JP3836082B2 - 枝管の縮径方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管支持板に設けた孔に挿通し、前記孔内に位置する挿通部を拡管加工して前記管支持板に固定されている金属製の枝管を、前記管支持板から取り外すために、拡管加工部の所望の個所を縮径させる方法に関するものである。本発明を適用する枝管の代表的な対象としては、熱交換器、煙管ボイラー或いは水管ボイラー等に多数取り付けられている枝管を挙げることができる。以下、熱交換器の保全のために行われる上記枝管の撤去作業を例にとって説明を行う。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱交換器に設けられている枝管は、その端部を管支持板(管板)に挿入、固定されており、また、多くの場合、管支持板は一対が距離をおいて配置され、枝管の両端がその管支持板に固定されている。この枝管を管支持板に固定するには、多くの場合、図11に示すように、管支持板1に設けた孔2に枝管3の端部を挿通し、その孔2内に位置する挿通部3aを含む端部を拡管加工して拡管加工部3bとし、挿通部3aを孔2の内面に押し付けて固定している。この際、拡管加工により拡管加工部3bの管支持板1の外側に位置する部分に孔2の内径よりも大径となった拡径部3c、3dが形成されることが多い。また、図12に示すように、孔2の内面に円周状の係止溝4を1条或いは複数条設けておき、拡管加工部3bの係止溝4に対応する部位に拡径部3eを生じさせ、より強固な係合が図られることもある。更に、枝管3の管支持板1よりも突出した先端にフレア加工を施してフレア加工部3fとし、固定を一層確実なものとしたものもある。
【0003】
ところで、枝管3に腐食や損傷が生じた時には、その枝管3を管支持板1から抜き取り、交換することが必要である。この枝管3の抜き取りのために従来行われている方法は、拡管加工した挿通部3aをガストーチで加熱し、熱膨張しようとする該挿通部3aを孔2の内面による拘束によって圧縮降伏させ、これによって冷却後には該挿通部3aが縮径しているという加熱縮径操作を加えて挿通部3aを孔2から弛緩させ、次いで、枝管3を矢印A方向に或いは矢印B方向に引き抜くという方法であった。なお、枝管3の端部にフレア加工部3fを形成している場合に、その枝管3を矢印B方向に引き抜く際には、それに先立って、フレア加工部3fをグラインダー等で削り取ってしまうか、或いはガストーチでフレア加工部3fの周方向に離れた3ヶ所を、管支持板1を損傷しないように、管軸方向に溶断した上で、ハンマー等で絞り、或いは又、フレア加工部を研削薄肉化するなどして抜き取り可能としていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来行っている加熱縮径操作では、挿通部3aに生じる縮径率が1%程度であるため弛緩の程度が低く、抜き取りに大きい力を必要とし、抜き取りが極めて困難であった。しかも、枝管3の挿通部3aの前後に拡径部3c、3dが生じたり、係止溝4に対向する部位に拡径部3eが生じていると、これらの拡径部3c、3d、3eに対して上記した加熱縮径操作を加えても、ほとんど縮径を生じることがなく、これらの拡径部3c、3d、3eが管支持板1に引っ掛かって、このままでは抜けないことも多かった。そこでそのような場合には、その拡径部3c、3dに接近可能であれば、それをグラインダーで削り取り、枝管を抜き取りやすくするとか、削り取りが出来ない場合には、拡管加工部3bを管軸方向に溶断し、次いでハンマー等で絞る等の操作を加えるというように、対象毎に撤去法を工夫して対処しているが、いずれも非常な工数増が伴っており、しかも、拡径部の削り取り時や拡管加工部3bの溶断時に、管支持板を損傷することが多く、その場合にはその補修に多大な費用を要するという問題があった。また、フレア加工部を削り取ったり、溶断したりする時にも、管支持板を損傷することが多く、その場合にもその補修に多大な費用を要するという問題があった。
【0005】
従って、もし枝管を管支持板に固定している拡管加工部3bを、特に拡径部3c、3d、3e等を、管支持板の孔との間に抜き差しに十分な隙間が確保されるよう、高度に縮径させることができれば、管支持板からの枝管の除去が極めて容易となる。
【0006】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたもので、熱交換器の管板のような管支持板に固定されている枝管の拡管加工部の必要な区間を、例えば、挿通部や拡径部を、高度に且つ容易に縮径させることの可能な枝管の縮径方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の枝管の縮径方法は、金属管体の一部を赤熱して変形抵抗を小さくし、その赤熱区間を管軸方向に引張って引張り降伏させれば、その引張り降伏に際して延伸と同時に縮径が生じるという現象を利用したものである。
【0008】
