスメントのために測定した。基線呼吸数を試験薬剤投与前5分に測定した(RRは含める基準を満たすために≧24であることを要する)。患者に所定の酸素を与えた後、少なくとも5分に呼吸数を測定した。
【0065】
処置段階(24時間)
適格基準を満たす患者を無作為化し、8時間間隔で2回の30−分IV注入として投与される20mgのYM087またはプラシーボで処置した。全ての患者は研究者の裁量で、IV係蹄利尿剤、酸素、モルフィンおよびIV血管拡張剤を含む通常のケアを受けた。全ての患者にIVフロセミド20mgを初期用量として投与した。試験薬剤の最初の用量を投与した後少なくとも2時間は、追加用量の利尿剤を投与せず;続いて必要に応じ患者の臨床状態に基づいて研究者の裁量で、用量を調節した。生命徴候および呼吸数を、試験薬剤の最初の注入開始後6時間にわたり1時間毎に、次いで24時間にわたり2時間毎にアセスメントした。患者の臨床状態を、試験薬剤のIV注入開始後1、3、6、8、12、18および24時間においてアセスメントした。A−a勾配を、初期用量の試験薬剤のIV注入開始後3および12時間においてアセスメントした。臨床検査室パラメーターを、試験薬剤の投与開始後8および12時間にアセスメントした。血清電解質、BUNおよびクレアチニンを、試験薬剤の最初の用量投与後4、8、12、18および24時間に測定した。最初の試験薬剤用量のIV注入開始後4、8、12、18および24時間におけるYM087レベルの薬物動態学的アセスメントのために、試料を得た。
【0066】
処置後段階(入院滞在の残り)
患者を、処置後30日までの入院滞在の残りの間、追跡した。患者の臨床状態および生命徴候を、処置後48時間の間毎日2回アセスメントした。臨床検査室パラメーターを、48時間の間毎日、および7日または退院の日(どちらか早いほう)に測定した。患者は逆事象の臨床アセスメントのために追跡されるであろう。監視ユニットにおける入院の長さを記録すべきである。
【0067】
試験母集団
この試験に登録された全ての患者は、症候的心不全(NYHAクラスII−IV)の病歴を有し、肺うっ血のために急性代償不全の処置が認められる。
【0068】
患者の出所および数
全部で30人の患者(処置グループ当たり15人)が登録される。各サイトは6〜12人の患者を登録することが期待される。登録は競争的であり、試験が完了したときに停止されるであろう。
【0069】
患者の選択基準
含める基準
試験に含めるために適切な患者は下記の基準を満たす:
1. 告知同意に署名;
2. 18〜80才の男性および女性;女性は閉経、不妊手術または適切な産児制限を行っているので、研究者の意見によれば彼女らは試験中に妊娠しない;
3. 肺うっ血のため急性代償不全に対して認められたニューヨーク心臓協会基準(添付書類G)によるクラスII−IV機能障害の病歴を有する症候的心不全;
4. 場合によりACE阻害剤、利尿剤、ジゴキシンおよびβ−遮断剤からなる現在の心不全治療;許可前にACE阻害剤、ジゴキシンおよびβ−遮断剤でのバックグラウンド治療が開始されていたことを要する;
5. 基線(試験薬剤投与前5分)における頻呼吸(RR≧24/分)−機械的換気をしていない;
6. 患者は注意活発でなければならない;
7. 最も最近の利尿剤投与は試験薬剤投与前≧2時間であるべきである;および
8. 患者は身体検査のときに吸息クラックル音(ラッセル音)および/または胸膜滲出液を有する。
【0070】
排除する基準
下記の状態のいずれかの存在は、患者を試験適格から排除する:
1. 授乳または妊娠;
2. 仰臥血圧<90mmHgまたは制御されない高血圧の患者;
3. 挿管された患者および/または即座の機械的換気が必要な患者;
4. 徐脈性不整脈(例えば洞停止、モビッツII型第2度AVブロックまたは第3度AVブロック);心房細動または心房粗動(心室率>130/分);心室頻拍の頻発);二重チャンバーペースメーカーおよび/または内移植可能な細動除去器を付けた患者は、これらの装置がスクリーニング前>60日に内移植されているならば適格である;
5. スクリーニングの48時間以内の不安定な狭心症および/または急性心筋梗塞;
6. 臨床的証拠または公知の重いCOPDを有する患者;
7. 有意な矯正されない原発性心臓弁膜症または矯正されない先天性心臓病;例えば大動脈弁狭窄(AVA<0.8cm2)、僧帽弁狭窄(MVA<1.2cm2/m2)、弁の交換を必要とする重い心弁閉鎖不全症;
