JP3836621B2 - ガラス状炭素製パイプの製造方法 - Google Patents

ガラス状炭素製パイプの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD装置用ノズル等として好適な耐食性に優れたガラス状炭素製パイプの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CVD装置用ノズルの材料としては、石英ガラスが用いられている。しかしながら、石英ガラス製ノズルは、フッ素系ガスに腐食され易く、3週間程度の寿命しかなかった。
【0003】
そこで石英ガラスに代替する材料として、ガラス状炭素が期待されている。ガラス状炭素は、フェノール樹脂やフラン樹脂等の熱硬化性樹脂やセルロース等を熱処理することによって得られる炭素で、機械的強度や硬度は同程度であるが、耐食性に非常に優れるという特質を有している。
【0004】
但し、ガラス状炭素からなるパイプを製作しようとしても、ガラス状炭素の原料である熱硬化性樹脂は、溶融状態での粘度が低いことから、成形過程でパイプ形状を保つことができず、パイプ形状のものを得ることはできなかった。
【0005】
尚、充填材料を多く含んだフェノール複合材料や溶融粘度の比較的高い熱可塑性樹脂ではパイプ成形が可能である。しかしながら、無機充填材を含んだフェノール複合材料を原料とするガラス状炭素製パイプは、無機充填材を含有していることから、不純物がCVD装置内に飛散してCVD膜を汚染する恐れがあるので、CVD装置用ノズルには使用できなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に着目してなされたものであって、CVD装置用ノズルとして用いても優れた耐食性を発揮して、しかもCVD膜の汚染の原因となる無機充填材を含まないガラス状炭素製パイプの製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明とは、熱硬化性樹脂を原料とするガラス状炭素製パイプの製造方法であって、上記熱硬化性樹脂の硬化温度より高融点で、且つ焼成温度より低融点の熱溶融性材料からなると共に、上記ガラス状炭素製パイプの中空部形状に形成されたロッドを中子として用い、中子の外周まわりに熱硬化性樹脂材料をパイプ状に被装して、該熱硬化性樹脂材料の硬化温度に加熱して硬化させた後、上記中子を該中子の融点以上で上記熱硬化性樹脂材料の焼成温度以下に加熱することによって上記中子を溶融流出させ、得られた熱硬化性樹脂製パイプを焼成してガラス状炭素製パイプとすることを要旨とするものである。前記熱硬化性樹脂材料を中子の外周まわりに被装するにあたり、最終成形体の一部分を予め成形した予備成形体を用いることが望ましく、特に断面円弧の縦割りパイプ状の予備成形体を用いることが望ましい。
【0008】
また、上記熱硬化性樹脂製パイプを作製するにあたっては、半円形断面を有する溝状雌型と、それより小曲率半径の半円形断面を有するかまぼこ状雄型を用いてそれらの間に断面円弧の縦割りパイプ状熱硬化性樹脂成形体を得た後、該縦割りパイプ状熱硬化性樹脂製成形体の凹部に製品パイプの中空部形状を有する熱溶融性材料製中子をおき、次いで前記溝状雌型と同一成形面を有する別の溝状雌型を用いて製品パイプの他方側の半割形状を熱硬化性樹脂にて成形し、更に前記中子を溶融除去する方法を採用することが推奨される。
【0009】
尚、上記のガラス状炭素製パイプの製造方法を用いれば、略L字型の中子を用いて成形することによりガラス状炭素製屈曲パイプも得ることができる。
【0010】
上記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂材料を用いればよく、上記フェノール樹脂材料としては、樹脂硬化度10%(T10)の到達時間が130℃において10分以上である硬化性を有すると共に、JIS−K6911の円盤式流れ試験において150℃で90mm以上の流動性を有するものを採用することが好ましく、例えば純フェノール樹脂を用いれば良い。