ところで、多くの場合、枝管は厚さ数十mm以上或いは100mm以上の管支持板に設けた孔に挿通して拡管加工されており、このため、図11、図12に示すように、挿通部3aが孔2内面に緊着されて両者間に大きい摩擦力が存在しており、且つ拡径部3c、3d、3eによる係止作用も作用している。このような対象に対して引張り降伏による縮径現象を生じさせるべく、挿通部3aや拡径部3c、3d、3eを含む区間を赤熱させ、両側から引張ったところ、引張り降伏が管軸方向の局部に集中して生起し、この部分が破断してしまい、赤熱区間全体を縮径させることができないことが判明した。
【0009】
そこで、本発明者らは引張り降伏による縮径現象を枝管の拡管加工部に適用すべく鋭意検討した結果、赤熱区間を小さくすれば、破断させることなく引張り降伏を生じさせて縮径させることができ、しかも、長い区間に亘って縮径が必要な場合には、このような小区間についての赤熱と引張り降伏とを逐次に或いは連続的に位置を変えて行っていくことにより、破断を生じることなく拡管加工部の所望区間の縮径を良好に行うことができることを見出し、本発明を達成した。
【0010】
すなわち、本発明は、管支持板に設けた孔に挿通、固定された拡管加工部を有する金属製の枝管の上記拡管加工部の縮径すべき区間内の狭幅区間を枝管の内側からの加熱によって環状に赤熱させ、且つ環状に赤熱した区間に管軸方向の引張力を作用させて引張り降伏させ、前記孔に対して管軸方向に動かせるレベルにまで縮径させることを基本構成とするものである。このように、枝管の拡管加工部内の狭幅区間のみを赤熱させ、その区間に引張力を作用させて引張り降伏させる構成としたことにより、その狭幅区間内では比較的均等に引張り降伏を生じ、このため、局部降伏による破断の問題を生じることなく、10%レベルもの高度の縮径を一度で実施することができる。
【0011】
請求項1の発明は、拡管加工部の縮径すべき区間内の狭幅区間を枝管の内側からの加熱によって環状に赤熱させる操作及び環状に赤熱した区間に管軸方向の引張力を作用させて引張り降伏させる操作を、上記拡管加工部の縮径すべき区間内で、該区間の一端から管軸方向に、逐次位置を変えて加えて行くことにより、上記拡管加工部内の所望領域を、前記孔に対して管軸方向に動かせるレベルにまで縮径させることを特徴とするものである。また、請求項2の発明は、枝管の拡管加工部の縮径すべき区間に管軸方向の引張力を作用させながら、前記区間内の狭幅区間を枝管の内側からの加熱によって環状に赤熱させて引張り降伏させる操作を、上記狭幅に赤熱させる位置を、前記縮径すべき区間の一端から他端に向かって連続的に移動させて加えて行くことにより、上記拡管加工部の所望領域を、前記孔に対して管軸方向に動かせるレベルにまで縮径させることを特徴とするものである。このように、狭幅区間の赤熱及び引張り降伏を、逐次に位置を変えて或いは連続的に位置を変えながら実施することにより、長い拡管加工部に対してもその全域を、局部降伏による破断を生じることなく、10%レベルもの高度に縮径させることができ、枝管を管支持板から容易に引き抜くことが可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、上記した縮径方法において、拡管加工部の縮径すべき区間内の狭幅区間を環状に赤熱させるための加熱を、枝管内に電磁誘導コイルを配し、該コイルに交流を通電して枝管を加熱する誘導加熱法によって行うことを特徴とするものである。誘導加熱法は内部加熱法であり、要加熱個所の集中的な且つ均一な急速加熱が可能であり、加熱する部分としない部分を明確に画定することができて、引張り降伏を部位を特定して所期の形で生起させるのに適している。又、作業能率においても優れており、小径管対応も容易である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施形態を参照して本発明を更に詳細に説明する。図1は、請求項1の発明に係る縮径方法を、管支持板1に固定している枝管3の拡管加工部3bのほぼ全域を縮径させる場合に適用した実施形態を示すものである。図1(a)において、まず、局部降伏破断の問題が生じないように狭い幅の狭幅区間3gを枝管の内側からの加熱によって環状に赤熱させ、且つその赤熱した区間3gに管軸方向の引張力を作用させる。この引張力は、例えば管端を矢印A方向に引っ張ることにより付与できる。これにより、図1(b)に示すように、その赤熱区間3gが引張り降伏して延伸し、その外径が縮径する。この時の縮径量は、10%程度なら破断を生じることなく可能である。かくして、狭幅区間3gに対して破断を生じることなく高度の縮径を行うことができ、孔2に対して管軸方向に自由に動かせるレベル迄高度に縮径することができる。
【0014】
