JP3837309B2 - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セパレータ間にシール材を介在させた固体高分子型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の燃料電池の1形態である固体高分子型燃料電池の単セルの基本構成を示す分解断面図である。高分子イオン交換膜(例えば、スルホン酸基を持つフッ素樹脂系イオン交換膜)などの固体高分子電解質膜1の両側の主面にそれぞれ貴金属(主として白金)を含む空気極側触媒層2および燃料極側触媒層3を接合してセルが構成される。空気極側触媒層2および燃料極側触媒層3と対向して、それぞれ空気極側ガス拡散層4および燃料極側ガス拡散層5が配置される。これによりそれぞれ空気極6および燃料極7が構成される。これらのガス拡散層4および5は、それぞれ酸化剤ガスおよび燃料ガスを通過させると同時に、電流を外部に伝える働きをする。そして、セルに面して、反応ガス流通用のガス流路8を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた導電性でかつガス不透過性の材料(例えばカーボン)よりなる一組のセパレータ10により挟持して単セル11が構成される。
【0003】
図5は、単セル11の断面を説明する説明図であり、図6(A)は図5に示した空気極側セパレータ10の空気極6に対向する面の周縁部に額縁状の合成ゴムなどからなる絶縁シート材30を配設した状態を説明する平面説明図であり、(B)は図5に示した燃料極側セパレータ10の燃料極7に対向する面に燃料極7、固体高分子電解質膜1、空気極6を順次配設するとともに周縁部に額縁状の合成ゴムなどからなる絶縁シート材30を配設した状態を説明する平面説明図である。
【0004】
図7は、固体高分子型燃料電池スタックの基本構成を示す断面図である。多数の単セル11を積層し、集電板12、電気絶縁と熱絶縁を目的とする絶縁板13ならびに荷重を加えて積層状態を保持するための締付板14によって挟持し、ボルト15とナット17により締め付けられており、締め付け荷重は、皿バネ16により加えられている。
【0005】
燃料極7に面したセパレータ10に送られる燃料ガス、あるいは空気極6に面したセパレータ10に送られる酸化剤ガス(空気や酸素あるいはこれらの混合物など)は、それぞれ多数のガス流路8に分流し、電極へ拡散して電気化学反応に寄与する。
すなわち、燃料極7に水素を含む燃料ガス、空気極6に酸素を含む酸化剤ガスを供給すると、燃料極7では、水素分子を水素イオンと電子に分解する燃料極反応、空気極6では、酸素と水素イオンと電子から水を生成する以下の電気化学反応により発電が行われる。
【0006】
燃料極;H2 →2H+ +2e- (アノード反応)
空気極;2H+ + (1/2) O2 +2e- →H2 O(カソード反応)
全体 ;H2 + (1/2) O2 →H2 O
【0007】
上記のように、各セパレータ10の上面および下面の周縁部に絶縁シート材30をそれぞれ配設し、対向するセパレータ10の絶縁シート材30を圧接してセパレータ10、10間の絶縁およびガスシールを行っている。
【0008】
しかし、このような構造のガスシールでは絶縁シート材30の弾性のみを利用したガスシールであるので、圧接の仕方によってはガスシールが不完全となる恐れがある上、セパレータ10のガスシール構造が複雑になる問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の上記問題を解決し、セパレータ間の絶縁およびガスシールを良好に行うことができる上、セパレータのガスシール構造を簡素化することが可能であり、低コストで効率よく量産できる信頼性の高い燃料電池を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は従来の問題を解決するために鋭意研究した結果、セパレータ間の絶縁およびガスシールを行うためのシール材として燃料電池の作動温度より高い温度で軟化する熱軟化性ポリマーを主体とする材料を用いて形成された絶縁シート材を用い、例えば前記のように各セパレータ10の上面および下面の周縁部に絶縁シート材をそれぞれ配設した後、燃料電池の作動温度より高い温度で対向するセパレータ10の絶縁シート材を圧接してセパレータ10、10間の絶縁およびガスシールを行うと、圧接された絶縁シート材は軟化してガスシールすべき表面などの形状や凹凸などに従ってよく変形し、好ましくは形状や凹凸などに従って永久変形するので、セパレータ間の絶縁およびガスシールを良好に行うことができることを見いだし、本発明を成すに到った。
【0011】
すなわち、前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の固体高分子型燃料電池は、空気極と固体高分子電解質膜と燃料極で構成されたセルを一組のセパレータ間にシール材と前記固体高分子電解質膜の端部を介して挟持した燃料電池において、空気極および/または燃料極に面する前記シール材が燃料電池の作動温度より高い温度で軟化する熱軟化性ポリマーで形成されている固体高分子型燃料電池であって、