【0011】
前記中子としては、熱変性温度が120℃以上であり、且つ400℃以下で流動状態となる熱可塑性樹脂を用いるか、或いは400℃以下で溶融する金属を用いれば良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、これまで製造することが困難と考えられていたガラス状炭素製パイプの製造方法について鋭意研究を重ねた結果、中子として、上記熱硬化性樹脂の硬化温度より高融点で、且つ焼成温度より低融点の熱溶融性材料からなると共に、上記ガラス状炭素製パイプの中空部形状に形成されたロッドを用いた上で、中子の外周まわりに熱硬化性樹脂材料をパイプ状に被装し硬化させた後、上記中子を溶融流出させることにより熱硬化性樹脂製パイプが得られ、更に上記熱硬化性樹脂製パイプを焼成すればガラス状炭素製パイプを製造できることを見出し、本発明に想到した。
【0013】
具体的には、半円形断面を有する溝状雌型(下型)と、それより小曲率半径の半円形断面を有するかまぼこ状雄型(第1上型)を用いてそれらの間に断面円弧の縦割りパイプ状熱硬化性樹脂成形体を得た後、該縦割りパイプ状熱硬化性樹脂製成形体の凹部に製品パイプの中空部形状を有する熱溶融性材料製中子をおき、次いで前記下型と同一成形面を有する別の溝状雌型(第2上型)を用いて製品パイプの他方側の半割形状を熱硬化性樹脂にて成形し、更に前記中子を溶融除去することにより熱硬化性樹脂製パイプを得、この熱硬化性樹脂製パイプを焼成すれば、ガラス状炭素製パイプを作製することができる。
【0014】
次に、本発明方法の代表的な製造工程を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
1.下型1にパイプの下半分の成形材料2aを投入する[図1(a) ]。
2.第1上型3を下降させて型を閉じることにより、パイプの下半分の圧縮成形を行う[図1(b) ]。
3.成形材料が未硬化の状態で第1上型3を開く[図1(c) ]。
4.中子5を下半分の圧縮成形体4内にセットする[図1(d) ]。
5.上型をスライドさせて第1上型3と第2上型6を交換する[図1(e)]。
6.パイプの上半分の成形材料2bを投入する[図1(e) ]。
7.第2上型6を下降させて型を閉じることによりパイプの上半分側の圧縮成形を行う[図1(f) ]。
8.完全硬化後取り出し、中子成形体7[図2(a) ]を得る。
9.オーブンに入れ、中子5を溶融させ流出させてパイプを得る。
10. パイプを焼成してガラス状炭素製パイプ8[図2(b) ]を作製する。
【0015】
尚、上記第2工程[図1(b) ]においては、成形金型の温度を90〜150℃に設定することが望ましい。また上記第8工程においては、完全硬化後取り出し、中子成形体7を得る代わりに、未硬化状態で取り出し、オーブン(100 〜160 ℃)で硬化させることにより、中子成形体7としても良い。更に上記第9工程におけるオーブン設定温度は、中子5の材質(熱可塑性樹脂,低融点金属等)により異なるが、中子5が金属材料の場合には、金属材料が残留しない様に王水等で洗浄することが推奨される。
【0016】
パイプの成形材料としては、焼成によりガラス状炭素となる熱硬化性樹脂やセルロース等を用いればよいが、パイプを一体的に成形する上で加熱時の硬化速度が遅いことが望ましく、樹脂硬化度10%(T10)の到達時間が130℃において10分以上であることが好ましい。また中子を軸芯にして圧縮成形する上で、中子に局所的な力を加えて変形等を起こさない為には、成形流動性は良好であることが望ましく、JIS−K6911の円盤式流れ試験において150℃で90mm以上の流動性を有するものが推奨される。具体的な熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂材料が望ましく、純フェノール樹脂であればより望ましい。