区間3gに所定量の引張り降伏を生じさせると、次には、それに隣接した狭幅区間3hを枝管の内側からの加熱によって環状に赤熱させ、且つその赤熱した区間3hに引張力を作用させ、引張り降伏させる。なお、この時には、先に引張り降伏させた狭幅区間3gは温度が低下し、剛性が大きくなっているので、引張り降伏が進行して破断するということはない。もし、必要なら、枝管3内に冷却用の空気を間欠的に或いは連続的に流し、引張り降伏済の領域を冷却してもよい。また、赤熱させる区間3hは先に引張り降伏させた区間3gに一部オーバーラップする位置としてもよい。以下、同様の動作を繰り返し、最後に、図1(c)に示すように、管支持板1の内面側に生じていた拡径部3dを含む狭幅区間3nを赤熱して引張り降伏させることにより、図1(d)に示すように、拡管加工部3bのほぼ全域を、破断を生じること無く縮径させることができる。
【0015】
ここで、赤熱して引張り降伏させる狭幅区間3g、3h・・3n等の幅は、局部降伏破断の問題が生じないように定めるもので、状況に応じて実験設定されるべきものであるが、目安としては枝管肉厚の2〜10倍である。また、逐次位置を変えて赤熱する際の各狭幅区間の幅は、通常は一定とするが、必要に応じて変化させても、例えば高度の縮径が望ましい位置では狭幅区間の幅を小さくするというように変化させてもよい。
【0016】
請求項1に記載の方法において、狭幅区間に対する引張り降伏を行って行く順序は、図1に示すように、枝管3の先端側から進行する場合に限らず、図2に示すように、最初に拡管加工部3bの後端側の狭幅区間3nを引張り降伏させ、次いで枝管3の先端側に向かって逐次位置を変えて引張り降伏させてゆき、最後に先端側の狭幅区間3gを引張り降伏させるという順序としてもよい。
【0017】
赤熱した狭幅区間3g、3h・・3n等に対して引張力を作用させるには、拡管加工部3bの一端若しくは両端に引張力を作用させて行う。この際、枝管3の先端に対して矢印A方向の引張力を作用させるための枝管先端の把持は、枝管3先端の管支持板1からの突出量が大きい場合或いはフレア加工部を備えている場合にはその外面を割り型クランプで把持することにより行うことができ、また、それが出来ない場合には、枝管内面に拡径型アンカーを固定したり、タップねじ結合を行うことにより、更には、枝管端面に把持具をろう付けする形で行うことができる。また、枝管3の管支持板1よりも奥側の部分に矢印B方向の引張力を作用させるための把持は、枝管の適当な位置の外面を把持することにより、或いは矢印B方向側の管端に上記した把持構造を適用することにより行うことができる。
【0018】
ところで、図1に示すように、引張り降伏を枝管3の端部側から進めて行く場合には、例えば図1(a)、(b)に示すように、引張り降伏させようとする狭幅区間3g、3hよりも拡管加工部3bの後端側(右側)に未縮径部分が存在し、この未縮径部分が矢印B方向の引張力の伝達を阻止してしまう。このため、拡管加工部3bの奥側の端部に矢印B方向の引張力を作用させてもあまり効果はない。一方、引張り降伏させようとする狭幅区間3g、3h・・・3n等よりも先端側(左側)は、管支持板1で拘束されていないか、既に縮径しているため、どの位置まで引張り降伏を進めていっても、引張り降伏させようとする狭幅区間には枝管先端に作用させた矢印A方向の引張力が有効に作用する。従って、枝管3の先端に矢印A方向の引張力を作用させるのみで十分である。また、図2に示すように、拡管加工部3bの後端側から引張り降伏を進めて行く場合には、拡管加工部3bの後端側に矢印B方向の引張力を作用させるのみで十分である。換言すれば、枝管3の拡管加工部3bに対して先端側に引張力を作用させることが容易な場合には、図1に示すように、引張り降伏を先端側から進めてゆき、逆に拡管加工部3bに対して後端側に引張力を作用させることが容易な場合には、図2に示すように、引張り降伏を後端側から進めてゆくことが好ましい。
【0019】
枝管3の拡管加工部3bの一端側のみに引張力を作用させる場合、他端側は管軸方向に動かないように固定した状態であっても或いは自由に移動可能な状態であってもよい。例えば、図1において、枝管3の先端のみに矢印A方向の引張力を作用させて縮径動作を行って行く場合、管支持板1よりも右側の枝管部分は、適当な手段で管軸方向に動かないように固定した状態でも、自由に動く状態としていてもよい。この部分を管軸方向に自由に動く状態としていても、拡管加工部3bの挿通部3aが孔2の内面に緊着され且つ拡径部3d、3e等が管支持板1に係止しているので、赤熱された狭幅区間3g、3h等の右側の領域は管軸方向に拘束されており、赤熱された区間を引張り降伏させることが可能である。なお、図1(c)に示すように最後の狭幅区間3nを赤熱して引張り降伏させる際、拡径部3dが縮径して管支持板1に対する係止が外れると、枝管3は矢印A方向の引張力により全体として矢印A方向に移動し、それ以上の引張り降伏は生じないが、縮径の目的は枝管3を管支持板1の孔2から引き抜くことであるので、そのまま引き抜けばよく、何ら支障はない。
【0020】