8. 閉塞型心筋症の患者;
9. コラーゲン血管病、または他の矯正可能な栄養性または代謝性の心不全原因による活性心筋炎、収縮性心膜炎、未治療の甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症、副腎不全症の患者:
10. アラニンアミノ転移酵素(ALT)およびアスパラギン酸塩アミノ転移酵素(AST)上昇が正常上限(ULN)参照範囲の>3倍および/またはビリルビン≧2mg/dL;
【0071】
11. 有意な腎障害、血清クレアチニン>2.5mg/dLまたはクレアチニンクリアランス<30mL/分の患者;
12. 深刻な血液学的疾患(例えば重い貧血、Hgb<10g/dL:白血病、白血球[WBC]<4000/gL);
13. 公知の末期段階または転移性癌;
14. IV変力薬(例えばドブタミン、ミルリノン、アムリノンなど)で処置する必要のある患者;
15. スクリーニングの24時間以内に長期作用性利尿剤(例えばメトラゾン)を開始している患者;
16. ジギタリス毒性の臨床的証拠;
17. 現行の不法薬物使用またはアルコール中毒;
18. 研究者の意見によれば、処置、安全性および/または効力の評価を妨げることのある全ての同時の病気;
19. この試験に参加するためのスクリーニングの30日以内に治験薬(プラシーボを含む)に関する別の臨床トライアルへの関与;または
20. この試験に参加するための告知同意を理解および署名する能力がないこと。
【0072】
禁止/許容される薬剤または注意
CHFの自然な進行に関連しない潜在的な心臓の変化に関する結果を解釈する際に区別できないファクターおよびバイアスを最低限にするために、利尿剤(例えばACE阻害剤、ジゴキシンおよびβ−遮断剤)を除く同時心不全薬を、試験の処置段階を通して安定に保つべきである。同時薬剤の変更は患者の安全性の問題が明らかな場合に行うことができ、また行うべきである。
非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)は、これらが腎機能に対して阻害効果を有するため認められない。
【0073】
許可される薬剤には、冠動脈疾患(CAD)、高血圧、糖尿病、高脂質血症およびCHFの治療に用いられるものが含まれる。心不全薬には、ACE阻害剤、利尿剤、ジゴキシン、β−遮断剤および間欠的酸素を含めることができる。慢性的低用量(≦300mg QD)のアミオダロンは許容されるが、ソタロール、ドフェチリドまたは他のクラスIII/IV抗不整脈剤は許容されない。サイクロスポリンは許されない。
【0074】
ワルファリンを受けた患者は、監視されたプロトロンビン時間を有するべきである。ジゴキシンを受けた患者については、血清ジゴキシンレベルを監視すべきである。
この試験に登録された患者は、治験薬または装置に関する他のいずれの臨床トライアルにも参加できない。
【0075】
試験方法
効力アセスメント
1. プラシーボと比較した、正常呼吸数(≦18)に対する時間。
2. プラシーボと比較した、基線からのA−a勾配の変化。
3. プラシーボと比較した、基線からの呼吸および包括的状態に関する患者ビジュアルアナログ目盛の変化。
4. プラシーボと比較した、基線からの患者の呼吸および包括的状態に関する医師/試験コーディネーター臨床アセスメント目盛の変化。
5. プラシーボと比較した、基線からの急性心不全スコアの変化。
6. プラシーボと比較した、監視ユニットにおける滞在の長さ。
7. プラシーボと比較した、変力剤での処置の必要性。
8. プラシーボと比較した、機械的換気の必要性。
9. プラシーボと比較した、必要な係蹄利尿剤の追加量(初期20mg IVフロセミド以上)。
【0076】
薬物動態学的分析
YM087の血漿濃度を、最初の用量の試験薬剤のIV注入開始後4、8、12、18および24時間において測定した。アッセイの感度、特異性、線形性および再現性を、試料を分析する前に決定した。
【0077】
試験薬剤
説明
試験薬剤を、患者または外来者に特に指定しないで、オープンラベルの5−mLアンプルとして試験サイトに提供した。各アンプルは5mg/mLのYM087を含有していた。この薬剤は目隠しされない人によって調製された。
【0078】
投与手順
YM087滅菌注射液を、D5Wを含む50−mLバッグに加えた。表4に、所望の用量を得るためにD5W中に希釈する注射用YM087の量を示す。バッグ内容物をポンプ注入装置(例えばIMEDTM、IVACTM)により30分間にわたり患者に投与した。