【0017】
前記中子に適用できる材料は、熱硬化性樹脂の硬化温度より高融点で、且つ焼成温度より低融点の熱溶融性材料であることが必要であり、熱可塑性樹脂と低融点金属が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、熱変性温度が120℃以上であり、且つ400℃以下で流動状態となるものが望ましく(焼成時、約400℃で熱硬化性樹脂の収縮が始まるため)、具体的には、ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。また低融点金属としては、400℃以下で溶融することが必要であり、ハンダ等のSn系合金やAlまたはAl合金等が挙げられる。
【0018】
尚、図1に示した方法にしたがって製造する場合には、熱硬化性樹脂材料2a,2bを適切に供給しないと、ガラス状炭素パイプのパイプ肉厚が不均一となったり、曲がりを生じる等、得られたガラス状炭素パイプが不均整なものとなって所望の形状とならないことがあるので、注意を要する。この不均整形状の直接の原因は、2段目の成形時に、中子(インサート部材)と1段目の成形で得られたパイプ下半分の樹脂がともに偏位・変形して中子の位置ずれを生じることによるものである。そこで、この点に関する改良技術について以下に詳述する。
【0019】
圧縮成形時には樹脂および中子に圧力がかかる。ここで、上半分のパイプを成形する際には、図4に示す様に、中子5は両末端でしか支持できないため、応力により変形しやすい。また、中子に適した材料は、融点の比較的低い材料(例えば、低融点合金)であり、一般に剛性が小さい。尚、下半分の樹脂(下側成形体9)の硬化を進めておけば成型時の熱変形は抑えることができるものの、この場合には上半分の樹脂との接着が不十分となり、パイプを一体的に成形することが困難となる。
【0020】
更には、中子周囲およびパイプ長さ方向の樹脂充填量を一定に制御することも難しく、2段目の成形時の金型内部に圧力分布が生じやすい(図5)。つまり、樹脂の充填量が多いところには周囲よりも大きな圧力が生じ、逆に少ないところは小さな圧力が生じる。その結果、中子には局所的に大きな応力が発生する。
【0021】
この様に、中子の剛性が十分でなく、また型内に充填する樹脂には流動性があり、さらには樹脂充填量の局所的不均一などに起因して、中子は位置ずれを起こし肉厚の不均一を生じるのであり、成形後における樹脂パイプの曲がりの原因となるのである。
【0022】
なお、一般の圧縮成形では、上記のような樹脂原料の金型内における分布の不均一は大きな問題にならない。なぜなら十分に高い圧力をかけることによって樹脂は流動し金型の空洞形状に成形されるからである。従って、上記の問題は、中子を用いる本発明に特有のものであるとも言える。
【0023】
これを解決する手段としては、製造しようとする樹脂パイプの一部分の相似形に予備成形した樹脂を原料として用いることが推奨される(図6)。ここで、予備成形とは、後でおこなわれる圧縮成形に必要な流動性が失われないような条件下で原料樹脂を圧縮成形することを指す。
【0024】
尚、樹脂の成形性はJIS K6911の円板式流れ試験を150℃でおこなうことにより評価することができるが、予備成形された樹脂成形体を1mm以下に粉砕して本試験をおこなったときに、それが60mm以上の流動性を有するような条件下で予備成形をおこなうことが望ましい。上記試験で流動性が60mm未満であるような予備成形体を用いると、流動性が不十分であるために、後の圧縮成形において良好な成形体を得ることが困難となる。
【0025】