前記シール材が対向するセパレータの部分に前記熱軟化性ポリマーが予め含浸されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1記載の固体高分子型燃料電池において、前記固体高分子電解質膜の端部と前記シール材とが熱融着されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1あるいは請求項2記載の固体高分子型燃料電池において、前記シール材と前記熱軟化性ポリマーが予め含浸されているセパレータの部分が熱融着されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、前記シール材が対向するセパレータの部分の表面が粗面化処理されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、熱軟化性ポリマーが、100℃以上で軟化する熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6記載の固体高分子型燃料電池は、請求項5記載の固体高分子型燃料電池において、熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ナイロン11からなる群から選ばれたものであることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、熱軟化性ポリマーが、イオン交換体樹脂であり、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、パーフルオロカーボンカルボン酸ポリマー、スチレンスルホン酸−ジビニルベンゼンコポリマー、スチレンスルホン酸−ブタジエンコポリマー、スルホン化ポリエチレンからなる群から選ばれたものであることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項8記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、セパレータが、金属あるいはカーボンであることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図3は、参考例および本発明の燃料電池の単セルの断面を模式的に説明する説明図である。
なお、図1〜図3において図4〜図7に示した構成部分と同じ構成部分には同一参照符号を付すことにより、重複した説明を省略する。
【0020】
(第1の参考例)
図1に示すように参考例1の燃料電池の単セル11Aは、金属あるいはカーボンなどからなる空気極側セパレータ10の空気極6に対向する面の周縁部に額縁状の合成ゴムなどからなる絶縁シート材30を配設し、金属あるいはカーボンなどからなる燃料極側セパレータ10の燃料極7に対向する面の周縁部に額縁状の本発明で用いる熱軟化性ポリマーで形成されてなる絶縁シート材31を配設し、空気極側セパレータ10と燃料極側セパレータ10との間に絶縁シート材30、固体高分子電解質膜1の端部、絶縁シート材31を挟持して各セパレータ10間の絶縁およびガスシールを行うようになっている。
なお、以下、空気極6に送られる酸化剤ガスは空気や酸素あるいはこれらの混合物などである。
【0021】
空気極側セパレータ10と燃料極側セパレータ10との間に絶縁シート材30、固体高分子電解質膜1の端部、絶縁シート材31を配設した後、燃料電池の作動温度より高い温度で例えば100℃以上の温度で対向するセパレータ10を圧接すると、圧接された絶縁シート材31は軟化してガスシールすべき表面(対向する固体高分子電解質膜1の端部の面や、対向する燃料極側セパレータ10の面)の形状や凹凸などに従ってよく変形するので、空気極側セパレータ10の空気極6に対向する面の周縁部に額縁状の合成ゴムなどからなる絶縁シート材30を使用しても、セパレータ10間の絶縁およびガスシールを良好に行うことができる。
【0022】
上記のように加熱して圧接する時に絶縁シート材31は対向する固体高分子電解質膜1の端部と融着させても、融着しなくてもよいが、融着させた方がガスシールを良好に行うことができる上、融着すると絶縁シート材31の位置決めの必要がなくなり、積層時の作業性が簡素になり信頼性が向上する。
【0023】
(第2の参考例)
図2に示すように参考例2の燃料電池の単セル11Bは、空気極側セパレータ10の空気極6に対向する面の周縁部および燃料極側セパレータ10の燃料極7に対向する面の周縁部に額縁状の本発明で用いる熱軟化性ポリマーで形成されてなる絶縁シート材31を配設し、空気極側セパレータ10と燃料極側セパレータ10との間に絶縁シート材31、固体高分子電解質膜1の端部、絶縁シート材31を挟持して各セパレータ10間の絶縁およびガスシールを行うようになっている。
【0024】
空気極側セパレータ10と燃料極側セパレータ10との間に絶縁シート材31、固体高分子電解質膜1の端部、絶縁シート材31を配設した後、燃料電池の作動温度より高い温度で例えば100℃以上の温度で対向するセパレータ10を圧接すると、圧接された絶縁シート材31は軟化してガスシールすべき表面(対向する固体高分子電解質膜1の端部の面や、対向する燃料極側セパレータ10の面や、対向する空気極側セパレータ10の面)の形状や凹凸などに従ってよく変形するので、セパレータ10間の絶縁およびガスシールをより良好に行うことができる。
【0025】
上記のように加熱して圧接する時に絶縁シート材31は対向する固体高分子電解質膜1の上下の端部と融着させても、融着しなくてもよいが、融着させた方がガスシールを良好に行うことができる上、融着すると絶縁シート材31の位置決めの必要がなくなり、積層時の作業性が簡素になり信頼性が向上する。
【0026】
(本発明の燃料電池の第1の実施態様)