【0079】
【表4】
【0080】
統計分析および理論的根拠
能力および試料サイズ
これは探索パイロット試験である。患者数は能力の考慮に基づいていないが、予備的な効力安全性および許容性の情報を与えるのに充分であると考えられる。
【0081】
効力パラメーター
基線からの変化の効力パラメーターは、基線および各収集時間において要約されるであろう。各収集時間における基線からの相当する変化も要約されるであろう。記述的統計には、平均、標準誤差、中央、最小および最大が含まれるであろう。アセスメント目盛と他のパラメーターとの相関は適切なように調査されるであろう。
カプラン−マイアー曲線を与えて正常呼吸数に対する時間が要約されるであろう。記述的統計(平均、標準誤差、中央など)は他の全ての効力パラメーターのために与えられるであろう。
【0082】
実施例3
臨床薬理学
コニバプタン(YM087)を、全部で15の相I試験(日本で8およびヨーロッパで7)に参加した約250人の健康被験者に与えた。経口投薬摂取被験者に、単一用量のYM087(用量範囲0.2〜120mg)を毎日1回(QD)、または分割用量として投与される30または120mgのYM087を毎日2回(BID)与えた。被験者にYM087を単一IV注射として毎日1回、0.2〜250μg/kgの投与範囲にわたり、または最高50mgまで与えた。
【0083】
AVP誘発血小板凝集の阻害(V1A拮抗剤活性の証拠)が、YM087を20mg/日の経口または25mgのIVで受けた被験者において認められた。AVP誘発皮膚血管収縮の全阻害が、50mg IVを受けた被験者において観察された。正常被験者は、15mg経口または50μg/kg IVで始まる尿オスモル濃度の低下を伴ったアクアレティック作用(V2受容体拮抗作用)を示した。より高い用量でのアクアレティック効果はより顕著であり、120mg QDまたは60mg BIDの経口投与または50mgのIV投与では、正常被験者には不快すぎて許容されないと考えられた。YM087は250μg/kgおよび50mg/日までのIV用量において、投与後それぞれ3および6時間までの間に尿生産率を上昇させた。
【0084】
安全性
試験した約250人の被験者の中に主要な安全性の懸念のないことが同定され;1人の重い心不全患者は大てんかん発作を持続し、これはおそらく40mg BIDのYM087に関連していた。処置関連とは無関係な最も頻発した逆事象は軽度または中位の渇きおよび軽度の頭痛であった。他の偶然の逆事象には、潮紅、冷たい四肢感覚、腹部愁訴、異常便、失神、めまい、動悸および体位性低血圧があった。YM087を受けた3人の被験者およびプラシーボを受けた1人は、軽微な可逆性の白血球数減少を発症した。生物化学的または血液学的な検査室パラメーターには、薬剤関連トレンドは観察されなかった。より高い用量において、尿オスモル濃度は低下し、血漿オスモル濃度は上昇し、血漿ナトリウムの増加を伴ったり伴わなかったりした。これらの観察は、V2−受容体の拮抗作用に関連するものであり、安全性の懸念はないと考えられた。生命徴候(血圧および心拍数)はYM087で影響されなかった。
【0085】
試験目的
この試験の目的は、二重盲険プラシーボ制御の平行グループ条件下で、プラシーボと比較した、うっ血性心不全の急性増悪の患者における肺うっ血に対するYM087 40mg BIDの有効性を探索することである。
この試験の別の目的は、プラシーボと比較した、うっ血性心不全の急性増悪の患者におけるYM087 40mg BIDの安全性を探索することである。
【0086】
試験設計
このトライアルは、24−時間の期間にわたり30−分間の静脈内注入として2回(8時間間隔)投与されるYM087 40mgの、プラシーボと対比した安全性および効力に関する探索無作為化二重盲険プラシーボ制御試験である。試験の概要を以下の表5に示す。
この試験は3つの段階:スクリーニング段階、24−時間二重盲険処置段階および処置後段階からなる。
病院に着いたとき、患者は登録基準についてアセスメントされる。基準を満足したならば、同意を得て患者は登録される。
【0087】
スクリーニング段階の間、患者は一連の手順および検査を受ける。全てのスクリーニング段階手順は二重盲険処置段階に入る前2時間以内に完了しなければならない。