請求項1に記載の方法における引張り降伏のための赤熱温度は、赤熱部の変形抵抗を必要且つ十分に小とするために700〜1100℃、望ましくは900〜1100℃程度とするのが良い。枝管3に対する管軸方向の引張力の付与は、応力を規制して行ってもよいし、引張り速度を規制して行ってもよいが、破断に至らせないために、或いは設備技術面から、応力規制方式の方が有利である。ただし、引張力が低くても、その引張力をかけ続ければ、引張り降伏が進行し、破断につながる恐れがあるので、赤熱する狭幅区間の幅に応じて変位量を設定しておき、各狭幅区間に応じた変位量に達した時点で引張力の付加を止めることが好ましい。各狭幅区間に生じさせる引張り降伏量は一定としてもよいし、又、縮径量を大きくしたい部位に対しては引張り降伏量を大きくするというような変化を与えてもよい。赤熱した狭幅区間に作用させる引張力の好適な範囲は材質や赤熱温度によって異なるが、おおむね5〜50MPaの範囲にある。
【0021】
狭幅区間に対する引張り降伏を生じさせるための加熱操作と引張り操作は、同時に行ってもよく、加熱操作後に引張ってもよく、或いは引張りながら加熱操作を行ってもよい。
【0022】
狭幅区間を赤熱させるための加熱は、ガストーチやレーザーを用いて行ってもよいが、枝管内に電磁誘導コイルを配し、これに交流を通電することによって管体に誘導電流を生じさせて管体を加熱する誘導加熱法によるのが望ましい。誘導加熱法は内部加熱法であり、要加熱個所の集中的な且つ均一な急速加熱が可能である。すなわち、加熱する部分としない部分を明確に画定することができて、本発明における引張り降伏を部位を特定して所期の形で生起させるのに適している。又、作業能率においても優れており、小径管対応も容易である。加熱条件の目安は、例えば25.4mmφ×2.6mmtの鋼管の3mm区間を1000℃まで加熱する場合で、15kW×20sec程度である。
【0023】
次に、請求項2に記載の方法は、上記した請求項1の発明において狭幅区間の引張り降伏動作を逐次に即ち間欠的に行っているのを、連続化したものである。すなわち、図3の実施形態に示すように、枝管3の拡管加工部3bに対して常時引張力を作用させた状態で、例えば、管端に矢印A方向の引張力を作用させた状態で狭幅区間3pを枝管3の内側からの加熱によって環状に赤熱させ、且つその赤熱位置を連続的に管軸方向に移動させるものである。ここで、環状に赤熱させる狭幅区間3pの昇温速度及び移動速度と、それに作用する引張力とを適当に設定することにより、赤熱される区間3pが連続的に管軸方向に移動し且つその赤熱された部分が連続的に引張り降伏されて行き、結局、拡管加工部3bの所望の区間に亘って引張り降伏による縮径を行うことができる。この場合、移動を連続的としたので、引張り降伏が全区間に亘って滑らかに生起する。
【0024】
この方法において、環状に赤熱させる狭幅区間3pの幅は、狭い幅に安定して引張り降伏を生じるよう、また、引張り降伏を終了した部分が残熱により更に引張り降伏を生じないように設定されるもので、状況に応じて実験設定されるべきものであるが、目安としては枝管肉厚の1〜5倍である。
【0025】
請求項2に記載の方法においても、引張力を作用させる位置及び方向や、赤熱した狭幅区間3pの移動方向は、請求項1の方法と同様であり、例えば、図3に示すように、枝管3の先端に矢印A方向の引張力を作用させる時には、環状に赤熱した狭幅区間3pを枝管3の後端側に移動させることが好ましい。また、引張り降伏のための赤熱温度も、同様に、700〜1100℃、望ましくは900〜1100℃程度とするのが良い。枝管3に加える管軸方向の引張力は応力を規制して行ってもよいし、引張り速度を規制して行ってもよく、破断に至らせないために、或いは設備技術面から、応力規制方式の方が有利である。一定の引張り降伏を進行させるには、通常は、一定の引張力を加えればよく、好適な張力の範囲は材質や赤熱温度によって異なるが、おおむね5〜50MPaの範囲にある。上記引張力の付加は引張り降伏による管の管軸方向の変位速度を検出し、これをフィードバックしながら行ってもよい。赤熱位置の管軸方向の移動速度は通常、一定であるが、局部的に縮径を大きくしたい部位ではその移動速度を低下させるというような変化を与えてもよい。
【0026】
狭幅区間3pを赤熱させるための加熱も、請求項1に記載の方法の場合と同様に、ガストーチやレーザーを用いて行ってもよいが、枝管内に電磁誘導コイルを配し、これに交流を通電することによって管体に誘導電流を生じさせて管体を加熱する誘導加熱法によるのが望ましい。加熱条件の目安は、例えば25.4mmφ×2.6mmtの鋼管の3mm区間を、3mm/secの移動速度で1000℃に加熱する場合で20kW程度である。請求項2の発明の場合においても、引張り降伏済の領域を敏速に降温させるため、枝管3内に冷却用の空気を流しておいてもよい。
【0027】
上記した請求項1、2の何れかの縮径方法を枝管3の拡管加工部3bに適用することにより、1回の操作で10%にも及ぶ大きな縮径が実現される。本発明方法は、状況に応じて一つの縮径対象部に2回以上繰り返して適用してもよい。又、拡径部3c、3dの生じ具合により、或いは、係止溝4が複数条設けられていて、それに対応する拡径部3eが複数段に生じている場合などのように、環状に加熱した区間に引張力を作用させにくい場合には、あらかじめ、従来行われている加熱縮径操作を枝管の挿通部に適用して若干のがたを生じさせ、その後、その部分に本発明方法を適用して引張り操作の円滑化を図ってもよい。