上記の予備成形体を得るために、予備成形は実質的に硬化反応が進行しない条件下でおこなう。温度の目安としては、室温ないし100℃以下、好ましくは40℃以上80℃以下で成形する。成形圧力や時間は樹脂の性状や成形温度により異なるが、高温であるほど短時間かつ低圧力で成形することが必要である。このような条件下で圧縮成形された成形物は、内部に空隙を有し、通常の樹脂成形体よりも低密度であるが、後の圧縮成形により緻密な成形物とすることができる。100℃を超える温度で予備成形すると成形性が著しく低下するので、圧縮成形しても良好な樹脂パイプを得ることはできない。
【0026】
予備成形体は、最終製品に近い形状・寸法(但し、若干大きめ)であることが望ましく、具体的な例としては、その中心線を含む平面でパイプを軸方向に2分割した縦割りパイプ形状に予備成形することが挙げられる。また、最終製品を、たとえば長さ方向にいくつかに分割して、それぞれの部分に近い形状・寸法の予備成形体を作り、それを組み合わせて成形することもできる。
【0027】
ここで、予備成形体の見かけの体積(外形寸法から計算した体積であり、内部の空隙を含む)は、最終成形体のうちその予備成形体が占有することが期待される部分の体積の105〜150%とすることが望ましい。105%に満たない場合には、予備成形時の圧縮力で硬化反応が進みすぎており、後の圧縮成形で溶融不足を起こしやすく良好な製品を得ることが困難となる。また、150%を超える場合には、後の圧縮成形の時に、予備成形体を最終形状に賦形するために大きな圧縮力を作用させる必要があるため、前述したような中子の変形が起こりやすい。さらに、150%を超える場合には、原料樹脂粒子同士の融着が不十分なため予備成形体は極めてもろく取扱いが困難となる。すなわち、150%を超える場合には、予備成形体を用いる効果が少ないか、あるいは予備成形体そのものの使用が困難となるため、肉厚が均一で曲がりのない樹脂成形体を得ることはできない。
【0028】
予備成形体を用いる樹脂パイプ成形法として、最も簡便な方法は、2段目の成形時に予備成形体を用いることである。既に述べたように成形時の変形の問題は2段目の圧縮成形時に中子が変形することに起因する。2段目の圧縮成形時に、パイプ上半分に近い形状に予備成形された樹脂を中子上に装填すると、粉末状樹脂を装填する場合よりも上金型からの伝熱が良好であるために、大きな圧力を生じることなく樹脂を溶融させ成形することができる。また、樹脂の充填量が均一となるために、圧力が不均一に発生することが抑えられる。その結果、中子あるいは下側パイプを変形させることなく、肉厚の均一な曲がりのない樹脂パイプを得ることができる。
【0029】
他の方法としては、予備成形体を使って1段で成形する方法がある。つまり、凹型の下金型にパイプ下半分に近い形状に予備成形された樹脂を装填し、その樹脂成形体の半円柱状キャビティーの中に中子を装填し、さらにその上に、パイプ上半分に近い形状に予備成形された樹脂を装填し、凹型の上金型により圧縮成形する方法である。この方法によれば、前述の方法で述べたことと同じ理由で、肉厚の均一な曲がりのない樹脂パイプを得ることができる。また、この方法によれば圧縮成形を1段でおこなえるという利点がある。
【0030】
なお、予備成形体を1段目の成形で用いることもできるが、2段成形をおこなう限りは、粉末樹脂を用いることに比べて利点は少ない。
【0031】
以上の製造方法で得られたガラス状炭素製パイプは、石英ガラス製パイプに比べて非常に優れた耐食性を有しており、CVD装置用ノズルとして用いて、フッ素ガスの使用環境下におかれても非常に良好な耐久性を発揮するものである。
【0032】
尚、本発明によれば、金型と中子の形状を変えるだけで、ストレートパイプであっても、例えばL字型の屈曲パイプであっても、任意に製造することができる。
【0033】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲内に含まれるものである。
【0034】
【実施例】
実施例1
本発明の製造方法に基づいて、以下の本発明例1〜4を作製した。
【0035】
(1) 本発明例1
