JP3838020B2 - 障害物検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両側方の障害物を検出する障害物検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の障害物検出装置として、特開2000−123298号公報に記載されたようなものが知られている。この従来の障害物検出装置は、CCDカメラによって障害物の存在を検出し、またCCDカメラの撮像範囲と同一の範囲を超音波センサによってサーチして障害物の存在と障害物までの距離を検出し、これらCCDカメラにより検出した障害物と超音波センサによって検出した障害物とを統合的に判断し、障害物の存在とその存在位置を検出するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の障害物検出装置では、例えば、車両後側方に存在する障害物を検出しようとした場合には、車両の後側方の所定の範囲を撮像するカメラと、車両の後側方の所定範囲に超音波を照射する超音波センサとを設けるようにしていたので、カメラの画像処理において高速な処理能力、つまり、高い演算能力を必要とし、高速、高性能な演算装置が必要とされ、装置のコストが高くなる問題点があった。
【0004】
例えば、図6の矢印Aに示すコースで駐車場100に前向きに車庫入れし、あるいは矢印Bに示すコースで駐車場100から前向きに出庫するような場合、駐車場100のすぐ脇に柱のような障害物101,102が存在していると、内輪差により障害物101あるいは102に車両のサイド部分を擦る恐れがあるので、障害物に接触しないように未然に警報を発する障害物検出装置が搭載されていることが望ましい。しかし、このような状況に対して、従来例の障害物検出装置が警報を発する構成にしようとすれば、上述したようにコストが高くなりすぎる問題点がある。
【0005】
本発明はこのような技術的課題を解決するために発明されたもので、側方の障害物を低コストで検出できる障害物検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の障害物検出装置は、車両前方の第1の範囲の物体を検出する第1のセンサと、車両側方の第2の範囲の物体を検出する第2のセンサと、前記第1のセンサによって物体を検出したときに、前記第2の範囲に当該物体が現れるまでに要する車両の移動時間を推定する時間推定手段と、前記第1のセンサが前記物体を検出した後、前記時間推定手段が推定した時間に前記第2のセンサを動作させ、当該第2のセンサの検出する物体と前記第1のセンサで検出した物体との一致性を判断する一致性判断手段と、前記一致性判断手段の判断結果に基づいて障害物の有無を判断する障害物判断手段とを備えたものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の障害物検出装置において、前記一致性判断手段が前記一致性を判断したときに、前記第2のセンサの検出する情報に基づいて前記物体が車両に近づいているかどうかを判断する接近判断手段と、前記接近判断手段が、前記物体が車両に近づいていると判断したときに警報を出力する警報手段とを備えたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の障害物検出装置において、前記接近判断手段が、前記第2のセンサが検出する前記物体に相当する部分の面積が増加傾向にあるときに当該物体が車両に近づいていると判断することを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3の障害物検出装置において、前記第1のセンサはレーザレーダであり、前記第2のセンサはカメラであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の障害物検出装置において、前記一致性判断手段は、前記第2のセンサによる検出信号の輝度分布を前記第1のセンサによる物体の検出信号の輝度分布と比較し、一致性を判断することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1の発明では、第1のセンサによって車両前方の障害物を検出したときに、第2のセンサの検出範囲である車両側方の第2の範囲に当該障害物が現れるまでに要する車両の移動時間を推定し、当該推定時間が経過したときに第2のセンサを動作させる。そして第2のセンサの検出する物体と第1のセンサで検出した障害物との一致性を判断し、この判断結果に基づいて障害物の有無を判断する。
【0012】