含める基準を満たす患者は、次いで2つの処置グループの1つ:二重盲険処置段階に無作為化される。患者は、24−時間の期間にわたり8時間間隔で2回の30−分IV注入として投与される40mgのYM087またはプラシーボを受ける。
措置段階が完了した後、患者は処置後30日までの入院の残りの間追跡される。
【0088】
処置後段階
全部で36人の患者を処置グループ(約18患者/グループ)に無作為化される。
【0089】
【表5】
【0090】
スクリーニング/基線段階(2時間まで)
病院に着いたとき、患者を登録基準についてアセスメントした(表5参照)。基準を満足したならば、同意を得て患者を登録した。非経口変力剤での治療が必要な患者または挿管されている患者を排除した。患者は試験薬剤投与前2時間以内に利尿剤を受けていてはならない。スクリーニングの24時間以内に長期作用性利尿剤(例えばメタラゾン)を開始した患者を排除する。
スクリーニング段階において医療病歴の診察および身体検査(体重を含む)を行う。呼吸数を測定した。生命徴候をアセスメントした。臨床検査室パラメーター(電解質、腎および肝機能、血液学的パラメーター)も、スクリーニングの2時間以内にアセスメントされていない場合に測定した。
【0091】
基線段階を用いて多数の試験パラメーターのための基線値を確立した。試験薬剤の8時間以内に処置前ECGを得た。患者の臨床状態を、急性心不全スコアにより、患者の呼吸および包括的状態については医師/試験コーディネーター臨床アセスメント目盛により、呼吸状態については患者アセスメント目盛(患者ビジュアルアナログ目盛および患者数値評点目盛)により、そして包括的状態については患者ビジュアルアナログ目盛によりアセスメントした。
患者に100%酸素を5〜10分間投与し、血中ガスをA−a勾配のアセスメントのために測定した。基線呼吸数を試験薬剤投与前5分に測定する(RRは含める基準を満たすために≧22であることを要する)。
【0092】
処置段階(24時間=第1日目の処置段階)
次いで患者を無作為化し、8時間間隔で2回の30−分IV注入として投与される40mgのYM087またはプラシーボで処置する。全ての患者は研究者の裁量で、IV係蹄利尿剤、酸素、モルフィンおよびIV血管拡張剤を含む通常のケアを受けた。全ての患者に、最初にIVフロセミド20mgを最低用量として投与した。試験薬剤の最初の用量を投与した後少なくとも2時間は、追加用量の利尿剤を投与してはならず;続いて必要に応じ患者の臨床状態に基づいて研究者の裁量で、用量を調節した。入院の48時間以内に、この入院前少なくとも3か月間に行われた吐出分画アセスメント値を持たなかった患者、または最近の心エコー法から心臓病事象があった患者に対しては、二次元心エコー法を行った。生命徴候および呼吸数を、試験薬剤の最初の注入開始後6時間にわたり1時間毎に、次いで24時間にわたり2時間毎にアセスメントした。試験薬剤の第2投与前に体重を測定した。注入開始に続く2、4および6時間において尿排出量を集めて計算し、処置段階における全24−時間の期間中の測定値も得た。患者の臨床状態を、試験薬剤のIV注入開始後1、3、6、8、12、18および24時間においてアセスメントした。A−a勾配を、初期用量の試験薬剤のIV注入開始後3および12時間においてアセスメントした。試験中に、患者は呼吸数およびA−a勾配の全てのアセスメントのために同一%の酸素を受けるべきである。12−誘導処置後ECGを、試験薬剤の最初のIV注入投与開始後24時間において得た。臨床検査背いつパラメーターを、試験薬剤の最初の投与後8および24時間にアセスメントした。血清電解質、BUNおよびクレアチニンを、最初の試験薬剤用量の投与後4、8、12、18および24時間に測定した。試験薬剤の最初のIV注入開始後0.5、2、5、8.5、12、16、24および48時間におけるYM087レベルの薬物動態学的アセスメントのために、試料を得た。
【0093】
処置後段階(入院滞在の残り)
患者を、処置後30日までの入院滞在の残りの間追跡した。患者の臨床状態および生命徴候を、毎日2回、処置後48時間の間(処置後第1日目=48時間、および処置後第2日目=72時間において)アセスメントした。臨床検査室パラメーターを、毎日1回、処置後48時間の間(処置後第1日目=48時間、および処置後第2日目=72時間において)、および7日または退院の日(どちらか早いほう)に測定した。試験薬剤の最初のIV注入用量の開始後48時間(処置後第1日目)におけるYM087レベルの薬物動態学的アセスメントのために、検査室試料を得た。患者を逆事象の臨床アセスメントのために追跡した。監視ユニットにおける入院滞在の長さを記録すべきである。