図3に示す本発明の燃料電池の単セル11Cは、燃料極側セパレータ10の燃料極7に対向する面の周縁部(本発明で用いる熱軟化性ポリマーを主体とする材料で形成されてなる絶縁シート材31が配設された位置に対応する箇所)に本発明で用いる熱軟化性ポリマーが予め含浸して含浸部32が形成されている以外は図1に示した燃料電池11Aと同様になっている。
本発明の燃料電池の単セル11Cは、燃料極側セパレータ10の燃料極7に対向する面の周縁部に本発明で用いる熱軟化性ポリマーが予め含浸して含浸部32が形成されているので、図1に示した燃料電池11Aと同じ効果を奏する上、燃料極側セパレータ10と絶縁シート材31との間の絶縁およびガスシールをより良好に行うことができる。
【0027】
絶縁シート材31は、対向する固体高分子電解質膜1の端部や本発明で用いる熱軟化性ポリマーを予め含浸して含浸部32を形成した燃料極側セパレータ10と融着させても、融着させなくてもよいが、好ましくは固体高分子電解質膜1の端部あるいは含浸部32の内の1つ以上、より好ましくはこれらの3者全部を融着させた方がガスシールを良好に行うことができる上、融着すると絶縁シート材31の位置決めの必要がなくなり、積層時の作業性が簡素になり信頼性が向上する。
【0028】
上記の実施態様において、本発明で用いる熱軟化性ポリマーで形成された絶縁シート材31が対向するセパレータ10の表面が粗面化処理されていることが好ましい。粗面化処理されていると燃料電池の作動温度より高い温度で対向するセパレータ10を圧接した時、絶縁シート材31が軟化してガスシールすべき粗面化処理された表面の凹凸などに従ってよく変形するので、セパレータ10間の絶縁およびガスシールをより良好に行うことができる。
【0029】
本発明で用いる熱軟化性ポリマーは、燃料電池の作動温度(約80〜100℃)より高い温度で軟化するポリマーであればよく、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリマー、ゴムなどでもでもあるいは両者の混合物でもよく、特に限定されるものではない。しかし、熱軟化性ポリマーが、100℃以上で軟化する熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーであると加工も再加工も容易であるので好ましい。
熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコールケン化物系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂などおよびこれらの混合物やアロイなどの熱可塑性樹脂などのほかに、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ユリア・メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、紫外線硬化系樹脂、電子線硬化系樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0030】
使用可能な熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、耐久性、信頼性、入手容易性などの観点から、例えばポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ナイロン11からなる群から選ばれたものを好ましく使用することができる。
【0032】
さらに、熱軟化性ポリマーが、イオン交換体樹脂であり、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、パーフルオロカーボンカルボン酸ポリマー、スチレンスルホン酸−ジビニルベンゼンコポリマー、スチレンスルホン酸−ブタジエンコポリマー、スルホン化ポリエチレンからなる群から選ばれたものであると、高分子電解質膜との融着性、ガスシール性などに優れるので本発明において好ましく使用できる。
【0033】
本発明で用いる熱軟化性ポリマーを用いて絶縁シート材を形成する方法は、公知の方法を使用でき、例えば印刷、塗布、浸漬塗装法、電着塗装法、静電塗装法、溶射塗装法、スプレー塗装法、ハケ塗り塗装法、押出成形方法などの方法を用いることができる。
【0034】
本発明で用いる熱軟化性ポリマーをセパレータの所定の箇所に含浸する方法は、例えば溶液や分散液などを浸漬法、スプレー法など公知の方法により含浸することができる。
【0035】
本発明で用いる熱軟化性ポリマーには本発明の主旨を逸脱しない範囲において慣用されている添加成分、例えば、粘着付与剤、粘度調整剤、酸化防止剤、各種安定剤、着色剤、滑剤、充填剤などを含有させることができる。
【0036】
本発明で用いる固体高分子電解質膜としては、具体的には、例えば、スルホン酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜をカチオン導電性膜としたもの、フロロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフロライドの混合膜、フロロカーボンマトリックスにトリフロロエチレンをグラフト化したもの、及びパーフロロカーボンスルホン酸膜(米国デュポン社製、商品名ナフィオン膜)などを挙げることができる。これらの固体高分子電解質膜は分子中にプロトン交換基を有しており、含水量を飽和させると比抵抗が常温で20Ωcm2 以下となり、プロトン導電性電解質として機能する。
【0037】