【0028】
本発明の縮径方法は、拡管加工部のほぼ全体に適用することにより、ほぼ全体を縮径させることができるが、必要に応じ、更に局部的に縮径操作を加えてもよい。例えば、拡管加工部のほぼ全体を請求項1又は2に記載の方法によって縮径した後、拡径部3eに対応する部分の縮径が不足した場合などには、その部分を含む狭幅区間のみを赤熱し、引張り降伏させる操作を加えることが好ましい。
【0029】
本発明は上述のように、枝管を管支持板に固定している拡管加工部の所望部分を縮径させることが可能であり、拡径部3c、3d、3eを含む拡管加工部3bをも、管支持板1に形成している孔2に対して管軸方向に自由に動かせるレベル迄高度に縮径することが可能である。従って、本発明の縮径方法を適用し、例えば図1〜図3に示すように拡管加工部3bを縮径した後、その部分を矢印A方向或いはB方向に引き抜くことにより、枝管3を管支持板1から容易に撤去することができる。
【0030】
ところで、枝管によっては管端にフレア加工部を有する場合があり、縮径後の引き抜きに際し、そのフレア加工部が邪魔になる場合がある。その場合には、図1或いは図3に示す方法で拡管加工部を縮径させ終わると、図4に示すように、フレア加工部3fが管支持板1の前面から大きく前に引き出された状態となるので、その状態でフレア加工部3fを切断除去するか又は管支持板1の孔2を通過できるように整形加工した上で、枝管を矢印B方向に引き抜けばよい。この場合、フレア加工部3fが管支持板1の前面から大きく離れているので、フレア加工部3fの切断除去操作或いは整形加工操作を容易に且つ管支持板1を傷つけることなく実施できる。
【0031】
また、図5において、縮径動作を加えた拡管加工部3bを矢印A方向に引き抜きたいが、枝管3の全長を矢印A方向には引き抜けない場合がある。その場合には、枝管3の途中部分を切断した上で、枝管を管支持板から引き抜いて除去すればよい。この際の切断は、もし、その切断位置に外部から接近できれば、ガストーチ等による外面からの溶断により実施してもよいが、それよりも、本発明の出願人が先に出願した特願平7−21173号(特開平8−192373号、「枝管の撤去方法及び装置」)に記載された、管体を環状に赤熱させて引張り破断させる方式を採用することが好ましい。この切断方法は、図5に示すように、枝管3の切断すべき区間3qの内側に電磁誘導コイル11を位置させ、その区間3qを環状に赤熱させた状態で、この区間3qに管軸方向の引張力を作用させ、引張り破断させるものである。この引張り破断の際には、破断される区間3qは縮径しながら破断するため、ガストーチによる溶断の際に生じがちなばりの発生がなく、従って、切り離した枝管3を容易に孔2内から引き抜くことができる。
【0032】
次に、請求項1〜3に記載の発明を、距離を置いて2ヶ所に対向配置されている一対の管支持板に両端部がそれぞれ拡管固定された枝管の縮径に適用した場合の実施形態を説明する。
【0033】
図6において、枝管3の左端をC端、右端をD端とする。まず、図6(a)に示すように、C端側の拡管加工部の縮径動作を行う。このC端側の縮径動作は、C端側の管端に矢印Aで示す方向の引張力を作用させる形で、且つ、環状赤熱操作を、電磁誘導コイル等の加熱手段12をC端側から枝管3内に挿入し、その加熱手段12をC端側の拡管加工部のC端側からD端側に向け移動させる形で加えることによって行う。これにより、C端側の拡管加工部をC端側からD端側に向けて順に引張り降伏させて縮径させる。なお、この際の引張り降伏区間の移動は、逐次でも、連続的でもよい。
【0034】
次に、図6(b)に示すように、D端側の拡管加工部の縮径を、D端側からの操作により、前記C端側の操作をD端側に裏返して置き換えた形で加えることによって行う。すなわち、D端側の管端に矢印Bで示す方向の引張力を作用させる形で、且つ、環状赤熱操作を、電磁誘導コイル等の加熱手段12をD端側から枝管3内に挿入し、その加熱手段12をD端側の拡管加工部のD端側からC端側に向け移動させる形で加えることによって行う。これにより、D端側の拡管加工部をD端側からC端側に向けて順に引張り降伏させて縮径させる。なお、この際の引張り降伏区間の移動も、逐次でも、連続的でもよい。
【0035】
以上によりC端側、D端側の各拡管加工部を縮径させることができ、その後、枝管3をC端側或いはD端側に引き抜き、撤去する。なお、この引き抜き撤去の際に、管端にフレア加工部が存在するか或いは拡径部が少し残っていて引き抜けない場合がある。その場合には、引き抜きに先立って、一方の管端のフレア加工部或いは拡径部を切断除去するか、管支持板1の孔を通過できるように整形加工し、その反対側の方に引き抜けばよい。また、その代わりに、一対の管支持板1の間において枝管3を、例えば図5に示した方法で切断し、両側に引き抜く方法を採ってもよい。
【0036】