【0094】
試験母集団
この試験に登録された全ての患者は、症候的心不全(NYHAクラスII−IV)の病歴を有し、肺うっ血を有するうっ血性心不全の急性増悪の処置が認められる。
【0095】
患者の出所および数
全部で36人の患者(処置グループ当たり18人)が6つの試験センターで登録される。各サイトは6人の患者を登録することが期待される。
【0096】
患者の選択基準
含める基準
試験に含めるために適切な患者は下記の基準を満たす:
1. 告知同意に署名;
2. 18〜90才の男性および女性;女性は閉経、不妊手術または適切な産児制限を行っているので、研究者の意見によれば彼女らは試験中に妊娠しない;
3. 肺うっ血を有するうっ血性心不全の急性増悪に対して認められたニューヨーク心臓協会基準によるクラスII−IV機能障害の病歴を有する症候的心不全;
4. 場合によりACE阻害剤、利尿剤、ジゴキシンおよび/またはβ−遮断剤からなる現在の心不全治療;患者はスクリーニング前少なくとも1か月間バックグラウンド治療を受けていなければならない;
5. 基線(試験薬剤投与前5分)における頻呼吸(RR≧22/分)−機械的換気をしていない;
6. 患者は注意活発でなければならない;
7. 最も最近の利尿剤投与は試験薬剤投与前≧2時間であるべきである;および
8. 患者は身体検査のときに胸膜滲出液および/または吸息クラックル音(ラッセル音)を有する。
【0097】
排除する基準
下記の状態のいずれかの存在は、患者を試験適格から排除する:
1. 授乳または妊娠;
2. 仰臥血圧<90mmHgまたは制御されない高血圧の患者;
3. 挿管された患者および/または即座の機械的換気が必要な患者;
4. 徐脈性不整脈(例えば洞停止、モビッツII型第2度AVブロックまたは第3度AVブロック);心房細動または心房粗動(心室率>130/分);心室頻拍の頻発);二重チャンバーペースメーカーおよび/または内移植可能な細動除去器を付けた患者は、これらの装置がスクリーニング前>60日に内移植されているならば適格である;
5. スクリーニングの48時間以内の不安定な狭心症および/または急性心筋梗塞;
6. 臨床的証拠または公知の重いCOPDを有する患者;
7. 有意な矯正されない原発性心臓弁膜症または矯正されない先天性心臓病;例えば明白な大動脈弁狭窄、明白な僧帽弁狭窄、弁の交換を必要とする重い心弁閉鎖不全症;
8. 閉塞型心筋症の患者;
9. コラーゲン血管病、または他の矯正可能な栄養性または代謝性の心不全原因による活性心筋炎、収縮性心膜炎、未治療の甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症、副腎不全症の患者:
10. アラニンアミノ転移酵素(ALT)およびアスパラギン酸塩アミノ転移酵素(AST)上昇が正常上限(ULN)対照範囲の>3倍および/またはビリルビン≧2mg/dL;
【0098】
11. 有意な腎障害、血清クレアチニン>2.5mg/dLまたはクレアチニンクリアランス<30mL/分の患者;
12. 深刻な血液学的疾患(例えば重い貧血、Hgb<10g/dL:白血病、白血球[WBC]<4000/gL);
13. 公知の末期状態または転移性癌;
14. IV変力薬(例えばドブタミン、ミルリノン、アムリノンなど)で処置する必要のある患者;
15. スクリーニングの24時間以内に長期作用性利尿剤(例えばメトラゾン)を開始している患者;
16. ジギタリス毒性の臨床的証拠;
17. 現行の不法薬物使用またはアルコール中毒;
18. 研究者の意見によれば、処置、安全性および/または効力の評価を妨げることのある全ての同時の病気;
19. この試験に参加するためのスクリーニングの30日以内に治験薬(プラシーボを含む)に関する別の臨床トライアルへの関与;または
20. この試験に参加する告知同意を理解および署名するための法律的無能力者。
【0099】
禁止/許容される薬剤または注意
CHFの自然な進行に関連しない潜在的な心臓の変化に関する結果を解釈する際に区別できないファクターおよびバイアスを最低限にするために、利尿剤(例えばACE阻害剤、ジゴキシンおよびβ−遮断剤)を除く同時心不全薬を、試験の処置段階を通して安定に保つ。同時薬剤の変更を、患者の安全性の問題が明らかな場合に行う。