図1に示す方法に従い、純フェノールを成形材料としPEEK製の中子を用い、図2(a)に示す中子成形体7を得た。尚、前記第7工程では金型温度を120℃とし、約30分かけて圧縮成形した。上記中子成形体を取り出し、バリとり仕上げをした後、雰囲気温度600℃の中子溶融炉に入れ中子を溶融させた。中子が溶融したパイプ内表面をクリーニングした後1300〜1500℃で焼成し、ガラス状炭素製パイプ(本発明例1)を得た。
【0036】
(2) 本発明例2
図1に示す方法に従い、純フェノールを成形材料としポリカーボネート製の中子を用い、図2(a)に示す中子成形体7を得た。尚、前記第7工程では金型温度を110℃とし、約40分かけて圧縮成形した。上記中子成形体を取り出し、バリとり仕上げをした後、雰囲気温度500℃の中子溶融炉に入れ中子を溶融させた。中子が溶融したパイプ内表面をクリーニングした後1100〜1300℃で焼成し、ガラス状炭素製パイプ(本発明例2)を得た。
【0037】
(3) 本発明例3
図1に示す方法に従い、純フェノールを成形材料とし錫系合金(溶融温度400℃以下)製の中子を用い、図2(a)に示す中子成形体7を得た。尚、前記第7工程では金型温度を125℃とし、約25分かけて圧縮成形した。上記中子成形体を取り出し、バリとり仕上げをした後、雰囲気温度600℃の中子溶融炉に入れ中子を溶融させた。溶融炉から取り出し、王水でパイプ内外面を洗浄して金属成分を取り除いた後1500〜1700℃で焼成し、ガラス状炭素製パイプ(本発明例3)を得た。
【0038】
(4) 本発明例4
図1に示す方法に従い、純フェノールを成形材料としAl製の中子を用い、図2(a)に示す中子成形体7を得た。尚、前記第7工程では金型温度を125℃とし、約25分かけて圧縮成形した。上記中子成形体を取り出し、バリとり仕上げをした後、雰囲気温度700〜900℃の中子溶融炉に入れ中子を溶融させた。溶融炉から取り出し、王水でパイプ内外面を洗浄して金属成分を取り除いた後1600〜2000℃で焼成し、ガラス状炭素製パイプ(本発明例4)を得た。
【0039】
以上の本発明例1〜4と従来の石英ガラス製パイプを用い、フッ素の影響を調べることを目的として、HF水溶液中での減量速度を調べた。試験片の大きさは、2cm角で厚さ1mmであり、HF水溶液の液温は、50℃で液量は500ccであった。試験片をHF水溶液に浸漬してから1〜50時間経過後の減量比率を表1に示すと共に、図3にグラフ化して示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003836621
【0041】
従来例の石英ガラス製パイプでは、腐食減量が大きく、50時間経過後は、全て消失しているのに対して、ガラス状炭素製の本発明例は、全く腐食されなかった。
【0042】
実施例2
まず、以下の要領で予備成形体を作製した。
【0043】
予備成形に用いた金型は、長さ200mmで、型を閉めた状態で、中心線を含む平面で上記の内外径のパイプを2分割した形状のキャビティーが形成されるものである。
【0044】
この金型を使って50℃で粉末状フェノール樹脂を予備圧縮成形した。この圧縮成形後の樹脂を再び粉砕し、その流動性をJIS K−6911に準拠して150℃で測定したところ、94mmであった。原料樹脂の流動性の値は96mmであったから、この予備成形で樹脂の硬化はほとんど進んでいないことが分かる。
【0045】
この予備成形体の断面の寸法は図7に示す通りであり、最終成形体に対する体積比は132%であった。
【0046】
▲1▼本発明例5
上記の予備成形体を使って、外径:12mm,内径:9mm(肉厚1.5mm),長さ:1000mmの樹脂パイプを圧縮成形した。
【0047】
用いた金型は、長さ1000mmで上記の内外径を有するパイプの下半分を成形するための、凹型の下金型と凸型の上金型、および2段目の成形をおこなうための凹型の上金型である。中子には融点が232℃の低融点金属(錫100%)を使用した。
【0048】