図7は、図6に示す縮径方法の一部工程を変形した縮径方法を示すものである。図7に示す方法においても、まず、C端側の拡管加工部の縮径動作を図6の場合と同様に行う。すなわち、図7(a)に示すように、C端側の管端に矢印Aで示す方向の引張力を作用させる形で、且つ、環状赤熱操作を、電磁誘導コイル等の加熱手段12をC端側から枝管3内に挿入し、その加熱手段12をC端側の拡管加工部のC端側からD端側に向け移動させる形で加えることによって行う。これにより、C端側の拡管加工部をC端側からD端側に向けて順に引張り降伏させて縮径させる。なお、この際の引張り降伏区間の移動は、逐次でも、連続的でもよい。
【0037】
次に、D端側の拡管加工部の縮径を行う。この縮径動作を行う際には、図7(b)に示すように、C端側の管端に矢印Aで示す方向の引張力を作用させる形で、且つ、環状赤熱操作を、電磁誘導コイル等の加熱手段12をD端側から枝管3内に挿入し、その加熱手段12をD端側の拡管加工部のC端側からD端側に向け移動させる形で加えることによって行う。これにより、D端側の拡管加工部をC端側からD端側に向けて順に引張り降伏させて縮径させる。なお、この際の引張り降伏区間の移動も、逐次でも、連続的でもよい。
【0038】
以上によりC端側、D端側の各拡管加工部を縮径させることができ、枝管3をそのままC端側に引き抜くことで撤去することができる。なお、この場合においても、縮径動作後、枝管をD端側に引き抜いてもよい。また、枝管の引き抜きの際に、前記したように、一方の管端のフレア加工部或いは拡径部の切断除去或いは整形加工を行うとか、一対の管支持板1の間において枝管3を切断する等の操作を伴う方法を採ってもよい。
【0039】
図6、図7で説明した方法では、枝管3の両端部の拡管加工部を縮径させた後、管支持板1から枝管3を引き抜いているが、縮径と引き抜きの順序を一部変更することも可能である。図8は、その場合の例を示すものである。まず、図8(a)に示すように、まず、C端側の拡管加工部の縮径動作を図6の場合と同様に行う。すなわち、C端側の管端に矢印Aで示す方向の引張力を作用させる形で、且つ、環状赤熱操作を、電磁誘導コイル等の加熱手段12をC端側から枝管3内に挿入し、その加熱手段12をC端側の拡管加工部のC端側からD端側に向け移動させる形で加えることによって行う。これにより、C端側の拡管加工部をC端側からD端側に向けて順に引張り降伏させて縮径させる。なお、この際の引張り降伏区間の移動は、逐次でも、連続的でもよい。
【0040】
次に、図8(b)に示すように、C端側の拡管加工部3bの後端部分3qを赤熱して縮径させた後、その部分3qの加熱を続け、赤熱状態に保った状態で、管端に対する矢印A方向の引張力をかけ続ける。これにより、図8(c)に示すように、部分3gが降伏破断し、枝管3のC端側は管支持板1から引き抜かれる。その後、D端側の拡管加工部の縮径を、C端側の操作と同様に行い、縮径後、D端側に引き抜き撤去できる。
【0041】
なお、以上の説明は、いずれも、枝管3が管支持板1に対して、その端部を突出させた形で取り付けられた場合を例にとっているが、本発明はこの場合に限定されず、枝管3の端部が管支持板1の外面にほぼ等しい位置となるように固定されている場合にも適用可能である。
【0042】
【0043】
以上に説明したように、請求項1及び2の方法によれば、狭幅区間の赤熱及び引張り降伏を、逐次に位置を変えて或いは連続的に位置を変えて実施することにより、拡管加工部の長い区間を、局部降伏による破断を生じることなく、10%レベルもの高度に縮径させることができる。これらの請求項1及び2に記載の方法は、いずれも、局部を対象とした引張り降伏による縮径操作を、管軸方向に逐次又は連続的に順次進めて行くものであるため、C、D両端を管支持板に取り付けられ枝管における前記C端側とD端側の管支持板の間に位置する管の途中部分のように、本来は引張操作を加えようがない部分に対しても、管端から順に局部的に引張り降伏させ、これによって局部的に縮径して新たな引張り代が生じるサイクルが順次進んで遂には引張り操作を加えられるようになるのである。
【0044】
上述のように両端の拡管加工部を縮径させた枝管に、フレア加工部があれば、枝管の引き抜きにはフレア加工部を除去するなどの処理が必要となるが、引張り降伏操作により枝管に長さマージンが生じているので、これらの処置を従来よりもはるかに容易に行うことができる。
【0045】
【実施例】
〔実施例1〕
図9に示すように、厚さ100mmの管支持板1に形成した内径25.65mmの孔2に、25.4mmφ×2.6mmtの枝管3(材質STB340)を挿通し、拡管加工して固定した試料を用意した。ここで、拡管加工部3bの外面には、拡径部3c、3d、3eが生じており、この外径は孔2の内径よりも約2%大きくなっていた。この枝管3の管端に引張力を付与するための治具15をろう付けにより固定し、この治具15に油圧シリンダ(図示せず)を連結して矢印A方向の引張力を付与可能とした。また、枝管3内に電磁誘導コイル16(幅30mm)を挿入し、枝管3を環状に加熱可能とした。なお、枝管3の右端は自由としている。
【0046】