非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)は、これらが腎機能に対して阻害効果を有するため認められない。
【0100】
許可される薬剤には、冠動脈疾患(CAD)、高血圧、糖尿病、高脂質血症およびCHFの治療に用いられるものが含まれる。心不全薬には、ACE阻害剤、利尿剤、ジゴキシン、β−遮断剤および間欠的酸素を含めることができる。慢性的低用量(≦300mg QD)のアミオダロンは許容されるが、ソタロール、ドフェチリドまたは他のクラスIII/IV抗不整脈剤は許容されない。サイクロスポリンは許されない。
【0101】
ワルファリンを受けた患者は、監視されたプロトロンビン時間を有するべきである。ジゴキシンを受けた患者については、血清ジゴキシンレベルを監視すべきである。
試験中に、患者は呼吸数およびA−a勾配の全てのアセスメントのために同一%の酸素を受けるべきである。
この試験に登録された患者は、治験薬または装置に関する他のいずれの臨床トライアルにも参加できない。
【0102】
試験方法
効力アセスメント
1. プラシーボと比較した、正常呼吸数(≦18)に対する時間;
2. プラシーボと比較した、基線からの急性心不全スコアの変化;
3. プラシーボと比較した、基線からの呼吸状態に関する患者ビジュアルアナログ目盛および患者数値評点目盛の変化;
4. プラシーボと比較した、基線からの包括的状態に関する患者ビジュアルアナログ目盛の変化;
5. プラシーボと比較した、基線からの患者の呼吸状態に関する医師/試験コーディネーター臨床アセスメント目盛の変化;
6. プラシーボと比較した、基線からの患者の包括的状態に関する医師/試験コーディネーター臨床アセスメント目盛の変化;
7. プラシーボと比較した、基線からのA−a勾配の変化;
8. プラシーボと比較した、必要なIV係蹄利尿剤の追加用量(初期20mg IVフロセミド以上);
9. プラシーボと比較した、機械的換気の必要性;
10. プラシーボと比較した、変力剤での処置の必要性;
11. プラシーボと比較した、監視ユニットにおける滞在の長さ;
12. 最初の日の利尿容積;および
13. 入院中の体重変動。
【0103】
薬物動態学的分析
YM087の血漿濃度を、試験薬剤の最初のIV注入投与開始後0.5、2、5、8.5、12、16、24および48時間において測定する。アッセイの感度、特異性、線形性および再現性を、試料の分析前に決定した。
YM087の母集団薬物動態を、適切な薬物統計学的方法を用いて特性決定する。評価には、薬力学的パラメーターと人口学的ファクターとの関係、および薬力学的パラメーターにおける個体間および個体内の変動性の推定が含まれる。分析検査室を、試験が完了するまで目隠しされたままにし、完了時に無作為化コードを薬物動態学薬力学代謝部(Department of Pharmacokinetics, Dynamics, & Metabolism)に送った。活性処置グループについてのみ血漿YM087濃度を決定した。
【0104】
試験薬剤
説明
試験薬剤は単一無作為化コードによって調剤される。患者に二重盲険薬剤:40mgのYM087またはプラシーボの30−分IV注入を2回、24−時間の期間にわたり8時間間隔で与えた。薬剤は、無作為化コードに従って、各患者のためにそれぞれ調製され、患者試験番号およびコントロール番号により同定される。
試験薬剤は5mLアンプルとして提供される。各アンプルは5mg/mLのYM087またはプラシーボを含有する。
【0105】
投与手順
YM087またはプラシーボの滅菌注射液を、D5Wを含む100−mLバッグに加える。表6に、所望の用量を得るためにD5W中に希釈する注射用YM087またはプラシーボの量を示す。バッグ内容物をポンプ注入装置により30分間にわたり患者に投与する。
【0106】
【表6】
【0107】
統計分析および理論的根拠
能力および試料サイズ
これは探索パイロット試験である。患者数は能力の考慮に基づいていないが、予備的な効力安全性および許容性の情報を与えるのに充分であると考えられる。
【0108】
効力パラメーター
基線からの変化の効力パラメーターを、基線および各収集時間において要約した。各時間における基線からの相当する変化も要約した。記述的要約には、平均、標準誤差、中央、最小および最大が含まれていた。
カプラン−マイアー曲線を与えて正常呼吸数に対する時間を要約した。他の全ての効力パラメーターについて度数分布を与えた。
【0109】
結果および論考