これにより、車両側方の障害物の存在を、見かけ上第1のセンサと第2のセンサの両方で検出することができ、第1のセンサと第2のセンサとにより同時に統合的な判断をする必要がないため、演算処理の負荷が軽く、高速、高性能の演算装置を採用せずとも済み、装置のコスト低減が図れる。
【0013】
請求項2の発明では、一致性判断手段が一致性を判断したときに、第2のセンサの検出情報から障害物が車両に近づいているかどうかを判断し、障害物が車両に近づいていると判断したときに警報を出力する。
【0014】
これにより、車両側方の障害物が相対的に車両に近づいている場合には、ドライバに障害物との接触を回避するように警報を出力することができる。
【0015】
請求項3の発明では、接近判断手段が第2のセンサの検出する障害物に相当する部分の面積が増加傾向にあるときに当該障害物が車両に近づいていると判断することにより、車両に対する障害物の接近を正確に検出することができる。
【0016】
請求項4の発明では、第1のセンサにレーザレーダを用い、第2のセンサにカメラを用いることにより、通常、車間距離計測装置として搭載されているレーザレーダを当該車両側方の障害物検出のためにも利用することができ、車間距離計測装置を備えた車両に障害物検出装置も搭載する場合のトータルコストの削減が図れる。
【0017】
請求項5の発明では、一致性判断手段が第2のセンサによる検出信号の輝度分布を第1のセンサによる物体の検出信号の輝度分布と比較して一致性を判断することにより、車両側方の障害物の存在が正確に検出できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の1つの実施の形態の機器構成を示している。本実施の形態の障害物検出装置は、車両1の前方及び前側方に存在する物体の有無及び該当する物体までの距離を検出するレーザレーダ2、車両1の側方の状況を撮像するCCDカメラのようなカメラ3、車両速度を検出する車速センサ4、障害物接近を警報するためのスピーカ5、そして各機器を制御し、必要な演算処理を実行するコントローラ6から構成されている。
【0019】
図2に示すように、レーザレーダ2は車両1の前側方に周期的にレーザビームを発射し、視野21内に物標が存在する場合にその物標に反射して戻ってくる反射光を受光し、レーザビームの発射タイミングから反射光の受光タイミングまでの時間差に基づいて物標までの距離を計測し、また反射光を受光しない場合に物標なしと判断する。
【0020】
カメラ3は車両1のドアミラー7に、あるいはドアミラー7と同じ場所に組み込まれていて、車両の側後方に障害物の検出視野22を持つ。このカメラ3は、コントローラ6の制御下に、レーザレーダ2が車両の前側方に障害物が存在することを検出したときに、後述する演算により同じ障害物が車両1の側方の視野22内に現れるまでの推定時間遅れのタイミングで動作し、車両側方の状況を撮像し、映像をコントローラ6に出力する。
【0021】
コントローラ6は当該障害物検出装置として動作するために必要なプログラムを実行するCPU、プログラムその他の固定的な情報を記憶するROM、情報を一時的に記憶するRAM、外部の各機器との間で信号を送受信するI/O処理部を備えており、後述する制御動作を一定周期で繰り返し実行する。
【0022】
次に、上記の実施の形態の障害物検出装置の動作を、図3〜図5により説明する。コントローラ6は周期的に図3のフローチャートの演算処理を繰り返す。ステップS05において、レーザレーダ2が前側方の視野21内に物体23の存在を検出しているかどうかを判断する。そして物体23の存在を検出している場合には、ステップS10において車両1の移動に伴い、カメラ3の視野22内に物体23が現れるまでの遅れ時間Δを推定演算する。
【0023】
この演算は次の通りである。図4に示すように、まず、車両座標系を設定する。x軸を車両1の前後方向とし、y軸を車両1の幅方向とする。そして、車両1の前方右端を車両座標系の原点とする。以下、説明を単純化するために車両1はx軸の−(マイナス)方向に一次元的に移動するものとする。
【0024】
ここで、車両の速度をvとする。これは、車両1の車速センサ4から得られる速度パルスpより、タイヤ半径、減速比などの定数をかけて、数1式より得る。
【0025】
【数1】
v=f(p)
いま、車両1の前方右端が原点にあり、この地点からレーザレーダ2でレーザビームが発射され、図4中の検出範囲21内に障害物23が存在し、その位置をレーザレーダ2のスキャニング角度毎の反射信号の受信強度から計算処理し、等価的に車両座標系の(x0,y0)に障害物23を検出したとする。なお、以下の式では、時刻tにおける障害物23の車両座標系の位置を(x0(t),y0(t))と表記する。
【0026】