本発明で用いるセパレータは導電性でかつガス不透過性の材料より形成されていれば特に限定されないが、導電性、強度、耐久性などに優れ、量産による低コスト化が可能となる加圧成形または射出成形ができるカーボン、カーボンとレジンからなる炭素複合材料などのカーボン系材料もしくは金属材料は好ましく使用できる。
ガス不透過性および機械的強度の観点から金属材料の場合のセパレータの厚さの例としては凡そ1〜2程度mm、カーボン系材料の場合のセパレータの厚さの例としては凡そ2〜5程度mmを挙げることができる。
【0038】
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0039】
【実施例】
以下実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示したように、カーボン材料からなる燃料極側セパレータ10の燃料極7に対向する面の周縁部に本発明で用いる熱軟化性ポリマーを主体とする材料[5%パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー溶液(米国デュポン社製、イオン交換体、商品名ナフィオン)]を塗布して、燃料極側セパレータ10の内部までまで含浸して含浸部32を形成するとともに燃料極側セパレータ10の表面に厚さ5μmの同熱軟化性ポリマーを主体とする材料からなる絶縁シート材31を形成した。
【0040】
固体高分子電解質膜1としてパーフロロカーボンスルホン酸膜(米国デュポン社製、商品名ナフィオン112膜)を用いたセルを、カーボン材料からなる空気極側セパレータ10の空気極6に対向する面の周縁部に額縁状の合成ゴムからなる絶縁シート材30を配設した空気極側セパレータ10と、前記のようにして形成した燃料極側セパレータ10とを図3に示したように積層して、熱融着温度150℃、熱融着圧力50kg/cm2 で2分間圧着して、固体高分子電解質膜1と絶縁シート材31とを融着し、絶縁シート材31と含浸部32を融着し、空気極側セパレータ10と燃料極側セパレータ10との間に絶縁シート材30、固体高分子電解質膜1の端部、絶縁シート材31を挟持して単セル11Cを作った。 同様にして作った多数の単セル11を図7に示すように積層して本発明の固体高分子型燃料電池スタックを作り長時間にわたる実稼働運転を行って、シール材の絶縁性およびガスシール性をテストした。テストした結果、融着した部分に剥離などが見られず本発明の固体高分子型燃料電池スタックは絶縁性およびガスシール性に優れていた。
【0041】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の固体高分子型燃料電池は、空気極と固体高分子電解質膜と燃料極で構成されたセルを一組のセパレータ間にシール材と前記固体高分子電解質膜の端部を介して挟持した燃料電池において、空気極および/または燃料極に面する前記シール材が燃料電池の作動温度より高い温度で軟化する熱軟化性ポリマーで形成されている固体高分子型燃料電池であって、
前記シール材が対向するセパレータの部分に前記熱軟化性ポリマーが予め含浸されているので、セパレータ間の絶縁およびガスシールを良好に行うことができる上、セパレータのガスシール構造を簡素化することが可能であり、低コストで効率よく量産でき、信頼性が高いという顕著な効果を奏する。
【0042】
本発明の請求項2記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1記載の固体高分子型燃料電池において、前記固体高分子電解質膜の端部と前記シール材とが熱融着されているので、請求項1記載の固体高分子型燃料電池と同じ効果を奏する上、ガスシール性がより良好になり、シール材の位置決めの必要がなくなり、積層時の作業性が簡素になり信頼性が向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
【0043】
本発明の請求項3記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1あるいは請求項2記載の固体高分子型燃料電池において、前記シール材と前記熱軟化性ポリマーが予め含浸されているセパレータの部分が熱融着されているので、請求項2記載の固体高分子型燃料電池と同じ効果を奏する上、ガスシール性がより良好になり、シール材の位置決めの必要がなくなり、作業が簡素になりより信頼性が向上するという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0044】
本発明の請求項4記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、前記シール材が対向するセパレータの部分の表面が粗面化処理されているので、請求項1記載の固体高分子型燃料電池と同じ効果を奏する上、ガスシール性がより良好になり、より信頼性が向上するという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0045】
本発明の請求項5記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、熱軟化性ポリマーが、100℃以上で軟化する熱可塑性樹脂であるので、請求項1記載の固体高分子型燃料電池と同じ効果を奏する上、固体高分子型燃料電池の稼働時におけるガスシール性がより良好になり、より信頼性が向上するという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0046】