実施例2に記載した試験の結果は、コニバプタン処置が症状アセスメント目盛の改善をもたらしたことを示し(呼吸状態の患者ビジュアルアナログ目盛、図6、呼吸状態の患者数値評点目盛、図7)、肺圧を含む改善された血行力学を示唆する。
実施例3に記載した試験は、プラシーボと比較して、コニバプタンで処置した患者において肺胞−動脈勾配の明らかな改善を示し(図8)、もしかすると改善された血行力学的状態の結果として改善された酸素供給を示唆した。
【0110】
上記で述べたように、本発明により肺高血圧を治療するためにバソプレシン拮抗剤を使用できる。コニバプタンとは異なり、これらの薬剤の全てを臨床的に評価したわけではない。それにもかかわらず、これら全ての薬剤は、薬剤科学にルーチンに用いられる標準的方法により便利な投与のために処方されるであろう。
【0111】
本発明に使用すべきバソプレシン拮抗剤の医薬組成物を製造するために、製薬上許容される担体は固体または液体のとちらであってもよい。固体形態の調製物としては、粉末、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑剤、懸濁化剤、結合剤、錠剤崩壊剤またはカプセル封入材料としても作用しうる1種またはそれ以上の物質であってよい。
【0112】
粉末において、担体は、微粉活性成分との混合物として存在する微粉固体である。
錠剤において、活性成分は必要な結合性を有する担体と好適な比率で混合され、所望の形状および大きさに圧縮される。
【0113】
粉末および錠剤は、5%または10%から約70%の活性化合物を含有する。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココヤシ油などである。「調製物」という用語は、活性化合物と、カプセルを与える担体としてのカプセル封入剤との処方物であって、このカプセルにいて活性化合物が、他の担体と共にまたはそれなしで、担体によって取り囲まれており、従って活性化合物が担体と連合している処方物を包含することを意図している。同様にカシェ剤およびトローチ剤も包含される。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤およびトローチ剤は、経口投与に適する固体計量形態として使用できる。
【0114】
坐剤を製造するためには、低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドの混合物またはココヤシ油を最初に溶融し、その中に活性化合物を例えば撹拌により均一に分散させる。次いでこの均一溶融混合物を都合の良い大きさの型に注ぎ、放冷し、これにより固化させる。
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液およびエマルジョン、例えば水溶液または水性プロピレングリコール溶液が挙げられる。非経口注射のためには、液体調製物を水性プロピレングリコール溶液中の溶液として処方できる。
【0115】
経口使用に適する水溶液は、活性成分を水に溶解し、所望により好適な着色剤、矯味矯臭剤、安定剤および増粘剤を添加することにより調製できる。
経口使用に適する水性懸濁液は、微粉活性成分を粘調材料、例えば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび他の周知の懸濁剤と共に水に分散させることにより調製できる。
【0116】
使用する少し前に経口投与のための液体形態の調製物に変えることを意図した固体形態の調製物も包含される。このような液体形態としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、活性成分に加えて、着色剤、矯味矯臭剤、安定剤、緩衝剤、人工または合成甘味料、分散剤、増粘剤剤、可溶化剤等を含有することができる。
【0117】
医薬調製物は単位投与量形態にあることが好ましい。このような形態において、調製物は適切な量の活性成分を含有する単位量に小分けされる。単位投与量形態は、包装製剤であってもよく、この包装は任意量の調製物を含み、例えばバイアルまたはアンプルに詰めた錠剤、カプセルおよび粉末である。また、単位投与量形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤またはトローチ剤それ自体であってもよく、または包装形態にある適切な数のこれらいずれの製剤であってもよい。