なお、レーザレーダ2による障害物23の存在検出だけでは、この障害物23が車両1の進路上に存在するものではないので、警報を出力することはない。
【0027】
次に、車両1は−x軸方向に平行に速度vでδt時間走行する。このとき、車両座標系において、障害物23は(x0+v・δt,y0)の位置に観測される。この位置を改めて、(x1(t+δt),y0(t+δt))と表記する。
【0028】
このとき、障害物23が地面に対して移動しない固定物であれば、車両1の移動によりいつカメラ3の視野範囲22に現れるようになるかを推定することができる。
【0029】
いま、カメラ3の視野範囲22の端部22Aが車両座標系により、y=ax+bと表わされるとすると、(x0(t),y0(t))の障害物23が視野範囲22に入るときの座標(x1(t+δt),y0(t+δt))であり、このx1は次の数2式のように表わされる。
【0030】
【数2】
Figure 0003838020
いま、車両1の速度がvであるので、時刻tから、次の数3式で与えられるΔ時間後にカメラ3の視野範囲22に障害物23′が現れると推定される。
【0031】
【数3】
Figure 0003838020
そこで、ステップS10でこのΔ時間を算出した後、カメラ3を動作させて視野範囲22を撮像させる。そして、ステップS15,S16において、Δ時間後のカメラ3の視野22の端部22Aの輝度変化を観察し、次に説明するような輝度情報Is(x,y)、Ic(x,y)を抽出する。
【0032】
図5(a)に示すように、視野22の端部22Aの所定範囲の輝度情報Is(x,y)を抽出する(ステップS15)。一方、上記の所定部分とは異なるカメラ3の観察視野22内の+x方向の所定の場所の複数の画素から同様に輝度情報Ic(x,y)を抽出する(ステップS20)。そして、ステップS25において、これらの輝度情報Is(x,y)、Ic(x,y)に対する不変分散Vr(Is(x,y))、Vr(Ic(x,y))を求め、その比を求める。
【0033】
【数4】
Vr(Is(x,y))/Vr(Ic(x,y))
次のステップS30では、この数4式の比を用いて、F検定を実行し、有意差が現れたかどうか判断する。有意差があれば障害物23が現れたものとみなし、本実施の形態ではさらにステップS35移行の処理を行う。しかし、F検定で有意差なしと判断した場合には、障害物23がなくなったものと見なし、リターンする。
【0034】
ここで、F検定は次の通りである。図5の各図において、左側は輝度情報のグラフを示し、右にゆくほど暗いこと(つまり、背景とは異なった物体を検出していること)を表している。中央の斜線を施した矩形部分24は、カメラ3の視野範囲の端部22Aを示している。そして左側はカメラ3の視野範囲22を示している。
【0035】
いま、図5(a)は、上述したレーザレーダ2が障害物23を検出した時刻tからΔ時間後にカメラ3が捉えた障害物23′の映像を示している。このように、障害物23′が視野範囲端部22Aに入ってくると、障害物23′の映像に対応する部分が背景とは異なった輝度を示し、輝度分布Is(x,y)は同図の左側に示すようになる。ステップS20においては、視野範囲22内の所定の場所の複数の画素から同様に輝度情報Ic(x,y)を得る。
【0036】
そしてステップS25で、輝度情報Is(x,y)、Ic(x,y)に対する不変分散Vr(Is(x,y))、Vr(Ic(x,y))を求め、続くステップS30でF検定を実行するのである。
【0037】
このF検定は、一般に信号の分布が平均的な分布と異なっているかどうかを判断する手法であり、基本的には、従来の信号の分散V1(平均値からのずれ量)を求め、従来の信号と異なる信号であるかどうかを調べようとする信号を入力したなら、その分散V2を計算し、この分散の比V1/V2を求めて、予め数学的に決められた数表の値と比較し、データのバラツキ方が同じか異なるかにより、信号の異同を判断する手法である。
【0038】
こうして、ステップS30では、図5(a)に示すΔ時間後から、同じ障害物23′の反対側の端部を検出する図5(c)に示す(Δ+α)時間後までの間のカメラ3の撮像信号を用いて、上述した方法でF検定を行い、背景だけの画像と有意差があるかどうか判定する。
【0039】
このF検定の結果、有意差があり、車両1の側方に障害物23′が検出されたと判定すれば、続くステップS35において、輝度情報Is(x,y)の輝度平均値と標準偏差を求める。続くステップS40では、車両の移動によって、観測視野22内に新しく視野内端部22Aの輝度が平均輝度±標準偏差の範囲内ならば、障害物23′を検出し続けていると認識するが(ステップS45)、範囲外であれば障害物23′の反対側の端部に到達したと判断する(ステップS50)。
【0040】