本発明の請求項6記載の固体高分子型燃料電池は、請求項5記載の固体高分子型燃料電池において、熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ナイロン11からなる群から選ばれたものであるので、請求項6記載の固体高分子型燃料電池と同じ効果を奏する上、入手も容易で、取り扱い易いという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0047】
本発明の請求項7記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、熱軟化性ポリマーが、イオン交換体樹脂であり、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、パーフルオロカーボンカルボン酸ポリマー、スチレンスルホン酸−ジビニルベンゼンコポリマー、スチレンスルホン酸−ブタジエンコポリマー、スルホン化ポリエチレンからなる群から選ばれたものであるので、請求項1記載の固体高分子型燃料電池と同じ効果を奏する上、入手も容易で、取り扱い易い上、固体高分子電解質膜との融着が容易になるという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0048】
本発明の請求項8記載の固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、セパレータが、金属あるいはカーボンであるので、請求項1記載の固体高分子型燃料電池と同じ効果を奏する上、入手も容易で、成形加工し易く、コストダンを図れるという、さらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の燃料電池の単セルの断面を模式的に説明する説明図である。
【図2】 参考例2の燃料電池の他の単セルの断面を模式的に説明する説明図である。
【図3】 本発明の燃料電池の単セルの断面を模式的に説明する説明図である。
【図4】 従来の燃料電池の1形態である固体高分子型燃料電池の単セルの基本構成を示す分解断面図である。
【図5】 図4に示した単セルの断面を説明する説明図である。
【図6】 (A)は図5に示した空気極側セパレータの空気極に対向する面の周縁部に絶縁シート材を配設した状態を説明する平面説明図であり、(B)は図5に示した燃料極側セパレータの燃料極に対向する面に固体高分子電解質膜、空気極および燃料極を配設するとともに周縁部に絶縁シート材を配設した状態を説明する平面説明図である。
【図7】 固体高分子型燃料電池スタックの基本構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 固体高分子電解質膜
2 空気極側触媒層
3 燃料極側触媒層
4 空気極側ガス拡散層
5 燃料極側ガス拡散層
6 空気極
7 燃料極
8 ガス流路
9 冷却水流路
10 セパレータ
11、11A、11B、11C 単セル
30、31 絶縁シート材
32 含浸部
Claims (8)
- 空気極と固体高分子電解質膜と燃料極で構成されたセルを一組のセパレータ間にシール材と前記固体高分子電解質膜の端部を介して挟持した燃料電池において、空気極および/または燃料極に面する前記シール材が燃料電池の作動温度より高い温度で軟化する熱軟化性ポリマーで形成されている固体高分子型燃料電池であって、
前記シール材が対向するセパレータの部分に前記熱軟化性ポリマーが予め含浸されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池。 - 前記固体高分子電解質膜の端部と前記シール材とが熱融着されていることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記シール材と前記熱軟化性ポリマーが予め含浸されているセパレータの部分が熱融着されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記シール材が対向するセパレータの部分の表面が粗面化処理されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
- 熱軟化性ポリマーが、100℃以上で軟化する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
- 熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ナイロン11からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項5記載の固体高分子型燃料電池。
- 熱軟化性ポリマーが、イオン交換体樹脂であり、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、パーフルオロカーボンカルボン酸ポリマー、スチレンスルホン酸−ジビニルベンゼンコポリマー、スチレンスルホン酸−ブタジエンコポリマー、スルホン化ポリエチレンからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
- セパレータが、金属あるいはカーボンであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
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