単位量製剤中の各活性成分の量は、個々の用途および活性成分の効力により、0.1〜1000mg、好ましくは約1〜100mgに変えるか調節できる。この組成物は、所望により他の適合性治療剤を含有することもできる。
【0118】
以下の実施例(表7および8)は、本発明に利用できる典型的な処方物を説明する。
【表7】
【0119】
バソプレシン拮抗剤、乳糖およびトウモロコシ澱粉(混合用)を一様にブレンドする。トウモロコシ澱粉(ペースト用)を200mLの水に懸濁し、撹拌しながら加熱してペーストを形成する。このペーストを用いて上記の混合粉末を顆粒にする。この湿った顆粒を8番ハンド篩を通し、80℃で乾燥する。乾燥顆粒を1%ステアリン酸マグネシウムで潤滑し、錠剤に圧縮する。このような錠剤を、肺高血圧の治療のために、ヒトに1日1〜4回投与することができる。
【0120】
経口溶液のための調製物
【表8】
【0121】
表8に示した量を用い、ソルビトール溶液を40mLの蒸留水に加え、これにバソプレシン拮抗剤を溶解する。サッカリン、安息香酸ナトリウム、香料および染料を加えて溶解する。蒸留水で容積を100mLに調節する。このシロップ剤は1mL当たり4mgの本発明の組成物を含む。この組成物を動物に投与して肺高血圧を治療する。
【0122】
非経口溶液
700mLのプロピレングリコールおよび200mLの注射用水の溶液に、20gのバソプレシン拮抗剤を懸濁させる。懸濁が完了した後、1N水酸化ナトリウムでpHを6.5に調節し、注射用水で容積を1000mLにする。この処方物を滅菌し、5.0mLアンプル中に充填してそれぞれ2.0mLを含ませ、窒素中で密封する。この組成物を、肺高血圧を治療するために患者に投与する。
【0123】
本発明ならびにそれを実施および使用する手段および方法を、本発明が属する技術分野の当業者がそれを実施および使用するのを可能にするような充分、明確、簡潔かつ的確な言葉で記載してきた。上記のことは本発明の好ましい実施形態を説明すること、および請求項に示した本発明の精神および範囲からそれることなく、これら好ましい実施形態内で変更できることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コニバプタンが右大動脈圧(RAP)を低下させる能力を示す。
【図2】コニバプタンが肺動脈収縮期圧(PAs)を低下させる能力を示す。
【図3】コニバプタンが平均動脈圧(MAP)に対して効果を有しないことを示す。
【図4】コニバプタンが収縮期血圧(SBP)に対して効果を有しないことを示す。
【図5】肺うっ血の幾つかの尺度に対するバソプレシン拮抗剤の効果を調査するための試験設計−無作為化され制御されたプラシーボを示す。
【図6】コニバプタンが患者評点目盛でアセスメントされたように呼吸状態を改善したことを示す。
【図7】コニバプタンが患者アセスメント目盛でアセスメントされたように呼吸状態を改善したことを示す。
【図8】コニバプタンがプラシーボと比較して肺胞−動脈勾配を改善したことを示す。
【図9】コニバプタンを受けた患者がプラシーボと比較して、吸息クラックル音が悪化した者が少なかったことを示す。
Claims (2)
- 肺高血圧に罹患している哺乳類にとって有効な量の式Iで表される化合物またはその製薬上許容される塩であるバソプレシン拮抗剤を含有し、全身的血行力学に影響を与えることなく肺高血圧を治療するための薬剤。
R1、R2およびR3は独立して水素、ハロゲン、(C1−C10)−アルキル、(C1−C10)−アルコキシ、アミノ、(C1−C10)−アルキルアミノまたはジ(C1−C10)−アルキルアミノであり;
R4は水素、フェニルまたは置換フェニルである(ここで、該置換フェニルは、(C1−C10)−アルキル、(C1−C10)−アルコキシ、チオ、(C1−C10)−アルキルチオ、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、(C1−C10)−アルキルアミノ、ジ(C1−C10)−アルキルアミノ、CN、CF3、アルカノイルであってホルミルまたはアセチルから選択されるアルカノイル、およびアリールであってフリル、チエニルまたはピリジルから選択されるアリールからなる群より選択される1個、2個または3個の置換基を有する。)] - バソプレシン拮抗剤がコニバプタンである、請求項1に記載の薬剤。
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