下金型に所定量の粉末フェノール樹脂を充填し、凸型の上金型を用いて110℃で1分間圧縮成形し、パイプの下半分を得た。これに直径9mm,長さ1000mmの中子を装填したのち、全長が1000mmとなるよう上記の長さ200mmの予備成形体5つを装填して、凹型の上金型を用いて110℃で30分間かけて圧縮成形した。得られた樹脂パイプは肉厚の変動が1%以内であった。
【0049】
この中子を芯とした樹脂パイプを空気中260℃に50時間加熱した。樹脂の硬化が終了し、中子は溶融して樹脂パイプより溶出していた。
【0050】
このパイプを窒素雰囲気下1000℃で焼成したところ、肉厚の均一な曲がりのないガラス状炭素製パイプが得られた。
【0051】
▲2▼本発明例6
上記の方法において、凹型の下金型に予備成形体5つを装填し、その上に中子を装填したのち、さらに予備成形体5つを装填し、凹型の上金型を用いて110℃で30分間かけて圧縮成形した。得られた樹脂パイプは肉厚の変動が1%以内であった。
【0052】
この中子を芯とした樹脂パイプを上と同様に硬化および炭化焼成したところ、肉厚の均一な曲がりのないガラス状炭素製パイプが得られた。
【0053】
▲3▼参考例
予備成形体を用いることなく、本発明例5と同じ粉末状樹脂,金型および中子を用いた2段成形をおこなったところ、成形後のパイプ肉厚には50%以上の変動があった。上と同様に硬化および炭化焼成して得られたガラス状炭素製パイプには著しい肉厚の不均一が見られ、曲がりが発生した。
【0054】
▲4▼比較例1
例1と同じ予備成形金型を使い、115℃で予備圧縮成形をおこなった。この圧縮成形後の樹脂を再び粉砕し、その流動性をJIS K−6911に準拠して150℃で測定したところ、55mmであった。また、最終成形体に対する体積比は104%であった。
【0055】
この予備成形体を用いて、例1と同様に圧縮成形をおこなったところ、予備成形体を溶融させることができず、パイプ状成形体を得ることはできなかった。
【0056】
▲5▼比較例2
本発明例5と同じ予備成形金型を使い、成形圧力を変えて30℃で予備圧縮成形をおこなった。この予備成形後の樹脂を粉砕し、その流動性をJIS K−6911に準拠して150℃で測定したところ、95mmであり、予備成形前とほとんど変化はなかった。ただし、得られた予備成形体の体積は最終成形体に対して155%であり、また極めてもろいため、つぎの最終圧縮成形工程に用いることはできなかった。
【0057】
実施例3
外径:20mm,内径:14mm(肉厚3mm),長さ:600mm(長部),400mm(短部)という寸法のL字型樹脂パイプ(図8)を予備成形体を用いて成形した。
【0058】
L字型樹脂パイプでは2種の予備成形体を用いるため、2種の予備成形金型を用いた。
【0059】
ひとつは、長さ200mmで、型を閉めた状態で、上側の内外径のパイプを中心線を含む平面で2分割した形状のキャビティーが形成され、2分割できるものである。他方は本L字パイプの屈曲部のみを成形するために用いるもので図9のような予備成形体を成形することができる。
【0060】
粉末状フェノ−ル樹脂をこれらの金型を使って50℃で予備圧縮成形した。
この圧縮成形後の樹脂を再び粉砕し、その流動性をJIS K−6911に準拠して150℃で測定したところ、94mmであった。原料樹脂の流動性値は96mmであったから、この予備成形で樹脂の硬化はほとんど進んでいないことがわかる。また最終成形体に対する体積比は、直線部分及び屈曲部分ともに1.25%であった。
【0061】
上記の予備成形体を使って、前記L字型樹脂パイプを圧縮成形した。
【0062】
用いた金型は、上記L字パイプの下半分を成形するための、凹型の下金型と凸型の上金型、および2段目の成形をおこなうための凹型の上金型である。中子には錫(100%)を用いた。
【0063】