図5(b)に示すように、Δ時間後に検出した障害物23′と同じ障害物を検出し続けている間は繰り返し計測を続けるが、同図(c)に示すように視野内端部22Aの輝度が平均輝度±標準偏差の範囲外となれば障害物23′の反対側端部を検出したものと判断し、クラスタリング処理を実行する(ステップS55)。このクラスタリング処理は図5(d)に示すように、障害物23′の輪郭(実際の物体の輪郭とは異なる)を輝度によってクラスタリングする。
【0041】
このクラスタリングの後、同じ障害物23′を連続的に視野22内で追跡し、クラスタリングした領域25が拡大しているかどうか判断する(ステップS60,S65)。そしてクラスタリングした領域25が拡大している場合、障害物23′が車両に近づいており、接触の可能性ありとして警報をスピーカ5から出力させる(ステップS70)。
【0042】
このようにして、本実施の形態によれば、第1のセンサであるレーザレーダ2によって障害物23を検出した時に、車両の速度を勘案して第2のセンサであるカメラ3の視野範囲22に同じ障害物23′が現れるようになるまでの時間Δを推定し、この推定時間後に障害物23′を検出したときには、さらにカメラ3に捉えられた障害物23′の映像が拡大傾向にあるかどうか判断し、拡大傾向にあると判断したときに接触の可能性ありとして警報を出力するようにしたので、第1のセンサ、第2のセンサそれぞれには単独で障害物の検出を行わせながらも、見かけ上2つのセンサが協働して障害物を監視し、接触を回避するために必要な警報を発することができ、しかも、第1、第2のセンサそれぞれを単独で動作させているために複雑な演算処理が要求されず、高速、高性能な演算装置をコントローラ6に搭載する必要がなく、コスト的に低く抑えることができる。
【0043】
なお、上記の実施の形態ではΔ時間後の障害物23′の検出に止まらず、さらに障害物23′の映像のクラスタリング処理を行い、接近の有無をも判断して警報を発するようにしたが、装置のより単純化のためには、図3のフローチャートにおけるステップS30で有意差ありと判断すれば障害物23′が車両側方に接近しているものとして警報を発するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態の構成を示す概念図。
【図2】上記の実施の形態におけるレーザレーダ、カメラそれぞれの視野範囲を示す平面図。
【図3】上記の実施の形態による障害物検出処理のフローチャート。
【図4】上記の実施の形態による障害物検出動作の説明図。
【図5】上記の実施の形態におけるカメラの撮像信号から求めた輝度分布と障害物の位置との関係、及びクラスタリング結果を示す説明図。
【図6】本発明が有効な駐車場のレイアウト。
【符号の説明】
1 車両
2 レーザレーダ
3 カメラ
4 車速センサ
5 スピーカ
6 コントローラ

Claims (5)

  1. 車両前方の第1の範囲の物体を検出する第1のセンサと、
    車両側方の第2の範囲の物体を検出する第2のセンサと、
    前記第1のセンサによって物体を検出したときに、前記第2の範囲に当該物体が現れるまでに要する車両の移動時間を推定する時間推定手段と、
    前記第1のセンサが前記物体を検出した後、前記時間推定手段が推定した時間に前記第2のセンサを動作させ、当該第2のセンサの検出する物体と前記第1のセンサで検出した物体との一致性を判断する一致性判断手段と、
    前記一致性判断手段の判断結果に基づいて障害物の有無を判断する障害物判断手段とを備えて成る障害物検出装置。
  2. 前記一致性判断手段が前記一致性を判断したときに、前記第2のセンサの検出する情報に基づいて前記物体が車両に近づいているかどうかを判断する接近判断手段と、
    前記接近判断手段が、前記物体が車両に近づいていると判断したときに警報を出力する警報手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
  3. 前記接近判断手段は、前記第2のセンサが検出する前記物体に相当する部分の面積が増加傾向にあるときに当該物体が車両に近づいていると判断することを特徴とする請求項2に記載の障害物検出装置。
  4. 前記第1のセンサはレーザレーダであり、前記第2のセンサはカメラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の障害物検出装置。
  5. 前記一致性判断手段は、前記第2のセンサによる検出信号の輝度分布を前記第1のセンサによる物体の検出信号の輝度分布と比較し、一致性を判断することを特徴とする請求項4に記載の障害物検出装置。
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