この状態で、まず、電磁誘導コイル16を管支持板1の外面にほぼ等しい位置(図示位置)に停止させ、15kW×20secの加熱を行い、これにより約15mm幅の区間3rが赤熱状態となった。次いで、この赤熱区間に10MPaの引張応力が加わるよう治具15に引張力を作用させ、赤熱区間3rを引張り降伏させた。この引張り降伏につれて治具15が変位するので、その変位が約1mmに達したところで引張力付加を停止した。次に、誘導加熱コイル16を前回の加熱幅(赤熱した区間の幅)にほぼ等しい量だけ管軸方向に移動させて停止させ、その位置で前記と同様の操作を行い、引張り降伏させた。以下、同様の動作を管軸方向に逐次実施し、最後に管支持板1の右側に生じている拡径部3dのところを赤熱し、引張り降伏させた時点で、枝管3が管支持板1に対して矢印A方向に移動自在となったので、作業を停止し、枝管3を矢印A方向に引き抜いた。引き抜いた枝管3の縮径部分の外径を測定したところ、孔2内に緊着していた部分の外径が24.8mm、拡径部3eの外径が25.5mmとなっており、孔2の内径よりもかなり小さく縮径していた。
【0047】
〔実施例2〕
図10に示すように、厚さ60mmの管支持板1に形成した内径51.4mmの孔2に、50.8mmφ×5.3mmtの枝管3(材質STB340)を挿通し、拡管加工して固定し、更に先端をフレア加工した試料を用意した。ここで、拡管加工部3bの外面には、拡径部3dが生じており、この外径は孔2の内径よりも約5%大きくなっていた。この枝管3の管端に引張力を付与するため、先端のフレア加工部3fにクランプ治具17を取付け、このクランプ治具17に油圧シリンダ(図示せず)を連結して矢印A方向の引張力を付与可能とした。また、枝管3内に電磁誘導コイル18(幅20mm)を挿入し、枝管3を環状に加熱可能とした。更に、枝管3の右端を治具(図示せず)で固定した。
【0048】
この状態で、実施例1と同様に赤熱及び引張り降伏動作を管軸方向に逐次実施した。各回の動作における加熱電力及び時間は25kW×15sec、加熱幅(赤熱幅)は約10mm、電磁誘導コイル18の移動ピッチは10mm、印加した引張応力は150MPa、変位量は1.7mmである。この操作を、管支持板1の右側の拡径部3dのところまで実施して縮径動作を停止した。この時、フレア加工部3fの根元が管支持板1の左側の表面より約10mm伸び出しているので、その部分を切断してフレア加工部3fを除去し、次いで枝管3を右方向に引っ張ることで、枝管3を容易に管支持板1から引き抜くことができた。引き抜いた枝管3の縮径部分の外径を測定したところ、外径が49.1mmとなっており、孔2の内径よりもかなり小さく縮径していた。
【0049】
〔実施例3〕
実施例1と同一の試料を用意し、その管端に10MPaの引張力を連続的に作用させた状態で、枝管内に幅が30mmの電磁誘導コイルを挿入し、その電磁誘導コイルに20kWの通電を行った状態で、移動速度3mm/secで枝管の先端側から後端側に向けて移動させた。これにより、幅約10mmの赤熱区間が生じて連続的に移動し、且つその赤熱区間で引張り降伏が連続的に生じた。電磁誘導コイルが、枝管の後端側の拡径部3d(図9参照)を通過した時点で枝管が管支持板に対して枝管の先端方向に移動自在となったので、作業を停止し、枝管を先端方向に引き抜いた。引き抜いた枝管の縮径部分の外径を測定したところ、孔内に緊着していた部分の外径が24.8mm、拡径部3e(図9参照)の外径が25.5mmとなっており、孔の内径よりもかなり小さく縮径していた。
【0050】
〔実施例4〕
実施例2と同一の試料を用意し、その管端に150MPaの引張力を連続的に作用させた状態で、枝管内に幅が20mmの電磁誘導コイルを挿入し、その電磁誘導コイルに25kWの通電を行った状態で、移動速度3mm/secで枝管の先端側から後端側に向けて移動させた。これにより、幅約6mmの赤熱区間が生じて連続的に移動し、且つその赤熱区間で引張り降伏が連続的に生じた。電磁誘導コイルが、枝管の後端側の拡径部3d(図9参照)を通過した時点で作業を停止し、先端のフレア加工部を切断除去し、次いで枝管を後端方向に引っ張って、管支持板より引き抜いた。引き抜いた枝管の縮径部分の外径を測定したところ、外径が49.1mmとなっており、孔の内径よりもかなり小さく縮径していた。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本願請求項1〜3に記載の発明は、枝管の拡管加工部内の狭幅区間のみを赤熱させ、その区間に引張力を作用させて引張り降伏させることを基本構成としているので、その狭幅区間内では比較的均等に引張り降伏を生じ、このため、局部降伏による破断の問題を生じることなく、10%レベルもの高度の縮径を一度で実施することができる。
【0052】
本願請求項1の発明は管支持板に設けた孔に挿通し拡管加工固定された枝管の拡管加工部に対して、狭幅区間を赤熱し且つその区間を引張り降伏させて縮径させるという動作を、逐次位置を変えて行うものであるので、肉厚の管支持板の孔内に強固に緊着され、又、拡径部を生じている枝管に対しても、所望の区間に亘って引張り破断を伴うことなく高度の縮径を行うことができるという効果を有している。