下金型に所定量の粉末フェノール樹脂を充填し凸型の上金型を用いて110℃で1分間圧縮成形し、パイプの下半分を得た。これに直径14mmでパイプ中空部分と同一形状を有する中子を装填した後、上述の方法で成形した長さ200mmの直線状予備成形体および屈曲部のための予備成形体を装填して、凹型の上金型を用いて110℃で30分間かけて圧縮成形した。得られた樹脂パイプは肉厚の変動が1%以内であった。
【0064】
この中子を芯とした樹脂パイプを空気中260℃に50時間加熱した。樹脂の硬化が終了し、中子は溶融して樹脂パイプより溶出していた。
【0065】
このパイプを窒素雰囲気下1000℃で焼成したところ、肉厚の均一な曲がりのないL字型ガラス状炭素製パイプが得られた。
【0066】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されているので、CVD装置用ノズルとして用いても優れた耐食性を発揮して、しかもCVD膜の汚染の原因となる無機充填材を含まないガラス状炭素製パイプ及びその製造方法が提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラス状炭素製パイプの代表的な製造工程を示す説明図である。
【図2】本発明に係るガラス状炭素製パイプの代表的な製造工程を示す説明図である。
【図3】本発明例と従来例の腐食減量の経時変化を示すグラフである。
【図4】ガラス状炭素製パイプの製造途中の状態を示す説明図である。
【図5】ガラス状炭素製パイプの製造途中の状態を示す説明図である。
【図6】ガラス状炭素製パイプの製造時に用いる代表的な成形体の説明図であって、(a)は最終成形体,(b)は予備成形体を示す
【図7】実施例で用いた予備成形体の断面を示す説明図である。
【図8】本発明に係るガラス状炭素製パイプの代表例を示す説明図である。
【図9】実施例で用いた予備成形体の断面を示す説明図である。
【符号の説明】
1 下型
2a 成形材料
2b 成形材料
3 第1上型
4 圧縮成形体
5 中子
6 第2上型
7 中子成形体
8 ガラス状炭素製パイプ
9 下側成形体

Claims (3)

  1. 熱硬化性樹脂を原料とするガラス状炭素製パイプの製造方法であって、上記熱硬化性樹脂の硬化温度より高融点で、且つ焼成温度より低融点の熱溶融性材料からなると共に、上記ガラス状炭素製パイプの中空部形状に形成されたロッドを中子として用い、中子の外周まわりに最終成形体の一部となる部分を予め成形した予備成形体の熱硬化性樹脂材料をパイプ状に被装して、該熱硬化性樹脂材料の硬化温度に加熱して硬化させた後、上記中子を該中子の融点以上で上記熱硬化性樹脂材料の焼成温度以下に加熱することによって上記中子を溶融流出させ、得られた熱硬化性樹脂製パイプを焼成してガラス状炭素製パイプとすることを特徴とするガラス状炭素製パイプの製造方法。
  2. 断面円弧の縦割りパイプ状の予備成形体を用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. 熱硬化性樹脂を原料とするガラス状炭素製パイプの製造方法であって、上記熱硬化性樹脂の硬化温度より高融点で、且つ焼成温度より低融点の熱溶融性材料からなると共に、上記ガラス状炭素製パイプの中空部形状に形成されたロッドを中子として用い、半円形断面を有する溝状雌型と、それより小曲率半径の半円形断面を有するかまぼこ状雄型を用いてそれらの間に断面円弧の縦割りパイプ状熱硬化性樹脂製成形体を得た後、該縦割りパイプ状熱硬化性樹脂製成形体の凹部に製品パイプの中空部形状を有する上記中子をおき、次いで前記溝状雌型と同一成形面を有する別の溝状雌型を用いて製品パイプの他方側の半割形状を熱硬化性樹脂にて成形し、
    更に上記中子を該中子の融点以上で上記熱硬化性樹脂材料の焼成温度以下に加熱することによって上記中子を溶融流出させ、
    得られた熱硬化性樹脂製パイプを焼成してガラス状炭素製パイプとすることを特徴とするガラス状炭素製パイプの製造方法。
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