【0053】
本願請求項2の発明は管支持板に設けた孔に挿通し拡管加工固定された枝管の拡管加工部に対して、狭幅区間を赤熱し且つその区間を引張り降伏させて縮径させるという動作を、位置を連続的に移動させながら行うものであるので、肉厚の管支持板の孔内に強固に緊着され、又、拡径部を生じている枝管に対しても、所望の区間に亘って引張り破断を伴うことなく高度の縮径を行うことができ、しかも動作が連続的であるので作業性が良いという効果を有している。
【0054】
本願請求項3の発明は、請求項1又は2記載の縮径方法において、拡管加工部の縮径すべき区間内の狭幅区間を環状に赤熱させるための加熱を、枝管内に電磁誘導コイルを配し、該コイルに交流を通電して枝管を加熱する誘導加熱法によって行うものであるので、所望の狭幅区間を、その外側をあまり昇温させることなく、急速に所望温度にまで加熱することができ、所望の部位に引張り降伏を安定して生じさせることができ、作業能率良く縮径を行うことができ、且つ、小径管対応も容易であるという効果を有している。
【0055】
更に、本発明は上記したように管支持板に固定された枝管の高度の縮径が可能であるので、縮径した後の枝管を容易に管支持板から引き抜き、撤去することが可能であり、この点から次のような効果も得られる。
(1) 熱交換器、煙管ボイラー、水管ボイラーなどに種々な仕様で拡管固定された枝管に対して、一定の方針で撤去が行える。
(2) 撤去作業の能率が大幅に向上する。
(3) 検査などのための一部枝管の抜き取りも容易である。
(4) 撤去作業に際して管支持板を損傷し或いは撤去中の枝管を破断させるなどのトラブルを生じないので、不本意な補修、復旧作業がなくなる。
【0056】
枝管の撤去は、上記高熱設備を安全性、経済性の観点で保全するために行うものであり、本発明により撤去作業が能率よく且つ確実に行えるようになったことによる寄与は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の発明に係る枝管の縮径方法の1実施形態を示す概略断面図
【図2】 請求項1の発明に係る枝管の縮径方法の他の実施形態を示す概略断面図
【図3】 請求項2の発明に係る枝管の縮径方法の1実施形態を示す概略断面図
【図4】 本発明の実施形態によって縮径を行った後の枝管及び管支持板を示す概略断面図
【図5】 本発明の実施形態によって縮径を行った後、枝管を切断する動作を示す概略断面図
【図6】 一対の管支持板に両端を固定して設けられた枝管の両端を、本発明を適用して縮径する動作の1例を示す概略断面図
【図7】 一対の管支持板に両端を固定して設けられた枝管の両端を、本発明を適用して縮径する動作の他の例を示す概略断面図
【図8】 一対の管支持板に両端を固定して設けられた枝管の両端を、本発明を適用して縮径する動作の更に他の例を示す概略断面図
【図9】 実施例1を説明する概略断面図
【図10】 実施例2を説明する概略断面図
【図11】 管支持板に対する枝管の固定構造の1例を示す概略断面図
【図12】 管支持板に対する枝管の固定構造の他の例を示す概略断面図
【符号の説明】
1 管支持板
2 孔
3 枝管
3a 挿通部
3b 拡管加工部
3c、3d、3e 拡径部
3f フレア加工部
3g、3h・・3n 狭幅区間
3p 狭幅区間
4 係止溝
11、16、18 電磁誘導コイル
12 加熱手段
15 治具
17 クランプ治具
Claims (3)
- 管支持板に設けた孔に挿通、固定された拡管加工部を有する金属製の枝管の上記拡管加工部を縮径させる方法であって、上記拡管加工部の縮径すべき区間内の狭幅区間を枝管の内側からの加熱によって環状に赤熱させる操作及び環状に赤熱した区間に管軸方向の引張力を作用させて引張り降伏させる操作を、上記拡管加工部の縮径すべき区間内で、該区間の一端から管軸方向に逐次位置を変えて加えて行くことにより、上記拡管加工部の縮径すべき区間を、前記孔に対して管軸方向に動かせるレベルにまで縮径させることを特徴とする枝管の縮径方法。
- 管支持板に設けた孔に挿通、固定された拡管加工部を有する金属製の枝管の上記拡管加工部を縮径させる方法であって、上記拡管加工部の縮径すべき区間に管軸方向の引張力を作用させながら、前記区間内の狭幅区間を枝管の内側からの加熱によって環状に赤熱させて引張り降伏させる操作を、上記狭幅に赤熱させる位置を、前記縮径すべき区間の一端から他端に向かって連続的に移動させて加えて行くことにより、上記拡管加工部の縮径すべき区間を、前記孔に対して管軸方向に動かせるレベルにまで縮径させることを特徴とする枝管の縮径方法。
- 前記拡管加工部の縮径すべき区間内の狭幅区間を環状に赤熱させるための加熱を、枝管内に電磁誘導コイルを配し、該コイルに交流を通電して枝管を加熱する誘導加熱法によって行うことを特徴とする請求項1又は2記載の枝管の縮径方法。
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